(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも二つの感光膜パターンの高さと、前記感光膜パターンの間に形成される前記少なくとも二つのメッキ層の全体幅との比率は、1:0.5〜1:2である請求項1に記載のコイルパターンの形成方法。
前記基板は、少なくとも2枚が設けられて前記ボディの厚さ方向に積み重ねられ、前記少なくとも2枚の基板の上にそれぞれ形成されたコイルパターンは、直列又は並列に接続された請求項9又は請求項10に記載のチップ素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、メッキ液の消費を抑えながら、異方性メッキを行うことができるコイルパターンの形成方法を提供する。
【0009】
本発明は、高電流の整流装置及び高出力の供給装置を利用しなくても、縦横比が大きいメッキ層を形成することができるコイルパターンの形成方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、高電流の整流装置及び高出力の供給装置を利用しなくても、メッキ液の消費を抑えることができる異方性メッキによって形成されたコイルパターン及びこれを備えるチップ素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係るコイルパターンの形成方法は、基板の少なくとも一方の面の上にコイルパターンを形成する方法であって、基板の少なくとも一方の面の上にシード層を形成するステップと、シード層を覆うように少なくとも二つのメッキ層を形成するステップとを含み、少なくとも二つのメッキ層は、異方性メッキで形成する。
【0012】
ここで、シード層は、スパイラル状に形成する。
【0013】
少なくとも二つのメッキ層は、シード層の最内側及び最外側から離間するように基板の上に少なくとも二つの感光膜パターンをそれぞれ形成した後に形成する。
【0014】
少なくとも二つの感光膜パターンの高さと、感光膜パターンの間に形成される少なくとも二つのメッキ層の全体幅との比率は、1:1である。
【0015】
コイルパターンは、2〜10の縦横比に形成する。
【0016】
コイルパターンは、少なくとも一つの領域を他の領域とは異なる幅に形成する。
【0017】
コイルパターンは、最内側から最外側へ向かって幅狭又は幅広になるように形成する。
【0018】
コイルパターンは、少なくとも一つの領域が、下段部、中段部及び上段部の幅が異なるように形成する。
【0019】
本発明の他の態様に係るコイルパターンは、基板の少なくとも一方の面の上に形成されたシード層と、シード層を覆うように形成され、少なくとも二回の異方性メッキ工程によって形成された少なくとも二つのメッキ層とを備える。
【0020】
コイルパターンは、最内側から最外側へ向かって幅広又は幅狭となるように形成される。
【0021】
コイルパターンは、少なくとも一つの領域が、下段部、中段部及び上段部の幅が異なるように形成される。
【0022】
コイルパターンの最内部の幅をA、中央部の幅をB、最外部の幅をCとしたとき、上段部は、B≧C>Aの関係が成り立つように形成され、中段部は、C>B≧Aの関係が成り立つように形成され、下段部は、C>B≧Aの関係が成り立つように形成される。
【0023】
本発明のさらに他の態様に係るチップ素子は、ボディと、ボディの内部に設けられた少なくとも1枚の基板と、基板の少なくとも一方の面の上に形成された少なくとも一つのコイルパターンと、コイルパターンとボディとの間に形成された絶縁層とを備え、コイルパターンは、基板の少なくとも一方の面の上に形成されたシード層と、シード層を覆うように形成され、少なくとも二回の異方性メッキ工程によって形成された少なくとも二つのメッキ層とを備える。
【0024】
基板は、少なくとも一部の領域が除去され、除去された領域にボディが充填される。
【0025】
コイルパターンは、最内側から最外側へ向かって幅広又は幅狭となるように形成される。
【0026】
コイルパターンは、最内部の幅をA、中央部の幅をB、最外部の幅をCとしたとき、上段部は、B≧C>Aの関係が成り立つように形成され、中段部は、C>B≧Aの関係が成り立つように形成され、下段部は、C>B≧Aの関係が成り立つように形成される。
【0027】
基板は、少なくとも2枚が設けられてボディの厚さ方向に積み重ねられ、少なくとも2枚の基板の上にそれぞれ形成されたコイルパターンは、直列又は並列に接続される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の実施形態に係るコイルパターンは、基板の上にシード層を形成した後、その上部に異方性メッキで複数のメッキ層を形成して所定の形状のコイルパターンを形成する。従って、縦横比が約2〜10と高いコイルパターンを少量のメッキ液の供給量で形成することができる。すなわち、本発明は、既存の高電流の整流装置及び高出力のメッキ液供給装置を利用しなくても、少量のメッキ液の供給量で異方性メッキを実現することができる。また、コイルパターンの高さと比べて、コイルパターンを形成するための感光膜パターンのオープン面積が大きいため、メッキ厚さ及び形状の均一性に優れており、チップの小型化に伴う電気的な特性の実現に向いている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係るガス噴射装置、これを備える基板処理設備及びこれを用いた基板処理方法について詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施の形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施の形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。
【0031】
図1から
図6は、本発明の一実施形態に係るコイルパターンの形成方法を説明するために工程順に示す平面図及び断面図である。すなわち、
図1から
図6の(a)は、工程順に示す平面図であり、
図1から
図6の(b)は、工程順に示す断面図である。なお、
図7は、本発明の一実施形態により形成されたコイルパターンの中央部の断面写真である。
【0032】
図1を参照すると、基板100の上に第1の感光膜パターン110を形成し、第1の感光膜パターン110から露出した基板100の上にシード層210を形成する。ここで、第1の感光膜パターン110及びシード層210は、基板100の少なくとも一方の面の上に形成されてもよい。すなわち、第1の感光膜パターン110及びシード層210は、基板100の一方の面の上に形成されてもよく、基板100の両面に形成されてもよい。基板100の両面に形成される場合、第1の感光膜パターン110及びシード層210は、同じ形状に重なり合うように形成されてもよい。いうまでもなく、基板100の一方の面のシード層210が形成されていない領域と対応する基板100の他方の面にシード層210が形成されてもよい。以下の説明に際しては、基板100の一方の面の上にコイルパターンが形成される場合を例にとって説明する。
【0033】
基板100は、所定の厚さのベースの上部及び下部に金属箔が貼り付けられてもよい。ここで、ベースは、例えば、ガラス強化繊維、プラスチック、又はメタルフェライトなどを含んでいてもよい。すなわち、ガラス強化繊維に銅箔を貼り付けた銅張り積層板(Copper Clad Lamination;CCL)を基板100として用いてもよく、ポリイミドなどのプラスチックに銅箔が貼り付けられたり、メタルフェライトに銅箔が貼り付けられたりして、基板100が作製されてもよい。また、基板100の所定の領域には、少なくとも一つの導電性ビア(図示せず)が形成されてもよい。導電性ビアが形成されることにより、基板100の一方の面及び他方の面にシード層210がそれぞれ形成される場合、これらが電気的に接続可能となる。導電性ビアは、基板100に厚さ方向に沿って貫通するビア(図示せず)を形成した後、シード層210の形成に際してビアが埋め込まれるようにして形成してもよく、ビアに導電性ペーストを充填して形成してもよい。すなわち、導電性ビアは、ペーストの充填方式又はメッキ方式によって形成されてもよい。このとき、導電性ビアからシード層210の少なくとも一部が成長してもよく、これにより、導電性ビア及びシード層210の少なくとも一部が一体に形成可能となる。なお、基板100は、少なくとも一部が除去されてもよい。例えば、基板100は、この後にコイルパターンが形成されるべき領域と重なり合う領域を除く残りの領域が除去されてもよい。
【0034】
また、第1の感光膜パターン110は、基板100の上に感光膜を形成した後、露光及び現像工程を行って形成してもよい。例えば、基板100の上に所定の厚さの感光性フィルムを貼り付けた後、所定のマスクを用いた露光及び現像工程を行って所定の形状の第1の感光膜パターン110を形成してもよい。ここで、第1の感光膜パターン110は、コイルパターンの形状に形成されてもよく、例えば、スパイラル状に基板100の所定の領域が露出されるように形成されてもよい。さらに、第1の感光膜パターン110は、この後に形成されるべきコイルパターンの幅よりも幅狭に基板100が露出されるように形成されてもよい。例えば、第1の感光膜パターン110は、形成しようとするコイルパターンの幅よりも1/2〜1/5の幅に基板100が露出されるように形成してもよい。一方で、第1の感光膜パターン110は、スパイラル状に露出された基板100の最内側から最外側へ向かって、すなわち、
図1の切取線AからA’へ向かって幅広又は幅狭となるように形成されてもよい。また、第1の感光膜パターン110は、
図1の切取線AからA’へ向かって少なくとも一つの幅が幅広又は幅狭となるように形成されてもよい。一方で、第1の感光膜パターン110の末端部、すなわち、スパイラル状の末端部は、他の領域よりも幅広に形成されてもよい。例えば、第1の感光膜パターン110の末端部は、この後に形成された複数のメッキ層の末端部の幅と同幅に形成されてもよい。
【0035】
そして、第1の感光膜パターン110によって露出された基板100の上にシード層210を形成する。すなわち、シード層210は、スパイラル状に形成される。このとき、シード層210の最末端部は、他のシード層210よりも幅広に形成されてもよい。一方で、シード層210は、この後に形成されるべきメッキ層と同じ物質を用いて形成してもよい。例えば、シード層210は、銅を用いて形成してもよい。さらに、第1の感光膜パターン110がこの後に形成されたコイルパターンの幅よりも狭幅に基板100を露出するため、シード層210は、この後に形成されるべきコイルパターンの幅よりも狭幅、例えば、約1/2〜1/5ほど狭幅に形成されてもよい。加えて、シード層210は、幅と間隔とが、例えば、1:1.5〜1:5の比率を有するように形成してもよい。すなわち、シード層210は、幅よりも間隔の方が大きく形成されてもよい。しかし、シード層210の幅と間隔との比率は、コイルパターンのターン数、コイルパターンの幅及び間隔などに応じて種々に変更可能である。一方で、シード層210は、基板100の最内側から最外側へ向かって、すなわち、
図1の切取線AからA’に向かって同一幅に形成されてもよく、幅広又は幅狭となるように形成されてもよい。なお、シード層210は、少なくとも一つの幅が幅広又は幅狭に形成されてもよい。いうまでもなく、シード層210の末端部は、他の領域よりも幅広に形成されてもよい。
【0036】
図2を参照すると、第1の感光膜パターン110を除去して、基板100の上にシード層210を残留させる。
【0037】
第1の感光膜パターン110は、シード層210とのエッチング選択比が大きい物質を用いて除去する。従って、シード層210はほとんど除去されることなく、第1の感光膜パターン110を除去することができる。なお、第1の感光膜パターン110を除去した後、第1の感光膜パターン110の下側の金属箔を除去してもよい。すなわち、シード層210は維持し、該シード層210から露出した金属箔を除去して、基板100のベースを露出させてもよい。
【0038】
図3を参照すると、シード層210から所定の間隔だけ離間して基板100の上に第2の感光膜パターン120を形成した後、シード層210の上に第1のメッキ層220を形成する。ここで、第1のメッキ層220は、シード層210から成長し、側方よりも上方によりよく成長する異方性メッキによって形成される。
【0039】
第2の感光膜パターン120は、コイルパターンが形成されるべき領域、すなわち、シード層210が形成された領域を除く残りの領域に形成されてもよい。このとき、シード層210の上に異方性メッキ工程によって第1のメッキ層220が形成されるため、第2の感光膜パターン120は、シード層210の最内側及び最外側から所定の間隔だけ離間して形成されてもよい。すなわち、スパイラル状に形成されたシード層210の最内側及び最外側から所定の間隔だけ離間して、シード層210の中心領域及び外部領域の基板100の上に第2の感光膜パターン120が形成されてもよい。換言すると、切取線A−A’の方向にそれぞれのシード層210の間に第2の感光膜パターン120が形成されず、内側領域及び外側領域にのみ第2の感光膜パターン120が形成されてもよい。なお、第2の感光膜パターン120は、第1のメッキ層220の成長高さに形成してもよい。すなわち、第2の感光膜パターン120は、形成しようとする第1のメッキ層220の高さに形成してもよい。このとき、第1のメッキ層220が形成される領域の幅に対して、第2の感光膜パターン120は、20%〜40%の厚さに形成されてもよい。すなわち、A−A’方向の第1のメッキ層220が形成される領域の幅に対して、第2の感光膜パターン120は、20%〜40%の厚さに形成されてもよい。従って、第2の感光膜パターン120の高さと比べて、第2の感光膜パターン120から露出する面積は、約2.5倍〜5倍ほど大きい。
【0040】
次に、基板100の上に第1のメッキ層220を形成する。第1のメッキ層220は、シード層210から成長し、異方性メッキによって成長する。従って、第1のメッキ層220は、シード層210の幅よりも幅広に且つ厚肉に形成され、これにより、シード層210を覆うようにその上部に形成される。例えば、シード層210及び第1のメッキ層220は、両者間の幅が1:1.5〜1:5の比率を有するように形成されてもよい。また、隣り合う第1のメッキ層220が互いに接触
しないように形成される。すなわち、第1のメッキ層220が異方性メッキによって形成されるため、第2の感光膜パターン120の内側に形成され、シード層210の上に垂直方向に形成されてもよく、隣り合う第1のメッキ層220が互いに接触
しないように形成されてもよい。ここで、シード層210の間の間隔と第1のメッキ層220の幅は、1:1.2〜1:5の比率を有するように形成されてもよい。一方で、第1のメッキ層220は、例えば、銅によって形成されてもよく、このために、硫酸銅(CuSO
4)及び硫酸(H
2SO
4)を基本とするメッキ液を用いて形成してもよい。メッキ液は、例えば、硫酸銅が100g/L〜170g/Lの含量を有し、硫酸が80g/L〜150g/Lの含量を有してもよい。このとき、硫酸銅の含量が硫酸の含量よりも多いか又は同じであってもよい。そして、メッキ液には、メッキ性を向上させるために、ppm単位の塩素(Cl)及び複数の有機化合物が含有されてもよい。例えば、メッキ液1Lを100wt%としたとき、キャリアーが約0.1wt%〜0.3wt%ほど含有されてもよく、光沢剤が0.1wt%以下に含有されてもよい。また、メッキ液は、異方特性を維持するためにポリオキシグリコール(polyoxyglycol)(エチレン(ethylene)又はプロピレン(propylene)系及びポリエチレングリコール(polyethylene Glycol;PEG)などを含んでいてもよい。ポリオキシグリコールなどが含有されることにより、隣り合う第1のメッキ層220が互いに接触
することなく、第1のメッキ層220に対して異方性メッキを行うことが可能である。すなわち、メッキ液は、硫酸銅及び硫酸を基本とし、少なくとも一つの有機化合物がさらに含有されることにより、第1のメッキ層220の均一性、電着性及び光沢特性を向上させることができ、異方性成長特性を維持することができる。ところが、ポリオキシグリコールなどの含量が少な過ぎると、第1のメッキ層220の成長中に隣の第1のメッキ層220が接触する虞があり、含量が多過ぎると、第1のメッキ層220の成長時間が長引く虞がある。このため、隣り合う第1のメッキ層220が
互いに接触
せず、できる限り高速で成長できるように、ポリオキシグリコールなどの含量を調節してもよい。一方で、第1のメッキ層120を形成するためのメッキ工程は、20℃〜30℃の温度において行ってもよい。また、第1のメッキ層120を低い高さに形成するため、金属イオンの供給量を減らすことができ、これにより、7A/cm
2〜15A/cm
2の低い電流密度で、且つポンプからメッキ液が1L/min以下の流量で供給可能である。従って、既存の高電流の整流装置及び高出力の供給装置を利用しなくても、メッキ層を形成することが可能になる。
【0041】
図4を参照すると、第2の感光膜パターン120の上に第3の感光膜パターン130を形成した後、第1のメッキ層220の上に第2のメッキ層230を形成する。
【0042】
第3の感光膜パターン130は、第2の感光膜パターン120と同じ形状に形成されてもよい。また、第3の感光膜パターン130は、第2の感光膜パターン120と同じ高さに形成されてもよい。すなわち、第3の感光膜パターン130は、第2の感光膜パターン120と同じ感光性フィルムを貼り付けた後、第2の感光膜パターン120の露光マスクと同じ露光マスクを用いた露光及び現像を行って形成してもよい。いうまでもなく、第3の感光膜パターン130は、第2の感光膜パターン120とは異なる高さ、すなわち、第2の感光膜パターン120よりも高いか又は低い高さに形成されてもよい。なお、第2のメッキ層230は、少なくとも一つの領域の幅が第1のメッキ層220とは異なってもよく、この場合、第3の感光膜パターン130をパターニングするための露光マスクは、第2の感光膜パターン120の露光マスクとは異なってもよい。
【0043】
第2のメッキ層230は、第1のメッキ層220の上に形成されてもよい。このとき、第2のメッキ層230は、第3の感光膜パターン130の高さに応じて形成されてもよい。すなわち、第2のメッキ層230は、第1のメッキ層220と同じ高さに形成されてもよく、第1のメッキ層220とは異なる高さに形成されてもよい。また、第2のメッキ層230は、第1のメッキ層220を形成するためのメッキ液と同じメッキ液を用いて形成してもよく、第1のメッキ層220を形成するための条件と同じ条件で形成してもよい。すなわち、メッキ液は、硫酸銅及び硫酸を基本とし、複数の有機化合物がさらに添加されてもよい。さらに、第2のメッキ層230を形成するためのメッキ工程は、20℃〜30℃の温度で行ってもよく、7A/cm
2〜15A/cm
2の低い電流密度で、且つ、メッキ液を1L/min以下の流量で供給することができるので、既存の高出力の供給装置を利用しなくてもよい。
【0044】
図5を参照すると、第3の感光膜パターン130の上に第4の感光膜パターン140を形成した後、第2のメッキ層230の上に第3のメッキ層240を形成する。このとき、第4の感光膜パターン140は、第3の感光膜パターン130と同じ形状及び同じ厚さに形成してもよい。いうまでもなく、第4の感光膜パターン140は、第3の感光膜パターン130よりも低い厚さに形成してもよい。そして、第3のメッキ層240は、第2のメッキ層230の上に、第2のメッキ層230と同じ又は異なる厚さに形成してもよい。
【0045】
このように、複数の感光膜パターンの形成工程及びメッキ層の形成工程を少なくとも二回繰り返し行って、所定の高さを有する、例えば、スパイラル形状のコイルパターンを形成してもよい。ここで、複数の感光膜パターン120〜140の高さと、複数の感光膜パターン120〜140から露出する領域、すなわち、複数のメッキ層220〜240が形成される領域の幅との比率は、1:0.5〜1:2であってもよく、好ましくは、1:1であってもよい。すなわち、複数のメッキ層220〜240が積み重ねられて形成されるコイルパターンの幅と、これを露出する複数の感光膜パターン120〜140の高さは、1:1の比率を有するように形成されてもよい。いうまでもなく、コイルパターンの幅が複数の感光膜パターン120〜140の高さよりも大きくてもよい。
【0046】
一方で、第2乃至第4の感光膜パターン120〜140の高さと、第2乃至第4の感光膜パターン120〜140から露出して第1乃至第3のメッキ層220〜240が形成される領域の幅との比率は、メッキ層の繰り返し積み重ね枚数に応じて調節されてもよい。すなわち、メッキ層が四回の工程によって形成される場合、感光膜パターンが四回形成されなければならないため、それぞれの感光膜パターンの高さと、感光膜パターンから露出してメッキ層が形成される領域の幅との比率が約0.25:1となる。すなわち、感光膜パターンの全体の高さ及びメッキ層の形成領域の幅の比が、最終的に約1:1となる。いうまでもなく、感光膜パターンの全体の高さよりも、メッキ層の形成領域の幅の方が約1:2ほど大きくてもよく、この場合、メッキ層の積み重ね回数に応じて、感光膜パターンの高さ及びメッキ層形成領域の幅の比が調整されてもよい。
【0047】
図6を参照すると、基板100の上に残留する感光膜パターン140、130、120を除去して、シード層210及び複数のメッキ層220、230、240が積み重ねられたコイルパターン200を形成してもよい。このとき、コイルパターン200は、幅と高さとの比率、すなわち、縦横比(aspect ratio)が約2〜10となるように形成してもよい。ここで、コイルパターン200の幅は、下部面の幅又は上部面の幅であってもよく、下部面から上部面までの任意の幅であってもよく、平均幅であってもよい。すなわち、コイルパターン200は、幅と高さとの比率が1:1.5〜1:10となるように形成されてもよい。
【0048】
上述したように、本発明の一実施形態に係るコイルパターンの形成方法は、基板の上にシード層210を形成した後、その上部に異方性メッキで複数のメッキ層220、230、240を形成して、所定の形状のコイルパターンを形成する。従って、コイルパターンの縦横比が約2〜10と高いコイルパターンを、メッキ液の供給量及び消耗量を減らしながら形成することができる。すなわち、本発明は、7A/cm
2〜15A/cm
2の低い電流密度及び1L/min以下のメッキ液の供給流量でもコイルパターンを形成することができ、既存の高出力のメッキ液供給装置を利用しなくても、少量の供給量で異方性メッキを実現することができる。従って、コイルパターンの高さと比べて、感光膜パターンによるオープン面積の方が大きいので、メッキ厚さ及び形状の均一性に優れており、しかも、チップの小型化に伴う電気的な特性の実現に向いている。
【0049】
一方で、本発明の実施形態に係るコイルパターンは、基板100の両面にコイルパターンが形成されてもよい。また、基板100の両面にコイルパターンが形成される場合、基板100の所定の領域に形成された導電性ビアを介してコイルパターンが接続されてもよい。すなわち、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、基板100の上面及び下面にそれぞれコイルパターン200a、200bが形成されてもよい。いうまでもなく、それぞれのコイルパターン200a、200bは、シード層210及び少なくとも二つのメッキ層220、230、240が積み重ねられて形成され、
図1から
図6に示し、且つ、これらに基づいて説明されたような工程によって基板100の両面に形成されてもよい。更に、基板100の所定の領域に導電性ビア150が形成され、導電性ビア150を介して上部及び下部のコイルパターン200a、200bが互いに接続されてもよい。ここで、導電性ビア150は、基板100に厚さ方向に沿って貫通するビア(図示せず)を形成した後、シード層210を形成する際にビアを埋め込んで形成してもよく、ビアに導電性ペーストを充填するなどの方法で形成してもよい。このとき、導電性ビア150から上部及び下部のシード層210の少なくとも一部が成長してもよく、これにより、導電性ビア及びシード層210の少なくとも一部が一体に形成可能となる。
【0050】
また、基板100は、少なくとも一部が除去されてもよい。例えば、基板100は、この後にコイルパターン200が形成された領域と重なり合う領域を除く残りの領域が除去されてもよい。すなわち、
図9に示すように、スパイラル状に形成されるコイルパターン200の内側の基板100が除去されて貫通孔160が形成され、コイルパターンの外側の基板100が除去されてもよい。すなわち、基板100は、コイルパターン200の外側の形状に倣って、例えば、レーストラック(racetrack)の形状を呈し、コイルパターン200の端部の形状に倣って直線状に形成されてもよい。このとき、基板100の一方の面の上に形成されたコイルパターン200の端部及び基板100の他方の面の上に形成されたコイルパターン200の端部は、向かい合う領域に形成され、コイルパターン200の端部は、その後、パワーインダクターなどに適用されて外部電極と接続されてもよい。一方で、コイルパターン200と重なり合う領域を除く基板100の所定の領域が除去される場合、基板100は、コイルパターン200よりも広い幅を保つことができる。すなわち、基板100は、コイルパターン200の垂直の下方において所定の幅で残留してもよく、例えば、基板100は、コイルパターン210、220よりも約0.3μmだけ突出するように形成されてもよい。
【0051】
一方で、本発明の一実施形態に係るコイルパターンは、スパイラル状に形成され、
図10に示すように、コイルパターン200の幅が最内周から最外周へ向かって幅広となる形状に形成されてもよい。すなわち、最内周から最外周(
図1又は
図2のA−A’方向)までn個のコイルパターンが形成されるが、例えば、四つのコイルパターンが形成される場合、最内周の第1のコイルパターン201から第2及び第3のコイルパターン202、203、並びに最外周の第4のコイルパターン204に向かってコイルパターンが幅広となるように形成されてもよい。例えば、第1のコイルパターン201の幅が1である場合、第2のコイルパターン202は、1〜1.5の比率に形成され、第3のコイルパターン203は、1.2〜1.7の比率に形成され、第4のコイルパターン204は、1.3〜2の比率に形成されてもよい。すなわち、第1乃至第4のコイルパターン201、202、203、204は、1:1〜1.5:1.2〜1.7:1.3〜2の比率に形成されてもよい。換言すれば、第2のコイルパターン202は、第1のコイルパターン201の幅と同幅又は幅広に形成され、第3のコイルパターン203は、第1のコイルパターン201の幅よりも幅広に、且つ、第2のコイルパターン202の幅と同幅又は幅広に形成され、第4のコイルパターン204は、第1のコイルパターン201の幅よりも幅広に、且つ、第2及び第3のコイルパターン202、203の幅と同幅又は幅広に形成されてもよい。このように、最内周から最外周へ向かってコイルパターンの幅を増加させるために、シード層210の幅を最内周から最外周へ向かって増加させてもよい。また、シード層210の間の間隔は、最終的なコイルパターンの幅を考慮して、最内周から最外周へ向かって増加させてもよい。いうまでもなく、コイルパターン200の幅を最内部から最外周へ向かって減少させてもよい。この場合、シード層210の間の間隔は、最内周から最外周へ向かって減少させてもよい。
【0052】
また、本発明のコイルパターン200は、
図11に示すように、少なくとも一部が、上段部、中段部及び下段部の幅が異なってもよい。例えば、最内周から最外周まで四つのコイルパターンが形成され、最内周及び最外周は、内側及び外側に所定の傾斜を有するように形成されてもよい。すなわち、第2及び第3のコイルパターン202、203は、一方の側面及び他方の側面が垂直に形成され、第1のコイルパターン201は、第2のコイルパターン202と隣り合う他方の側面が垂直に形成され、第4のコイルパターン204は、第3のコイルパターン203と隣り合う一方の側面が垂直に形成されてもよい。また、第1のコイルパターン201は、第2のコイルパターン202と隣接しない一方の側面が、少なくとも一部が所定の傾斜を有するように形成され、第4のコイルパターン204は、第3のコイルパターン203と隣接しない他方の側面の少なくとも一部が所定の傾斜を有するように形成されてもよい。このとき、第1乃至第4のコイルパターン201〜204の上段部の幅aは、中央部のコイルパターン、すなわち、第2及び第3のコイルパターン202、203の幅が、最外部コイルパターン、すなわち、第4のコイルパターン204の幅よりも幅広又は同幅であり、最外部コイルパターン、すなわち、第4のコイルパターン204の幅は、最内部コイルパターン、すなわち、第1のコイルパターン201の幅よりも幅広であってもよい。すなわち、最内部のコイルパターンの幅をA、中央部のコイルパターンの幅をB、最外部のコイルパターンの幅をCとしたとき、上段部は、B≧C>Aの関係が成り立つように形成されてもよい。さらに、コイルパターン200の中段部の幅bは、最外部コイルパターン、すなわち、第4のコイルパターン204の幅が、中央部のコイルパターン、すなわち、第2及び第3のコイルパターン202、203の幅よりも幅広であり、中央部のコイルパターン、すなわち、第2及び第3のコイルパターン202、203の幅は、最内部コイルパターン、すなわち、第1のコイルパターン201の幅よりも幅広又は同幅であってもよい。すなわち、最内部のコイルパターンの幅をA、中央部のコイルパターンの幅をB、最外部のコイルパターンの幅をCとしたとき、中段部は、C>B≧Aの関係が成り立つように形成されてもよい。加えて、コイルパターン200の下段部の幅cは、最外部コイルパターン、すなわち、第4のコイルパターン204の幅が、中央部のコイルパターン、すなわち、第2及び第3のコイルパターン202、203の幅よりも幅広であり、中央部のコイルパターン、すなわち、第2及び第3のコイルパターン202、203の幅が、最内部コイルパターン、すなわち、第1のコイルパターン201の幅よりも幅広又は同幅であってもよい。すなわち、最内部のコイルパターンの幅をA、中央部のコイルパターンの幅をB、最外部のコイルパターンの幅をCとしたとき、
下段部は、C>B≧Aの関係が成り立つように形成されてもよい。ここで、コイルパターンの下段部は、第1のメッキ層220を含んでいてもよく、中段部は、第2のメッキ層230を含んでいてもよく、上段部は、第3のメッキ層240を含んでいてもよい。すなわち、コイルパターンが複数のメッキ層によって形成されるとき、垂直方向に三等分し、下から下段部、中段部及び下段部と指し示してもよい。しかし、下段部、中段部及び下段部は、形状が異なる感光膜パターンによって形成された部分を指し示す場合もあるため、必ずしも三等分する場合に限定されるわけではない。このように、垂直方向に少なくとも一つの領域のコイルパターン200の幅を異ならせて形成するために、シード層210の幅及び感光膜パターン120、130、140の間隔を異ならせて形成してもよい。例えば、下段部の幅を異ならせるために、シード層210の幅を異ならせて形成してもよく、中段部及び上段部の幅を異ならせるために、感光膜パターン120、130、140間の間隔を調整してもよい。例えば、第2の感光膜パターン120の上に形成される第3の感光膜パターン130は、第2の感光膜パターン120よりも内側にさらに突出するように形成し、第3の感光膜パターン130の上に形成される第4の感光膜パターン140は、第3の感光膜パターン130よりも内側にさらに突出するように形成してもよい。
【0053】
本発明の実施形態に係るコイルパターンは、積層チップ素子に用いられてもよい。このような本発明の実施形態に係るコイルパターンを用いる積層チップ素子としてのパワーインダクターについて説明すれば、下記の通りである。
【0054】
図12は、本発明の一実施形態に係るパワーインダクターの組み立て状態の斜視図であり、
図13は、
図12のA−A’線に沿って切り取った状態の断面図である。また、
図14は、本発明の一例によるパワーインダクターの分解斜視図であり、
図15は、基板及びコイルパターンの平面図であり、
図16は、実際のパワーインダクターの写真を図式化した断面図である。
【0055】
図12から
図16を参照すると、本発明の一実施形態に係るパワーインダクターは、ボディ300(300a、300b)と、ボディ300の内部に設けられた基板100と、基板100の少なくとも一方の面の上に形成されたコイルパターン200(210、220)と、ボディ300の外部に設けられた外部電極400(410、420)とを備えていてもよい。なお、コイルパターン200a、200bとボディ300との間に形成された絶縁層500をさらに備えていてもよい。
【0056】
ボディ300は、六面体状であってもよい。いうまでもなく、ボディ300は、六面体に加えて、多面体形状を呈してもよい。このようなボディ300は、金属粉末310、ポリマー320を含み、熱伝導性フィラー330をさらに含んでいてもよい。
【0057】
金属粉末310は、平均粒径が1μm〜50μmであってもよい。また、金属粉末310としては、同じ粒子径の単一の粒子又は2種以上の粒子を用いてもよく、複数の粒子径を有する単一の粒子又は2種以上の粒子を用いてもよい。例えば、30μmの平均粒子径を有する第1の金属粒子と3μmの平均粒子径を有する第2の金属粒子を混合して用いてもよい。このとき、第1の金属粒子及び第2の金属粒子は、同じ物質の粒子であってもよく、異なる物質の粒子であってもよい。粒子径が互いに異なる2種以上の金属粉末310を用いる場合、ボディ300の充填率を高めることができて容量を最大限に実現することができる。例えば、30μmの金属粉末を用いる場合、30μmの金属粉末の間には空隙が生じることがあり、これにより、充填率が下がらざるを得ない。しかしながら、30μmの金属粉末の間にこれよりも小さな粒子径を有する3μmの金属粉末を混合して用いることにより、ボディ300内の金属粉末の充填率を高めることができる。このような金属粉末310としては、含鉄(Fe)金属物質を用いてもよく、例えば、鉄−ニッケル(Fe−Ni)、鉄−ニッケル−ケイ素(Fe−Ni−Si)、鉄−アルミニウム−ケイ素(Fe−Al−Si)及び鉄−アルミニウム−クロム(Fe−Al−Cr)よりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属が挙げられる。すなわち、金属粉末310は、鉄を含んで磁性組織を有するか、又は磁性を帯びる金属合金によって形成されて、所定の透磁率を有してもよい。また、金属粉末310は、表面が磁性体によりコーティングされてもよく、金属粉末310とは透磁率が異なる物質によりコーティングされてもよい。例えば、磁性体は、金属酸化物磁性体を含んでいてもよく、ニッケル酸化物磁性体、亜鉛酸化物磁性体、銅酸化物磁性体、マンガン酸化物磁性体、コバルト酸化物磁性体、バリウム酸化物磁性体及びニッケル−亜鉛−銅酸化物磁性体よりなる群から選ばれた少なくとも一種の酸化物磁性体を用いてもよい。すなわち、金属粉末310の表面にコーティングされる磁性体は、含鉄金属酸化物によって形成されてもよく、金属粉末310よりも高い透磁率を有することが好ましい。一方で、金属粉末310が磁性を帯びるため、金属粉末310が互いに接触すれば絶縁が破壊され、ショートが生じる虞がある。従って、金属粉末310は、表面が少なくとも一つの絶縁体によりコーティングされてもよい。例えば、金属粉末310は、表面が酸化物によりコーティングされてもよく、また、パリレン(parylene)などの絶縁性高分子物質によりコーティングされてもよく、パリレンによりコーティングされることが好ましい。パリレンは、1μm〜10μmの厚さにコーティングされてもよい。ここで、パリレンが1μm未満の厚さに形成されれば、金属粉末310の絶縁効果が低下する虞があり、10μmを超える厚さに形成されれば、金属粉末310の粒子径が増大し、ボディ300内の金属粉末310の分布量が減って透磁率が下がる虞がある。また、パリレンに加えて、様々な絶縁性高分子物質を用いて金属粉末310の表面をコーティングしてもよい。一方で、金属粉末310をコーティングする酸化物は、金属粉末310を酸化して形成してもよく、TiO
2、SiO
2、ZrO
2、SnO
2、NiO、ZnO、CuO、CoO、MnO、MgO、Al
2O
3、Cr
2O
3、Fe
2O
3、B
2O
3及びBi
2O
3から選ばれたいずれか一種によりコーティングされてもよい。ここで、金属粉末310は、二重構造の酸化物によりコーティングされてもよく、酸化物及び高分子物質の二重構造にコーティングされてもよい。いうまでもなく、金属粉末310は、表面が磁性体によりコーティングされた後、絶縁体によりコーティングされてもよい。このように、金属粉末310の表面が絶縁体によりコーティングされることにより、金属粉末310の間の接触によるショートを防ぐことができる。このとき、酸化物、絶縁性高分子物質などにより金属粉末310をコーティングするか、又は磁性体及び絶縁体の二重にコーティングされる場合であっても、1μm〜10μmの厚さにコーティングされてもよい。
【0058】
ポリマー320は、金属粉末310の間を絶縁するために、金属粉末310と混合されてもよい。すなわち、金属粉末310は、高周波における渦電流損及びヒステリシス損が高くなって材料の損失が大幅に増えるという問題が生じる虞があるが、このような材料の損失を低減させるために、金属粉末310の間を絶縁するポリマー320を含めてもよい。このようなポリマー320としては、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)及び液晶ポリマー(Liquid Crystalline Polymer;LCP)よりなる群から選ばれる少なくとも一種が挙げられるが、これに制限されるわけではない。また、ポリマー320は、金属粉末310の間に絶縁性を与えるものであり、熱硬化性樹脂からなることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ノボラックエポキシ樹脂(Novolac Epoxy Resin)、フェノキシ型エポキシ樹脂(Phenoxy Type Epoxy Resin)、BPA型エポキシ樹脂(BPA Type Epoxy Resin)、BPF型エポキシ樹脂(BPF Type Epoxy Resin)、水素化BPAエポキシ樹脂(Hydrogenated BPA Epoxy Resin)、ダイマー酸改質エポキシ樹脂(Dimer Acid Modified Epoxy Resin)、ウレタン改質エポキシ樹脂(Urethane Modified Epoxy Resin)、ゴム改質エポキシ樹脂(Rubber Modified Epoxy Resin)及びDCPD型エポキシ樹脂(DCPD Type Epoxy Resin)よりなる群から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。ここで、ポリマー320は、金属粉末100wt%に対して、2.0wt%〜5.0wt%の含量で含まれてもよい。ところが、ポリマー320の含量が増える場合、金属粉末310の体積分率が低下して飽和磁化値を高める効果が正常に奏されない虞があり、ボディ300の透磁率を低下させる虞がある。逆に、ポリマー320の含量が減る場合、インダクターの製造過程において用いられる強酸又は強塩基溶液などが内部に浸透してインダクタンス特性を低下させる虞がある。従って、ポリマー320は、金属粉末310の飽和磁化値及びインダクタンスを低下させない範囲内で含まれることが好ましい。
【0059】
一方、ボディ300には、外部の熱によってボディ300が加熱されてしまうという問題を解決するために、熱伝導性フィラー330が含まれていてもよい。すなわち、外部の熱によってボディ300の金属粉末310が加熱されてしまう虞があるが、熱伝導性フィラー330が含まれることにより、金属粉末310の熱を外部に放出することができる。このような熱伝導性フィラーとしては、MgO、AlN、及びカーボン系の物質よりなる群から選ばれる少なくとも一種が挙げられるが、これに限定されるわけではない。ここで、カーボン系の物質は炭素を含み、様々な形状を呈してもよく、例えば、黒鉛、カーボンブラック、グラフェン、及びグラファイトなどを含んでいてもよい。なお、熱伝導性フィラー330は、金属粉末310 100wt%に対して0.5wt%〜3wt%の含量で含まれてもよい。熱伝導性フィラー330の含量が上記の範囲未満である場合、熱放出効果を得られず、熱伝導性フィラーの含量が上記の範囲を超える場合、金属粉末310の含量が減ってボディ300の透磁率を低下させてしまう。さらに、熱伝導性フィラー330は、例えば、0.5μm〜100μmの大きさを有してもよい。つまり、熱伝導性フィラー330は、金属粉末310の大きさに等しいか、又はこれよりも小さくてもよい。熱伝導性フィラー330は、その大きさ及び含量に応じて熱放出効果が調節可能である。例えば、熱伝導性フィラー330の大きさが大きくなるにつれて、且つ、熱伝導性フィラーの含量が増えるにつれて、熱放出効果が高くなる。一方、ボディ300は、金属粉末310と、ポリマー320及び熱伝導性フィラー330を含む材料からなる複数枚のシートを積み重ねて作製してもよい。ここで、複数枚のシートを積み重ねてボディ300を作製する場合、各シートの熱伝導性フィラー330の含量は異なっていてもよい。例えば、基板100を中心として上側及び下側に向かって遠ざかるにつれて、シート内の熱伝導性フィラー330の含量は次第に増えてもよい。また、ボディ300は、金属粉末310、ポリマー320及び熱伝導性フィラー330を含む材料からなるペーストを所定の厚さに印刷して形成してもよく、このようなペーストを枠に入れて圧着する方法など必要に応じて様々な方法を用いて形成してもよい。このとき、ボディ300を形成するために積み重ねられるシートの枚数又は所定の厚さに印刷されるペーストの厚さは、パワーインダクターに求められるインダクタンスなどの電気的な特性を考慮して適正な枚数や厚さに決定されることが好ましい。一方、基板100を間に挟んでその上側及び下側に設けられたボディ300a、300bは、基板100を介して互いに接続されてもよい。すなわち、基板100の少なくとも一部が除去され、除去された部分にボディ300の一部が充填されてもよい。このように、基板100の少なくとも一部が除去され、その部分にボディ300が充填されることにより、基板100の面積を狭め、同じ体積におけるボディ300の割合を高めることにより、パワーインダクターの透磁率を上げることができる。
【0060】
基板100は、ボディ300の内部に設けられてもよい。例えば、基板100は、ボディ300の内部にボディ300の長軸方向、すなわち、外部電極400の方向に設けられてもよい。また、基板100は、1枚以上に設けられてもよく、例えば、2枚以上の基板100が外部電極400の形成方向と直交する方向、例えば、垂直方向に所定の間隔だけ離れて設けられてもよい。いうまでもなく、2枚以上の基板100が外部電極400の形成方向に配列されてもよい。このような基板100は、例えば、銅張り積層板(Copper Clad Lamination;CCL)又は金属フェライトなどによって作製されてもよい。このとき、基板100は、金属フェライトによって作製されることにより透磁率を増加させ、容量を手軽に実現することができる。すなわち、銅張り積層板(CCL)は透磁率を有さないが故に、パワーインダクターの透磁率を低下させる虞がある。しかしながら、金属フェライトを基板100の素材として用いると、金属フェライトが透磁率を有するため、パワーインダクターの透磁率を低下させなくなる。このような金属フェライトを用いた基板100は、含鉄金属、例えば、鉄−ニッケル(Fe−Ni)、鉄−ニッケル−ケイ素(Fe−Ni−Si)、鉄−アルミニウム−ケイ素(Fe−Al−Si)及び鉄−アルミニウム−クロム(Fe−Al−Cr)よりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属からなる所定の厚さの板に銅箔を貼り合わせて作製してもよい。すなわち、鉄を含み、少なくとも一つの金属からなる合金を所定の厚さの板状に作製し、金属板の少なくとも一方の面に銅箔を貼り合わせることにより基板100が作製されてもよい。また、基板100の所定の領域には少なくとも一つの導電性ビア(図示せず)が形成されてもよく、導電性ビアによって基板100の上側及び下側にそれぞれ形成されるコイルパターン200(200a、200b)が電気的に接続されてもよい。さらに、基板100は、少なくとも一部が除去されてもよい。すなわち、基板100は、
図14及び
図15に示すように、コイルパターン200と重なり合う領域を除く残りの領域が除去されてもよい。例えば、スパイラル状に形成されるコイルパターン200の内側に基板100が除去されて貫通孔160が形成されてもよく、コイルパターン200の外側の基板100が除去されてもよい。すなわち、基板100は、コイルパターン200の外側の形状に倣って、例えば、レーストラック(racetrack)の形状を呈し、外部電極400と向かい合う領域がコイルパターン200の端部の形状に倣って直線状に形成されてもよい。従って、基板100の外側は、ボディ300の周縁に対して湾曲した形状に設けられ得る。このように、基板100が除去された部分には、
図15に示すように、ボディ300が充填されてもよい。すなわち、基板100の貫通孔160を含めた除去された領域を介して上側及び下側のボディ300a、300bが互いに接続される。一方で、基板100が金属フェライトから作製される場合、基板100がボディ300の金属粉末310と接触することがある。このような問題を解消するために、基板100の側面にはパリレンなどの絶縁層500が形成されてもよい。例えば、貫通孔160の側面及び基板100の外側面に絶縁層500が形成されてもよい。一方、基板100は、コイルパターン200の幅よりも幅広に設けられてもよい。例えば、基板100は、コイルパターン200の垂直下方において所定の幅をもって残留することがあるが、例えば、基板100は、コイルパターン200よりも約0.3μmだけ突出するように形成されてもよい。一方、基板100は、コイルパターン200の内側領域及び外側領域が除去されてボディ300の横断面の面積よりも小さくてもよい。例えば、ボディ300の横断面の面積を100としたとき、基板100は、40〜80の面積比で設けられてもよい。基板100の面積比が高ければ、ボディ300の透磁率が低くなる虞があり、基板100の面積比が低ければ、コイルパターン200の形成面積が小さくなる虞がある。従って、ボディ300の透磁率、コイルパターン200の線幅及びターン数などを考慮して基板100の面積比を調整してもよい。
【0061】
コイルパターン200(200a、200b)は、基板100の少なくとも一方の面、好ましくは、両面に形成されてもよい。これらのコイルパターン200は、基板100の所定の領域、例えば、中央部から外側へ向かってスパイラル状に形成されてもよく、基板100の上に形成された二つのコイルパターン200a、200bが接続されて一つのコイルをなしてもよい。すなわち、コイルパターン200は、基板100の中心部に形成された貫通孔160の外側からスパイラル状に形成されてもよく、基板100に形成された伝導性ビア150を介して互いに接続されてもよい。ここで、上側のコイルパターン200a及び下側のコイルパターン200bは、互いに同じ形状に形成されてもよく、同じ高さに形成されてもよい。また、コイルパターン200a、200bは重なり合うように形成されてもよく、コイルパターン200aが形成されていない領域に重なり合うようにコイルパターン200bが形成されてもよい。一方、コイルパターン200a、200bの端部は直線状に外側に延設されてもよく、ボディ300の短辺の中央部に沿って延設されてもよい。さらに、コイルパターン200の外部電極400と接触される領域は、
図14及び
図15に示すように、他の領域と比べて幅広に形成されてもよい。コイルパターン200の一部、すなわち、引出部が幅広に形成されることにより、コイルパターン200及び外部電極400間の接触面積を増大させることができ、これにより、抵抗を下げることができる。いうまでもなく、コイルパターン200が、外部電極400が形成される一領域から外部電極400の幅方向に延設されてもよい。このとき、コイルパターン200の末端部、すなわち、外部電極400に向かって引き出される引出部は、ボディ300の側面の中央部に向かって直線状に形成されてもよい。なお、コイルパターン200は、シード層210と、複数のメッキ層220、230、240が積み重ねられて形成され、複数のメッキ層220、230、240がシード層210から異方性メッキによって形成されてもよい。
【0062】
外部電極400(410、420)は、ボディ300の向かい合う二つの面に形成されてもよい。例えば、外部電極400は、ボディ300の長軸方向に向かい合う二つの側面に形成されてもよい。このような外部電極400は、ボディ300のコイルパターン200と電気的に接続されてもよい。また、外部電極400は、ボディ300の二つの側面の全体に形成され、二つの側面の中央部においてコイルパターン200と接触されてもよい。すなわち、コイルパターン200の端部がボディ300の外側の中央部から露出し、外部電極400がボディ300の側面に形成されてコイルパターン200の端部と接続されてもよい。このような外部電極400は、導電性ペーストにボディ300の両側面を浸漬して形成してもよく、印刷、蒸着及びスパッタリングなどの様々な方法によってボディ300の両端に形成されてもよい。外部電極400は、電気伝導性を有する金属によって形成されてもよく、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属によって形成されてもよい。なお、外部電極400には、表面にニッケルメッキ層(図示せず)又は錫メッキ層(図示せず)がさらに形成されてもよい。
【0063】
絶縁層500は、コイルパターン200と金属粉末310とを絶縁するために、コイルパターン200とボディ300との間に形成されてもよい。すなわち、絶縁層500がコイルパターン200の上面及び側面を覆うように形成されてもよい。また、絶縁層500は、コイルパターン200の上面及び側面だけではなく、基板100を覆うように形成されてもよい。すなわち、所定の領域が除去された基板100のコイルパターン200よりも露出された領域、すなわち、基板100の表面及び側面にも絶縁層500が形成されてもよい。基板100上の絶縁層500は、コイルパターン200上の絶縁層500と同じ厚さに形成されてもよい。このような絶縁層500は、コイルパターン200の上にパリレンをコーティングして形成してもよい。例えば、コイルパターン200が形成された基板100を蒸着チャンバー内に設けた後、パリレンを気化させて真空チャンバーの内部に供給することにより、コイルパターン200の上にパリレンを蒸着させてもよい。例えば、パリレンを気化器(Vaporizer)において1次的に加熱して気化させ、ダイマー(dimer)状態にした後、2次的に加熱してモノマー(Monomer)状態に熱分解し、蒸着チャンバーと連設されたコールドトラップ(Cold Trap)及び機械的な真空ポンプ(Mechanical Vaccum Pump)を用いてパリレンを冷却させると、パリレンはモノマー状態からポリマー状態に変換されてコイルパターン200の上に蒸着される。いうまでもなく、絶縁層500は、パリレン以外の絶縁性高分子、例えば、エポキシ、ポリイミド及び液晶ポリマーから選ばれる少なくとも一種の物質によって形成されてもよい。しかしながら、パリレンをコーティングすることにより、コイルパターン200の上に均一な厚さに絶縁層500を形成することができ、薄肉に形成しても他の物質と比べて絶縁特性を向上させることができる。すなわち、絶縁層500としてパリレンをコーティングする場合、ポリイミドを形成する場合と比べて薄肉に形成しながら絶縁破壊電圧を増加させて、絶縁特性を向上させることができる。また、コイルパターン200のパターン間の間隔に応じてパターン間を埋め込んで均一な厚さに形成されてもよく、パターンの段差に沿って均一な厚さに形成されてもよい。すなわち、コイルパターン200のパターン間の間隔が遠い場合、パターンの段差に沿って均一な厚さにパリレンがコーティング可能であり、パターン間の間隔が近い場合、パターン間を埋め込んでコイルパターン200の上に所定の厚さに形成可能である。
図16に示すように、パリレンの場合、コイルパターン200の段差に沿って薄肉に形成されるが、ポリイミドはパリレンと比べて厚肉に形成される。一方、絶縁層500は、パリレンを用いて3μm〜100μmの厚さに形成してもよい。パリレンが3μm未満の厚さに形成されると、絶縁特性が低下する虞があり、100μmを超える厚さに形成する場合、同じサイズ内において絶縁層500が占める厚さが増加してボディ300の体積が小さくなり、これにより、透磁率が低下する虞がある。いうまでもなく、絶縁層500は、所定の厚さのシートによって作製された後にコイルパターン200の上に形成されてもよい。
【0064】
上述したように、本発明の一実施形態に係るパワーインダクターは、金属粉末310及びポリマー320だけではなく、熱伝導性フィラー330を含めてボディ300を作製することにより、金属粉末310の加熱によるボディ300の熱を外部に放出することができるので、ボディ300の昇温を防ぐことができ、これにより、インダクタンスの低下などの問題を防ぐことができる。また、コイルパターン200とボディ300との間にパリレンを用いて絶縁層500を形成することにより、コイルパターン200の側面及び上面に薄肉に且つ均一な厚さに絶縁層500を形成しながら、絶縁特性を向上することができる。また、ボディ300の内部の基板100を金属磁性体により形成することにより、パワーインダクターの透磁率の低下を防ぐことができ、基板100の少なくとも一部が除去され、その部分にボディ300を充填することにより、透磁率を向上することができる。
【0065】
一方で、本発明に係るパワーインダクターは、ボディ300内に少なくとも一つのフェライト層(図示せず)がさらに設けられてもよい。すなわち、ボディ300の上面及び下面の少なくともどちらか一方にフェライト層が設けられてもよく、ボディ300内に基板100から離間して少なくとも一つのフェライト層が設けられてもよい。このようなフェライト層は、シート状に作製されて複数枚のシートが積み重ねられたボディ300の間に設けられてもよい。すなわち、ボディ300を作製するための複数枚のシートの間に少なくとも一つのフェライト層を設けてもよい。なお、金属粉末310、ポリマー320及び熱伝導性フィラー330を含む材料からなるペーストを所定の厚さに印刷してボディ300を形成する場合、印刷の最中にフェライト層を形成してもよく、ペーストを枠に入れて圧着する場合であっても、フェライト層をこれらの間に入れて圧着することができる。いうまでもなく、フェライト層は、ペーストを用いて形成してもよく、ボディ300を印刷するときに、軟磁性物質を塗布してボディ300内にフェライト層を形成してもよい。このように、ボディ300に少なくとも一つのフェライト層を設けることにより、パワーインダクターの磁性率を向上させることができる。
【0066】
また、少なくとも一方の面にコイルパターン200がそれぞれ形成された少なくとも2枚以上の基板100がボディ300内に離間して設けられ、互いに異なる基板100の上に形成されたコイルパターン200がボディ300の外部の接続電極(図示せず)によって接続されてもよい。従って、一つのボディ300内に複数のコイルパターンを形成し、これにより、パワーインダクターの容量を増やすことができる。すなわち、ボディ300の外部の接続電極を用いて互いに異なる基板100の上にそれぞれ形成されたコイルパターン200を直列に接続することができ、これにより、同じ面積内のパワーインダクターの容量を増やすことができる。
【0067】
いうまでもなく、少なくとも2枚の基板100が水平方向に配列され、その上部にそれぞれ形成されたコイルパターン200が互いに異なる外部電極400によって接続されることにより、複数のインダクターが並べて設けられてもよく、これにより、一つのボディ300内に二つ以上のパワーインダクターが実現されてもよい。すなわち、一つのボディ300内に複数のインダクターが実現されてもよい。
【0068】
さらに、ボディ300内に少なくとも一方の面の上にコイルパターン200がそれぞれ形成された複数枚の基板100がボディ300の厚さ方向(すなわち垂直方向)に積み重ねられるか、又はこれと直交する方向(すなわち水平方向)に配列されてもよい。また、複数枚の基板100の上にそれぞれ形成されたコイルパターン200は、外部電極400と直列又は並列に接続されてもよい。すなわち、複数枚の基板100のそれぞれに形成されたコイルパターン200が互いに異なる外部電極400に接続されて並列に接続されてもよく、複数枚の基板100のそれぞれに形成されたコイルパターン200が同じ外部電極400に接続されて直列に接続されてもよい。直列に接続される場合、それぞれの基板100の上にそれぞれ形成されたコイルパターン200がボディ300の外部の接続電極によって接続されてもよい。従って、並列に接続される場合、複数の基板100のそれぞれに二つの外部電極400が必要であり、直列に接続される場合、基板100の数を問わずに二つの外部電極400が必要であり、一つ以上の接続電極が必要である。例えば、3枚の基板100の上に形成されたコイルパターン200が外部電極400に並列に接続される場合は、6つの外部電極400が必要であり、3枚の基板100の上に形成されたコイルパターン200が直列に接続される場合は、二つの外部電極400及び少なくとも一つの接続電極が必要である。なお、並列に接続される場合、ボディ300内に複数のコイルが設けられ、これに対し、直列に接続される場合は、ボディ300内に一つのコイルが設けられる。
【0069】
本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化可能である。すなわち、上記の実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に本発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明の範囲は本願の特許請求の範囲によって理解されるべきである。