(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0009】
(実施形態1)
図1は、実施形態の情報共有システム1を示す図である。情報共有システム1は、複数の通信装置100A〜100Iを備える。複数の通信装置100A〜100Iは、複数の物理ネットワークPN1〜PN3で接続されている。
【0010】
物理ネットワークPN1〜PN3は、それぞれ、1つの物理的なネットワークである。物理ネットワークPN1〜PN3は、それぞれ、物理規格或いは無線周波数が異なる。物理規格とは、OSI参照モデルでいえば、物理層の通信規格のことである。一例として、物理ネットワークPN1、PN2、PN3は、順番に、アドホック通信網、多所1系網、有線網である。なお、1つの物理ネットワークに接続される通信ノードは、
図1の物理ネットワークPN3のように2つであってもよい。
【0011】
通信装置100A〜100Iはそれぞれ情報共有システム1の通信ノードとなる装置である。通信装置100A〜100Iは、それぞれ異なる構成であってもよいし、同じ構成であってもよい。以下、通信装置100A〜100Iの構成として、通信装置100について説明する。
【0012】
図2は、通信装置100のブロック図である。通信装置100は、入力部110と、出力部120と、通信部130と、記憶部140と、制御部150と、を備える。
【0013】
入力部110は、ユーザから情報を受け取る入力ユニットである。例えば、入力部110は、マイクロフォン、カメラ、スキャナ等の入力デバイスである。入力部110は、ボタン、スイッチ、タッチパネル等のユーザインタフェースであってもよい。入力部110は、ユーザから情報を受け取ると制御部150に通知する。
【0014】
出力部120は、ユーザに情報を出力する出力ユニットである。例えば、出力部120は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescent Display)等の表示デバイスである。出力部120は、スピーカー、ブザー等の音響出力デバイスであってもよい。出力部120は、制御部150の制御に従って、ユーザに情報を出力する。
【0015】
通信部130は、物理ネットワークPN1〜PN3に接続された他の通信装置100と通信するための通信インタフェースである。通信部130は、USB(Universal Serial Bus)インタフェース等の外部機器接続インタフェースであってもよいし、LAN(Local Area Network)インタフェース等のネットワーク接続インタフェースであってもよい。また、通信部130は、有線インタフェースであってもよいし、無線LAN等の無線インタフェースであってもよい。
【0016】
記憶部140は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部140は通信装置100の記憶手段として機能する。
図3は、記憶部140に各種データが格納されている様子を示す図である。記憶部140には、ノード情報141、通信資源情報142、経路情報143、優先度情報144等が格納されている。
【0017】
ノード情報141は、他の通信ノード(他の通信装置100)を含め、情報共有システム1が有する複数の通信ノード(複数の通信装置100)の設定等が記録された情報である。ノード情報141には、複数の通信ノード(複数の通信装置100)を複数のグループにグループ化するグループ化情報141aが含まれる。グループは、例えば、組織内の部隊や部門である。グループ化情報141aには、各通信ノード(各通信装置100)と各グループとを関連づける情報が記録されている。
【0018】
通信資源情報142は、通信装置100に割り当てられた通信資源の情報である。通信資源は、例えば、無線帯域(無線周波数)である。通信資源情報142は、他の通信ノード(他の通信装置100)の通信資源の情報が含まれていてもよい。この場合には、通信資源情報142はノード情報141の一部とみなすことができる。
【0019】
経路情報143は、データの送信或いは転送の際に使用される通信経路が記録された情報である。例えば、経路情報143には、データの目的地(例えば、目的ノード)別に、通信部130が次にデータを送信すべき通信ノード(通信装置100)の識別情報が記録されている。目的ノードとはデータの目的地となる通信ノード(通信装置100)である。経路情報143は、TCP/IPネットワークのルーティングテーブルであってもよいし、独自のルーティングテーブルであってもよい。経路情報143は、ノード情報141の一部とみなしてもよい。
【0020】
優先度情報144は、データ送信の優先度に関する情報である。優先度情報144には、データの優先度、或いは通信ノード(通信装置100)の優先度が記録されている。データの優先度は、例えば、データ種類(例えば、緊急通話、通常通話、緊急メール、通常メール)ごとの優先度である。通信ノード(通信装置100)の優先度は、例えば、
図4に示すような、通信ノード(通信装置100)毎の優先度が記録された情報である。
【0021】
制御部150は、プロセッサ等の処理装置である。制御部150は、通信装置100の各部を制御する制御装置として機能する。制御部150は、1つのプロセッサで構成されていてもよいし、複数のプロセッサで構成されていてもよい。制御部150が複数のプロセッサで構成される場合、これら複数のプロセッサは、通信装置100内の離れた場所(例えば、別の基板)に配置されていてもよい。制御部150は、例えば、制御部150内もしくは制御部150外のROM(Read Only Memory)或いはRAM(Random Access Memory)に格納されているプログラムに従って動作することで、後述の信号送信処理を含む種々の動作を実現する。なお、プログラムという概念には、マイクロコードを用いたマイクロプログラムも含まれる。
【0022】
図5は、制御部150の機能ブロック図である。制御部150は、ネットワーク通信部151、アプリケーション通信部152としての機能を有する。さらに、アプリケーション通信部152は、ノード情報取得部152a、周知情報送信部152b、情報共有部152cとしての機能を有する。これら機能ブロック(
図5に示すネットワーク通信部151、アプリケーション通信部152、ノード情報取得部152a、周知情報送信部152b、情報共有部152c)は、ソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。例えば、
図5に示した各機能ブロックがそれぞれ1つのハードウェア(例えば、1つのプロセッサ、或いは、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロック)で構成されていてもよい。勿論、1つの機能ブロックが複数のプロセッサの協働により実現されていてもよい。また、制御部150を1つのプロセッサとし、各機能ブロックをソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現してもよい。なお、各機能ブロックをソフトウェアで実現する場合であっても、制御部150を複数のプロセッサで構成することは可能である。
【0023】
ネットワーク通信部151は通信装置100のネットワーク通信手段として機能し、アプリケーション通信部152は通信装置100のアプリケーション通信部手段として機能する。また、ノード情報取得部152aは通信装置100のノード情報取得手段として機能し、周知情報送信部152bは通信装置100の周知情報送信手段として機能し、情報共有部152cは通信装置100の周知情報送信手段として機能する。
【0024】
情報共有システム1が実現するネットワークは、L1層、L2層、L3層の3つの階層に分けて理解することができる。
図6は、情報共有システム1のネットワーク階層とOSI参照モデルとを比較した図である。以下、
図6を参照しながら、これら3つの階層について説明する。
【0025】
L1層は情報共有システム1のネットワーク階層の第1層である。L1層のネットワークは
図1に示した物理ネットワークPN1〜PN3そのままである。L1層はOSI参照モデルの物理層に相当する。L1層は通信部130により実現される。
【0026】
L2層は情報共有システム1のネットワーク階層の第2層である。L2層はOSI参照モデルのデータリンク層からセッション層に相当する。L2層に示すネットワークLNは、複数の通信ノードを接続する論理ネットワークである。論理ネットワークとは、複数の物理ネットワークの構成に依存することなく、通信ノードが他の通信ノードと通信することを可能にする論理的なネットワークのことである。本実施形態の論理ネットワークLNは、複数の通信装置100A〜100Iを接続する。L2層は制御部150のネットワーク通信部151により実現される。ネットワーク通信部151は、予め設定されたプロトコルに従って他の通信装置100と通信を行うことにより、論理ネットワークLNを実現する。ここで「予め設定されたプロトコル」は、PPP、TCP/IP等のすでに規格化されたプロトコルであってもよいし、システム設計者が独自に定めたプロトコルであってもよい。論理ネットワークLNは、物理ネットワークPN1〜PN3を隠蔽する。
【0027】
L3層は、情報共有システム1のネットワーク階層の第3層である。L3層はOSI参照モデルのプレゼンテーション層とアプリケーション層に相当する。L3層は制御部150のアプリケーション通信部152により実現される。なお、L3層に示すG1〜G4は、情報共有のためのグループを示している。これらグループの情報は、
図3のグループ化情報141aに記録される。グループ分けは、例えば、通信装置100にインストールされたアプリケーションプログラムがグループ化情報141aに従って処理を行うことにより実現される。
【0028】
次に、このような構成を有する通信装置100の動作について説明する。
【0029】
論理ネットワークLNを実現するネットワーク通信処理と、論理ネットワークLNを使って行われる共有情報送信処理、周知情報送信処理、及び情報受信処理と、に分けられる。これらの処理は並行して行われる。最初にネットワーク通信処理について説明する。
【0030】
通信装置100に電源が投入されると、通信装置100の制御部150はネットワーク通信処理を開始する。上述したように、制御部150はネットワーク通信部151としての機能を有する。以下、
図7のフローチャートを参照してネットワーク通信処理を説明する。
【0031】
ネットワーク通信部151は、他の通信装置100に送信すべきデータを取得したか判別する(ステップS101)。このとき、送信すべきデータは、入力部110から入力されたユーザデータであってもよいし、他の通信装置100から転送されてきた転送データであってもよい。送信すべきデータを取得していない場合(ステップS101:No)、ネットワーク通信部151はデータを取得するまでステップS101を繰り返す。
【0032】
送信すべきデータを取得している場合(ステップS101:Yes)、ネットワーク通信部151は、
図3に示す記憶部140から経路情報143を取得する(ステップS102)。また、ネットワーク通信部151は、記憶部140から優先度情報144を取得する(ステップS103)。
【0033】
続いて、ネットワーク通信部151は、データを送信する(ステップS104)。このとき、ネットワーク通信部151は経路情報143に基づいて次の送信先の通信装置100を判別する。
図8は、複数の通信装置100の1つがデータを送信する様子を示す図である。例えば、通信装置100Hが、通信装置100Aが宛先となったデータを取得したとする。経路情報143に、通信装置100Aまでの経路として“100H→100I→100A”と記録されているとすれば、通信装置100Hのネットワーク通信部151は、通信装置100Iにデータを送信する。
【0034】
また、ネットワーク通信部151は、優先度情報144に基づいてデータが優先送信されるべきデータか否か判別する。データが優先送信されるべきデータの場合は、ネットワーク通信部151は、そのデータをすでに送信待ちとなっているデータに優先して送信する。例えば、通信装置100Hが、通信装置100Eから通信装置100Aに送信する転送データを取得したとする。仮に優先度情報144が
図4に示す内容の情報であるとすれば、通信装置100Eからの転送データは最も優先度が高い優先度1のデータであるので、ネットワーク通信部151は、送信待ちのデータに優先してその転送データを次の通信ノード(例えば、通信装置100I)に送信する。
【0035】
データの送信が完了したら、ネットワーク通信部151は、送信が成功したか否か判別する(ステップS105)。送信が成功したか否かは、例えば、次の通信装置100から設定時間内に肯定応答が返ってきたか否かで判断してもよい。送信が成功した場合(ステップS105:Yes)、ネットワーク通信部151はステップS101に戻り、再びデータの取得を待機する。
【0036】
送信が失敗した場合(ステップS105:No)、ネットワーク通信部151は経路を変えてデータを再送する(ステップS106)。例えば、100H→100I→100Aの経路でのデータ送信が失敗したのであれば、ネットワーク通信部151は100H→100B→100Aの経路での送信をトライする。このとき、ネットワーク通信部151は、無線周波数の変更等、通信資源に関する設定の変更を行って、別の物理ネットワークを使ってデータの送信をトライしてもよい。
【0037】
そして、ネットワーク通信部151は再送が成功したか否か判別する(ステップS107)。送信が失敗した場合(ステップS107:No)、ネットワーク通信部151は、再び、経路及び設定を変えてデータを再送する(ステップS106)。なお、規定回数ほど再送を実行してもなお送信が成功しない場合は、ネットワーク通信部151は送信をあきらめてステップS101に戻ってもよい。
【0038】
再送が成功した場合(ステップS107:Yes)、ネットワーク通信部151は経路情報143に記録されている経路情報を再送が成功した新たな経路情報に書き換える(ステップS108)。例えば、通信装置100Aまでの経路として経路情報143に“100H→100I→100A”と記録されているのであれば、その経路を“100H→100B→100A”に書き換える。
【0039】
経路情報143の書き換えが終了したら、ネットワーク通信部151はステップS101に戻り、再びデータの取得を待機する。
【0040】
次に共有情報送信処理について説明する。
【0041】
通信装置100に電源が投入されると、通信装置100の制御部150は共有情報送信処理を開始する。上述したように、制御部150はアプリケーション通信部152、ノード情報取得部152a、情報共有部152cとしての機能を有する。以下、
図9のフローチャートを参照して共有情報送信処理を説明する。
【0042】
アプリケーション通信部152は、共有情報を取得したか判別する(ステップS201)。共有情報とは、ある通信装置100のユーザが、他の通信装置100のユーザと共有すべき情報のことである。共有情報は、例えば、音声、映像、文書である。このとき、共有相手は一人であってもよいし、複数人であってもよい。共有情報は、入力部110から入力された情報であってもよいし、他の通信装置100から転送されてきた情報であってもよい。共有情報を取得していない場合(ステップS201:No)、アプリケーション通信部152は共有情報を取得するまでステップS201を繰り返す。
【0043】
共有情報を取得している場合(ステップS201:Yes)、ノード情報取得部152aは、
図3に示す記憶部140からノード情報141を取得する(ステップS202)。ノード情報141には、グループ化情報141aが含まれている。
【0044】
次に、情報共有部152cは、共有情報を他の通信装置100に送信する(ステップS203)。このとき、情報共有部152cは、送信の相手先をノード情報141に基づいて判断する。例えば、情報共有部152cは、グループ化情報141aに基づいて同じグループに属する通信装置100を判別する。そして、情報共有部152cは、判別した通信装置100に対して共有情報を送信する。ユーザから送信先のグループの指定がある場合は、情報共有部152cは、その指定されたグループに属する通信装置100をグループ化情報141aに基づいて判別する。そして、情報共有部152cは、判別した通信装置100に対して共有情報を送信する。
【0045】
共有情報の送信が終了したら、アプリケーション通信部152はステップS201に戻り、再びデータの取得を待機する。
【0046】
次に周知情報送信処理について説明する。
【0047】
通信装置100に電源が投入されると、通信装置100の制御部150は周知情報送信処理を開始する。上述したように、制御部150は周知情報送信部152bとしての機能を有する。以下、
図10のフローチャートを参照して周知情報送信処理を説明する。
【0048】
周知情報送信部152bは、現時点が新たなノード情報141を送信すべきタイミングか否か判断する(ステップS301)。例えば、制御部150が入力部110或いは通信部130を介してユーザから新たなノード情報141を受け取った場合は、周知情報送信部152bは、現時点が新たなノード情報141を送信すべきタイミングであると判断する。
【0049】
現時点が新たなノード情報141を送信すべきタイミングでない場合(ステップS301:No)、周知情報送信部152bはステップS303に進む。現時点が新たな優先度情報144を送信すべきタイミングの場合(ステップS301:Yes)、周知情報送信部152bは、論理ネットワークLNを使って、他の複数の通信装置100に対し、新たなノード情報141を周知情報として送信する(ステップS304)。周知情報送信部152bは論理ネットワークLNに接続されている全ての通信装置100を宛先とするブロードキャスト通信を行ってもよいし、特定のグループに所属する通信装置100を宛先とするマルチキャスト通信を行ってもよい。
【0050】
次に、周知情報送信部152bは、現時点が新たな優先度情報144を送信すべきタイミングか否か判断する(ステップS303)。例えば、周知情報送信部152bは、ユーザから新たな優先度情報144を受け取った場合、現時点が新たな優先度情報144を送信すべきタイミングであると判断する。
【0051】
現時点が新たな優先度情報144を送信すべきタイミングでない場合(ステップS303:No)、周知情報送信部152bはステップS305に進む。現時点が新たな優先度情報144を送信すべきタイミングの場合(ステップS303:Yes)、周知情報送信部152bは、論理ネットワークLNを使って、他の複数の通信装置100に対し、新たな優先度情報144を周知情報として送信する(ステップS304)。このとき、周知情報送信部152bはブロードキャスト通信を行ってもよいし、マルチキャスト通信を行ってもよい。
【0052】
次に、周知情報送信部152bは、現時点が割当情報を送信すべきタイミングか否か判断する(ステップS303)。例えば、制御部150が入力部110或いは通信部130を介してユーザから割当情報を受け取った場合は、周知情報送信部152bは、現時点が割当情報を送信すべきタイミングであると判断する。割当情報は通信資源の割り当てを変更するための情報である。割当情報は、例えば、複数の通信ノード(通信装置100)の識別情報と、複数の通信ノード(通信装置100)それぞれに割り当てられる通信資源(例えば無線帯域)と、を関連付けた情報である。
【0053】
なお、割当情報を送信するタイミングは、ユーザから割当情報を受け取ったタイミングに限られない。例えば、割当情報を送信するタイミングは、予め設定した優先度より高い優先度の情報が複数の通信装置100のいずれかから送信されたタイミングであってもよい。例えば、情報共有部152cが予め設定された優先度より高い優先度の共有情報(例えば、優先度1の共有情報)を送信したとする。このとき、その共有情報を送信した通信装置100の周知情報送信部152bは、現時点が割り当て情報を送信するタイミングであると判断する。
【0054】
現時点が割当情報を送信すべきタイミングでない場合(ステップS305:No)、周知情報送信部152bはステップS307に進む。現時点が割当情報を送信すべきタイミングの場合(ステップS305:Yes)、周知情報送信部152bは、割当情報を生成する。そして、周知情報送信部152bは、他の複数の通信装置100に対し、その生成した割当情報を周知情報として送信する(ステップS306)。このとき、周知情報送信部152bはブロードキャスト通信を行ってもよいし、マルチキャスト通信を行ってもよい。
【0055】
なお、周知情報送信部152bが生成する割当情報は、これから送信される共有情報が目的ノードまで速く到達できるように考慮されたものであってもよい。例えば、周知情報送信部152bが、優先度の高い共有情報の送信に合わせて割当情報を送信するとする。この場合、周知情報送信部152bは、その優先度の高い共有情報が速く目的ノードに到達できるように、目的ノードまでの送信経路上にある通信装置100に対して多くの通信資源を割り当てる。送信経路上にある通信装置100は、例えば、周知情報送信部152bが経路情報143に基づいて特定する。
【0056】
次に、周知情報送信部152bは、通信不能ノードを検出したか判別する(ステップS307)。周知情報送信部152bは、例えば、ネットワーク通信部151がデータ送信失敗(ネットワーク通信処理のステップS105:No)したときのデータ送信先の通信装置100を通信不能ノードと判別してもよい。通信不能ノードとは、通信不能な通信ノード(通信装置100)のことである。例えば、通信装置100Hが、通信装置100Aが宛先のデータを通信装置100Iに送信したとする。通信装置100Hのネットワーク通信部151が通信装置100Iへのデータ送信を失敗したとすれば、通信装置100Hの周知情報送信部152bは通信装置100Iを通信不能ノードと判別する。
【0057】
通信不能ノードを検出していない場合(ステップS307:No)、周知情報送信部152bはステップS303に戻る。通信不能ノードを検出した場合(ステップS307:Yes)、周知情報送信部152bは通信不能ノード情報を生成する。そして、周知情報送信部152bは、他の複数の通信装置100に対し、その生成した通信不能ノード情報を周知情報として送信する(ステップS308)。このとき、周知情報送信部152bはブロードキャスト通信を行ってもよいし、マルチキャスト通信を行ってもよい。
【0058】
なお、通信不能ノード情報は、通信不能ノードを特定するための情報である。例えば、通信装置100Iが通信不能ノードなのであれば、通信不能ノード情報は通信装置100Iの識別情報(例えば、IPアドレス)である。
【0059】
通信不能ノード情報の送信が完了したら、周知情報送信部152bはステップS301に戻る。
【0061】
通信装置100に電源が投入されると、通信装置100の制御部150は情報受信処理を開始する。上述したように、制御部150はアプリケーション通信部152としての機能を有する。以下、
図11のフローチャートを参照して情報受信処理を説明する。
【0062】
アプリケーション通信部152は、論理ネットワークLNを介して自身が宛先となった共有情報を取得したか判別する(ステップS401)。共有情報を取得していない場合(ステップS401:No)、アプリケーション通信部152はステップS403に進む。共有情報を取得した場合(ステップS401:Yes)、アプリケーション通信部152は共有情報を出力部120に出力する。
【0063】
次に、アプリケーション通信部152は、論理ネットワークLNを介して周知情報を受信したか判別する(ステップS403)。周知情報を受信していない場合(ステップS403:No)、アプリケーション通信部152はステップS401に戻る。
【0064】
周知情報を受信した場合(ステップS403:Yes)、アプリケーション通信部152は周知情報に基づいて、自身(通信装置100)の設定を変更する(ステップS404)。
【0065】
例えば、ノード情報が記録された周知情報を受信したのであれば、アプリケーション通信部152は、記憶部140にあるノード情報141を、受信したノード情報に変更する。受信したノード情報にグループ化情報が含まれるのであれば、アプリケーション通信部152は、記憶部140にあるグループ化情報141aを、受信したグループ化情報に変更する。
【0066】
また、アプリケーション通信部152は、優先度情報が記録された周知情報を受信したのであれば、記憶部140にある優先度情報144を、受信した優先度情報に変更する。
図12は、変更前後の優先度情報を示す図である。
【0067】
また、アプリケーション通信部152は、割当情報が記録された周知情報を受信したのであれば、割当情報の中から自己の通信資源情報を抽出し、記憶部140にある通信資源情報142を、抽出した通信資源情報に変更する。
【0068】
また、アプリケーション通信部152は、通信不能ノード情報が記録された周知情報を受信したのであれば、通信不能ノード情報に基づいて経路情報143を変更する。例えば、アプリケーション通信部152は、経路情報143の中から、通信不能ノード情報に記録されている通信装置100が使用されている経路を抽出する。そして、アプリケーション通信部152は、抽出した経路を、通信不能ノードが含まれない別の経路に置き換える。
【0069】
設定の変更が完了したら、アプリケーション通信部152はステップS401に戻る。
【0070】
本実施形態によれば、複数の物理ネットワークの構成に突然の変更があったとしても、その複数の物理ネットワークに接続される複数の通信ノード(通信装置100)間の通信を維持できる。
図13及び
図14の情報共有システム1を例に詳しく説明する。
【0071】
図13は、複数の通信ノードA〜Iが複数の物理ネットワークPN4〜PN11で接続された様子を示す図である。物理ネットワークPN4と物理ネットワークPN5との結節となっている通信ノードBが、突然、通信不能に陥ったとする。この場合、従来の情報共有システムであれば、通信ノードB以下の通信ノードF、Gは、ユーザがわざわざ設定を変更しなければ通信を回復できない。例えば、通信を回復するためには、ユーザは、無線周波数の変更、グループの上下関係の変更、新しい宛先の設定等をしなければならない。
【0072】
しかし、本実施形態の情報共有システム1は、ネットワーク通信部151により
図6のL2層に示す論理ネットワークLNが構築されている。従って、
図13に示す通信ノードA〜Iは物理ネットワークPN4〜PN11の構成に突然の変更があったとしても、論理ネットワークLNによってその変更が吸収されるので、ユーザの設定変更負担なく通信を継続できる。
【0073】
例えば、
図13の例において、通信ノードBが、突然、通信不能に陥ったとする。この場合は、通信ノードF、Gおよびそれ以下の通信ノードは、他の物理ネットワークの通信ノードA、C〜E、H、Iと通信を継続できない。しかし、本実施形態の情報共有システム1では、通信ノードBが通信不能ノードとなった時点で、
図14に示すように、通信ノードF、Gのネットワーク通信部151が、所属する物理ネットワークをPN5からPN4或いはPN6に自動的に変更する。したがって、ユーザは手を煩わされることなく通信を継続できる。
【0074】
なお、情報を共有のためのグループ(例えば
図6に示すG1〜G4)は、L3層を実現するアプリケーションプログラム(例えば、アプリケーション通信部152)によって実現されている。従って、物理ネットワークの構成に突然の変更があって、ネットワーク通信部151が物理ネットワークの構成を変更したとしても、グループの設定はそのままにユーザは情報の共有を継続できる。
【0075】
上述の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0076】
例えば、上述の実施形態では、経路情報143には、目的ノード別に、通信部130が次にデータを送信すべき通信ノードの識別情報が記録されているものとした。しかしながら、経路情報143には、目的グループ別に、通信部130が次にデータを送信すべき通信ノードの識別情報が記録されていてもよい。目的グループとは、L3層のグループ(例えば
図6に示すグループG1〜G4)のことである。
【0077】
また、上述の実施形態では、アプリケーション通信部152は、周知情報に基づいて各種設定(例えば、ノード情報141、通信資源情報142、経路情報143、優先度情報144)を変更した。しかし、アプリケーション通信部152は、これらの設定を動的に変更してもよい。例えば、アプリケーション通信部152は、通信資源情報と優先度情報とが記録された周知情報を取得したとする。このとき、アプリケーション通信部152は、記憶部140に記憶されている通信資源情報142と優先度情報144とを、受信した通信資源情報と優先度情報とに書き換えた後、一定時間経過後に元の通信資源情報142と優先度情報144とに戻してもよい。
【0078】
また、上述の実施形態では、アプリケーション通信部152は、優先度の高い情報の通信経路上にある通信装置100の通信資源を割当情報により増やすことにより、共有情報が目的ノードに速く到達できるようにした。しかし、アプリケーション通信部152は、優先度の高い情報が複数の通信装置100のいずれかから送信された場合に、情報共有システム1全体として周期的に発生するデータの送信頻度を抑制することにより、情報が目的ノードに速く到達できるようにしてもよい。
【0079】
例えば、アプリケーション通信部152の周知情報送信部152bは、予め設定された優先度より高い優先度の共有情報が複数の通信装置100のいずれかから送信された場合に、その優先度が高い共有情報が送信されたことを示す周知情報を他の複数の通信装置100に送信する。そして、その周知情報を受信した複数の通信装置100それぞれは、周期的に発生するデータ(例えば、各種制御データや周期的に発生する連絡情報)の送信頻度を小さくし、ネットワークのトラフィックを少なくする。送信頻度を抑制する処理は、アプリケーション通信部152が行ってもよいし、ネットワーク通信部151が行ってもよい。以上の処理により、情報共有システム1は、優先度の高い情報を目的ノードに速く到達させることができる。
【0080】
本実施形態の通信装置100を制御する制御装置は、専用のコンピュータシステムによって実現してもよいし、通常のコンピュータシステムにより実現してもよい。例えば、上述の動作を実行するためのプログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって制御装置を構成してもよい。制御装置は、通信装置100の外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよいし、内部の装置(例えば、制御部150)であってもよい。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバ装置が備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバ装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0081】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。