【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年10月17日株式会社大塚商会本社ビルにおいて開催された「3Dデータ活用Solution Fair」で発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、新たな製品を開発する際に、その製品を構成する構成部品等の試作品はその製品の目的とする性能および安全面をクリアできるように物性試験および耐久試験、必要によっては衝突試験等を経なければならない。例えば、自動車の内装部品および外装部品等を樹脂で成形する場合、曲面や傾斜面を有すると共に凹凸状に形成され、さらに、部品の強度も必要となることから、通常、射出成形で形成することが多い。この場合、物性試験、耐久試験または衝突試験等を行なうためには、試作品が、正規の部品と同一の材料で射出成形によって形成されなければならず、そのためには、射出成形用の金型を新たに製作して試作品を作る必要があった。例えば、自動車の内装部品は凹凸状に形成されて複雑な形状であるから、この部品を成形する射出成形用の金型も複雑に形成されることになる。
【0003】
しかし、試作品は、各種の試験に合格した上で量産品として生産できるものであるから、たとえば、1個の試作品を上述のような新たな金型を製作して成形するのでは、金型製作コストに見合うことはできない。しかも納期も長期間かかることになって、実質的には射出成形用金型を製作して試作品を製作することは現実的でなかった。
【0004】
従来では、このような試作品を製作する方法としては、レーザー光を照射することで硬化する液体樹脂を用いた光造型法、または樹脂ブロックを購入して、マシニングセンタまたはNCフライス盤等の切削機械で切削加工を施すことによって行なわれていた(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の光造型法は、液体状の光硬化性樹脂中に造型ベースをセットし、レーザー光を造型ベース上の光硬化性樹脂に照射して一層分の造型を行なう。これを繰り返して積層し1個の製品を形成している。光硬化性樹脂は、レーザー光で照射された部分が硬化されることから、硬化された部分が1個の製品として造型されることとなる。そのため、複雑な形状でも早期に製品を完成することができることとなっていた。
【0007】
しかし、この光造型法では、成形可能な材質が限定されており、正規の部品と同一の材料で製作することができないことから、成形された部品は、組付け試験はできても、物性試験、耐久試験または衝突試験はできない。
【0008】
また、市販の樹脂ブロックで切削加工を行なって試作品を形成する場合も、全て切削加工で行なう。そのため、1個の試作品を形成することは短期間で容易に行なえるものの、一般の樹脂ブロックは、決められた材料で形成されている。従って、メーカーが要求する材料のものと一致するものではないことから、やはり、組付け試験はできても、物性試験および耐久試験または衝突試験はできない。そのため、射出成形用の金型を製作して成形した正規の部品が求めていた性能を発揮できないことがあった。
【0009】
そこで本発明は、金型を製作して成形した正規の部品が求められる性能を発揮することを可能とする樹脂成形品量産用の金型の製造方法、成形方法、樹脂型およびその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の樹脂成形品量産用の金型の製造方法は、樹脂型の三次元CADデータを作成する工程と(P1)、作成した樹脂型の三次元CADデータに基づき、三次元印刷機器を用いて、光硬化性樹脂を樹脂型の形状に成形する工程と(P2)、成形された樹脂型を射出成形機に取り付ける工程と(P3)、射出成形機を用いて、射出成形を行う工程と(P4)、射出成形を行った後に得られる成形物の調査を行う工程と(P5)、調査の結果が満足できるものかどうかの判断(A)を行う工程と、を順に行い、満足ができない場合は、満足する結果が得られるように、調査の結果を反映させて樹脂型の設計をやり直すため、(P1)の工程に戻り、(A)で満足できるまで必要に応じて繰り返し、(A)で満足できるようになったら、直近の前記(P1)で作成した三次元CADデータに基づいて前記量産用の金型を作製する工程(P6)を行う。
また、樹脂成形品量産用の金型の製造に先立って、樹脂型の三次元CADデータに基づき三次元印刷機器を用いて、光硬化後の荷重たわみ温度が45℃以上である光硬化性樹脂を印刷して樹脂型を得て、その樹脂型を用いて樹脂成形品量産用の樹脂原材料を成形し、その成形物の調査を行い、その調査結果を上記樹脂成形品量産用の金型の製造の際に反映させることを特徴とする。
【0011】
ここで、樹脂型は、成形の際に量産用の樹脂原材料を外部から肉眼で観察できる程度の透光性を有するものであり、調査は、量産用の樹脂原材料が樹脂型の内部を流動する様子の調査を有することとしてもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の成形方法は、三次元CADデータに基づき三次元印刷機器を用いて、光硬化後の荷重たわみ温度が45℃以上である光硬化性樹脂を樹脂型の形状に印刷して樹脂型を得て、樹脂型を用いて、後に製作する金型で成形するための量産用の樹脂原材料を、所定の形状に成形する。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の、後に製作する金型で成形するための量産用の樹脂原材料を、成形するために用いる樹脂型の製造方法は、三次元CADデータに基づき三次元印刷機器を用いて、光硬化後の荷重たわみ温度が45℃以上である光硬化性樹脂を樹脂型の形状に印刷する。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の、後に製作する金型で成形するための量産用の樹脂原材料を、成形するために用いる樹脂型は、三次元CADデータに基づき三次元印刷機器を用いて、光硬化後の荷重たわみ温度が45℃以上である光硬化性樹脂を印刷して得られる。
【0015】
ここで、樹脂型は、成形の際に量産用の樹脂原材料を外部から肉眼で観察できる程度の透光性を有するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、金型を製作して成形した正規の部品が求められる性能を発揮することを可能とする樹脂成形品量産用の金型の製造方法、成形方法、樹脂型の製造方法および樹脂型を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る成形方法、樹脂型の製造方法、樹脂型および樹脂成形品量産用の金型の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る樹脂型の製造方法および樹脂成形品量産用の金型の製造方法を示すフロー図である。
【0019】
まず、樹脂型の三次元CAD(Computer Aided Design)データを作成する(P1)。この樹脂型は、後述する量産用の金型で成形する正規の部品形状を想定して設計されるものである。
【0020】
次に、P1で作成した樹脂型の三次元CADデータに基づき、三次元印刷機器(いわゆる三次元プリンター、3Dプリンター、または三次元造形機等と言われるもの)を用いて、光硬化性樹脂(品名:Objet Polymerized ABS-like RGD5160-DM)を樹脂型の形状に成形する(P2)。この光硬化性樹脂は、紫外線照射によって硬化するものであり、光硬化後の荷重たわみ温度(JIS K 7191−2:2007Bの方法に基き、 試験片に加える曲げ応力を0.45MPaとする)が82〜95℃である。この樹脂型は、開閉式の樹脂型であるため、上型と下型とで構成される。以上が、本発明の実施の形態に係る樹脂型の製造方法である。そして、P1およびP2を経て得られる樹脂型が、本発明の実施の形態に係る樹脂型である。
【0021】
次に、成形された樹脂型を射出成形機に取り付ける(P3)。この射出成形機は、本来カセット式の金型が取り付けられるものである。その金型の成形に関与するカセット部分を支持する支持部は金属製である。そして、本発明の実施の形態に係る樹脂型は、そのカセット部分の代わりに取り付けられ、金属製の支持部によって支持される。
【0022】
次に、その射出成形機を用いて、量産用の樹脂原材料を用いて射出成形を行う(P4)。量産用の樹脂原材料は熱可塑性樹脂で、たとえばABS樹脂である。この量産用の樹脂原材料は、190℃〜220℃に熱せられ溶融した状態で樹脂型内に注入される。この注入方法は、量産用の金型で正規の部品を成形する際の注入方法と同一である。この溶融した樹脂原材料は、樹脂型を構成する上型と下型が閉じた状態で5分間樹脂型内にて冷却・固化され、成形物となる。その後上型と下型が開く。そして、上述の支持部が備えるいわゆる突き出しピン(エジェクターピン)の動作によって、成形物が樹脂型から剥離させられる。なお、連続して成形を行う場合には、1度成形した後に上型と下型を開き、エアーで冷却する状態を60秒維持した後に次の成形を行うようにする。以上が、本発明の実施の形態に係る成形方法である。
【0023】
次に、成形物の調査を行う(P5)。この調査は、組付け試験、物性試験、耐久試験、衝突試験等の、正規の部品が求められる性能を発揮できるかどうかを評価する全ての試験を行うものである。
【0024】
次に、この調査結果がOK、すなわち満足できるものかどうかの判断を行う(A)。満足できない(NO)場合は、満足する結果が得られるように調査結果を反映させて樹脂型の設計をやり直すため、P1の過程に戻る。そしてP1からP5の過程および判断Aを、判断Aで満足できる(YES)、となるまで必要に応じて繰り返す。
【0025】
判断Aで満足できる(YES)ようになったら、直近のP1で作成した三次元CADデータに基づいて量産用の金型を作製する(P6)。以上が、本発明の実施の形態に係る樹脂成形品量産用の金型の製造方法である。その後は、この金型を用いて、正規の部品を量産する(P7)。
(本発明の実施の形態によって得られる主な効果)
【0026】
以上のように本発明の実施の形態に係る樹脂成形品量産用の金型の製造方法、成形方法、樹脂型の製造方法および樹脂型は、量産用の樹脂原材料を用いて射出成形を行う(P4)過程を経て成形物の調査をすることを可能としている。そのため、その調査結果を反映させた量産用の金型を製作でき、正規の部品が求められる性能を発揮できる。
【0027】
この樹脂型は、三次元印刷機器を用いると約1時間で製造可能である。また、その製造コストが量産用の金型に比べて極めて小さい。そのため、量産用の金型の設計の初期段階から最終段階までの期間を短縮し、コストを低減することができる。
【0028】
また、本発明の実施の形態に係る樹脂型を用いれば、量産用の金型を用いて射出成形した正規の部品と同じ樹脂組成および形状の成形物を概ね100個作製することができる。そのため、量産の際の調査結果のばらつきを把握するに十分な個数の成形物を得ることができる。
【0029】
また、硬化後の光硬化性樹脂の荷重たわみ温度が82〜95℃であるのに対し、量産用の樹脂原材料は、190℃〜220℃に熱せられ溶融した状態で樹脂型内に注入される。そのため、樹脂型は、そのような温度環境に耐えられないのではないかという懸念があるかもしれない。しかしながら、溶融した樹脂原材料は、大気または樹脂型に接する部分がすぐに温度が低下し、その内部のみが高温部となる。そのため樹脂型は、熱による変形および劣化がされ難く、多数回の成形を行うことができる。
【0030】
また、樹脂型には紫外線の照射で硬化する光硬化性樹脂を用い、量産用の樹脂原材料には熱可塑性樹脂であるABS樹脂を用いている。これらの樹脂は、組成、特性および分子構造等が異なるため、両者が成形の際にくっつき合うことが殆ど無く、離型性に優れている。
(他の形態)
【0031】
上述した本発明の実施の形態に係る樹脂成形品量産用の金型の製造方法、成形方法、樹脂型の製造方法および樹脂型は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
【0032】
たとえば、本発明の実施の形態に係る成形方法、樹脂型およびその製造方法は、前提として後に金型を製作することにしているが、量産する正規の部品が比較的少ない数だけの生産しか予定していない等の事情があれば、樹脂型のみで正規の部品を生産しても良い。
【0033】
また、光硬化性樹脂は、紫外線の照射で硬化するものを用いているが、レーザー光または可視光等の他の光で硬化するものを用いることができる。また、光硬化性樹脂には、硬化後の光硬化性樹脂の荷重たわみ温度が82〜95℃のものを用いている。しかし、この荷重たわみ温度は、45℃以上であれば、本発明の実施の形態に係る好適な樹脂型を製造することができる。また、この荷重たわみ温度は、65℃以上であれば、本発明の実施の形態に係る、より好適な樹脂型を製造することができる。この荷重たわみ温度は、光硬化性樹脂の入手のしやすさまたはコストの観点からは、45〜90℃が好ましい。また、樹脂型の耐熱性の観点からは、荷重たわみ温度は80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。
【0034】
また、光硬化性樹脂の印刷方式については、種々の方式、たとえばプロジェクション方式、インクジェット方式、インクジェット粉末積層方式等の中から選択できる。プロジェクション方式は、印刷コストの低減に有利である。インクジェット方式、インクジェット粉末積層方式は、印刷速度が速い。また、インクジェット方式は、高い精度の印刷に適しており、樹脂型のような複雑な形状の印刷に特に有利である。
【0035】
また樹脂型は、成形の際に量産用の樹脂原材料を外部から肉眼で観察できる程度の透光性を有するものであっても良い。このような透光性を有する樹脂として好適なのは、アクリル系樹脂等である。このような透光性の樹脂型を用いることで、量産用の樹脂原材料が溶融して樹脂型の内部を流動していく様子を人間の肉眼で観察することができる。すると、たとえば樹脂成形時に形成されるウェルドラインの位置と生成過程等を容易に特定することができる。そして、
図1に示す成形物の調査(P5)を行う際に、そのウェルドラインの位置と生成過程が適正であったか、をも調査項目として加え、判断Aで満足できない(NO)場合は、満足する結果が得られるように調査結果を反映させて樹脂型の設計をやり直し、さらに樹脂成形品量産用の金型の製造の際にその調査結果を反映させることができる。このウェルドラインの形成位置および生成過程については、従来から様々なシミュレーション等の高度な技術を用いて解析されてきたが、本発明に係る樹脂型は、肉眼での確認という手法を実現する点で、極めて画期的な発明といえる。
【0036】
また、このような透光性の樹脂型を用いて、量産用の樹脂原材料が溶融して樹脂型の内部を流動していく様子を人間の肉眼で観察することができると、溶融樹脂が冷却される際の収縮(ヒケ)の位置と生成過程等を容易に特定することができる。そして、
図1に示す成形物の調査(P5)を行う際に、そのヒケの位置と程度(量)が適正であったか、をも調査項目として加え、判断Aで満足できない(NO)場合は、満足する結果が得られるように調査結果を反映させて樹脂型の設計をやり直し、さらに樹脂成形品量産用の金型の製造の際にその調査結果を反映させることができる。
【0037】
また、このような透光性の樹脂型を用いて、量産用の樹脂原材料が溶融して樹脂型の内部を流動していく様子を人間の肉眼で観察することができると、溶融樹脂が樹脂型の内部全域に行き渡らない不良(充填不良)の有無とその不良の生成過程等を容易に特定することができる。そして、
図1に示す成形物の調査(P5)を行う際に、その充填不良の有無を調査項目として加え、判断Aで満足できない(NO)場合は、満足する結果(充填不良が殆ど無い)が得られるように調査結果を反映させ、また充填不良の生成過程を参考にして樹脂型の設計をやり直すことができる。さらに、樹脂成形品量産用の金型の製造の際に、その調査結果を反映させ、また充填不良の生成過程を参考にすることができる。
【0038】
また、このような透光性の樹脂型を用いて、量産用の樹脂原材料が溶融して樹脂型の内部を流動していく様子を人間の肉眼で観察することができると、溶融樹脂の過熱による変色(焼け)の有無と生成過程等を容易に特定することができる。そして、
図1に示す成形物の調査(P5)を行う際に、その焼けの有無をも調査項目として加え、判断Aで満足できない(NO)場合は、満足する結果(焼けが殆ど無い)が得られるように調査結果を反映させ、また焼けの生成過程を参考にして、ガス抜けを良好にする等、樹脂型の設計をやり直すことができる。さらに、樹脂成形品量産用の金型の製造の際に、その調査結果を反映させ、また焼けの生成過程を参考にすることができる。
【0039】
また、このような透光性の樹脂型を用いて、量産用の樹脂原材料が溶融して樹脂型の内部を流動していく様子を人間の肉眼で観察することができると、学校および/または職場での樹脂成形の教育に非常に役立つ。すなわち、溶融する樹脂の流動具合の可視化によって、樹脂成形技術の理解を容易にすることができる。
【0040】
また、量産用の樹脂原材料は熱可塑性樹脂とし、ABS樹脂を用いた。しかし、量産用の樹脂原材料はポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いても良い。
【0041】
また、量産用の樹脂原材料は、190℃〜220℃に熱せられ溶融した状態で樹脂型内に注入されている。しかし、この注入温度は、量産用の樹脂原材料の成形に適した値に設定することができる。たとえば、量産用の樹脂原材料がABS樹脂である場合では、180℃〜260℃に熱せられ溶融した状態で本発明の実施の形態に係る樹脂型内に注入することができる。また、量産用の樹脂原材料がナイロンの場合等は、85℃〜350℃に熱せられ溶融した状態で本発明の実施の形態に係る樹脂型内に注入することができる。
【0042】
また、樹脂型内に注入された樹脂原材料は、上型と下型が閉じた状態で5分間樹脂型内にて冷却・固化される。この樹脂型内での冷却・固化の時間は適宜変更できる。ただし、樹脂型が過度に長時間高温に晒されないようにすることで樹脂型を長持ちさせる意味で、樹脂型内での冷却・固化の時間は10分以下とすることが好ましい。また、成形の安定性を考慮すれば、樹脂型内での冷却・固化の時間は30秒以上とすることが好ましい。この樹脂型内での冷却・固化の時間は、成形物の形状などによって必要とされる時間が変動する。
【0043】
また、樹脂型で量産用の樹脂原材料を用いて連続して成形を行う場合には、1度成形した後に上型と下型を開き、エアーで冷却する状態を60秒維持した後に次の成形を行うようにする。この時間は適宜変更できる。ただし、樹脂型を適度に冷却させ樹脂型を長持ちさせる意味で、樹脂型内での冷却・固化の時間は40秒以上とすることが好ましい。この時間設定は、金型の場合は概ね20秒〜30秒である。
【0044】
また、本発明の実施の形態では、上型と下型を開き、エアーで冷却することとしているが、エアーでの冷却は必ずしも必要ではない。また、冷却するには、上型と下型の一方または両方に、いわゆる水管を形成し、水などの液体を水管で循環させるようにしても良い。金型の場合は、形状の複雑な成形部分に沿うように水管を配置することが困難だった。しかし、三次元印刷機器では、そのように複雑な成形部分の形状に沿うように水管を形成することが非常に容易であるため、その点有利である。たとえば、三次元印刷機器で印刷する樹脂型は、水管から1cm以内の距離に、樹脂型のうち樹脂原材料が接する面積の50%以上が位置するように設計することも可能である。
【0045】
また、
図1における判断Aで満足できる(YES)ようになったら、最新の三次元CADデータに基づいて量産用の金型を作製する(P6)ようにしている。この最新の三次元CADデータに「基づいて」の意味は、最新の三次元CADデータと同一のものを用いること、および最新の三次元CADデータに修正を加えることの両者を含む。たとえば、上述の樹脂型における水管の配置データを、金型における水管の配置データから削除し、別の水管の配置データを用いる、等をすることができる。
【0046】
また、本発明の実施の形態に係る樹脂型は、光硬化性樹脂のみからなる。しかし、金型の熱特性等の特性に近づける等の理由から、金属板、金属片、金属粉末等の金属材料、および/またはセラミック板、セラミック片、セラミック粉末等のセラミック材料等を樹脂に適宜加えた樹脂型としても良い。三次元印刷機器を用いれば、このような樹脂を含んだ複合材料型(樹脂型)の印刷形成は容易である。たとえば、金属板の表面に薄く量産用の樹脂原材料の成形に必要な形状となるように光硬化性樹脂を印刷すれば、光硬化性樹脂の節約および印刷時間の短縮を図ることができる。このような金属またはセラミックと樹脂の複合材料からなる樹脂型とすることで、樹脂型の放熱特性を金型に近づけることができ、またそのため樹脂型を長持ちさせることにも繋がり、有利である。
【0047】
また、本発明の実施の形態に係る樹脂型は、射出成形のためのものを想定している。しかし、本発明の実施の形態に係る樹脂型は、ブロー成形、押出成形、注型成形、真空成形、粉末成形、発泡成形等の他の成形のためのものに用いることもできる。