(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1コンタクトホールと前記第2コンタクトホールが、前記第3コンタクトホールと前記第4コンタクトホールの間に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の薄膜トランジスタ。
前記第1下部ゲート電極は前記第1半導体層と重畳し、前記第2下部ゲート電極は前記第2半導体層と重畳し、前記第1上部ゲート電極は前記第2半導体層と重畳することを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタ。
前記第1及び第2N型半導体層が、N型酸化物半導体層であり、前記第1及び第2P型半導体層は、P型酸化物半導体層であることを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
明細書全体にわたって同一の参照番号は、実質的に同一の構成要素を意味する。以下の説明では、本発明の主要な構成と関連がない場合および、本発明の技術分野に公知された構成と機能に対する詳細な説明は省略することができる。本明細書で記述する用語の意味は、次のように理解されなければならない。
【0014】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図と共に詳細に後述する実施例を参照すると明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されるものであり、単に本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は、請求項の範疇によってのみ定義される。
【0015】
本発明の実施例を説明するために図で開示された形状、大きさ、比率、角度、数などは例示的なものなので、本発明は、図に示された事項に限定されるものではない。明細書全体にわたって同一参照符号は同一の構成要素を指す。また、本発明を説明するにおいて、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0016】
本明細書で言及した「備える」、「有する」、「からなる」などが使用されている場合は、「〜だけ」が使用されていない限り、他の部分が追加され得る。構成要素を単数で表現する場合に特に明示的な記載事項がない限り、複数が含まれる場合を含む。
【0017】
構成要素を解釈するに当たり、別途の明示的な記載がなくても誤差の範囲を含むものと解釈する。
【0018】
位置関係の説明である場合には、例えば、「〜上に」、「〜の上部に」、「〜の下部に」、「〜の隣に」など2つの部分の位置関係が説明されている場合は、「すぐに」または「直接」が使用されていない以上、二つの部分の間に1つ以上の他の部分が位置することもできる。
【0019】
時間の関係に対する説明である場合には、例えば、「〜の後」、「〜に続いて」、「〜次に」、「〜前に」などで時間的前後関係が説明されている場合は、「すぐに」または「直接」が使用されていない以上、連続していない場合も含むことができる。
【0020】
第1、第2などがさまざまな構成要素を記述するために使用されるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されない。これらの用語は、ただ一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものである。したがって、以下に記載されている第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であることもある。
【0021】
「X軸方向」、「Y軸方向」および「Z軸方向」は、互いの関係が垂直方向に成り立った幾何学的な関係だけに解釈されてはならず、本発明の構成は、機能的に作用することができる範囲内より広い方向性を有することを意味することができる。
【0022】
「少なくとも一つ」の用語は、一つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むものと理解されなければならない。たとえば、「第1項目、第2項目及び第3項目のうち少なくとも一つ」の意味は、第1項目、第2項目または第3項目のそれぞれのみならず、第1項目、第2項目及び第3項目の中で2つ以上から提示することができるすべての項目の組み合わせを意味する。
【0023】
本発明のいくつかの実施例のそれぞれの特徴が部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能で、技術的に様々な連動と駆動が可能であり、各実施例が互いに独立して実施可能であり、連関関係で一緒に実施することもできる。
【0024】
以下、添付の図を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明することにする。
【0025】
図1は、本発明の一実施例に係る表示装置を示す斜視図である。
図2は
図1の第1基板、ゲート駆動部、ソースドライブIC、軟性フィルム、回路基板、およびタイミング制御部を示す平面図である。
【0026】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施例による有機発光表示装置1000は、表示パネル1100、ゲート駆動部1200、ソースドライブ集積回路(integrated circuit、以下「IC」と称する)1300、軟性フィルム1400、回路基板1500、およびタイミング制御部1600を含む。本発明の一実施例に係る表示装置は、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display)、電界放出表示装置(Field Emission Display)、電気泳動表示装置(Electrophoresis display)の中のいずれか一つで具現され得る。
【0027】
表示パネル1100は、第1基板1110と第2基板1120を含む。第2基板1120は、封止基板であり得る。第1基板1110と第2基板1120は、プラスチックフィルム(plastic film)またはガラス(glass)であり得る。
【0028】
第2基板1120と向かい合う第1基板1110の一面上にはゲートライン、データライン、及び画素(P)が形成される。画素(P)は、ゲートラインとデータラインの交差構造によって定義される領域に設けられる。画素(P)は、ゲートラインのゲート信号によってターンオンされて、データラインのデータ電圧を画素(P)内に供給するトランジスタを含むことができる。トランジスタは、薄膜トランジスタ(thin film transistor)であり得る。
【0029】
表示パネル1100は、
図2に示すように画素(P)が形成されて画像を表示する表示領域(DA)と画像を表示しない非表示領域(NDA)に区分することができる。表示領域(DA)には、ゲートライン、データライン、及び画素(P)が形成され得る。非表示領域(NDA)には、ゲート駆動部1200、パッド、データラインとパッドを接続するためのリンクラインが形成され得る。
【0030】
ゲート駆動部1200は、タイミング制御部1600から入力するゲート制御信号に応じてゲートラインにゲート信号を供給する。ゲート駆動部1200は、表示パネル1100の表示領域(DA)の一側または両側の外側の非表示領域(DA)にGIP(gate driver in panel)方式で形成され得る。
【0031】
ソースドライブIC1300は、タイミング制御部1600からのデジタルビデオデータとソース制御信号が入力する。ソースドライブIC1300は、ソース制御信号によってデジタルビデオデータをアナログデータ電圧に変換してデータラインに供給する。ソースドライブIC1300が駆動チップで製作されている場合には、COF(chip on film)またはCOP(chip on plastic)方式で軟性フィルム1400に実装することができる。
【0032】
表示パネル1100の非表示領域(NDA)には、データパッドのようなパッドが形成され得る。軟性フィルム1400には、パッドとソースドライブIC1300を接続する配線、パッドと回路基板1500の配線を接続する配線が形成され得る。軟性フィルム1400は、異方性導電フィルム(antisotropic conducting film)を用いて、パッド上に付着され、これにより、パッドと軟性フィルム1400の配線を接続することができる。
【0033】
回路基板1500は、軟性フィルム1400に付着することができる。回路基板1500は、駆動チップに具現された多数の回路を実装することができる。例えば、回路基板1500には、タイミング制御部1600を実装することができる。回路基板1500は、プリント回路基板(printed circuit board)またはフレキシブルプリント回路基板(flexible printed circuit board)であり得る。
【0034】
タイミング制御部1600は、回路基板1500のケーブルを通じて外部のシステムボードからデジタルビデオデータとタイミング信号が入力する。タイミング制御部1600は、タイミング信号に基づいて、ゲート駆動部1200の動作タイミングを制御するためのゲート制御信号とソースドライブIC1300を制御するためのソース制御信号を発生する。タイミング制御部1600は、ゲート制御信号をゲート駆動部1200に供給し、ソース制御信号をソースドライブIC1300に供給する。
【0035】
一方、表示装置は、駆動のためにP型半導体特性を有するP型薄膜トランジスタとN型半導体の特性を有するN型薄膜トランジスタの両方を用いることができる。
【0036】
例えば、表示装置が有機発光表示装置として具現されている場合には、画素(P)は、スイッチングトランジスタと駆動トランジスタのように複数のトランジスタを含むことができる。この場合には、スイッチングトランジスタはN型薄膜トランジスタで形成され、駆動トランジスタはP型薄膜トランジスタで形成することができる。または、スイッチングトランジスタはP型薄膜トランジスタで形成して駆動トランジスタはN型薄膜トランジスタで形成することができる。
【0037】
また、表示装置は、ゲート信号を出力するためにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路を含むことができる。または、表示装置は、他の信号を出力するためにCMOS回路を含むことができる。
【0038】
CMOS回路は、
図3のようにP型半導体特性を有する第1トランジスタ(T1)とN型半導体特性を有する第2トランジスタ(T2)を含むことができる。第1トランジスタ(T1)のゲート電極と第2トランジスタ(T2)のゲート電極は、入力端子(IT)に接続する。第1トランジスタ(T1)のソース電極は、駆動電圧が供給される駆動電圧ライン(VDDL)に接続し、ドレイン電極は出力端子(OT)に接続する。第2トランジスタ(T2)のソース電極はグラウンド(GND)に接続し、ドレイン電極は出力端子(OT)に接続する。
【0039】
入力端子(IT)に第1ロジックレベル電圧が印加される場合には、第1トランジスタ(T1)は、ターンオンされ、第2トランジスタ(T2)は、ターンオフされ得る。これにより、駆動電圧ライン(VDD)の駆動電圧が第1トランジスタ(T1)を通じて出力端子(OT)に出力され得る。入力端子(IT)の第1ロジックレベル電圧よりも高いレベルを有する第2ロジックレベル電圧が印加される場合には、第2トランジスタ(T2)は、ターンオンされ、第1トランジスタ(T1)は、ターンオフされ得る。これにより、出力端子(OT)は、第2トランジスタ(T2)を通じてグラウンド(GND)に接続し得るので、出力端子(OT)は、グラウンド電圧に放電され得る。
【0040】
すなわち、第1トランジスタ(T1)はP型半導体特性があり、第2トランジスタ(T2)はN型半導体特性があり、第1トランジスタ(T1)のゲート電極と第2トランジスタ(T2)のゲート電極は同じゲート電極に接続されるので、CMOS回路で、第1トランジスタ(T1)と第2トランジスタ(T2)は、互いに相補的にターンオンおよびターンオフされ得る。
【0041】
以上で説明したように、表示装置は、駆動のためにP型薄膜トランジスタとN型薄膜トランジスタの両方を含むことができるが、この場合、製造工程が複雑になる問題がある。しかし、本発明の実施例は、P型半導体層とN型半導体層の両方を含む1つのトランジスタを用いてCMOS回路を具現し、P型トランジスタとN型トランジスタを選択的に具現するので、製造工程が複雑になることを防止することができる。
【0042】
以下では、
図4〜
図10を結びつけて、本発明の一実施例に基づいてCMOS回路で具現された薄膜トランジスタを詳細に説明し、
図11及び
図12を結びつけて、本発明の他の実施例によってP型トランジスタとN型トランジスタのいずれか一つで選択的に具現された薄膜トランジスタを詳細に説明する。
【0043】
図4は、本発明の一実施例に係る薄膜トランジスタを示す平面図である。
図5は
図4のI−I’の断面図である。
【0044】
図5は、本発明の一実施例に係る薄膜トランジスタがコプレーナ(coplanar)構造で形成された例を示した。コプレーナ(coplanar)構造は、ゲート電極がアクティブ層の上部に形成された上部ゲート(top gate)構造を有する。
【0045】
図4及び
図5を参照すると、本発明の一実施例に係る薄膜トランジスタ10は、下部ゲート電極110、半導体層130、第1ソース電極141、第1ドレイン電極142、第2ソース電極143、第2ドレイン電極144、及び上部ゲート電極160を含む。半導体層130は、N型半導体層131とP型半導体層132を含む。
【0046】
上部ゲート電極160、P型半導体層132、第1ソース電極141、及び第1ドレイン電極142は、
図3に示された第1トランジスタ(T1)での役割をして、下部ゲート電極110、N型半導体層131、第2ソース電極143、及び第2ドレイン電極144は、
図3に示された第2トランジスタ(T2)での役割をする。すなわち、本発明の一実施例に係る薄膜トランジスタ10は、N型半導体層131とP型半導体層132を含むことにより、N型半導体特性とP型半導体特性をすべて有する。
【0047】
薄膜トランジスタ10は、基板100上に形成される。基板100は、プラスチック(plastic)またはガラス(glass)からなり得る。
【0048】
基板100を通じて浸透する水分から薄膜トランジスタ10を保護するために、バッファ膜を基板100上に形成することができる。バッファ膜は交互に積層された複数の無機膜からなり得る。たとえば、バッファ膜210は、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、SiON中の一つ以上の無機膜が交互に積層された多重膜で形成することができる。
【0049】
薄膜トランジスタ10の下部ゲート電極110は、基板100またはバッファ膜上に形成することができる。下部ゲート電極110は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、銅(Cu)中のいずれか一つ、またはこれらの合金からなる単一層または複数層で形成することができる。
【0050】
下部ゲート電極110上には第1ゲート絶縁膜120を形成することができる。第1ゲート絶縁膜120は、無機膜、例えばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはそれらの多重膜で形成することができる。
【0051】
下部ゲート電極110は、基板100からN型半導体層131に入射する光を遮断する役割をすることができる。つまり、N型半導体層131は、下部ゲート電極110によって光から保護することができる。
【0052】
第1ゲート絶縁膜120上には半導体層130を形成することができる。半導体層130は、N型半導体層131とP型半導体層132を含むことができる。N型半導体層131は、第1ゲート絶縁膜120上に形成され、P型半導体層132は、N型半導体層131上に形成することができる。半導体層130は、下部ゲート電極110および上部ゲート電極160それぞれに重畳することができる。
【0053】
N型半導体層131は、N型酸化物半導体層で形成され、P型半導体層132は、P型酸化物半導体層で形成され得る。N型半導体層131がN型酸化物半導体層である場合には、Indium Gallium Zinc Oxide(IGZO)、Indium Zinc Oxide(IZO)、Indium Gallium Oxide(IGO)、Indium Tin Zinc Oxide(ITZO)、Gallium Tin Oxide(GTO)、Zinc Tin Oxide(ZTO)、Indium Aluminum Zinc Oxide(IAZO)、Aluminum Zinc Oxide(AZO)、Indium Tin Oxide(ITO)、Antimony Tin Oxide(ATO)、またはGallium Zinc Oxide(GZO)で形成することができる。P型半導体層132がP型酸化物半導体層である場合には、Cu
2O、SnO、NiO、CuMO
2(Delafossite、M=Al、Ga、In、Sr、Y、Sc、Cr)、ZnM
2O
4(Spinel、M=Co、Rh、Ir)、LnCuOCh(オキシカルコゲナイド、Ln=ランタニド(La〜Lu)、Ch=Se、S、Te)、またはCu−Nanowireで形成することができる。
【0054】
N型半導体層131の第1方向(X軸方向)の長さ(L1)は、P型半導体層132の第1方向(X軸方向)の長さ(L2)より長く形成することができる。これにより、N型半導体層131の一部は、P型半導体層132によって覆われていないことがあり得る。したがって、第2ソース電極143と第2ドレイン電極144は、P型半導体層132によって覆われていないN型半導体層131に接続することができる。
【0055】
図4ではN型半導体層131の第2方向(Y軸方向)の長さがP型半導体層132の第2方向(Y軸方向)の長さと実質的に同じように形成された例を示したが、これに限定されない。N型半導体層131の第2方向(Y軸方向)の長さは、P型半導体層132の第2方向(Y軸方向)の長さよりも長く形成することができる。
【0056】
P型半導体層132上には第2ゲート絶縁膜151と第3ゲート絶縁膜152が形成される。第2ゲート絶縁膜151と第3ゲート絶縁膜152それぞれは、無機膜、例えば、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはそれらの多重膜で形成することができる。第3ゲート絶縁膜152は省略することができる。
【0057】
第3ゲート絶縁膜152上には上部ゲート電極160が形成される。上部ゲート電極160は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、銅(Cu)中のいずれか一つ、またはこれらの合金からなる単一層または複数層で形成することができる。
【0058】
図4では、上部ゲート電極160の第2方向(Y軸方向)の長さがP型半導体層132の第2方向(Y軸方向)の長さよりも長く形成された例を示したが、これに限定されない。つまり、上部ゲート電極160の第2方向(Y軸方向)の長さは、P型半導体層132の第2方向(Y軸方向)の長さと実質的に同じかまたはそれより短いことがあり得る。ただし、上部ゲート電極160の第2方向(Y軸方向)の長さが長いほどP型半導体層132のチャネル領域が広く形成されるので、上部ゲート電極160の第2方向(Y軸方向)の長さは、これを考慮して設計することができる。
【0059】
第1ゲート絶縁膜120、N型半導体層131、P型半導体層132、及び上部ゲート電極160上には層間絶縁膜170が形成される。層間絶縁膜170は、無機膜、例えばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはそれらの多重膜で形成することができる。
【0060】
層間絶縁膜170には、層間絶縁膜170を貫通してP型半導体層132を露出させる第1コンタクトホール(C1)と第2コンタクトホール(C2)が形成され、層間絶縁膜170を貫通してN型半導体層131を露出させる第3コンタクトホール(C3)と第4コンタクトホール(C4)を形成することができる。詳細には、第3コンタクトホール(C3)と第4コンタクトホール(C4)によりP型半導体層132によって覆われていないN型半導体層131が露出することができる。
【0061】
層間絶縁膜170上には、第1ソース電極141、第1ドレイン電極142、第2ソース電極143、及び第2ドレイン電極144を形成することができる。第1ソース電極141は、第1コンタクトホール(C1)を通じてP型半導体層132に接続することができる。第1ドレイン電極142は、第2コンタクトホール(C2)を通じてP型半導体層132に接続することができる。第2ソース電極143は、第3コンタクトホール(C3)を通じてP型半導体層132によって覆われていないN型半導体層131に接続することができる。第2ドレイン電極144は、第4コンタクトホール(C4)を通じてP型半導体層132によって覆われていないN型半導体層131に接続することができる。
【0062】
第1ソース電極141と、第1ドレイン電極142は、第1方向(X軸方向)の長さがN型半導体層131よりも短いP型半導体層132に接続するので、第1ソース電極141と、第1ドレイン電極142との間の間隔は、第2ソース電極143と第2ドレイン電極144との間の間隔よりも短い。
【0063】
第1ドレイン電極142と第2ドレイン電極144は、互いに接続することができ、この場合、薄膜トランジスタ10は、CMOSとして機能することができる。
【0064】
図6は、本発明の一実施例に係る薄膜トランジスタのN型半導体特性とP型半導体特性を示すグラフである。
図7a及び
図7bは、本発明の一実施例に係る薄膜トランジスタのP型半導体特性具現時の正孔濃度とN型半導体特性を具現時の電子濃度を示す例示図である。
【0065】
図6、
図7a及び
図7bは、N型半導体層131がIGZOで形成され、P型半導体層132がCu
2Oに形成されたものを中心に説明した。
【0066】
図6では、下部ゲート電極110に印加される電圧によってN型半導体層131に流れる電流(NIds)と上部ゲート電極160に印加される電圧によってP型半導体層132に流れる電流(PIds)が示されている。
図6のX軸はゲート電圧(Vg)を示し、Y軸は電流値(A)を示す。
【0067】
図7aは、
図6で、ゲート電圧(Vg)が−10Vである場合、つまり、P型半導体層132に流れる電流(PIds)が飽和状態の正孔濃度が示されている。
図7bには、
図6で、ゲート電圧(Vg)が+10Vである場合、つまり、N型半導体層131に流れる電流(NIds)が飽和状態の電子濃度が示されている。
【0068】
図6を参照すると、下部ゲート電極110に印加されたゲート電圧(Vg)が負電圧を有する場合、N型半導体層131には、ほぼ電流が流れない。また、下部ゲート電極110に印加されたゲート電圧(Vg)が正電圧を有する場合、N型半導体層131に流れる電流(NIds)は、ゲート電圧(Vg)に比例して上昇する。また、
図7bに示すようにN型半導体層131に流れる電流(NIds)が飽和した場合には、電子濃度は、下部ゲート電極110に近接したN型半導体層131の下部で最も高く示される。したがって、N型半導体層131は、N型半導体特性を有するとすることができる。
【0069】
上部ゲート電極160に印加されたゲート電圧(Vg)が正電圧を有する場合、P型半導体層132には、ほぼ電流が流れない。また、上部ゲート電極160に印加されたゲート電圧(Vg)が負電圧を有する場合、P型半導体層132に流れる電流(PIds)は、ゲート電圧(Vg)が低くなるほど上昇する。また、
図7aに示すようにP型半導体層132に流れる電流(PIds)が飽和した場合には、正孔濃度はP型半導体層132で最も高く示される。したがって、P型半導体層132は、P型半導体特性を有するとすることができる。
【0070】
一方、N型半導体層131上にP型半導体層132を形成する場合には、N型半導体層131とP型半導体層132のアクティブ領域でPN接合により空乏(depletion)が発生し得る。したがって、キャリア濃度の制御が素子特性具現に非常に重要である。このため、P型半導体層132の厚さは、N型半導体層131の厚さよりも薄く形成することができる。この場合、N型半導体層131のキャリア濃度は約5×e
17/cm
3であり、P型半導体層132のキャリア濃度は約1×e
18/cm
3であることが好ましい。
【0071】
図8は、P型半導体層の厚さによるP型半導体特性を示すグラフである。
図8は、ドレイン・ソース間電圧が−20Vと仮定する時、N型半導体層131の厚さが30nmであり、P型半導体層132の厚さが10nm、20nm、および30nmである時のゲート・ソース電圧(Vgs)に基づいて、第2チャネル領域(CH2)の電流値(Ids2)を示す。
図8において、X軸はゲート・ソース間電圧を示し、Y軸は第2チャネル領域(CH2)の電流値(Ids)を示す。
【0072】
図8を参照すると、P型半導体層132の厚さが20nmまたは30nmである時、ゲート・ソース電圧(Vgs)の変化にもかかわらず、電流が継続的に流れるので、P型半導体特性を具現するのは難しい。つまり、P型半導体層132の厚さが20nmまたは30nmである時、P型半導体層132は、P型半導体特性を有しない。
【0073】
一方、P型半導体層132の厚さが10nmの場合には、ゲート・ソース電圧(Vgs)が0V付近でオフ電流特性が現れる。つまり、P型半導体層132の厚さが10nmの時、P型半導体特性を具現することは可能である。
【0074】
したがって、本発明の一実施例に係る薄膜トランジスタ10は、P型半導体層132の厚さがN型半導体層131の厚さよりも薄いときにP型半導体特性を具現することができる。
【0075】
以上で説明したように、本発明の一実施例によると、下部ゲート電極110上にN型半導体層131が形成され、N型半導体層131上にP型半導体層132が形成され、P型半導体層132上に上部ゲート電極160が形成され、N型半導体層131の第1方向(X軸方向)の長さ(L1)がP型半導体層132の第2方向(Y軸方向)の長さ(L2)より長く形成される。これにより、第1ソース電極141と、第1ドレイン電極142がP型半導体層132に接続され、第2ソース電極143と第2ドレイン電極144がP型半導体層132によって覆われないN型半導体層131に接続することができる。その結果、本発明の実施例は、下部ゲート電極110に正電圧が印加される場合、N型半導体層131は、N型半導体特性を有し、上部ゲート電極160に負電圧が印加される場合、P型半導体層132は、P型半導体特性を有するように具現することができる。
【0076】
図9は、本発明の一実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を示すフローチャートである。
図10a〜
図10fは、本発明の一実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【0077】
図10a〜
図10fに示した断面図は、
図6に示した薄膜トランジスタの製造方法に関するものなので、同一の構成に対して同一の符号を付与した。以下では、
図9および
図10a〜
図10fを結びつけて、本発明の一実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を詳細に説明する。
【0078】
第一に、
図10aに示すように、基板100上に下部ゲート電極110を形成する。詳細には、スパッタリング法(sputtering)によって基板100上の全面に第1金属層を形成する。そして、第1金属層上にフォトレジストパターンを形成した後、第1金属層をエッチングするマスク工程を用いて、第1金属層をパターニングすることにより、下部ゲート電極110を形成する。下部ゲート電極110は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、銅(Cu)中のいずれか一つ、またはこれらの合金からなる単一層または複数層で形成することができる。
【0079】
基板100を通じて浸透する水分から薄膜トランジスタ10を保護するために、バッファ膜を基板100上に形成し、バッファ膜上に下部ゲート電極110を形成することができる。バッファ膜は交互に積層された複数の無機膜からなり得る。たとえば、バッファ膜は、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、SiON中の一つ以上の無機膜が交互に積層された多重膜で形成することができる。バッファ膜はPECVD法(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)を用いて形成することができる。(
図9のS101)
【0080】
第二に、
図10bに示すように下部ゲート電極110上に第1ゲート絶縁膜120を形成することができる。第1ゲート絶縁膜120は、無機膜、例えばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはそれらの多重膜で形成することができる。第1ゲート絶縁膜120は、PECVD法を用いて形成することができる。
【0081】
そして、第1ゲート絶縁膜120上にN型半導体層131とP型半導体層132を含む半導体層130を形成する。
【0082】
スパッタリング法(Sputtering)またはMOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)などを用いて、第1ゲート絶縁膜120上の全面に、第1半導体層を形成した後、第1半導体層上の全面に第2半導体層を形成する。そして、フォトレジストパターンを用いたマスク工程を利用して、第1及び第2半導体層を同時にパターニングしてN型半導体層131とP型半導体層132を形成する。N型半導体層131は、下部ゲート電極110と重畳することができる。
【0083】
N型半導体層131とP型半導体層132は、酸化物半導体層で形成することができる。この場合には、N型半導体層131は、IGZO、IZO、IGO、ITZO、GTO、ZTO、IAZO、AZO、ITO、ATO、またはGZOで形成することができる。P型半導体層132は、Cu
2O、SnO、NiO、CuMO
2(Delafossite、M=Al、Ga、In、Sr、Y、Sc、Cr)、ZnM
2O
4(Spinel、M=Co、Rh、Ir)、LnCuOCh(オキシカルコゲナイド、Ln=ランタニド(La〜Lu)、Ch=Se、S、Te)、またはCu−Nanowireで形成することができる。以下では、P型半導体層132がCu
2Oで形成される場合を中心に説明する。
【0084】
P型半導体層132がCu
2Oで形成される場合には、薄膜トランジスタ10がN型半導体特性とP型半導体特性をすべて有するために、N型半導体層131とP型半導体層132は、真空状態が維持されたまま形成されなければならない。つまり、N型半導体層131とP型半導体層132は、一つのチャンバー内で真空状態を維持し、連続して蒸着することができる。例えば、N型半導体層131とP型半導体層132を形成する際に、真空は5〜10mTorrに維持することができる。
【0085】
N型半導体層131とP型半導体層132を形成する際に、真空状態が維持されなければ、N型半導体層131が大気(atmosphere)中の酸素によって酸化され得る。この場合には、N型半導体層131とP型半導体層132の界面が不安定になり得る。また、N型半導体層131とP型半導体層132を形成する際に、真空状態が維持されなければ、大気(atmosphere)中の酸素によってP型半導体層132がCu
2Oに形成されず、CuOで形成され得る。
【0086】
Cu
2Oをターゲットに用いて、P型半導体層132を形成する場合には、酸素分圧は3%以下であることが好ましい。この場合には、酸素分圧が3%を超える場合には、P型半導体層132がCu
2Oに形成されず、CuOで形成され得る。また、Cuをターゲットに用いて、O
2反応方法でP型半導体層132を形成する場合には、酸素分圧は40%以上であることが好ましい。
【0087】
P型半導体層132がCuOで形成される場合には、Cu
2Oで形成される場合に比べて電子移動度が大きく低下し得る。つまり、P型半導体層132がCuOで形成される場合、P型半導体層132の電子移動度は、1cm
2/Vs以下と非常に低い。これにより、薄膜トランジスタ10は、P型半導体特性を具現することが難しい。
【0088】
一方、CuOで形成されたP型半導体層132をCu
2Oに置換するために、高温で熱処理することができる。例えば、CuOで形成されたP型半導体層132を真空状態で300度以上の高温で30分以上熱処理することができる。しかし、真空状態で高温で熱処理する場合、N型半導体層131に酸素が脱着してN型半導体層131の導電性が高くなり得る。これにより、下部ゲート電極110に印加されたゲート電圧(Vg)が負電圧を有してもN型半導体層131には、電流(NIds)が流れることができる。つまり、オフ電流(off current)が増加するという問題が発生し得る。
【0089】
N型半導体層131は、酸素が豊富な状態で形成することができる。例えば、N型半導体層131が形成されるとき、酸素分圧は3%〜10%であり得る。しかし、N型半導体層131の材料によって、電子移動度の向上が必要な場合、N型半導体層131を形成するための酸素分圧の条件は、0%〜3%であり得る。
【0090】
N型半導体層131は、電子移動度を向上させるために30nm以下であることが好ましい。また、P型半導体層132は、厚さが10nm以下に形成されてこそ
図4のように、第2チャネル領域(CH2)のターンオフを制御することができるだけでなく、P型半導体層132がCu
2Oで形成されやすい。したがって、P型半導体層132の厚さは、10nm以下であり得る。(
図9のS102)
【0091】
第三に、
図10cに示すようにP型半導体層132の一部を覆うように第2ゲート絶縁膜151を形成し、第2ゲート絶縁膜151を保護膜として、第2ゲート絶縁膜151に覆われないP型半導体層132をエッチングする。これにより、N型半導体層131の第1方向(X軸方向)の長さ(L1)は、P型半導体層132の第1方向(X軸方向)の長さ(L2)より長く形成することができる。(
図9のS103)
【0092】
第四に、
図10dに示すように、第2ゲート絶縁膜151上に第3ゲート絶縁膜152を形成し、第3ゲート絶縁膜152上に上部ゲート電極160を形成する。
【0093】
詳細には、PECVD法を用いて、第2ゲート絶縁膜151上の全面に第3ゲート絶縁膜152を形成する。そして、スパッタリング法(Sputtering)またはMOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)などを用いて、第3ゲート絶縁膜152上の全面に第2金属層を形成する。そして、フォトレジストパターンを用いたマスク工程を利用して、第2ゲート絶縁膜151、第3ゲート絶縁膜152、及び第2金属層を一括パターニングして第2ゲート絶縁膜151、第3ゲート絶縁膜152、および上部ゲート電極160を完成する。上部ゲート電極160は、P型半導体層132と重畳することができる。第3ゲート絶縁膜152は省略することができる。(
図9のS104)
【0094】
第五に、
図10eに示すようにN型半導体層131、P型半導体層132、及び上部ゲート電極160上に層間絶縁膜170を形成する。層間絶縁膜170は、PECVD法を用いて形成することができる。
【0095】
そして、層間絶縁膜170を貫通してP型半導体層132を露出させる第1コンタクトホール(C1)及び第2コンタクトホール(C2)とP型半導体層132によって覆われていないN型半導体層131を露出させる第3コンタクトホール(C3)及び第4コンタクトホール(C4)を形成することができる。(
図9のS105)
【0096】
第六に、
図10fに示すように、層間絶縁膜170上に第1ソース電極141及び第2ソース電極143と、第1ドレイン電極142および第2ドレイン電極144を形成する。
【0097】
詳細には、スパッタリング法(Sputtering)またはMOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)などを利用して、層間絶縁膜170上の全面に第3金属層を形成する。そして、フォトレジストパターンを用いたマスク工程を利用して、第3金属層をパターニングして第1ソース電極141及び第2ソース電極143と、第1ドレイン電極142および第2ドレイン電極144を形成する。
【0098】
第1ソース電極141は、第1コンタクトホール(C1)を通じてP型半導体層132に接続することができる。第1ドレイン電極142は、第2コンタクトホール(C2)を通じてP型半導体層132に接続することができる。第2ソース電極143は、第3コンタクトホール(C3)を通じてP型半導体層132によって覆われていないN型半導体層131に接続することができる。第2ドレイン電極144は、第4コンタクトホール(C4)を通じてP型半導体層132によって覆われていないN型半導体層131に接続することができる。
【0099】
第1ドレイン電極142と第2ドレイン電極144は、互いに接続することができ、この場合、薄膜トランジスタ10は、CMOSとして機能することができる。
【0100】
第1ドレイン電極142および第2ドレイン電極144、第1ドレイン電極142及び第2ドレイン電極144は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au) 、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、銅(Cu)中のいずれか一つ、またはこれらの合金からなる単一層または複数層で形成することができる。また、第1ソース電極141と、第1ドレイン電極142は、P型半導体層132と接触するので、これを考慮して、仕事関数5.0eVよりも大きい、パラジウム(Pd、5.22eV〜5.6eV)、白金(Pt、5.12eV〜5.93eV)、金(Au、5.1eV〜5.47eV)、ニッケル(Ni、5.04eV〜5.35eV)中のいずれか一つ、またはこれらの合金からなる単一層または複数層で形成することが好ましい。(
図9のS106)
【0101】
以上で説明したように、本発明の実施例によると、N型半導体層131とP型半導体層132は、一つのチャンバー内で真空状態を維持して連続蒸着して形成される。その結果、本発明の実施例は、N型半導体層131とP型半導体層132の界面を安定的に形成することができるだけでなく、CuOではなくCu
2Oで形成することができる。すなわち、本発明の実施例は、N型半導体層131がN型半導体特性を有し、P型半導体層132がP型半導体特性を有する薄膜トランジスタを製造することができる。
【0102】
図11は、本発明の他の実施例に係る薄膜トランジスタを示す平面図である。
図12は、
図11のII−II’の断面図である。
【0103】
図11は、本発明の他の実施例に係る薄膜トランジスタがコプレーナ(coplanar)構造で形成された例を示した。コプレーナ(coplanar)構造は、ゲート電極がアクティブ層の上部に形成された上部ゲート(top gate)構造を有する。
【0104】
図11及び
図12を参照すると、本発明の他の実施例に係る薄膜トランジスタ10は、P型半導体特性を有するP型薄膜トランジスタ(PT)とN型半導体の特性を有するN型薄膜トランジスタ(NT)を含む。
【0105】
P型薄膜トランジスタ(PT)は、第1下部ゲート電極111、第1半導体層230、第1ソース電極141、第1ドレイン電極142、及び第1上部ゲート電極161を含む。第1半導体層230は、第1N型半導体層133と第1P型半導体層134を含む。第1上部ゲート電極161に電圧が印加されるとき、薄膜トランジスタ10は選択的にP型薄膜トランジスタとして具現される。P型薄膜トランジスタ(PT)で第1下部ゲート電極111には、電圧が印加されないため、第1下部ゲート電極111は、基板100を通じて第1N型半導体層133に入射する光を遮断する光遮断層として機能する。
【0106】
N型薄膜トランジスタ(NT)は、第2下部ゲート電極112、第2半導体層240、第2ソース電極144、及び第2ドレイン電極145、及び第2上部ゲート電極162を含む。第2半導体層240は、第2N型半導体層135と第2P型半導体層136を含む。第2下部ゲート電極112に電圧が印加されるとき、薄膜トランジスタ10は選択的にN型薄膜トランジスタとして具現される。N型薄膜トランジスタ(NT)で第2上部ゲート電極162には、電圧が印加されないので、第2上部ゲート電極162は省略することができる。
【0107】
薄膜トランジスタ10は、基板100上に形成される。基板100は、プラスチック(plastic)またはガラス(glass)からなり得る。
【0108】
基板100を通じて浸透する水分から薄膜トランジスタ10を保護するために、バッファ膜を基板100上に形成することができる。バッファ膜は交互に積層された複数の無機膜からなり得る。たとえば、バッファ膜210は、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、SiON中の一つ以上の無機膜が交互に積層された多重膜で形成することができる。
【0109】
第1下部ゲート電極111と第2下部ゲート電極112は、基板100またはバッファ膜上に形成することができる。第1下部ゲート電極111と第2下部ゲート電極112は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、銅(Cu)中のいずれか一つ、またはこれらの合金からなる単一層または複数層で形成することができる。
【0110】
第1下部ゲート電極111と第2下部ゲート電極112上には、第1ゲート絶縁膜120を形成することができる。第1ゲート絶縁膜120は、無機膜、例えばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはそれらの多重膜で形成することができる。
【0111】
第1下部ゲート電極111と第2下部ゲート電極112は、基板100から第1N型半導体層133と第2N型半導体層135に入射する光を遮断する役割をすることができる。すなわち、第1N型半導体層133と第2N型半導体層135は、第1下部ゲート電極111と第2下部ゲート電極112によって光から保護することができる。
【0112】
第1ゲート絶縁膜120上には、第1N型半導体層133と第2N型半導体層135を形成することができる。第1N型半導体層133上に第1P型半導体層134を形成し、第2N型半導体層135上に第2P型半導体層136を形成することができる。第1N型半導体層133と第1P型半導体層134のそれぞれは、第1下部ゲート電極111および、第1上部ゲート電極161それぞれに重畳することができる。第2N型半導体層135と第2P型半導体層136それぞれは、第2下部ゲート電極112それぞれに重畳することができる。
【0113】
第1N型半導体層133と第2N型半導体層135は、N型酸化物半導体層に形成され、第1P型半導体層134と第2P型半導体層136は、P型酸化物半導体層に形成することができる。N型半導体層131がN型酸化物半導体層である場合には、IGZO、IZO、IGO、ITZO、GTO、ZTO、IAZO、AZO、ITO、ATO、またはGZOで形成することができる。P型半導体層132がP型酸化物半導体層である場合には、Cu
2O、SnO、NiO、CuMO
2(Delafossite、M=Al、Ga、In、Sr、Y、Sc、Cr)、ZnM
2O
4(Spinel、M=Co、Rh、Ir)、LnCuOCh(オキシカルコゲナイド、Ln=ランタニド(La〜Lu)、Ch=Se、S、Te)、またはCu−Nanowireで形成することができる。
【0114】
第1N型半導体層133と第2N型半導体層135がN型酸化物半導体層に形成され、第1P型半導体層134と第2P型半導体層136がP型酸化物半導体層に形成される場合には、第1P型半導体層134と第2P型半導体層136のそれぞれの厚さは、第1N型半導体層133と第2N型半導体層135のそれぞれの厚さよりも薄く形成することができる。特に、P型半導体特性を適切に具現するためには、第1P型半導体層134と第2P型半導体層136の厚さを10nm以下に形成することが好ましい。
【0115】
第2N型半導体層135の第1方向(X軸方向)の長さ(L3)は、第2P型半導体層136の第1方向(X軸方向)の長さ(L4)より長く形成することができる。これにより、第2N型半導体層135の一部は、第2P型半導体層136によって覆われていないことがあり得る。したがって、第2ソース電極143と第2ドレイン電極144は、第2P型半導体層136によって覆われていない第2N型半導体層135に接続することができる。
【0116】
図11は、第1N型半導体層133の第1方向(X軸方向)の長さが第1P型半導体層134の第1方向(X軸方向)の長さと実質的に同一に形成された例を示したが、これに限定されない。第1N型半導体層133の第1方向(X軸方向)の長さは、第1P型半導体層134の第1方向(X軸方向)の長さよりも長く形成することができる。
【0117】
また、
図11は、第1N型半導体層133の第2方向(Y軸方向)の長さが第1P型半導体層134の第2方向(Y軸方向)の長さと実質的に同一に形成された例を示したが、これに限定されない。第1N型半導体層133の第2方向(Y軸方向)の長さは、第1P型半導体層134の第2方向(Y軸方向)の長さよりも長く形成することができる。また、第2N型半導体層135の第2方向(Y軸方向)の長さが第2P型半導体層136の第2方向(Y軸方向)の長さと実質的に同一に形成された例を示したが、これに限定されない。第2N型半導体層135の第2方向(Y軸方向)の長さは、第2P型半導体層136の第2方向(Y軸方向)の長さよりも長く形成することができる。
【0118】
第1P型半導体層134と第2P型半導体層136上には、第2ゲート絶縁膜151と第3ゲート絶縁膜152が形成される。第2ゲート絶縁膜151と第3ゲート絶縁膜152それぞれは、無機膜、例えば、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはそれらの多重膜で形成することができる。第3ゲート絶縁膜152は省略することができる。
【0119】
第3ゲート絶縁膜152上には、第1上部ゲート電極161と第2上部ゲート電極162が形成される。第1上部ゲート電極161と第2上部ゲート電極162は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)と銅(Cu)中のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または複数層で形成することができる。
【0120】
図11では、第1上部ゲート電極161の第2方向(Y軸方向)の長さが第1P型半導体層134の第2方向(Y軸方向)の長さよりも長く形成された例を示したが、これに限定されない。すなわち、第1上部ゲート電極161の第2方向(Y軸方向)の長さは、第1P型半導体層134の第2方向(Y軸方向)の長さと実質的に同一かまたはそれより短いことがあり得る。ただし、第1上部ゲート電極161の第2方向(Y軸方向)の長さが長いほど、第1P型半導体層134のチャネル領域が広く形成されるので、第1上部ゲート電極161の第2方向(Y軸方向)の長さは、これを考慮して設計することができる。
【0121】
また、
図11では、第2上部ゲート電極162の第2方向(Y軸方向)の長さが第2P型半導体層136の第2方向(Y軸方向)の長さよりも長く形成された例を示したが、これに限定されない。すなわち、第2上部ゲート電極162の第2方向(Y軸方向)の長さは、第2P型半導体層136の第2方向(Y軸方向)の長さと実質的に同一かまたはそれより短いことがあり得る。ただし、第2上部ゲート電極162の第2方向(Y軸方向)の長さが長いほど、第2P型半導体層136のチャネル領域が広く形成されるので、第2ゲート電極162の第2方向(Y軸方向)の長さは、これを考慮して設計することができる。
【0122】
第1ゲート絶縁膜120、第1N型半導体層133、第1P型半導体層134、第2N型半導体層135、第2P型半導体層136、第1上部ゲート電極161および第2上部ゲート電極162上に層間絶縁膜170が形成される。層間絶縁膜170は、無機膜、例えばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはそれらの多重膜で形成することができる。
【0123】
層間絶縁膜170には、層間絶縁膜170を貫通して第1P型半導体層134を露出させる第1コンタクトホール(C1)と第2コンタクトホール(C2)が形成され、層間絶縁膜170を貫通して第2N型半導体層135を露出させる第3コンタクトホール(C3)と第4コンタクトホール(C4)を形成することができる。詳細には、第3コンタクトホール(C3)と第4コンタクトホール(C4)により、第2P型半導体層136によって覆われていない第2N型半導体層135を露出することができる。
【0124】
層間絶縁膜170上に第1ソース電極141、第1ドレイン電極142、第2ソース電極143、及び第2ドレイン電極144を形成することができる。第1ソース電極141は、第1コンタクトホール(C1)を通じて第1P型半導体層134に接続することができる。第1ドレイン電極142は、第2コンタクトホール(C2)を通じて第1P型半導体層134に接続することができる。第2ソース電極143は、第3コンタクトホール(C3)を通じて第2P型半導体層136によって覆われていない第2N型半導体層135に接続することができる。第2ドレイン電極144は、第4コンタクトホール(C4)を通じて第2P型半導体層136によって覆われていない第2N型半導体層135に接続することができる。
【0125】
第1ソース電極141と、第1ドレイン電極142は、第1P型半導体層134に接続され、第2ソース電極143と第2ドレイン電極144は、第2N型半導体層135に接続されるので、第1ソース電極141と第1ドレイン電極142との間の間隔は、第2ソース電極143と第2ドレイン電極144との間の間隔よりも短い。
【0126】
第1ドレイン電極142と第2ドレイン電極144は、互いに接続することができ、この場合、薄膜トランジスタ10は、CMOSとして機能することができる。
【0127】
図13は、本発明の他の実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を示すフローチャートである。
図14a〜
図14fは、本発明の他の実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【0128】
図14a〜
図14fに示された断面図は、
図13に示された薄膜トランジスタの製造方法に関するものなので、同一の構成に対して同一の符号を付与した。以下では、
図13および
図14a〜
図14fを結びつけて、本発明の他の実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を詳細に説明する。
【0129】
最初に、
図14aに示すように、基板100上に第1下部ゲート電極111と第2下部ゲート電極112を形成する。
図13のS201の工程は、
図9のS101の工程と実質的に同じなので、これに対する詳細な説明は省略する。(
図13のS201)
【0130】
第二に、
図14bに示すように、第1下部ゲート電極111と第2下部ゲート電極112上に第1ゲート絶縁膜120を形成し、第1ゲート絶縁膜120上に第1N型半導体層133と第2N型半導体層135を形成し、第1N型半導体層133上に第1P型半導体層134を形成し、第2N型半導体層135上に第2P型半導体層136を形成する。
図13のS202の工程は、
図9のS102の工程と実質的に同じなので、これに対する詳細な説明は省略する。(
図13のS202)
【0131】
第三に、
図14cに示すように、第1P型半導体層134の全部と第2P型半導体層136の一部を覆うように第2ゲート絶縁膜151を形成し、第2ゲート絶縁膜151を保護膜として、第2ゲート絶縁膜151に覆われていない第2P型半導体層136をエッチングする。これにより、第2N型半導体層135の第1方向(X軸方向)の長さ(L3)は、第2P型半導体層136の第1方向(X軸方向)の長さ(L4)より長く形成することができる。(
図13のS203)
【0132】
第四に、
図14dに示すように、第2ゲート絶縁膜151上に第3ゲート絶縁膜152を形成し、第3ゲート絶縁膜152上に上部ゲート電極160を形成する。
【0133】
詳細には、PECVD法を用いて、第2ゲート絶縁膜151上の全面に第3ゲート絶縁膜152を形成する。そして、スパッタリング法(Sputtering)またはMOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)などを用いて、第3ゲート絶縁膜152上の全面に第2金属層を形成する。そして、フォトレジストパターンを用いたマスク工程を利用して、第2ゲート絶縁膜151、第3ゲート絶縁膜152、及び第2金属層を一括パターニングして第2ゲート絶縁膜151、第3ゲート絶縁膜152、第1上部ゲート電極161、及び第2上部ゲート電極162を完成する。第1上部ゲート電極161は、第1P型半導体層134と重畳し、第2上部ゲート電極162は、第2P型半導体層136と重畳することができる。第2上部ゲート電極162と第3ゲート絶縁膜152は省略することができる。(
図13のS204)
【0134】
第五に、
図14eに示すように、第1N型半導体層133、第1P型半導体層134、第2N型半導体層135、第2P型半導体層136、第1上部ゲート電極161、及び第2上部ゲート電極162上に層間絶縁膜170を形成する。層間絶縁膜170は、PECVD法を用いて形成することができる。
【0135】
そして、層間絶縁膜170を貫通して第1P型半導体層134を露出させる第1コンタクトホール(C1)及び第2コンタクトホール(C2)と第2P型半導体層136によって覆われていない第2N型半導体層135を露出させる第3コンタクトホールに(C3)及び第4コンタクトホール(C4)を形成することができる。(
図13のS205)
【0136】
第六に、
図14fに示すように、層間絶縁膜170上に第1ソース電極141及び第2ソース電極143と、第1ドレイン電極142および第2ドレイン電極144を形成する。
【0137】
詳細には、スパッタリング法(Sputtering)またはMOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)などを用いて、層間絶縁膜170上の全面に第3金属層を形成する。そして、フォトレジストパターンを用いたマスク工程を利用して、第3金属層をパターニングして第1ソース電極141及び第2ソース電極143と、第1ドレイン電極142および第2ドレイン電極144を形成する。
【0138】
第1ソース電極141は、第1コンタクトホール(C1)を通じて第1P型半導体層134に接続することができる。第1ドレイン電極142は、第2コンタクトホール(C2)を通じて第1P型半導体層134に接続することができる。第2ソース電極143は、第3コンタクトホール(C3)を通じて第2P型半導体層134によって覆われていない第2N型半導体層135に接続することができる。第2ドレイン電極144は、第4コンタクトホール(C4)を通じて第2P型半導体層134によって覆われていない第2N型半導体層135に接続することができる。
【0139】
第1ドレイン電極142と第2ドレイン電極144は、互いに接続することができ、この場合、薄膜トランジスタ10は、CMOSとして機能することができる。
【0140】
第1ソース電極141および第2ソース電極143、第1ドレイン電極142及び第2ドレイン電極144は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、銅(Cu)中のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または複数層で形成することができる。また、第1ソース電極141と、第1ドレイン電極142は、P型半導体層132と接触するので、これを考慮して、仕事関数が5.0eVよりも大きい、パラジウム(Pd、5.22eV〜5.6eV)、白金(Pt、5.12eV〜5.93eV)、金(Au、5.1eV〜5.47eV)、ニッケル(Ni、5.04eV〜5.35eV)中のいずれか一つ、またはこれらの合金からなる単一層または複数層で形成することが好ましい。(
図13のS206)
【0141】
以上、添付の図を参照して、本発明の実施例をさらに詳細に説明したが、本発明は、必ずしもこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で多様に変形実施することができる。したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例により、本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。従って、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり限定的ではないと理解されなければならない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。