特許第6692243号(P6692243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6692243
(24)【登録日】2020年4月16日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】電気プラグ用の保護装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/44 20060101AFI20200427BHJP
【FI】
   H01R13/44 C
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-147680(P2016-147680)
(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公開番号】特開2018-18676(P2018-18676A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 敏成
(72)【発明者】
【氏名】山下 聡史
(72)【発明者】
【氏名】伴野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇之
(72)【発明者】
【氏名】小林 広介
(72)【発明者】
【氏名】三宅 治良
(72)【発明者】
【氏名】進士 誉夫
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−086083(JP,U)
【文献】 特開昭49−058387(JP,A)
【文献】 特開2008−235233(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0106909(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の電気コードに接続される持ち手部と、当該持ち手部から先端側に向けて突出する刃部とを備える電気プラグの周囲の少なくとも一部を、電気コンセントに対する前記電気プラグの前記刃部の抜差方向に沿った抜差軸の軸周りで囲う電気プラグ用の保護装置であって、
前記電気プラグに対して装着される装着部と、
前記装着部と連結されて、当該装着部から、前記刃部が突出する先端側とは反対側の後端側に向かって延びると共に、弾性変形により前記抜差方向に沿って伸縮可能な絶縁性の内側弾性部と、
内径側に配置される前記内側弾性部と後端側で連結されて、前記抜差軸の軸周りで前記電気プラグの周囲を囲う状態で後端側から先端側に向けて延びると共に、弾性変形により前記抜差方向に沿って伸縮可能な絶縁性の外側弾性部とを備え、
前記外側弾性部は、外力によって収縮していない状態での先端側から後端側までの長さが、前記刃部の前記持ち手部からの突出長さよりも長く形成されており、
前記電気プラグの前記刃部が前記電気コンセントに差し込まれた差込状態で放置されているとき、前記外側弾性部は、前記持ち手部を前記抜差軸の軸周りで囲む状態になるように構成されている電気プラグ用の保護装置。
【請求項2】
前記差込状態において、前記外側弾性部及び前記内側弾性部が接触体で後端側から先端側へと押し込まれると、前記外側弾性部は、後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記電気コンセントに接触した状態で前記接触体と前記電気コンセントとの間で挟まれて収縮し、及び、前記内側弾性部は、後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記装着部によって前記電気プラグに固定された状態で前記接触体と前記装着部との間で挟まれて収縮することで、前記持ち手部が前記外側弾性部及び前記内側弾性部によって囲まれていない領域が作り出されるように構成されている請求項1に記載の電気プラグ用の保護装置。
【請求項3】
前記差込状態にある前記電気プラグの前記持ち手部を前記接触体で持って前記電気プラグの前記刃部を前記電気コンセントから抜き取る過程で、前記刃部が前記電気コンセントから抜き取られるにつれて、前記電気コンセントと前記電気プラグの前記持ち手部を持っている前記接触体との間隔が広がることで、前記外側弾性部は、後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記電気コンセントに接触した状態を保ちながら伸長し始め、最終的には後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記電気コンセントから離れて最も伸長した状態になって、前記電気プラグの先端側に向けて前記外側弾性部が前記持ち手部よりも延出した状態が作り出されるように構成されている請求項2に記載の電気プラグ用の保護装置。
【請求項4】
前記装着部は、弾性変形可能な板状部材に、前記電気プラグの前記刃部が挿通される孔部が形成された構造になっており、
前記装着部の前記孔部に前記電気プラグの前記刃部が挿通されると、前記装着部の弾性力により前記電気プラグに対して前記装着部が密着して、前記装着部が前記電気プラグに対して固定される請求項1〜3の何れか一項に記載の電気プラグ用の保護装置。
【請求項5】
前記外側弾性部は、前記抜差方向に伸縮変形可能な蛇腹形状の筒状体で構成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の電気プラグ用の保護装置。
【請求項6】
前記外側弾性部又は前記内側弾性部の後端側に重りが設けられている請求項1〜5の何れか一項に記載の電気プラグ用の保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の電気コードに接続される持ち手部と、その持ち手部から先端側に向けて突出する刃部とを備える電気プラグの周囲の少なくとも一部を、電気コンセントに対する電気プラグの刃部の抜差方向に沿った抜差軸の軸周りで囲う電気プラグ用の保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気プラグの周囲の少なくとも一部を囲う電気プラグ用の保護装置が記載されている。具体的には、特許文献1には、ゴム又はビニール等の絶縁体を用いて蛇腹状に形成されたカバーを電気プラグの根本部分に装着することが記載されている。このカバーは、外力が加えられていない状態で、電気プラグの根本部分から、電気プラグの持ち手部及びその持ち手部から突出する刃部までを覆い隠す構造になっている(特許文献1の第1図)。そして、このカバー付きの電気プラグの刃部を電気コンセントに差し込むと、蛇腹状のカバーが、その根本部分と電気コンセントとの間で圧縮されて収縮した状態になる(特許文献1の第2図)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−86083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電気プラグ用の保護装置では、電気プラグの刃部が電気コンセントに差し込まれている間、カバーは常に圧縮された状態になっている。そのため、電気プラグの刃部が電気コンセントに長期間にわたって差し込まれたままになると、カバーに圧縮癖が付き、その圧縮された状態から復元できなくなる可能性がある。その場合、次に電気プラグの刃部が電気コンセントから抜き取られても、圧縮癖がついて圧縮されたままの状態になっているカバーでは刃部を覆い隠すことができず、刃部を保護するという役割を果たすことができなくなる。
尚、そのような問題を解決するために、圧縮癖がつかないようにカバーの弾性力を強くすることもできる。しかし、そうすると、電気プラグの刃部を電気コンセントに差し込んだときに、その強力な弾性力によって電気プラグの刃部が電気コンセントから自然に抜ける可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、長期間にわたって電気プラグを保護する役割を果たすことができる電気プラグ用の保護装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る電気プラグ用の保護装置の特徴構成は、電気機器の電気コードに接続される持ち手部と、当該持ち手部から先端側に向けて突出する刃部とを備える電気プラグの周囲の少なくとも一部を、電気コンセントに対する前記電気プラグの前記刃部の抜差方向に沿った抜差軸の軸周りで囲う電気プラグ用の保護装置であって、
前記電気プラグに対して装着される装着部と、
前記装着部と連結されて、当該装着部から、前記刃部が突出する先端側とは反対側の後端側に向かって延びると共に、弾性変形により前記抜差方向に沿って伸縮可能な絶縁性の内側弾性部と、
内径側に配置される前記内側弾性部と後端側で連結されて、前記抜差軸の軸周りで前記電気プラグの周囲を囲う状態で後端側から先端側に向けて延びると共に、弾性変形により前記抜差方向に沿って伸縮可能な絶縁性の外側弾性部とを備え、
前記外側弾性部は、外力によって収縮していない状態での先端側から後端側までの長さが、前記刃部の前記持ち手部からの突出長さよりも長く形成されており、
前記電気プラグの前記刃部が前記電気コンセントに差し込まれた差込状態で放置されているとき、前記外側弾性部は、前記持ち手部を前記抜差軸の軸周りで囲む状態になるように構成されている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、電気プラグの刃部が電気コンセントに差し込まれた差込状態で放置されているとき、外側弾性部は、後端側が内側弾性部と連結された状態で先端側に向けて延在して、持ち手部を抜差軸の軸周りで囲む状態になっている。つまり、差込状態では、電気プラグの持ち手部の周囲は外側弾性部によって囲まれているため、指などの接触体で持ち手部を持つためには、外側弾性部を電気プラグの後端側から先端側に向けて押し出すようにして収縮させてその持ち手部を露出させる必要がある。また、電気プラグを電気コンセントから抜き取った状態で、持ち手部が接触体で持たれていると、即ち、外側弾性部の後端側が先端側へと押し込まれた状態になっていると、外側弾性部は外力によって収縮していない状態での先端側から後端側までの長さが刃部の持ち手部からの突出長さよりも長く形成されているので、外側弾性部が持ち手部よりも先端側に向けて延出して、その外側弾性部で刃部の全て又は大部分が囲まれることになる。従って、電気プラグを電気コンセントから抜き取ったときに持ち手部が接触体で持たれていると、外側弾性部で刃部の全て又は大部分が囲まれるため、刃部に人体が接触することを防止できる。
【0008】
また、電気プラグの刃部が電気コンセントに差し込まれた差込状態で放置されているとき、外側弾性部は、後端側が内側弾性部と連結された状態で先端側に向けて延在して、持ち手部を抜差軸の軸周りで囲む状態になっている。つまり、差込状態にあるとき、外側弾性部は、抜差方向での長さが持ち手部の長さ以上になった状態で、持ち手部を抜差軸の軸周りで囲んでいる。このように、電気プラグの刃部が電気コンセントに対して長期間にわたって差し込まれていても、その間、外側弾性部は少なくとも持ち手部の長さ以上の長さになっており、大きく収縮した状態にはなっていない。従って、外側弾性部に収縮癖がつくとしても、持ち手部の長さ以上の長さは保っているので、次に電気プラグを電気コンセントから抜き取ったときに持ち手部が接触体で持たれていると、外側弾性部で刃部の全て又は大部分を囲むことができて、刃部に人体が接触することを防止できる。
従って、長期間にわたって電気プラグを保護する役割を果たすことができる電気プラグ用の保護装置を提供できる。
【0009】
本発明に係る電気プラグ用の保護装置の別の特徴構成は、前記差込状態において、前記外側弾性部及び前記内側弾性部が接触体で後端側から先端側へと押し込まれると、前記外側弾性部は、後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記電気コンセントに接触した状態で前記接触体と前記電気コンセントとの間で挟まれて収縮し、及び、前記内側弾性部は、後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記装着部によって前記電気プラグに固定された状態で前記接触体と前記装着部との間で挟まれて収縮することで、前記持ち手部が前記外側弾性部及び前記内側弾性部によって囲まれていない領域が作り出されるように構成されている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、電気プラグの刃部が電気コンセントに差し込まれた差込状態にあるとき、持ち手部を指などの接触体で持つために外側弾性部及び内側弾性部が接触体で後端側から先端側へ向けて押し込まれると、外側弾性部は接触体と電気コンセントとの間で挟まれて収縮し、及び、内側弾性部は接触体と装着部との間で挟まれて収縮することで、持ち手部が外側弾性部及び内側弾性部によって囲まれていない領域が作り出される。その結果、持ち手部を指などの接触体で持つことができる。
【0011】
本発明に係る電気プラグ用の保護装置の更に別の特徴構成は、前記差込状態にある前記電気プラグの前記持ち手部を前記接触体で持って前記電気プラグの前記刃部を前記電気コンセントから抜き取る過程で、前記刃部が前記電気コンセントから抜き取られるにつれて、前記電気コンセントと前記電気プラグの前記持ち手部を持っている前記接触体との間隔が広がることで、前記外側弾性部は、後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記電気コンセントに接触した状態を保ちながら伸長し始め、最終的には後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記電気コンセントから離れて最も伸長した状態になって、前記電気プラグの先端側に向けて前記外側弾性部が前記持ち手部よりも延出した状態が作り出されるように構成されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、差込状態にある電気プラグの持ち手部を接触体で持って電気コンセントから抜き取る過程で、刃部が電気コンセントから抜き取られるにつれて、外側弾性部は、後端側が接触体に接触し且つ先端側が電気コンセントに接触した状態を保ちながら伸長し始め、最終的には後端側が接触体に接触し且つ先端側が電気コンセントから離れて最も伸長した状態になって、電気プラグの先端側に向けて持ち手部よりも延出した状態になる。従って、差込状態にある電気プラグの持ち手部を接触体で持って電気コンセントから抜き取る途中及び抜き取った後、常に、外側弾性部によって刃部の全て又は大部分を囲むことができて、刃部に人体が接触することを防止できる。
【0013】
本発明に係る電気プラグ用の保護装置の更に別の特徴構成は、前記装着部は、弾性変形可能な板状部材に、前記電気プラグの前記刃部が挿通される孔部が形成された構造になっており、
前記装着部の前記孔部に前記電気プラグの前記刃部が挿通されると、前記装着部の弾性力により前記電気プラグに対して前記装着部が密着して、前記装着部が前記電気プラグに対して固定される点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、装着部の弾性力により保護装置が電気プラグに対して固定されるので、接着剤などで固定する場合などに比べて、電気プラグに対する保護装置の取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。
【0015】
本発明に係る電気プラグ用の保護装置の更に別の特徴構成は、前記外側弾性部は、前記抜差方向に伸縮変形可能な蛇腹形状の筒状体で構成されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、外側弾性部が蛇腹形状の筒状体で構成されていると、その筒状体の側面部分、即ち、蛇腹形状部分を指などの接触体で持ち難くなる。その結果、電気コンセントの持ち手部を指などの接触体で持とうとする場合には、外側弾性部及び内側弾性部を接触体によって後端側から先端側へと押し込んで収縮させることで持ち手部を持つような手法が自然と行われるようになる。そして、そのような持ち方が実施されると、差込状態にある電気プラグの持ち手部を接触体で持って電気コンセントから抜き取る途中及び抜き取った後、常に、外側弾性部によって刃部の全て又は大部分を囲むことができて、刃部に人体が接触することを防止できる。
【0017】
本発明に係る電気プラグ用の保護装置の更に別の特徴構成は、前記外側弾性部又は前記内側弾性部の後端側に重りが設けられている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、差込口が下向きになっている屋外コンセントなどに対して、電気プラグが下方から上方に向けて差し込まれたとき、重りの重さによって外側弾性部の後端側が下方に、即ち、電気コンセントから離れて伸長する方向に付勢される。加えて、外側弾性部の後端側で連結されている内側弾性部の後端側も、重りの重さによって内側弾性部の後端側が下方に、即ち、電気コンセントから離れて伸長する方向に付勢される。つまり、外側弾性部及び内側弾性部の両方とも、伸長する方向に付勢されることになる。よって、外側弾性部及び内側弾性部に圧縮癖が付き難くなるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の保護装置が電気プラグに装着された状態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の保護装置の断面図である。
図3】第1実施形態の保護装置の斜視図である。
図4】第1実施形態の保護装置が装着された電気プラグを電気コンセントに差し込んだ状態を示す断面図である。
図5】第1実施形態の保護装置が装着された電気プラグを電気コンセントに差し込んだ状態で、指により保護装置を収縮させた状態を示す断面図である。
図6】第1実施形態の保護装置が装着された電気プラグを電気コンセントから抜き取った状態を示す断面図である。
図7】第2実施形態の保護装置が装着された電気プラグを電気コンセントに差し込んだ状態を示す断面図である。
図8】別実施形態の保護装置の斜視図である。
図9】別実施形態の保護装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る電気プラグ用の保護装置10A(10)について説明する。
図1は、電気プラグ2に保護装置10Aが装着された状態を示す斜視図である。図2は、保護装置10Aの断面図である。図3は、保護装置10Aの斜視図である。図示するように、保護装置10Aは、電力消費装置や電源装置(例えば発電装置や充放電装置等)などの電気機器の電気コード3に接続される持ち手部2aと、当該持ち手部2aから先端側に向けて突出する刃部2bとを備える電気プラグ2の周囲の少なくとも一部を、電気コンセント1に対する電気プラグ2の刃部2bの抜差方向(図中に太線矢印で示す)に沿った抜差軸Xの軸周りで囲うように構成されている。保護装置10Aは、装着部11と、内側弾性部12と、外側弾性部13とを備える。
【0021】
装着部11は、電気プラグ2に対して装着される部品である。この装着部11により、保護装置10Aが電気プラグ2に対して固定される。本実施形態では、装着部11は、絶縁性の樹脂材料などで形成された弾性変形可能な板状部材に、電気プラグ2の刃部2bが挿通される孔部11aが形成された構造になっている。そして、装着部11の孔部11aに電気プラグ2の刃部2bが挿通されると、装着部11の弾性力により電気プラグ2に対して装着部11が密着して、装着部11が電気プラグ2に対して固定される。つまり、保護装置10Aは、装着部11の部分で電気プラグ2に対して固定される。
【0022】
内側弾性部12は、装着部11と連結されて、その装着部11から、刃部2bが突出する先端側とは反対側の後端側に向かって延びると共に、弾性変形により抜差方向に沿って伸縮可能に構成される。本実施形態では、内側弾性部12は、絶縁性の樹脂材料などで構成された筒状部材である。内側弾性部12は先端側で装着部11に連結されているため、保護装置10Aの抜差方向に沿って外力が加えられても、装着部11が電気プラグ2に対して固定されている限り、内側弾性部12の先端側は抜差方向に沿って殆ど変位しない。つまり、内側弾性部12は、その先端側が固定された状態で弾性変形することになる。
【0023】
外側弾性部13は、内径側に配置される内側弾性部12と後端側で連結されて、抜差軸Xの軸周りで電気プラグ2の周囲を囲う状態で後端側から先端側に向けて延びると共に、弾性変形により抜差方向に沿って伸縮可能に構成される。本実施形態では、外側弾性部13は、絶縁性の樹脂材料などで構成された筒状部材である。加えて、外側弾性部13は、抜差方向に伸縮変形可能な蛇腹形状の筒状体で構成されている。また、抜差方向に沿った外側弾性部13の長さに関して、外力によって収縮及び伸長していない状態での先端側から後端側までの長さ(図2の「Lb」)が、刃部2bの持ち手部2aからの突出長さ(図2の「La」)よりも長く形成されている。但し、抜差方向に沿った長さに関して、「持ち手部2aの長さ」+「刃部2bの長さ:La」>「外側弾性部13の長さ:Lb」である。
【0024】
更に、図1及び図2に示すように、電気プラグ2の刃部2bが電気コンセント1から抜き取られており、且つ、外側弾性部13及び内側弾性部12に対して指などから外力が加えられていない状態では、持ち手部2aは外側弾性部13に囲まれているものの、刃部2bは外側弾性部13及び内側弾性部12に覆い隠されてはおらず、露出している。そのため、電気プラグ2の刃部2bを電気コンセント1の差込口に差し込むときには、両者を目視しながら容易に位置合わせできる。
【0025】
次に、保護装置10Aが装着された電気プラグ2が、電気コンセント1から抜き取られるまでを説明する。
図4は保護装置10Aが装着された電気プラグ2を電気コンセント1に差し込んだ状態を示す断面図である。このように、電気プラグ2の刃部2bが電気コンセント1に差し込まれた差込状態で放置されているとき、外側弾性部13は、後端側が内側弾性部12と連結された状態で先端側に向けて延在して、持ち手部2aを抜差軸Xの軸周りで囲む状態になっている。更に、外側弾性部13が蛇腹形状に形成されているため、その筒状体の側面部分、即ち、蛇腹形状部分を指などの接触体で持ち難くなる。つまり、指などの接触体で外側弾性部13の外側から電気プラグ2の持ち手部2aを強くつかもうとしても、蛇腹形状の外側弾性部13に邪魔をされて強くつかむことはできない。その結果、電気プラグ2の持ち手部2aを指などの接触体で持とうとする場合には、外側弾性部13及び内側弾性部12を接触体によって後端側から先端側へと押し込んで収縮させることで持ち手部2aを持つような手法が自然と行われるようになる。
【0026】
図5は保護装置10Aが装着された電気プラグ2を電気コンセント1に差し込んだ状態で、指により保護装置10Aを収縮させた状態を示す断面図である。このように、電気コンセント1に差し込まれている電気プラグ2の持ち手部2aを指でつかもうとすると、指で外側弾性部13及び内側弾性部12を電気コンセント1の方に押し込むようにして収縮させて、持ち手部2aを露出させる必要がある。そして、電気プラグ2の刃部2bが電気コンセント1に差し込まれた差込状態において外側弾性部13によって囲まれている持ち手部2aを指で持つために、外側弾性部13及び内側弾性部12が指で後端側から先端側へと押し込まれると、外側弾性部13は、後端側が指に接触し且つ先端側が電気コンセント1に接触した状態で指と電気コンセント1との間で挟まれて収縮し、及び、内側弾性部12は、後端側が指に接触し且つ先端側が装着部11によって電気プラグ2に固定された状態で指と装着部11との間で挟まれて収縮する。これにより、持ち手部2aが外側弾性部13及び内側弾性部12によって囲まれていない領域が作り出される。
【0027】
そして、差込状態にある電気プラグ2の持ち手部2aを指で持って電気プラグ2の刃部2bを電気コンセント1から抜き取る過程で、刃部2bが電気コンセント1から抜き取られるにつれて、電気コンセント1と電気プラグ2の持ち手部2aを持っている指との間隔が広がることで、外側弾性部13は、後端側が指に接触し且つ先端側が電気コンセント1に接触した状態を保ちながら伸長し始める。
【0028】
図6は保護装置10Aが装着された電気プラグ2を電気コンセント1から抜き取った状態を示す断面図である。図6に示すように、電気プラグ2の刃部2bを電気コンセント1から抜き取る過程で、外側弾性部13は、後端側が指に接触し且つ先端側が電気コンセント1に接触した状態を保ちながら伸長し始め、最終的には後端側が指に接触し且つ先端側が電気コンセント1から離れて最も伸長した状態になる。このとき、内側弾性部12は接触体と装着部11との間で挟まれて収縮した状態になっている。このように、電気プラグ2を電気コンセント1から抜き取った状態で、持ち手部2aが指で持たれていると、即ち、外側弾性部13の後端側が先端側へと押し込まれた状態になっていると、上述したように外側弾性部13は外力によって収縮していない状態での先端側から後端側までの長さ(図2の「Lb」)が刃部2bの持ち手部2aからの突出長さ(図2の「La」)よりも長く形成されているので、外側弾性部13が持ち手部2aよりも先端側に向けて延出して、その外側弾性部13で刃部2bの全て又は大部分が囲まれることになる。従って、電気プラグ2を電気コンセント1から抜き取ったときに持ち手部2aが指で持たれていると、外側弾性部13で刃部2bの全て又は大部分が囲まれるため、刃部2bに人体が接触することを防止できる。特に、電気プラグ2の電気コード3に接続されているのが発電装置や充放電装置などの電源装置であったとしても、電気プラグ2の刃部2bで人体が感電する可能性が非常に低くなる。
【0029】
以上のように、電気プラグ2の刃部2bが電気コンセント1に差し込まれた差込状態で放置されているとき、外側弾性部13は、後端側が内側弾性部12と連結された状態で先端側に向けて延在して、持ち手部2aを抜差軸Xの軸周りで囲む状態になっている。つまり、外側弾性部13は、抜差方向での長さが持ち手部2aの長さ以上になった状態で、持ち手部2aを抜差軸Xの軸周りで囲んでいる。このように、電気プラグ2の刃部2bが電気コンセント1に対して長期間にわたって差し込まれていても、その間、外側弾性部13は少なくとも持ち手部2aの長さ以上の長さになっており、大きく収縮した状態にはなっていない。従って、外側弾性部13に収縮癖がつくとしても、持ち手部2aの長さ以上の長さは保っているので、次に電気プラグ2を電気コンセント1から抜き取ったときに持ち手部2aが指で持たれていると、外側弾性部13によって刃部2bの全て又は大部分を囲むことができて、刃部2bに人体が接触することを防止できる。
【0030】
特に、発電装置や充放電装置などの電源装置が電気コード3を介してこの電気プラグ2に接続されている場合、電気プラグ2が電気コンセント1から抜き取られたときに電源装置が単独運転防止機能等によって電力の出力動作を停止するとしても、電気プラグ2が電気コンセント1から抜き取られた直後には未だ電気プラグ2の刃部2bには電源装置から電力が僅かに出力されている可能性もある。そのような場合であっても、本発明に係る保護装置を電気プラグ2に装着していれば、外側弾性部13で刃部2bの全て又は大部分を囲むことで刃部2bに人体が接触することを回避して、人体の感電を防止できる。
【0031】
<第2実施形態>
第2実施形態の保護装置10B(10)は、外側弾性部13又は内側弾性部12の後端側に重り14が設けられている点で第1実施形態で説明した保護装置10Aと異なっている。以下に第2実施形態の保護装置10Bについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0032】
図7は、第2実施形態の保護装置10Bが装着された電気プラグ2を電気コンセント1に差し込んだ状態を示す断面図である。図示するのは、電気コンセント1が、家屋などの施設の屋外の壁面などに設けられる屋外コンセントの場合である。この屋外コンセントとしての電気コンセント1は、雨などの侵入を避けるために、差込口が下向きになっている。そのため、電気プラグ2も下方から上方に向けて差し込まれる。
【0033】
図示するように本実施形態の保護装置10Bは、外側弾性部13の後端側に重り14が設けられている。そのため、保護装置10Bが装着された電気プラグ2の刃部2bが電気コンセント1に差し込まれると、重り14の重さによって外側弾性部13の後端側が下方に、即ち、電気コンセント1から離れて伸長する方向に付勢される。加えて、外側弾性部13の後端側で連結されている内側弾性部12の後端側も、重り14の重さによって内側弾性部12の後端側が下方に、即ち、電気コンセント1から離れて伸長する方向に付勢される。つまり、外側弾性部13及び内側弾性部12の両方とも、保護装置10Bが装着された電気プラグ2の刃部2bが電気コンセント1に差し込まれた状態では、伸長する方向に付勢されることになる。よって、外側弾性部13及び内側弾性部12に圧縮癖が付き難くなるという利点がある。
【0034】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の電気プラグ用の保護装置の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、内側弾性部12及び外側弾性部13の形状は上記実施形態で説明した具体例には限定されず、適宜変更可能である。
図8は、別実施形態の保護装置10C(10)の斜視図である。図示するように、保護装置10Cにおいて、内側弾性部12は、樹脂材料などの弾性変形可能な短冊状の部材で構成される。そして、装着部11と外側弾性部13の後端側とが、一対の短冊状の内側弾性部12によって連結される。
【0035】
また、図9は、別実施形態の保護装置10D(10)の斜視図である。図示するように、保護装置10Dにおいて、内側弾性部12は、樹脂材料などの弾性変形可能ならせん状の部材で構成される。また、外側弾性部13も、樹脂材料などの弾性変形可能ならせん状の部材で構成される。そして、装着部11と内側弾性部12の先端側が連結され、内側弾性部12の後端側と外側弾性部13の後端側とが連結される。
【0036】
<2>
上記実施形態では、装着部11の孔部11aに対して電気プラグ2の刃部2bが挿通されることで装着部11が電気プラグ2に対して固定される例を説明したが、装着部11を電気プラグ2に対して固定できるのであれば、その装着形態は適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、装着部11の2つの孔部11aに対して電気プラグ2の2つの刃部2bのそれぞれが挿通されて密着する例を説明したが、装着部11が1つの孔を有し、その孔に対して電気プラグ2の持ち手部2aが嵌まることで両者が装着部11の弾性力により密着して固定されるように改変することもできる。
他にも、装着部11が自身の弾性力により電気プラグ2に対して密着するのではなく、装着部11が例えば粘着剤(粘着シール)などで電気プラグ2に装着されてもよい。また、装着部11が粘着剤で電気プラグ2に装着されるのであれば、装着部11は弾性変形し難い材料であってもよい。
【0037】
<3>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、長期間にわたって電気プラグを保護する役割を果たすことができる電気プラグ用の保護装置に利用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 電気コンセント
2 電気プラグ
2a 持ち手部
2b 刃部
3 電気コード
10 保護装置
11 装着部
11a 孔部
12 内側弾性部
13 外側弾性部
14 重り
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9