(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によるコンバインの具体的な実施形態を説明する前に、
図1を用いて本発明を特徴付けている基本原理を説明する。
図1の例では、コンバイン1が圃場を走行しながら麦や稲の穀稈を刈り取り、脱穀された穀粒がコンバイン1に搭載された穀粒タンク15に貯蔵される。その際、このコンバイン1では、時間経過とともに穀粒タンク15に供給される穀粒の量、つまり収量が測定される。さらには、その穀粒の食味(水分やタンパクなど)も測定可能である。
【0017】
穀粒の収量測定のため、穀粒タンク15には、この記穀粒タンクに供給される穀粒の少なくとも一部を受け入れる収量受け入れ口32aと、受け入れた穀粒を放出する収量放出口32bと、前記収量放出口32bを開閉する収量シャッタ34とを有する収量測定容器32が設けられている。収量測定容器32は、刈取り作業の間に脱穀装置から穀粒タンク15に連続的に送られてくる穀粒の流れに向かい合うように収量受け入れ口32aが配置されている。収量シャッタ34は、収量測定容器32の収量受け入れ口32aに対向する位置(ここでは鉛直方向で上下位置)に形成された収量放出口32bを閉鎖する閉鎖姿勢と開放する姿勢との間で切替可能である。従って、収量シャッタ34の閉鎖姿勢では、収量測定容器32の内部に時間経過とともに穀粒が貯留されていく。収量測定容器32には、収量測定容器32に所定容積の穀粒が貯留されたことを検知し、所定容積穀粒の貯留を示す適量検知信号を出力する収量測定部が備えられている。収量シャッタ34が閉鎖姿勢に切り替えられてから、上記検知信号が出力されるまでの時間が所定容積の穀粒の貯留に要する貯留時間となる。この貯留時間を算定し、その際のコンバイン1の走行速度を取得すれば、この走行速度と貯留時間に基づいて、単位走行当たりの収量である単位走行収量が算定される。コンバイン1の刈り取り走行の間、この単位走行収量の算定を繰り返すことで、コンバイン1の走行位置に対応させて単位走行収量を割り当てることができる。この走行位置に割り当てられた単位走行収量に基づいて、所定走行距離毎の収量、ないしは圃場を所定の大きさに分割して得られた所定区画毎の収量、つまり圃場における収量分布を求めることができる。
【0018】
図1の例では、穀粒の流れ方向で収量測定容器32の下方に食味測定容器33が備えられている。この食味測定容器33は、収量放出口32bを受け入れ口とし、食味シャッタ35によって開閉される食味放出口32cを形成している。収量測定容器32に所定容積の穀粒が貯留された状態で、食味シャッタ35を閉鎖姿勢に切り替えるとともに収量シャッタ34を開放姿勢にすると、収量測定容器32に貯留された穀粒が食味測定容器33の内部に一時的に保持される。この保持された穀粒の食味値(水分やタンパク)を測定する食味測定部が収量測定容器32に備えられている。これにより、収量測定容器32で収量測定された穀粒の食味も測定されることになる。なおその際、貯留された穀粒が多すぎる場合には、食味シャッタ35を閉鎖姿勢にするタイミングを調整することにより、貯留された穀粒の一部を食味測定の対象とすることも可能である。つまり、単位走行収量の算定に用いられた所定容積の穀粒の少なくとも一部が前記食味測定部による食味測定に用いられるので、また収量測定容器32に穀粒を残留させないようにすることができるので、対応する単位走行収量と食味値とを圃場の特定位置で収穫された穀粒のデータセットとして関係づけることができる。コンバイン1の刈り取り走行の間、このデータセットを繰り返し取得することで、圃場における収量と食味との分布を評価するための収穫情報が生成され、コンバイン1や遠隔地のサーバに記録される。
【0019】
特定刈取り領域(圃場区画)に対してその領域で収穫された穀粒の収量と食味を割り当てるためには、穀稈の刈取りからその穀粒に対する測定までの時間的な遅れを考慮する必要がある。この遅れ時間は、最初に刈り取られる穀稈の株元センサによる検出時から穀粒が収量測定容器32に到達するまでの処理時間とその時のコンバイン1の走行速度とに基づいて算定することができる。算定された遅れ時間を用いることで、収量と食味からなるデータセットに割り当てられる特定位置とを正確に整合することができる。
【0020】
次に、図面を用いて、本発明によるコンバインの具体的な実施形態の1つを説明する。
図2は、コンバイン1の側面図であり、
図3はコンバイン1の側面図である。
【0021】
コンバイン1は、溝形材や角パイプ材などの複数の鋼材を連結した機体フレーム10を備えている。機体フレーム10の下部には左右一対のクローラ11を装備している。機体フレーム10における右半部の前側には、エンジンEが搭載され、その上部に運転部13が形成されている。運転部13には、運転席16や操縦レバー17などが配置されている。機体フレーム10における左側の前端部には、作業走行時に機体の前方に位置する収穫対象の作物穀稈を刈り取って後方に搬送する刈取部12が備えられている。機体フレーム10の左半部には、刈取部12によって搬送された刈取穀稈を受け取って後方に搬送しながら刈取穀稈の着粒部に脱穀処理を施し、この脱穀処理で得た穀粒に選別処理を施す脱穀装置14が搭載されている。機体フレーム10における右半部の後側には、脱穀装置14からスクリュ揚送式の供給コンベヤ30を介して揚送搬出した穀粒を貯留する板金製の穀粒タンク15が搭載されている。穀粒タンク15には、穀粒タンク15に貯留した穀粒を機外へ排出する穀粒排出装置19が装備されている。
図2と
図3では、模式的にしか示されていないが、穀粒タンク15の内部に、穀粒の収量を測定する収量測定部21と、穀粒の食味を測定する食味測定部22が配置されている。
【0022】
図4で模式的に示されているように、収量測定と食味測定は、穀粒タンク15の内部に設けられた収量測定容器32と食味測定容器33とに投入口15aから入ってくる穀粒によって行われる。この実施形態では、
図4に示されているように、穀粒タンク15の側壁に設けられた筒状体31の上半分が収量測定容器32として用いられ、筒状体31の下半分が食味測定容器33として用いられる。つまり、収量測定容器32と食味測定容器33とは収量測定容器32の下に食味測定容器33が位置する状態で、筒状体31として一体的に形成されている。筒状体31の上側開口が収量測定容器32の収量受け入れ口32aとして機能する。収量測定容器32の下端となる収量放出口32bには収量シャッタ34が設けられている。収量シャッタ34は、筒状体31の内部空間を横断方向で遮断する閉鎖姿勢と穀粒の内部空間の通過を許す開放姿勢との間でアクチュエータ34aによって搖動可能である。収量測定容器32と食味測定容器33とは上下方向で連続して形成されているので、収量放出口32bは食味測定容器33の食味受け入れ口として機能する。食味測定容器33の下端となる食味放出口32cにも、食味シャッタ35が設けられている。食味シャッタ35も、筒状体31の内部空間を横断方向で遮断する閉鎖姿勢と穀粒の内部空間の通過を許す開放姿勢との間でアクチュエータ35aによって搖動可能である。
【0023】
収量測定容器32の収量受け入れ口32aは、脱穀装置14から供給コンベヤ30によって搬送され、羽根車によって穀粒タンク15への投入口15aから放出された穀粒の一部が到達する位置に配置されている。したがって、収量シャッタ34が閉鎖姿勢に搖動すると、投入口15aから飛翔してくる穀粒が収量受け入れ口32aを通じて収量測定容器32に入り、収量放出口32bを閉鎖している収量シャッタ34上に貯留され始める。収量測定容器32には、収量測定部21として近接センサが設けられており、収量測定容器32の所定量の穀粒が貯留されると適量検知信号を出力する。
【0024】
所定量の穀粒を貯留した収量測定容器32の収量シャッタ34が開放姿勢に搖動すると、収量測定容器32に貯留されていた穀粒が食味測定容器33に流れ込む。その際、食味シャッタ35が閉鎖姿勢にあると、食味測定容器33に穀粒が保持される。食味測定容器33には食味測定部22が設けられているので、保持された穀粒の食味が測定される。この実施形態では、食味測定部22において分光分析が用いられており、穀粒水分値やタンパク値の測定が可能である。食味測定部22からは、穀粒成分である水分やタンパクに関する測定値、さらにはそれらの成分比から求められる食味演算値などのうちの少なくとも1つは含む食味値を出力することができる。
【0025】
このコンバイン1における収量測定と食味測定に関する制御系を説明するための機能ブロック図が
図5に示されている。この制御系は、実質的には
図1で示された基本原理に基づくものである。コンバイン1に搭載された制御システム5に構築されている、本発明に特に関係する機能部は、走行制御ECU(電子制御ユニット)53と作業装置ECU54と測定評価モジュール50であり、実質的にはプログラムの実行によって実現する機能であるが、場合によっては、部分的にハードウエアが用いられる。これらの機能部は、車載LANによって相互に接続されている。また、測定評価モジュール50は、穀粒タンク15に備えられている収量測定部21、食味測定部22、収量シャッタ34、食味シャッタ35と接続されている。
【0026】
走行制御ECU53は、車両走行に関する種々の制御情報を取り扱うECUであり、例えば、車載LANを通じて、図示されていないセンサ管理モジュールから取得した、走行速度、走行距離、走行軌跡、エンジン回転数、燃費などのデータを走行情報化する機能を備えている。作業装置ECU54は、刈取部12や脱穀装置14などの刈取り収穫装置を制御するECUであり、各種装置の操作状態や稼働状態を示すデータを作業情報化する機能を備えている。なお、実際の穀稈刈取り作業の実行を検知する株元センサ12aからの信号は、作業装置ECU54を経由して測定評価モジュール50に転送される。さらに、図示されていないが、この制御システム5には、モニタやメータパネルにおける情報表示を制御する表示ECUや外部機器(遠隔地のサーバを含む)との間でデータ交換を行う通信ECUが備えられている。
【0027】
測定評価モジュール50には、シャッタ制御部51、時間算定部55、収量算定部56、収穫情報生成部57、収穫評価部58が含まれている。シャッタ制御部51は、収量シャッタ34と食味シャッタ35とを、閉鎖姿勢または開放姿勢のいずれかに切り替え制御する。時間算定部55は、収量シャッタ34が閉鎖姿勢に切り替えられてから予め定められている所定量の穀粒が収量測定容器32に貯留するまでの時間(収量測定部21から適量検知信号が入力されるまでの時間)である貯留時間を算定する。収量算定部56は、貯留時間と所定量とから単位走行時間当たりの収量、あるいは所定量と貯留時間と走行速度とから単位走行距離当たりの収量を算定することができる。走行距離当たりの収量は、コンバイン1の走行距離が測定されている場合には、貯留時間内で測定された直接走行距離と所定量とから直接算定することもできる。これらの時間当たりの収量及び走行距離当たりの収量は、本発明における単位走行当たりの収量である単位走行収量の形態の一つである。
【0028】
収穫情報生成部57は、食味測定部22から得られる食味データと収量算定部56から得られる収量データ(走行単位収量)、走行制御ECU53から得られる走行距離ないしは走行位置などの走行データをリンクして、測定毎に収穫情報を生成する。その際、測定対象となった穀粒の測定時点と当該穀粒が収穫された時点とは、時間差(遅れ時間)があるので、これを調整する必要がある。この時間差は、収穫作業開始時に株元センサ12aが穀稈を検出して時からその穀稈から脱穀された穀粒が穀粒タンク15に到達するまでの時間を算定することで得られる。収穫評価部58は、収穫情報生成部57で生成された収穫情報を、圃場を分割して得られる圃場区画に割り当てて、収量及び食味の圃場分布情報を生成する。なお、この収穫評価部58を外部のコンピュータに構築し、収穫情報生成部57から通信回線を介してその収穫評価部58に収穫情報を送るような形態を採用してもよい。また、収穫情報生成部57と収穫評価部58とを統合し、いずれか1つの機能ないしは両方の機能を持たせるような構成を採用してもよい。
【0029】
次に、
図6で図示されている、タイムチャート、収量測定容器32及び食味測定容器33の状態変移を用いて、収量測定及び食味測定における制御の流れの一例を説明する。
刈取り作業が始まっていない初期状態では、収量シャッタ34と食味シャッタ35は開放姿勢となっている。刈取り作業が始まって、穀粒が穀粒タンク15に放出されるタイミングとなると、収量シャッタ34が閉鎖姿勢に切り替わって、収量測定容器32への穀粒の貯留が始まる。同時に時間算定部55による時間計測(計数信号の生成)がスタートする。収量測定容器32での穀粒貯留量が所定量に達すると、収量測定部21としての近接センサ21が作動し、適量検知信号が生じる。
【0030】
この適量検知信号の発生をトリガーとして、時間算定部55による時間計測がストップするとともに、収量シャッタ34が開放姿勢に切り替わり、食味シャッタ35が閉鎖姿勢に切り替わる。時間算定部55による時間計測値は所定量の穀粒が収量測定容器32に貯留するまでの時間(
図6では、t1で表されている)である。ここで、所定量をqとすれば、q/t1で単位時間当たりの収量が得られる。
【0031】
収量シャッタ34の開放姿勢への切り替わりと食味シャッタ35の閉鎖姿勢への切り替わりにより、収量測定容器32に貯留されていた穀粒が食味測定容器33に移動する。なお、食味シャッタ35は予め閉鎖姿勢への切り替えられていてもよい。
【0032】
収量シャッタ34が開放姿勢への切り替わり、収量測定容器32の穀粒が全て食味測定容器33に移動したタイミングで、収量シャッタ34は再び閉鎖姿勢に戻り、収量測定容器32に穀粒が貯留し始める。同時に時間算定部55による時間計測(計数信号の生成)がスタートする。食味測定容器33では、食味測定が開始される。穀粒に照射した光ビームの波長解析を通じて水分の値やタンパクの値を測定する。食味測定のために必要な測定時間は数秒から数十数秒程度である。
【0033】
食味測定が終了すると、食味シャッタ35が開放姿勢に切り替えられ、食味測定容器33内の穀粒が穀粒タンク15に放出される。収量測定容器32における上記の所定貯留量は、この食味測定の間に収量測定容器32に流れ込む穀粒を受け入れることができる量以上となっている。再び、収量測定容器32での穀粒貯留量が所定量に達することで、適量検知信号が発生すると、前述したように、時間算定部55による時間計測がストップするとともに、収量シャッタ34が開放姿勢に切り替わり、食味シャッタ35が閉鎖姿勢に切り替わる。2回目の収量測定における貯留時間は、
図6では、t2で表されている。このようにして、刈取り作業の間、時間当たりの収量と食味値が求められていく。
【0034】
圃場の位置、つまり圃場を微小に分割した区画によって、稲や麦などの作物の成育状態は異なるので、上記のようにして順次求められていく時間当たりの収量は、圃場の位置によって変動する。
図7で、このことが模式的に示されている。ここでは、T1、T2・・・は、各回の収量測定(時間計測)が終了した時点から、刈取部12から収量測定部21まで穀粒が搬送される時間(つまり前述した遅れ時間)だけさかのぼった時間(その穀粒を圃場から収穫した時点)を示している。P1、P2・・・は、その時点でのコンバイン1の圃場における位置ないしは作業開始からの走行距離である。各回の収量測定によって求められる時間当たり収量:Δqは、所定量:qを時間算定部55による時間計測値:tで割った値である。
図7から明らかなように、ここでは、ある回:nの測定終了時点:Pn(Tn)で求められた時間当たり収量:Δqn(Δq1、Δq2・・・)は、前回:n-1の測定時点Pn-1(Tn-1)から今回までの圃場微小領域で有効とみなしている。したがって、順次得られた時間当たり収量:Δq1、Δq2・・・から、圃場の任意の区画における収量が算定可能となる。
これに代えて、ある時点:Pn(Tn)で求められた時間当たり収量:Δqnを、ある時点で:Pn(Tn)の前後の1/2区画領域に適応させるような方法を採用してもよいし、ある時点:Pn(Tn)で求められた時間当たり収量:Δqnを次の測定結果が得られる時点:Pn+1(Tn+1)までの領域に適応させるような方法を採用してもよい。
【0035】
図8には、刈取り作業の間、このようにして得られた時間当たり収量:Δq1、Δq2・・・と、そして同時に得られる食味測定値を、圃場区画に割り当てて、収量と食味の分布データを作成する様子が模式化して示されている。
区画01では、時点T1と時点T2に対応する位置P1と位置P2が含まれており、時点T01で区間01から区間02に移行している。上述したように、区間01において、位置P1までの区間には時間当たり収量としてΔq1が割り当てられ、位置P1から位置P2までの区間には時間当たり収量としてΔq2が割り当てられる。さらに、位置P2から残りの区間には時間当たり収量としてΔq3が割り当てられる。したがって、区間01における収量:Q01は、次のように算出される。Q01=Q1+Q2+Q31、ここでQ1=Δq1×(T1−T0)、Q2=Δq2×(T2−T1)、Q31=Δq2×(T2−T1)。
なお、この実施形態では、収量Q1とQ2とQ3の算定に用いられた貯留穀粒に対して食味測定も行われ、それぞれの食味値S1とS2とS3が得られているので、その平均を求めて、区間01における食味値S01を求めることができる。その際、区間01におけるS3の占める割合は他の2つの比べて小さくなっているので、その分の重みを考慮した重み平均を採用してもよい。
【0036】
求められた収量:Q01と食味値:S01と区間01を示すID(ここでは01とする)とをリンクしたデータセット:[Q01,S01, 01]が収穫情報として、圃場区画マップに割り当てられる。このように各区画に割り当てられた収穫情報は、収量や食味の分布グラフなどの形態で、視覚化することができる。
【0037】
なお、ここでは、説明を簡単にするため、コンバイン1の刈取り幅を単位区画の一辺とするとともに、単位走行距離を単位区画の他辺としているので、単位走行収量をそのまま単位区画当たりの収量として取り扱っている。しかしながら、単位区画の一辺がコンバイン1の刈取り幅より大きく、コンバイン1が1つの単位区画を複数回作業走行するような場合には、コンバイン1の走行軌跡に基づいて、各区画の収量は、複数回分の走行での収量を積算して求めることになる。
【0038】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、収量測定容器32と食味測定容器33が同じ筒状体31の異なる位置に形成され、一体的な構造となっていたが、収量測定容器32と食味測定容器33とが互いに独立した別構造体であってもよい。その際の簡単な構成の一例は、収量測定容器32のための筒状体31と味測定容器33の筒状体31とを備え、それぞれ独立した収量測定容器32と食味測定容器33とを形成することである。その際、収量シャッタ34を含む収量測定容器32と、食味シャッタ35を含む食味測定容器33とをそれぞれ個別に取り付け・取り外し可能な構成とすれば、収量測定容器32と食味測定容器33とが一体的な構成のものに比べて、故障時における取り外し作業や取り付け作業が簡単となり、保守点検コストが少なくなる。
また、収量測定だけが必要な場合には、収量測定容器32と収量シャッタ34と収量測定部21だけとし、食味測定容器33と食味シャッタ35と食味測定部22を省略することができる。
(2)上述した実施形態では、
図4で示すように、収量測定容器32に受け入れられる穀粒は、供給コンベヤ30によって搬送されてくる穀粒の一部であるので、収量測定容器32に受け入れられる穀粒と受け入れられない穀粒との割合を求めておき、その割合に基づいて測定収量から実収量を算定する必要がある。これを避けるために、供給コンベヤ30によって搬送されてくる穀粒の全量を収量測定容器32に一旦受け入れられるような構成を採用してもよい。
(3)上述した実施形態では、
図6のタイムチャートに示されているように、収量測定及び食味測定は、ほぼ連続的に行われていたが、各測定の間隔をより長くしてもよい。あるいは、各測定の間隔を作業状態に応じて変動できるようにしてもよい。
(4)上述した実施形態では、測定評価モジュール50はコンバイン1の制御システム5に組み込まれている。これに代えて、測定評価モジュール50を、コンバイン1に持ち込まれるタブレットコンピュータやスマートフォンなどの携帯通信機器のプログラムとして構築してもよい。その際、制御システム5及び収量測定部21や食味測定部22からの必要とするデータは、コンバイン1の車載LANに装備されたLANアダプタを介して携帯通信機器に無線伝送するようにするとよい。特にスマートフォンは、ほとんどの運転者に所有されており、かつ遠隔地との間で通信回線を用いたデータ伝送機能も標準機能として備えられているので、作成された収穫情報を管理センタのコンピュータシステムに転送し、そこで記録することも容易であり、好適である。
(5)上述した実施形態では、収量測定部21として近接センサが用いられていたが、収量測定容器32に所定量の穀粒が貯留されたことを検出することができる他のセンサやスイッチを用いてもよい。なお、このような収量測定部21として用いられるセンサやスイッチを用いて、収量測定容器32における穀粒の空検出を行い、収量シャッタ34の開放による貯留穀粒の放出確認を行うようにしてもよい。同様な目的で、そのようなセンサやスイッチを食味測定容器33にも設け、食味測定容器33における穀粒の空検出や、場合によっては適量検出を行うようにしてもよい。
(6)上述した実施形態では、食味測定部22として光学式のものが用いられたが、他の形式、例えば破砕式などを用いてもよい。
(7)上述した実施形態では、
図4の(b)などに示されているように、穀粒タンク15の側壁に沿って収量測定容器32及び食味測定容器33が形成され、さらに収量測定容器32及び食味測定容器33のタンク内部側の側面に収量シャッタ34及び食味シャッタ35のそれぞれのアクチュエータ34a及び35aが設けられている。また、食味測定部33は穀粒タンク15の側壁に貫通部を設けて、側壁の内外にわたって取り付けられている。この構成に代えて、
図9に示すように、収量シャッタ34及び食味シャッタ35のそれぞれのアクチュエータ34a及び35aが穀粒タンク15の側壁に設けられてもよい。その際、
図9の例では、穀粒タンク15の側壁に貫通部を設けて、アクチュエータ34a及び35aが側壁の内側と外側とにわたって取り付けられている。そして、食味測定部33が食味測定容器33の穀粒タンク15の側壁とは反対側の側面に設けられている。さらに、
図9に示された別実施形態では、収量測定部21は、近接センサなどではなく、二重底板構造にした収量シャッタ21の2つの底板の間に配置されたロードセルによって収量シャッタ21に貯留されている穀粒の重量を測定するような構成にしてもよい。このような場合、重量から収量(容積)を換算する際には、穀粒の水分値によって水分補正を行うと、より正確な収量を得ることができる。