(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記案内柱(53)の前端部(53c)から前記上翼板(51)の前記切欠部(51b)までの距離(T1)は、前記案内柱(53)の前記前端部(53c)から前記下翼板(52)の前記前端部(52a)までの距離(T2)よりも長い
ことを特徴とする請求項1に記載のスライダー(40)。
前記下翼板(52)は、左右方向のうち前記上翼板(51)に前記切欠部(51b)が形成されている側の厚さが、左右方向のうち前記上翼板(51)に前記切欠部(51b)が形成されない側の厚さよりも薄く形成される
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載のスライダー(40)。
一対のファスナーテープ(20)及び前記一対のファスナーテープ(20)のそれぞれのテープ側縁部(20a)に固定された複数のエレメント(31)からなるエレメント列(30)を有する一対のファスナーストリンガー(11L,11R)を、前記エレメント列(30)が対向するように配置したファスナーチェーン(11)と、
前記エレメント列(30)に沿って摺動可能に取り付けられ、前記エレメント(31)を噛合及び分離させる請求項1乃至7のいずれか1つに記載のスライダー(40)と、
を備える
ことを特徴とするスライドファスナー(10)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のスライダーは、連結柱と下翼を延長させるために大型化してしまい、操作性が悪かった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型で簡素な構造で操作性が良く、スライダーに蝶棒及びエレメントを簡単に挿入することが可能なスライダー及びスライドファスナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態にかかるスライダーは、
上下方向に離間して平行配置される上翼板及び下翼板と、
前記上翼板及び前記下翼板を連結する案内柱と、
前記上翼板の上面に設けられる引手取付部と、を有する胴体と、
前記引手取付部に対して取り付けられる引手と、
を備え、
前記上翼板における前記案内柱に対して左右一方側の前端部には、前記上翼板の左右他方側の前端部
よりも後方に位置する切欠部が形成され、前記切欠部は、前記案内柱の左右一方側の前部側面から外側に向かって延びるように形成されることにより、前記切欠部は、前記下翼板の
前記案内柱に対して左右一方側の前端部よりも後方に位置する
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態にかかるスライダーでは、
前記案内柱の前端部から前記上翼板の前記切欠部までの距離は、前記案内柱の前記前端部から前記下翼板の前記前端部までの距離よりも長い
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施形態にかかるスライダーでは、
前記案内柱の前記前端部から前記下翼板の前記前端部までの距離は、0である
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の一実施形態にかかるスライダーでは、
前記切欠部は、前記案内柱の一方の側面から外側に向かって形成される
ことを特徴とする。
【0010】
本発明の一実施形態にかかるスライダーは、
前記切欠部が形成された側の前記下翼板の上面には、前記前端部から後方に向かうほど上方に傾斜した傾斜部が形成される
ことを特徴とする。
【0011】
本発明の一実施形態にかかるスライダーは、
前記切欠部が形成された側の前記下翼板の前記前端部側の上面には、
前記案内柱側に向かうほど上方に傾斜した導入内側部と、
外側に向かうほど上方に傾斜した導入外側部と、
前記導入内側部と前記導入外側部の間に凹状に形成されている導入中央部と、
が形成される
ことを特徴とする。
【0012】
本発明の一実施形態にかかるスライダーでは、
前記下翼板は、左右方向のうち前記上翼板に前記切欠部が形成されている側の厚さが、左右方向のうち前記上翼板に前記切欠部が形成されない側の厚さよりも薄く形成される
ことを特徴とする。
【0013】
本発明の一実施形態にかかるスライドファスナー
一対のファスナーテープ及び前記一対のファスナーテープのそれぞれのテープ側縁部に固定された複数のエレメントからなるエレメント列を有する一対のファスナーストリンガーを、前記エレメント列が対向するように配置したファスナーチェーンと、
前記エレメント列に沿って摺動可能に取り付けられ、前記エレメントを噛合及び分離させる前記スライダーと、
を備える
ことを特徴とする。
【0014】
本発明の一実施形態にかかるスライドファスナーは、
前記一対のファスナーテープの前記テープ側縁部の上端部にそれぞれ形成される上止部と、
前記一対のファスナーテープの前記テープ側縁部の下端部に形成される開き具と、
を備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態にかかるスライダー及びスライドファスナーによれば、案内柱に対して左右一方側の上翼板には、上翼板の左右他方側の前端部及び下翼板の前端部よりも後方に位置する切欠部が形成されるため、蝶棒及びエレメントの挿入位置を見やすくすることができ、且つ、下翼板が蝶棒及びエレメントを案内することができる。これにより、本発明の一実施形態にかかるスライダー及びスライドファスナーは、小型で簡素な構造で操作性が良く、スライダーに蝶棒及びエレメントを簡単に挿入することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき本発明にかかる一実施形態のスライダー40及びスライドファスナー10を具体的に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態にかかるスライドファスナーを示す。
図2は、本実施形態にかかるスライダーの斜視図を示す。
図3は、本実施形態にかかるスライダーの平面図を示す。
図4は、本実施形態にかかるスライダーを後口側から見た後面図を示す。
図5は、
図3におけるV−V線断面図を示す。
図6は、
図3におけるVI−VI線断面図を示す。
図7は、
図3におけるVII−VII線断面図を示す。
図8は、本実施形態にかかるスライダーの上翼板を切り欠いた状態のスライドファスナーの拡大表面図を示す。
図9は、他の実施形態にかかるスライダーの平面図を示す。
図10は、
図9におけるX−X線断面図を示す。
【0019】
なお、本実施形態のスライドファスナー10において、ファスナーテープ2の長さ方向を前後方向(F−B方向)とし、矢印F(前方向),B(後方向)で示す。また、ファスナーテープ2の幅方向を左右方向(L−R方向)とし、矢印L(左方向),R(右方向)で示す。さらに、ファスナーテープ2の表裏方向を上下方向(U−D方向)とし、矢印U(上方向),D(下方向)で示す。また、スライダー40単体の方向については、スライダー40がスライドファスナー10に取り付けられた際のスライドファスナー10の方向に準ずるものとする。
【0020】
すなわち、上側とは
図1の紙面に対して手前側、下側とは
図1の紙面に対して奥側、前側とは
図1の紙面に対して上側、後側とは
図1の紙面に対して下側、左側とは
図1の紙面に対して左側、右側とは
図1の紙面に対して右側とする。
【0021】
また、ファスナーテープ2の左右方向は幅方向とも言う。また、ファスナーテープ2の上下方向は長さ方向とも言う。
【0022】
本実施形態のスライドファスナー10は、
図1及び
図8に示すように、一対のファスナーテープ20及び一対のファスナーテープ20のそれぞれの縁部20aに所定のピッチ毎に固定された複数のエレメント31からなるエレメント列30を有する一対のファスナーストリンガー11L,11Rを、各エレメント列30が対向するように配置したファスナーチェーン11と、ファスナーエレメント列30に沿って摺動可能に取り付けられ、ファスナーエレメント31を噛合及び分離させるスライダー40と、左右一対のファスナーテープ20のテープ側縁部20aの上端部にそれぞれ形成される上止部12と、左右一対のファスナーテープ20のテープ側縁部20aの下端部に形成される開き具13と、を備える。
【0023】
開き具13は、右側のファスナーテープ20のテープ側縁部20aの下端部に形成される箱棒14及び箱体15と、左側のファスナーテープ20のテープ側縁部20aの下端部に形成され、箱体15に挿入可能な蝶棒16と、を備える。また、本実施形態では、蝶棒16が設けられる左側のファスナーストリンガー11Lがスライダー40から分離可能な分離側ファスナーストリンガーであり、箱棒14及び箱体15が設けられる右側のファスナーストリンガー11Rがスライダー40から分離不能な固定側ファスナーストリンガーである。なお、箱棒14及び箱体15と蝶棒16の左右は、反対に配置されてもよい。
【0024】
ファスナーエレメント列30は、複数のファスナーエレメント31から構成されており、このファスナーエレメント31は、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートなどの合成樹脂を用いて、ファスナーテープ20のテープ側縁部20aに射出成形されている。
【0025】
スライダー40は、
図2〜
図8に示すように、自動停止機能付きのスライダーであり、胴体50、引手60、停止爪体70、及び引手保持カバー80を備えている。
【0026】
胴体50は、上下方向に離間して平行配置される上翼板51及び下翼板52と、上翼板51及び下翼板52を前端部且つ導入中央部において連結する案内柱53と、上翼板51の左右両側縁に沿って下方に向けて突設される上側フランジ54aと、下翼板52の左右両側縁に沿って上方に向けて突設される下側フランジ54bと、を備える。これにより、胴体50の前部には案内柱53により分離された左右の肩口55が形成され、胴体50の後部には後口56が形成される。そして、上翼板51と下翼板52との間には、左右の肩口55と後口56とを連通する略Y字状のエレメント案内路57が形成され、このエレメント案内路57は、左右一対のファスナーエレメント列30を挿通させる通路を構成する。
【0027】
また、
図4に示すように、胴体50の左側の上側及び下側フランジ54a,54b間の間隙の上下方向寸法S1は、右側の上側及び下側フランジ54a,54b間の間隙の上下方向寸法S2より大きく設定されている。これにより、左右一対のファスナーストリンガー11L,11Rに横引き力が加わった際に、左側のファスナーストリンガー11Lがスライダー40から分離することが可能となる。
【0028】
また、
図5に示すように、上翼板51の上面の案内柱53より右側(固定側ファスナーストリンガー11R側)には、引手保持カバー80を取り付けるための前部取付柱58F及び後部取付柱58Bが前後方向に並んで立設されている。より詳しく言えば、
図8に示すように、案内柱53は左側の側面(前部側面53a及び後部側面53b)と右側の側面とを有し、前部取付柱58F及び後部取付柱58Bは、上翼板51の上面の案内柱53の左側の側面よりも右側に立設される。そして、前部取付柱58Fと後部取付柱58Bとの間には、引手60のリンク部61及び停止爪体70が収容され、前部取付柱58F及び後部取付柱58Bには、引手保持カバー80が被せられると共にかしめにより固定されている。また、上翼板51には、停止爪体70の停止爪71を挿入させるための爪挿入穴51cが形成されている。なお、本実施形態では、前部取付柱58F、後部取付柱58B、停止爪体70、及び引手保持カバー80により引手取付部が構成される。
【0029】
また、上記したように、前部取付柱58F及び後部取付柱58Rが上翼板51の案内柱53より右側に形成されているので、案内柱53より左側の上翼板51の剛性が僅かに低減され、撓み易くなっている。左側の上翼板51撓むことで、分離側ファスナーストリンガー11Lをスライダー40から分離させることが可能となる。
【0030】
さらに、前部取付柱58F及び後部取付柱58Bと共に停止爪体70も上翼板51の案内柱53より右側に配置されているので、
図8に示すように、停止爪体70の停止爪71が固定側ファスナーストリンガー11R側のファスナーエレメント31間に挿入される。これにより、停止爪71と分離側ファスナーストリンガー11L側のファスナーエレメント31とが接触することがないので、分離側ファスナーストリンガー11Lをスライダー40から分離させることが可能となる。
【0031】
ただし、本実施形態では、自動停止機能付きのスライダー40を例示したが、これに限定されず、前部取付柱58F及び後部取付柱58Bの部分に引手60を取り付けるための引手取付柱を代わりに立設した自動停止機能の付いていないスライダー40でもよい。
【0032】
また、
図2及び
図3に示すように、上翼板51には、案内柱53の左側の前部側面53aから外側(分離側ファスナーストリンガー11L側)に向かって延びる切欠部51bが形成されている。また、切欠部51bは、案内柱53の左側の前部側面53aから外側に向かって、後側へ下り傾斜するように形成されている。より詳しく言えば、
図8に示すように、案内柱53は前端部53c、後端部53d、左側の側面(前部側面53a及び後部側面53b)、右側の側面を有し、切欠部51bは案内柱53の前端部53cと後端部53dの間において、案内柱53の左側の側面より外側に延びるように形成される。従って、
図7及び
図10に示すように、案内柱53の左側の上翼板51の切欠部51bは、下翼板52の前端部52aよりも後方に位置する。また、案内柱53の左側の上翼板51の切欠部51bは、案内柱53の右側の上翼板51の前端部51aよりも後方に位置する。そして、案内柱53の前端部53cから上翼板51の切欠部51bまでの距離T1は、案内柱53の前端部53cから下翼板52の前端部52aまでの距離T2よりも長い。なお、本実施形態のスライダー40においては、案内柱53の前端部53cから上翼板51の切欠部51bまでの距離T1は、案内柱53の前端部53cからスライダー40の後端までの距離の1/4〜1/3程度である。
【0033】
このような構成により、本実施形態のスライダー40及びスライドファスナー10によれば、案内柱より幅方向一方側の上翼板及び下翼板を撓み易くすることができ、且つ蝶棒の挿入位置を見やすくすることができる。また、切欠部51bは、上翼板51における案内柱53に対して左右一方側の前端部に形成されるため、上翼板51の案内柱53に対して左右他方側には、前部取付柱58F及び後部取付柱58Bを立設する領域が確保できる。さらに、左右一対のファスナーストリンガー11L,11Rに横引き力が加わった際には、切欠部51bが形成される上翼板51の案内柱53に対して左右一方側は、切欠部51bが形成されない上翼板51の案内柱53に対して左右他方側よりも撓み易くなる。したがって、小型で簡素な構造で操作性が良く、左右一対のファスナーストリンガー11L,11Rに横引き力が加わった際には一方のファスナーストリンガー11Lをスライダー40から容易に分離させることができ、且つ、スライダー40に蝶棒16及びエレメント31を簡単に挿入することが可能となる。
【0034】
なお、下翼板52の前端部52aの左側は、
図3に示すように、下翼板52の前端部52aの右側と面一に形成されるか、または、
図9に示すように、T1>T2を満たすように、案内柱53の前端部53cよりも後方に形成される。
【0035】
このような構成により、本実施形態のスライダー40及びスライドファスナー10によれば、蝶棒16の挿入位置をさらに見やすくすることができる。したがって、スライダー40に蝶棒16及びエレメント31をより簡単に挿入することが可能となる。
【0036】
さらに、下翼板52の前端部52aの左側は、案内柱53の前端部53cと前後方向(F−B方向)で同じ又はほぼ同じ位置でよい。すなわち、案内柱53の前端部53cから下翼板52の前端部52aまでの距離T2=0でもよい。さらに、下翼板52の前端部52aは、上翼板51の右側の前端部51aとも前後方向(F−B方向)で同じ又はほぼ同じ位置でよい。
【0037】
このような構成により、本実施形態のスライダー40及びスライドファスナー10によれば、より小型で簡素な構造で操作性を良くすることが可能となる。
【0038】
また、
図8に示すように、案内柱53の後端部53dと胴体50の左側の上側及び下側フランジ54a,54bの前端部54cとの間の前後方向の距離L1が、案内柱53の後端部53dと胴体50の右側の上側及び下側フランジ54a,54bの前端部54cとの間の前後方向の距離L2より短くなる。また、案内柱53の前端部53cと左側の上側及び下側フランジ54a,54bの前端部54cとの間の前後方向の距離L3は、案内柱53の前端部53cから上翼板51の切欠部51bまでの距離T1よりも長くなる。
【0039】
また、
図2及び
図4に示すように、切欠部51bは、案内柱53の左側の後部側面53bの中程から幅方向外方に延びるように形成される。さらに、胴体50の左側の上側及び下側フランジ54a,54bの幅方向の内側面を、外側に向かうに従って次第に肉厚が大きくなる傾斜面59a,59bにそれぞれ形成している。
【0040】
図3に示すように、上翼板51の左側の上面には、挿入方向案内部51dが形成される。挿入方向案内部51dが形成されることによって、蝶棒16をスライダー40に挿入する際の方向を容易に確認することができる。本実施形態では、挿入方向案内部51dは上面から突出するように形成される。挿入方向案内部51dを上面から突出するように形成することで、製作時の他のスライダー40との接着を防止することができる。また、本実施形態の挿入方向案内部51dは、三角形に形成され、その頂点が後口側を向き、蝶棒16の挿入方向を示しているが、丸や四角形などの形状でもよい。
【0041】
また、
図6に示すように、下翼板52は、肩口55を形成する部分に導入中央部52bが、導入内側部52cと導入外側部52dの間に凹状に形成されている。すなわち、導入中央部52bから案内柱53側に向かって上り傾斜するように導入内側部52cが形成され、導入中央部52bから外側に向かって上り傾斜するように導入外側部52dが形成されるため、導入中央部52bはその両側の導入内側部52c及び導入外側部52dよりも低い位置に形成される。そして、
図7に示すように、前端部52aから導入中央部52b、導入内側部52c及び導入外側部52dまでは、後方に向かうほど上方に徐々に傾斜した傾斜部52hが形成される。なお、下翼板52の案内柱53よりも左側において、その前方の厚さは後方の厚さよりも薄く形成され、前端が最も薄く形成される。
【0042】
したがって、本実施形態のスライダー40によれば、蝶棒16及びエレメント31がエレメント案内路57に案内され、蝶棒16及びエレメント31をより簡単に挿入することが可能となる。
【0043】
さらに、
図6及び
図7に示すように、下翼板52は、左右方向のうち上翼板51に切欠部51bが形成されている側の厚さが、左右方向のうち上翼板51に切欠部51bが形成されない側の厚さよりも薄く形成される。また、下翼板52の下側面52eの上下端部及び左側端部に下方に突出する突出部52gが形成される。その結果、下翼板52の、左右方向のうち上翼板51に切欠部51bが形成されている側の下側面52eに凹部52fが形成される。
【0044】
また、本実施形態のスライダー40によれば、下翼板52の、左右方向のうち上翼板51に切欠部51bが形成されている側の厚さが、左右方向のうち上翼板51に切欠部51bが形成されない側の厚さよりも薄く形成されることにより、案内柱53より幅方向一方側の下翼板52をより撓み易くすることができる。したがって、一方のファスナーストリンガー11Lをスライダー40から分離させることが可能となる。
【0045】
また、本実施形態のスライダー40によれば、突出部52gが形成されることにより、製作時の他のスライダー40との接着を防止することが可能となる。さらに、突出部52gを曲面で形成することにより、端部のエッジが形成されず、エッジに触れることを防止することが可能となる。
【0046】
次に、このような本実施形態のスライダー40を用いたスライドファスナー10の作動について説明する。
【0047】
次に、スライダー40に蝶棒16が挿入される状態について説明する。
【0048】
図11は、本実施形態にかかるスライダー40に蝶棒16が挿入される状態を示す。
【0049】
スライダー40に蝶棒16が挿入される際、本実施形態のスライドファスナー10では、蝶棒16は、下翼板52に案内されてエレメント案内路57に挿入される。その際、蝶棒16がスライダー40の下翼板52に当接すると、蝶棒16は、エレメント案内路57に円滑に挿入される。
【0050】
スライダー40の上翼板51に切欠部51bが形成されることで、切欠部51bが形成されない場合と比較して、蝶棒16をエレメント案内路57へ挿入するための肩口55が広がる。切欠部51bが形成されない場合には、蝶棒16を肩口55に対して前側から後側へ正確に挿入する必要があったが、切欠部51bが形成される場合には、前側だけでなく上側、左側から蝶棒16を下翼板52に載せるように操作することで、蝶棒16を肩口55に挿入することができる。また、切欠部51bは、案内柱53の左側の前部側面53aから外側に向かって、後側へ下り傾斜するように形成されているため、切欠部51bの強度は保ちつつ肩口55をできるだけ広く形成することができる。さらに、切欠部51bは前部取付柱58Fの前端よりも後方に形成されるため、スライダーが大型化することなく、スライダーとしての機能を保ったまま挿入補助機能を付加することができる。すなわち、蝶棒16は、下翼板52に案内されてエレメント案内路57に円滑に挿入される。
【0051】
また、下翼板52は、肩口55を形成する部分の導入中央部52bが、導入内側部52cと導入外側部52dの間に凹状に形成され、蝶棒16が自然に導入中央部52bに寄っていき、蝶棒16がさらに円滑にエレメント案内路57に挿入される。
【0052】
さらに、
図2及び
図4に示すように、胴体50の左側の上側及び下側フランジ54a,54bの導入内側部を、導入内側部から外側に向かうに従って次第に肉厚が大きくなる傾斜面59a,59bにそれぞれ形成するので、蝶棒16を内側に案内することができ、蝶棒16がさらに円滑にエレメント案内路57に挿入される。
【0053】
また、
図5に示した前部取付柱58F及び後部取付柱58Bと共に停止爪体70も上翼板51の案内柱53より右側に配置されているので、蝶棒16をエレメント案内路57へ挿入するための肩口55が広がる。すなわち、蝶棒16は、下翼板52に案内されてエレメント案内路57に円滑に挿入される。また、上翼板51の左側の上面に形成された挿入方向案内部51dの視認性を向上させることができる。
【0054】
次に、スライダー40にエレメント31が挿入される状態について説明する。
【0055】
図12は、本実施形態にかかるスライダー40にエレメント31が挿入される状態を示す。
【0056】
スライダー40にエレメント31が挿入される際、本実施形態のスライドファスナー10では、エレメント31は、下翼板52に案内されてエレメント案内路57に挿入される。その際、エレメント31がスライダー40の下翼板52に当接すると、エレメント31は、自然に挿入される方向に向きを変え、エレメント案内路57に円滑に挿入される。
【0057】
スライダー40の上翼板51に切欠部51bが形成されることで、切欠部51bが形成されない場合と比較して、エレメント31をエレメント案内路57へ挿入するための肩口55が広がる。すなわち、エレメント31は、下翼板52に案内されてエレメント案内路57に円滑に挿入される。
【0058】
また、下翼板52は、肩口55を形成する部分の導入中央部52bが、導入内側部52cと導入外側部52dの間に凹状に形成され、エレメント31が自然に導入中央部52bに寄っていき、エレメント31がさらに円滑にエレメント案内路57に挿入される。
【0059】
さらに、
図2及び
図4に示すように、胴体50の左側の上側及び下側フランジ54a,54bの導入内側部を、導入内側部から外側に向かうに従って次第に肉厚が大きくなる傾斜面59a,59bにそれぞれ形成するので、エレメント31を内側に案内することができ、エレメント31がさらに円滑にエレメント案内路57に挿入される。
【0060】
また、
図5に示した前部取付柱58F及び後部取付柱58Bと共に停止爪体70も上翼板51の案内柱53より右側に配置されているので、エレメント31をエレメント案内路57へ挿入するための肩口55が広がる。すなわち、エレメント31は、下翼板52に案内されてエレメント案内路57に容易に挿入される。また、上翼板51の左側の上面に形成された挿入方向案内部51dの視認性を向上させることができる。
【0061】
次に、分離側ファスナーストリンガー11Lがスライダー40から分離される状態について説明する。
【0062】
図13は、
図8に示すスライドファスナー10に横引き力が加わった状態を説明する拡大表面図を示す。
図14は、
図13に示す分離側ファスナーストリンガー11Lのエレメント31がスライダー40から抜け出し始めた状態を説明する拡大表面図を示す。
図15は、
図14に示すエレメント31がスライダー40から更に抜け出した状態を説明する拡大表面図を示す。
図16は、
図15に示すエレメント31がスライダー40から完全に抜け出した状態を説明する拡大表面図を示す。
図17は、分離側ファスナーストリンガー11Lのエレメント31とスライダー40のフランジ54a,54bとが接した状態を説明する部分断面図を示す。
図18は、分離側ファスナーストリンガー11Lのエレメント31がスライダー40のフランジ54a,54bを押し広げている状態を説明する部分断面図を示す。
図19は、
図14に示すエレメント31が上翼板51及び下翼板52を撓ませてスライダー40から抜け出す状態を説明する部分断面図を示す。
【0063】
図8に示すスライドファスナー10に横引き力が加わると、
図13に示すように、左側のエレメント群30のうち、上側及び下側フランジ54a,54bに当接していないエレメント31が左側に引っ張られる。そして、
図2及び
図4に示すように、胴体50の左側の上側及び下側フランジ54a,54bの導入内側部を、導入内側部から外側に向かうに従って次第に肉厚が大きくなる傾斜面59a,59bにそれぞれ形成するので、
図17に示すように、横引き力が加えられた分離側ファスナーストリンガー11Lのファスナーエレメント31の上下の角部が上側及び下側フランジ54a,54bの傾斜面59a,59bにそれぞれ当接する。すると、横引き力が傾斜面59a,59bを介して上翼板51及び下翼板52に効率よく伝達される。
【0064】
これにより、
図18に示すように、スライドファスナー10は、上側及び下側フランジ54a,54b間の間隙が押し広げられる。その後、左右一対のファスナーストリンガー11L,11Rに導入外側部に向かう横引き力がさらに加えられることにより、分離側ファスナーストリンガー11Lのエレメント案内路57内の最も肩口55側に位置し噛合していない第1ファスナーエレメント31a(ファスナーエレメント31)が、
図14及び
図19に示すように、上翼板51及び下翼板52の案内柱53より左側の部分を撓ませて、スライダー40から抜け出す。
【0065】
次に、第1ファスナーエレメント31aに続いて、
図15に示すように、第2及び第3ファスナーエレメント31b,31cも、第1ファスナーエレメント31aと同様にしてスライダー40から順次抜け出し、
図16に示すように、分離側ファスナーストリンガー11Lがスライダー40から分離される。
【0066】
このように、本実施形態のスライダー40は、胴体50の左側の上側及び下側フランジ54a,54bの前後方向長さが、胴体50の右側の上側及び下側フランジ54a,54bより短くなるので、案内柱53より左側の上翼板51及び下翼板52の剛性が僅かに低減され、撓み易くなっている。これにより、左側の上翼板51及び下翼板52を容易に撓ませることが可能になるので、分離側ファスナーストリンガー11Lをスライダー40から容易に分離させることができる。
【0067】
また、本実施形態のスライドファスナー10によれば、上翼板51に、案内柱53の左側の前部側面53aから導入外側部に向かって延びる切欠部51bが形成されるため、案内柱53より左側の上翼板51を撓み易くすることができる。これにより、簡素な構造で、分離側ファスナーストリンガー11Lをスライダー40から容易に分離させることができる。
【0068】
さらに、
図6及び
図7に示すように、下翼板52は、左右方向のうち上翼板51に切欠部51bが形成されている側の厚さが、左右方向のうち上翼板51に切欠部51bが形成されない側の厚さよりも薄く形成されることにより、案内柱53より幅方向一方側の下翼板52が撓みやすくなることで、エレメント31が上側及び下側フランジ54a,54bの間から抜けやすくなる。
【0069】
また、下翼板52の下側面52eの上下端部及び左側端部に下方に突出する突出部52gが形成される。したがって、下翼板52を薄く形成しても強度を保持することができる。さらに、突出部52gが形成されることで、製作時の他のスライダー40との接着を防止することができる。
【0070】
以上、本実施形態のスライダー40は、上下方向に離間して平行配置される上翼板51及び下翼板52と、上翼板51及び下翼板52を連結する案内柱53と、上翼板51の上面に設けられる引手取付部58F,58R,70,80と、を有する胴体50と、引手取付部に対して取り付けられる引手60と、を備え、上翼板51における案内柱53に対して左右一方側の前端部には、上翼板51の左右他方側の前端部51a及び下翼板52の前端部52aよりも後方に位置する切欠部51bが形成される。したがって、本実施形態のスライダー40によれば、蝶棒16の挿入位置を見やすくすることができ、且つ、下翼板52が蝶棒16及びエレメント31を案内することができる。これにより、本実施形態にかかるスライダー40は、小型で簡素な構造で操作性が良く、スライダー40に蝶棒16及びエレメント31を簡単に挿入することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態のスライダー40では、案内柱53の前端部53cから上翼板51の切欠部51bまでの距離T1は、案内柱53の前端部53cから下翼板52の前端部52aまでの距離T2よりも長い。したがって、本実施形態のスライダー40によれば、蝶棒16の挿入位置をさらに見やすくすることができ、スライダー40に蝶棒16及びエレメント31をより簡単に挿入することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態のスライダー40では、案内柱53の前端部53cから下翼板52の前端部52aまでの距離T2は、0である。したがって、本実施形態のスライダー40によれば、より小型で簡素な構造で操作性を良くすることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態のスライダー40では、切欠部51bは、案内柱53の一方の側面53aから外側に向かって形成される。したがって、本実施形態のスライダー40によれば、簡単に作製することが可能となる。
【0074】
また、本実施形態のスライダー40は、切欠部51bが形成された側の下翼板52の上面には、前端部52aから後方に向かうほど上方に傾斜した傾斜部52hが形成される。したがって、本実施形態のスライダー40によれば、蝶棒16及びエレメント31がエレメント案内路57に案内され、蝶棒16及びエレメント31をより簡単に挿入することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態のスライダー40は、切欠部51bが形成された側の下翼板52の前端部52a側の上面には、案内柱53側に向かうほど上方に傾斜した導入内側部52cと、外側に向かうほど上方に傾斜した導入外側部52dと、導入内側部52cと導入外側部52dの間に凹状に形成されている導入中央部52bと、が形成される。したがって、本実施形態のスライダー40によれば、蝶棒16及びエレメント31がエレメント案内路57に案内され、蝶棒16及びエレメント31をより簡単に挿入することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態のスライダー40では、下翼板52は、左右方向のうち上翼板51に切欠部51bが形成されている側の厚さが、左右方向のうち上翼板51に切欠部51bが形成されない側の厚さよりも薄く形成される。したがって、案内柱53より幅方向一方側の下翼板52をより撓み易くすることができる。したがって、一方のファスナーストリンガー11Lをスライダー40からより容易に分離させることが可能となる。
【0077】
以上、本実施形態のスライドファスナー10は、一対のファスナーテープ20及び一対のファスナーテープ20のそれぞれのテープ側縁部20aに固定された複数のエレメント31からなるエレメント列30を有する一対のファスナーストリンガー11L,11Rを、エレメント列30が対向するように配置したファスナーチェーン11と、エレメント列30に沿って摺動可能に取り付けられ、エレメント31を噛合及び分離させる前記スライダー40と、を備える。したがって、本実施形態のスライドファスナー10によれば、蝶棒16の挿入位置が見やすく、且つ、下翼板52が蝶棒16及びエレメント31を案内するスライダー40を有するので、小型で簡素な構造で操作性が良いスライダー40に蝶棒16及びエレメント31を簡単に挿入することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態のスライドファスナー10は、一対のファスナーテープ20のテープ側縁部20aの上端部にそれぞれ形成される上止部12と、一対のファスナーテープ20のテープ側縁部20aの下端部に形成される開き具13と、を備える。したがって、本実施形態のスライドファスナー10によれば、様々な商品に適用することが可能となる。
【0079】
なお、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。