(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(台所用の液体洗浄剤組成物)
本発明の台所用の液体洗浄剤組成物は、(A)〜(D)成分を含有する組成物である。
【0010】
<(A)成分>
(A)成分は、α−オレフィンスルホン酸又はその塩(以下、「AOS」と記載することもある)である。(A)成分を含むことにより、液体洗浄剤の泡持続性が良好となる。
AOSのアルキル基の炭素数は10〜18が好ましく、12〜14がより好ましい。
(A)成分は、1種単独で用いられてもよく、炭素数の異なる2種以上のAOSの混合物であってもよい。
また、(A)成分は酸の形であっても良く、塩を形成していてもよい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
(A)成分は市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製の「リポラン(登録商標)LB−440」(商品名)等が挙げられる。
【0011】
液体洗浄剤中の(A)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、1.0〜15.0質量%であることが好ましく、3.0〜12.0質量%であることがより好ましく、4.0〜7.0質量%であることが特に好ましい。液体洗浄剤中の(A)成分の含有量が、上記下限値以上であれば、油汚れに対する洗浄力と、洗浄中の泡持続性がより良好となりやすい。一方、上記上限値以下であれば、手荒れ防止性がより良好となりやすい。
【0012】
<(B)成分>
(B)成分は、アミンオキシド型界面活性剤である。(B)成分を含むことにより、液体洗浄剤の洗浄力と手荒れ防止性が良好となる。
(B)成分は、下記一般式(b1)で表される化合物を含むことが好ましい。下記一般式(b1)で表される化合物は半極性界面活性剤である。本明細書において、半極性界面活性剤とは、半極性結合(無極性結合及び極性結合の中間の性質を有する結合)を有する界面活性剤のことであり、半極性界面活性剤が溶解する溶液又は分散する分散系のpHにより、カチオン性、アニオン性、又は両極性を示すものをいう。
R
11−(A)
X−N(−R
12)(−R
13)→O ・・・(b1)
[式(b1)中、R
11は炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基を表す。R
12及びR
13は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。Aは−C=O(−NH−R
14)−を表し、R
14は炭素数1〜4のアルキレン基を表す。xは0〜1の数である。]
一般式(b1)において、R
11は、炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基であり、炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましい。R
11は、炭素数10〜14の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
R
12及びR
13は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましく、R
12及びR
13がいずれもメチル基であることが特に好ましい。
Aは−C=O(−NH−R
14)−である。R
14は、炭素数1〜4のアルキレン基であり、プロピル基がより好ましい。xは0または1の数であり、0が好ましい。
一般式(b1)で表される化合物として、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。なかでも、油汚れに対する洗浄力がより良好となる点から、ラウリルジメチルアミンオキシドが好ましい。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ラウリルジメチルアミンオキシドとしては市販品を用いることができ、例えばライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製の「カデナックス(登録商標)DM12D−W(C)」(商品名)等が挙げられる。
(B)成分は、一般式(b1)で表される化合物以外のその他のアミンオキシド型界面活性剤を含有してもよい。
【0013】
液体洗浄剤中の(B)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.5〜10.0質量%が好ましく、2.0〜9.0質量%がより好まく、4.0〜8.0質量%が特に好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力と手荒れ防止性がより良好となりやすい。また、上記上限値以下であれば、洗浄中の泡持続性がより良好となりやすい。
【0014】
<(C)成分>
本発明における(C)成分は、下記一般式(c1)で表される化合物である。(C)成分は、いわゆる脂肪酸モノエタノールアミド型界面活性剤である。本発明の台所用の液体洗浄剤が(C)成分を含むことにより、液体洗浄剤の泡持続性が良好となる。
R
1−CO−NH−CH
2CH
2O−(EO)
n1−H ・・・(c1)
[式(c1)中、R
1は炭素数6〜24の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数6〜24の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基を表し、COの炭素原子に結合する炭素原子は1級炭素又は2級炭素である。EOはオキシエチレン基を表し、n1はオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0〜5の数である。]
一般式(c1)において、R
1の炭素数は6〜24であり、8〜14が好ましい。
R
1は、直鎖状でもよいし、分岐鎖状でもよい。
R
1において、COの炭素原子に結合する炭素原子が1級炭素又は2級炭素である。COの炭素原子に結合するR
1の炭素原子は、1級炭素であることが好ましい。
n1はオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0〜5の数であり、1.5〜3の数が好ましい。n1がこのような範囲にあると、特に洗浄力と泡持続性が向上する。n1が0の時、(C)成分は脂肪酸エタノールアミドである。n1が0超の時、(C)成分は(ポリ)オキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドである。
式(c1)で表される化合物としては、ラウリン酸モノエタノールアミド(n1が0)、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(n1が1.5)、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(n1が2)、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノ−ルアミド(n1が3)、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(n1が5)、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド(n1が1.5)、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド(n1が2)、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド(n1が3)、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド(n1が5)、ポリオキシエチレンミリスチン酸モノエタノールアミド(n1が1.5)、及び、ポリオキシエチレンオレイン酸モノエタノールアミド(n1が1.5)等が挙げられる。これら化合物は、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらの中でも、特に洗浄力と泡持続性のバランスがより良好となる点から、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド(n1が1.5〜3のもの)が好ましい。
【0015】
液体洗浄剤中の(C)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.5〜10.0質量%が好ましく、1.5〜8.5質量%がより好まく、2.0〜7.0質量%が特に好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、油汚れに対する洗浄力がより良好となりやすい。上記上限値以下であれば、泡持続性と手荒れ防止性がより良好となりやすい。
【0016】
<(D)成分>
本発明における(D)成分は、前記(A)成分以外のアニオン界面活性剤である。本発明の台所用の液体洗浄剤が(D)成分を含むことにより、液体洗浄剤の泡持続性が良好となる。
(D)成分としては、例えば、直鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、分岐鎖状のアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩等が挙げられる。塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩等のアルカノールアンモニウム塩等が挙げられる。
【0017】
(D)成分として具体的には、炭素数10〜15の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12、Cは炭素数を示す。以下同様。)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(3)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシプロピレン(0.4)ポリオキシエチレン(1.5)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/C14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12/C14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、炭素数14〜17の2級アルカンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
ここで、例えば「ポリオキシエチレン(1)」とは、オキシエチレン基の平均繰り返し数が1(エチレンオキシドの平均付加モル数が1)であることを意味する。「C12/C14=75/25;天然油脂由来」とは、炭素数12の直鎖アルキル基を有する化合物と、炭素数14の直鎖アルキル基を有する化合物との混合物であり、その質量比が75/25であること、及び天然油脂由来の直鎖状のアルキル基であることを意味する。
これらの中でも、(D)成分としては、炭素数10〜15の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、又はポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩を含むことが好ましく、炭素数10〜15の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含むことがより好ましい。
(D)成分は、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0018】
液体洗浄剤中の(D)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.3〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜3.0質量%であることがより好ましい。(D)成分の含有量が、上記下限値以上であれば、油汚れに対する洗浄力がより良好となりやすい。一方、上記上限値以下であれば、手荒れ防止性がより良好となりやすい。
【0019】
本発明の台所用の液体洗浄剤において、「((A)成分+(D)成分)/(B)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤中の(B)成分の含有量に対する、(A)成分と(D)成分の合計含有量の質量割合を意味する。((A)成分+(D)成分)/(B)成分で表される質量比は0.6〜1.8であり、0.8〜1.5が好ましく、1.0〜1.3がより好ましい。
((A)成分+(D)成分)/(B)成分で表される質量比が前記の範囲内であれば、洗浄力、洗浄時の泡持続性、及び手荒れ防止性に優れる液体洗浄剤が得られる。
また、液体洗浄剤中の(A)成分と(D)成分の合計量(液体洗浄剤中のアニオン界面活性剤の総量)は、液体洗浄剤の総質量に対して、3〜20質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。(A)成分と(D)成分の合計量が前記範囲内であれば、洗浄力、洗浄時の泡持続性、及び手荒れ防止性をより両立しやすい。
【0020】
本発明において、「(A)成分/(D)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤中の(D)成分の含有量に対する、(A)成分の含有量の質量割合を意味する。(A)成分/(D)成分で表される質量比は、0.5〜13.0であり、2.0〜9.0が好ましく、3.0〜7.0がより好ましい。
(A)成分/(D)成分で表される質量比が前記の範囲内であれば、洗浄力、洗浄時の泡持続性、及び手荒れ防止性に優れる液体洗浄剤が得られる。
【0021】
本発明において、「((A)成分+(B)成分+(D)成分)/(C)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤中の(C)成分の含有量に対する、(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計含有量の質量割合を意味する。((A)成分+(B)成分+(D)成分)/(C)成分で表される質量比は、1.5〜7.2が好ましく、2.0〜6.0がより好ましく、3.0〜5.0がさらに好ましい。
((A)成分+(B)成分+(D)成分)/(C)成分で表される質量比が前記の範囲内であれば、洗浄力、洗浄時の泡持続性、及び手荒れ防止性により優れる液体洗浄剤が得られやすくなる。
【0022】
本発明の台所用の液体洗浄剤は、粘度(B型粘度計を用いて、測定温度25℃、回転数60rpmの条件で60秒後に測定した時の値)が50〜150mPa・sであることが好ましい。粘度が上記範囲内であれば、容器からの吐出性、及び使用性(皿やスポンジ等の被洗物への適用のし易さ等)がより良好となりやすい。
【0023】
本発明の台所用の液体洗浄剤は、液体洗浄剤の調製のしやすさ、及び使用する際の水への溶解性等の観点から、溶媒として水を含有することが好ましい。
液体洗浄剤中の水の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して85質量%以下が好ましく、40〜85質量%がより好ましく、60〜75質量%がさらに好ましい。水の含有量が、上記下限値以上であれば、液体洗浄剤のゲル化が抑制され、経時に伴う液体洗浄剤の液安定性がより良好となる。一方、上記上限値以下であれば、(A)〜(D)成分の配合バランスがとりやすくなる。また、液粘度が低くなりすぎず、使用性が良好となる。
【0024】
<任意成分>
本発明の台所用の液体洗浄剤は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(A)〜(D)成分以外の任意成分を含有することができる。
任意成分としては、通常、台所用の液体洗浄剤に配合される成分が挙げられ、例えば防腐剤、ハイドロトロープ剤、上記の(A)〜(D)成分以外の界面活性剤(任意界面活性剤)、pH調整剤、除菌成分、漂白成分、キレート剤、高分子化合物、色素、香料などが挙げられる。
【0025】
[ハイドロトロープ剤]
ハイドロトロープ剤としては、例えば、炭素数2〜4の1価アルコール、炭素数4〜10のグリセリルエーテル、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸、安息香酸塩等が挙げられる。
炭素数2〜4の1価アルコールとしては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。
炭素数4〜10のグリセリルエーテルとしては、グリセリン、ヘキシルグリセリルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、液体洗浄剤中の(A)〜(D)成分の溶解効果、及び使用感の点から、炭素数2〜4の1価アルコール、トルエンスルホン酸又はその塩が好ましく、エタノール、パラトルエンスルホン酸塩がより好ましい。ハイドロトロープ剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ハイドロトロープ剤を用いる場合、液体洗浄剤中のハイドロトロープ剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、1〜30質量%であることが好ましく、4〜20質量%であることがより好ましい。
【0026】
[任意界面活性剤]
任意界面活性剤としては、(C)成分以外のノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤等が挙げられる。
(C)成分以外のノニオン界面活性剤としては、本発明の効果を有する限り特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤が好ましい。ポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤の中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルがより好ましく、下記一般式(I)で表される化合物がさらに好ましい。
R
25−O−(R
26O)
y−H ・・・(I)
[式(I)中、R
25は、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表し、R
26Oは、炭素数1〜3のオキシアルキレン基を表す。yは、R
26Oの平均繰り返し数を表し、1〜20の数である。]
式(I)において、R
25は、炭素数が10〜18の直鎖状の炭化水素基が好ましい。また、R
26Oは、オキシエチレン基、又はオキシプロピレン基が好ましい。yは4〜20の数が好ましく、8〜20の数がより好ましく、8〜16の数が特に好ましい。
式(I)で表される化合物の中でも、R
25が炭素数10〜18の直鎖状のアルキル基であり、R
26Oがオキシエチレン基、又はオキシプロピレン基であり、yが8〜20の数であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0027】
カチオン界面活性剤としては、本発明の効果を有する限り特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(パルミトイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジ(ステアロイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシブチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、トリ(ステアロイルオキシエチル)メチルメトサルフェート等が挙げられる。なお、「牛脂アルキル」基の炭素数は14〜18である。
【0028】
本発明の台所用の液体洗浄剤中の界面活性剤の総量((A)〜(D)成分と任意界面活性剤の合計量)は、液体洗浄剤の総質量に対して、10〜50質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがより好ましい。
なお、任意界面活性剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0029】
[除菌成分]
除菌成分としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛などの亜鉛化合物が好適なものとして挙げられ、この中でも硫酸亜鉛、酸化亜鉛がより好ましく、硫酸亜鉛が特に好ましい。除菌成分は、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
液体洗浄剤中の除菌成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.01〜0.5質量%であることが好ましい。除菌成分の含有量が前記範囲内であれば、除菌効果が得られやすくなり、かつ液安定性が確保されやすくなる。
【0030】
[キレート剤]
キレート剤としては、グリコール酸、クエン酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸;エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸等のアミノカルボン酸;ポリアクリル酸、アクリル酸/マレイン酸等の共重合体等が挙げられる。
液体洗浄剤中のキレート成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.1〜1質量%であることが好ましい。
【0031】
[pH調整剤]
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸、グリコール酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。pH調整剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の台所用の液体洗浄剤の25℃におけるpHは、6〜9であることが好ましく、6〜8であることがより好ましい。本発明において、液体洗浄剤(25℃に調温)のpHは、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、JIS K3362−1998に準拠した方法により測定される値を指す。
【0032】
(製造方法)
本発明の台所用の液体洗浄剤は、例えば、溶媒である水に、(A)〜(D)成分及び必要に応じてその他の成分を分散することで得られる。具体的には、水に各成分を添加して攪拌、混合することによって製造することができる。
【0033】
(使用方法)
本発明の台所用の液体洗浄剤の使用方法としては、例えば、液体洗浄剤を単独でスポンジ等に適量注ぎ、このスポンジで食器や調理器具等を洗浄する方法等が挙げられる。本発明の台所用の液体洗浄剤は高い洗浄力を有し、かつ泡持続性にも優れているため、少ない使用量で食器や調理器具等を洗浄することが可能である。
【0034】
本発明の台所用の液体洗浄剤は、(A)成分(AOS)を(D)成分((A)成分以外のアニオン界面活性剤)と組み合わせ、かつ(A)成分/(D)成分で表される質量比と、((A)成分+(D)成分)/(B)成分で表される質量比とを特定の範囲に制御することで、洗浄中の泡持続性を向上させることができる。
本発明の台所用の液体洗浄剤は、(A)〜(D)成分と、水とを含み、(C)成分が、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド、及びポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドから選択される少なくとも1種の界面活性剤を含み、(D)成分が、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩から選択される少なくとも1種のアニオン界面活性剤を含むことが好ましい。また、((A)成分+(D)成分)/(B)成分で表される質量比が0.6〜1.8であり、(A)成分/(B)成分で表される質量比が、2.0〜9.0であることが好ましい。また、((A)成分+(B)成分+(C)成分)/(D)成分で表される質量比が、2.0〜6.0であることが好ましい。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
【0036】
(使用原料)
表1〜3の略号は以下を表す。
<(A)成分>
A−1:アルキル基の炭素数が14であるα−オレフィンスルホン酸ナトリウム(AOS)(商品名:リポランLB−440、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)。
【0037】
<(B)成分>
B−1:ラウリルジメチルアミンオキシド(AX)(商品名:カデナックスDM12D−W(C)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)(上記一般式(b1)において、R
11が炭素数12の直鎖状のアルキル基であり、R
12とR
13がメチル基であり、xが0である化合物)。
【0038】
<(C)成分>
C−1:ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド(商品名:アミゼット(登録商標)2L−Y、川研ファインケミカル株式会社製)(上記一般式(c1)において、R
1が炭素数11の直鎖状のアルキル基であり、n1が2の化合物)。
C−2:ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(商品名:アミゼット5C、川研ファインケミカル株式会社製)(上記一般式(c1)において、R
1がヤシ油由来のアルキル基であり、n1が5の化合物)。
【0039】
<(D)成分>
D−1:ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩(AES)(商品名:シノリン(登録商標)SPE−1250、新日本理化株式会社製)。
D−2:アルキル基の炭素数が10〜15である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)(テイカパワー(登録商標)L124(商品名、テイカ株式会社製)を水酸化ナトリウムで中和したもの)。
【0040】
<その他>
B’−1:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(LPB)(商品名:エナジコール(登録商標)L−30B、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)。
C’−1:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(CDE)(商品名:アミゾール(登録商標)CDE−G、川研ファインケミカル株式会社製)。
【0041】
<共通成分>
AE:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名:LMAO−90、ライオンケミカル株式会社製)(上記一般式(I)において、R
25が炭素数12〜14の直鎖状のアルキル基であり、R
26Oがオキシエチレン基であり、yが15の化合物)。
SB:安息香酸ナトリウム、関東化学株式会社製。
p−TSH:パラトルエンスルホン酸、関東化学株式会社製。
EtOH:エタノール、関東化学株式会社製。
PEG:ポリエチレングリコール(平均分子量1000)(商品名:PEG#1000、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)。
CA:クエン酸(商品名:精製クエン酸(無水)、扶桑化学工業株式会社製)。
ZnSO
4:硫酸亜鉛7水和物、純正化学株式会社製。
防腐剤(i):1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(商品名:PROXEL(登録商標) XL2、アーチケミカルズ社製)。
防腐剤(ii):2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商品名:ネオロン(登録商標) M−10、ローム・アンド・ハース社製)。
ゼラチン:FGS−100、株式会社ニッピ製。
色素1:黄色203号。
色素2:青色1号。
香料
pH調整剤:水酸化ナトリウム、関東化学株式会社製。
溶媒:水、蒸留水。
【0042】
<共通成分(X)の配合組成>
SB:1.5質量%
p−TSH:2.0質量%
EtOH:5.0質量%
CA:0.26質量%
ZnSO
4:0.25質量%
香料:0.3質量%
pH調整剤:適量
水:バランス
【0043】
<共通成分(Y)の配合組成>
AE:0.5質量%
SB:1.7質量%
p−TSH:0.8質量%
EtOH:4.0質量%
PEG:0.7質量%
CA:0.26質量%
ZnSO
4:0.25質量%
防腐剤(i):0.002質量%
防腐剤(ii):0.002質量%
ゼラチン:0.08質量%
香料:0.3質量%
pH調整剤:適量
水:バランス
【0044】
<共通成分(Z)の配合組成>
SB:2.5質量%
p−TSH:0.4質量%
EtOH:3.0質量%
CA:0.25質量%
防腐剤(i):0.001質量%
防腐剤(ii):0.001質量%
色素1:0.0001質量%
色素2:0.00001質量%
香料:0.2質量%
pH調整剤:適量
水:バランス
【0045】
なお、共通成分の配合組成の「質量%」は、液体洗浄剤の総質量に対する各成分の質量割合を意味する。また、水の含有量「バランス」は、液体洗浄剤を全体で100質量%とするのに必要な量である。また、pH調整剤の含有量「適量」は、液体洗浄剤を表中のpHにするのに要した量である。
また、表中の「(A+D)/B」は液体洗浄剤中の(B)成分の含有量に対する、(A)成分と(D)成分の合計含有量の質量割合を意味する。また、「A/D」は、液体洗浄剤中の(D)成分の含有量に対する、(A)成分の含有量の質量割合を意味する。また、「(A+B+D)/C」は、液体洗浄剤中の(C)成分の含有量に対する、(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計含有量の質量割合を意味する。
【0046】
(実施例1〜21、比較例1〜8)
表1〜3に示す組成に従い、以下に示す製造方法(表中に配合量が記載されていない成分は、配合しない)により、各例の液体洗浄剤1000gをそれぞれ調製した。表中の配合量の単位は質量%であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
【0047】
[液体洗浄剤の製造方法]
まず、1Lビーカーに、(A)成分、(D)成分、及びエタノールを入れ、マグネチックスターラー(製品名:F−606N、Fine社製)で充分に撹拌処理を行った。続いて、(B)成分、(C)成分、及びエタノール以外の共通成分をビーカーに追加してさらに攪拌処理を行った。攪拌処理後、25℃でのpHが6〜8の範囲になるように、必要に応じてpH調整剤を適量添加した。その後、全体量が100質量%になるように蒸留水を入れてさらに撹拌処理を行って液体洗浄剤を得た。
上記のpHは、液体洗浄剤を25℃に調温した後、ガラス電極式pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、ガラス電極を組成物に直接に浸漬し、1分間経過後に示す値を測定したものである。この25℃のpHを表中に示した。
【0048】
<評価方法>
各例の液体洗浄剤について、以下に示す評価方法によって、洗浄力、洗浄中の泡持続性、手荒れ防止性をそれぞれ評価した。
[油汚れに対する洗浄力]
(油汚れの調製)
油汚れとして、固体脂である牛脂(和光純薬工業株式会社製)とスダンIV(関東化学株式会社製)とを混合して、着色した牛脂(着色牛脂)を調製した。着色牛脂におけるスダンIV濃度は1質量%に設定した。
(汚垢モデルの作製)
前記着色牛脂1gを、縦10cm×横15cm×高さ5cmのプラスチック製の容器(商品名:ネオキーパー、岩崎工業株式会社製)の内側全面に均一になるように塗布し、これを汚垢モデルとした。
(洗浄試験)
縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(商品名:スコッチブライト(登録商標)、住友スリーエム株式会社製)に、水道水38gと各例の液体洗浄剤2gとをそれぞれ採り、10回手で揉んだ後、擦り洗いを行った。具体的には、水道水と液体洗浄剤とを含んだスポンジで、上記汚垢モデルの内側底面を10回、内側側面を1回、内側の四隅を5回擦った後、水道水で濯ぐ操作を施した。
擦り洗いの後、容器内側綿の油汚れの落ち具合を、下記の評価基準(4段階評価)に沿って評価した。下記評価基準のうち、A及びBを合格とした。
(評価基準)
A:着色牛脂の汚れ残りが目視で認められず、着色牛油の残留によるヌルつきがない。
B:着色牛脂の汚れ残りが目視で認められないが、着色牛脂の残留によるヌルつきが僅かにある。
C:着色牛脂の汚れ残りが目視で認められ、着色牛脂の残留によるヌルつきがある。
D:着色牛脂の汚れ残りがかなり多く見られる。
【0049】
[泡持続性の評価]
モデル油汚垢としてオリーブ油1gと水5gを採取した皿(直径21cm)をモデル油汚垢皿とし、このモデル油汚垢皿を30皿用意した。縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(商品名:スコッチブライト、住友スリーエム株式会社製)に、25℃の水道水38gと、液体洗浄剤組成物2gとをそれぞれ取り、3回手で揉んだ後の食器洗い用スポンジをモデル油汚垢皿と接触させ、モデル油汚垢と食器洗い用スポンジとを馴染ませた。その後、食器洗い用スポンジをモデル油汚垢皿に押さえつけた状態で円を2周描くように動かして擦り洗いを行った。そして、食器洗い用スポンジには水道水と液体洗浄剤組成物を新たに注ぎ足すことなく、連続してモデル油汚垢皿を擦り洗い続け、擦り洗い後のモデル油汚垢皿の上に泡が残らない(確認できない)状態になるまで洗い続けた。次に、洗浄後に各モデル油汚垢皿に存在している泡を500mLメスシリンダーに移し取り、その泡量(mL)を皿1枚毎に測定し、下記の評価基準に基づいて評価した。下記評価基準のうち、A及びBを合格とした。
(評価基準)
A:洗浄後に100mL以上の泡量を確認できた皿枚数が5枚以上であった。
B:洗浄後に100mL以上の泡量を確認できた皿枚数が3〜4枚であった。
C:洗浄後に100mL以上の泡量を確認できた皿枚数が1〜2枚であった。
D:洗浄後に100mL以上の泡量を確認できた皿枚数が0枚であった。
【0050】
[手荒れ防止性の評価]
洗浄後の手荒れ防止性をタンパク変性率に基づいて評価した。
BSA(アルブミン ウシ血清製 結晶品)200ppm水溶液と、液体洗浄剤の0.2%水溶液とを1:1となるように30分間接触させ、JASCO J−720 SpectropolarimeterにてCD値(Circular Dichroism:円二色性)を測定し、下記の計算式にてタンパク変性率(%)を算出した。なお、コントロールは水道水を使用した。
タンパク変性率(%)=(コントロールのCD値−液体洗浄剤組成物のCD値)×100
得られたタンパク変性率を基に、下記評価基準に沿って手荒れ防止性を評価した。下記評価基準のうち、Aを合格とした。
(評価基準)
A:全く手荒れしない(タンパク変性率が6%未満)。
B:やや手荒れする(タンパク変性率が6%以上13%未満)。
C:かなり手荒れする(タンパク変性率が13%以上)。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
表1〜3に示すように、実施例1〜21の液体洗浄剤は、洗浄力、泡持続性に優れ、かつ手荒れ防止性にも優れていた。一方、(A)〜(D)成分のいずれかの成分を含有しない比較例1〜2の液体洗浄剤、((A)成分+(D)成分)/(B)成分で表される質量比が0.6〜1.8の範囲外である比較例3〜4及び7〜8の液体洗浄剤、及び(A)成分/(D)成分で表される質量比が1.5〜13.0の範囲外である比較例5〜6の液体洗浄剤は、洗浄力、泡持続性、又は手荒れ防止性のいずれかが劣っていた。
以上の結果から、本発明の台所用の液体洗浄剤は、油汚れ等に対する洗浄力に優れ、洗浄中の泡持続性が良好であり、かつ手荒れ防止性にも優れることが確認された。