【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の気密構造は、
建物における複数の壁、天井および床によって囲まれた設置空間の内面と、この設置空間に設置される
浴室ユニットの外面と、の隙間を気密部材で塞ぐ気密構造であって、
前記浴室ユニットは、浴槽、洗い場床、壁パネル、天井パネルおよび浴槽エプロンによって囲まれた浴室空間を形成し、前記気密部材は、弾性を有する基材と、この基材の
片側の表面に設けられて気密性を有する表皮材と、を備えて構成され、前記気密部材は、前記表皮材を下に向けた状態で
該表皮材が外側を向くように二つに折り曲げられるとともに
、前記表皮材が前記設置空間の床面に向くように前記隙間に圧入されることで前記基材が押圧されて反発力を発生し、この反発力によって前記表皮材が前記設置空間の内面と前記
浴室ユニットの外面とに密接されることを特徴とする。
【0007】
以上のような本発明によれば、弾性を有する基材と気密性を有する表皮材とを有して気密部材が構成され、この気密部材が設置部材の外面と設置空間の内面との隙間に圧入され、押圧された基材の反発力によって表皮材を設置空間の内面と設置部材の外面とに密接させることで、隙間を塞ぐことができる。このような気密構造によれば、設置空間に設置部材を設置した後に、設置部材の外面と設置空間の内面との隙間に気密部材を圧入してもよいし、設置部材の外面及び設置空間の内面のいずれか一方に気密部材を取り付けておき、他方との間に気密部材を挟み込むようにしてもよく、施工手順の制約を受けることがない。
【0008】
また、押圧された基材の反発力によって、気密部材が設置部材の外面と設置空間の内面との隙間に保持されるので、ねじ止め等による固定作業が不要にでき、施工手間を軽減させることができる。従って、施工手順の制約を受けず、かつ、施工手間が軽減できることから、施工性を良好にすることができる。さらに、押圧された基材の反発力によって、表皮材を設置空間の内面と設置部材の外面とに密接させることで、これらの各面と表皮材との間に隙間が形成されることを防ぐことができ、気密性を高めることができる。
【0010】
このような構成によれば、基材の片側の表面に表皮材が設けられた気密部材を折り曲げることで、その両側に表皮材を向けた状態で設置部材の外面と設置空間の内面との隙間に圧入することができ、これらの各面に表皮材を密接させることができる。即ち、弾性を有した基材が折り曲げられることで、その復元力が気密部材を拡げようとする方向に作用することから、基材の圧縮による反発力に加えて折り曲げに対する復元力によっても密接力を高めることができる。従って、基材の両面に表皮材を設ける場合と比較して、簡単かつ安価に気密部材を製造することができる。さらに、気密部材を折り曲げながら設置部材の外面と設置空間の内面との隙間に圧入するようにすれば、圧入の作業性が良好になり、施工性をさらに良好にすることができる。
【0013】
さらに、本発明の気密構造では、前記設置空間の内面と前記気密部材との間、及び、前記設置部材の外面と前記気密部材との間、の少なくとも一方には接着層が設けられていることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、基材の反発力によって気密部材を保持する保持力に加え、接着層による接着力によって気密部材を固定することができるので、気密部材の位置ずれや脱落を防止して、気密性を維持させることができる。この際、接着層は、例えば、両面テープなどであり、この両面テープの一方の接着面を設置空間の内面や設置部材の外面に貼付しておき、他方の接着面の剥離紙を残したままで気密部材を圧入し、その圧入後に他方の剥離紙を剥がして引き抜き、他方の接着面と気密部材の表皮材とを接着すればよい。このような手順を採用することで、施工性を低下させることなく気密部材の固定強度を容易に高めることができる。
【0017】
一方、本発明の浴室ユニットの施工方法は、浴室ユニットを構成するユニット部材の外面と、前記浴室ユニットが設置される
建物における複数の壁、天井および床によって囲まれた設置空間の内面と、の隙間を気密部材で塞ぐ浴室ユニットの施工方法であって、
前記浴室ユニットは、前記ユニット部材である浴槽、洗い場床、壁パネル、天井パネルおよび浴槽エプロンによって囲まれた浴室空間を形成し、前記気密部材は、弾性を有する基材と、この基材の
片側の表面に設けられて気密性を有する表皮材と、を備えて構成さ
れ、前記気密部材は、接着層及び剥離紙を有した両面テープによって、前記ユニット部材の外面と前記設置空間の内面との少なくとも一方に接着され、前記ユニット部材の外面と前記設置空間の内面との少なくとも一方に前記両面テープの接着層を接着するとともに、前記剥離紙を残しておき、
前記気密部材の前記表皮材を下に向けた状態で該表皮材が外側を向くように二つに折り曲げるとともに、前記表皮材が前記設置空間の床面に向くように、前記設置空間と前記浴室ユニットとの前記隙間に前記気密部材を圧入してから前記両面テープの剥離紙を引き抜くことで、押圧された前記基
材の反発力によって、前記表皮
材の表面を前記設置空間の内面と前記ユニット部材の外面とに密接させるとともに、該気密部材を前記隙間に保持させることを特徴とする。
【0018】
このような本発明の施工方法によれば、設置空間に浴室ユニットを設置してから、そのユニット部材の外面と設置空間の内面との間に形成された隙間に対し、気密部材を圧入することで、浴室ユニットの設置前に設置空間の内面に気密材を取り付けておく必要がなくなり、施工手順を簡単化することができる。そして、押圧された基材又は気密部材の反発力によって、表皮材又は気密部材の表面を設置空間の内面とユニット部材の外面とに密接させるとともに、気密部材を前記隙間に保持させることで、気密性を高めるとともに施工手間を軽減させることができる。
【0019】
また、本発明の浴室ユニットの施工方法は、浴室ユニットを構成するユニット部材の外面と、前記浴室ユニットが設置される
建物における複数の壁、天井および床によって囲まれた設置空間の内面と、の隙間を気密部材で塞ぐ浴室ユニットの施工方法であって、
前記浴室ユニットは、前記ユニット部材である浴槽、洗い場床、壁パネル、天井パネルおよび浴槽エプロンによって囲まれた浴室空間を形成し、前記気密部材は、弾性を有する基材と、この基材の
片側の表面に設けられて気密性を有する表皮材と、を備えて構成さ
れ、前記気密部材の前記表皮材を下に向けた状態で該表皮材が外側を向くように二つに折り曲げるとともに、前記表皮材が前記設置空間の床面に向くように、前記ユニット部材の外面に仮止めテープを用いて前記気密部材を保持しておき、前記設置空間を構成する面材を前記気密部材に向かって外方から建て込み、該面材の内面と前記ユニット部材の外面との間に前記気密部材を挟み込み、押圧された前記基
材の反発力によって、前記表皮
材の表面を前記設置空間の内面と前記ユニット部材の外面とに密接させることを特徴とする。
【0020】
このような本発明の施工方法によれば、ユニット部材の外面に気密部材を取り付けておき、その気密部材に向かって外方から面材を建て込み、面材の内面とユニット部材の外面とで気密部材を挟み込むことで、浴室ユニットの設置後に面材を建て込む必要がある部位においても、面材の建込みと同時に気密部材の保持が可能となる。従って、面材の建込み後に気密部材を圧入する必要がなくなることで、施工手順を簡単化することができるとともに、施工手間を軽減させることができる。そして、押圧された基材又は該気密部材の反発力によって、表皮材又は気密部材の表面を設置空間の内面とユニット部材の外面とに密接させることで、気密性を高めることができる。