特許第6692030号(P6692030)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6692030
(24)【登録日】2020年4月16日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】棚板
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20200427BHJP
【FI】
   A47F5/00 G
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-127040(P2015-127040)
(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-6492(P2017-6492A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514280927
【氏名又は名称】株式会社エスピーネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 威裕
(72)【発明者】
【氏名】田邉 雅規
【審査官】 山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−029186(JP,A)
【文献】 特開2001−224471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/00−5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚板の前方及び後方に配置される前被係合板部及び後被係合板部と、商品の載置部を仕 切る仕切板を備え、
前被係合板部及び後被係合板部は、前後方向に一直線状に長い長係合孔と、長係合孔よりも前後方向の寸法が短く、一直線状に長い短係合孔とを、その前後方向中心位置が一直線状となるように、左右方向に交互に並べてあるとともに、前被係合板部及び後被係合板部の長係合孔同士及び短係合孔同士が前後方向に一直線になるように並べて備えており、
仕切板は、その前後端部に、前被係合板部及び後被係合板部の短係合孔の一方に係合したときに他方の短係合孔に係合可能であると共に、前被係合板部及び後被係合板部の長係合孔の一方に係合したときに他方の長係合孔にも係合可能な係合部を備えることを特徴とする棚板。
【請求項2】
棚板の前方及び後方に配置される前被係合板部及び後被係合板部と、商品の載置部を仕 切る仕切板を備え、
前被係合板部及び後被係合板部は、前後方向に長い長係合孔と、長係合孔よりも前後方向の寸法が短い短係合孔とを、左右方向に交互に並べてあるとともに、前被係合板部及び後被係合板部の長係合孔同士及び短係合孔同士が前後方向に一直線状になるように並べて備えてあり、
仕切板は、その前後端部に、前被係合板部及び後被係合板部の短係合孔の一方に係合したときに他方の短係合孔に係合可能であると共に、前被係合板部及び後被係合板部の長係合孔の一方に係合したときに他方の長係合孔にも係合可能な係合部を有し、係合部を長係合孔に係合したときには、仕切板が前後方向に移動自在であり、係合部を短係合孔に係合したときには、仕切板が前後方向に移動不能であることを特徴とする棚板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶飲料等を陳列するショウケースに使用する棚板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストア等の店舗において、例えば缶飲料等の商品を陳列するショウケースとして、販売する商品をショウケースの後方より陳列し、購入者がショウケースの手前より取り出すタイプの陳列棚が利用されているが、そのようなショウケースに使用される棚板には、様々な大きさ(太さ)の商品が陳列される。そのような商品の大きさの違いに対応するために、商品を仕切る仕切りの位置を変更できるタイプの棚板が知られていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第300385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記先行技術文献においては、棚を幅方向に仕切る仕切板の両端に係合部を設け、仕切板の係合部を棚の手前と奥に設けられた係合孔に挿入することによって仕切板の位置決めを行っていた。
しかしながら、そのような陳列棚においては、仕切板の位置調節のために係合孔が多数必要となるが、同じ形状の係合孔が多数並んでいることから、前後方向に離れて配置される多数の係合孔に対して、適切な前後の係合孔を選んで仕切板を係合することが難しく、前後で掛け違いが生じることがあった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、商品を前から取り出すことができるショウケースの棚板において、仕切板の左右位置調節を可能としながら、前後の係合部に対して掛け違いなく仕切板を係合固定することができる棚板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、棚板の前方及び後方に配置される前被係合板部及び後被係合板部と、商品の載置部を仕 切る仕切板を備え、前被係合板部及び後被係合板部は、前後方向に一直線状に長い長係合孔と、長係合孔よりも前後方向の寸法が短く、一直線状に長い短係合孔とを、その前後方向中心位置が一直線状となるように、左右方向に交互に並べてあるとともに、前被係合板部及び後被係合板部の長係合孔同士及び短係合孔同士が前後方向に一直線になるように並べて備えており、仕切板は、その前後端部に、前被係合板部及び後被係合板部の短係合孔の一方に係合したときに他方の短係合孔に係合可能であると共に、前被係合板部及び後被係合板部の長係合孔の一方に係合したときに他方の長係合孔にも係合可能な係合部を備えることを特徴とする。
また、本発明の他の実施形態は 棚板の前方及び後方に配置される前被係合板部及び後被係合板部と、商品の載置部を仕 切る仕切板を備え、前被係合板部及び後被係合板部は、前後方向に長い長係合孔と、長係合孔よりも前後方向の寸法が短い短係合孔とを、左右方向に交互に並べてあるとともに、前被係合板部及び後被係合板部の長係合孔同士及び短係合孔同士が前後方向に一直線状になるように並べて備えてあり、仕切板は、その前後端部に、前被係合板部及び後被係合板部の短係合孔の一方に係合したときに他方の短係合孔に係合可能であると共に、前被係合板部及び後被係合板部の長係合孔の一方に係合したときに他方の長係合孔にも係合可能な係合部を有し、係合部を長係合孔に係合したときには、仕切板が前後方向に移動自在であり、係合部を短係合孔に係合したときには、仕切板が前後方向に移動不能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
仕切板の左右位置調節を可能としながら、前後の係合部に対して掛け違いなく仕切板を係合固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る棚板を使用するショウケースの外観図である。
図2】本発明の実施形態に係る棚板の斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る棚板の(後)被係合板部を説明するための図であり、(a)は斜視図、(b)はその一部平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る棚板の(後)被係合板部に対して仕切板の係合部の係合状態を説明するための図であり、(a)は係合孔が短い長孔である場合を示し、(b)は係合孔が比較的長い長孔である場合を示した図である。
図5】本発明の実施形態に係る棚板の前、後被係合板部に対して、仕切板の係合部を係合する状態を説明するための図であり、前、後被係合板部の一部平面図、及び断面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る棚板の(後)被係合板部の表面の一部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の棚板について、図面を参考にして説明する。
なお、本実施形態の説明においては、ショウケースの商品を取り出す方を「(手)前」、反対を「後」といい、ショウケースに向かって右側を「右」という。
(全体の構成)
図1に示すように、本発明の実施形態に係る棚板を備えるショウケースAは、フレーム1と、フレーム1内に上下方向に複数配置された棚板2、2・・とからなり、棚板2は、フレーム1に対して、後方を高く、手前に行くに従って徐々に低くなるように配置されている。
棚板2の上面には、左右方向に複数の仕切板3が配置されており、仕切板3により仕切られた各領域に同一種類の缶飲料等の商品が前後方向に陳列され、手前の商品を取り出すことにより、重力により後方の商品が自然と手前に移動するように構成されている。
【0010】
(棚板の構成)
図2に示すように、棚板2は、上面に商品を載置して陳列する載置部21と、載置部21の左右両側端に固定される側板22,22と、載置部21の前方に取り外し自在に配置される前被係合板部23と、載置部21の後方に取り外し自在に配置される後被係合板部24とにより構成されている。
【0011】
載置部21は、前後方向に複数のローラ211aを有するローラ載置板211が棚板2の基板(図示しない)の上面を覆うように複数配置されて構成されており、載置部21に載置された商品を上面のローラ211aによって前方へ案内し、前被係合板部23上に至るように構成されている。
棚板2の基板の上面で、ローラ載置板211よりも前方位置には、前被係合板部23が取り外し自在に配置されており、ローラ載置板211よりも後方位置には、後被係合板部24が取り外し自在に配置されている。前被係合板部23及び後被係合板部24は、ともに上面に被係合部が形成されており、後述する仕切板3の前後の係合部32,32を、前被係合板部23及び後被係合板部24の左右位置が揃った被係合部同士に係合することにより、前後方向にまっすぐな陳列領域を形成することができる。
【0012】
仕切板3は、棚板2の上面を左右方向に仕切る仕切部31と、仕切部31の前後端付近の下方に形成された係合部32,32とからなり、前後の係合部32,32は同一の形状に形成されることで、前後どちらの方向にでも使用可能となっている。
【0013】
そして、商品が陳列された状態においては、ショウケースAの前方もしくは後方から、缶飲料等の商品の間に仕切板3を差し込んで、前後の係合部32,32を前被係合板部23及び後被係合板部24の被係合部に係合させることで、棚板2対して、商品の大きさに応じて仕切板3の左右取付位置を変更して取り付けている。
【0014】
(被係合部の構成)
上記のように、缶飲料等の商品を陳列するショウケースにおいては、仕切板3の前後の係合部32,32を、棚板2の載置部21の前方に配置された前被係合板部23及び後方に配置された後被係合板部24の被係合部に係合することによって棚板2に固定しているが、本発明の実施形態に係る棚板においては、仕切板3を固定するための前被係合板部23及び後被係合板部24の被係合部を、それぞれ長短2種類の係合孔を左右方向に交互に配置することにより形成している。
以下、本発明の実施形態に係る棚板に採用されている前被係合板部23及び後被係合板部24に構成について、図3乃至5を参考にして詳細に説明する。
なお、前被係合板部23と後被係合板部24とは、概ね同一の構成をなしているので、以下においては、主に後被係合板部24を用いて説明する。
【0015】
本発明の実施形態に係る棚板に採用されている後被係合板部24は、図3(a)に示すように、所定高さ寸法を有する平面視略矩形の基板241に対して、左右方向に等間隔で複数個の係合孔242a,242bが並ぶ係合孔列242により形成されている。
なお、各係合孔242a,242bは、基板241を貫通するように形成されていても、貫通しないように凹部として形成されていてもよい。
【0016】
図3(a)、(b)に示すように、係合孔列242を構成する係合孔は、前後方向に長い長係合孔242aと、長係合孔242aと比較して短い短係合孔242bとから構成されており、長係合孔242aと短係合孔242bはその前後方向の中心位置が略中心線s上に並ぶように左右方向に交互に配置されている。
そして、前被係合板部23における長係合孔232a及び短係合孔232bの配置位置と後被係合板部24の長係合孔242a及び短係合孔242bの配置位置とを、それぞれ左右方向で一致させているとともに、前被係合板部23の短係合孔232bと後被係合板部24の短係合孔242bの前後方向の離間距離は、仕切板3の前後の係合部32,32の離間距離と略一致している。
【0017】
一方、仕切板3の前後端付近の下方に形成された前後の係合部32,32は、その前後方向に所定長さtを有する板状に形成されており、仕切板3の係合部32の前後方向長さtは、前、後被係合板部23,24の短係合孔232b,242bの前後方向長さと略同じく、もしくはやや小さく設定されている。
したがって、図4(a)に示すように、仕切板3の係合部32が(後)被係合板部24の短係合孔242bに係合された場合には、係合部32は短係合孔242bの前後方向に移動することなく、図4(b)に示すように、仕切板3の係合部32が(後)被係合板部24の長係合孔242aに係合された場合には、係合部32は長係合孔242aに対して前後方向に移動させることができる。
【0018】
このように形成された前後の被係合板部23,24に対して、仕切板3を取り付ける際には、商品が陳列された状態において、例えば、ショウケースAの前方より缶飲料等の商品の間に仕切板3を差し込んで、仕切板3の後方の係合部32を後被係合板部24の何れかの係合孔に係合させた状態で仕切板3を前後方向に動かせば、仕切板3が前後方向に移動できるか否かによって後被係合板部24の長係合孔242aと短係合孔242bのいずれに係合されたのかが目視することなくわかるので、それに合わせて仕切板3の前方の係合部32を前被係合板部23のいずれかの係合孔に係合させればよく、掛け違いすることなく左右取付位置を最適な状態に取付することができる。
【0019】
図6は、本発明の他の実施形態の棚板の後被係合板部を示し、他の実施形態の後被係合板部においては、基板241の上面に、前後方向に延びるリブrが形成されており、棚板2の前、後被係合板部23、24の上面に載置された缶飲料等の商品の底面との接触面積を減少させて、商品が前方に滑って移動しやすくしている。
【0020】
以上のように、本発明の実施形態に係る棚板においては、仕切板の係合部が係合する被係合部を、長係合孔と短係合孔とを左右方向に交互に配置することによって形成したので、仕切板の係合部が被係合部に係合する状態が目視により確認できない場合であっても、
仕切板が係合している係合孔を適切に判断することができ、隣接する被係合部に対して前後で掛け違いすることなく仕切板を取り付けることができる。
また、前後の被係合板部の長係合孔によって仕切板3を取り付けた後でも、仕切板は前後に移動させることができるので、仕切板の前後位置は適宜調節することができ、短係合孔により取り付けられている仕切板3の前後位置と合わせることで、棚板の全ての仕切板を揃えて取り付けることができ、体裁がよい。
【0021】
なお、本実施形態においては、前後の被係合板部の長係合孔同士、短係合孔同士の左右方向位置を合わせ、対向させて配置させているが、前後の被係合版部において、長係合孔と短係合孔とを前後方向で対向させて配置してもよく、それによって、仕切板の掛け違いを防止することができると共に、仕切板の前後方向位置を常に合わせて取り付けることができる。
また、本実施形態においては、仕切板の係合部の前後方向長さを短係合孔の前後方向の長さと略同じく、もしくはやや小さく設定しているが、短係合孔の前後方向の長さは必ずしも係合部の前後方向の長さと同じでなくてもよく、長係合孔と短係合孔とで仕切板の前後方向の動き幅に差異が生じれば、短係合孔の前後方向長さが仕切板の係合部の前後方向長さよりも長くてもよい。
さらに、本実施形態においては、長係合孔242aと短係合孔242bはその前後方向の中心位置が略中心線s上に並ぶように左右方向に交互に配置されているが、両者の中心位置は、必ずしも一致させる必要はない。
【符号の説明】
【0022】
1 :フレーム
2 :棚板
21 :載置部
211 :ローラ載置板
211a :ローラ
22 :側板
23 :前被係合板部
232a :長係合孔
232b :短係合孔
24 :後被係合板部
241 :基板
242 :係合孔列
242a :長係合孔
242b :短係合孔
3 :仕切板
31 :仕切部
32 :係合部

図1
図2
図3
図4
図5
図6