(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6691799
(24)【登録日】2020年4月15日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】ポリウレタン系セメント組成物及びそのコンクリート床施工方法
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20200427BHJP
C04B 24/28 20060101ALI20200427BHJP
C04B 24/04 20060101ALI20200427BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20200427BHJP
C08G 18/20 20060101ALI20200427BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20200427BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20200427BHJP
C08G 18/30 20060101ALI20200427BHJP
C08G 18/66 20060101ALI20200427BHJP
E04F 15/12 20060101ALI20200427BHJP
C04B 111/60 20060101ALN20200427BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B24/28 Z
C04B24/04
C08G18/08 038
C08G18/20
C08G18/76 057
C08G18/42 088
C08G18/42 002
C08G18/30 020
C08G18/66 033
E04F15/12 D
C04B111:60
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-57917(P2016-57917)
(22)【出願日】2016年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-196400(P2016-196400A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2019年3月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-76136(P2015-76136)
(32)【優先日】2015年4月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鹿志村 晃太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏一
【審査官】
田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−072512(JP,A)
【文献】
特開2006−117467(JP,A)
【文献】
特開2007−254179(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/174093(WO,A1)
【文献】
特表2016−526059(JP,A)
【文献】
特開2009−091414(JP,A)
【文献】
特開2013−079312(JP,A)
【文献】
特開平07−166127(JP,A)
【文献】
特開2000−212240(JP,A)
【文献】
特開2015−081325(JP,A)
【文献】
特開2016−017024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00 − 32/02
C08G 18/08
C08G 18/20
C08G 18/30
C08G 18/42
C08G 18/66
C08G 18/76
E04F 15/12
C04B 111/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び充填材を含有してなり、0.2mm以上2.5mm未満の厚みに塗付するペースト状のポリウレタン系セメント組成物であって、水分散ポリオールはヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールとフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)と乳化剤と水とからなり、水分散ポリオールの水酸基当量は200〜250であり、触媒として1位N原子の水素基が他に置換されていないイミダゾール化合物を、前記イミダゾール化合物以外の触媒と併用することなく用いることを特徴とするポリウレタン系セメント組成物。
【請求項2】
ポリイソシアネートはポリメチルポリフェニルポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1記載のポリウレタン系セメント組成物。
【請求項3】
1位N原子の水素基が他に置換されていないイミダゾール化合物は2−エチル−4−メチルイミダゾールであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のポリウレタン系セメント組成物。
【請求項4】
床下地コンクリート表面に、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポリウレタン系セメント組成物を下塗りとして0.2mm以上0.6mm未満の厚みに塗付して硬化させた後、さらに該ポリウレタン系セメント組成物を上塗りとして1.5mm以上2.5mm未満の厚みに塗付して仕上ることを特徴とするコンクリート床施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び骨材を含有してなり、床下地コンクリート表面に0.2mm以上2.5mm未満に塗付するペースト状のポリウレタン系セメント組成物及びそのコンクリート床施工方法に関し、特には低温硬化性に優れたポリウレタン系セメント組成物及びそのコンクリート床施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実用上十分な可使時間を持ち、かつ低温硬化性に優れる硬化性ポリマーセメント組成物として、ポリオール、触媒、ポリイソシアネート、セメント、骨材及び水を含有してなる硬化性ポリマーセメント組成物において、触媒としてイミダゾール化合物及びジモルホリノジエチルエーテルを用いることを特徴とする硬化性ポリマーセメント組成物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−067419号公報
【0004】
しかしながら、本願発明者は、特定の塗膜厚みが0.2mm以上2.5mm未満のポリウレタン系セメント組成物に対しては、特許文献1に記載の触媒(イミダゾール化合物とジモルホリノジエチルエーテルの併用)の硬化促進効果は不十分であるという課題があることを発見し、さらには研究を進めいくうちに多くのイミダゾール化合物の中から、上記のポリウレタン系セメント組成物に対して硬化促進効果が著しいイミダゾール化合物を特定するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び骨材を含有してなり、床下地コンクリート表面に0.2mm以上2.5mm未満に塗付するペースト状のポリウレタン系セメント組成物において、低温硬化性に優れるポリウレタン系セメント組成物及びそのコンクリート床施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び充填材を含有してなり、0.2mm以上2.5mm未満の厚みに塗付するペースト状のポリウレタン系セメント組成物であって、水分散ポリオールはヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールとフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)と乳化剤と水とからなり、水分散ポリオールの水酸基当量は200〜250であり、触媒として1位N原子の水素基が他に置換されていないイミダゾール化合物
を、前記イミダゾール化合物以外の触媒と併用することなく用いることを特徴とするポリウレタン系セメント組成物を提供する。
【0007】
請求項2記載の発明は、ポリイソシアネートはポリメチルポリフェニルポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1記載のポリウレタン系セメント組成物を提供する。
【0008】
請求項3記載の発明は、1位N原子の水素基が他に置換されていないイミダゾール化合物は2−エチル−4−メチルイミダゾールであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のポリウレタン系セメント組成物を提供する。
【0009】
請求項4記載の発明は、床下地コンクリート表面に、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポリウレタン系セメント組成物を下塗りとして0.2mm以上0.6mm未満の厚みに塗付して硬化させた後、さらに該ポリウレタン系セメント組成物を上塗りとして1.5mm以上2.5mm未満の厚みに塗付して仕上ることを特徴とするコンクリート床施工方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリウレタン系セメント組成物は、ペースト状で低粘度であるため床下地コンクリート表面に金鏝等を使用して0.2mm以上2.5mm未満の厚みに塗付することができ、5℃程度の低温下でも硬化性に優れるという効果がある。
【0011】
また、本発明のコンクリート床施工方法は、低温硬化性に優れる効果の他に、まず最初に下塗りとして本発明のポリウレタン系セメント組成物を0.2mm以上0.6mm未満の厚みに塗付して硬化させた後、さらに上塗りとして該ポリウレタン系セメント組成物を1.5mm以上2.5mm未満の厚みに塗付して仕上げるため、床下地コンクリート表面の微細な孔(コンクリートの微細組織構造から生じる細孔)は下塗りの本ポリウレタン系セメント組成物によって充填された状態で硬化しており、一般的に上塗りを直接床下地コンクリート表面に塗付した場合に、上塗りが下地コンクリート表面に浸透して下地コンクリート表面の微細な孔中にある空気を追い出してできる置換泡による上塗りでの泡やピンホールの発生が見られない、という効果があり、本発明のポリウレタン系セメント組成物で形成される塗膜表面は美観に優れるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のポリウレタン系セメント組成物は、水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び充填材を含有してなり、0.2mm以上2.5mm未満の厚みに塗付するペースト状のポリウレタン系セメント組成物であって、水分散ポリオールはヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールとフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)と乳化剤と水とからなり、水分散ポリオールの水酸基当量は200〜250であり、触媒としてN非置換のイミダゾール化合物をイミダゾール化合物以外の触媒と併用することなく用いることを特徴とするポリウレタン系セメント組成物であり、必要に応じてこれらの他に、顔料や分散剤、消泡剤等の添加剤を配合することが出来る。
【0014】
本発明のポリウレタン系セメント組成物に使用される水分散ポリオールは、ヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールとフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)と乳化剤と水とからなり、水分散ポリオールの水酸基当量は200〜250である。水酸基当量が200未満では硬化物が収縮して下地から剥離することがあり、同250超では塗膜硬度が不十分となる。ヒマシ油変性2官能ポリオール又はヒマシ油変性3官能ポリオールは、ヒマシ油及びその誘導体で、例えばヒマシ油脂肪酸のジグリセライド、モノグリセライド及びそれらの混合物であり、水酸基数が2又は3のポリオールである。
【0015】
また、本発明に使用される水分散ポリオールは、ヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールを乳化剤によって水中に乳化分散させたのちフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)によってこれを希釈することで水酸基当量200〜250とし、さらにはポリイソシアネートとセメントと充填材と混合することによって、まだ固まらない状態の本発明であるポリウレタン系セメント組成物となる。
【0016】
水分散ポリオールに使用する乳化剤としては、合成界面活性剤、樹脂酸塩系界面活性剤、タンパク系界面活性剤のいずれも使用でき、界面活性剤の種類としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が単独又は併用して使用することが出来る。
【0017】
水分散ポリオールのフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)の含有量は30〜50重量%であり、30重量%未満ではポリウレタン系セメント組成物として下地に塗布する際の作業性が不良となり、50重量%超では硬化塗膜の硬さが不足する。また水分散ポリオールの水の含有量は30〜40重量%であり、30重量%未満ではポリウレタン系セメント組成物として下地に塗布する際の作業性が不良となる場合があり、40重量%超ではポリウレタン系セメント組成物の硬化塗膜の仕上がりが不良となる場合がある。水分散ポリオールにはこれらの他に着色剤を添加することも出来る。
【0018】
本発明のポリウレタン系セメント組成物に使用するポリイソシアネートは、作業性が良好となり、また低温での速硬化性さらには硬化後の塗膜の硬さが高いことより、ポリメチルポリフェニルポリイソシアネートを使用することが好ましく、NCO当量は100〜150が好ましいが、他の脂肪族ポリイソシアネートや芳香族ポリイソシアネートや脂環式ポリイソシアネート等も使用することができる。NCO当量が100未満では硬化塗膜の仕上がりが不良となり、NCO当量が150超では塗膜硬さが不足する。
【0019】
また、本発明に使用される水分散ポリオールの水酸基1個に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の数は、1.5〜2.0が好ましく、1.5未満では硬化が遅延し、2.0超では硬化塗膜中に炭酸ガスによる微細な発泡が生じる場合がある。
【0020】
本発明に係るポリウレタン系セメント組成物には、上記のほか希釈剤を配合することができ、下地への塗付作業性と塗付後の塗膜の平滑性に悪影響を与えることのない希釈剤としては、安息香酸グリコールエステルを挙げることが出来る。安息香酸グリコールエステルは、安息香酸とグリコール化合物との縮合化エステル化合物であり、グリコール化合物としてはジエチレングリコールやジプロピレングリコール等を使用することが出来る。市販の安息香酸グリコールエステルとしては、ジエチレングリコールジベンゾエートとジプロピレングリコールジベンゾエートの混合物である、安息香酸グリコールエステル JP120(商品名、株式会社ジェイプラス社製)がある。希釈剤の配合量としては、水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、希釈剤の合計100重量部中の1〜2重量部が好ましく、1重量部未満では希釈効果が不十分であり、2重量部超では23℃硬化塗膜のJIS K 7215 タイプDデュロメータ硬さが低下する。
【0021】
本発明に使用される触媒は、1位N原子の水素基が他のアルキル基やアリール基に置換されていないイミダゾール化合物であり、イミダゾール化合物以外の例えばビス(モルホリノエチル)エーテル化合物等と併用することなく使用する。該イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ヘプラデシルイミダゾール、2−イソピロピルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプラデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等があり、これらを併用して使用することができるが、ポリオールとの溶解性の点で特に2−エチルー4メチルイミダゾールが好ましい。イミダゾール化合物の市販品としては四国化成の「キュアゾール」シリーズがある。1位N原子の水素基が他のアルキル基やアリール基に置換されていないイミダゾール化合物の触媒としての使用量は、水分散ポリオール100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下である。0.1重量部未満では硬化促進効果が不十分であり、10重量超では塗膜の硬さが不十分となる場合がある。
【0022】
本発明のポリウレタン系セメント組成物に使用するセメントは、本発明のポリウレタン系セメント組成物が床下地コンクリートに塗布し美観を付与することを目的としているため、特定の色調が付与できるように、主として白色ポルトランドセメントを使用することが好ましい。他に普通ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント、早強ポルトランドセメントを併用することができる。セメントの配合量は組成物全体100重量部中の5〜20重量部である。5重量部未満では塗膜表面の仕上がりが不良となり、20重量部超では下地に塗付する際の作業性が不良となる。
【0023】
本発明のポリウレタン系セメント組成物に使用する充填材は、重質炭酸カルシウムに代表される炭酸カルシウムやクレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム等が使用できるが、粒径としては本発明であるポリウレタン系組成物として1.5mm厚みで塗付した際に、塗膜表面に充填材の粒が凹凸となって現われない程度の大きさであれば良く、50%重量積算による平均粒子径D
50で100〜500μmが好ましい。平均粒子径D
50が100μm未満ではポリウレタン系セメント組成物として下地に塗布する際の作業性が不良となり、平均粒子径D
50が500μm超となると、厚さ1.5mmで塗付した際に塗膜表面が凹凸又は該充填材による微小な突起が生じて平滑にならず光沢が低下する場合がある。これらを満たす市販の充填材としては重質炭酸カルシウムK−250(旭鉱末社製、平均粒子径D
50:200μm)、東北硅砂6号(商品名、東北硅砂株式会社製、平均粒子径D
50:約340μm)がある。
【0024】
充填材の配合量は、本組成物全体100重量部に対して30〜55重量部であり、特に本発明のポリウレタン系セメント組成物を下塗りとして0.2mm以上0.6mm未満の厚みに塗付する場合は、30〜45重量部が好ましく、また本発明のポリウレタン系セメント組成物を上塗りとして1.5mm以上2.5mm未満の厚みに塗付する場合は、40〜55重量部が好ましい。下塗りとして塗付する場合に充填材が30重量部未満では下地コンクリート表面の微細な孔の充填が不十分となり、45重量部超では塗付作業性が不良となる。上塗りとして塗付する場合に充填材が40重量部未満では組成物の粘度が低すぎて金鏝で塗付する際の塗付作業性が不良となり、55重量部超では硬化塗膜の平滑性が不十分となる。
【0025】
本発明のポリウレタン系セメント組成物には、上記のほかに消石灰を配合することが好ましい。該消石灰は、ポリイソシアネートと水とのウレア反応で発生する炭酸ガスを吸収し、組成物が床下地コンクリート上に塗布され硬化するまでに発生する炭酸ガスが特定部分に集中し、結果として塗膜を押上げて膨れを生じさせることを抑制する効果がある。消石灰の配合量としては本組成物全体100重量部中の1〜5重量部が好ましい。1重量部未満では上記効果が不十分となる場合があり、5重量部超では塗付作業性が不十分となる場合がある。
【0026】
本発明のポリウレタン系セメント組成物を床下地コンクリート上に塗布する際には、まず床下地コンクリート表面にあるレイタンス等の脆弱層をポリッシング等により除去する。次に、本発明のペースト状のポリウレタン系セメント組成物を下塗りとして0.2mm以上0.6mm未満の厚みに塗付して硬化させ、その後、本発明のペースト状のポリウレタン系セメント組成物を上塗りとして1.5mm以上2.5mm未満の厚みに塗付して仕上げる。塗付には金鏝等を用いて塗付することが好ましく、硬化後の塗膜厚みはおおよそ1.7mmから3.1mm程度となる。
【0027】
以下,実施例及び比較例にて具体的に説明する。
【実施例】
【0028】
実施例1
ヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールの混合物が20重量%とフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)40重量%と水38重量%と乳化剤2重量%とからなり水酸基当量が225の水分散ポリオールA 95重量部に着色トナー(顔料濃度:80重量%)5重量部を加えて主剤100重量部とし、ポリイソシアネートとしてNCO当量135のポリメチルポリフェニルポリイソシアネートを使用して硬化剤100重量部とし、市販白セメント20重量%と重質炭酸カルシウムK250(旭鉱末社製、平均粒子径D
50:200μm)75重量%と消石灰5重量%とを均一に混合して粉体部200重量部とし、触媒Aとして2−エチル−4−メチルイミダゾール10%水溶液を使用し、主剤100重量部と硬化剤100重量部と粉体部200重量部と触媒Aを均一に混合して実施例1のポリウレタン系セメント組成物の下塗りとし、主剤100重量部と硬化剤100重量部と粉体部300重量と触媒Aを均一に混合して実施例1のポリウレタン系セメント組成物の上塗りとした。
【0029】
実施例2
ヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールの混合物が20重量%とフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)40重量%と水38重量%と乳化剤2重量%とからなり水酸基当量が225の水分散ポリオールA 90重量部に着色トナー(顔料濃度:80重量%)7重量部と希釈剤としてJP120(商品名、株式会社ジェイプラス社製)3重量部を加えて主剤100重量部とし、ポリイソシアネートとしてNCO当量135で粘度が600mPa・s/23℃(BM型粘度計 ローターNo.3 60rpm)のポリメチルフェニルポリイソシアネートを使用して硬化剤100重量部とし、市販白セメント30重量%と東北硅砂6号を65重量%と消石灰5重量%とを均一に混合した粉体部200重量部とし、触媒Aとして2−エチル−4−メチルイミダゾール10%水溶液を使用し、主剤100重量部と硬化剤100重量部と粉体部200重量部と触媒Aを均一に混合して実施例2のポリウレタン系セメント組成物の下塗りとし、主剤100重量部と硬化剤100重量部と粉体部275重量部と触媒Aを均一に混合して実施例2のポリウレタン系セメント組成物の上塗りとした。
【0030】
比較例1
触媒として、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)5重量%と1−メチルイミダゾール3重量%と1,6ヘキサンジアミン1重量%とN−メチルーN´−(ジメチルアミノエチル)ピペラジン1重量%と水90重量%が均一に混合された触媒Bを使用した以外は実施例1と同一にし、主剤100重量部と硬化剤100重量部と粉体部200重量部と触媒Bを均一に混合して比較例1のポリウレタン系セメント組成物の下塗りとし、主剤100重量部と硬化剤100重量部と粉体部300重量と触媒Bを均一に混合して比較例1のポリウレタン系セメント組成物の上塗りとした。
【0031】
比較例2
触媒として、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)5重量%と1−メチルイミダゾール3重量%と1,6ヘキサンジアミン1重量%とN−メチルーN´−(ジメチルアミノエチル)ピペラジン1重量%と水90重量%が均一に混合された触媒Bを使用した以外は実施例2と同一にし、主剤100重量部と硬化剤100重量部と粉体部200重量部と触媒Bを均一に混合して比較例2のポリウレタン系セメント組成物の下塗りとし、主剤100重量部と硬化剤100重量部と粉体部275重量部と触媒Bを均一に混合して比較例2のポリウレタン系セメント組成物の上塗りとした。
【0032】
評価項目及び評価方法
【0033】
鏡面光沢度
23℃下で20cm×20cm×0.4mm厚みのJISA 5430の繊維強化セメント板に触媒A又は触媒Bを主剤100重量部に対して0.5重量部配合した実施例又は比較例の下塗りをそれぞれ0.4mm厚みに塗付して硬化後、同一配合の実施例又は比較例の上塗りをそれぞれ1.6mm厚みに塗付して硬化させ24時間養生後に、JISK 5600−4−7に規定する60度鏡面光沢度を測定した。また同様に5℃下で触媒A又は触媒Bを主剤100重量部に対して4重量部配合した実施例又は比較例の下塗りをそれぞれ0.4mm厚みに塗付して硬化後、同一配合の実施例又は比較例の上塗りをそれぞれ1.6mm厚みに塗付して硬化させ24時間養生後に、JISK 5600−4−7に規定する60度鏡面光沢度を測定した。
【0034】
塗膜硬さ
上記鏡面光沢度の測定で作製した塗膜について、各温度で養生14時間後から24時間後までの1時間毎にJIS K 7215に規定するタイプDデュロメータ硬さを測定した。
【0035】
表面性
上記鏡面光沢度の測定で作製した塗膜について、各温度で養生14時間後から24時間後までの1時間毎に塗膜のベタツキを指触によって確認しベタツキのあるものを×としベタツキの無いものを○と評価した。
【0036】
耐水白化性
上記鏡面光沢度の測定で作製した塗膜について、各温度で養生14時間後から24時間後までの1時間毎に水2mlを滴下し12時間放置後に水を拭き取った際の塗膜の白化を目視で確認した。白化したものは×、白化の無いものは○と評価した。
【0037】
評価結果
5℃における塗膜硬さ、表面性及び耐水白化性について表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
23℃における塗膜硬さ、表面性及び耐水白化性について表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
鏡面光沢度について表3に示す。
【0042】
【表3】