(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワークガイド部がワーク支持部と平行な中心軸を有し、ワーク支持部とワークガイド部の中心軸が同一鉛直平面上に存在するとともに、ワーク支持部の鉛直方向下側にワークガイド部が位置するように配置可能に構成されており、
ワーク跳ね上がり部の鉛直方向下側の底面部に、下方に向かって縮小する凸部が形成されるとともに、ワークガイド部の鉛直方向上側の上面部に、当該凸部を受け入れる凹部が形成されており、
ワーク支持部を処理装置の処理部に対して相対的に前記処理部の中心軸に交差する方向で水平に移動させる時に、ワーク跳ね上がり部の凸部がワークガイド部の上面部に乗り上げることで、ワーク跳ね上がり部の少なくとも一部の鉛直方向高さが高くなり、当該凸部がワークガイド部の凹部に受け入れられることで、ワーク跳ね上げ部の少なくとも一部の鉛直方向高さが元の高さに戻る、請求項1又は2に記載のワークセンタリング装置。
ワークガイド部のうち、ワーク支持部よりも処理装置側に移動可能な部分に、鉛直方向に連通する貫通孔が設けられる、鉛直方向に連続する透光性のある部材が設けられる、鉛直方向上側から下側に向かって照射される照明光を反射させる反射板が設けられる、又は、鉛直方向下側から上側に向かって照射される照明装置が設けられる、請求項1〜9の何れか1項に記載のワークセンタリング装置。
線状に伸びる可撓性のワークの少なくとも一部を処理装置の水平方向に中心軸を有する処理部に誘導して位置決めするワークセンタリング装置を用いてワークのセンタリングを行う工程を含む、ワークを含む製品の製造方法であって、
前記ワークセンタリング装置は、処理装置の処理部に対して相対的に前記処理部の中心軸に平行に移動可能で、前記処理部の中心軸と平行な中心軸を有することでワークの少なくとも一部を前記処理部の中心軸に平行で線状に支持可能なワーク支持部と、ワーク支持部に対してその中心軸に平行に移動可能なワークガイド部と、を有し、
前記ワーク支持部が、
前記処理部の中心軸に交差する方向で水平に移動可能であるとともに、
処理装置側に設けられ、ワークを鉛直方向上側に持ち上げ可能なワーク跳ね上げ部と、
該ワーク跳ね上げ部の処理装置側とは反対側にワーク跳ね上げ部に連設されワークを着脱可能に固定するワーク固定部とを有し、
前記ワークガイド部は、処理装置側の端部に、ワーク支持部よりも処理装置側に突出するように設置され、ワーク支持部の中心軸の直交方向で鉛直方向下側に向かって縮小するとともに、ワーク支持部の中心軸を含む鉛直平面上に水平方向の中心軸を有する凹部が形成されたワークセンタリング部を有し、
ワークのセンタリングを行う工程が、
ワークの一部をワークセンタリング部より処理装置側に突出させ、ワークセンタリング部の凹部にワークを受け入れさせるように、ワークをワーク支持部及びワークガイド部に設置する工程、
ワーク支持部よりも処理装置側に伸びるワークの一部を凹部に受け入れて支持しつつ、ワークガイド部をワーク支持部に対して相対的に処理装置側にワークセンタリング部を所定距離移動させ、凹部の中心軸とワーク支持部の端部から処理装置側に伸びる部分のワークの中心軸とを鉛直方向平面視で一致させて、処理部の中心軸に鉛直方向平面視でワークの中心軸を一致させる工程、及び、
前記ワーク支持部を前記処理部の中心軸に交差する方向で水平に移動させて、前記ワーク跳ね上げ部により、前記ワーク固定部に固定されたワークのうちのワーク支持部よりも処理装置側に伸びるワークの一部を、鉛直方向上側で前記ワークセンタリング部の凹部よりも高い位置に持ち上げて、当該凹部に配置させる工程を含む、ワークを含む製品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、便宜上、図面において符号を省略する場合もあるが、この場合、他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、便宜上、見やすいように調整されていることもある。
【0023】
本発明に係るワークセンタリング装置は、線状に伸びる可撓性のワークの少なくとも一部を処理装置の水平方向に中心軸を有する処理部に誘導して位置決めするための装置である。そして、このワークセンタリング装置は、処理装置の処理部に対して相対的に処理部の中心軸に平行に移動可能で、処理部の中心軸と平行な中心軸を有することでワークの少なくとも一部を処理部の中心軸に平行で線状に支持可能なワーク支持部と、ワーク支持部に対してその中心軸に平行に移動可能なワークガイド部と、を有する。
【0024】
また、ワークガイド部は、処理装置側の端部に、ワークセンタリング部を有する。このワークセンタリング部は、ワーク支持部よりも処理装置側に突出するように設置される。また、ワークセンタリング部には、ワーク支持部の中心軸の直交方向で鉛直方向下側に向かって縮小するとともに、ワーク支持部の中心軸を含む鉛直平面上に水平方向の中心軸を有する凹部が形成されている。
【0025】
そして、ワークセンタリング部は、ワーク支持部よりも処理装置側に伸びるワークの一部を凹部に受け入れて支持しつつ、ワークガイド部をワーク支持部に対して相対的に処理装置側に所定距離移動させた時に、凹部の中心軸とワーク支持部の端部から処理装置側に伸びる部分のワークの中心軸とを鉛直方向平面視で一致させて、処理部の中心軸に鉛直方向平面視でワークの中心軸を一致させるように構成されている。
【0026】
このように、ワーク支持部は、処理装置の処理部の中心軸と平行な中心軸を有し、この中心軸に平行にワークの少なくとも一部を線状に支持する。また、処理部の中心軸に平行に処理部に対して相対的に移動可能である。そのため、処理部の中心軸に平行に線状に支持されているワークの一部を処理部の中心軸に沿って処理部に対して相対的に移動させることができ、線状のワークのうちの処理対象部位を処理部の中心軸に沿うようにして処理部内に配置し易くなる。
【0027】
また、ワークガイド部は、処理装置側の端部にワークセンタリング部を有し、このワークセンタリング部には、ワーク支持部の中心軸の直交方向で鉛直方向下側に向かって縮小するとともに、ワーク支持部の中心軸を含む鉛直平面上に水平方向の中心軸を有する凹部が形成されている。そして、ワークガイド部はワーク支持部の中心軸に平行に、ワーク支持部に対して相対的に移動可能である。そのため、ワークガイド部がワーク支持部に対して相対的に移動する時に、ワークセンタリング部の凹部の水平方向及び鉛直方向の中心軸がワーク支持部の中心軸に沿って移動する。その結果、ワークが様々な姿勢になっている場合でも、凹部において、ワークの水平方向の中心軸とワーク支持部の中心軸とを一致させることができ、ひいては、ワークの水平方向の中心軸と処理部の中心軸とを一致させることができる。そして、ワークガイド部が所定距離移動した時に、ワーク支持部の端部とワークセンタリング部の凹部の間において、ワークの中心軸と処理部の中心軸とを鉛直方向平面視で一致させることができる。さらに、処理部の中心軸と平行に、処理装置の処理部に対して相対的にワーク支持部及びワークガイド部を移動させることで、ワークの中心軸と処理部の中心軸とを鉛直方向平面視で一致させながら、ワークの処理対象部位を容易に処理部に配置することができる。
【0028】
本発明のワークセンタリング装置に適用するワークとしては、線状に伸びる可撓性を有するものであれば特に限定はない。このようなワークとしては、例えば、長尺のチューブ、ワイヤー、ケーブル等が挙げられる。また、長尺のチューブとしては、例えば、医療用のカテーテル、塗装用微量液輸送用チューブ等が挙げられる。長尺のワイヤーとしては、例えば、医療用ガイドワイヤー、加工用ガイド芯材等が挙げられる。さらに、医療用カテーテルとしては、例えば、バルーンカテーテル、電極カテーテル等が挙げられる。バルーンカテーテルとしては、折り畳み可能なバルーンを備えたもの等が挙げられる。
【0029】
本発明のワークセンタリング装置を用いることが可能な処理装置は、その処理部が水平方向に中心軸を有するものであれば特に限定はない。このような処理装置としては、バルーンカテーテルのバルーンの折り畳み装置、折り畳まれたバルーンを折り重ねる折り重ね装置、シュリンクチューブを収縮させる加熱装置、ワーク先端数ミリを曲げリング形状を作る曲げ加工装置等が挙げられる。また、処理部は、処理装置のうち、ワークに対して所望の加工等の処理を行う部分である。例えばバルーンカテーテルのバルーン部分の折り畳み装置及び折り重ね装置の場合は、それぞれバルーンの折り畳み加工が行われる折り畳み型及び折り畳まれたバルーンを折り重ねる加工が行われる折り重ね型である。これらの型は、バルーンカテーテルのバルーン部分の長軸方向に沿って所望の加工が施されるため、各型には水平方向に中心軸を有し、この中心軸に沿ってバルーン部分を配置することが望まれる。このようなバルーンの折り畳み装置や折り重ね装置は、例えば特表2004−525704号公報等に記載のもの等を採用することができる。
【0030】
以下、本発明のワークセンタリング装置のより具体的な実施形態を説明する。
【0031】
図1は、本発明に係るワークセンタリング装置の実施形態における主要な構成を模式的に示した斜視図である。
図2は、
図1に示す実施形態に線状のワークを配置した時の
図1のI−I断面図である。
図3aは
図2の左側面図であり、
図3bは
図2のII−II断面図である。
図4〜10は、ワーク支持部及びワークガイド部の実施形態の概略を示す説明図である。
図11〜13は、本発明に係るワークセンタリング装置の実施形態を用いて、処理装置の処理部にワークとしてのバルーンカテーテルの処理対象部位であるバルーン部分を配置する時のワークセンタリング装置の動作を説明するための説明図である。
図11〜13には、本発明に係るワークセンタリング装置の実施形態の全体の構成の概略が示されている。
【0032】
図1に示すように、実施形態に係るワークセンタリング装置1は、ワーク支持部100とワークガイド部200とを有する。本実施形態では、複数(
図1では4つ)のワーク支持部100を有する場合を示しているが、単一であってもよい。また、複数の場合は、図示した数(4つ)に限らず、処理すべきワークの数等を考慮して適宜選択可能である。複数の場合は、複数のワークを連続して処理することができるため、単一の場合に比べて処理効率の点で有利になる傾向にある。ワーク支持部100を複数備える場合、
図1に示すように、各ワーク支持部100の中心軸が平行になるように同一水平面上に配置されるのが好ましい。これにより後述するように、処理部に対する相対的に移動する方向を維持しつつワークガイド部200に対してその中心軸に交差する方向にワーク支持部100を順次移動させるように構成することが容易になる。
【0033】
本実施形態では、ワーク支持部100は、
図11a等に示すように、処理装置10の処理部11の中心軸Bと平行な中心軸Aを有する。
図11〜13に示す例では、
図11a等に示すように中心軸AとBは、鉛直方向平面視で一致している。尚、
図1に示す実施形態では、複数のワーク支持部100のうち、
図11等に示すように処理を行うバルーンカテーテル2が保持されているワーク支持部100以外のものは、中心軸Bと各バルーン支持部100の中心軸Aは平行である。また、ワーク支持部100には、中心軸Aに沿って、線状のワークであるバルーンカテーテル2の少なくとも一部を支持する凹条111、121が形成されている。この凹条111、121に沿って線状のワーク2を支持することができる。
【0034】
本実施形態では、ワーク支持部100は、ワーク跳ね上げ部110とワーク固定部120とを有している。ワーク跳ね上げ部110は、例えば後述する
図14〜16に示すように、ワークであるバルーンカテーテル2を鉛直方向上側に持ち上げ可能に構成される。このような構成を有することで、特に、複数のワークを順に処理部11に配置して処理する場合に、ワークセンタリング部の凹部にワークを配置し易くすることができる。
図11等に示すように、ワーク跳ね上げ部110はワーク支持部100の処理装置10側に設けられる。ワーク跳ね上げ部110には、その全長に亘る線状の溝である凹条111が設けられる。また、ワーク固定部120は、処理装置10側とは反対側にワーク跳ね上げ部110に連設される。ワーク固定部120には、その全長に亘る線状の溝である凹条121が設けられる。また、ワーク固定部120には、ワークを着脱可能に固定する把持部122、123、124が設けられている。ワーク跳ね上げ部110とワーク固定部120とは、ワーク支持部100の中心軸Aに沿って一直線状に連設され、ワーク跳ね上げ部110及びワーク固定部120にそれぞれ設けられた凹条111、121により、ワーク支持部100の中心軸Aに平行で、ワーク支持部100の全長に亘り連続する線状の溝である凹条111、121が形成される。凹条111、121は鉛直方向上側が開口し、この開口部分からワーク2を受け入れ可能になっている。
【0035】
図5〜7は、本実施形態のワーク跳ね上げ部110の構成を説明するための説明図である。
図5は、
図1に示すワーク跳ね上げ部110を模式的に示した正面図であり、
図6は
図5の左側面図であり、
図7は、
図5のIIIで示した部分の拡大斜視図である。
【0036】
ワーク跳ね上げ部110は、ワーク支持部100と同じ中心軸Aを有し、中心軸Aに沿って前述のように線状のワーク2を支持する凹条111を有する。本実施形態では、
図6に示すように、凹条111は、鉛直方向下側に向かって幅が縮小する2つのテーパ面112を有する。2つのテーパ面112が交差する谷線部分が中心軸Aに一致している。即ち、本実施形態では、ワーク支持部100即ちワーク跳ね上げ部110とワーク固定部120の中心軸Aは、凹条111の谷線に一致して水平方向に伸びるものとする。テーパ面112は、ワーク支持部100、即ち、ワーク跳ね上げ部110の中心軸Aに直交する断面において、ワーク跳ね上げ部の鉛直方向中心軸Cに左右対称に形成されている。このように構成することで、ワーク2の中心軸を処理部11の中心軸Bと鉛直方向平面視で一致させることができ、ワーク2のうちワーク支持部100よりも処理装置10側に突出した部分を処理部11に配置する際に、そのワーク2の突出した部分を処理部11の中心軸Bに沿わせ易くすることができる。尚、凹条111の断面形状は、
図6に示すテーパ面に限らず、本発明の効果が得られる範囲で適宜変更可能である。
【0037】
ワーク跳ね上げ部110のワーク固定部120との連結部は、ワーク2を鉛直方向上側に持ち上げ可能になるように構成されればよい。本実施形態では、ワーク跳ね上げ部110がワーク固定部120との連結部130を中心として鉛直平面上を回動する機構を有する(
図14〜16参照)。
【0038】
図5、7に示すように、ワーク跳ね上げ部110のワーク固定部120に近接する側には、連結部130であるヒンジピンを受け入れる連結孔114が形成され並行する2つの腕部117が設けられ、ワーク固定部120の端部に設けられた1つの腕部126(
図10参照)をワーク跳ね上げ部110の両腕部117で挟み込むことが可能になっている。両腕部117のワーク固定部110側の端部には、鉛直方向上側には傾斜面116が形成され、鉛直方向下側には円弧状の曲面115が形成され、ワーク跳ね上げ部110の連結部(ヒンジピン)130を中心とする回動時にワーク固定部120との干渉を防止している。また、ワーク固定部120の腕部126に設けられた係止部128と係合し(
図2参照)、係止部128に対応する形状の凹部119が腕部117の近傍の底面部118に設けられている。ワーク固定部120の係止部128と凹部119とが係合することで、ワーク跳ね上げ部110は、鉛直方向下側への回動が制限される。そのため、ワーク跳ね上げ部110の中心軸Aは水平に保持され得る。
【0039】
本実施形態では、ワーク跳ね上げ部110の底面部118には、処理装置10側の端部から所定長さに亘って中心軸Aに平行に伸び、鉛直方向下側に向かって縮小しつつ突出する凸部113が形成されている。後述するように、ワーク支持部100を処理部11の中心軸Bに交差する方向で水平に移動させた時に、凸部113がワークガイド部200の上面部221に乗り上げることでワーク2を鉛直方向上側に持ち上げることが可能になっている。凸部113の中心軸A方向の長さ及び設置位置並びに底面部からの鉛直下側方向の高さは、ワーク2を持ち上げる高さに応じて適宜選択することができる。凸部113は、ワークガイド部200の水平方向の移動を抑制するガイドとしても機能し得る。尚、ワーク2を鉛直方向上側に持ち上げる構成は、これに限らず、例えばアクチュエータ等を利用してワーク跳ね上げ部110を鉛直方向上側に押して連結部130を中心として回動するように構成してもよいし、他の構成でもよい。
【0040】
図8〜10は、本実施形態のワーク固定部120の構成を説明するための説明図である。
図8は、
図1に示すワーク固定部110を模式的に示した正面図であり、
図9は
図8の右側面図であり、
図10は、
図8のIVで示した部分の拡大斜視図である。
【0041】
ワーク固定部120は、ワーク支持部100と同じ中心軸Aを有し、中心軸Aに沿って前述のように線状のワーク2を支持する凹条121を有する。本実施形態では、
図9に示すように、凹条121は、鉛直方向下側に向かって縮小するテーパ面125を有する。テーパ面125の頂点部分が中心軸Aに一致している。テーパ面125は、ワーク支持部100、即ち、ワーク固定部120の中心軸Aに直交する断面において、ワーク固定部120の鉛直方向中心軸Dに左右対称に形成されている。また、ワーク固定部120の中心軸Dとワーク跳ね上げ部110の中心軸Cは同一平面上に存在する。このように構成することで、ワーク2の中心軸をワーク跳ね上げ部110を介して処理部11の中心軸Bと鉛直方向平面視で一致させることができ、ワーク2のうちワーク支持部100よりも処理装置10側に突出した部分を処理部11に配置する際に、そのワーク2の突出した部分を処理部11の中心軸Bに沿わせ易くすることができる。尚、凹条121の断面形状は、
図9に示すテーパ面に限らず、本発明の効果が得られる範囲で適宜変更可能である。
【0042】
ワーク固定部120には、線状のワークを固定するための把持部122、123、124が設けられている。本実施形態では、凹条121を構成する対面する壁部に中心軸Aに交差する方向(本実施形態では直交する方向)に切り欠き部が形成されている。切り欠き部の構造は、本実施形態では、鉛直方向下側に向かって縮小するテーパ面を有するように形成されているが、これに限定されない。また、この対向する切り欠き部に、ワークを圧潰しない程度に押圧するように押圧部材を架設することでワークを固定することができる。把持部の数、位置は、ワークを固定できれば特に限定はない。本実施形態では対面する壁部に3対の把持部が形成されているが、これに限定されない。また、押圧部材を設ける数、位置を適宜調整してもよい。
【0043】
ワーク固定部120のワーク跳ね上げ部110との連結部は、前述のように、ワーク2を鉛直方向上側に持ち上げ可能になるように構成されればよい。本実施形態では、ワーク跳ね上げ部110がワーク固定部120との連結部130を中心として鉛直平面上を回動する機構を有する(
図14〜16参照)。
【0044】
図8、10に示すように、ワーク固定部120のワーク跳ね上げ部110に近接する側には、連結部130であるヒンジピンを受け入れる連結孔129が形成された1つの腕部126が設けられ、ワーク跳ね上げ部110の端部に設けられた2つの腕部117(
図7参照)によりワーク固定部120の腕部126が挟み込まれるように構成されている。腕部126のワーク跳ね上げ部120側の端部の鉛直方向上側には円弧状の曲面127が形成され、ワーク跳ね上げ部110の連結部(ヒンジピン)130を中心とする回動時におけるワーク固定部120との干渉を防止している。また、ワーク固定部120の腕部126には、その底面部からワーク跳ね上げ部110側に連続して伸びる平板状の係止部128が設けられている。係止部128は、前述のように、ワーク跳ね上げ部110の底面部118に設けられた凹部119と係合し(
図2参照)、ワーク跳ね上げ部110の鉛直方向下側への回動が制限される。そのため、ワーク跳ね上げ部110の中心軸は、ワーク固定部120の中心軸に平行に保持され得る。
【0045】
ワーク支持部100を複数設ける場合は、ワーク固定部120を一体化するように構成することができる。一体化する場合は、各ワーク支持部100を容易に着脱可能に固定してもよいし、実質的に着脱ができないように固定してもよい。また、複数のワーク支持部100を一体化する場合、ワーク固定部120を介して一体化するのが好ましい。この場合、各ワーク支持部100をワーク固定部120の少なくとも一部を一つの架台に載置して一体化してもよいし、隣接するワーク固定部120同士を連結することで全体を一体化してもよい。
【0046】
本発明では、ワーク支持部は、処理部に対して相対的に移動することができる。このような相対移動は、ワーク支持部100を固定して、処理装置11を移動可能としてもよいし、その逆でもよい。ワーク支持部100を移動させる場合は、例えば、ワーク支持部100とワークガイド部200を一体として移動させるのが好ましい。
【0047】
図4は、本実施形態のワークガイド部200の概略を示した斜視図である。ワークガイド部200は、ワークセンタリング部210とアーム部220とを備える。ワークガイド部200の処理装置10側の端部に、ワーク支持部100よりも処理装置10側に突出するように設置されている(例えば
図11a等参照。)。本実施形態では、ワークセンタリング部210がアーム部220の処理装置10側の端部に連設されることで、ワークガイド部200の端部に設置され得る。ワークガイド部200は、ワーク支持部100の中心軸Aと平行に中心軸Fを有する。この中心軸Fは、
図11a等に示すように、鉛直方向平面視で、ワーク支持部の中心軸Aと一致している。また、中心軸Fは凹部223の谷部の頂点を通り水平に伸びるものとする。即ち、凹部223は、ワーク支持部100の中心軸Aを含む鉛直平面上に水平方向の中心軸を有する。
【0048】
ワークセンタリング部210は、
図3に示すように、ワーク支持部100の中心軸A即ちワークガイド部の中心軸Fの直交方向で鉛直方向に向かって幅が縮小する凹部223が形成されている。そして、凹部223にワーク2の一部を受け入れて支持している(
図2参照)。凹部223は、ワーク支持部100の中心軸A及びワークガイド部200の中心軸Fの直交方向で鉛直方向に中心軸Eを有する。凹部223は、この中心軸Eを中心に左右対称となる構造を有している。
図3に示す例では、逆二等辺三角形状或いはV字状の谷部が形成されている。このように中心軸を中心として左右対称の凹部が形成されることで、線状のワーク2の長軸方向の直交断面の中心軸を凹部223の中心軸Fと鉛直方向平面視で容易に一致させることができる。そのため、ワーク2の長軸方向の中心軸を、鉛直方向平面視でワーク支持部100の中心軸Aと容易に一致させることができ、ひいては、処理部11の中心軸Bと容易に一致させることができる。尚、ワークセンタリング部210の凹部223の幅の鉛直方向の縮小率及び深さは、ワーク2の構造に応じて、中心軸が一致するように選択するのが好ましい。
図3に示す例では、ワークとしてバルーンカテーテル2を用いており、径の大きいバルーン3部分を凹部223に受け入れてワークセンタリング部210で支持し、相対的に径の小さいチューブ部4をワーク跳ね上げ部110で支持するため、幅の縮小率は概ね同じであるが、凹部223の頂点部分の位置は凹条111の谷部より鉛直方向下側に位置するように構成されている。
【0049】
図2に示すように、凹部223の処理装置11側及びその反対側には、凹部223から連続し、中心軸Fに沿って鉛直方向下側に向かって傾斜する凹状の溝224、225が形成されている。このように凹部223が逆二等辺三角形状或いはV字状の谷部は稜線を形成することで、ワーク2との接触面を減らすことができ、ワークガイド部200の移動時の抵抗を低減することができる。また、凹部223の処理装置11側に伸びる凹状の溝224は、処理装置11側に向かうに従い幅が拡大するように構成されている。これにより、ワークガイド部200を処理装置11側に移動させるときに、湾曲しているワーク2の揺れ等を吸収し、凹部223からのワーク2の脱落を低減し易くする傾向にある。
【0050】
図4、
図3Bに示すように、アーム部220は、ワーク支持部100と平行に伸びる棒状の構造を有し、鉛直方向上側の上面部221には、ワーク跳ね上げ部110の底面部に設けられた凸部113を受け入れる凹状の溝部222がアーム部220の全長に亘り形成されている。溝部222の両側には溝部222を形成する壁部が形成されている。
図3Bに示すように、溝部222の鉛直方向の深さは、ワーク跳ね上げ部110の凸部113の高さより大きくなっている。一方、溝部222の中心軸Fに直交方向で水平方向の幅は、凸部113の全体を受け入れ可能で上面部221近傍で、凸部113の最大幅に対応する大きさになっている。これにより、ワークガイド部200の中心軸Fとワーク支持部100の中心軸Aを鉛直方向の同一平面上に存在させ易くなる傾向にある。また、アーム部220がワーク跳ね上げ部110の中心軸Aに沿って移動し易い傾向にある。
【0051】
ワークセンタリング部210とアーム部220とは一体に成形されてもよいし、それぞれ別々に形成し、一体化してもよい。本実施形態では、別々に形成し、ネジにより一体化する例を示している。ワークセンタリング部210の底面部には、中心軸Fに沿って全長に亘る切欠き部226が形成されている。また。アーム部220のワークセンタリング部210に近接する側には、中心軸Fに沿ってネジ穴227が形成されている。そして、ワークセンタリング部210の処理装置11側の端部から切欠き部226を介してアーム部220のネジ穴227にネジを通して固定することで一体化されている。尚、図面ではネジは省略している。
【0052】
ワークガイド部210のうち、ワーク支持部100よりも処理装置11側の移動可能な部分、即ち、アーム部220には、(i)鉛直方向に連通する貫通孔、(ii)鉛直方向に連続する透光性のある部材、(iii)鉛直方向上側から下側に向かって照射される照明光を反射させる反射板、(iv)鉛直方向下側から上側に向かって照射される照明装置等が設けられていてもよい。このように構成することで、照明下でワーク2を撮像することが可能になり、撮像に基づく外観検査を行うことができる。また、ワーク2の処理対象部位の位置を確認し、ワーク2を処理部11へ配置する際に、位置を調整をすることができる。
図2、3Bに示す例では、前述の(i)の構成を有している。アーム部220のワークセンタリング部210に近接する端面には、鉛直方向の切欠き部228が形成され、アーム部220とワークセンタリング部210を一体化することで、切欠き部228とワークセンタリング部210の端面に囲まれた部分が貫通孔228となる。尚、(ii)の場合は、例えば切欠き部228に透光性の材質を設けてもよい。貫通孔や透光性の材質を設ける数は特に限定はない。また、(ii)の場合、アーム部220の全体を透光性の材質にしてもよい。
【0053】
ワーク2を処理部11に誘導する時のワーク保持部100とワークガイド部200の位置関係は、
図1〜3、11等に示すように、ワーク支持部100の中心軸Aとワークガイド部200の中心軸Fが同一鉛直平面上に存在するとともに、ワークセンタリング部210がワーク支持部100よりも処理装置11側に突出しつつ、ワーク支持部100の鉛直方向下側にワークガイド部200が位置するように構成されるのが好ましい。この時、ワークセンタリング部210の中心軸Fは、ワーク2の構造を考慮しつつ、ワーク支持部100の中心軸Aと近接するのが好ましい。そのため、ワークガイド部200は、ワークセンタリング部210の凹部223の谷部がアーム部220の上面部221より鉛直方向上側に位置するのが好ましい。したがって、ワークガイド部200は、水平方向に伸びるアーム部220の端部で鉛直方向に突出するワークセンタリング部210が形成されたL字状の構造を有するのが好ましい。
【0054】
ワークであるバルーンカテーテル2のバルーン3を処理装置10の処理部11に誘導し、配置する場合を例に、
図11〜13を参照しつつ、本実施形態のワークセンタリング装置1の全体構成の概略及びその動作の概略を説明する。尚、
図11〜13では、図面の簡略化のためワーク保持部100は1つのみ示している。
【0055】
図11は、処理装置10が設置されたワークセンタリング装置1にワークとしてのバルーンカテーテル2を設置した状態を示した説明図である。
図11は、バルーンカテーテル2を設置した直後の初期状態を示したものである。
図11aは、処理装置10並びにワークセンタリング装置1の主要な構成であるワーク支持部100及びワークガイド部200の鉛直方向上側から平面視した平面図であり、
図11bは、
図11aの平面図に対応した正面図であるが、ワークセンタリング装置1の全体構成を模式的に示したものである。また、ワーク支持部100及びワークガイド部200については、
図11aのV−V方向断面図で示している。
図11に示すように、処理装置10は、処理部11を有し、処理部11には、バルーンカテーテル2のバルーン3を含む先端部分を受け入れる空間12が形成されている。空間12は、水平方向に中心軸Bを有する。空間12にバルーン部分を受け入れて、バルーンに所望の加工処理を施す。空間12即ち処理部11の中心軸Bとバルーン部分の中心軸が一致するように、ワークセンタリング装置1を用いてバルーン3部分を空間12に誘導する。
【0056】
処理装置10は、可動台部322に固定される。可動台部322は、架台部300の水平面上に載置された支持台部320に、誘導路323に沿って移動可能に設置されている。誘導路323は中心軸Bと平行に形成される。可動台部322の移動は、アクチュエータ321により制御される。アクチュエータとしては、種々の機構を選択して用いることができる。例えば、シリンダ機構、リニアスライダー機構等が挙げられる。また、アクチュエータは、ワークの加工位置をワークの状況等に応じて変更する場合は、位置制御が可能なものが好ましく、後述するようにワークガイド部と連動して処理装置を移動させる場合は、速度制御が可能なものが好ましい。
【0057】
ワークガイド部は、可動台部312に固定される。可動台部312は、架台部300の水平面上に載置された支持台部310に、誘導路313に沿って移動可能に設置されている。誘導路313は処理部11の中心軸Bと平行に形成される。尚、ワーク支持部100の中心軸A及びワークガイド部200の中心軸Fと平行でもある。可動台部322の移動は、アクチュエータ311により制御される。アクチュエータとしては、シリンダ機構が好ましい。ワーク支持部100は、ワーク固定部120の部分にて支持台部310に固定されているのが好ましい。
【0058】
図11aに示すように、処理装置10と、ワーク支持部100及びワークガイド部200とは、鉛直方向の平面視でそれぞれの中心軸が一致するように設置される。また、
図11bに示すように、ワーク支持部100の凹条111、121に設置されているバルーンカテーテル2の中心軸が、処理装置10の処理部11の中心軸Bと一致するように、ワーク支持部100の中心軸Aの鉛直方向の位置が調整されている。また、同様に、ワークガイド部200の中心軸Fの鉛直方向の位置が調整されている。
【0059】
図11aに示すように、バルーンカテーテル2のうちワークセンタリング部210より処理装置10側に突出した部分は、曲り癖により、処理装置10の処理部11の中心軸B、ワーク支持部100の中心軸A、ワークガイド部200の中心軸Bに対して鉛直方向平面視で一致していない。また、
図11bに示すように、同部分は、自重等により処理装置10の処理部11の中心軸Bにも一致しておらず、処理部11の空間12のワークセンタリング部210に近接する側の開口部13よりも下側にバルーンカテーテル2の先端が位置している。
【0060】
図11に示す状態から、アクチュエータ311を作動させて、可動台部312を誘導路313に沿って処理装置10側に移動させることによって、ワーク支持部100に対してワークガイド部200を処理装置10側にワーク支持部の中心軸A、即ち、中心軸Bに平行に移動させる。本実施形態ではワーク支持部100は移動しないように構成されている。
【0061】
図11に示す状態から、ワークセンタリング部210の処理装置10側の端部が処理装置10の処理部11の挿入口13に近接する位置までの所定距離だけワークガイド部200を移動させる。
図12はこの時の状態を示したものである。
図12aは、この時の状態を、バルーンカテーテル2、処理装置10並びにワークセンタリング装置1の主要な構成であるワーク支持部100及びワークガイド部200を鉛直方向上側から平面視した平面図であり、
図12bは、
図12aの平面図に対応した正面図であるが、ワークセンタリング装置1の全体構成を模式的に示したものである。また、ワーク支持部100及びワークガイド部200については、
図12aのVI−VI方向断面図で示している。
【0062】
図12aに示すように、ワーク支持部100の処理装置10側の端部から突出し、処理装置10側に伸びる部分は、ワークガイド部200の移動に伴ってワークセンタリング部210の凹部223に受け入れられ、凹部223の鉛直方向の中心軸E上にバルーンカテーテル2の中心軸が位置するように支持される。その結果、バルーンカテーテル2のワーク支持部100の処理装置10側の端部から突出する部分は、その中心軸が処理部11の中心軸B、ワークガイド部200の中心軸Fに対して鉛直方向平面視で一致するように配置され得る。また、
図12bに示すように、ワークセンタリング部210の処理装置10側の端部が処理部11の挿入口13に近接する位置に移動させることで、バルーンカテーテル2の先端部分を挿入口13に挿入可能な位置に配置することができる。
【0063】
図12aに示す状態でワークガイド部200の移動を停止させた後、処理装置10をワーク支持部100側に移動させるとともに、ワークガイド部200をワーク支持部100に対して処理装置10とは反対方向に移動させ、処理部11の空間12にバルーンカテーテル2のバルーン3を含む先端部分を配置する。
図13はこの時の状態を示したものである。このように、ワークセンタリング部210を処理部11の空間12の挿入口13に近接した状態で維持しつつ移動させることが可能なため、挿入口13からバルーンカテーテル2の先端部分を確実に挿入可能であるとともに、バルーンカテーテル2の先端部分の中心軸を少なくとも鉛直方向平面視で処理部11の中心軸Bと一致させつつ空間12に挿入し得る。
【0064】
図13に示す状態では、バルーン3を含む部分の中心軸が、少なくとも鉛直方向平面視で、処理部11の空間12の中心軸Bに一致している。また、バルーンカテーテル2の先端部分の構成等によっては、当該部分の中心軸は空間12の中心軸Bと一致させることができる。尚、バルーンカテーテル2の先端部分の構成等によっては処理に影響がない程度に空間12において自重等により鉛直方向下側に向かって曲りが生じる場合がある。
【0065】
図13に示すように、処理装置10を移動させる場合、処理装置10の停止位置は、目視により手動で停止させてもよいし、前述のように撮像によりバルーン3部分の位置を特定するとともに、その情報に基づいて停止位置を決定し、処理装置の移動を自動制御により停止させるように構成してもよい。このように撮像に基づく情報により自動制御を行う場合、例えば、次のように構成することができる。ワークガイド部200と同期して移動する撮像装置を処理部11の中心軸Bに平行に移動可能にワーク2の鉛直方向上側に設けるとともに、撮像装置に向かって照射可能に鉛直方向下側には照明装置を設け、ワークガイド部200の移動に合わせて貫通孔228を通過する光を受像してワーク2の形状を認識することでバルーン3の位置を特定することができる。特定された位置情報に基づき、撮像装置を所定の位置に配置し、処理装置10を移動させた時の位置を撮像により認識して処理装置10の移動を停止させるように制御することができる。この時、ワーク2の材質によっては、貫通孔228を通過する光のワーク2の透過光を撮像することによって汚れ等の検出も可能であるため、外観検査を同時に行うことも可能である。
【0066】
この後、処理部11においてバルーン3に所望の処理を行う。処理終了後、処理装置10及びワークガイド部200を
図11aに示す位置に移動させ、処理が終了する。本実施形態では、
図13に示すように、処理装置10を移動させるように構成したが、処理装置10を固定し、ワーク支持部100及びワークガイド部200を一体として移動させるように構成してもよい。この場合、例えば、支持台部310にワーク支持部100を載置し、支持台部310を処理装置10に対して移動可能に構成してもよい。また、ワーク支持部100は処理部11の中心軸に交差する方向に移動可能に載置するのが好ましい。
【0067】
複数のワークを連続して処理する場合は、
図1に示すように複数のワーク
支持部100を中心軸Aに平行になるように設置して、各ワーク支持部100を処理部11の中心軸Bに交差する方向で水平に移動させるように構成し、各ワークを
図11〜13に示すように順次処理装置10の処理部11に誘導することで行うことができる。以下では、
図14〜16を参照しつつ、処理部11の中心軸Bに交差する方向として直交する方向の場合を例に、ワーク保持部100を水平に移動させる時の動作について説明する。
【0068】
図14は、
図1に示すような複数連設されたワーク
支持部100がワークガイド部200の鉛直方向上側に移動する前の状態の概略を説明するための図である。
図14aは、ワーク支持部100のうちワーク跳ね上げ部110の近傍部分を示した正面図であり、ワーク支持部100及びワークガイド部200については、中心軸A、Fを含む鉛直方向平面における断面図を示している。
図14bは、
図14aにおけるVII−VII方向の断面図である。
【0069】
図14に示すように、ワーク跳ね上げ部110の底面部118に形成された凹部119とワーク固定部120の係止部128とが係合し、ワーク跳ね上げ部110の中心軸はワーク支持部100の中心軸Aに一致し水平に保持されている。
図14aに示すように、ワーク支持部100の凹条111、112に保持されたワークであるバルーンカテーテル2のうち、ワーク支持部100の処理装置10側の端部から突出した部分は、ワークセンタリング部210の凹部223よりも低い位置に存在することになり、ワーク
支持部
100を
図14bに示す矢印の方向にそのまま平行移動させても、ワークセンタリング部210の凹部223にバルーンカテーテル2を配置することはできない。しかし、本発明では、ワーク跳ね上げ部110によりその端部から突出した部分を鉛直方向上側に持ち上げることが可能になる。そのため、ワークセンタリング部210の凹部223よりも高い位置にバルーンカテーテル2を持ち上げて、凹部223に配置することができる。
【0070】
図14に示す状態において、さらに
図14bの矢印の方向に複数のワーク
支持部
100を同時に移動させると、ワーク跳ね上げ部110の底面部118に形成された凸部113のワークガイド部200に近接する側の傾斜面が、ワークガイド部200のアーム部220の上面部221の端部229に係合する。そしてワーク
支持部
100を矢印の方向にさらに移動させると、凸部113の傾斜面が端部229と接触して摺動することで、ワーク跳ね上げ部110がワーク固定部120との連結部130中心としてワーク支持部100の中心軸Aを含む鉛直平面上を鉛直方向上側に回動し、ワーク跳ね上げ部110の処理装置10側の端部が持ち上げられる。
【0071】
図15は、ワーク跳ね上げ部110の凸部113の処理装置10側とは反対側の端部がアーム部220の一方の上面部221に乗り上げた時の状態の概略を示した図である。
図15aは、ワーク支持部100のうちワーク跳ね上げ部110の近傍部分を示した正面図であり、ワーク支持部100及びワークガイド部200については、中心軸A、Fを含む鉛直方向平面における断面図を示している。
図15bは、
図15aにおけるVIII−VIII方向の断面を模式的に示した図である。
図15a、15bに示すように、この時、ワーク支持部100の処理装置10側の端部から処理装置10側に向かって伸びる部分が、ワークセンタリング部210の凹部223よりも高い位置に持ち上げられる。
【0072】
図15に示す状態から、
図15bに示す矢印の方向にワーク支持部100を移動させると、
図16に示すように、ワーク跳ね上げ部110の底面部118に設けられた凸部113が、ワークガイド部200のアーム部220の上面部221に形成された溝部222に受け入れられる。この時、ワーク跳ね上げ部110がワーク固定部120との連結部130中心としてワーク支持部100の中心軸Aを含む鉛直平面上を鉛直方向下側側に回動し、ワーク跳ね上げ部110の底面部118に形成された凹部119とワーク固定部120の係止部128とが係合し、ワーク跳ね上げ部110の中心軸はワーク支持部100の中心軸Aに一致し水平に保持される。また、ワーク跳ね上げ部110の底面部118がアーム部220の上面部221と当接する。これにより、ワーク跳ね上げ部110の鉛直方向高さが元の高さに戻ることになる。
図16は、この時の状態を示したものである。
【0073】
図16bに示すように、ワーク跳ね上げ部110の鉛直方向中心軸Cとワークガイド部200の中心軸Eが同一鉛直平面上に存在するように、したがって、ワーク支持部100の中心軸Aとワークガイド部の中心軸Fが同一鉛直平面上で平行になるように、ワーク跳ね上げ部110の底面部118に設けられた凸部113が、ワークガイド部200のアーム部220の上面部221に形成された溝部222に受け入れられるのが好ましい。本実施形態では、ワークガイド部200の中心軸Fに直交方向で水平方向の幅は、凸部113の全体を受け入れ可能で上面部221近傍で、凸部113の最大幅に対応する大きさになっている。そのため、
図15bの矢印方向にワーク支持部100を移動させた時に、ワークガイド部200の中心軸Fとワーク支持部100の中心軸Aを同一鉛直平面上に存在させるように移動を停止させ易くなる傾向にある。特に後述するようにシリンダ機構によりワーク支持部100を移動させる場合に有効である。
図16に示す状態にした後、前述のように、バルーンカテーテル2を処理装置10の処理部11に誘導する動作を行って、バルーン3を含む部分に処理を行う。処理を行った後、
図14〜16と同様の動作を行って未処理のバルーンカテーテル2が設置されたワーク保持部100をワークガイド部200の鉛直方向上側に移動させる。以上の操作を繰り返し行うことで、複数のバルーンカテーテル2のバルーン3部分に処理を行うことができる。このような一連の動作は、作業者の手動で行ってもよいし、自動制御により行ってもよい。
【0074】
各ワーク支持部100を処理部11の中心軸Bに交差する方向で水平に移動させる構成としては、特に限定はないが、アクチュエータを用いて移動を制御するのが好ましい。また、この場合、シリンダ機構を用いるのがより好ましい。シリンダ機構を用いる場合、ワーク支持部100のワーク固定部120を可動台部に固定し、可動台部を誘導路に沿ってアクチュエータを用いて移動させるように構成するのが好ましい。また誘導路は、
図11に示すように支持台部310に設けることができる。
【0075】
このように複数のワーク支持部を使用して複数のワーク2を処理する場合は、ワーク支持部100が所定の構造のワーク跳ね上げ部110を有し、ワークガイド部200が所定構造のアーム部220を有するため、ワーク支持部100を処理部11の中心軸Bに交差する方向で水平に移動させただけで、ワーク跳ね上げ部110を所定の方向に回動させることができる。そのため、ワーク支持部100を移動させる動力のみでよい。したがって、シリンダ機構のように比較的簡単な機構を用いることができ、特に複数のワーク支持部100を用いる場合に装置を簡素化することができる。
【0076】
複数のワーク支持部100を一体化して用いる場合、一体化した複数のワーク支持部100を一群として、例えば着脱可能に可動台部に固定して複数群を順次処理可能に構成してもよい。これにより処理効率を向上させることができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得ることは勿論である。