【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電気プラグ用の保護装置では、電気プラグの刃部が電気コンセントに差し込まれている間、カバーは常に圧縮された状態になっている。そのため、電気プラグの刃部が電気コンセントに長期間にわたって差し込まれたままになると、カバーに圧縮癖が付き、その圧縮された状態から復元できなくなる可能性がある。その場合、次に電気プラグの刃部が電気コンセントから抜き取られても、圧縮癖がついて圧縮されたままの状態になっているカバーでは刃部を覆い隠すことができず、刃部を保護するという役割を果たすことができなくなる。
尚、そのような問題を解決するために、圧縮癖がつかないようにカバーの弾性力を強くすることもできる。しかし、そうすると、電気プラグの刃部を電気コンセントに差し込んだときに、その強力な弾性力によって電気プラグの刃部が電気コンセントから自然に抜ける可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、長期間にわたって電気プラグを保護する役割を果たすことができる電気プラグ用の保護装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る電気プラグ用の保護装置の特徴構成は、電気機器の電気コードに接続される持ち手部と、当該持ち手部から先端側に向けて突出する刃部とを備える電気プラグの周囲の少なくとも一部を、電気コンセントに対する前記電気プラグの前記刃部の抜差方向に沿った抜差軸の軸周りで囲う電気プラグ用の保護装置であって、
前記電気プラグに対して装着される装着部と、
前記装着部と連結されて、当該装着部から、前記刃部が突出する先端側とは反対側の後端側に向かって延びると共に、弾性変形により前記抜差方向に沿って伸縮可能な絶縁性の内側弾性部と、
内径側に配置される前記内側弾性部と後端側で連結されて、前記抜差軸の軸周りで前記電気プラグの周囲を囲う状態で後端側から先端側に向けて延びると共に、弾性変形により前記抜差方向に沿って伸縮可能な絶縁性の外側弾性部とを備え、
前記外側弾性部は、外力によって収縮していない状態での先端側から後端側までの長さが、前記刃部の前記持ち手部からの突出長さよりも長く形成されており、
前記電気プラグの前記刃部が前記電気コンセントに差し込まれた差込状態で放置されているとき、前記外側弾性部は、前記持ち手部を前記抜差軸の軸周りで囲む状態になるように構成されている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、電気プラグの刃部が電気コンセントに差し込まれた差込状態で放置されているとき、外側弾性部は、後端側が内側弾性部と連結された状態で先端側に向けて延在して、持ち手部を抜差軸の軸周りで囲む状態になっている。つまり、差込状態では、電気プラグの持ち手部の周囲は外側弾性部によって囲まれているため、指などの接触体で持ち手部を持つためには、外側弾性部を電気プラグの後端側から先端側に向けて押し出すようにして収縮させてその持ち手部を露出させる必要がある。また、電気プラグを電気コンセントから抜き取った状態で、持ち手部が接触体で持たれていると、即ち、外側弾性部の後端側が先端側へと押し込まれた状態になっていると、外側弾性部は外力によって収縮していない状態での先端側から後端側までの長さが刃部の持ち手部からの突出長さよりも長く形成されているので、外側弾性部が持ち手部よりも先端側に向けて延出して、その外側弾性部で刃部の全て又は大部分が囲まれることになる。従って、電気プラグを電気コンセントから抜き取ったときに持ち手部が接触体で持たれていると、外側弾性部で刃部の全て又は大部分が囲まれるため、刃部に人体が接触することを防止できる。
【0008】
また、電気プラグの刃部が電気コンセントに差し込まれた差込状態で放置されているとき、外側弾性部は、後端側が内側弾性部と連結された状態で先端側に向けて延在して、持ち手部を抜差軸の軸周りで囲む状態になっている。つまり、差込状態にあるとき、外側弾性部は、抜差方向での長さが持ち手部の長さ以上になった状態で、持ち手部を抜差軸の軸周りで囲んでいる。このように、電気プラグの刃部が電気コンセントに対して長期間にわたって差し込まれていても、その間、外側弾性部は少なくとも持ち手部の長さ以上の長さになっており、大きく収縮した状態にはなっていない。従って、外側弾性部に収縮癖がつくとしても、持ち手部の長さ以上の長さは保っているので、次に電気プラグを電気コンセントから抜き取ったときに持ち手部が接触体で持たれていると、外側弾性部で刃部の全て又は大部分を囲むことができて、刃部に人体が接触することを防止できる。
従って、長期間にわたって電気プラグを保護する役割を果たすことができる電気プラグ用の保護装置を提供できる。
【0009】
本発明に係る電気プラグ用の保護装置の別の特徴構成は、前記差込状態において、前記外側弾性部及び前記内側弾性部が接触体で後端側から先端側へと押し込まれると、前記外側弾性部は、後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記電気コンセントに接触した状態で前記接触体と前記電気コンセントとの間で挟まれて収縮し、及び、前記内側弾性部は、後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記装着部によって前記電気プラグに固定された状態で前記接触体と前記装着部との間で挟まれて収縮することで、前記持ち手部が前記外側弾性部及び前記内側弾性部によって囲まれていない領域が作り出されるように構成されている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、電気プラグの刃部が電気コンセントに差し込まれた差込状態にあるとき、持ち手部を指などの接触体で持つために外側弾性部及び内側弾性部が接触体で後端側から先端側へ向けて押し込まれると、外側弾性部は接触体と電気コンセントとの間で挟まれて収縮し、及び、内側弾性部は接触体と装着部との間で挟まれて収縮することで、持ち手部が外側弾性部及び内側弾性部によって囲まれていない領域が作り出される。その結果、持ち手部を指などの接触体で持つことができる。
【0011】
本発明に係る電気プラグ用の保護装置の更に別の特徴構成は、前記差込状態にある前記電気プラグの前記持ち手部を前記接触体で持って前記電気プラグの前記刃部を前記電気コンセントから抜き取る過程で、前記刃部が前記電気コンセントから抜き取られるにつれて、前記電気コンセントと前記電気プラグの前記持ち手部を持っている前記接触体との間隔が広がることで、前記外側弾性部は、後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記電気コンセントに接触した状態を保ちながら伸長し始め、最終的には後端側が前記接触体に接触し且つ先端側が前記電気コンセントから離れて最も伸長した状態になって、前記電気プラグの先端側に向けて前記外側弾性部が前記持ち手部よりも延出した状態が作り出されるように構成されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、差込状態にある電気プラグの持ち手部を接触体で持って電気コンセントから抜き取る過程で、刃部が電気コンセントから抜き取られるにつれて、外側弾性部は、後端側が接触体に接触し且つ先端側が電気コンセントに接触した状態を保ちながら伸長し始め、最終的には後端側が接触体に接触し且つ先端側が電気コンセントから離れて最も伸長した状態になって、電気プラグの先端側に向けて持ち手部よりも延出した状態になる。従って、差込状態にある電気プラグの持ち手部を接触体で持って電気コンセントから抜き取る途中及び抜き取った後、常に、外側弾性部によって刃部の全て又は大部分を囲むことができて、刃部に人体が接触することを防止できる。
【0013】
本発明に係る電気プラグ用の保護装置の更に別の特徴構成は、前記装着部は、弾性変形可能な板状部材に、前記電気プラグの前記刃部が挿通される孔部が形成された構造になっており、
前記装着部の前記孔部に前記電気プラグの前記刃部が挿通されると、前記装着部の弾性力により前記電気プラグに対して前記装着部が密着して、前記装着部が前記電気プラグに対して固定される点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、装着部の弾性力により保護装置が電気プラグに対して固定されるので、接着剤などで固定する場合などに比べて、電気プラグに対する保護装置の取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。
【0015】
本発明に係る電気プラグ用の保護装置の更に別の特徴構成は、前記外側弾性部は、前記抜差方向に伸縮変形可能な蛇腹形状の筒状体で構成されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、外側弾性部が蛇腹形状の筒状体で構成されていると、その筒状体の側面部分、即ち、蛇腹形状部分を指などの接触体で持ち難くなる。その結果、電気コンセントの持ち手部を指などの接触体で持とうとする場合には、外側弾性部及び内側弾性部を接触体によって後端側から先端側へと押し込んで収縮させることで持ち手部を持つような手法が自然と行われるようになる。そして、そのような持ち方が実施されると、差込状態にある電気プラグの持ち手部を接触体で持って電気コンセントから抜き取る途中及び抜き取った後、常に、外側弾性部によって刃部の全て又は大部分を囲むことができて、刃部に人体が接触することを防止できる。
【0017】
本発明に係る電気プラグ用の保護装置の更に別の特徴構成は、前記外側弾性部又は前記内側弾性部の後端側に重りが設けられている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、差込口が下向きになっている屋外コンセントなどに対して、電気プラグが下方から上方に向けて差し込まれたとき、重りの重さによって外側弾性部の後端側が下方に、即ち、電気コンセントから離れて伸長する方向に付勢される。加えて、外側弾性部の後端側で連結されている内側弾性部の後端側も、重りの重さによって内側弾性部の後端側が下方に、即ち、電気コンセントから離れて伸長する方向に付勢される。つまり、外側弾性部及び内側弾性部の両方とも、伸長する方向に付勢されることになる。よって、外側弾性部及び内側弾性部に圧縮癖が付き難くなるという利点がある。