(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下部尿路症状(LUTS)、痛みまたはかゆみの治療若しくは予防用の医薬組成物を製造するための、請求項1〜5の何れか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、新規なα−置換グリシンアミド誘導体、またはその薬理学的に許容される塩、それを含有する医薬組成物およびその医薬用途を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、α−置換グリシンアミド誘導体を見出すべく鋭意検討した。その結果、本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩が強力なTRPM8阻害作用があることを見出し、本発明をなすに至った。
【0015】
即ち、前記課題を解決する為の手段は下記の通りである。
〔1〕一般式(I)で表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩
【0016】
【化6】
〔式中、
A
1は、以下のa)〜d):
a)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルコキシから独立して選択される1〜2個の基で置換されるC
6−10アリール、
b)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルコキシから独立して選択される1〜2個の基で置換される5員ヘテロ環、
c)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルコキシから独立して選択される1〜2個の基で置換される6員ヘテロ環、および
d)C
4−6シクロアルケニル
からなる群から選択される基であり;
A
2は、以下のe)〜h):
e)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシおよびC
1−6アルコキシカルボニルから独立して選択される1〜3個の基で置換されるC
6−10アリール、
f)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシおよびC
1−6アルコキシカルボニルから独立して選択される1〜3個の基で置換される5員ヘテロ環、
g)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシおよびC
1−6アルコキシカルボニルから独立して選択される1〜3個の基で置換される6員ヘテロ環、および
h)C
3−6シクロアルキル
からなる群から選択される基であり;
A
3は、以下のi)〜k):
i)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、ニトロ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシ、フェニル、アミノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1−6アルキル、(C
1−6アルキル)カルボキシ、カルバモイル、(C
1−6アルキル)カルボニル、C
1−6アルコキシカルボニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
2−6アルケニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
1−6アルコキシ、C
1−6アルコキシカルボニルフェニルC
1−6アルコキシ、(C
1−6アルキル)カルボニルアミノ、C
1−6アルキルスルホニルアミノ、(C
1−6アルキル)カルボキシC
1−6アルキルおよびC
1−6アルキルスルホニルから独立して選択される1〜2個の基で置換されるC
6−10アリール、
j)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、ニトロ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシ、フェニル、アミノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1−6アルキル、(C
1−6アルキル)カルボキシ、カルバモイル、(C
1−6アルキル)カルボニル、C
1−6アルコキシカルボニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
2−6アルケニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
1−6アルコキシ、(C
1−6アルキル)カルボニルアミノ、C
1−6アルキルスルホニルアミノ、(C
1−6アルキル)カルボキシC
1−6アルキルおよびC
1−6アルキルスルホニルから独立して選択される1〜2個の基で置換されるヘテロ環、および
k)C
3−6シクロアルキルまたはC
4−6シクロアルケニル
からなる群から選択される基であり;
L
1は、単結合またはC
1−6アルキレンであり;
R
1およびR
2は、互いに独立して、水素原子、C
1−6アルキルまたはヒドロキシC
1−6アルキルであり(但し、R
1およびR
2が同時にC
1−6アルキルである場合、互いに結合し環を形成していてもよく、R
1およびR
2が同時に水素原子ではない);
L
2は、単結合である。〕。
〔2〕L
1が単結合である、〔1〕記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
〔3〕R
1がメチルである、〔1〕または〔2〕記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
〔4〕A
2が、以下のe1)およびf1):
e1)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、C
3−6シクロアルキルおよびC
3−6シクロアルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニル、および
f1)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、C
3−6シクロアルキルおよびC
3−6シクロアルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されるチエニル
からなる群から選択される基である、〔1〕〜〔3〕記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
〔5〕
式(II):
【化7】
〔式中、
A
1が、以下のa)〜d):
a)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルコキシから独立して選択される1〜2個の基で置換されるC
6−10アリール、
b)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルコキシから独立して選択される1〜2個の基で置換される5員ヘテロ環、
c)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルコキシから独立して選択される1〜2個の基で置換される6員ヘテロ環、および
d)C
4−6シクロアルケニル
からなる群から選択される基であり;
A
2が、以下のe1)およびf1):
e1)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、C
3−6シクロアルキルおよびC
3−6シクロアルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニル、および
f1)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、C
3−6シクロアルキルおよびC
3−6シクロアルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されるチエニル
からなる群から選択される基であり;
A
3は、以下のi)〜k):
i)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、ニトロ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシ、フェニル、アミノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1−6アルキル、(C
1−6アルキル)カルボキシ、カルバモイル、(C
1−6アルキル)カルボニル、C
1−6アルコキシカルボニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
2−6アルケニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
1−6アルコキシ、C
1−6アルコキシカルボニルフェニルC
1−6アルコキシ、(C
1−6アルキル)カルボニルアミノ、C
1−6アルキルスルホニルアミノ、(C
1−6アルキル)カルボキシC
1−6アルキルおよびC
1−6アルキルスルホニルから独立して選択される1〜2個の基で置換されるC
6−10アリール、
j)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、ニトロ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシ、フェニル、アミノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1−6アルキル、(C
1−6アルキル)カルボキシ、カルバモイル、(C
1−6アルキル)カルボニル、C
1−6アルコキシカルボニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
2−6アルケニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
1−6アルコキシ、(C
1−6アルキル)カルボニルアミノ、C
1−6アルキルスルホニルアミノ、(C
1−6アルキル)カルボキシC
1−6アルキルおよびC
1−6アルキルスルホニルから独立して選択される1〜2個の基で置換されるヘテロ環、および
k)C
3−6シクロアルキルまたはC
4−6シクロアルケニル
からなる群から選択される基である。〕
で表される、〔4〕記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
〔6〕A
1が、以下のa1)〜c1)およびd):
a1)非置換または1〜2個のハロゲン原子で置換されるフェニル、
b1)非置換または1個のC
1−6アルキルで置換される5員ヘテロ環、
c1)非置換の6員ヘテロ環、および
d)C
4−6シクロアルケニル
からなる群から選択される基である、〔1〕〜〔5〕記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
〔7〕A
3が、以下のi1)、j1)およびk):
i1)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、C
3−6シクロアルコキシ、アミノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1−6アルキル、(C
1−6アルキル)カルボニル、(C
1−6アルキル)カルボニルアミノ、および(C
1−6アルキル)カルボキシC
1−6アルキルから独立して選択される1〜2個の基で置換されるフェニル、
j1)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、およびアミノから選択される1個の基で置換されるヘテロ環、および
k)C
3−6シクロアルキルまたはC
4−6シクロアルケニル
からなる群から選択される基である、〔1〕〜〔6〕記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
〔8〕A
1が以下のa2)およびc2):
a2)非置換または1〜2個のハロゲン原子で置換されるフェニル、および
c2)非置換のピリジル
からなる群から選択される基であり;
A
2が非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、C
3−6シクロアルキルおよびC
3−6シクロアルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニルであり;
A
3が、以下のi2)およびj2):
i2)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、C
3−6シクロアルコキシ、アミノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1−6アルキル、(C
1−6アルキル)カルボニル、(C
1−6アルキル)カルボニルアミノ、および(C
1−6アルキル)カルボキシC
1−6アルキルから独立して選択される1〜2個の基で置換されるフェニル、および
j2)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、およびアミノから選択される1個の基で置換されるピリジル
からなる群から選択される基である、〔1〕〜〔7〕記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
〔9〕A
1が非置換のフェニルまたはピリジルであり;
A
2が非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、およびシアノから独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニルであり;
A
3が、以下のi3)およびj3):
i3)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、アミノ、およびヒドロキシから独立して選択される1〜2個の基で置換されるフェニル、および
j3)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、およびアミノから選択される1個の基で置換されるピリジル
からなる群から選択される基である、〔1〕〜〔8〕記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
〔10〕A
2が以下の基:
【化8】
である((*)は結合位置を表す。)、〔1〕〜〔9〕記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
〔11〕下記の群から選択される〔1〕記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩:
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]−2−フルオロベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−2−フルオロ−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−ジフルオロメトキシフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−2−クロロ−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−2−フルオロ−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−3−フルオロ−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−4−フルオロ−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]シクロヘキセン−1−イルカルボキサミド、
2−アミノ−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−{(R)−1−[3−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルピリジン−3−イルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
2−アミノ−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−2−メトキシニコチンアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミドおよび
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド。
〔12〕下記の群から選択される〔1〕記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩:
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]−2−フルオロベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−ジフルオロメトキシフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−2−クロロ−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−2−フルオロ−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド、
2−アミノ−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]ニコチンアミドおよび
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−{(R)−1−[3−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}ベンズアミド。
【0017】
〔13〕前記〔1〕〜〔12〕の何れか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
〔14〕求心性神経の過剰興奮または障害に起因する疾患または症状の治療若しくは予防用の、前記〔13〕記載の医薬組成物。
〔15〕前記〔1〕〜〔12〕の何れか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効量投与することからなる、求心性神経の過剰興奮または障害に起因する疾患または症状の治療若しくは予防方法。
〔16〕求心性神経の過剰興奮または障害に起因する疾患または症状の治療若しくは予防用の医薬組成物を製造するための、前記〔1〕〜〔12〕の何れか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
〔17〕一般式(I)で表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩
【0018】
【化9】
〔式中、
A
1は、以下のa)〜d):
a)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルコキシから独立して選択される1〜2個の基で置換されるC
6−10アリール、
b)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルコキシから独立して選択される1〜2個の基で置換される5員ヘテロ環、
c)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルコキシから独立して選択される1〜2個の基で置換される6員ヘテロ環、および
d)C
4−6シクロアルケニル
からなる群から選択される基であり;
A
2は、以下のe)〜h):
e)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシおよびC
1−6アルコキシカルボニルから独立して選択される1〜3個の基で置換されるC
6−10アリール、
f)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシおよびC
1−6アルコキシカルボニルから独立して選択される1〜3個の基で置換される5員ヘテロ環、
g)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシおよびC
1−6アルコキシカルボニルから独立して選択される1〜3個の基で置換される6員ヘテロ環、および
h)C
3−6シクロアルキル
からなる群から選択される基であり;
A
3は、以下のi)〜k):
i)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、ニトロ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシ、フェニル、アミノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1−6アルキル、(C
1−6アルキル)カルボキシ、カルバモイル、(C
1−6アルキル)カルボニル、C
1−6アルコキシカルボニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
2−6アルケニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
1−6アルコキシ、C
1−6アルコキシカルボニルフェニルC
1−6アルコキシ、(C
1−6アルキル)カルボニルアミノ、C
1−6アルキルスルホニルアミノ、(C
1−6アルキル
)カルボキシC
1−6アルキルおよびC
1−6アルキルスルホニルから独立して選択される1〜2個の基で置換されるC
6−10アリール、
j)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、ニトロ、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルコキシ、フェニル、アミノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1−6アルキル、(C
1−6アルキル)カルボキシ、カルバモイル、(C
1−6アルキル)カルボニル、C
1−6アルコキシカルボニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
2−6アルケニル、C
1−6アルコキシカルボニルC
1−6アルコキシ、(C
1−6アルキル)カルボニルアミノ、C
1−6アルキルスルホニルアミノ、(C
1−6アルキル)カルボキシC
1−6アルキルおよびC
1−6アルキルスルホニルから独立して選択される1〜2個の基で置換されるヘテロ環、および
k)C
3−6シクロアルキルまたはC
4−6シクロアルケニル
からなる群から選択される基であり;
L
1は、単結合またはC
1−6アルキレンであり;
R
1およびR
2は、互いに独立して、水素原子、C
1−6アルキルまたはヒドロキシC
1−6アルキルであり(但し、R
1およびR
2が同時にC
1−6アルキルである場合、互いに結合し環を形成していてもよい);
L
2は、単結合、C
1−6アルキレンまたは下記の式:
【化10】
である((*)は結合位置を表す。)。〕を含有する、痛み、寒冷性鼻炎、かゆみ、しびれ、蕁麻疹、過活動膀胱、排尿筋過活動、夜間頻尿、間質性膀胱炎、膀胱痛症候群、過知覚膀胱症候群、尿失禁または尿道狭窄の治療若しくは予防用医薬組成物。
【発明の効果】
【0019】
本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、例えば、国際公開2009/012430号記載の方法に準じた、Icilin誘発wet−dog shake抑制作用確認試験において、強力な抑制作用を示した。よって、本発明の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩は、求心性神経の過剰興奮または障害に起因する疾患または症状の治療若しくは予防用医薬組成物として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書における用語について説明する。
【0021】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。フッ素原子または塩素原子が好ましい。
【0022】
「C
1−6アルキル」とは、炭素数1〜6の分枝していても良いアルキルを意味する。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル等が挙げられる。
【0023】
「C
1−6アルコキシ」とは、炭素数1〜6の分枝していても良いアルコキシを意味する。例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0024】
「ハロC
1−6アルキル」とは、1〜5個の同種または異種のハロゲン原子で置換された上記C
1-6アルキルを意味する。例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−クロロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、3−フルオロプロピル、2−フルオロプロピル、1−フルオロプロピル、3,3−ジフルオロプロピル、2,2−ジフルオロプロピル、1,1−ジフルオロプロピル、1−フルオロブチル、1−フルオロペンチル、1−フルオロヘキシル等が挙げられる。
【0025】
「ハロC
1−6アルコキシ」とは、1〜5個の同種または異種のハロゲン原子で置換された上記C
1−6アルコキシを意味する。例えば、モノフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2−クロロエトキシ、2−フルオロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、1,1−ジフルオロエトキシ、1,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ、3−フルオロプロポキシ、2−フルオロプロポキシ、1−フルオロプロポキシ、3,3−ジフルオロプロポキシ、2,2−ジフルオロプロポキシ、1,1−ジフルオロプロポキシ、4−フルオロブトキシ、5−フルオロペンチルオキシ、6−フルオロヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0026】
「ヒドロキシC
1−6アルキル」とは、ヒドロキシで置換された上記C
1−6アルキルを意味する。例えば、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシ−1,1−ジメチルメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、3−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0027】
「C
6−10アリール」とは、フェニルまたはナフチルをいう。
【0028】
「モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ」とは、上記C
1−6アルキルでモノまたはジ置換されたアミノをいう。ジ置換の場合のC
1−6アルキルは異なっていてもよい。
【0029】
「C
1−6アルキルスルホニル」とは、(C
1−6アルキル)−SO
2−で表される基を意味する。例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル等が挙げられる。
【0030】
「C
1−6アルキルスルホニルアミノ」とは、上記C
1−6アルキルスルホニルが置換したアミノを意味する。
【0031】
「(C
1−6アルキル)カルボニル」とは、上記C
1−6アルキルが置換したカルボニルを意味する。例えば、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、イソブチルカルボニル、ブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、ペンチルカルボニル、ヘキシルカルボニル等が挙げられる。
【0032】
「(C
1−6アルキル)カルボニルアミノ」とは、上記(C
1−6アルキル)カルボニルが置換したアミノを意味する。
【0033】
「C
1−6アルコキシカルボニル」とは、上記C
1−6アルコキシが置換したカルボニルを意味する。例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0034】
「C
1−6アルコキシカルボニルC
2−6アルケニル」とは、上記C
1−6アルコキシカルボニルが置換したC
2−6アルケニルを意味する。例えば、メトキシカルボニルビニル、エトキシカルボニルビニル、メトキシカルボニルアリル、エトキシカルボニルアリル等が挙げられる。
【0035】
「C
1−6アルコキシカルボニルC
1−6アルコキシ」とは、上記C
1−6アルコキシカルボニルが置換した上記C
1−6アルコキシを意味する。
【0036】
「C
1−6アルコキシカルボニルフェニルC
1−6アルコキシ」とは、上記C
1−6アルコキシカルボニルが置換したフェニルが置換したC
1−6アルコキシを意味する。
【0037】
「(C
1−6アルキル)カルボキシ」とは、上記C
1−6アルキルが置換したカルボキシを意味する。例えば、アセトキシ、エチルカルボキシ、プロピルカルボキシ、イソプロピルカルボキシ、イソブチルカルボキシ、ブチルカルボキシ、sec−ブチルカルボキシ、tert−ブチルカルボキシ、ペンチルカルボキシ、ヘキシルカルボキシ等が挙げられる。
【0038】
「(C
1−6アルキル)カルボキシC
1−6アルキル」とは、上記(C
1−6アルキル)カルボキシが置換した上記C
1−6アルキルを意味する。
【0039】
「C
3−6シクロアルキル」とは、炭素数3〜6個の単環性飽和脂環式炭化水素を意味する。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
【0040】
「C
3−6シクロアルコキシ」とは、炭素数3〜6個の単環性飽和脂環式炭化水素を有するアルコキシを意味する。例えば、シクロプロポキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシが挙げられる。
【0041】
「C
4−6シクロアルケニル」とは、環内に少なくとも1個の二重結合を有する、炭素数4〜6個の単環性不飽和脂環式炭化水素を意味する。例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等が挙げられる。
【0042】
「ヘテロ環」とは、硫黄原子、酸素原子、窒素原子の中から選ばれた1〜4個の原子を含む5または6員ヘテロ環を示し、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、アゼピニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、ピラニル、ピリジル、1−オキシドピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、フラザニル等の芳香族ヘテロ環、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチオピラニル、ジヒドロピリジル等の不飽和ヘテロ環、およびモルホニル、チオモルホニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル等の飽和ヘテロ環を挙げることができる。
なお、上記「ヘテロ環」は他の環式基と縮環していてもよく、例えば、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、クロメニル、クロマノニル、キサンテニル、フェノキサチイニル、インドリジニル、イソインドリジニル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、カルボリニル、アクリジニル、イソインドリニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、イミダゾ[1,2−a]ピラジニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾチエニル、5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジニル等を挙げることができる。
【0043】
A
1の「5員ヘテロ環」として、フリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、1,2,3−チアジアゾリルまたはオキサゾリルが好ましい。
A
1の「6員ヘテロ環」として、ピリジルが好ましい。
A
2の「5員ヘテロ環」として、チエニルが好ましい。
A
3の「ヘテロ環」として、チエニル、ピロリル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、キノリル、インドリル、が好ましく、ピリジルがより好ましい。
【0044】
「R
1およびR
2が同時にC
1−6アルキルである場合、互いに結合し環を形成していてもよく」とは、例えば、下記の式:
【化11】
が挙げられる((*)は結合位置を表す。)。
【0045】
「C
1−6アルキレン」とは、炭素数1〜6の2価の分枝していても良い飽和炭化水素鎖を意味する。例えば、−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH(CH
3)−、−(CH
2)
3−、−CH(CH
3)CH
2−、−CH
2CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−(CH
2)
4−、−CH(CH
3)−(CH
2)
2−、−(CH
2)
2−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−CH
2−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH
2−C(CH
3)
2−、−CH(CH
3)−CH(CH
3)−、−(CH
2)
5−、−CH(CH
3)−(CH
2)
3−、−C(CH
3)
2CH
2CH
2−、−(CH
2)
6−、−C(CH
3)
2(CH
2)
3−等が挙げられる。
【0046】
「C
7−10アラルキルオキシ」とは、フェニル基で置換された炭素数1〜4個のアルコキシを意味する。例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、1−フェニルエチルオキシ、3−フェニルプロピルオキシ、4−フェニルブチルオキシ等が挙げられる。
【0048】
本発明の化合物(I)には、光学異性体、幾何異性体等のような立体異性体も含まれる。
本発明の化合物(I)の光学異性体は、各不斉炭素原子における立体配置がR配置またはS配置のいずれの立体配置であってもよい。また、いずれの光学異性体も本発明に含まれ、それらの光学異性体の混合物も含まれる。さらに、光学活性体の混合物において、等量の各光学異性体からなるラセミ体も本発明の範囲に含まれる。本発明の化合物(I)がラセミ体の固体または結晶である場合、ラセミ化合物、ラセミ混合物およびラセミ固溶体も本発明の範囲に含まれる。
本発明の化合物(I)において、幾何異性体が存在する場合、本発明はその幾何異性体のいずれも包含する。
また、本発明の化合物(I)において、互変異性体が存在する場合、本発明はその互変異性体のいずれも包含する。
【0049】
本発明の化合物(I)は、必要に応じて常法に従い、その薬理学的に許容される塩とすることができる。このような塩としては、酸付加塩または塩基との塩を挙げることができる。
【0050】
酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸との酸付加塩、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、プロピオン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、炭酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の有機酸との酸付加塩等を挙げることができる。
【0051】
塩基との塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の無機塩基との塩、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、アルギニン、リジン等の有機塩基との塩を挙げることができる。
【0052】
さらに本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩には、水和物、エタノール等の医薬品として許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。
【0053】
TRPM8は、脊髄後根神経節や三叉神経節に発現が認められるカチオンチャネルである。TRPM8阻害薬は、TRPM8を介した細胞内への陽イオン流入量を減少させ、細胞内陽イオン濃度の上昇を抑制する。この作用に基づき、TRPM8阻害薬は、過剰に興奮した求心性神経活動を抑制することで、下部尿路症状(LUTS)、中でも過活動膀胱(OAB)等の症状の治療若しくは予防用医薬組成物として有用である。
また、TRPM8阻害作用は、TRPM8作動薬であるIcilin投与により誘発されるwet−dog shake作用を抑制する効力によって評価することができる。更に、J.Urol.,2001,166,1142記載の方法に準じた、酢酸誘発排尿筋過活動膀胱の排尿間隔に対する延長作用確認試験により、過活動膀胱(OAB)に対する効果を評価することができる。
【0054】
本発明の一般式(I)で表される化合物の別の態様としては、
A
1は、以下のa3)、b3)、c2)およびd):
a3)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルキルから独立して選択される1〜2個の基で置換されるフェニル、
b3)非置換またはC
1−6アルキルで置換される芳香族5員ヘテロ環、
c2)非置換のピリジルおよび
d)C
4−6シクロアルケニル
からなる群から選択される基であり;
A
2は、以下のe2)、f2)およびh):
e2)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、C
3−6シクロアルキルおよびC
3−6シクロアルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニル、
f2)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子およびC
1−6アルキルから選択される1個の基で置換されるチエニル、
h)C
3−6シクロアルキル
からなる群から選択される基であり;
A
3は、以下のi4)、j4)およびk):
i4)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルコキシ、シアノ、C
3−6シクロアルコキシ、アミノ、モノ(ジ)C
1−6アルキルアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1−6アルキル、カルバモイル、(C
1−6アルキル)カルボニル、(C
1−6アルキル)カルボニルアミノ、(C
1−6アルキル)カルボキシC
1−6アルキルおよびC
1−6アルキルスルホニルから独立して選択される1〜2個の基で置換されるフェニル、
j4)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルコキシ、アミノ、ヒドロキシから選択される1個の基で置換されるヘテロ環、および
k)C
3−6シクロアルキルまたはC
4−6シクロアルケニル
からなる群から選択される基であり;
L
1は、単結合またはC
1−6アルキレンであり;
R
1およびR
2は、互いに独立して、水素原子、C
1−6アルキルまたはヒドロキシC
1−6アルキルであり(但し、R
1およびR
2が同時にC
1−6アルキルである場合、互いに結合し環を形成していてもよく、R
1およびR
2が同時に水素原子ではない);
L
2は単結合である。
【0055】
また、本発明の一般式(I)で表される化合物の別の態様としては、
A
1が非置換のフェニルであり;
A
2が非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルコキシから独立して選択される1〜2個の基で置換されるフェニルであり;
A
3が、以下のi5)、j5)およびk1):
i5)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、アミノ、ヒドロキシから独立して選択される1〜2個の基で置換されるフェニル、
j5)非置換または以下からなる群:C
1−6アルコキシ、アミノから選択される1個の基で置換されるピリジル、
k1)C
4−6シクロアルケニル
からなる群から選択される基であり;
L
1は、単結合であり;
R
1はC
1−6アルキルであり、R
2は水素原子であり;
L
2は、単結合である。
【0056】
また、本発明の一般式(I)で表される化合物の別の態様としては、
A
1が非置換のフェニルであり;
A
2が非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、C
1−6アルコキシ、ハロC
1−6アルキルおよびハロC
1−6アルコキシから独立して選択される1〜2個の基で置換されるフェニルであり;
A
3が、以下のi6)およびj6):
i6)非置換または以下からなる群:ハロゲン原子、アミノから独立して選択される1〜2個の基で置換されるフェニル、
j6)非置換のピリジル
からなる群から選択される基であり;
L
1は、単結合であり;
R
1はC
1−6アルキルであり、R
2は水素原子であり;
L
2は、単結合である。
【0058】
本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、以下に詳述する方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0059】
本発明の化合物(I)は、化合物(Ia)として、スキーム1に示す方法により製造することができる。
【0061】
(式中、A
1、A
2、A
3、L
1、L
2、R
2、R
1は前記と同義であり;R
c1はC
1−6アルコキシ基、C
7−10アラルキルオキシ基またはアミノ基であり;R
c2は脱離基を表す。)
【0062】
工程1−1
化合物(1)と化合物(2)とを、溶媒中反応させることにより、化合物(3)を製造することができる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、酢酸、メタノール、エタノール、トルエン、それらの混合溶媒などが挙げられる。また、本反応は、必要に応じてp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸、塩酸、四塩化チタン、ボロントリフルオリド・ジエチルエーテル錯体などの酸を添加して行うことができる。反応温度は、0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜3日間である。
【0063】
工程1−2
化合物(3)を溶媒中、還元剤と反応させることにより、化合物(4)を製造することができる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、酢酸、メタノール、エタノール、アセトニトリル、それらの混合溶媒などが挙げられる。還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、ボラン・ピリジン錯体、ボラン・ジエチルアミン錯体などが挙げられる。反応温度は、0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。
また、本反応は上記還元剤を使用する代わりに、溶媒中、触媒量の金属触媒と水素雰囲気下で反応させることにより行うことができる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、それらの混合溶媒などが挙げられる。金属触媒としては、例えば、パラジウム炭素、酸化白金、ラネーニッケルなどが挙げられる。反応温度は、0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜3日間である。本反応は、常圧(約1気圧)〜10気圧で実施される。
【0064】
工程1−3
化合物(4)を適切な溶媒中、塩基の存在下、化合物(5)と反応させることにより、化合物(6)を製造することができる。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。塩基としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。R
C2としては、塩素原子、臭素原子、(CH
2CO)
2N−O−、p−ニトロフェノキシ等が挙げられる。また、本反応は、必要に応じてN,N−ジメチル−4−アミノピリジンなどを添加して行うことができる。反応温度は、0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜3日間である。
なお、化合物(6)において、R
c1がアミノ基である化合物は化合物(Ia)を示し、R
c1がC
1−6アルコキシ基、C
7−10アラルキルオキシ基である化合物は化合物(6a)を示す。
【0065】
工程1−4
工程1−3において化合物(6a)を得た場合、化合物(6a)を溶媒中アルカリ水溶液と反応させることにより、化合物(7)を製造することができる。また、R
C1がベンジルオキシ基などの場合は、溶媒中、金属触媒と水素雰囲気下で反応させることもできる。このような反応は当業者には周知であり、例えば、Greene & Wuts著編「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」fourth Edition, Wiley-Interscience, 2006年に記載の方法を用いて行うことができる。
【0066】
工程1−5
化合物(7)を溶媒中、縮合剤の存在下、アンモニア等価体と反応させることにより、化合物(Ia)を製造することができる。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。縮合剤としては、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスファート、3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1,2,3−ベンゾ[d]トリアジン−4(3H)−オンなどが挙げられる。アンモニア等価体としては、塩化アンモニウムなどが挙げられる。本反応は、必要に応じてトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基および1−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどの活性化剤を添加して行うことができる。反応温度は、0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。
【0067】
化合物(4)は、スキーム2に示す方法によって製造することもできる。
【0069】
(式中、A
1、A
2、L
1、R
1は前記と同義であり;R
c1はC
1−6アルコキシ基、C
7−10アラルキルオキシ基またはアミノ基であり;R
c3は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。)
【0070】
工程2−1
化合物(8)を溶媒中、化合物(9)と反応させることにより化合物(4)を製造することができる。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどが挙げられる。本反応は、必要に応じてトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムなどの塩基を添加して行うことができる。反応温度は、0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜3日間である。
【0071】
本発明の化合物(I)は、スキーム3に示す方法によって得ることもできる。
【0073】
(式中、A
1、A
2、A
3、L
1、L
2、R
1、R
2は前記と同義であり;R
c4、R
c5はそれぞれC
1−6アルキル基またはR
c4、R
c5が結合して−(CHR
c6)n−で表される基を形成し;nは2〜4の整数であり;R
c6は水素原子またはフェニル基を表す。)
【0074】
工程3−1
化合物(10)、化合物(11)、化合物(12)を溶媒中、化合物(13)と反応させることにより化合物(14)を製造することができる。このような反応はUgi反応として当業者には周知であり、例えば、Domling A., Ugi I. Angewandte Chemie International Edition 2000, 39, 3168-3210に記載の方法を用いて行うことができる。反応温度は、−78℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度などにより異なるが、通常10分〜1日間である。化合物(10)は必要に応じて、対応する塩にトリエチルアミンなどの塩基を反応系中で加えて調製することができる。
【0075】
工程3−2
化合物(14)を溶媒中、酸性条件下で加水分解することにより化合物(I)を製造することができる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。酸としては、塩化水素、硫酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。反応温度は、0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度などにより異なるが、通常5分〜1日間である。
【0076】
化合物(2)、化合物(8)、化合物(11)および化合物(12)は、それぞれ、市販の試薬として入手できるほか、文献記載の方法もしくはそれに準じた方法で製造することができる。
化合物(1)は市販の試薬として入手できるほか、例えば、Strecker反応として当業者に周知の反応を用いて対応するアミノ酸を得たのち、アミド化またはエステル化することにより製造することができる。
化合物(9)および(10)は市販の試薬として入手できるほか、例えば、Jonathan A. Ellman et al., Accounts of Chemical Research 2002, 35, 984-995に記載の方法を用いて製造することができる。
化合物(13)は市販の試薬として入手できるほか、例えば、W. Maison et al., Bioorganic Medicinal Chemistry 2000, 8, 1343-1360に記載の方法を用いて製造することができる。
【0077】
上記に示したスキームは、本発明の化合物(I)またはその製造中間体を製造する為の方法の例示である。これらは、当業者に容易に理解され得るようなスキームへの様々な改変が可能である。
【0078】
また、官能基の種類により保護基が必要な場合は、常法に従って適宜導入および除去の操作を組み合わせて実施することができる。保護基の種類、導入、除去に関しては、例えば、Theodra W. Greene & Peter G. M. Wuts著編,「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」, fourth edition, Wiley-Interscience, 2006年の記載を例示することができる。
【0079】
本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩、および当該化合物を製造する為に使用される製造中間体は、必要に応じて、当該分野における当業者にとって周知の単離・精製手段である溶媒抽出、晶析・再結晶、クロマトグラフィー、分取高速液体クロマトグラフィー等により、単離・精製することができる。
【0080】
本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物は、用法に応じ種々の剤形のものが使用される。このような剤形としては、例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤、液剤、軟膏剤、坐剤、貼付剤、舌下剤等を挙げることができ、経口または非経口的に投与される。
【0081】
これらの医薬組成物は、その剤形に応じて公知の手法により、適切な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤等の医薬品添加物と適宜混合または希釈・溶解することにより調剤することができる。また、本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩とTRPM8阻害薬以外の薬剤とを組み合わせて使用する場合は、それぞれの活性成分を同時または別々に、前述と同様に製剤化することにより製造することができる。
【0082】
本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、Icilin誘発wet−dog shake抑制作用確認試験においてTRPM8阻害に基づく強力な抑制作用を示す。したがって、本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬は、TRPM8阻害作用により、TRPM8の活性化に起因する疾患または症状の治療若しくは予防用医薬組成物として使用することができる。
【0083】
「TRPM8の活性化に起因する疾患もしくは症状」は、求心性神経の過剰興奮または障害に起因する疾患または症状を意味する。
「求心性神経の過剰興奮または障害に起因する疾患または症状」には、不安、鬱病、下部尿路症状(LUTS)、痛み、循環障害、かゆみ、しびれ、蕁麻疹等が含まれる。下部尿路症状(LUTS)、痛み、循環障害の治療若しくは予防のために使用するのが好ましい。
【0084】
「下部尿路症状(LUTS)」とは、下部尿路機能障害等によって引き起こされる症状をいい、「下部尿路機能障害」としては、過活動膀胱、排尿筋過活動、夜間頻尿、間質性膀胱炎等の膀胱炎、慢性前立腺炎等の前立腺炎、膀胱痛症候群、過知覚膀胱症候群、尿失禁、前立腺肥大症、尿道狭窄等が挙げられる。
過活動膀胱、排尿筋過活動、夜間頻尿、間質性膀胱炎等の膀胱炎、膀胱痛症候群、過知覚膀胱症候群、尿失禁、尿道狭窄の治療若しくは予防のために使用するのが好ましい。
【0085】
「循環障害」としては、寒冷性鼻炎、レイノー病等が挙げられ、寒冷性鼻炎の治療若しくは予防のために使用するのが好ましい。
【0086】
本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、TRPM8阻害薬以外の少なくとも1種の薬剤と適宜組み合わせて使用することもできる。
【0087】
本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と組み合わせて使用できる薬剤としては、オピオイド鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、バルビツレート系鎮静薬、鎮静作用を有するベンゾジアゼピン系薬剤、鎮静作用を有するH
1ブロッカー、鎮静剤、骨格筋弛緩薬、NMDA受容体拮抗薬、αアドレナリン作用薬、三環系抗うつ薬、抗痙攣薬、タキキニン拮抗薬(NK拮抗薬)、ムスカリン受容体拮抗薬、COX−2選択的阻害薬、コールタール鎮痛薬、神経遮断薬、TRPV1作動薬、TRPV1阻害薬、βブロッカー、局所麻酔薬、コルチコステロイド、5−HT受容体作動薬、5−HT
2A受容体拮抗薬、コリン作動性鎮痛薬、PDE5阻害薬、PDE9阻害薬、α2δリガンド、カンナビノイド、代謝型グルタミン酸受容体1拮抗薬(mGluR1拮抗薬)、代謝型グルタミン酸受容体5拮抗薬(mGluR5拮抗薬)、セロトニン再取り込み阻害薬、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、誘導型一酸化窒素合成酵素阻害剤(iNOS阻害剤)、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChE阻害薬)、EP4拮抗薬、ロイコトリエンB4拮抗薬、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ナトリウムチャンネルブロッカー、5−HT3拮抗薬、化学療法のための薬剤、EP1拮抗薬、β3アドレナリン作動薬、TRPA1阻害薬、TRPV3阻害薬、TRPV4阻害薬、T型カルシウムチャネル阻害薬、ASIC阻害薬、P2X阻害薬、Trk阻害薬、FAAH阻害薬、ボツリヌス毒素、5α還元酵素阻害剤、抗NGF抗体、NGF調節薬、IgE産生抑制剤、ヒスタミンH2阻害剤、膀胱粘膜保護剤、NOS活性調節剤、膀胱筋弛緩薬、GABA再取り込み阻害薬、GABA受容体調節薬、GABA aminotransferase inhibitor等が挙げられる。
【0088】
また、組み合わせて使用される薬剤を以下の通り具体的に例示するが、本発明の内容はこれらに限定されるものではない。また、具体的な化合物においてはそのフリー体、およびその他の薬理学的に許容される塩を含む。
【0089】
「αアドレナリン作用薬」としては、ドキサゾシン、タムスロシン、シロドシン、クロニジン、グアンファシン、デクスメデトミジン、モダフィニル、チザニジン、moxonidine等を挙げることができる。
【0090】
「ムスカリン受容体拮抗薬」としては、オキシブチニン、トルテロジン、プロピベリン、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリン、イプラトロピウム臭化物、トロスピウム、プロパンテリン、テミベリン、イミダフェナシン、フェソテロジン等を挙げることができる。
【0091】
「EP1拮抗薬」としては、GSK−269984A、ONO−8539等を挙げることができる。
【0092】
「β3アドレナリン作動薬」としては、ミラベグロン、ソラベグロン、TRK−380等を挙げることができる。
【0093】
「膀胱粘膜保護剤」としては、ポリ硫酸ペントサン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン等を挙げることができる。
【0094】
本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と上記薬剤の1種類またはそれ以上とを組み合わせて投与する場合、本発明は、以下の1)〜5):
1)配合剤による同時投与、
2)別個の製剤として、同一投与経路による同時投与、
3)別個の製剤として、異なる投与経路による同時投与、
4)別個の製剤として、同一投与経路による異なる時間での投与、および
5)別個の製剤として、異なる投与経路による異なる時間での投与
の何れの投与方法も含まれる。また、4)または5)のような別個の製剤として異なる時間に投与する場合、本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と、組み合わせて投与される上記の薬剤との投与順序については特に制限されない。
【0095】
また、本発明の化合物、またはその薬理学的に許容される塩は、1種類またはそれ以上の上記薬剤と適宜組み合わせて投与することにより、上記疾患の予防若しくは治療上相加効果以上の有利な効果を得ることができる。あるいは、同様に、単独に投与する場合と比較してその使用量を減少させたり、併用するTRPM8阻害薬以外の薬剤の副作用を減少させたり、または併用するTRPM8阻害薬以外の薬剤の副作用を回避もしくは軽減させることができる。
【0096】
本発明の医薬組成物は、全身的または局所的に、経口または非経口(経鼻、経肺、静脈内、直腸内、皮下、筋肉内、経皮等)により、投与することができる。
【0097】
本発明の医薬組成物を実際の治療に用いる場合、その有効成分である本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の投与量は、患者の年齢、性別、体重、疾患および治療の程度等により適宜決定される。例えば、経口投与の場合、成人(体重60kgとする)1日当たり概ね6〜3000mgの範囲で、一回または数回に分けて適宜投与することができる。経口剤としての1日当たりの投与量は、10〜1000mgが好ましく、60〜600mgがより好ましい。非経口投与の場合、成人1日当たり概ね0.6〜300mgの範囲で、一回または数回に分けて適宜投与することができる。非経口剤としての1日当たりの投与量は、1〜100mgが好ましく、6〜60mgがより好ましい。また、本発明のTRPM8阻害薬の有効成分である化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の投与量は、TRPM8阻害薬以外の薬剤の投与量に応じて減量することができる。
【0098】
以下、本発明を実施例、参考例及び試験例にて更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0099】
各参考例、各実施例、各試験例、各表中で用いている記号のうち、Ref.No.は参考例番号、Ex.No.は実施例番号、Strc.は構造式、P.D.は物性値、
1H−NMRは水素核核磁気共鳴スペクトルを意味し、CDCl
3はクロロホルム−d、DMSO−d
6はジメチルスルホキシド−d
6、CD
3ODはメタノール−dを意味する。また、MSは質量分析、ESIはエレクトロスプレーイオン化を意味する。RTは高速液体カラムクロマトグラフィーの保持時間を意味する。低極性生成物とは、2種類のジアステレオマー混合物を順相カラムクロマトグラフィーを用いて分離精製した場合、先に溶出する化合物をいい、高極性生成物とは、後に溶出する化合物を意味する。実施例番号末尾において、LPは低極性生成物、HPは高極性生成物、Mは光学異性体の混合物を示す。
【0100】
各参考例において、マイクロ波の照射はBiotage社Initiatorを用いた。
【0101】
各実施例において、高速液体カラムクロマトグラフィーおよび質量分析は下記の条件で行った。
装置:6520 Accurate-Mass Q-TOF instrument (Agilent)
カラム:Inertsil ODS-4 (GL-science) 2.1 x 50mm 3μm
流速:0.75mL/min.
グラジエント:
【表1】
【表2】
【実施例】
【0102】
参考例1−1
(RS)−2−フルオロフェニルグリシンアミド塩酸塩
(RS)−2−フルオロフェニルグリシン(1.0g)の水(10mL)/1,4−ジオキサン(20mL)懸濁液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(1.42g)およびトリエチルアミン(1.2mL)を室温で加え、同温度で14時間撹拌した。反応混合物に2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(12mL)および水(10mL)を加え、この混合液をジエチルエーテルで2回洗浄した。得られた水層に2mol/L塩酸(12mL)を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して、(RS)−N−tert−ブトキシカルボニル−2−フルオロフェニルグリシン(1.57g)を得た。(RS)−N−tert−ブトキシカルボニル−2−フルオロフェニルグリシン(0.70g)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)溶液に1−ヒドロキシベンズトリアゾール1水和物(0.597g)を室温で加えた。その混合物に塩化アンモニウム(0.695g)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.50mL)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.748g)を0℃で加え、室温で4日間撹拌した。反応混合物に1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して、(RS)−N−tert−ブトキシカルボニル−2−フルオロフェニルグリシンアミド(0.678g)を得た。(RS)−N−tert−ブトキシカルボニル−2−フルオロフェニルグリシンアミド(0.678g)の1,4−ジオキサン(10mL)溶液に4mol/L塩化水素1,4−ジオキサン溶液(10mL)を室温で加え、同温度で4時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出物を粉砕した。得られた固体を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄後、減圧乾燥させ、標題化合物(0.482g)を得た。構造式および物性値を表3に示した。
【0103】
参考例1−2〜1−8
対応する原料を用い、参考例1−1と同様の方法で参考例1−2〜1−8を合成した。参考例1−2〜1−8の構造式および物性値を表3〜4に示した。
【0104】
参考例2
3−シクロプロピル−5−フルオロベンズアルデヒド
3−ブロモ−5−フルオロベンズアルデヒド(0.05g)、シクロプロピルボロン酸一水和物(0.041g)、酢酸パラジウム(0.0055g)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.0069g)、リン酸カリウム(0.183g)、水(0.1mL)のトルエン(1mL)混合液にマイクロ波を照射し、150℃で10分間撹拌した。反応混合物に水および酢酸エチルを加え分液した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/30)で精製し、標題化合物(0.030g)を得た。構造式および物性値を表4に示した。
【0105】
参考例3−1
(R)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチルアミン塩酸塩
2,3−ジフルオロベンズアルデヒド(0.30g)および(S)−tert−ブチルスルフィンアミド(0.268g)のテトラヒドロフラン(10mL)混合液にオルトチタン酸テトラエチル(610μL)を室温で加え、終夜撹拌した。反応混合物に飽和食塩水を加え、セライトろ過した。このろ液に酢酸エチルを加え、抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/9−2/8)で精製し、(S)−N−(2,3−ジフルオロベンジリデン)−tert−ブタンスルフィンアミド(0.424g)を得た。(S)−N−(2,3−ジフルオロベンジリデン)−tert−ブタンスルフィンアミド(0.42g)のジクロロメタン(5mL)混合液に、1mol/L臭化メチルマグネシウムテトラヒドロフラン溶液(2.15mL)を−40℃で滴下し、同温にて1時間撹拌した。反応混合物を0℃まで昇温し、同温にて3時間撹拌した。反応混合物を室温まで昇温し、室温にて10分間撹拌した。反応混合物に水および飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1−8/2)で精製し、(S)−N−[(R)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチル]−tert−ブタンスルフィンアミド(0.25g)を得た。(S)−N−[(R)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチル]−tert−ブタンスルフィンアミド(0.24g)のメタノール(5mL)溶液に4mol/L塩化水素1,4−ジオキサン溶液(320μL)を室温で加え,同温にて1時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。この残渣に酢酸エチルを加え、析出物を粉砕してろ取した。得られた固体を減圧下乾燥し、標題化合物(0.14g)を得た。構造式および物性値を表4に示した。
【0106】
参考例3−2〜3−3
対応する原料を用い、参考例3−1と同様の方法で参考例3−2〜3−3を合成した。参考例3−2〜3−3の構造式および物性値を表4に示した。
【0107】
参考例4−1
(S)−N−{(R)−1−[3− (1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}−tert−ブタンスルフィンアミド
3−(1,1−ジフルオロエチル)ベンズアルデヒド(0.13g)および(S)−tert−ブチルスルフィンアミド(0.093g)のテトラヒドロフラン(4mL)混合液にオルトチタン酸テトラエチル(205μL)を室温で加え、終夜撹拌した。反応混合物に飽和食塩水を加え、セライトろ過した。このろ液に酢酸エチルを加え、抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/9−25/75)で精製し、(S)−N−[3−(1,1−ジフルオロエチル)ベンジリデン]−tert−ブタンスルフィンアミド(0.14g)を得た。(S)−N−[3−(1,1−ジフルオロエチル)ベンジリデン]−tert−ブタンスルフィンアミド(0.14g)のジクロロメタン(2mL)混合液に、1.12mol/L臭化メチルマグネシウムテトラヒドロフラン溶液(0.64mL)を−78℃で滴下し、同温にて1時間撹拌した。反応混合物を室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応混合物に水および飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1−8/2)で精製し、標題化合物(0.12g)を得た。構造式および物性値を表5に示した。
【0108】
参考例4−2
対応するカルボニル化合物を用い、参考例4−1と同様の方法で参考例4−2を合成した。参考例4−2の構造式および物性値を表5に示した。
【0109】
参考例5
(R)−1−(3−シクロプロポキシ−5−フルオロフェニル)エチルアミン
3−シクロプロポキシ−5−フルオロベンズアルデヒド(0.55g)および(S)−tert−ブチルスルフィンアミド(0.37g)のテトラヒドロフラン(10mL)混合液にオルトチタン酸テトラエチル(880μL)を室温で加え、終夜撹拌した。反応混合物に飽和食塩水を加え、セライトろ過した。このろ液に酢酸エチルを加え、抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/9−2/8)で精製し、(S)−N−(3−シクロプロポキシ−5−フルオロベンジリデン)−tert−ブタンスルフィンアミド(0.716g)を得た。(S)−N−(3−シクロプロポキシ−5−フルオロベンジリデン)−tert−ブタンスルフィンアミド(0.716g)のジクロロメタン(6mL)混合液に、1mol/L臭化メチルマグネシウムテトラヒドロフラン溶液(3.2mL)を−20℃で滴下し、同温にて0.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで昇温し、同温にて2時間撹拌した。反応混合物に水および飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=45/55−65/35)で精製し、(S)−N−[(R)−1−(3−シクロプロポキシ−5−フルオロフェニル)エチル]−tert−ブタンスルフィンアミド(0.53g)を得た。(S)−N−[(R)−1−(3−シクロプロポキシ−5−フルオロフェニル)エチル]−tert−ブタンスルフィンアミド(0.53g)のメタノール(5mL)溶液に4mol/L塩化水素1,4−ジオキサン溶液(620μL)を室温で加え,同温にて終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。この残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=10/90−100/0)で精製し、標題化合物(0.29g)を得た。構造式および物性値を表5に示した。
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
【表5】
【0113】
実施例1−1
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−メトキシベンジル)−2−チエナミド
(R)−フェニルグリシンアミド塩酸塩(103mg)のテトラヒドロフラン(1mL)/メタノール(1.5mL)溶液に、トリエチルアミン(0.13mL)および3−メトキシベンズアルデヒド(0.045mL)を室温で加え、その混合物を4時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して得た残渣を、テトラヒドロフラン(1mL)/メタノール(1.5mL)混合液に溶解した。この混合物に水素化ホウ素ナトリウム(139mg)を0℃で加えた。この混合物を0℃で30分間撹拌後、室温で14時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して得た残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1−4/1)で精製し、(R)−2−(3−メトキシベンジルアミノ)−2−フェニルアセトアミド(85mg)を得た。(R)−2−(3−メトキシベンジルアミノ)−2−フェニルアセトアミド(40mg)のジクロロメタン(1.2mL)溶液にトリエチルアミン(0.1mL)を室温で加えた。この混合液に2−テノイルクロリド(0.039mL)を0℃で加え、室温で11時間撹拌した。反応混合物にジクロロメタンを加えて希釈し、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1−4/1)で精製し、標題化合物(0.045g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表6に示した。
【0114】
実施例1−2〜1−95
対応する原料を用い、実施例1−1と同様の方法で実施例1−2〜1−95を合成した。実施例1−2〜1−95の構造式および物性値を表6〜21に示した。
【0115】
実施例2−1
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−トリフルオロメチルベンジル)ベンズアミド
(R)−フェニルグリシンアミド塩酸塩(0.05g)、トリエチルアミン(75μL)、および3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(0.049g)のテトラヒドロフラン(1mL)−メタノール(1mL)混合溶液を室温にて2時間撹拌した。アルゴン雰囲気下、反応混合物に10%パラジウム炭素(0.015g)を室温で加え、この混合物を水素雰囲気下2時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮した。この残渣に酢酸エチルを加え、不溶物を濾取し、濾液を減圧下濃縮した。この残渣をジクロロメタン(2mL)に溶解させ、トリエチルアミン(75μL)およびベンゾイルクロリド(34μL)を加え、この混合物を室温にて2時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=6/4−100/0)で精製し、標題化合物(0.044g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表22に示した。
【0116】
実施例2−2〜2−30
対応する原料を用い、実施例2−1と同様の方法で実施例2−2〜2−30を合成した。実施例2−2〜2−30の構造式および物性値を表22〜27に示した。
【0117】
実施例3−1
N−(カルバモイルフェニルメチル)−2−ヒドロキシ−N−(3−メトキシベンジル)ベンズアミド
2−{N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−メトキシベンジル)カルバモイル}フェニルアセタート(実施例1−44,0.060g)に2mol/Lアンモニアメタノール溶液(2mL)を室温で加え、その混合物を同温度で1時間撹拌した。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1−100/0)で精製し、標題化合物(0.047g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表28に示した。
【0118】
実施例3−2〜3−6
対応する原料を用い、実施例3−1と同様の方法で実施例3−2〜3−6を合成した。実施例3−2〜3−6の構造式および物性値を表28に示した。
【0119】
実施例4−1
N−(カルバモイルフェニルメチル)−4−ヒドロキシ−N−(3−メトキシベンジル)ベンズアミド
4−{N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−メトキシベンジル)カルバモイル}フェニルアセタート(実施例1−34,0.042g)のメタノール(1mL)溶液に、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.15mL)を加え、その混合物を室温にて1時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー((溶出溶媒:酢酸エチル/メタノール=100/0−9/1)で精製し、標題化合物(0.038g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表29に示した。
【0120】
実施例4−2
実施例1−47で得た化合物を用い、実施例4−1と同様の方法で実施例4−2を合成した。実施例4−2の構造式および物性値を表29に示した。
【0121】
実施例5−1
2−アミノ−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−メトキシベンジル)ベンズアミド
室温撹拌下、(R)−フェニルグリシンアミド塩酸塩(1.0g)およびトリエチルアミン(1.5mL)のテトラヒドロフラン(10mL)混合液に3−メトキシベンズアルデヒド(720μL)を加え、その混合物を室温にて2時間撹拌した。反応混合物にメタノール(10mL)および水素化ホウ素ナトリウム(1.01g)を加え、その混合物を室温にて4時間撹拌した。反応混合物に水を加え、減圧下溶媒を留去した。析出物を濾取し、減圧下乾燥して、(R)−2−(3−メトキシベンジルアミノ)−2−フェニルアセトアミド(1.24g)を得た。(R)−2−(3−メトキシベンジルアミノ)−2−フェニルアセトアミド(0.04g)およびトリエチルアミン(41μL)のジクロロメタン(1mL)混合液に2−ニトロベンゾイルクロリド(22μL)を加え、その混合物を室温にて終夜撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=8/2−100/0)で精製し、N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−メトキシベンジル)−2−ニトロベンズアミド(0.057g)を得た。N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−メトキシベンジル)−2−ニトロベンズアミド(0.048g)のメタノール(1mL)/テトラヒドロフラン(1mL)混合液に10%パラジウム炭素(0.01g)を室温で加え、その混合物を水素雰囲気下2時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮した。この残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=8/2−100/0)で精製し、標題化合物(0.026g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表30に示した。
【0122】
実施例5−2〜5−3
対応する原料を用い、実施例5−1と同様の方法で実施例5−2〜5−3を合成した。実施例5−2〜5−3の構造式および物性値を表30に示した。
【0123】
実施例6−1
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−2−ヒドロキシ−N−(3−トリフルオロメトキシベンジル)ベンズアミド
3−トリフルオロメトキシベンズアルデヒド(0.102g)のメタノール(30mL)溶液に、(R)−フェニルグリシンアミド塩酸塩(0.100g)およびトリエチルアミン(0.073mL)を室温で加え、この混合物を2時間撹拌した。反応混合物に水素化ホウ素ナトリウム(0.203g)を0℃で加え、この混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1−2/1)で精製し、(R)−2−フェニル−2−(3−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)アセトアミド(0.090g)を得た。(R)−2−フェニル−2−(3−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)アセトアミド(0.090g)とトリエチルアミン(0.046mL)のジクロロメタン(5mL)混液に、2−アセチルオキシベンゾイルクロリド(0.061g)を室温で加え、この混合物を2時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1−酢酸エチル−酢酸エチル/メタノール=10/1)で精製し、標題化合物(0.115g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表31に示した。
【0124】
実施例6−2〜6−11
対応する原料を用い、実施例6−1と同様の方法で実施例6−2〜6−11を合成した。なお、実施例6−2〜6−11の構造式および物性値を表31〜32に示した。
【0125】
実施例7−1
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(2−フルオロ−5−メチルベンジル)−2−ヒドロキシベンズアミド
室温撹拌下、(R)−フェニルグリシンアミド塩酸塩(0.10g)およびトリエチルアミン(150μL)のテトラヒドロフラン(2mL)/メタノール(2mL)混合液に2−フルオロ−5−メチルベンズアルデヒド(69μL)を加え、その混合物を室温にて1時間撹拌した。反応混合物に、10%パラジウム炭素(0.03g)を室温で加え、その混合物を水素雰囲気下4時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮して(R)−2−(2−フルオロ−5−メチルベンジルアミノ)−2−フェニルアセトアミド(0.135g)を得た。(R)−2−(2−フルオロ−5−メチルベンジルアミノ)−2−フェニルアセトアミド(0.073g)およびトリエチルアミン(75μL)のジクロロメタン(1mL)混合液にO−アセチルサリチロイルクロリド(0.059g)を加え、その混合物を室温にて3時間撹拌した。反応混合物に水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/メタノール=100/0−7/3)で精製し、標題化合物(0.040g)を得た。アセチル基はアミノプロピルシリカゲルにより切断された。標題化合物の構造式および物性値を表33に示した。
【0126】
実施例7−2〜7−11
対応する原料を用い、実施例7−1と同様の方法で実施例7−2〜7−11を合成した。実施例7−2〜7−11の構造式および物性値を表33〜34に示した。
【0127】
実施例8−1
2−アミノ−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−トリフルオロメチルベンジル)ベンズアミド
室温撹拌下、(R)−フェニルグリシンアミド塩酸塩(0.10g)およびトリエチルアミン(150μL)のテトラヒドロフラン(2mL)/メタノール(2mL)混合液に3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(75μL)を加え、その混合物を室温にて2時間撹拌した。反応混合物に10%パラジウム炭素(0.015g)を室温で加え、水素雰囲気下2時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮した。この残渣に酢酸エチルを加え、不溶物を濾去し、濾液を減圧下濃縮した。この残渣にジクロロメタン(2mL)を加え、溶解させた。トリエチルアミン(75μL)および2−ニトロベンゾイルクロリド(78μL)をその溶液に加えた。この混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=6/4−100/0)で精製し、N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−2−ニトロ−N−(3−トリフルオロメチルベンジル)ベンズアミド(0.11g)を得た。N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−2−ニトロ−N−(3−トリフルオロメチルベンジル)ベンズアミド(0.107g)のメタノール(1mL)およびテトラヒドロフラン(1mL)混合溶液に10%パラジウム炭素(0.01g)を室温で加え、その混合物を水素雰囲気下2時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮した。この残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=3/7−6/4)で精製し、標題化合物(0.041g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表35に示した。
【0128】
実施例8−2〜8−3
対応する原料を用い、実施例8−1と同様の方法で実施例8−2〜8−3を合成した。実施例8−2〜8−3の構造式および物性値を表35に示した。
【0129】
実施例9−1
4−{4−[(カルバモイルフェニルメチル)−(3−メトキシベンジル)カルバモイル]フェノキシメチル}安息香酸メチルエステル
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−4−ヒドロキシ−N−(3−メトキシベンジル)ベンズアミド(実施例4−1,0.036g)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、水素化ナトリウム(0.003g)および4−ブロモメチル安息香酸メチル(0.023g)を加え、その混合物を室温にて2時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=3/7−100/0)で精製し、標題化合物(0.033g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表36に示した。
【0130】
実施例9−2
実施例7−11で得た化合物を用い、実施例9−1と同様の方法で実施例9−2を合成した。実施例9−2の構造式および物性値を表36に示した。
【0131】
実施例10−1
(S)−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−トリフルオロメチルベンジル)ピロリジン−2−カルボキサミド
室温撹拌下、(R)−フェニルグリシンアミド塩酸塩(2.0g)およびトリエチルアミン(3.0mL)のテトラヒドロフラン(10mL)/メタノール(10mL)混合液に3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(1.5mL)を加え、その混合物を室温にて1時間撹拌した。反応混合物に10%パラジウム炭素(0.1g)を室温で加え、その混合物水素雰囲気下4時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮した。この残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣にジエチルエーテル/ヘキサンを加えた。生じた析出物を粉末状にして濾取した。得られた固体をジエチルエーテルで洗浄し、減圧下乾燥して(R)−2−フェニル−2−(3−トリフルオロメチルベンジルアミノ)アセトアミド(2.85g)を得た。氷冷撹拌下、1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−プロリン(0.12g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(10μL)のジクロロメタン(1mL)溶液に二塩化オキサリル(50μL)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮して得た残渣にジクロロメタン(1mL)を加え、(S)−2−クロロカルボニルピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステルのジクロロメタン溶液を調製した。室温撹拌下、(R)−2−フェニル−2−(3−トリフルオロメチルベンジルアミノ)アセトアミド(0.10g)およびトリエチルアミン(136μL)のジクロロメタン(1mL)溶液に、(S)−2−クロロカルボニルピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステルのジクロロメタン溶液を加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1−8/2)で精製し、(S)−2−{N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−トリフルオロメチルベンジル)カルバモイル}ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(0.07g)を得た。(S)−2−{N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−トリフルオロメチルベンジル)カルバモイル}ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(0.065g)のメタノール(1mL)およびテトラヒドロフラン(1mL)混合溶液10%パラジウム炭素(0.005g)を室温で加え、水素雰囲気下0.5時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮した。この残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=8/2−100/0)で精製し、標題化合物(0.039g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表37に示した。
【0132】
実施例10−2
対応する原料を用い、実施例10−1と同様の方法で実施例10−2を合成した。実施例10−2の構造式および物性値を表37に示した。
【0133】
実施例11
N−(カルバモイルフェニルメチル)−N−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルベンジル)−2−ヒドロキシベンズアミド
室温撹拌下、(R)−フェニルグリシンアミド塩酸塩(0.25g)およびトリエチルアミン(375μL)のテトラヒドロフラン(3mL)/メタノール(3mL)混合液に、2−フルオロ−5−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(200μL)を加え、その混合物を室温にて1時間撹拌した。反応混合物に10%パラジウム炭素(25mg)を室温で加え、水素雰囲気下2時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮した。この残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=6/4−100/0)で精製し、(R)−2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルベンジルアミノ)−2−フェニルアセトアミド(0.23g)を得た。(R)−2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルベンジルアミノ)−2−フェニルアセトアミド(0.05g)およびトリエチルアミン(44μL)のジクロロメタン(1mL)溶液にO−アセチルサリチロイルクロリド(0.046g)を加え、室温にて3時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣にメタノール(1mL)を加え溶解させた。その溶液に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.23mL)を加え、その混合物を室温にて30分間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=54/46−75/25)で精製し、標題化合物(0.068g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表38に示した。
【0134】
実施例12
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−3−メタンスルホニルアミノ−N−(3−トリフルオロメチルベンジル)ベンズアミド
氷冷撹拌下、3−アミノ−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−(3−トリフルオロメチルベンジル)ベンズアミド(実施例8−3,0.027g)およびトリエチルアミン(19μL)のジクロロメタン(1mL)混合液に塩化メタンスルホニル(6μL)を加え、その混合物を同温度にて0.5時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=60/40−100/0)で精製し、標題化合物(0.01g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表38に示した。
【0135】
実施例13
N−(カルバモイルフェニルメチル)−N−(シクロヘキシルメチル)ベンズアミド
2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトアミド(0.1g)およびトリエチルアミン(167μL)のジクロロメタン(2mL)混合液に塩化メタンスルホニル(67μL)を加え、その混合物を同温にて0.5時間撹拌した。反応混合物にC−シクロヘキシルメチルアミン(215μL)を加え、加熱還流下12時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100−6/4)で精製し、2−(シクロヘキシルメチルアミノ)−2−フェニルアセトアミド(0.066g)を得た。2−(シクロヘキシルメチルアミノ)−2−フェニルアセトアミド(0.06g)およびトリエチルアミン(68μL)のジクロロメタン(1mL)混合液にベンゾイルクロリド(34μL)を加え、その混合物を同温にて3時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=3/7−7/3)で精製し、標題化合物(0.064g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表38に示した。
【0136】
実施例14−1
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]ベンズアミド
N−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]ベンズアミド
(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン(0.100g)のジクロロメタン(3mL)溶液に、(S)−2−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)−2−フェニル酢酸メチルエステル(0.232g)および炭酸カリウム水溶液(30w/v%,1.5mL)を室温で加えた。その混合物を同温度で1時間撹拌し、50℃で16時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=5/95−10/90)で精製した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=5/95−10/90)で精製し、(R)−2−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]−2−フェニル酢酸メチルエステル(0.088g)を得た。(R)−2−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]−2−フェニル酢酸メチルエステル(0.168g)のジクロロメタン(4mL)溶液に、室温でトリエチルアミン(0.235mL)を加えた。その混合物にベンゾイルクロリド(0.099mL)を氷冷下加え、室温で14時間撹拌した。その混合物にN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.0069g)、トリエチルアミン(0.235mL)およびベンゾイルクロリド(0.099mL)を室温で加え、35℃で23時間撹拌した。その混合物にトリエチルアミン(0.235mL)およびベンゾイルクロリド(0.099mL)を加え、5時間加熱還流させた。反応混合物を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=15/85−40/60)で精製した。得られた混合物をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=10/90−35/65)で精製し、(R)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸メチルエステルと(S)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸メチルエステルの混合物(0.203g)を得た。(R)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸メチルエステルと(S)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸メチルエステルの混合物(0.194g)、メタノール(1.44mL)およびテトラヒドロフラン(2.2mL)の混合物に、水酸化ナトリウム水溶液(2mol/L,0.72mL)を室温で加え、その混合物を室温で4時間撹拌した。水酸化ナトリウム水溶液(2mol/L,0.72mL)をこの混合物に室温で加え、その混合物を40℃で2時間撹拌した。反応混合物に塩酸(2mol/L,1.56mL)を氷冷下で加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン/メタノール=100/0−80/20)で精製し、(R)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸と(S)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸の混合物(0.172g)を得た。(R)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸と(S)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸の混合物(0.167g)のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)溶液に1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(0.099g)を室温で加えた。その混合物に塩化アンモニウム(0.115g)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.585mL)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.123g)を氷冷下加え、室温で1.5日間撹拌した。反応混合物に水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=50/50−70/30−80/20)で精製し、低極性生成物のN−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]ベンズアミド(実施例14−1LP,0.024g)および高極性生成物のN−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]ベンズアミド(実施例14−1HP,0.115g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表39に示した。
【0137】
実施例14−2
対応する原料を用い、実施例14−1と同様の方法で実施例14−2を合成した。実施例14−2の構造式および物性値を表39に示した。
【0138】
実施例15−1
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル]ベンズアミド
N−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル]ベンズアミド
【0139】
α−ブロモフェニル酢酸メチルエステル(0.300g)のアセトニトリル(15mL)溶液に(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミン塩酸塩(0.325g)およびトリエチルアミン(0.446mL)を室温で加え、その混合物を終夜加熱還流させた。反応混合物を室温まで冷却し、水および酢酸エチルを加えて分液した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジエチルエーテル/n−ヘキサン=1/30−1/10−酢酸エチル/n−ヘキサン=1/20−1/10)で精製し、(R)−2−フェニル−2−[(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミノ]酢酸メチルエステル(0.135g)および(S)−2−フェニル−2−[(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミノ]酢酸メチルエステル(0.184g)を得た。(R)−2−フェニル−2−[(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミノ]酢酸メチルエステル(0.135g)、トリエチルアミン(0.065mL)のジクロロメタン(10mL)混合物に、ベンゾイルクロリド(0.051mL)を室温で加え、その混合物を5日間撹拌した。反応混合物に水および酢酸エチルを加えて分液した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/10−1/5−1/2)で精製し、(R)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−トリフルオロメチル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸メチルエステル(0.101g)を得た。(R)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−トリフルオロメチル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸メチルエステル(0.101g)の1,4−ジオキサン(5mL)溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L,1.03mL)を室温で加え、その混合物を50℃で8時間撹拌した。反応混合物に塩酸(1mol/L,1.03mL)を加えた。その混合物に水および酢酸エチルを加え分液した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/メタノール=10/1)で精製し、(R)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−トリフルオロメチル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸と(S)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−トリフルオロメチル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸の混合物(0.082g)を得た。(R)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−トリフルオロメチル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸と(S)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−トリフルオロメチル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸の混合物(0.077g)のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)溶液に、塩化アンモニウム(0.048g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(0.029g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.042g)およびトリエチルアミン(0.147mL)を室温で順次加え、その混合物を2日間撹拌した。反応混合物に水および酢酸エチルを加えて分液した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/5−1/2−1/1)で精製し、低極性生成物のN−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル]ベンズアミド(実施例15−1LP,0.013g)および高極性生成物のN−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル]ベンズアミド(実施例15−1HP,0.032g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表40に示した。
【0140】
実施例15−2
対応する原料を用い、実施例15−1と同様の方法で実施例15−2〜15−3を合成した。実施例15−2〜15−3の構造式および物性値を表40に示した。
【0141】
実施例16−1
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]ベンズアミド
N−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]ベンズアミド
(R)−1−(3−クロロフェニル)エチルアミン(2.11g)、炭酸水素カリウム(2.04g)のアセトニトリル(30mL)混合液に(S)−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)フェニル酢酸ベンジルエステル(5.80g)を室温で加え、その混合物を50℃で4時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却して水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジエチルエーテル/n−ヘキサン=1/20−1/15)で精製し、(R)−2−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチルアミノ]−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(3.13g)を得た。(R)−2−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチルアミノ]−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(3.13g)、トリエチルアミン(6.78mL)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.101g)のジクロロメタン混合液にベンゾイルクロリド(2.87mL)を室温で加え、その混合物を同温度で5日間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/10−1/5)で精製し、(R)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(3.41g)を得た。(R)−2−{N−ベンゾイル−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(3.41g)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液に10%パラジウム炭素(0.35g)を室温で加え、水素雰囲気下1時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣に塩化アンモニウム(1.88g)を加えた。この混合物に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.03g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(1.43g)とのN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)混合液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(8.38mL)を室温で加え、2日間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/5−1/2−1/1)で精製し、低極性生成物のN−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]ベンズアミド(実施例16−1LP,0.93g)および高極性生成物のN−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]ベンズアミド(実施例16−1HP,1.05g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表41に示した。
【0142】
実施例16−2〜16−24
対応する原料を用い、実施例16−1と同様の方法で実施例16−2〜16−24を合成した。実施例16−2〜16−24の構造式および物性値を表41〜47に示した。
【0143】
実施例17−1
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−フェニルエチル]−2−チエナミド
N−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−フェニルエチル]−2−チエナミド
(R)−1−フェニルエチルアミン(0.427g)、炭酸水素カリウム(0.709g)のアセトニトリル(10mL)混合液に(S)−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)フェニル酢酸メチルエステル(1.24g)を室温で加え、その混合物を60℃で3時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100−1/9)で精製し、(R)−2−フェニル−2−[(R)−1−フェニルエチルアミノ]酢酸メチルエステル(0.60g)を得た。(R)−2−フェニル−2−[(R)−1−フェニルエチルアミノ]酢酸メチルエステル(0.29g)、トリエチルアミン(1mL)およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.026g)のジクロロメタン(4mL)混合液にチオフェン−2−カルボニルクロリド(570μL)を加え、その混合物を室温にて1日間撹拌した。反応混合物に水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100−2/8)で精製し、2−フェニル−2−{N−[(R)−1−フェニルエチル]−N−(チオフェン−2−カルボニル)アミノ}酢酸メチルエステル(0.36g)を得た。2−フェニル−2−{[(R)−1−フェニルエチル]−(チオフェン−2−カルボニル)アミノ}酢酸メチルエステル(0.085g)および水酸化トリメチルすず(0.405g)の1,2−ジクロロエタン(1mL)懸濁液をマイクロ波照射下、160℃で1時間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した。得られた残渣と塩化アンモニウム(0.06g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.065g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(0.051g)とのN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)混合液に、トリエチルアミン(220μL)を室温で加え、その混合物を1日間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1−75/25)で精製し、低極性生成物のN−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−フェニルエチル]−2−チエナミド(0.014g)および高極性生成物のN−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−フェニルエチル]−2−チエナミド(0.009g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表48に示した。
【0144】
実施例17−2
対応する原料を用い、実施例17−1と同様の方法で実施例17−2を合成した。実施例17−2の構造式および物性値を表48に示した。
【0145】
実施例18
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]−2−ヒドロキシベンズアミド
N−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]−2−ヒドロキシベンズアミド
(R)−1−(3−クロロフェニル)エチルアミン(2.38g)、炭酸水素カリウム(2.29g)のアセトニトリル(30mL)混合液に(S)−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)フェニル酢酸ベンジルエステル(6.53g)を室温で加え、50℃で4時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジエチルエーテル/n−ヘキサン=1/20−1/15)で精製し、(R)−2−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチルアミノ]−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(3.72g)を得た。(R)−2−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチルアミノ]−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.100g)、トリエチルアミン(0.215mL)およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.016g)のジクロロメタン(5mL)混合液に、O−アセチルサリチロイルクロリド(0.157g)を室温で加えた。その混合物を同温度で終夜、40℃で4日間、室温で2日間撹拌した。反応混合物に水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジエチルエーテル/n−ヘキサン=1/10−1/5)で精製し、(R)−2−{N−(2−アセトキシベンゾイル)−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.045g)を得た。(R)−2−{N−(2−アセトキシベンゾイル)−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.045g)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に10%パラジウム炭素(0.030g)を室温で加え、その混合物を水素雰囲気下で30分間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮して(R)−2−{N−(2−アセトキシベンゾイル)−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸(0.034g)を得た。(R)−2−{N−(2−アセトキシベンゾイル)−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]アミノ}−2−フェニル酢酸(0.034g)、塩化アンモニウム(0.022g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.024g)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(0.017g)のN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)混合液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.099mL)を室温で加え、その混合物を同温度で2日間撹拌した。反応混合物に水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣を分取薄層シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1,4回展開)で精製し、低極性生成物のN−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]−2−ヒドロキシベンズアミド(実施例18LP,0.002g)および高極性生成物のN−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチル]−2−ヒドロキシベンズアミド(実施例18HP,0.005g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表49に示した。
【0146】
実施例19−1
2−アミノ−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド
(R)−1−フェニルエチルアミン(0.071g)、炭酸水素カリウム(0.117g)のアセトニトリル(2mL)混合液に(S)−2−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.25g)を室温で加え、その混合物を60℃で8時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100−1/9)で精製し、(R)−2−フェニル−2−[(R)−1−フェニルエチルアミノ]酢酸ベンジルエステル(0.157g)を得た。(R)−2−フェニル−2−[(R)−1−フェニルエチルアミノ]酢酸ベンジルエステル(0.08g)、トリエチルアミン(325μL)およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.006g)のジクロロメタン(2mL)混合液に2−ニトロベンゾイルクロリド(153μL)を加え、その混合物を加熱還流下終夜撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100−25/75)で精製し、2−[N−(2−ニトロベンゾイル)−N−[(R)−1−フェニルエチル]アミノ]−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.045g)を得た。2−[N−(2−ニトロベンゾイル)−N−[(R)−1−フェニルエチル]アミノ]−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.045g)の水(0.5mL)/テトラヒドロフラン(0.5mL)混合液に、水酸化リチウム1水和物(0.008g)を加え、その混合物を室温にて2時間撹拌した。反応混合物を外温40℃で2時間撹拌した。反応混合物にメタノール(1mL)および2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(90μL)を加え、その混合物を外温40℃にて4時間撹拌した。反応混合物に2mol/L塩酸を加え酸性とした。その混合物に水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去した。得られた残渣と塩化アンモニウム(0.024g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.026g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(0.021g)とのN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)混合液に、トリエチルアミン(90μL)を室温で加え、その混合物を2日間撹拌した。反応混合物に水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=4/6−100/0)で精製し、低極性生成物のN−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−2−ニトロ−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド(0.004g)および高極性生成物のN−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−2−ニトロ−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド(0.010g)を得た。N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−2−ニトロ−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド(4mg)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液に10%パラジウム炭素(5mg)を室温で加え、その混合物を水素雰囲気下1時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮した。この残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/メタノール=100/0−8/2)で精製し、2−アミノ−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド(3.6mg)を得た。なお、標題化合物の構造式および物性値を表50に示した。
【0147】
実施例19−2
実施例19−1で得たN−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−2−ニトロ−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミドを用い、実施例19−1と同様の方法で実施例19−2を合成した。実施例19−2の構造式および物性値を表50に示した。
【0148】
実施例20
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]−2−チエナミド
N−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]−2−チエナミド
(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチルアミン(0.635g)、炭酸水素カリウム(0.916g)のアセトニトリル(12mL)混合液に(S)−2−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(1.95g)を室温で加え、その混合物を60℃で3時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加えた。粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100−1/9)で精製し、2−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチルアミノ]−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(1.31g)を得た。2−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチルアミノ]−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.20g)、トリエチルアミン(540μL)およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.013g)のジクロロメタン(4mL)混合液に、塩化チオフェン−2−カルボニル(290μL)を加え、その混合物を室温にて3日間撹拌した。反応混合物に水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100−2/8)で精製し、2−{N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(チオフェン−2−カルボニル)アミノ}−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.11g)を得た。2−{N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(チオフェン−2−カルボニル)アミノ}−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.11g)のメタノール(2mL)溶液に、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(460μL)を加え、その混合物を外温50℃にて5時間撹拌した。反応混合物に2mol/L塩酸を加え酸性とした。その混合物に水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去した。得られた残渣と塩化アンモニウム(0.062g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.067g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(0.053g)とのN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)混合液に、トリエチルアミン(225μL)を室温で加え、その混合物を2日間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1−75/25)で精製し、低極性生成物のN−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]−2−チエナミド(実施例20LP,0.014g)および高極性生成物のN−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]−2−チエナミド(実施例20HP,0.16g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表51に示した。
【0149】
実施例21
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−2−メチルアミノ−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド
2−アミノ−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−フェニルエチル]ベンズアミド(実施例19−1,0.018g)およびベンゾトリアゾール−1−イルメタノール(0.008g)のエタノール(0.4mL)混合液を、加熱還流下0.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、室温にて1時間撹拌した。その混合物に氷冷撹拌下、テトラヒドロフラン(1mL)および水素化ホウ素ナトリウム(0.009g)を加え、室温にて終夜撹拌した。反応混合物に水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=45/55−55/45)で精製し、標題化合物(0.008g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表51に示した。
【0150】
実施例22−1
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド
N−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド
(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチルアミン(0.050g)およびベンズアルデヒド(0.038g)のメタノール(1mL)混合液を外温50℃にて6時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷した後、安息香酸(0.044g)および4−フェニルシクロヘキセン−1−イルイソシアニド(0.066g)を加え、外温50℃にて20時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。得られた残渣にテトラヒドロフラン(2mL)を加え溶解させた。その混合物に水(7μL)および4mol/L塩化水素1,4−ジオキサン溶液(0.255mL)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応混合物に水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1−75/25−100/0)で精製し、低極性生成物のN−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド(実施例22−1LP,0.047g)および高極性生成物のN−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル]ベンズアミド(実施例22−1HP,0.060g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表52に示した。
【0151】
実施例22−2〜22−88
対応する原料を用い、実施例22−1と同様の方法で実施例22−2〜22−88を合成した。実施例22−2〜22−88の構造式および物性値を表52〜71に示した。
【0152】
実施例23−1
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−{(R)−1−[3−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}ベンズアミド
N−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−{(R)−1−[3−(1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}ベンズアミド
(S)−N−{(R)−1−[3− (1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}−tert−ブタンスルフィンアミド(0.12g)のメタノール(2mL)溶液に4mol/L塩化水素1,4−ジオキサン溶液(145μL)を室温で加え,同温にて1時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。得られた残渣と炭酸水素カリウム(0.083g)のアセトニトリル(2mL)混合液に(S)−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)フェニル酢酸ベンジルエステル(0.213g)を室温で加え、その混合物を60℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却して水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジエチルエーテル/n−ヘキサン=1/20−1/15)で精製し、(R)−2−{(R)−1−[3− (1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチルアミノ}−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.082g)を得た。((R)−2−{(R)−1−[3− (1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチルアミノ}−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.082g)、トリエチルアミン(270μL)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.007g)のジクロロメタン(1mL)混合液にベンゾイルクロリド(113μL)を室温で加え、その混合物を加熱還流下で1日間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷した後,反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=0/10−25/75)で精製し、(R)−2−(N−ベンゾイル−N−{(R)−1−[3− (1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}アミノ)−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.08g)を得た。(R)−2−(N−ベンゾイル−N−{(R)−1−[3− (1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}アミノ)−2−フェニル酢酸ベンジルエステル(0.08g)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液に10%パラジウム炭素(0.01g)を室温で加え、水素雰囲気下1時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣と塩化アンモニウム(0.042g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.045g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(0.036g)とのN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)混合液に、トリエチルアミン(152μL)を室温で加え、終夜撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/8−4/6)で精製し、低極性生成物のN−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−{(R)−1−[3− (1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}ベンズアミド(実施例23−1LP,0.02g)および高極性生成物のN−[(S)−カルバモイルフェニルメチル]−N−{(R)−1−[3− (1,1−ジフルオロエチル)フェニル]エチル}ベンズアミド(実施例23−1HP,0.028g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表72に示した。
【0153】
実施例23−2
対応するアミンを用い、実施例23−1と同様の方法で実施例23−2を合成した。実施例23−2の構造式および物性値を表72に示した。
【0154】
実施例24
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−4−ヒドロキシメチルベンズアミド
4−{N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]カルバモイル}ベンジルアセタート(実施例22−31LP,0.093g)のメタノール(1mL)溶液に炭酸カリウム(0.41g)を加え、室温にて30分間撹拌した。反応混合物に水を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/メタノール=100/0−80/20)で精製し、標題化合物(0.04g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表72に示した。
【0155】
実施例25−1
2−アミノ−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]ベンズアミド
(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチルアミン(0.2g)とベンズアルデヒド(0.136g)のメタノール(4mL)混合液を加熱還流下20分間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、2−ニトロ安息香酸(0.213g)および4−フェニルシクロヘキセン−1−イルイソシアニド(0.233g)を加え、加熱還流下終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。得られた残渣にテトラヒドロフラン(8mL)を加え溶解させた。その混合物に水(25μL)および4mol/L塩化水素1,4−ジオキサン溶液(0.95mL)を加え、室温にて3時間撹拌した。反応混合物に水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=55/45−75/25−100/0)で精製し、N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−2−ニトロベンズアミド(0.185g)を得た。N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−2−ニトロベンズアミド(0.185g)のテトラヒドロフラン(3mL)懸濁液に10%パラジウム炭素(0.030g)を室温で加え、水素雰囲気下3時間撹拌した。触媒を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮した。この残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:メタノール/酢酸エチル=0/100−2/8)で精製し、標題化合物(0.143g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表73に示した。
【0156】
実施例25−2〜25−8
対応する原料を用い、実施例25−1と同様の方法で実施例25−2〜25−8を合成した。実施例25−2〜25−8の構造式および物性値を表73〜74に示した。
【0157】
実施例26
N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−2−ヒドロキシベンズアミド
(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチルアミン(0.2g)およびベンズアルデヒド(0.136g)のメタノール(4mL)混合液を加熱還流下20分間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、2−アセトキシ安息香酸(0.229g)および4−フェニルシクロヘキセン−1−イルイソシアニド(0.233g)を加え、加熱還流下終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。得られた残渣にテトラヒドロフラン(8mL)を加え溶解させた。その混合物に水(25μL)および4mol/L塩化水素1,4−ジオキサン溶液(0.95mL)を加え、室温にて3時間撹拌した。反応混合物に水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:メタノール/酢酸エチル=0/100−35/65)に通した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=55/45−75/25−100/0)で精製し、標題化合物(0.078g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表74に示した。
【0158】
実施例27
4−アミノ−N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド
(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチルアミン(0.1g)およびベンズアルデヒド(0.068g)のメタノール(1mL)混合液を加熱還流下20分間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、4−tert−ブトキシカルボニルアミノニコチン酸(0.152g)および4−フェニルシクロヘキセン−1−イルイソシアニド(0.116g)を加え、加熱還流下2日間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。得られた残渣にテトラヒドロフラン(2mL)を加え溶解させた。その混合物に水(14μL)および4mol/L塩化水素1,4−ジオキサン溶液(0.64mL)を加え、室温にて1.5時間撹拌した。反応混合物に水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=55/45−75/25−100/0)で精製し、4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−{N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]カルバモイル}ニコチンアミド(0.167g)を得た。4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−{N−[(R)−カルバモイルフェニルメチル]−N−[(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]カルバモイル}ニコチンアミド(0.167g)の塩化メチレン(1mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を加え、室温にて4時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。この残渣に水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、粗生成物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/メタノール=100/0−80/20)で精製し、標題化合物(0.04g)を得た。標題化合物の構造式および物性値を表74に示した。
【0159】
【表6】
【0160】
【表7】
【0161】
【表8】
【0162】
【表9】
【0163】
【表10】
【0164】
【表11】
【0165】
【表12】
【0166】
【表13】
【0167】
【表14】
【0168】
【表15】
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【表16】
【0170】
【表17】
【0171】
【表18】
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【表19】
【0173】
【表20】
【0174】
【表21】
【0175】
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【表23】
【0177】
【表24】
【0178】
【表25】
【0179】
【表26】
【0180】
【表27】
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【表28】
【0182】
【表29】
【0183】
【表30】
【0184】
【表31】
【0185】
【表32】
【0186】
【表33】
【0187】
【表34】
【0188】
【表35】
【0189】
【表36】
【0190】
【表37】
【0191】
【表38】
【0192】
【表39】
【0193】
【表40】
【0194】
【表41】
【0195】
【表42】
【0196】
【表43】
【0197】
【表44】
【0198】
【表45】
【0199】
【表46】
【0200】
【表47】
【0201】
【表48】
【0202】
【表49】
【0203】
【表50】
【0204】
【表51】
【0205】
【表52】
【0206】
【表53】
【0207】
【表54】
【0208】
【表55】
【0209】
【表56】
【0210】
【表57】
【0211】
【表58】
【0212】
【表59】
【0213】
【表60】
【0214】
【表61】
【0215】
【表62】
【0216】
【表63】
【0217】
【表64】
【0218】
【表65】
【0219】
【表66】
【0220】
【表67】
【0221】
【表68】
【0222】
【表69】
【0223】
【表70】
【0224】
【表71】
【0225】
【表72】
【0226】
【表73】
【0227】
【表74】
【0228】
試験例1
Icilin誘発wet−dog shake抑制作用確認試験
【0229】
試験化合物をジメチルアセトアミド(和光純薬)に溶解し、ジメチルアセトアミドの含量が5%となるよう0.5%メチルセルロース溶液(和光純薬)を添加して溶解液あるいは懸濁液を調製後、雌性SDラットに3または10mg/kg/5mLとなるように経口投与した。1時間後にポリエチレングリコール400(和光純薬)に溶解したIcilin(1mg/kg)を腹腔内投与して、wet−dog shakeを惹起した。Icilin投与5分後から、5分間のwet−dog shakeをカウントした。比較試験として、媒体(ジメチルアセトアミド(和光純薬):0.5%メチルセルロース溶液(和光純薬)=5:95の混合液)を同様に投与し、このときのwet−dog shakeの回数を同様にカウントした。試験化合物のwet−dog shake抑制率として、次式より算出した:[1−(試験化合物投与のwet−dog shakeのカウント/媒体投与のwet−dog shakeのカウント)]×100。結果を表75に示した。
【0230】
【表75】
【0231】
試験例2
酢酸誘発排尿筋過活動膀胱の排尿間隔に対する延長作用確認試験
【0232】
ウレタン(シグマ)を25%w/vとなるように純水に溶解し、雌性SDラットに1.25g/kgとなるよう皮下投与し麻酔した。このラットの膀胱及び大腿静脈にカテーテルを挿入し、膀胱カテーテルをシリンジポンプと圧トランスデューサーに接続した。圧トランスデューサーを用いて膀胱内圧をモニターすると同時に、0.25%酢酸/生理食塩水溶液を3.6ml/時で膀胱へ持続注入し、排尿筋過活動を惹起した。静脈カテーテルから試験化合物をジメチルアセトアミドと生理食塩水の混合液(20:80)に溶解した溶液を投与し、投与直前の排尿3回の間隔の平均値を100%としたときの、投与直後3回の間隔の平均値を、排尿間隔延長率(Elongation of micturition interval(%))として算出した。投与量及び結果を表76に示した。
【0233】
【表76】
【0234】
表75に示したように、本発明の化合物は強力なTRPM8阻害作用を示した。更に、表76に示したように、本発明の化合物は排尿間隔に対する延長作用を有し、排尿筋過活動の抑制に有効であることが判明した。