【実施例】
【0059】
例1−多能性幹細胞のAECへの指示された分化に関するプロトコール
動脈の分化を調べるために、血清およびウシ血清アルブミンの両方を欠いている規定された培養培地を使用して、内皮細胞分化プロトコールを策定した。まず、BMP4、アクチビン−A、およびCHIR99021が補充された培養培地(E8BAC培地)中で、異物を含まない多能性幹細胞を、中胚葉細胞に2日間分化させた。次いで、中胚葉細胞を、FGF2、VEGFA、およびBMP4でさらに3日間処理し、70%のCD31
+/CD34
+内皮細胞集団を得た(
図2A〜B)。インスリンが、この中胚葉から内皮細胞への分化培地に含まれた。内皮細胞の生死を、NANOGおよびOCT4の下方制御(
図2C)、KDR/VEGFR2の上方制御、CD144の発現(CDH5/VE−カドヘリン)(
図2D)、LDLのインターナリゼーション(
図2E)、ならびにin vitroおよびin vivoでの毛細血管ネットワークの形成(
図2F〜G)によりさらに確認した。このプロトコールを用いて、本発明者らは、完全に規定された培養条件下で、個々の培地構成成分の効果を調べることができた(
図2H)。
【0060】
CD31
+/CD34
+内皮細胞集団の細胞は、AECのマーカーをほとんど発現することができなかったので(データ図示せず)、本発明者らは、CD31
+/CD144
+/CD41
-/CD45
-内皮細胞の集団をE11.5日マウス胚の胚体中胚葉の大動脈−性腺−中腎(AGM)領域から単離した。この細胞を、AGMから単離して、動脈分化を誘発する能力を有する新たな因子を識別した。
【0061】
個々の内皮細胞のグローバル遺伝子発現プロファイルを特徴付けるために、CD31
+/CD144
+/CD41
-/CD45
-内皮細胞について、単一細胞RNA−Seqを実施した。動脈および静脈の内皮細胞集団を区別するために、動脈マーカー(Efnb2、Cxcr4、Dll4、Gja4、Hey1、Jag1、Notch1、Notch4、およびNrp1)、および静脈マーカー(Aplnr、Ephb4、Flt4、Nr2f2、およびNrp2)のセットを、SINGuLAR(商標)分析ツールセットを使用して分析した。多くのマーカーは、動脈群または静脈群のいずれかにクラスタリングされたが、AplnrおよびNotch1はいずれの群にもクラスタリングされなかった(
図1A)。この結果は、いくつかの動静脈マーカーは、一時的に非特異的であることを示唆する過去の研究と整合する(Chong et al., 2011)。マーカーの発現に基づき、CD31
+/CD144
+/CD41
-/CD45
-内皮細胞を5つの部分集団にクラスタリングした(
図1A)。動脈細胞と静脈細胞を区別するために、各部分集団に含まれる動脈および静脈の遺伝子セットの正規化された発現について、その平均値を計算した(
図1B)。集団1(P1)は、動脈マーカー発現が最高であり、また静脈マーカー発現が最低であったので、動脈内皮細胞として識別した(
図1B)。対照的に、集団3(P3)は、動脈遺伝子発現が最低であった(
図1B)。主成分分析により、P1細胞およびP3細胞間の明確な分離が明らかとなり(
図1C)、P3細胞と比較して、P1細胞(動脈内皮細胞)内で918個の遺伝子が富化していることが判明した(p<0.1、FC>2、TMP>1)(表4を参照)。
【0062】
918個の動脈富化遺伝子内の増殖因子関連遺伝子を識別するために、5つのAmiGo遺伝子オントロジーデータ「用語」:増殖因子結合(GO:0019838)、増殖因子活性(GO:0008083)、増殖因子受容体結合(GO:0070851)、受容体活性(GO:0004872)、および受容体結合(GO:0005102)を組み合わせた。次いで、組み合わせたリストを、原形質膜遺伝子(GO:0005886)と交差させて、非細胞表面遺伝子を除去した(
図1Dならびに表2および4)。得られた42個の遺伝子の一部は増殖因子またはその受容体ではなかったが、増殖因子シグナル経路の上流または下流に位置した。VEGFA、Wntシグナル伝達(FZD4、FZD7、FZD10)、およびNotchシグナル伝達(DLL4およびNotch4)を含む、いくつかの周知の動静脈制御因子が、これら42個の遺伝子内に存在した(表2)。
【0063】
ヒト動脈分化における候補因子を試験するために、本発明者らは、規則的な間隔をあけてクラスタリングされた短鎖反復回文配列(CRISPR(規則的な間隔をあけてクラスタリングされた短鎖反復回文配列))−Cas9技術を使用して、ヒトES細胞デュアルレポーター株を作製して、tdTomaoを有するEFNB2(エフリンB2)、およびEGFPを有するEPHB4(エフリンB型受容体4)を標的とした(
図8A〜8B)。例えば、Hou et al., 2013を参照。EFNB2およびEPHB4はそれぞれ、最も特徴付けがなされている胚性の動脈および静脈内皮細胞マーカーである(Wang et al., 1998)。EFNB2およびEPHB4遺伝子座に対する特異的標的化は、ジャンクションPCRおよびサザンブロットにより確認した(
図8C〜8F)。各レポーターの単一コピーのみがゲノムに組み込まれ(
図8G〜8H)、レポーター細胞株内でのEFNB2およびEPHB4の内因性の発現は、野生型細胞内での発現と類似した(
図8I)。核型はデュアル標的化後正常であり(
図8J)、DNA配列決定により、野生型対立遺伝子内にはCRISPR誘発性の挿入または欠損がないことが判明した。
本発明者らは、EFNB2−tdTomato/EPHB4−EGFPデュアルレポーター細胞株を使用して、単一細胞RNA−Seq分析により識別された個々の増殖因子関連遺伝子の機能を試験した。これまでに記載されているその役割と整合して、VEGFA、WNT3A、およびRESV(Notch作動薬)は、すべて、動脈の特異化の向上を促進した(
図11)。
【0064】
本発明者らは、次いで、内皮細胞分化プロトコールで幅広く使用されているので、組換えタンパク質/小分子、例えばインスリン等を添加または除去することにより、内皮細胞分化の間に認められるその他の増殖因子/シグナル伝達経路について調べた。驚くべきことに、中胚葉形成後にインスリンを除去すると、EFNB2−tdTomato
high/EPHB4−EGFP
low細胞数の増加により証明されるように、それはAEC分化を引き起こす契機となった(
図3A〜B)。インスリンは、動静脈特異化の負の制御因子(Hong et al., 2006)であるAKTを活性化させることができるので(Mackenzie and Elliott, 2014)、本発明者らは、AKT活性を調べた。リン酸化されたAKT(pAKT)は、インスリンの存在により増加し、Ly294002(ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)の可逆的阻害剤)を使用してPI3K活性を阻害すると、pAKTは減少し(
図3C)、そして動脈の分化の間に、インスリンの阻害効果を反転させた(
図3A〜3B)。これらの結果は、インスリン−AKT経路は、動脈の分化抑制において重要な役割を演じていたことを実証する。
【0065】
さらに、本発明者らは、EFNB2−tdTomato
high/EPHB4−EGFP
low細胞の増加により証明されるように、下記の因子は、動脈内皮細胞の分化を増加させることを見出した:FGF2、L−690,330(イノシトールモノホスファターゼ阻害剤)、およびLDL(低密度リポタンパク質)(
図3F)。対照的に、SB431542(TGF−β受容体阻害剤)を除去する、またはPDGF−BBを添加すると、動脈の分化は阻害された(
図3E〜3F)。
【0066】
これらの結果をさらに確認するために、EFNB2−tdTomato
high/EPHB4−EGFP
low推定動脈内皮細胞、およびEFNB2−tdTomato
low/EPHB4−EGFP
high推定静脈内皮細胞を、FACSによりソーティングし、RT−qPCRにより分析した。動脈の遺伝子は、EFNB2−tdTomato
high/EPHB4−EGFP
low細胞において、有意に上方制御されていた。これらのデータより、FGF、L−690,330、およびLDLは、ヒト多能性幹細胞の動脈内皮分化を促進する一方、インスリン、TGF−β、およびPDGFは動脈内皮分化を阻害することが実証される。
【0067】
動脈分化をさらに改善するために、本発明者らは、個々の因子の組合せについて調べた。動脈内皮細胞分化は、化学的に規定された培地(表1の「FVIRL培地」;
図4A〜4Bも参照)内でFGF、VEGFA、SB431542、RESV、およびL−690,330(「5因子」)を組み合わせることにより、単一の因子を採用した際に観察された分化と比較して大幅に改善した。FGF、VEGF、SB431542、またはRESVを個別に除去すると、EFNB2−tdTomato
high/EPHB4−EGFP
low細胞の減少を引き起こした(
図4A〜4B)。2つのその他の動脈マーカーであるCXCR4およびDLL4は、FGF、VEGF、SB431542、またはRESVを除去すると、同様に減少した(
図4C〜4F)。しかし、RESVもしくはL−690,330を除去すると、またはPDGFを添加すると、よりわずかなEFNB2−tdTomato
high/EPHB4−EGFP
low推定動脈内皮細胞が得られたが、CD144
+CXCR4
+およびCD144
+DLL4
+細胞の減少は観察されなかった(
図4C〜4F)。単一の因子としてWNT3Aは動脈分化を促進するが、外因性のWNT3Aは、その他の5因子の状況において、動脈分化をさらに増加させなかった(
図4A〜4F、
図9)。
【0068】
5因子プロトコールを用いて生成した内皮細胞は、LDLを取り込み、血管ネットワークを形成し、そのようなネットワーク内でEFNB2(エフリンB2)の発現を維持した(
図5C〜5D)。機能的AECの別の特徴的な特質は、静脈内皮細胞の特徴的な特質と比較して、白血球接着の減少が挙げられる(Hauser et al., J Immunol 151, 5172-5185 (1993);Kalogeris et al., Am J Physiol 276, L9-L19 (1999))。したがって、本発明者らは、炎症促進性サイトカインであるTNFαが異なる種類の内皮細胞内で白血球接着を誘発するその能力について分析した(De Caterina et al., 1995)。
【0069】
最終的に、本発明者らは、ヒトES細胞由来のAECが動脈特異的な機能的特徴を示すかどうか調べた。第1に、「5因子」AECは、一次ヒト冠動脈内皮細胞(HCAEC)に匹敵するレベルで、およびHUVEC細胞よりもより高いレベルでNOを生成した(
図7A)。第2に、AECは、一次動脈内皮細胞と類似した速度で、およびHUVEC細胞よりも高速度で酸素を消費した(
図7B)。第3に、AECは剪断応力に応答して伸長したが、その程度は一次動脈内皮細胞と類似し、またHUVEC細胞よりも大きかった(
図7C〜7D)。AECは、低レベルのTNFα誘発性の白血球接着を示し(Hauser et al., J Immunol 151, 5172-5185 (1993);Kalogeris et al., Am J Physiol 276, L9-L19 (1999))、その接着は一次動脈内皮細胞に匹敵し、HUVEC細胞よりもかなり低かった(
図7E〜7F)。まとめとして、本発明の結果を総合すると、AECは、静脈内皮細胞とは異なるが、動脈内皮細胞と整合する遺伝子発現および機能的特性により特徴付けられることが実証される。
【0070】
過去の研究より、血管平滑筋は、ACTA2(SMA)、TAGLN(SM22a)、MYH11、およびELNを発現することが判明した(Owens et al., Physiol Rev 84, 767-801 (2004))。本発明者らは、腸および血管の平滑筋細胞を区別するのに、CD31が使用できることをさらに実証した。
図12に示す通り、MYH11陽性血管平滑筋が血管に補充される。腸内では、平滑筋細胞は、MYH11およびCD31の両方を発現し(矢印で示す)、MYH11
+CD31
-細胞は血管平滑筋細胞である一方、MYH11
+CD31
+細胞は腸の平滑筋細胞であることを実証する。
【0071】
【表2】
【0072】
材料および方法
単一細胞RNA−seq用のマウス内皮細胞の単離:24匹のE11.5マウス(CD−1バックグラウンド)胚を採取した。頭部、尾部、四肢、内臓、および体節を取り出した。大動脈−性腺−中腎(AGM)組織を、2mg/mlのコラゲナーゼIV型(Life technologies、カタログ番号17104−019)、および0.25mg/mlのディスパーゼ(Life technologies、カタログ番号17105−041)を含む溶液中で、酵素が組織に浸透するように、氷上で15分間インキュベートした。次いで、酵素を含む組織を、37℃で10分間インキュベートした。酵素を2%のFBS−HBSSで中和し、上下にピペット吸引して細胞をさらに解離させた。細胞を免疫染色し、CD31
+CD144
+CD41
-CD45
-内皮細胞をフローサイトメトリーによりソーティングした。CD41およびCD45を使用して造血幹細胞を枯渇させた。
【0073】
単一細胞RNA−seq用のヒト胎児動脈内皮細胞の単離:ヒト胎児大動脈組織(妊娠14週)を大動脈弓から腹部分岐まで切開した。イェシーバ大学(Bronx、NY)のアルバート・アインシュタイン医科大学にあるヒト胎児組織レポジトリから組織を得た。この研究を、UW−Madison Health SciencesのIRB、およびアルバート・アインシュタイン医科大学のIRBから承認を得て実施した。ヒト胎児背側大動脈の外膜層を完全に除去し、そして残りの組織を細かく切断した。次いで、組織を、300U/mlのコラゲナーゼ/エラスターゼ(Worthington Biochem、カタログ番号LK002067)により、37℃で1時間消化し、組織を、20分毎に上下にピペット吸引した。抗CD31抗体を使用したフローサイトメトリーにより、内皮細胞をソーティングした。
【0074】
単一細胞RNA配列決定。マウスAGM細胞では、15μlの細胞懸濁物(5×10
4個の細胞を含有する)を、Fluidigm C
1(商標)チップに充填した。RNA単離、cDNAライブラリー調製を、Fluidigm C
1(商標)単一細胞自動調製システム上で、製造業者の指示(Smarter−seq1プロトコール)通りに実施した。cDNA濃度を、Quant−iT(商標)PicoGreen(登録商標)dsDNAアッセイキット(Life technologies、カタログ番号P7589)により測定し、そして0.1〜0.3ng/μlに希釈した。Nextera XT DNAサンプル調製キット(Illumina、カタログ番号FC−131−1024)を使用してcDNAをタグ付けし、バーコード印字した。配列決定では(Illumina、HiSeq2500)、18〜24個のサンプルをプールした。合計84個の細胞について配列決定を行った。重複を排除し、外れ値を除去した後、70個の細胞をさらなる分析に使用した。
【0075】
「5因子」プロトコールにより誘導したAECでは、CD144
+/EFNB2−tdTomato
high/EPHB4−EGFP
low細胞をソーティングし、Fluidigm C
1(商標)チップに充填した。上記のようにcDNAを調製し、配列決定した。合計96個の細胞について配列決定を行い、さらなる分析に使用した。
一次AEC(「pAEC」;14週齢のヒト胎児背側大動脈から新たに単離した)では、cDNAを調製するために、smarter−seq2プロトコールを、Fluidigm C
1(商標)単一細胞自動調製システムに適用した。Smarter−seq2は、cDNA収率および配列決定感度
41を改善することが示されており、したがって、RNAの質が比較的低いサンプルに適する。合計48個の細胞について配列決定を行い、さらなる分析に使用した。
【0076】
H1ES細胞およびHUVEC細胞を、smarter−seq2プロトコールを使用して、Fluidigm C
1(商標)単一細胞自動調製システムにより調製した。24個のH1細胞および48個のHUVEC細胞について配列決定を行い、さらなる分析に使用した。
階層的クラスタリング:単一細胞RNA−seqデータ(TPM)をRSEMから生成した。遺伝子毎に、log2 TPMを平均値0およびばらつき1でzスコアにスケール化した。対数化する前に、1未満のTPMを1とした。細胞間のユークリッド距離を用いて階層的クラスタリングを実施した(
図1)。
SINGuLAR分析ツールセット2.1によるデータ分析:単一細胞RNA−seqデータ(TPM)をSINGuLAR分析ツールセット2.1に充填した。外れ値を、「identifyOutliers()」コマンドにより除去した。次いで、サンプルの動脈および静脈マーカーを、「autoAnalysis()」コマンドにより分析した。その結果、
図1CのPCAプロットを自動的に生成した。AECデータのヒートマップ(
図10)も、SINGuLARの「autoAnalysis()」により生成した。
【0077】
Rプログラムによる主成分分析:主成分分析(PCA)を単一細胞RNA−seqデータについて実施した(
図5B)。異なる細胞にわたる配列深度変動を調整するために、期待されるカウントを中央値−比の正規化により正規化した。潜在的な外れ値の効果を低減するために、遺伝子毎に、遺伝子特異的発現の95番目の分位点を上回る値を、95番目の分位点を使用して補完した。PCA前に、正規化後の遺伝子特異的発現を、すべての遺伝子について、平均値0および標準偏差1の値に再スケール化した。Rのprcomp()関数を使用してPCA分析を実施した。
【0078】
増殖因子関連遺伝子リストの生成:Amigo Goの5つの用語(バージョン1.8)である増殖因子結合(GO:0019838)、増殖因子活性(GO:0008083)、増殖因子受容体結合(GO:0070851)、受容体活性(GO:0004872)、および受容体結合(GO:0005102)を組み合わせた。次いで、組み合わせたリストを、原形質膜(GO:0005886)と連結して、増殖因子関連遺伝子リストを生成した。リストを、表5からの「動脈富化遺伝子」とさらに連結して、表6の動脈富化増殖因子関連遺伝子リストを生成した。
H1ES細胞上での遺伝子標的化:EFNB2標的化ベクターの5’および3’ホモロジーアームを、IDT(gBlock)により、Sal IおよびBamH I(5’アーム)制限部位、Bmt IおよびMlu I(3’アーム)制限部位を導入しながら合成して、標的化ベクターへのサブクローニングを促進した。EPHB4標的化ベクターの5’および3’ホモロジーアームを、BAC(細菌人工染色体)からPCR増幅した。
【0079】
最良のエレクトロポレーション効率を実現するために、ヒトES細胞(H1)を、EDTAで継代し(1:4分割)、実験2日前に80〜90%コンフルエンスに到達するように、培養した。実験当日、ES細胞をアキュターゼ(Accutase)により解離させ、E8培地で1回洗浄し、そして5×10
6個の細胞/mLの密度で、10mMのHepesバッファーを含むE8培地(pH7.2〜7.5)(Life Technologies)に再懸濁した。エレクトロポレーションでは、400μLの細胞懸濁物、7.5μgのgRNAプラスミド、7.5μgのspCas9プラスミド、および10μgの直線化したDNAテンプレートプラスミドを4mmキュベット(Bio−Rad)中で混合し、Bio−Rad Gene Pulserで速やかに電気穿孔した。エレクトロポレーションパラメーターは、250V、500μF、および無限抵抗であった。次いで、細胞を、E8培地中のMatrigelコーティングプレート上にプレーティングした(第1日目に10μMのY27632を添加した)。EFNB2−tdTomatom細胞株では、細胞が20%コンフルエンスに到達したら(通常、エレクトロポレーション3〜4日後)、100μg/mlのジェネテシン(Geneticin)を培地に添加し、薬物選択を5日間継続した。EPHB4−EGFP細胞株では、細胞が20%コンフルエンスに到達したら、0.5μg/mlのピューロマイシン(puromycin)を培地に添加した。E8培地中の細胞の薬物感受性に起因して、8時間/日のピューロマイシン処理を5日間実施した。薬物選択4〜6日後に生存するコロニーを採取し、そしてE8培地中で増殖させた。
【0080】
核型分類:核型分類を、WiCell研究機関(WiCell Research Institute)により実施した。
サザンブロット:PCR DIGプローブ合成キット(Roche、カタログ番号11 636 090 910)を使用してプローブを合成した。Rocheから入手したフィルターハイブリダイゼーションに関するDIGアプリケーションマニュアルに従ってサザンブロットを実施した。
【0081】
【表3】
【0082】
ヒト多能性幹細胞の培養および分化:iPS細胞株005B23.1は、皮膚パンチ線維芽細胞に由来し、組換えビトロネクチンコーティングプレート上で維持した。DF19.11は包皮線維芽細胞に由来した。CD−3−1は臍帯血細胞に由来した。PBMCは末梢血液単核球に由来した。H1およびH9ES細胞は、男性胚および女性胚にそれぞれ由来した。
【0083】
ヒト多能性幹細胞では、Matrigelコーティングプレート上、E8培地中で細胞を培養した(005B23.1を除く)。最良の分化結果を実現するために、分化2日前に、ES細胞をEDTAにより1:4の比で分割した。2日後に、細胞は80〜90%の集密度(confluency)に到達した。分化当日、ES細胞をアキュターゼ(Invitrogen)により、37℃で3分間解離させた。細胞をビトロネクチンコーティングプレート(組み換えビトロネクチン、10cmの培養皿1枚当たり50μg)上に1:3の比でプレーティングした(1.1〜1.5×10
5個の細胞/cm
2)。細胞は36時間後に100%コンフルエンスに到達した。細胞生存率を改善するために、10μMのY27632を初日に使用した。E8BAC培地(表3を参照:5ng/mlのBMP4、25ng/mlのアクチビンA、および1μMのCHIR99021が補充されたE8培地)内で細胞を2日間培養した。次いで、増殖因子または小分子が補充されたE6培地(E8培地からFGF2およびTGFβ1を除去)を、内皮細胞分化を誘発するのにさらに3日間使用した。培地を毎日交換した。細胞を5日目に採取した。CD31
+CD34
+細胞を単離するために、細胞をCD34磁気ビーズでラベリングし、そしてautoMACS(Miltenyi Biotec)を通じて処理した。精製した細胞をフィブロネクチンコーティング培養皿(Life technologies、カタログ番号33016−015)(10cmの培養皿1枚当たり100μg)、またはビトロネクチンコーティング培養皿(10cmの培養皿1枚当たり50μg)上で、E7V(E6+100ng/mlのFGF2+50ng/mlのVEGFA)培地を用いて培養した。
【0084】
動脈内皮細胞の分化および増殖:AEC分化に6日を要した。0日目〜2日目に、上記のように、まずヒトES/iPS細胞を中胚葉細胞に分化させた。2日目〜6日目に、E5培地を使用し、増殖因子または小分子を示すように添加した。「5因子」の組合せを用い、100ng/mlのFGF、50ng/mlのVEGF、10μMのSB431542、5μMのRESV、および10μMのL690が補充されたE5培地により、AECを2日目〜6日目に誘発した。
機能的アッセイの一部について、AECをCD144マイクロビーズ(Miltenyi Biotec、カタログ番号130−097−857)により精製した。最適化後(
図9)、FVIR(E5+100ng/mlのFGF、50ng/mlのVEGF、10μMのSB431542、5μMのRESV)、またはFVIR+Ins(FVIR培地+10μg/mlのインスリン)培地中、フィブロネクチンまたはビトロネクチンコーティング培養皿上でAECを維持した。
【0085】
LDL取り込みアッセイ:LDL取り込みアッセイを実施するために、2μg/mlのアセチル化−LDL−FITCを培地に添加し、4時間培養した。画像化する10分前に、2μg/mlのHoechstを培地に添加した。CD144と同時染色するために、抗CD144−647抗体を、画像化する2時間前に培地に添加した。培地を除去し、そして生細胞画像化のためにHBSSを添加した。細胞を固定するとLDL−FITCシグナルが減退するので、生きている状態で細胞を画像化することが重要である。
MATRIGEL(登録商標)カプセル化アッセイ:1.5×10
3個の内皮細胞/μl、および0.75×10
3個の周皮細胞/μl(ScienCell、カタログ番号1200)を、6.5mg/mlのMatrigel中でカプセル化した。10μLのMatrigel/細胞溶液を24ウェルプレートの中央にスポットし、凝固させるために37℃で5分間インキュベートした。次いで、E7V培地を適用した。免疫染色を4日目に実施し、そしてNikon共焦点顕微鏡を使用して構造を画像化した。
【0086】
In vivoでのMATRIGEL(登録商標)プラグ血管形成アッセイ:5×10
5個の内皮細胞を100μlのE7V培地に再懸濁し、200μLのMatrigel、次いで300μLの細胞/Matrigel混合物を、ヌードマウスの頸部に皮下注射した。イノキュレーションから2週間後に、Matrigelを採取し、固定化し、免疫染色した。デキストラン注射では、イノキュレーションから4週間後に、100μgのローダミン結合デキストランを、マウスに後眼窩注射した。デキストラン注射から10分後に、Matrigelプラグを採取し、固定化し、免疫染色した。
【0087】
フィブリンゲルカプセル化アッセイ:1.5×10
3個の内皮細胞/μl、および/または0.75×10
3個の周皮細胞/μlを、フィブリンゲル内でカプセル化した。2.5mg/mlのフィブリノゲン(EMD、カタログ番号341578)、および0.5U/mlのトロンビン(Sigma、カタログ番号T−9326)により、フィブリンゲルを調製した。10μLのフィブリンゲル/細胞溶液を24ウェルプレートの中央にスポットし、そして凝固させるために、37℃で10分間インキュベートした。次いで、E7V培地を適用した。免疫染色を4日目に実施し、共焦点顕微鏡を使用して構造を画像化した。
酸素誘発性網膜症モデル:実験を、UW−Madisonの眼科学およびビジュアルサイエンス(Ophthalmology and Visual Science)のIRBから承認を得て実施した。これまでの記載の通り
21、C57/BL6野生型マウスで酸素誘発性網膜症を誘発した。要するに、出生後7日目に、マウスを75%の酸素に5日間曝露した。出生後12日目に、マウスを室内空気に戻し、5×10
4個の細胞を含有する1μlを硝子体内注射した。リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)をビヒクルとして使用し、対照として注射した。5日後に網膜を採取し、免疫染色を実施した。
【0088】
後肢虚血モデル:UW−Madisonの心血管系生理学コア施設(Cardiovascular Physiology Core Facility)のIRBから承認を得て実験を実施した。これまでの記載の通り
22、後肢虚血モデルを生成した。要するに、10〜12週齢のメス無胸腺ヌードマウス(Crl:NU(NCr)−Foxn1
nu、Charles River Laboratroies、Chicago、Illinois)を使用した。高齢のマウスほど回復が遅くなり、ヒトの四肢虚血とより類似するので、4〜6週齢の代わりに10〜20週齢のマウスを使用した。総腸骨動脈を腹腔内で結紮し、鼠径靭帯に対してすぐ尾部側で大腿動脈を2箇所結紮し、取り出した。手術直後に、マウスを無作為に4群に割り振り、細胞またはDF12培地を注射した。細胞(マウス1匹当たり0.3×10
6個、1×10
6個、または3×10
6個の細胞)を、300μlのDF12培地に懸濁し、虚血脚部の大腿薄筋の6部位に筋肉内注射した。1日当たり7〜8匹のマウスに手術を実施した。
【0089】
一酸化窒素生成アッセイ:内皮細胞をビトロネクチンコーティング24ウェルプレートに播種した(1×10
5個の細胞/ウェル)。AECをFVIR+Ins培地中で培養した。HUVEC(Lonza、カタログ番号CC−2519)をEGM2(Lonza、カタログ番号CC−3202)培地中で培養した。HCAEC(Lonza、カタログ番号CC−2585)をEGM2培地中で1日培養し、次いでFVIR+Ins培地中でもう1日培養した。2日後、すべての培地を1μMのDAF−FMを含有する新鮮なFVIR+Ins培地(Life technologies、カタログ番号D−23844)に交換した。細胞を30分間培養し、次いでフローサイトメトリー分析用に採取した。DAF−FMは、NOと反応して蛍光ベンゾトリアゾールを形成するまで非蛍光性である。一貫した結果を実現するために、DAF−FMを添加した後、同一の細胞密度および同一の培地を使用することが重要である。
【0090】
酸素消費アッセイ法:4×10
4個の細胞/ウェルを、XF24ウェルプレート(Seahorse Bioscience)上に一晩播種した。AECをFVIR培地中で培養し、HCAECおよびHUVECをEGM2培地中で培養した。1日後、培地をMitoアッセイ培地(Seahorse Bioscience)に変更し、酸素消費速度をXF24アナライザーにより、製造業者の説明(Seahorse Bioscience)に従い測定した。オリゴマイシン(0.5μM)をタイムポイント3において注射して、ATP−シンターゼを阻害することにより、酸素消費を無効にした。FCCP(2μM、ミトコンドリア脱カップリング剤)をタイムポイント6において注射して、酸化的リン酸化から電子伝達鎖を脱カップリングさせ、したがって最大呼吸能を測定した。非ミトコンドリア呼吸を測定するために、タイムポイント9において、1μMのアンチマイシンAおよび1μMのロテノンを同時に適用して、チトクロームbc1(複合体III)およびNADHデヒドロゲナーゼ(複合体I)のそれぞれにおいて電子伝達鎖を完全に遮断した。
【0091】
剪断応力応答:ibidiポンプシステム(Red perfusion set、μ−SlideVI0.4)を使用して、剪断応力応答についてアッセイした。μ−Slideのチャンネル毎に、30μlの細胞懸濁物(5×10
5個の細胞/ml、10μMのY27632を含む)を充填した。細胞が付着した後、130μlの新鮮な培地を各チャンネルに添加した。2日後、μ−Slideをibidiポンプシステムにより灌流した。24時間潅流した後、細胞を採取し、免疫染色した。
FVIR+Ins培地は内皮細胞の伸長を促進したので、24時間剪断応力応答実験の前および間に、E7V培地を、「5因子」AECを培養するのに使用した。
【0092】
白血球接着アッセイ:すべての内皮細胞をフィブロネクチンコーティング24ウェルプレート上で培養した。AECをFVIR培地中で培養した;HUVECおよびHCAECをEGM−2培地(Lonza)中で培養した。細胞が100%コンフルエンスに到達したら、10ng/mlのTNFαを含めて、または含めないで細胞を4時間処理した。次いで、1×10
6個のU937細胞を0.5mlの新鮮なRMPI1640+10%のFBSに懸濁し、各ウェルに添加した。20〜60分後、冷却培地(RMPI1640+10%のFBS)を使用して、非付着性の細胞を緩やかに洗い流した。洗浄をさらに2回繰り返した。細胞を速やかに画像化した。
【0093】
抗体試薬:抗マウスCD41−FITC(Biolegend、カタログ番号133904)、抗マウスCD45−FITC(STEMCELL technologies、カタログ番号10710)、抗マウスCD144−PE(BD、カタログ番号562243)、抗マウスCD31−APC(BD、カタログ番号551262)、抗ヒトCD31−FITC(BD、カタログ番号555445)、抗ヒトCD31−V421(BD、カタログ番号564089)、抗ヒトCD31−PE(BD、カタログ番号555446)、抗ヒトCD34−647(BD、カタログ番号555824)、抗ヒトCD144−647(BD、カタログ番号561567)、抗ヒトDLL4−APC(Miltenyi、カタログ番号130−096−560)、抗ヒトCXCR4−APC(BD、カタログ番号560936)、抗CD34マイクロビーズ(Miltenyi、130−046−703)、抗CD144マイクロビーズ(Miltenyi、130−097−857)、抗pAKT(ser473)(Cell signaling、カタログ番号4060)、抗AKT(Cell signaling、カタログ番号4691)、抗GAPDH(EMD Millipore、カタログ番号MAB374)。
【0094】
参考資料
【0095】
本発明は、最も実用的で好ましい実施形態であると現在考えられることと関連付けて記載してきた。しかし、本発明は例示目的で提示されており、開示される実施形態に限定するようには意図されない。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲内のすべての修正および代替形態を包含するように意図されているものと、当業者は認識する。
【0096】
【表4】
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕動脈内皮細胞を得る方法であって、
インスリンを実質的に含まず、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ならびにNotch作動薬、TGF−ベータ阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤のうちの少なくとも1つを含む、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地中で、中胚葉細胞を培養することにより、動脈内皮細胞を含む細胞集団を得るステップ
を含み、
該集団の動脈内皮細胞が、エフリンB2(EFNB2)、ニューロピリン1(NRP−1)、デルタ様4(DLL4)、CD44、CXCR4/CD184、Gap結合タンパク質α−4(GJA4)、Hey1、ジャギド−1(JAG1)、Notch1、およびNotch4からなる群から選択される1つまたは複数のマーカーを発現する、方法。
〔2〕細胞集団が、少なくとも80%の動脈内皮細胞を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地が、FGF、VEGF、Notch作動薬、TGF−ベータ阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕中胚葉細胞が、Brachyury(T)、EMOS、FOXA2、MIXL1、MSX1、およびMSX2からなる群から選択される1つまたは複数の中胚葉マーカーを発現する、前記〔1〕に記載の方法。
〔5〕骨形成タンパク質(BMP)、アクチビンA、およびWnt/β−カテニンシグナル伝達の活性化因子を含む、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された細胞培養培地中で、ヒト多能性幹細胞を約2日の期間わたり培養して、中胚葉細胞を含む細胞集団を得ることによって、中胚葉細胞が得られる、前記〔1〕に記載の方法。
〔6〕中胚葉細胞が、Brachyury(T)、EMOS、FOXA2、MIXL1、MSX1、およびMSX2からなる群から選択される1つまたは複数の中胚葉マーカーを発現する、前記〔5〕に記載の方法。
〔7〕多能性幹細胞が、ヒト胚性幹細胞またはヒト誘導多能性幹細胞である、前記〔5〕に記載の方法。
〔8〕Wnt/β−カテニンシグナル伝達の活性化因子が、Gsk3阻害剤である、前記〔5〕に記載の方法。
〔9〕Gsk3阻害剤が、CHIR99021、CHIR98014、BIO−アセトキシム、BIO、LiCl、SB216763、SB415286、ARA014418、1−アザケンパウロン、およびビス−7−インドリルマレイミドからなる群から選択される、前記〔8〕に記載の方法。
〔10〕Notch作動薬が、レスベラトロール(3,4’,5−トリヒドロキシスチルベン)、バルプロ酸、およびスベロイルビスヒドロキサム酸からなる群から選択される、前記〔5〕に記載の方法。
〔11〕TGF−ベータ阻害剤が、SB431542である、前記〔5〕に記載の方法。
〔12〕イノシトールモノホスファターゼの阻害剤が、L−690,330である、前記〔5〕に記載の方法。
〔13〕前記〔1〕に記載の方法に従って得られた、実質的に純粋な、動脈内皮細胞の単離された集団。
〔14〕少なくとも90%の動脈内皮細胞を含む、前記〔13〕に記載の単離された集団。
〔15〕少なくとも99%の動脈内皮細胞を含む、前記〔13〕に記載の単離された集団。
〔16〕前記〔5〕の方法に従って得られた、実質的に純粋な、多能性幹細胞に由来する動脈内皮細胞の単離された集団。
〔17〕少なくとも90%の動脈内皮細胞を含む、前記〔16〕に記載の単離された集団。
〔18〕少なくとも99%の動脈内皮細胞を含む、前記〔16〕に記載の単離された集団。
〔19〕薬剤をin vitroでスクリーニングする方法であって、
(a)試験薬剤を、前記〔1〕に記載の方法に従って得られた動脈内皮細胞と接触させるステップと、
(b)接触させた動脈内皮細胞への白血球の接着に対する該薬剤の効果を検出するステップと
を含む方法。
〔20〕検出するステップが、白血球接着アッセイ、RNA配列決定、遺伝子発現プロファイリング、トランスクリプトーム解析、メタボローム解析、レポーターまたはセンサーの検出、タンパク質発現プロファイリング、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)、メタボリックプロファイリング、およびマイクロダイアリシスからなる群から選択される方法を実施するステップを含む、前記〔19〕に記載の方法。
〔21〕工学的に作出された組織構築物を血管化させる方法であって、前記〔1〕に記載の方法に従って得られた動脈内皮細胞を、工学的に作出された組織構築物と接触させるステップを含む方法。
〔22〕工学的に作出された組織構築物が、血管平滑筋細胞を含む、前記〔21〕に記載の方法。
〔23〕動脈内皮細胞を得るためのキットであって、(i)中胚葉細胞を動脈内皮細胞に分化させるのに適する血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地であって、インスリンを実質的に含まず、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ならびにNotch作動薬、TGF−ベータ阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤のうちの少なくとも1つを含む、培養培地と、(ii)該培養培地を利用する、中胚葉細胞を動脈内皮細胞に分化させる方法を説明する説明書とを含む、キット。
〔24〕(a)ヒト多能性幹細胞を中胚葉細胞に分化させるのに適する、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地であって、BMP、アクチビンA、およびWnt/β−カテニンシグナル伝達の活性化因子を含む、培養培地と、
(b)ヒト多能性幹細胞を動脈内皮細胞に分化させる方法であって、(a)の培養培地を利用する方法について記載する説明書と
をさらに含む、前記〔23〕のキット。