【文献】
PEDERSEN, CHRISTIAN et al.,Enhanced 2D-image upconversion using solid state lasers,OPTICS EXPRESS,2009年10月30日,Vol. 17, No. 23,pp. 20885-20890,URL,https://doi.org/10.1364/OE.17.020885
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の方法において、前記アップコンバージョン波長は、約1000nm〜約1100nmであり、前記アップコンバージョン帯域幅は、約0.01nm未満であり、且つ、前記アップコンバージョン平均パワーは、約10W超であることを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法において、前記アップコンバージョン波長は、約1500nm〜約1600nmであり、前記アップコンバージョン帯域幅は、約0.01nm未満であり、且つ、前記アップコンバージョン平均パワーは、約5W超であることを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法において、前記テラヘルツ周波数は、約1.6THz未満であり、且つ、前記テラヘルツ平均パワーは、約0.5W超であることを特徴とする方法。
請求項8に記載の方法において、前記1つ又は複数の波長依存性フィルタのうちの少なくとも1つは、前記アップコンバージョン波長と前記アップコンバージョン済み画像波長のうちの1つとの間の公称カットオフ波長を有するショートパス又はロングパスフィルタを有することを特徴とする方法。
請求項8に記載の方法において、前記1つ又は複数の波長依存性フィルタのうちの少なくとも1つは、前記アップコンバージョン波長を含む拒絶帯域幅を有するノッチフィルタを有することを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法において、前記アップコンバージョンビーム及び前記アップコンバージョン済み画像ビームは、相互の関係において実質的に直交するように偏光されており、且つ、前記画像フィルタリング要素は、前記アップコンバージョンビームを実質的に阻止するように構成された1つ又は複数の偏光器を含むことを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法において、(i)第1合焦要素が、前記テラヘルツ撮像ビームの前記一部分を収集し、且つ、前記非線形光学媒体を通じて伝播するように、前記テラヘルツ画像ビームを導き、(ii)前記対象物及び前記非線形光学媒体は、前記テラヘルツ画像ビームが前記非線形光学媒体において前記対象物のテラヘルツ画像を形成するように、前記第1合焦要素の個々の共役面において位置決めされており、(iii)第2合焦要素が、前記アップコンバージョン済み画像ビームの前記一部分を収集し、且つ、前記画像検出器まで伝播するように、前記アップコンバージョン済み画像ビームを導き、且つ、(iv)前記非線形光学媒体及び前記画像検出器は、前記アップコンバージョン済み画像ビームが前記画像検出器において前記アップコンバージョン済み画像を形成するように、前記第2合焦要素の個々の共役面において位置決めされていることを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法において、前記画像検出器は、撮像検出器アレイを有し、且つ、前記アップコンバージョン済み画像を検出するステップは、前記撮像検出器アレイの複数の対応する検出器要素上において前記アップコンバージョン済み画像ビームの異なる空間的部分を同時に受け取るステップを有することを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法において、テラヘルツ基準ビームを形成するべく、前記テラヘルツ撮像ビームの一部分を分割するステップと、前記非線形光学媒体を通じて共伝播するように、前記テラヘルツ基準ビームと前記テラヘルツ画像ビームとを組み合わせるステップと、前記テラヘルツ画像ビーム及び前記テラヘルツ基準ビームの対応する異なる相対位相を有する複数のアップコンバージョン済みテラヘルツ画像を取得するステップと、を更に有し、それぞれのアップコンバージョン済み画像の位置依存性強度は、前記テラヘルツ画像ビーム及び前記テラヘルツ基準ビームの対応する位置依存性相対位相に少なくとも部分的に依存していることを特徴とする方法。
請求項18に記載の装置において、前記アップコンバージョン波長は、約1500nm〜約1600nmであり、前記アップコンバージョン帯域幅は、約0.01nm未満であり、且つ、前記アップコンバージョン平均パワーは、約5W超であることを特徴とする装置。
請求項18に記載の装置において、前記テラヘルツ周波数は、約1.6Thz未満であり、且つ、前記テラヘルツ平均パワーは、約0.5W超であることを特徴とする装置。
請求項18に記載の装置において、前記テラヘルツビームの供給源は、後進波型発振器、1つ又は複数のテラヘルツ増幅器、又は1つ又は複数の高調波生成器を含むことを特徴とする装置。
請求項25に記載の装置において、前記1つ又は複数の波長依存性フィルタのうちの少なくとも1つは、前記アップコンバージョン波長と前記アップコンバージョン済み画像波長のうちの1つとの間の公称カットオフ波長を有するショートパス又はロングパスフィルタを有することを特徴とする装置。
請求項25に記載の装置において、前記1つ又は複数の波長依存性フィルタのうちの少なくとも1つは、前記アップコンバージョン波長を含む拒絶帯域幅を有するノッチフィルタを有することを特徴とする装置。
請求項18に記載の装置において、前記アップコンバージョンビーム及び前記アップコンバージョン済み画像ビームは、相互の関係において実質的に直交するように偏光されており、且つ、前記画像フィルタリング要素は、前記アップコンバージョンビームを実質的に阻止するように構成された1つ又は複数の偏光器を含むことを特徴とする装置。
請求項18に記載の装置において、前記非線形光学媒体は、前記非線形光学相互作用が、準位相整合されたプロセスとなるように、構成されていることを特徴とする装置。
請求項18に記載の装置において、(i)前記1つ又は複数のテラヘルツ光学コンポーネントは、前記テラヘルツ撮像ビームの前記一部分を収集し、且つ、前記非線形光学媒体を通じて伝播するように、前記テラヘルツ画像ビームを導くように構成された第1合焦要素を含み、(ii)前記対象物及び前記非線形光学媒体は、前記テラヘルツ画像ビームが前記非線形光学媒体において前記対象物のテラヘルツ画像を形成するように、前記第1合焦要素の個々の共役面において位置決めされ、(iii)前記1つ又は複数の光学コンポーネントは、前記アップコンバージョン済み画像ビームの前記一部分を収集し、且つ、前記画像検出器まで伝播するように、前記アップコンバージョン済み画像ビームを導くように構成された第2合焦要素を含み、且つ、(iv)前記非線形光学媒体及び前記画像検出器は、前記アップコンバージョン済み画像ビームが前記画像検出器において前記アップコンバージョン済み画像を形成するように、前記第2合焦要素の個々の共役面において位置決めされていることを特徴とする装置。
請求項18に記載の装置において、(i)前記1つ又は複数のテラヘルツ光学コンポーネントは、前記テラヘルツ撮像ビームの前記一部分を収集し、且つ、前記非線形光学媒体を通じて伝播するように、前記テラヘルツ画像ビームを導くように構成された、有効焦点距離f1を特徴とする、第1合焦要素を含み、(ii)前記対象物及び前記非線形光学媒体は、前記テラヘルツ画像ビームが前記非線形光学媒体において前記対象物のテラヘルツ画像の空間フーリエ変換を形成するように、それぞれ、前記第1合焦要素から約f1の距離において位置決めされており、(iii)前記1つ又は複数の光学コンポーネントは、前記アップコンバージョン済み画像ビームの前記一部分を収集し、且つ、前記画像検出器まで伝播するように、前記アップコンバージョン済み画像ビームを導くように構成された、有効焦点距離f2を特徴とする、第2合焦要素を含み、且つ、(iv)前記非線形光学媒体及び前記画像検出器は、前記アップコンバージョン済み画像ビームが前記画像検出器において前記アップコンバージョン済み画像を形成するように、それぞれ、前記第2合焦要素から約f2の距離において位置決めされていることを特徴とする装置。
請求項18に記載の装置において、前記画像検出器は、撮像検出器アレイの複数の対応する検出器要素上において前記アップコンバージョン済み画像ビームの異なる空間的部分を同時に受け取るように位置決めし、構成された前記撮像検出器アレイを有することを特徴とする装置。
請求項18に記載の装置において、前記1つ又は複数のテラヘルツ光学コンポーネントは、テラヘルツ基準ビームを形成するべく、前記テラヘルツ撮像ビームの一部分を分割し、且つ、前記テラヘルツ画像ビーム及び前記テラヘルツ基準ビームの異なる相対位相を伴って、前記非線形光学媒体を通じて共伝播するように、前記テラヘルツ基準ビームと前記テラヘルツ画像ビームとを組み合わせるように構成されており、且つ、それぞれのアップコンバージョン済み画像の位置依存性強度は、前記テラヘルツ画像ビーム及び前記テラヘルツ基準ビームの対応する位置依存性相対位相に少なくとも部分的に依存していることを特徴とする装置。
【背景技術】
【0003】
テラヘルツ周波数放射を伴う生成、検出、又は撮像用のいくつかのシステム及び方法が既に開示されている。これらのいくつかは、以下の文献に開示されており、これらの文献は、すべてが本明細書に記載されている場合と同様に、参照により援用される。
−Nuss(Lucent Technologies Inc.)に対して1997年4月22日付けで発行された「Method and apparatus for terahertz imaging」という名称の米国特許第5,623,145号明細書、
−Nuss(Lucent Technologies Inc.)に対して1998年1月20日付けで発行された「Method and apparatus for terahertz imaging」という名称の米国特許第5,710,430号明細書、
−Nuss(Lucent Technologies Inc.)に対して1998年8月4日付けで発行された「Optical system employing terahertz radiation」という名称の米国特許第5,789,750号明細書、
−Brenerら(Lucent Technologies Inc.)に対して1997年8月18日付けで発行された「Near field terahertz imaging」という名称の米国特許第5,894,125号明細書、
−Jacobsenら(Lucent Technologies Inc.)に対して1999年8月17日付けで発行された「Systems and methods for processing and analyzing terahertz waveforms」という名称の米国特許第5,939,721号明細書、
−Zhangら(Rensselaer Polytechnic Institute)に対して1999年9月14日付けで発行された「Electro−optical sensing apparatus and method for characterizing free−space electromagnetic radiation」という名称の米国特許第5,952,721号明細書、
−Mittlemanら(Lucent Technologies Inc.)に対して2000年6月20日付けで発行された「Method and apparatus for terahertz tomographic imaging」という名称の米国特許第6,078,047号明細書、
−Zhangら(Rensselaer Polytechnic Institute)に対して2002年7月2日付けで発行された「electro−optic/magneto−optic measurement of electromagnetic radiation using chirped optical pulse」という名称の米国特許第6,414,473号明細書、
−Fergusonら(Rensselaer Polytechnic Institute)の名義において2003年5月22日付けで公開された「Method and system for performing three−dimensional terahertz imaging on an object」という名称の国際特許出願公開第2003/042670号パンフレット、
−Hayesらに対して2007年9月18日付けで発行された「Highly efficient waveguide pulsed THz electromagnetic radiation source and group−matched waveguide THz electromagnetic radiation source」という名称の米国特許第7,272,158号明細書、
−Vodopyanovら(Microtech Instruments,Oregon State University,Stanford University)に対して2008年3月4日付けで発行された「Generation of terahertz radiation in orientation−patterned semiconductors」という名称の米国特許第7,339,718号明細書、
−Vodopyanovらに対して2008年3月25日付けで発行された「Terahertz radiation generation and methods therefor」という名称の米国特許第7,349,609号明細書、
−Moeller(Alcatel−Lucent USA Inc.)に対して2011年4月19日付けで発行された「Inexpensive Terahertz Pulse Wave Generator」という名称の米国特許第7,929,580号明細書
−Kozlovら(Microtech Instruments Inc.)に対して2011年10月11日付けで発行された「Terahertz tunable sources,spectrometers,and imaging systems」という名称の米国特許第8,035,083号明細書、
−Khanら(Massachusetts Institute of Technology)の名義において2012年1月12日付けで公開された「Terahertz sensing system and method」という名称の米国特許出願公開第2012/0008140号明細書(現在の、2013年8月20日付けで発行された米国特許第8,514,393号明細書)、
−Kozlovら(Microtech Instruments)に対して2013年12月3日付けで発行された「Alignment and optimization of a synchronously pumped optical parametric oscillator for nonlinear optical generation」という名称の米国特許第8,599,474号明細書、
−Kozlovら(Microtech Instruments)に対して2013年12月3日付けで発行された「Alignment and optimization of a synchronously pumped optical parametric oscillator for nonlinear optical generation」という名称の米国特許第8,599,475号明細書、
−Kozlovら(Microtech Instruments)に対して2013年12月3日付けで発行された「Alignment and optimization of a synchronously pumped optical parametric oscillator for nonlinear optical generation」という名称の米国特許第8,599,476号明細書、
−Wu et al;“Two−dimensional electro−optic imaging of THz beams”;Applied Physics Letters Vol.69 No.8 p.1026(1996)、
−Jiang et al;“Terahertz imaging via electrooptic effect”;IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques Vol.47 No.12 p.2644(1999)、
−Jiang et al;“Improvement of terahertz imaging with a dynamic subtraction technique”;Applied Optics Vol.39 No.17 p.2982(2000)、
−Nahata et al;“Two−dimensional imaging of continuous−wave terahertz radiation using electro−optic detection”;Applied Physics Letters Vol.81 No.6 p.963(2002)、
−Sutherland et al;Handbook of Nonlinear Optics 2ed(2003);New York:Marcel Dekker、
−Yonera et al;“Millisecond THz imaging based on two−dimensional EO sampling using a high speed CMOS camera”;Conference on Lasers and Electro−Optics,Paper No.CMB3(2004)、
−Ding et al;“Phase−Matched THz Frequency Upconversion in a GaP Crystal”;Conference on Lasers and Electro−Optics,Paper No.CTuL3(2006)、
−Ding et al;“Observation of THz to near−Infrared parametric conversion in ZnGeP2 crystal”;Optics Express Vol.14 No.18 p.8311(2006)、
−Hurlbut et al;“Quasi−Phasematched THz Generation in GaAs”;Conference on Lasers and Electro−Optics,Paper No.CTuGG(2006)、
−Cao et al;“Coherent detection of pulsed narrowband terahertz radiation”;Applied Physics Letters Vol.88 p.011101(2006)、
−Vodopyanov;“Optical generation of narrow−band terahertz packets in periodically inverted electro−optic crystals:conversion efficiency and optimal laser pulse format”;Optics Express Vol.14 No.6 p.2263(2006)、
−Lee et al;“Generation of multicycle terahertz pulses via optical rectification in periodically inverted GaAs structures”;Applied Physics Letters Vol.89 p.181104(2006)、
−Khan et al;“Optical detection of terahertz radiation by using nonlinear parametric upconversion”;Optics Letters Vol.32 No.22 p.3248(2007)、
−Schaar et al;“Intracavity terahertz−wave generation in a synchronously pumped optical parametric oscillator using quasi−phase−matched GaAs”;Optics Letters Vol.32 No.10 p.1284(2007)、
−Khan et al;“Optical detection of terahertz using nonlinear parametric upconversion”;Optics Letters Vol.33 No.23 p.2725(2008)、
−Vodopyanov et al;“Resonantly−enhanced THz−wave generation via multispectral mixing inside a ring−cavity optical parametric oscillator”;Conference on Lasers and Electro−Optics,Paper No.CTuG1(2009)、
−Pedersen et al;“Enhanced 2D image upconversion using solid−state lasers”;Optics Express Vol.17 No.23 p.20885(2009)、
−Hurlbut et al;“THz−wave generation inside a high−finesse ring−cavity OPO pumped by a fiber laser”;Conference on Lasers and Electro−Optics,Paper No.CWF3(2010)、
−Tekavec et al;“Efficient high−power tunable terahertz sources based on intracavity difference frequency generation”;Paper No.IRMMW THz in 36th International Conference on Infrared,Millimeter and Terahertz Waves(2011)、
−Tekavec et al;“Terahertz generation from quasi−phase matched gallium arsenide using a type II ring cavity optical parametric oscillator”;Proc.SPIE 8261,Terahertz Technology and Applications V,82610V;doi:10.1117/12.909529(2012)、
−Clerici et al;“CCD−based imaging and 3D space−time mapping of terahertz fields via Kerr frequency conversion”;Optics Letters Vol.38 No.11 p.1899(June 1,2013)、
−Fan et al;“Room temperature terahertz wave imaging at 60 fps by frequency up−conversion in DAST crystal”;Proc.SPIE 8964,Nonlinear Frequency Generation and Conversion:Materials,Devices,and Applications XIII,89640B(February 20,2014);doi:10.1117/12.2038685、
−Fan et al;“Real−time terahertz wave imaging by nonlinear optical frequency up−conversion in a 4−dimethylamino−N’−methyl−4’−stilbazolium tosylate crystal”;Applied Physics Letters,104,101106(2014);doi:10.1063/1.4868134、及び
−Tekavec et al;“Video Rate 3D THz tomography’:post−deadline paper,Conference on Lasers and Electro−optics(June 8−13,2014,San Jose,California)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において開示されている主題は、(i)Vladimir G.Kozlov及びPatrick F.Tekavecの名義において2014年12月4日付けで出願された米国特許出願第14/561,141号(現在の米国特許第9,377,362号)明細書、(ii)Vladimir G.Kozlov及びPatrick F.Tekavecの名義において2013年12月4日付けで出願された米国仮特許出願第61/912,004号明細書、及び(iii)Vladimir G.Kozlov及びPatrick F.Tekavecの名義において2014年6月4日付けで出願された米国仮特許出願第62/007,904号明細書において開示されている主題に関係しうる。前記出願のそれぞれは、引用により、あたかもすべてが本明細書において記述されているかのように、本明細書に包含される。
【0010】
本開示及び添付の請求項を目的として、且つ、本明細書において列挙されているすべての引用又は包含された参考文献における使用とは無関係に、「連続波」及び「cw」という用語は、「モードロックされた(modelocked)」という用語によって修飾されていない際には、平均パワーとピークパワーが互いに実質的に等しい光又はテラヘルツビームを表記しているものとする。換言すれば、連続波又はcwビームは、平均パワーを上回る(しばしば、数桁だけ大きい)ピークパワーを有するパルスの列を有してはいない。逆に言えば、「モードロックされた連続波(continuous−wave modelocked)」又は「モードロックされたcw(cw modelocked)」という用語は、平均パワーを上回るピークパワーを有する、且つ、通常は、光共振器空洞の往復時間に対応するパルス反復レートを有する、パルスの列を有する光又はテラヘルツビームを表記している。
【0011】
マイクロ波スペクトル領域と長波赤外線スペクトル領域の間の相対的に活用が進んでいないスペクトル「ギャップ」である、電磁スペクトルのテラヘルツ(THz)波領域(即ち、約0.05THz〜約10THz)は、いくつかの理由から、興味深い。多くの生物学的且つ化学的な化合物は、このスペクトル領域において固有の吸収特徴を有しており、その結果、テラヘルツ放射は、防衛、セキュリティ、生体臨床医学、及び工業の環境における撮像のために魅力的なものとなっている。テラヘルツ放射は、ほとんど減衰を伴うことなしに、ほとんど又はまったく減衰を伴うことなしに、光、紫外、又は赤外放射に対して不透明である多くの物質(例えば、セラミック、織物、乾燥有機物質、プラスチック、紙、又は様々な包装材料)を通過することができる。テラヘルツ放射を伴う撮像は、サブミリメートル空間分解能を可能にし、その結果、潜在的に、(例えば、ミリメートル波を使用した)相対的に長い波長において取得される画像との比較において、相対的に高品質の画像が得られる。
【0012】
テラヘルツ周波数における画像の直接的な取得又は検出は、適した検出器(例えば、ボロメータ、ゴーレイセル、又はマイクロボロメータアレイ)の通常は低い感度又は低い空間分解能により、単一チャネル検出器が使用される場合に2次元画像を取得するためのラスタスキャニングに対するニーズにより、或いは、ボロメータ検出器又はアレイの極低温冷却に対するニーズにより、妨げられている。室温において動作可能である高空間分解能を有する高感度な2次元検出器アレイ(例えば、CCDアレイ、CMOSアレイ、又はInGaAsアレイ)は、電磁スペクトルの可視及び近赤外(近IR)部分(即ち、約400nm〜約3000nmの波長)において画像を検出するべく、容易に入手可能であり、テラヘルツ周波数画像の直接的検出における上述の問題は、このような検出器を使用することによって回避することができるが、これらの検出器は、テラヘルツ放射に対して高感度を有してはいない。テラヘルツ画像の取得における可視又は近IR検出器又はアレイの使用を可能にするべく、様々な非線形光学効果を活用することができる。
【0013】
可視又は近IR検出器を使用してテラヘルツ画像を取得するべく、所謂コヒーレント検出を利用することが可能であり、例が、(先程引用した)Wu他、Yonera他、Jiang他、及びZhang他の参考文献において開示されている。コヒーレント検出法は、通常、広帯域THzパルスを生成するべく、短い光ポンプパルス(例えば、可視又は近IR波長において、<100フェムト秒(fs))を利用している。THzパルスのコヒーレント検出は、電気光結晶内において(例えば、可視又は近IR波長において<100fsであり、通常は、ポンプパルスの振幅スケーリングされた複製である)短い光プローブパルスと混合することにより、実現することができる。光プローブパルスの偏光は、ポッケルス効果に起因して、THzパルス電界によって回転され、回転の量は、THz場の振幅に比例しており、且つ、アナライザ偏光器を通じた検出によって計測することができる。コヒーレント検出は、対象物又はTHz画像のラスタスキャニングとの組合せにおいて単一の検出器要素を使用することにより、実装することが可能であり、或いは、可視又は近IR検出器アレイ(例えば、CCDカメラ又はCMOSアレイ)を利用することも可能であり、この結果、ラスタスキャニングに対するニーズが除去される。但し、取得される画像の画像コントラストは、通常、低い信号対ノイズ比によって制限されている。これに加えて、短い光パルスによって生成されるTHz放射の広い光周波数帯域幅(通常は、2〜3THz)は、しばしば、その帯域幅における特定周波数の大きな大気吸収を結果的にもたらし、その結果、THzパワーの損失と、THz周波数スペクトルの歪と、がもたらされる。
【0014】
本明細書には、コヒーレント検出に対する代替が開示されており、この場合には、(i)THz画像の光又は近赤外波長への(即ち、約400nmから約3000nmへの)非線形光アップコンバージョン及び(ii)検出器又はアレイを使用したアップコンバージョン済み画像の検出により、THz画像を取得するべく、可視又は近IR検出器又はアレイを利用することができる。
図1及び
図2には、アップコンバージョン済みテラヘルツ画像を生成及び取得するシステムの例が概略的に示されている。それぞれの例において、対象物10は、λ
THz=c/v
THz(cは、光の速度である)の波長におけるテラヘルツ放射のビーム(即ち、テラヘルツ撮像ビーム21)によって照明されている。対象物10からの反射又は散乱により、或いは、対象物10を通じた又はその周辺における透過により、テラヘルツ画像を生成することができる。反射又は透過されたテラヘルツ画像ビーム20は、第1合焦要素31(
図1及び
図2には、単一のレンズとして示されているが、テラヘルツ放射に適した軸外(off−axis)パラボラ形反射器又はその他の1つ又は複数の透過性又は反射性合焦要素を利用することができる)によって収集され、且つ、アップコンバージョン非線形光学媒体36に中継される。可視又は近IR波長λ
UCにおけるアップコンバージョンビーム22が、ビームコンバイナ34によってテラヘルツ画像ビーム20と(通常は、実質的に共直線方式で)組み合わせられており、ビームコンバイナは、任意の適切なタイプ又は構造(例えば、ペリクル)を有することが可能であり、且つ、(
図1及び
図2に示されているように)テラヘルツ画像ビーム20を透過させつつ、アップコンバージョンビーム22を反射することが可能であり、或いは、テラヘルツ画像ビーム20を反射しつつ、アップコンバージョンビーム22を透過させることができる(図示されてはいない)。
【0015】
テラヘルツ画像ビーム20及びアップコンバージョンビーム22は、アップコンバージョン非線形光学媒体36を通じて共伝播し、その際に、テラヘルツ画像ビーム20とアップコンバージョンビーム22の間における非線形光学相互作用(和又は差周波数生成であって、それぞれ、SFG又はDFGである)により、1つ又は複数のアンプコンバージョン済み画像ビーム24が生成される。アップコンバージョンビーム22からの残留放射は、(画像フィルタリング要素を集合的に構成している)1つ又は複数の波長依存性フィルタ38又は1つ又は複数の偏光器39により、減衰又は阻止されている。(1/λ
DFG=1/λ
UC−1/λ
THz又は1/λ
SFG=1/λ
UC+1/λ
THz、或いは、これの両方における)1つ又は複数のアップコンバージョン済み画像ビーム24は、第2合焦要素32によって収集され(
図1及び
図2には、単一のレンズとして示されているが、アップコンバージョン済み画像ビームの波長に適した任意の1つ又は複数の透過性又は反射性合焦要素を利用することができる)、且つ、アップコンバージョン済み画像の検出のために、可視又は近IR検出器アレイ40に中継される。テラヘルツ画像ビーム20からのなんらかの残留放射が検出器アレイ40に到達するかどうかは、ほとんど問題とはならず、その理由は、テラヘルツ放射は、通常、可視又は近IR検出器アレイ40に対して認識可能な影響を及ぼすことにならないからである。但し、検出器アレイ40は、アップコンバージョンビーム22からの残留放射の影響を受けやすく、このようななんらかの残留アップコンバージョン放射が検出器アレイ40に到達した場合には、1つ又は複数のアップコンバージョン済み画像ビーム24の検出において(更に後述する)望ましくないバックグラウンド信号がもたらされる。
【0016】
これらの例には、検出器アレイ40が図示及び記述されており、検出器アレイ40は、検出器アレイの複数の対応する検出器要素上においてアップコンバージョン済み画像ビームの異なる空間的部分を同時に受け取ることにより、画像全体の取得を可能にしている。但し、本開示又は添付の請求項は、単一の検出器要素上においてアップコンバージョン済み画像ビームの異なる空間的部分を順番に受け取るように、アップコンバージョン済み画像ビームに跨ってスキャニングされる単一の検出器要素の使用をも含みうる。
【0017】
第1合焦要素31の有効焦点距離(例えば、単一のレンズ又は単一の湾曲したミラーの焦点距離又はマルチコンポーネント合焦要素の有効焦点距離)は、f
1であり、第2合焦要素32の有効焦点距離は、f
2である。
図1の構成においては、対象物10と第1合焦要素31の間の距離は、d
o1であり、第1合焦要素31と非線形光学媒体36の間の距離は、d
i1であり、且つ、対象物10、第1合焦要素31、及び非線形光学媒体36は、1/d
o1+1/d
i1=1/f
1となるように、位置決めされており、即ち、対象物10及び非線形光学媒体36は、対象物10のテラヘルツ画像が、−d
i1/d
o1の倍率により、非線形光学媒体36において形成されるように、合焦要素31によって定義される共役面において位置決めされている。このテラヘルツ画像は、非線形光学媒体36内において、アップコンバージョンビーム22との間のSFG又はDFGにより、アップコンバージョンされている。非線形光学媒体36と第2合焦要素32の間の距離は、d
o2であり、第2合焦要素32と検出器アレイ40の間の距離は、d
i2であり、且つ、非線形光学媒体36、第2合焦要素32、及び検出器アレイ40は、1/d
o2+1/d
i2=1/f
2となるように、位置決めされており、即ち、非線形光学媒体36及び検出器アレイ40は、非線形光学媒体36内において生成されるアップコンバージョン済み画像が、−d
i2/d
o2の倍率により、検出器アレイ40において再撮像されるように、合焦要素32によって定義される共役面において位置決めされている。物体10との関係における検出器アレイ40上において形成される画像の全体的な倍率は、(d
i1・d
i2)/(d
o1・d
o2)である。
【0018】
図2の構成においては、対象物10と第1合焦要素31の間の距離は、f
1であり、且つ、第1合焦要素31と非線形光学媒体36の間の距離も、f
1である。この結果、テラヘルツ画像の空間フーリエ変換が非線形光学媒体36において形成されるが、これは、テラヘルツ画像のアップコンバージョン済み空間フーリエ変換を生成するべく、非線形光学媒体36内におけるアップコンバージョンビーム22との間におけるSFG又はDFGによってアップコンバージョンされる空間フーリエ変換である。非線形光学媒体36と第2合焦要素32の間の距離は、f
2であり、且つ、第2合焦要素32と検出器アレイ40の間の距離も、f
2である。この結果、非線形光学媒体36内において生成されるアップコンバージョン済み空間フーリエ変換から、アップコンバージョン済み画像が検出器アレイ40において形成される。対象物10との関係における検出器アレイ40上において形成される画像の全体的な倍率は、−(λ
UC・f
2)/(λ
THz・f
1)である。
図2の構成は、いくつかの例においては、画像アップコンバージョンシステムの相対的に小型の構成をもたらすことが可能であり、その理由は、多くの場合に、d
i1+d
i2+d
o1+d
o2が2・(f
2+f
1)を上回っているからである。
【0019】
任意の実際のシステムにおいて、対象物10、合焦要素31及び32、非線形光学媒体36、或いは、検出器アレイ40の場所は、上述の2つの構成において付与されている正確な位置から逸脱しうるであろう。本開示又は添付の請求項を目的として、所与の用途において十分良好な品質のアップコンバージョン済み画像が検出器アレイ40において形成される場合には、所与の撮像構成は、これらの構成のうちの1つに準拠しているものと見なすこととする。
【0020】
上述の2つの構成においては、アップコンバージョン合焦要素33が、テラヘルツ画像ビーム20と相互作用するように、アップコンバージョンビーム22を非線形光学媒体36内に伝達している。アップコンバージョンビーム22は、好ましくは、依然として全体的なテラヘルツ画像ビーム20と空間的に実質的にオーバーラップし、且つ、テラヘルツ画像又はフーリエ変換の空間的な広がりに跨って実質的にフラットな波面及び十分に小さな空間的強度変動を有しつつ、非線形光学媒体36において(アップコンバージョン効率の向上を結果的にもたらすアップコンバージョンビームの増大された強度を目的として)実施可能な程度に小さくなるように、生成されている。これらを目的として、通常、合焦要素33(例えば、単一のレンズ、単一の湾曲したミラー、望遠鏡、又は1つ又は複数の透過性又は反射性合焦コンポーネントの適切な組合せ)は、非線形光学媒体36においてアップコンバージョンビーム22の相対的に穏やかに合焦されたビームウエストを形成するように、構成されている。例えば、合焦要素33は、線形光学媒体36において幅が約7mm(半値全幅、即ち、FWHM)のビームウエストを生成するように構成することが可能であるが、その他の適切な幅を利用することもできる。小さ過ぎるアップコンバージョンビームサイズの影響は、撮像システムの構成に依存している。
図1の構成においては、テラヘルツ画像の周辺部分がアップコンバージョンされない場合には、小さなアップコンバージョンビーム22は、アップコンバージョン済み画像の周辺部分の損失を結果的にもたらしうる。
図2の構成においては、テラヘルツ画像の相対的に大きな波ベクトル成分(即ち、空間フーリエ変換の周辺部分)がアップコンバージョンされない場合には、小さなアップコンバージョンビーム22は、アップコンバージョン済み画像の鋭さの損失を結果的にもたらしうる。いずれの構成においても、通常、アップコンバージョンビーム22のフラットな波面又は均一な強度からの逸脱は、許容可能であり、許容されうるこのような逸脱の大きさは、変化可能であり、且つ、通常は、アップコンバージョン済み画像において必要とされている又は望ましい画像品質に依存している。
【0021】
図3A〜
図3Fには、アップコンバージョンビーム22及び1つ又は2つのアップコンバージョン済み画像ビーム24の波長スペクトルの例が示されている。それぞれの例において、1つ又は両方のアップコンバージョン済み画像ビーム24は、(v
Thz≒1.55Thzにおいてセンタリングされた)テラヘルツ画像ビーム20と(
図3Aにおいては、λ
UD≒800nmにおいてセンタリングされた、
図3B〜
図3Eにおいては、λ
UC≒1064nmにおいてセンタリングされた、
図3Fにおいては、λ
UC≒1550nmにおいてセンタリングされた)アップコンバージョンビーム22との間の和及び差周波数生成(それぞれ、SFG及びDFG)のうちの一方又は両方により、非線形光学媒体36内において形成されている。SFG及びDFG非線形光学プロセスの特性に応じて、いくつかの例においては、これらのプロセスのうちの1つのみが、対応するアップコンバージョン済み画像ビーム24を生成することになる。
【0022】
図3Aのものに類似したスペクトルを有する(例えば、Wu他、Yonera他、Jiang他、及びZhang他の先程引用した参考文献において開示されている)以前の例においては、アップコンバージョンビーム22は、λ
UC≒800nmにおいてセンタリングされた約15nmという対応するスペクトル帯域幅を有する持続時間が約100fsであるパルスの列を有する。アップコンバージョン済み画像ビーム24は、類似のスペクトル帯域幅を伴って、λ
SFG≒796nm及びλ
DFG≒804nmという対応する中心波長を有する。この例においては、アップコンバージョン済み画像ビーム24は、非線形光学媒体36内におけるSFG及びDFGに利用されている非線形光学プロセス(例えば、タイプI又はタイプII非線形光学プロセス)の特性に起因して、アップコンバージョンビーム22との関係において直交偏光されている。また、上述のテラヘルツ画像ビーム20及びアップコンバージョンビーム22の空間的なオーバーラップに加えて、テラヘルツ画像のアップコンバージョンの望ましい効率を実現するべく、これらのビームの個々のパルス列の大きな時間的オーバーラップも、必要とされている。適切な遅延ラインが、テラヘルツ画像ビーム20又はアップコンバージョンビーム22のうちの一方又は両方のビームのビーム経路に挿入されており、遅延ラインは、アップコンバージョン効率の最適化を可能にするべく、調節可能であってよい。相対的に短いパルス持続時間(約100fs)は、SFG及びDFGプロセスの効率を向上させるが、付随する相対的に大きな帯域幅(約15nm)が、アップコンバージョンビーム22とアップコンバージョン済み画像ビーム24の大きなスペクトル的オーバーラップをもたらす。このオーバーラップに起因して、通常、残留アップコンバージョンビーム22を減衰させるための画像フィルタリング要素の一部分として、波長依存性フィルタ38を利用することができない。アップコンバージョンビーム22及びアップコンバージョン済み画像ビーム24の直交偏光は、残留アップコンバージョンビーム22を減衰させるための画像フィルタリング要素としての偏光器39の使用を可能にしている。但し、偏光器は、最良のケースにおいても、阻止された偏光状態における約10
−6(更に現実的は、10
−4〜10
−5)の減衰を有することになり、且つ、残留アップコンバージョンビーム22は、通常、非線形光学媒体36及び様々なその他の光学コンポーネントを通じた通過に起因して、純粋な線形偏光状態にはない。偏光器39を通じて漏洩する残留アップコンバージョンビーム22の一部分は、しばしば、アップコンバージョン済み画像ビーム24よりも実質的に大きな強度を有しうる。これに加えて、THz画像ビーム20の広い光周波数帯域幅は、上述のように、特定の周波数成分の大きな大気吸収を経験する。これらのすべての理由から、このような短い持続時間の(数百フェムト秒以下であり、対応する方式によって大きなスペクトル帯域幅を伴う)パルスは、特に、テラヘルツ画像のアップコンバージョンに、良好に適してはいない。
【0023】
様々なその他の(例えば、先程引用したKhan他、Nahata他、Cao他、及びDing他の参考文献において開示されている、代表的スペクトルが、λ
UC≒1064nm、λ
SFG≒1058nm、及びλ
DFG≒1070nmにより、
図3Bに示されている)以前の例においては、連続波テラヘルツビームと、対応する方式によって狭い(例えば、<0.1nmの)スペクトル帯域幅を伴って、持続時間が数ナノ秒(ns)であるパルスを有するアップコンバージョンビームと、が利用されており、この結果、アップコンバージョン済み信号の検出の前に、残留アップコンバージョン放射を減衰させるべく、画像フィルタリング要素内において波長依存性フィルタを利用できるようになっている。但し、相対的に長いパルスは、テラヘルツ画像の検出可能なアップコンバージョンを実現するべく、アップコンバージョンビームのパルスエネルギーが非線形光学媒体36の損傷閾値に近接することを必要としている。このようなパルスエネルギーは、通常、(例えば、10Hzのレベルのパルス反復レートなどの)低反復レートのパルス化レーザーにおいてのみ利用可能であるが、パルス間変動が、アップコンバージョン済み画像の小さな信号レベルの検出を不明瞭にする傾向を有する。大部分の検出器アレイは、平均パワーに対する感度を有しており、平均パワーは、このような低反復レートにおいては、極めて小さい。また、この反復レートは、準リアルタイムのビデオ撮像における望ましいフレームレートに匹敵しており、且つ、従って、この用途には十分に適しておらず、ビデオレート撮像は、フレーム当たりに単一のショットを必要とすることになろう。これに加えて、アップコンバージョンビームは、通常、(例えば、Cao他の参考文献におけるように)アップコンバージョン済み画像の検出を可能にすることにより、この検出を本質的に非ゼロのバックグラウンドプロセスとするべく、望ましいDFG波長を有する放射を含んでいなければならない。これらのすべての理由から、このような長い(対応する方式によって狭いスペクトル帯域幅を伴う、数ナノ秒以上の)持続時間のパルス及びこのような大きなパルスエネルギーは、特に、テラヘルツ画像のアップコンバージョンに、良好に適してはいない。
【0024】
Kozlov他によって開示されている一例(米国特許出願公開第2015/0153234号明細書、
図3に示されている例示用のスペクトル)においては、テラヘルツ画像ビーム20及びアップコンバージョンビーム22は、持続時間が約6〜10ピコ秒(ps、FWHM)であるパルスの列を有し、アップコンバージョンビームは、帯域幅が約0.3nm(FWHM)であり、且つ、テラヘルツ画像ビームも、同様に、その周波数スペクトルが狭い(例えば、約1.55THzにおいてセンタリングされた状態において、100GHz(FWHM)未満であり、従って、大気吸収帯域の実質的な回避を可能にしている)。λ
UC≒1064nmにおいてセンタリングされたアップコンバージョンビーム22の場合に、アップコンバージョン済み画像ビーム24は、λ
SFG≒1058nm及びλ
DFG≒1070nmという対応する中心波長と、同様に狭いスペクトル帯域幅と、を有する。以前の例におけると同様に、アップコンバージョン済み画像ビーム24は、非線形光学媒体36内におけるSFG及びDFGに利用されている非線形光学プロセス(例えば、タイプI又はタイプII非線形光学プロセス)の特性に起因して、アップコンバージョンビーム22との関係において直交偏光されている。アップコンバージョンビーム22及びアップコンバージョン済み画像ビーム24の直交偏光は、残留アップコンバージョンビーム22を減衰させるための画像フィルタリング要素内における偏光器39の使用を可能にしている。
図3Aの例との関係における相対的に長いパルスは、ピーク強度の低減と、SFG及びDFGプロセスの効率の低減と、を結果的にもたらすが、これらのプロセスは、依然として、
図3Bの例におけるものよりも効率的である。但し、対応する方式によって相対的に小さなスペクトル帯域幅は、アップコンバージョンビーム22及びアップコンバージョン済み画像ビーム24のスペクトル的オーバーラップを実質的に除去し、この結果、残留アップコンバージョンビーム22を減衰させるべく、偏光器39の代わりに、又はこれに加えて、画像フィルタリング要素内における1つ又は複数の波長依存性フィルタ38の使用が可能になっている。1つ又は複数の波長依存性フィルタ38及び偏光器38の組合せは、控え目に見ても、10
−8の、且つ、恐らくは、10
−10又は10
−12だけの、レベルの残留アップコンバージョンビーム22の減衰をもたらしうる。或いは、この代わりに、アップコンバージョン済み画像ビーム24との間のアップコンバージョンビーム22のスペクトル的オーバーラップの欠如は、画像フィルタリング要素からの偏光器39の除去と、例えば、すべての偏光が互いに平行であるタイプ0の非線形光学プロセスなどの、非線形光学媒体36内における、代替的な、潜在的に相対的に効率的な、非線形光学プロセスの使用と、を可能にすることができる。また、このパルス持続時間は、数ミリメートルのレベルの空間分解能を伴って、サンプル内の異なる深さに由来する画像を取得するべく、テラヘルツ画像取得とテラヘルツト断層撮影技法の組合せを可能にしている。
【0025】
Kozlov他によって開示されている別の例(
図3D)は、利用されているパルスの持続時間(FWHM)が、約1nm(FWHM)の帯域幅を伴って、1〜2psであることを除いて、
図3Cのものに類似している。これらのパラメータは、残留アップコンバージョンビームの有効波長に基づいたフィルタリングを依然として可能にしつつ、テラヘルツ画像のアップコンバージョンの効率を増大させることができる(相対的に短いパルス持続時間に起因した相対的に大きな強度)。また、相対的に短いパルス持続時間は、サンプル内の異なる深さに由来する画像を取得するべく、テラヘルツ画像取得がテラヘルツ断層撮像技法と組み合わせられた際に、(例えば、1ミリメートルのレベルの)改善された空間分解能を可能にする。
【0026】
Kozlov他によって開示されている別の例においては、テラヘルツ画像ビームは、以前の例のうちの1つに類似したスペクトル幅を伴って、約0.85THzにおいてセンタリング可能である(その結果、大気吸収帯域の実質的な回避が可能になっている)。アップコンバージョンビームが、類似のスペクトル幅を伴って、約λ
UC≒1064nmにおいてセンタリングされている場合には、アップコンバージョン済み画像ビームは、λ
SFG≒1061nm及びλ
DFG≒1067nmという対応する中心波長と、類似したスペクトル幅と、を有することになる。アップコンバージョンビームとアップコンバージョン済み画像ビームの間の相対的に小さなスペクトル的分離は、アップコンバージョンビームの十分な減衰のために、偏光器又は改善されたスペクトルフィルタリングを必要としうる。
【0027】
本開示による一発明例においては、テラヘルツ撮像ビーム21(並びに、従って、更にテラヘルツ画像ビーム20)とアップコンバージョンビーム22は、いずれも、連続波(cw)ビームである(
図1、
図2、及び
図5)。cwビームの使用は、一見、望ましくないものと思われることから、通常は、付随する相対的に大きなピークパワーを活用して非線形光学アップコンバージョンプロセスを駆動するべく、(先程開示した以前の例と同様に)パルス化ビームが利用されている。但し、cwテラヘルツ画像ビーム20において、以前の例におけるピークパワーに匹敵する、パワーを供給する、(例えば、約0.05THzから、約0.4THzまでの、最大で約1.5THzまでの、或いは、最大で約3THzまでの、周波数範囲にわたって、0.1W〜1Wのレベルの平均パワーを生成する)相対的にハイパワーのcwテラヘルツ供給源を利用することができる。但し、cwテラヘルツ画像ビーム20及びアップコンバージョンビーム22の格段に大きなデューティサイクル(即ち、通常のモードロック型供給源の反復レートを有するピコ秒パルスの場合の10
−4のレベルに対して、cwビームの場合には、1(unity)である)は、アップコンバージョン済み画像ビーム24において、匹敵する、又は、更に大きな、平均アップコンバージョン済み平均パワーを結果的にもたらす。通常利用されている撮像検出器40は、アップコンバージョン済み画像ビーム24における平均パワーに対して高感度を有する。
図5には、例示用の装置が概略的に示されており、この場合には、cwテラヘルツ供給源100がテラヘルツ撮像ビーム21を生成しており、且つ、cw可視又は近IR供給源200がアップコンバージョンビーム22を生成している。
図1及び
図2の例においては、テラヘルツ画像は、対象物10を通じた又はその周辺における透過によって形成されているが、
図5の例においては、テラヘルツ画像は、対象物10からの反射又は散乱によって形成されている。代表的なスペクトルは、
図3B(ν
THz≒1.55THz、λ
UC≒1064nm、λ
SFG≒1058nm、及びλ
DFG≒1070nm)又は
図3F(ν
THz≒0.3THz、λ
UC≒1550nm、λ
SFG≒1547.6nm、及びλ
DFG≒1552.5nm)の例に似たものとなろう。連続波ビーム20及び22の平均テラヘルツパワー及びアップコンバージョンビームパワーは、例えば、約5〜30FPS以上のフレームレートにおけるビデオレートテラヘルツ撮像などの、準リアルタイムのテラヘルツ撮像を可能にするべく、アップコンバージョン済み画像ビーム24において、十分なパワーを結果的にもたらす(
図4の表を参照されたい)。アップコンバージョン済み画像信号は、飽和の兆候を伴うことなしに、テラヘルツ撮像ビームパワーに伴って、且つ、アップコンバージョンビームパワーに伴って、実質的に線形で変動することが観察された。これは、テラヘルツ及びアップコンバージョンビームパワーを更に増大させることにより、アップコンバージョン済み画像信号の更なる増大を実現しうることを示唆している。
【0028】
望ましいテラヘルツ周波数範囲にわたって十分なパワーを生成する、連続波(cw)テラヘルツ撮像ビーム21の任意の適切な供給源100を利用することができる。いくつかの例は、所謂後進波発振器(BWO:Backward−Wave Oscillator)効果を活用しており、且つ、Terasense(登録商標)Group,Inc.によって製造されるTerasource管を含む。このような供給源は、約0.08THz〜最大で約0.36THzのテラヘルツ周波数にわたって、約0.1Wから最大で約1.0Wのテラヘルツ平均パワーを提供することができるが、その他の適切な供給源を利用することもできる。BWO型又はその他のテラヘルツ供給源は、相対的に大きなアップコンバージョン平均パワーを提供するべく、(例えば、Northrop Grummanによって開発された0.85THz増幅器などの、既存の又は将来開発される)任意の適切なタイプのテラヘルツ増幅器と組み合わせることができる。1つ又は複数のテラヘルツ供給源は、例えば、引用により、本明細書に包含される、Kozlov他に対して発行された米国特許第8,035,083号明細書において開示されているように、アクセス可能なテラヘルツ周波数範囲を拡張するべく、1つ又は複数の周波数ダブラ又はトリプラ(又は、これらの両方)との組合せにおいて使用することができる。本開示又は添付の請求項の範囲内において、これらの例、或いは、現在既存の又は将来開発される任意のその他の適切な連続波テラヘルツ供給源をcwテラヘルツ供給源100として利用することができる。
【0029】
望ましいアップコンバージョン波長において、且つ、十分に小さなアップコンバージョン帯域幅を伴って、十分なパワーを生成する、可視又は近赤外アップコンバージョンビーム22の任意の適切な供給源200を利用することができる。通常の供給源200は、可視又は近赤外において動作する、固体、半導体、又はファイバレーザーを含む。例は、NKT Photonics A/Sから入手可能なKoheras(登録商標)BOOSTIK単一周波数ファイバレーザーを含み、これは、約1030nm〜約1090nmのアップコンバージョン波長において、最大で約15Wのアップコンバージョン平均パワーを生成することが可能であり、或いは、約1530nm〜約1575nmのアップコンバージョン波長において、最大で約10Wのアップコンバージョン平均パワーを生成することができる。本開示又は添付の請求項の範囲内において、これらの例、或いは、現在既存の又は将来開発される任意のその他の適切な連続波可視又は近赤外供給源をcwアップコンバージョン供給源100として利用することができる。
【0030】
対応するアップコンバージョン帯域幅は、上述の例示用のアップコンバージョン供給源200においては、数十kHzほどに小さなものであってもよい。通常、アップコンバージョン帯域幅は、約0.1nm未満であり、これは、λ
UC≒1000nmにおける約30GHz又はλ
UC≒1500nmにおける約20GHzに対応している。従って、アップコンバージョン帯域幅は、アップコンバージョンビーム22及びアップコンバージョン済み画像ビーム24をスペクトル的に分離された状態において維持しつつ、利用されるテラヘルツ周波数に下限を課すことができる。但し、(上述の例示用の供給源と同様に)アップコンバージョンスペクトル及びアップコンバージョン済み画像スペクトルが、オーバーラップせず、且つ、完全に分離されるほどに、アップコンバージョン帯域幅が極めて狭い場合にも、(例えば、約0.3THz未満であるテラヘルツ周波数における約2ナノメートル以下に過ぎない分離などの)相対的に低いテラヘルツ周波数の使用の結果としてもたらされるその近接した間隔は、それにも拘らず、1つ又は両方のアップコンバージョン済み画像ビーム24を透過させつつ、アップコンバージョンビーム22の不十分な(或いは、少なくとも問題となる)拒絶を結果的にもたらすことが可能であり、或いは、アップコンバージョンビーム22を実質的に拒絶しつつ、アップコンバージョン済み画像ビーム24の不十分な透過を結果的にもたらしうる(更に後述する)。
【0031】
アップコンバージョン済み画像ビーム24を生成するべく、任意の適切な非線形光学媒体36を利用することができる。1つの適切な媒体は、2つ以上の光学的に接触したヒ化ガリウム(GaAs)又はリン化ガリウム(GaP)プレートの積層体を有する。プレートの厚さは、1つ又は複数のアップコンバージョン済み画像ビーム24に対するテラヘルツ画像ビーム20のアップコンバージョンビーム22による準位相整合されたアップコンバージョンが結果的にもたらされるように、選択される。一例においては、アップコンバージョンビーム22の偏光がアップコンバージョン済みビーム24の偏光と実質的に直交する状態において、約1.55THzにおけるテラヘルツ画像ビーム20及び約1064nmにおけるアップコンバージョンビーム22から1058nm及び1070nmにおけるアップコンバージョン済み画像ビーム24を生成するべく、それぞれが約300μmの厚さを有する6〜12枚のGaAsプレートの積層体を利用することができる。相対的に多くのプレートは、相対的に高いアップコンバージョン効率を結果的にもたらしうるが、プレートの数の増大に伴って、十分に高い光学品質を維持する難しさが増大する。別の例においては、約0.3THzにおけるテラヘルツ画像ビーム20と、約1550nmにおける、且つ、アップコンバージョン済み画像ビーム24との関係において直交偏光された、アップコンバージョンビーム22と、から、約1547.6及び約1552.4におけるアップコンバージョン済み画像ビーム24を生成するべく、最大で約8〜9mmの(即ち、アップコンバージョンプロセスにおけるコヒーレンス長未満の又はほぼこれに等しい)厚さの単一のGaAsプレートを利用することができる。テラヘルツ周波数及びアップコンバージョン波長のその他の組合せにおいては、その他のプレートの数又は厚さを利用することができる。任意のその他の適切な非線形光学材料を利用することが可能であり、任意のその他の適切な位相整合又は準位相整合方式を利用することが可能であり、且つ、例えば、タイプ0、I、IIなどのような、任意の適切な非線形光学プロセスを利用することができる。
【0032】
媒体36内における非線形光学プロセスが1つのアップコンバージョン済み画像ビーム24のみを生成する場合には、或いは、複数のアップコンバージョン済み画像ビーム24のうちの1つのみが検出器アレイ40において検出されることが望ましい場合には、1つのアップコンバージョン済みビームの(スペクトル的に)少なくとも一部分が検出器40に到達することを可能にしつつ、アップコンバージョンビーム22を減衰又は阻止するショートパス又はロングパスのカットオフフィルタ38を利用することができる。例えば、アップコンバージョン波長における残留アップコンバージョンビーム22及び(存在する場合に)和周波数波長におけるアップコンバージョン済み画像ビーム24を減衰又は阻止することになるが、差分周波数波長におけるアップコンバージョン済み画像ビーム24の少なくとも一部分を検出器アレイ40に透過することになる、アップコンバージョン波長と差周波数波長の間のカットオフ波長を有する、ロングパスフィルタ38を利用することが可能であり、
図3Eには、Kozlov他によって開示されている例の1つにおける、このような構成によって透過されるスペクトルの一例が示されている。同様に、アップコンバージョン波長における残留アップコンバージョンビーム22及び(存在する場合に)差周波数波長におけるアップコンバージョン済み画像ビーム24を減衰又は阻止させつつ、和周波数波長におけるアップコンバージョン済み画像ビームが検出器アレイ40に到達することを可能にするべく、アップコンバージョン波長と和周波数波長の間のカットオフ波長を有するショートパスフィルタ38を使用することもできよう。
【0033】
別の例においては、両方のアップコンバージョン済みビーム24の(スペクトル的に)少なくとも一部分が検出器40に到達することを可能にしつつ、残留アンプコンバージョンビーム22を減衰又は阻止するべく、公称的にアップコンバージョン波長においてセンタリングされた、所謂ノッチフィルタ38(例えば、ブラッグフィルタ又は多層薄膜干渉型フィルタ)を利用することができよう。実際に、
図3B、
図3C、
図3D、又は
図3Fに示されている波長の特定の組合せに適した薄膜ノッチフィルタは、アップコンバージョンビーム22とアップコンバージョン済み画像ビーム24の間の十分な弁別を提供することができず、即ち、現時点においては、それぞれの波長における残留アップコンバージョンビーム22の十分な減衰とアップコンバージョン済み画像ビーム24の十分な透過の両方を有する、十分に狭い拒絶帯域幅を有するこのような薄膜ノッチフィルタを設計及び製造することが困難である。また、アップコンバージョンビーム22の供給源の特性に応じて、そのスペクトルが、いくつかの例においては、過剰な帯域幅又は望ましくない側波帯を有する可能性があり、この問題は、いくつかの例においては、アップコンバージョンビーム22のスペクトルを「クリーンアップ」するための、λ
UCにおいてセンタリングされた(透過において使用される)帯域通過フィルタ又は(反射において使用される)ノッチフィルタの使用により、軽減することができる。いずれのケースにおいても、波長のその他の更に広く分離された組合せのために、現時点において入手可能なノッチフィルタを適切に利用することが可能であり、或いは、
図3B、
図3C、
図3D、又は
図3Fの波長の組合せに伴って、改善された設計及び性能を有する将来のノッチフィルタを利用することもできよう。
【0034】
1つ又は複数の薄膜フィルタの代わりに、又はこれに加えて、撮像検出器アレイ40へのアップコンバージョンビーム22の透過を低減するべく、1つ又は複数のブラッグフィルタを利用することができる。ブラッグ型のノッチフィルタは、通常、薄膜ノッチフィルタのものよりも狭いスペクトル拒絶帯域幅を有する。このようなブラッグフィルタの適切な例は、例えば、OptiGrate Corporationによって製造されているBragGrate(商標)ラマンフィルタ、(あたかもすべてが本明細書において記述されているかのように、引用により、包含される)Elimov他に対して発行された米国特許第6,673,497号明細書において開示されているブラッグフィルタ、或いは、(あたかもすべてが本明細書において記述されているかのように、引用により、包含される)Asher et al,Spectroscopy Vol.1 No.12 p.26(1986)において開示されているものなどの結晶質コロイド状ブラッグフィルタを含む。このようなブラッグフィルタは、アップコンバージョンスペクトルとアップコンバージョン済み画像スペクトルの相対的に近接した間隔を結果的にもたらす相対的に低いテラヘルツ周波数が利用されている場合にも、アップコンバージョン済み画像ビーム24とアップコンバージョンビーム20の間の十分な弁別(例えば、
図3Fにおけるように、例えば、約0.3THz未満のテラヘルツ周波数における約2〜3ナノメートル以下の分離、或いは、約0.1THz未満のテラヘルツ周波数における約1ナノメートル未満の分離)を提供することができる。この代わりに、又はこれに加えて、アップコンバージョン済み画像ビーム24と残留アップコンバージョンビーム20を弁別するべく、(例えば、DWDM光電子通信システムにおいて利用されているものなどのような)その他のタイプの波長依存性フィルタを利用することもできる。
【0035】
ビーム22及び24が直交偏光されている場合には、(ショートパス、ロングパス、又はノッチの)1つ又は複数のフィルタリング要素38の代わりに、或いは、(更に一般的には)これに加えて、任意の適切なタイプの偏光器39を利用することができる。本開示又は添付の請求項の範囲内において、既存の又は将来開発される任意の適切な1つ又は複数の偏光器又は1つ又は複数のスペクトルフィルタリング要素を利用することがきる。アップコンバージョンスペクトルとアップコンバージョン済み画像スペクトルの相対的に近接した間隔の例においては、1つ又は複数の波長依存性フィルタ38の代わりに、又はこれに加えて、使用される1つ又は複数の偏光器39は、アップコンバージョンビーム22とアップコンバージョン済み画像ビーム24の十分な弁別を提供することができる。利用されているフィルタリングとは無関係に、わずかに数ナノメートル未満であるビーム22及び24の間のスペクトル分離の場合には、アップコンバージョンビーム22の透過は、いくつかの例においては、10
6分の1、10
7分の1、或いは、10
8分の1、のレベルとなりうる一方において、その他の例においては、(上述の相対的に大きなスペクトル分離の場合と同様に)相対的に望ましい、10
10分の1又は10
12分の1を実現することができる。
【0036】
1つのアップコンバージョン済み画像ビーム24のみが検出器アレイ40において取得されることを要する場合にも、DFGアップコンバージョン済み画像ビーム24の生成が有利でありうることに留意されたい。それぞれのSFG光子は、テラヘルツ画像ビーム20から失われる対応するテラヘルツ光子を犠牲にして生成されており、従って、SFGアップコンバージョン済み画像ビーム24の強度は、テラヘルツ画像ビーム20において入手可能な光子の数によって制限されている。対照的に、アップコンバージョン済み画像ビーム24内において生成されるそれぞれのDFG光子も、テラヘルツ画像ビーム20内において生成される新しい光子を結果的にもたらす。従って、DFGアップコンバージョン済み画像ビーム24の強度は、アップコンバージョンビーム22内において入手可能である光子の(格段に大きい)数により、制限されている。この結果、1つのアップコンバージョン済み画像のみが取得されることを要する場合には、そのアップコンバージョン済み画像を生成するべく、DFGを利用することが望ましくありうる。但し、DFGアップコンバージョン済み画像ビーム24の生成は、SFGのために、テラヘルツ画像ビーム20内において更なる光子を利用可能な状態とする。DFGアップコンバージョン済み画像ビーム24がフィルタ38によって減衰又は阻止され、且つ、SFGアップコンバージョン済み画像ビーム24のみが検出器アレイ40に到達する場合にも、DFGアップコンバージョン済み画像ビーム24の生成は、SFGアップコンバージョン済み画像ビーム24の検出強度を増大させることができる。
【0037】
以前の段落において記述されている同時SFG及びDFGは、特定の条件下においてのみ、生じることに留意されたい。本明細書において記述されている例においては、準位相整合されたSFG及びDFGプロセスの受付帯域幅は、十分に大きく、両方のプロセスは、
図3B〜
図3Dの例において示されているλ
UC≒1064nm、λ
SFG≒1058nm、及びλ
DFG≒1070nmの組合せにおいて、或いは、
図3Fの例において示されているλ
UC≒1550nm、λ
SFG≒1547.6nm、及びλ
DFG≒1552.4nmの組合せにおいて、ほぼ最適な効率により、発生しうる。相対的に広く分離されたSFG及びDFG波長の場合には(即ち、相対的に高いテラヘルツ周波数の場合には)、或いは、相対的に小さな受付帯域幅を有する線形光学媒体の場合には、SFG及びDFGアップコンバージョン済み画像ビーム24の両方を生成することが可能ではない場合がある。
【0038】
図6A〜
図6Cは、テラヘルツ画像のアップコンバージョンを使用して(透過状態において対象物10として)撮像された、それぞれ、シート金属片内の交差形状のアパーチャ、ナット、及びカミソリの刃を示している。
図7A〜
図7Cは、左側は、対応する未加工の透過及びアップコンバージョン済み画像であり、右側は、(対象物10を有していない)アップコンバージョン済みテラヘルツ撮像ビーム21であり、且つ、
図8A〜
図8Cは、(アップコンバージョン済みテラヘルツ撮像ビームによって未加工のアップコンバージョン済み画像ビームを除算することによって正規化された)対応する正規化済みのアップコンバージョン済み画像である。
図9A〜
図9Cは、テラヘルツ画像のアップコンバージョンを使用して(透過状態において対象物10として)撮像された、それぞれ、接着テープによってカバーされたカミソリの刃、葉っぱ、及び水に濡れた紙片を示している。
図10A〜
図10Cは、対応する未加工の透過及びアップコンバージョン済み画像であり、且つ、
図11A〜
図11Cは、(アップコンバージョン済みテラヘルツ撮像ビームによって未加工のアップコンバージョン済み画像ビームを除算することによって正規化された)対応する正規化済みの透過及びアップコンバージョン済み画像である。
図6A〜
図8Cの例は、テラヘルツ放射に対して不透明である対象物の透過テラヘルツ画像のアップコンバージョン(即ち、このような対象物のテラヘルツ「シャドー」のアップコンバージョン)を示している。
図9A〜
図11Cの例は、空間的に変化するテラヘルツ透過状態(例えば、葉脈又は紙の濡れた領域)を有する、且つ、光照明の下において識別可能ではない特徴(例えば、テープによって隠蔽されたカミソリの刃)を有する、対象物の透過テラヘルツ画像のアップコンバージョンを示している。
【0039】
図12には、所謂ホモダイン検出を使用して反射及びアップコンバージョン済みテラヘルツ画像を生成及び取得するシステムの別の例が概略的に示されている。先行する例においては、アップコンバージョン済みテラヘルツ画像の位置依存性強度は、テラヘルツ画像の強度にのみ依存しており、即ち、アップコンバージョン済み画像の位置依存性強度は、その画像の位置依存性位相から実質的に独立している。この例においては、撮像テラヘルツビーム20からテラヘルツ基準ビーム23を分離するべく、ビームスプリッタ44が利用されている。ビームスプリッタ44は、テラヘルツ基準ビーム23をテラヘルツ画像ビーム21と組み合わせており、次いで、これらのビームは、非線形光学媒体36を通じて共伝播する。テラヘルツ基準ビーム23及びテラヘルツ画像ビーム21の相対位相は、例えば、
図15に示されているように、遅延ラインの長さを変化させることにより、変更することができる。この構成においては、それぞれのアップコンバージョン済み画像の位置依存性強度は、テラヘルツ画像ビーム及びテラヘルツ基準ビームの対応する相対位相に少なくとも部分的に依存している。それぞれの画像位置における強度及び位相の両方を含むテラヘルツ画像を取得することにより、潜在的に、画像強度のみの場合よりも、対象物10に関する相対的に多くの情報をもたらすことができる。例えば、所与の対象物は、強度のみが検出される場合には、特徴なし画像をもたらしうるが、画像に跨る位相変動として表される画像特徴を示しうるであろう。このような例は、可視光に対して均一に透明であるが空間依存性の屈折率を有する対象物に類似しており、透過強度のみから構成された画像は、この空間的変動を見逃すことになろう。
【0040】
図12のホモダイン検出構成においては、組み合わせられたテラヘルツ基準ビーム23及びテラヘルツ画像ビーム21は、コヒーレントな重畳として、非線形光学媒体36に到達している。組み合わせられたビームの合計テラヘルツ強度は、個々の基準及び画像ビームの振幅の二乗に対応する位相独立性部分を含むことになり、且つ、両方の振幅に伴う交差項に対応した位相依存性部分をも含むことになる。一例においては、合計強度は、画像ビームよりも100倍だけ強力である基準ビームと組み合わせられた画像ビームのアップコンバージョンに由来している。これらのビームの干渉は、基準強度の約±20%の位相依存性強度変動を結果的にもたらす。これは、事実上、画像ビームの増幅として見なすことが可能であり、例えば、いくつかの例においては、ノイズ又は検出感度などの要因に応じて、100倍だけ小さい公称的にゼロのバックグラウンド信号よりも容易に非ゼロのバックグラウンドの±20%変調を検出及び定量化することができよう。
【0041】
ホモダイン検出は、単一の検出器を使用することにより、利用することが可能であり、検出器は、アップコンバージョン済み画像ビーム24に跨ってスキャニングされ、且つ、それぞれの検出器場所において、テラヘルツ基準及び画像ビームの相対位相を変化させるべく、遅延ラインがスキャニングされる。或いは、この代わりに、それぞれの異なる相対位相において完全な画像を取得するアレイ検出器を利用することもできる。いずれのケースにおいても、結果的に得られる画像は、(例えば、対応する振幅及び位相画像を使用することにより、或いは、複素値画像の実数及び虚数部分とも呼称されうる、所謂「同相」及び「直交」画像を使用することにより)位相依存性量を処理するべく、標準的な方法に従って提示又は解釈することができる。ホモダイン検出技法は、光学コヒーレンス断層撮像の分野において広く利用されており、この分野において開発された様々な数値的、演算的、又は分析方法は、アップコンバージョン済みテラヘルツ画像のホモダイン検出に容易に適用することができる。
【0042】
図1、
図2、又は
図5の構成は、アップコンバージョン済みテラヘルツ画像に加えて、その他の波長における対象物10の画像の便利な取得を可能にするべく、変更することができる。例えば、テラヘルツ撮像ビーム21の経路に沿って伝播するように、アップコンバージョンビーム22をリダイレクトするべく、運動可能なオプティクスを利用することができる。ビームスプリッタ34及び非線形光学媒体36は、ビーム経路から容易に除去されうるように、且つ、フィルタ38又は偏光器39が、適宜、除去又は置換されうるように、取り付けることができる。例えば、これらの要素をビーム経路内に又は外にスワップするべく、フィルタホイールを利用することができる。この結果、所与の対象物を異なる波長(例えば、1.55THz及び1064nm)において定位置において撮像することが可能であり、且つ、次いで、これらの画像の間において、比較又は相関を実施することができる。これに加えて、(λ
UCに加えて)利用可能でありうるその他の波長も、同様に、対象物10を撮像するべく、使用することができる。
【0043】
以上に加えて、以下の例が本開示又は添付の請求項の範囲に含まれている。
【0044】
例1:対象物のアップコンバージョン済みテラヘルツ画像を取得する方法であって、(a)約0.05THz〜約10THzのテラヘルツ周波数、テラヘルツ帯域幅、及びテラヘルツ平均パワーを特徴とする連続波テラヘルツ撮像ビームによって対象物を照明するステップと、(b)対象物によって又はその周辺において透過された、或いは、対象物から反射又は散乱された、テラヘルツ撮像ビームの少なくとも一部分を収集し、且つ、非線形光学媒体を通じてテラヘルツ画像ビームとして伝播するように、その一部分を導くステップであって、テラヘルツ画像ビームは、非線形光学媒体におけるテラヘルツ画像ビームサイズを特徴としている、ステップと、(c)非線形光学媒体を通じて伝播するように、連続波アップコンバージョンビームを導くステップであって、アップコンバージョンビームは、非線形光学媒体内においてテラヘルツ画像ビームと少なくとも部分的に空間的にオーバーラップしており、且つ、アップコンバージョン波長、アップコンバージョン帯域幅、アップコンバージョン平均パワー、及び非線形光学媒体におけるアップコンバージョンビームサイズを特徴としている、ステップと、(d)テラヘルツ画像ビームとアップコンバージョンビームとの間の和又は差周波数生成によって生成された一方又は両方の波長を特徴とするアップコンバージョン済み画像ビームを形成するべく、非線形光学媒体内のテラヘルツ画像ビーム及びアップコンバージョンビームの非線形光学相互作用により、テラヘルツ画像ビームの少なくとも一部分をアップコンバージョンするステップと、(e)画像検出器を使用することにより、アップコンバージョン済み画像ビームの少なくとも一部分を受け取り、且つ、画像検出器により、アップコンバージョン済み画像ビームによって画像検出器において形成されたアップコンバージョン済み画像を検出するステップと、(f)画像フィルタリング要素を使用することにより、アップコンバージョンビームの約10
6分の1未満が画像検出器に到達することを許容するステップと、を有し、(g)この場合に、テラヘルツ平均パワーは、約0.1W超であり、アップコンバージョン波長は、約400nm〜約3500nmであり、アップコンバージョン帯域幅は、約0.1nm未満であり、且つ、アップコンバージョン平均パワーは、約1W超である方法。
【0045】
例2:例1の方法であって、アップコンバージョン波長は、約1000nm〜約1100nmであり、アップコンバージョン帯域幅は、約0.01nm未満であり、且つ、アップコンバージョン平均パワーは、約10W超である方法。
【0046】
例3:例1の方法であって、アップコンバージョン波長は、約1500nm〜約1600nmであり、アップコンバージョン帯域幅は、約0.01nm未満であり、且つ、アップコンバージョン平均パワーは、約5W超である方法。
【0047】
例4:例1〜3のいずれか1つの例の方法であって、アップコンバージョンビームの供給源は、固体レーザー、ファイバレーザー、又は半導体レーザーである方法。
【0048】
例5:例1〜例4のいずれか1つの例の方法であって、(i)テラヘルツ周波数は、約3THz未満であり、且つ、テラヘルツ平均パワーは、約0.3W超であり、或いは、(ii)テラヘルツ周波数は、約1.6THz未満であり、且つ、テラヘルツ平均パワーは、約0.5W超である方法。
【0049】
例6:例1〜5のいずれか1つの例の方法であって、テラヘルツビームの供給源は、後進波型発振器、1つ又は複数のテラヘルツ増幅器、又は1つ又は複数の高調波生成器を含む方法。
【0050】
例7:例1〜6のいずれか1つの例の方法であって、アップコンバージョン済み画像波長は、(i)アップコンバージョン波長よりも約1nm未満だけ小さい又は約1nm未満だけ大きい、或いは、これらの両方であり、(ii)アップコンバージョン波長よりも約1〜2nmだけ小さい又は約1〜2nmだけ大きい、或いは、これらの両方であり、(iii)アップコンバージョン波長よりも約2〜3nmだけ小さい又は約2〜3nmだけ大きい、或いは、これらの両方であり、(iv)アップコンバージョン波長よりも約3〜4nmだけ小さい又は約3〜4nmだけ大きい、或いは、これらの両方であり、(v)アップコンバージョン波長よりも約4〜5nmだけ小さい又は約4〜5nmだけ大きい、或いは、これらの両方であり、且つ、(vi)アップコンバージョン波長よりも約5〜6nmだけ小さい又は約5〜6nmだけ大きい、或いは、これらの両方である方法。
【0051】
例8:例1〜7のいずれか1つの例の方法であって、画像フィルタリング要素は、(i)アップコンバージョンビームの約10
6分の1未満が画像検出器に到達する、(ii)アップコンバージョンビームの約10
7分の1未満が画像検出器に到達する、(iii)アップコンバージョンビームの約10
8分の1未満が画像検出器に到達する、(iv)アップコンバージョンビームの約10
10分の1未満が画像検出器に到達する、或いは、(v)アップコンバージョンビームの約10
12分の1未満が画像検出器に到達する、ことを許容するように要請されている方法。
【0052】
例9:例1〜8のいずれか1つの例の方法であって、画像フィルタリング要素は、1つ又は複数の波長依存性フィルタを含む方法。
【0053】
例10:例9の方法であって、1つ又は複数の波長依存性フィルタのうちの少なくとも1つは、アップコンバージョン波長とアップコンバージョン済み画像波長のうちの1つとの間の公称カットオフ波長を有するショートパス又はロングパスフィルタを有する方法。
【0054】
例11:例9又は10のいずれか1つの例の方法であって、1つ又は複数の波長依存性フィルタのうちの少なくとも1つは、公称的にアップコンバージョン波長においてセンタリングされたノッチフィルタを有する方法。
【0055】
例12:例1〜11のいずれか1つの例の方法であって、非線形光学媒体は、アップコンバージョン済み画像ビームの偏光が、アップコンバージョンビームの偏光に対して実質的に垂直となるように、構成されている方法。
【0056】
例13:例1〜12のいずれか1つの例の方法であって、アップコンバージョンビーム及びアップコンバージョン済み画像ビームは、相互の関係において実質的に直交するように偏光され、且つ、画像フィルタリング要素は、アップコンバージョンビームを実質的に阻止するように構成された1つ又は複数の偏光器を含む方法。
【0057】
例14:例1〜11のいずれか1つの例の方法であって、非線形光学媒体は、アップコンバージョン済み画像ビームの偏光がアップコンバージョンビームの偏光に対して実質的に平行となるように、構成されている方法。
【0058】
例15:例1〜14のいずれか1つの例の方法であって、非線形光学媒体は、非線形光学相互作用が、厳格に位相整合されたプロセスとなるように、構成されている方法。
【0059】
例16:例1〜14のいずれか1つの例の方法であって、非線形光学媒体は、非線形光学相互作用が、厳格に位相整合されていないプロセスとなるように、構成されている方法。
【0060】
例17:例1〜14のいずれか1つの例の方法であって、非線形光学媒体は、非線形光学相互作用が、準位相整合されたプロセスとなるように、構成されている方法。
【0061】
例18:例17の方法であって、非線形光学媒体は、周期的に分極した非線形光学結晶を有する方法。
【0062】
例19:例17の方法であって、非線形光学媒体は、非線形光学媒体の2枚以上の光学的に接触したプレートの積層体を有する方法。
【0063】
例20:例17の方法であって、非線形光学媒体は、厚さが約300μmである6〜12枚の光学的に接触したGaAsのプレートの積層体を有し、テラヘルツ周波数は、約1.55THzであり、且つ、アップコンバージョン波長は、約1064nmである方法。
【0064】
例21:例1〜16のいずれか1つの例の方法であって、非線形光学媒体は、厚さが最大で約8〜9mmである単一のGaAsプレートを有し、テラヘルツ周波数は、約0.3THzであり、且つ、アップコンバージョン波長は、約1550nmである方法。
【0065】
例22:例1〜21のいずれか1つの例の方法であって、(i)第1合焦要素が、テラヘルツ撮像ビームの一部分を収集し、且つ、非線形光学媒体を通じて伝播するように、テラヘルツ画像ビームを導き、(ii)対象物及び非線形光学媒体は、テラヘルツ画像ビームが非線形光学媒体において対象物のテラヘルツ画像を形成するように、第1合焦要素の個々の共役面において位置決めされており、(iii)第2合焦要素が、アップコンバージョン済み画像ビームの一部分を収集し、且つ、画像検出器まで伝播するように、アップコンバージョン済み画像ビームを導き、且つ、(iv)非線形光学媒体及び画像検出器は、アップコンバージョン済み画像ビームがアップコンバージョン済み画像を画像検出器において形成するように、第2合焦要素の個々の共役面において位置決めされている方法。
【0066】
例23:例1〜21のいずれか1つの例の方法であって、(i)有効焦点距離f
1を特徴とする第1合焦要素が、テラヘルツ撮像ビームの一部分を収集し、且つ、非線形光学媒体を通じて伝播するように、テラヘルツ画像ビームを導き、(ii)対象物及び非線形光学媒体は、テレヘルツ画像ビームが非線形光学媒体において対象物のテラヘルツ画像の空間フーリエ変換を形成するように、それぞれ、第1合焦要素から約f
1の距離において位置決めされており、(iii)有効焦点距離f
2を特徴とする第2合焦要素が、アップコンバージョン済み画像ビームの一部分を収集し、且つ、画像検出器まで伝播するように、アップコンバージョン済み画像ビームを導き、且つ、(iv)非線形光学媒体及び画像検出器は、アップコンバージョン済み画像ビームが画像検出器においてアップコンバージョン済み画像を形成するように、それぞれ、第2合焦要素から約f
2の距離において位置決めされている方法。
【0067】
例24:例1〜23のいずれか1つの例の方法であって、画像検出器は、撮像検出器アレイを有し、且つ、アップコンバージョン済み画像を検出するステップは、撮像検出器アレイの複数の対応する検出器要素上においてアップコンバージョン済み画像ビームの異なる空間的部分を同時に受け取るステップを有する方法。
【0068】
例25:例1〜23のいずれか1つの例の方法であって、画像検出器は、単一の検出器要素を有し、且つ、アップコンバージョン済み画像を検出するステップは、単一の検出器要素上においてアップコンバージョン済み画像ビームの異なる空間的部分を順番に受け取るように、単一の検出器要素をアップコンバージョン済み画像ビームに跨ってスキャニングするステップを有する方法。
【0069】
例26:例1〜25のいずれか1つの例の方法であって、アップコンバージョン済み画像の位置依存性強度は、テラヘルツ画像の位置依存性位相から実質的に独立している方法。
【0070】
例27:例1〜25のいずれか1つの例の方法であって、テラヘルツ基準ビームを形成するべく、テラヘルツ撮像ビームの一部分を分割するステップと、非線形光学媒体を通じて共伝播するように、テレヘルツ基準ビーム及びテラヘルツ画像ビームを組み合わせるステップと、テラヘルツ画像ビーム及びテラヘルツ基準ビームの対応する異なる相対位相を有する複数のアップコンバージョン済みテラヘルツ画像を取得するステップと、を更に有し、それぞれのアップコンバージョン済み画像の位置依存性強度は、テラヘルツ画像ビーム及びテラヘルツ基準ビームの対応する位置依存性相対位相に少なくとも部分的に依存している方法。
【0071】
例28:対象物のアップコンバージョン済みテラヘルツ画像を取得する装置であって、(a)約0.05THz〜約10THzのテラヘルツ周波数、テラヘルツ帯域幅、及びテラヘルツ平均パワーを特徴とするテラヘルツ撮像ビームにより、対象物を照明するように構成された連続波テラヘルツ供給源と、(b)対象物によって又はその周辺において透過された、或いは、対象物から反射又は散乱された、テラヘルツ撮像ビームの少なくとも一部分を収集し、且つ、非線形光学媒体を通じてテラヘルツ画像ビームとして伝播するように、その一部分を導くように構成された1つ又は複数のテラヘルツ光学コンポーネントであって、テラヘルツ画像ビームは、非線形光学媒体におけるテラヘルツ画像ビームサイズを特徴としている、テラヘルツ光学コンポーネントと、(c)連続波アップコンバージョンビームを放出するように構成された光源と、(d)非線形光学媒体を通じて伝播するように、アップコンバージョンビームを導くように構成された1つ又は複数の光学コンポーネントであって、アップコンバージョンビームは、非線形光学媒体内においてテラヘルツ画像ビームと少なくとも部分的に空間的にオーバーラップしており、且つ、アップコンバージョン波長、アップコンバージョン帯域幅、及びアップコンバージョン平均パワー、及び非線形光学媒体におけるアップコンバージョンビームサイズを特徴としている、光学コンポーネントと、(e)非線形光学媒体であって、テラヘルツ画像ビームとアップコンバージョンビームの間の和又は差周波数生成によって生成された一方又は両方の波長を特徴とするアップコンバージョン済み画像ビームを形成するべく、非線形光学媒体内のテラヘルツ画像ビーム及びアップコンバージョンビームの非線形光学相互作用により、テラヘルツ画像ビームの少なくとも一部分をアップコンバージョンするように構成された非線形光学媒体と、(f)アップコンバージョン済み画像ビームの少なくとも一部分を受け取り、且つ、アップコンバージョン済み画像ビームによって画像検出器において形成されたアップコンバージョン済み画像を検出するように、構成された画像検出器と、(g)アップコンバージョンビームの約10
6分の1未満が画像検出器に到達することを許容するように構成された画像フィルタリング要素と、を有し、(h)アップコンバージョン波長は、約400nm〜約3500nmであり、アップコンバージョン帯域幅は、約0.1nm未満であり、且つ、アップコンバージョン平均パワーは、約1W超である装置。
【0072】
例29:例28の装置であって、アップコンバージョン波長は、約1000nm〜約1100nmであり、アップコンバージョン帯域幅は、約0.01nm未満であり、且つ、アップコンバージョン平均パワーは、約10W超である装置。
【0073】
例30:例28の装置であって、アップコンバージョン波長は、約1500nm〜約1600nmであり、アップコンバージョン帯域幅は、約0.01nm未満であり、且つ、アップコンバージョン平均パワーは、約5W超である装置。
【0074】
例31:例28〜30のいずれか1つの例の装置であって、アップコンバージョンビームの供給源は、固体レーザー、ファイバレーザー、又は半導体レーザーである装置。
【0075】
例32:例28〜31のいずれか1つの例の装置であって、(i)テラヘルツ周波数は、約3THz未満であり、且つ、テラヘルツ平均パワーは、約0.3W超であり、或いは、(ii)テラヘルツ周波数は、約1.6THz未満であり、且つ、テラヘルツ平均パワーは、約0.5W超である装置。
【0076】
例33:例28〜32のいずれか1つの例の装置であって、テラヘルツビームの供給源は、後進波型発振器、1つ又は複数のテラヘルツ増幅器、又は1つ又は複数の高調波生成器を含む装置。
【0077】
例34:例28〜33のいずれか1つの例の装置であって、アップコンバージョン済み画像波長は、(i)アップコンバージョン波長よりも約1nm未満だけ小さい又は約1nm未満だけ大きい、或いは、これらの両方であり、(ii)アップコンバージョン波長よりも約1〜2nmだけ小さい又は約1〜2nmだけ大きい、或いは、これらの両方であり、(iii)アップコンバージョン波長よりも約2〜3nmだけ小さい又は約2〜3nmだけ大きい、或いは、これらの両方であり、(iv)アップコンバージョン波長よりも約3〜4nmだけ小さい又は約3〜4nmだけ大きい、或いは、これらの両方であり、(v)アップコンバージョン波長よりも約4〜5nmだけ小さい又は約4〜5nmだけ大きい、或いは、これらの両方であり、或いは、(vi)アップコンバージョン波長よりも約5〜6nmだけ小さい又は約5〜6nmだけ大きい、或いは、これらの両方である装置。
【0078】
例35:例28〜34のいずれか1つの例の装置であって、画像フィルタリング要素は、(i)アップコンバージョンビームの約10
6分の1未満が画像検出器に到達する、(ii)アップコンバージョンビームの約10
7分の1未満が画像検出器に到達する、(iii)アップコンバージョンビームの約10
8分の1未満が画像検出器に到達する、(iv)アップコンバージョンビームの約10
10分の1未満が画像検出器に到達する、或いは、(v)アップコンバージョンビームの約10
12分の1未満が画像検出器に到達する、ことを許容するように構成されている装置。
【0079】
例36:例28〜35のいずれか1つの例の装置であって、画像フィルタリング要素は、1つ又は複数の波長依存性フィルタを含む装置。
【0080】
例37:例36の装置であって、1つ又は複数の波長依存性フィルタのうちの少なくとも1つは、アップコンバージョン波長とアップコンバージョン済み画像波長のうちの1つとの間の公称カットオフ波長を有するショートパス又はロングパスフィルタを有する装置。
【0081】
例38:例36又は37のいずれか1つの例の装置であって、1つ又は複数の波長依存性フィルタのうちの少なくとも1つは、公称的にアップコンバージョン波長においてセンタリングされたノッチフィルタを有する装置。
【0082】
例39:例28〜38のいずれか1つの例の装置であって、非線形光学媒体は、アップコンバージョン済み画像ビームの偏光がアップコンバージョンビームの偏光に対して実質的に垂直となるように、構成されている装置。
【0083】
例40:例28〜39のいずれか1つの例の装置であって、アップコンバージョンビーム及びアップコンバージョン済み画像ビームは、相互の関係において実質的に直交するように偏光されており、且つ、画像フィルタリング要素は、アップコンバージョンビームを実質的に阻止するように構成された1つ又は複数の偏光器を含む装置。
【0084】
例41:例28〜38のいずれか1つの例の装置であって、非線形光学媒体は、アップコンバージョン済み画像ビームの偏光がアップコンバージョンビームの偏光に対して実質的に平行となるように、構成されている装置。
【0085】
例42:例28〜41のいずれか1つの例の装置であって、非線形光学媒体は、非線形光学相互作用が、厳格に位相整合されたプロセスとなるように、構成されている装置。
【0086】
例43:例28〜41のいずれか1つの例の装置であって、非線形光学媒体は、非線形光学相互作用が、厳格に位相整合されていないプロセスとなるように、構成されている装置。
【0087】
例44:例29〜41の1つの例の装置であって、非線形光学媒体は、非線形光学相互作用が、準位相整合されたプロセスとなるように、構成されている装置。
【0088】
例45:例44の装置であって、非線形光学媒体は、周期的に分極した非線形光学結晶を有する装置。
【0089】
例46:例44の装置であって、非線形光学媒体は、非線形光学材料の2枚以上の光学的に接触したプレートの積層体を有する装置。
【0090】
例47:例44の装置であって、非線形光学媒体は、厚さが約300μmであるGaAsの6〜12枚の光学的に接触したプレートの積層体を有し、テラヘルツ周波数は、約1.55THzであり、且つ、アップコンバージョン波長は、約1064nmである装置。
【0091】
例48:例28〜43のいずれか1つの例の装置であって、非線形光学媒体は、最大で厚さが8〜9mmであるGaAsプレートを有し、テラヘルツ周波数は、約0.3THzであり、且つ、アップコンバージョン波長は、約1550nmである装置。
【0092】
例49:例28〜48のいずれか1つの例の装置であって、(i)1つ又は複数のテラヘルツ光学コンポーネントは、テラヘルツ撮像ビームの一部分を収集し、且つ、非線形光学媒体を通じて伝播するようにテラヘルツ画像ビームを導くように構成された第1合焦要素を含み、(ii)対象物又は非線形光学媒体は、テラヘルツ画像ビームが非線形光学媒体において対象物のテラヘルツ画像を形成するように、第1合焦要素の個々の共役面において位置決めされており、(iii)1つ又は複数の光学コンポーネントは、アップコンバージョン済み画像ビームの一部分を収集し、且つ、画像検出器まで伝播するようにアップコンバージョン済み画像ビームを導くように構成された第2合焦要素を含み、且つ、(iv)非線形光学媒体及び画像検出器は、アップコンバージョン済み画像ビームがアップコンバージョン済み画像を画像検出器において形成するように、第2合焦要素の個々の共役面において位置決めされている装置。
【0093】
例50:例28〜48のいずれか1つの例の装置であって、(i)1つ又は複数のテラヘルツ光学コンポーネントは、テラヘルツ撮像ビームの一部分を収集し、且つ、非線形光学媒体を通じて伝播するようにテラヘルツ画像ビームを導くように構成された、有効焦点距離f
1を特徴とする、第1合焦要素を含み、(ii)対象物及び非線形光学媒体は、テラヘルツ画像ビームが非線形光学媒体において対象物のテラヘルツ画像の空間フーリエ変換を形成するように、それぞれ、第1合焦要素から約f
1の距離において位置決めされており、(iii)1つ又は複数の光学コンポーネントは、アップコンバージョン済み画像ビームの一部分を収集し、且つ、画像検出器まで伝播するように、アップコンバージョン済み画像ビームを導くように構成された、有効焦点距離f
2を特徴とする第2合焦要素を含み、且つ、(iv)非線形光学媒体及び画像検出器は、アップコンバージョン済み画像ビームがアップコンバージョン済み画像を画像検出器において形成するように、それぞれ、第2合焦要素から約f
2の距離において位置決めされている装置。
【0094】
例51:例28〜50のいずれか1つの例の装置であって、画像検出器は、撮像検出器アレイの複数の対応する検出器要素上において、アップコンバージョン済み画像ビームの異なる空間的部分を同時に受け取るように位置決めし、構成された撮像検出器アレイを有する装置。
【0095】
例52:例28〜50のいずれか1つの例の装置であって、画像検出器は、単一の検出器要素上において、アップコンバージョン済み画像ビームの異なる空間的部分を順番に受け取るように、アップコンバージョン済み画像ビームに跨ってスキャニングされるように構成された単一の検出器要素を有する装置。
【0096】
例53:例28〜52のいずれか1つの例の装置であって、1つ又は複数のテラヘルツ光学コンポーネント又は1つ又は複数の光学コンポーネントの一方又は両方は、アップコンバージョン済み画像の位置依存性強度がテラヘルツ画像の位置依存性位相から実質的に独立するように、構成されている装置。
【0097】
例54:例28〜52のいずれか1つの例の装置であって、1つ又は複数のテラヘルツ光学コンポーネントは、テラヘルツ基準ビームを形成するべく、テラヘルツ撮像ビームの一部分を分割し、且つ、テラヘルツ画像ビーム及びテラヘルツ基準ビームの異なる相対波長を伴って、非線形光学媒体を通じて共伝播するように、テラヘルツ基準ビームとテラヘルツ画像ビームとを組み合わせるように構成されており、且つ、それぞれのアップコンバージョン済み画像の位置依存性強度は、テラヘルツ画像ビーム及びテラヘルツ基準ビームの対応する相対波長に少なくとも部分的に依存している装置。
【0098】
上述の「発明を実施するための形態」においては、本開示を合理化することを目的として、様々な特徴が、いくつかの例示用の実施形態において1つにグループ化されている場合がある。本開示のこの方法は、任意の特許請求された実施形態が、対応する請求項において明示的に記述されているものを上回る特徴を必要としているという意図を反映したものとして解釈してはならない。むしろ、添付の請求項に反映されているように、発明主題は、単一の開示されている例示用の実施形態の一部の特徴において存在しうる。従って、添付の請求項は、それぞれの請求項が別個の開示された実施形態としてそれ自体において成立する状態で、「発明を実施するための形態」に包含される。但し、本開示は、本明細書において明示的に開示されていない場合がある組を含む、本開示又は添付の請求項において出現する、1つ又は複数の開示された又は特許請求された特徴の任意の適切な組(即ち、互換性を有し、且つ、相互に排他的ではない、特徴の組)を有する任意の実施形態を黙示的に開示するものとしても解釈されるものとする。これに加えて、開示を目的として、添付の従属請求項のそれぞれは、あたかも、多数項引用形式において記述されており、且つ、一貫性を有するすべての先行する請求項に従属しているかのように解釈されるものとする。更には、添付の請求項の範囲は、必ずしも、本明細書において開示されている主題の全体を包含してはいないことにも留意されたい。
【0099】
本開示及び添付の請求項を目的として、接続詞「又は(or)」は、(i)例えば、「〜又は〜のいずれか(either...or)」、「〜のうちの1つのみ(only one of)」、又はこれらに類似した言語の使用による、などのように、そうではないことが明示的に主張されていない限り、或いは、(ii)列挙された代替の2つ以上が、特定の文脈において相互に排他的でない限り、包含的に解釈されることを要し(例えば、「犬又は猫(a dog or a cat)」は、「犬、又は猫、或いは、これらの両方(a dog,or a cat,or both)」として解釈されることになり、例えば、「犬、猫、又は鼠(a dog,a cat,or a mouse)は、「犬、又は猫、又は鼠、或いは、任意の2つ、或いは、すべての3つ(a dog,or a cat、 or a mouse,or any two,or all three)」と解釈されることになろう)、前述の「ii」のケースにおいては、「又は(or)」は、相互に排他的ではない代替を伴う組合せのみを包含することになろう。本開示及び添付の請求項を目的として、「有する(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という単語、並びに、これらの変形は、出現する場所とは無関係に、そうではない旨が明示的に記述されていない限り、あたかも「少なくとも(at least)」というフレーズが、そのそれぞれのインスタンスの後に追加されているものと同一の意味を伴って、オープンエンド型の用語として解釈されたい。本開示及び添付の請求項を目的として、数値的な量との関係において、「〜にほぼ等しい(about equal to)」、「〜に実質的に等しい(substantially equal to)」、「約〜超(greater than about)」、「約〜未満(less than about)」などのような用語が利用されている際には、異なる解釈が明示的に記述されていない限り、計測精度及び有効桁に関係する標準的な慣習が適用されるものとする。「実質的に防止される(substantially prevented)」、「実質的に存在しない(substantially absent)」、「実質的に除去される(substantially eliminated)」、「ゼロにほぼ等しい(about equal to zero)」、「無視可能(negligible)」などのようなフレーズによって記述されているヌル量の場合には、それぞれのこのようなフレーズは、対象の量が、開示されている又は特許請求されている装置又は方法の意図された動作又は使用の文脈において、実際的な目的のために、装置又は方法の全体的な振る舞い又は性能が、ヌル量が実際に完全に除去された、正確にゼロに等しい、或いは、さもなければ、正確にヌル化された場合に、発生していたであろうものと異ならない程度にまで、低減又は減少したケースを表記しているものとする。
【0100】
添付の請求項においては、(例えば、第1の、第2の、など、(a)、(b)、(c)など、或いは、(i)、(ii)、(iii)など、のような)請求項の要素、ステップ、限定、又はその他の部分の任意のラベル付与は、わかりやすさを目的としたものであるに過ぎず、且つ、このようにラベルが付与された請求項の部分の順序付け又は選好のなんらかのソートを意味するものと解釈してはならない。なんらかのこのような順序付け又は選好が意図されている場合には、その旨が請求項において明示的に記述されることになるか、或いは、いくつかのケースにおいては、その旨が、請求項の特定のコンテンツに基づいて黙示的又は本質的なものとなろう。添付の請求項においては、米国特許法第112(f)条の条項が装置請求項において発動されることが望ましい場合には、「手段(means)」という単語が、その装置請求項において出現することになる。これらの条項が方法請求項において発動されることが望ましい場合には、「〜ためのステップ(a step for)」という単語が、その方法請求項において出現することになる。逆に、「手段(means)」又は「〜ためのステップ(a step for)」という単語が請求項において出現していない場合には、その請求項における米国特許法第112(f)条の条項の発動が意図されてはいない。
【0101】
任意の1つ又は複数の開示が、引用により、本明細書において包含され、且つ、そのような包含された開示が、部分的又は全体的に本開示と矛盾している、或いは、範囲において異なっている、場合には、矛盾、相対的に広い開示、又は用語の相対的に広い定義の程度については、本開示が優先する。このような包含された開示が、互いに部分的又は全体的に矛盾している場合には、矛盾の程度については、新しい日付の開示が優先する。
【0102】
「要約書」は、特許文献における特定の主題についてのサーチに対する支援として必要とされている範囲において提供されている。但し、「要約書」は、その中に記述されている任意の要素、特徴、又は限定が、必ず、任意の特定の請求項によって包含されることを意味するべく意図してはいない。それぞれの請求項によって包含されている主題の範囲は、その請求項のみの記述により、判定されるものとする。