特許第6692477号(P6692477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許6692477-電池モジュール 図000002
  • 特許6692477-電池モジュール 図000003
  • 特許6692477-電池モジュール 図000004
  • 特許6692477-電池モジュール 図000005
  • 特許6692477-電池モジュール 図000006
  • 特許6692477-電池モジュール 図000007
  • 特許6692477-電池モジュール 図000008
  • 特許6692477-電池モジュール 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6692477
(24)【登録日】2020年4月16日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20200427BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20200427BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/34 B
   H01M2/10 M
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-100944(P2019-100944)
(22)【出願日】2019年5月30日
(65)【公開番号】特開2020-47580(P2020-47580A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2019年5月30日
(31)【優先権主張番号】201811076080.3
(32)【優先日】2018年9月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曾毓群
(72)【発明者】
【氏名】趙豊剛
(72)【発明者】
【氏名】陳傳煉
(72)【発明者】
【氏名】項延火
(72)【発明者】
【氏名】黄仰枝
【審査官】 宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−032560(JP,A)
【文献】 特開2015−069724(JP,A)
【文献】 特開2014−220103(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/151646(WO,A1)
【文献】 特開2008−192486(JP,A)
【文献】 特開2008−287993(JP,A)
【文献】 特開2014−110233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20− 2/34
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールであって、
互いに直列接続された複数の電池セルと、
前記電池モジュールの出力端に設けられた電極出力接続シートと、
複数の前記電池セルのうちの、隣り合わない電池セルをそれぞれ接続する複数のジャンパー電極接続シートと、
複数の前記電池セルのうちの、隣り合う前記電池セルを接続する隣接電極接続シートとを備え、
前記電極出力接続シート、前記ジャンパー電極接続シート及び前記隣接電極接続シートにより、前記電池モジュールに給電経路が形成され、
前記複数のジャンパー電極接続シートは、少なくとも2つずつが互いに絶縁されて部分的に重ねるように貼り合わせて設置されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記複数のジャンパー電極接続シートは、上ジャンパーシートと下ジャンパーシートとを備え、前記上ジャンパーシートと前記下ジャンパーシートは、互いに絶縁されて部分的に重ねるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記上ジャンパーシートと前記下ジャンパーシートとの間に絶縁具が設けられ、且つ、前記絶縁具の周縁は、前記上ジャンパーシートと前記下ジャンパーシートとの重なり部分の周縁からはみ出すことを特徴とする請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記絶縁具の周縁は、前記上ジャンパーシートと前記下ジャンパーシートとの重なり部分から2〜6mmだけはみ出すことを特徴とする請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記上ジャンパーシートは、上本体部と、前記上本体部から並行に延出する第1の上接続シート及び第2の上接続シートとを備え、前記第1の上接続シートと第2の上接続シートのうちの少なくとも1つは、前記上本体部に円弧移行で接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記下ジャンパーシートは、下本体部と、前記下本体部から並行に延出する第1の下接続シート及び第2の下接続シートとを備えることを特徴とする請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記第1の上接続シート、第2の上接続シート、第1の下接続シート及び第2の下接続シートのそれぞれの前記電池セルに向かう表面は、面一となっていることを特徴とする請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記第1の上接続シート、第2の上接続シート、第1の下接続シートおよび第2の下接続シートのそれぞれに位置決め孔が設けられ、且つ前記第1の上接続シートにおける位置決め孔と前記第1の下接続シートにおける位置決め孔とのピッチをD1、前記第2の上接続シートにおける位置決め孔と前記第2の下接続シートにおける位置決め孔とのピッチをD2としたときに、D1=D2であることを特徴とする請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記第1の上接続シートにおける位置決め孔と前記第1の下接続シートにおける位置決め孔とのピッチをD1、前記第1の上接続シートと前記第1の下接続シートとの距離をP1としたときに、D1はP1の5倍〜15倍であることを特徴とする請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記第2の上接続シートにおける位置決め孔と前記第2の下接続シートにおける位置決め孔とのピッチをD2、前記第2の上接続シートと前記第2の下接続シートとの距離をP2としたときに、D2はP2の5〜15倍であることを特徴とする請求項6に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、エネルギー貯蔵デバイスの技術分野に関し、特に電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー構造の転換に伴い、持続的に発展可能な電気エネルギーが徐々に伝統的な化石燃料に取って代わって主流のエネルギーになっている。例えば、電気自動車は次第に伝統的な燃料自動車に取って代わって、新たな発展トレンドになったため、充放電可能な電池が迅速に発展できるようになっている。
【0003】
内部で複数の電池セル間が互いに直列接続された現在の電池モジュールは、従来の電極接続シートの設置方式が電池モジュールの配置の多様性を制限し、放熱性と安全性の点で欠陥があり、電池モジュールのエネルギー密度の向上に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題を解決するために、本願は電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第1態様は、電池モジュールを提供し、当該電池モジュールは、
互いに直列接続された複数の電池セルと、
前記電池モジュールの出力端に設けられた電極出力接続シートと、
複数の前記電池セルのうちの、隣り合わない電池セルをそれぞれ接続する複数のジャンパー電極接続シートと、
複数の前記電池セルのうちの、隣り合う前記電池セルを接続する隣接電極接続シートとを備え、
前記電極出力接続シート、前記ジャンパー電極接続シート及び前記隣接電極接続シートにより、前記電池モジュールに給電経路が形成され、
前記複数のジャンパー電極接続シートは、少なくとも2つずつが互いに絶縁されて部分的に重ねるように貼り合わせて設置されている。
【0006】
好ましくは、前記複数のジャンパー電極接続シートは、上ジャンパーシートと下ジャンパーシートとを備え、前記上ジャンパーシートと前記下ジャンパーシートは、互いに絶縁されて部分的に重ねるように配置されている。
【0007】
好ましくは、前記上ジャンパーシートと前記下ジャンパーシートとの間に絶縁具が設けられ、且つ、前記絶縁具の周縁は、前記上ジャンパーシートと前記下ジャンパーシートとの重なり部分の周縁からはみ出す。
【0008】
好ましくは、前記絶縁具の周縁は、前記上ジャンパーシートと前記下ジャンパーシートとの重なり部分から2〜6mmだけはみ出す。
【0009】
好ましくは、前記上ジャンパーシートは、上本体部と前記上本体部から並行に延出する第1の上接続シート及び第2の上接続シートとを備え、前記第1の上接続シートと第2の上接続シートのうちの少なくとも1つは、前記上本体部に円弧移行で接続されている。
【0010】
好ましくは、前記下ジャンパーシートは、下本体部と、前記下本体部から並行に延出する第1の下接続シート及び第2の下接続シートとを備える。
【0011】
好ましくは、前記第1の上接続シート、前記第2の上接続シート、前記第1の下接続シート及び前記第2の下接続シートのそれぞれの前記電池セルに向かう表面は、面一となっている。
【0012】
好ましくは、前記第1の上接続シート、前記第2の上接続シート、前記第1の下接続シート及び前記第2の下接続シートのそれぞれに位置決め孔が設けられ、且つ前記第1の上接続シートにおける位置決め孔と前記第1の下接続シートにおける位置決め孔とのピッチをD1、前記第2の上接続シートにおける位置決め孔と前記第2の下接続シートにおける位置決め孔とのピッチをD2としたときに、D1=D2である。
【0013】
好ましくは、前記第1の上接続シートにおける位置決め孔と前記第1の下接続シートにおける位置決め孔とのピッチをD1、前記第1の上接続シートと前記第1の下接続シートとの距離をP1としたときに、D1はP1の5倍〜15倍である。
【0014】
好ましくは、前記第2の上接続シートにおける位置決め孔と前記第2の下接続シートにおける位置決め孔とのピッチをD2、前記第2の上接続シートと前記第2の下接続シートとの距離をP2としたときに、D2はP2の5倍〜15倍である。
【発明の効果】
【0015】
本願に係る発明は以下の有益な効果を奏することができる。
本願に提供されたこのような電池モジュールでは、複数の電池セルは、ジャンパー電極接続シート及び隣接電極接続シートにより互いに直列接続されているため、電池モジュールの配置の多様性の改善に重要な技術的サポートを提供する。
【0016】
例えば、当該電池モジュールにおける電極出力接続シートをいずれも同一側に設置する場合、電池モジュールのエネルギー密度を向上させるように、電池モジュール全体の全体サイズを小さくすることができるとともに、ジャンパー電極接続シートの長さを小さくし、電池モジュールの稼働中に、ジャンパー電極接続シートが生じる熱などを低減させて、電池モジュールの安全性を向上させる目的を達成する。
【0017】
また、ジャンパー電極接続シートの長さが小さい場合、電池モジュール全体の取り付け誤差が相対的に小さく、且つ当該電池モジュールの組立工程の実施が便利になる。なお、複数のジャンパー電極接続シートのうち、少なくとも2つが1グループとして、且つ絶縁的に貼り合わせて設置されていることにより、ジャンパー電極接続シートの取付によって電池モジュール内における余計な空間を多く占めることを防止することができ、構造のコンパクト性の向上に有利であり、さらに電池モジュールのエネルギー密度の向上に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここでの図面は、本明細書に組み込まれており、本明細書の一部を構成し、本発明に合致する実施例を示し、明細書と共に本願の原理を解釈する。
図1】本願の実施例に係る電池モジュールの1つの構造模式図である。
図2図1に示す構造の平面図である。
図3】本願の実施例に係る電池モジュールにおける一部の構造の模式図である。
図4】本願の実施例に係る電池モジュールにおける接続シート群の構造模式図である。
図5図4に示す構造の分解模式図である。
図6】本願の実施例に係る電池モジュールのもう1つの構造模式図である。
図7図6における一部の構造の模式図である。
図8】本願の実施例に係る電池単体の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に合わせて、具体的な実施例で本願をさらに詳しく説明する。
本発明の記述において、別途明示的な規定や限定がない限り、用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」は、目的の記述のみのために用いられ、相対的な重要性を指示又は示唆すると理解すべきではない。別途規定又は説明がない限り、用語「複数の」とは3つ又は3つ以上を指し、用語「接続」、「固定」などは、いずれも広義に理解すべきであり、例えば、「接続」は、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的接続、又は電気的な接続であってもよく、直接接続、中間媒介による間接接続であってもよい。当業者は、具体的な状況に応じて、上記用語が本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0020】
本明細書の説明では、本願の実施例に記載の「上」、「下」、「左」、「右」などの方位詞は、図面に示す角度で説明されると理解することが必要であり、本願の実施例を限定すると理解すべきではない。なお、上下文において、1つの素子がもう1つの素子の「上」又は「下」に接続されると説明する場合、それがもう1つの素子の「上」又は「下」に直接接続されてもよいし、仲介素子を介してもう1つの素子の「上」又は「下」に間接接続されてもよい。
【0021】
本願の実施例は、電池モジュール及び電池パック(図示せず)を提供し、前記電池パック内に当該電池モジュールを備え、当然ながら、電池パック内では、電池管理システム、電池熱管理システム、電池システム配電箱及び軟質性接続と電気インターフェースなどがさらに設置されてもよく、ここで、熱管理システムは蒸発器、送風機、風路及び温度採取機構などを備えてもよい。単一の電池パックは、その内部に、1つ又は複数の電池モジュールが設置されてもよく、これについて、実際の需要に応じて選択設定すればよい。
【0022】
以下、主に電池モジュールの構造について詳しく説明する。図1〜6に示すように、単一の電池モジュールは、フレーム(図示せず)と前記フレーム内に配置された複数の電池セル1とを備え、具体的に、図1に示すように、電池セル1は、単一の電池単体11であってもよいし、或いは、電池モジュール全体の出力電流の向上を目的とするために、電池セル1は、複数の電池単体11が並列接続されて形成された電池パックであってもよい。
【0023】
例を挙げると、図6に示すように、電池モジュール内における電池セル1は、2つの電池単体11を備えてもよく、2つの電池単体11は、まず図7に示すジャンパー電極接続シート4により並列接続された後、そして、もう1つの電池セル1に直列接続される。さらに具体的に、図8に示すように、電池単体11は、四角形状の構造であってもよく、それは極性が逆である2つの極柱111を備える。
【0024】
電池モジュールの組立中に、複数の電池セル1は、ジャンパー電極接続シート4及び隣接電極接続シート3により互いに直列接続されることができる。電池モジュール全体の電気エネルギーを出力するために、電池モジュール内には、さらに電極出力接続シート2が設置され、電極出力接続シート2が電池モジュールの出力端に設置されている。電極出力接続シート2が2つ設置されており、それぞれ総正出力極と総負出力極となる。
【0025】
ジャンパー電極接続シート4により、電極接続シートを短縮することが可能になった上で、2つの電極出力接続シート2を電池モジュール全体の同一側に設置することができるので、放熱条件の改善に有利であり、高い安全性が得られると共に、同一の実装空間内でより高いエネルギー密度を得ることもできる。
【0026】
具体的に、在電池モジュール内で複数の電池セル1の接続中に、複数の電池セル1において隣り合わずに設置された電池セル1は、ジャンパー電極接続シート4により直列接続され、隣接電極接続シート3は、隣り合って設置された2つの電池セル1を直列接続するために用いることができ、ジャンパー電極接続シート4及び隣接電極接続シート3で直列接続された複数の電池セル1における残りの2つの電池セル1は、それぞれ2つの電極出力接続シート2に接続されることにより、当該電池モジュールで給電経路が形成できることを確保する。
【0027】
ジャンパー電極接続シート4が電池モジュールのフレーム内における余計な空間を多く占めることを防止するために、図1に示すように、複数のジャンパー電極接続シート4のうち、2つずつが1グループとして、且つ絶縁的に部分的に重ねて貼り合わせて設置されることができる。
【0028】
具体的に、図3及び図4に示すように、複数のジャンパー電極接続シート4は、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42とを備え、両者は絶縁し、且つ、部分的に重ねて設置されている。これにより、複数のジャンパー電極接続シート4をいずれも電池セル1の上方に位置させることができる。また、ジャンパー電極接続シート4が重ねて貼り合わせて設置されているため、ジャンパー電極接続シート4が電池モジュール高さ方向において占める空間を最大限に低減させることが可能であり、電池モジュールが高いエネルギー密度へ発展することを促進する。上述した設置により、高いエネルギーを得ると共に、より良い発熱を得ることもできる。具体的に、同等の電流通過面積を保つ場合、上述したような構造及び設置方式を有するジャンパー電極接続シート4の全体サイズがより小さいため、電池モジュールの稼働中に生じる熱もより少ない。さらに、上述した効果を奏した上で、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42が重ねて貼り合わせて設置されているため、非常に優れた構造性が得られ、揺れや振動などによる上ジャンパーシート41及び下ジャンパーシート42の変位、変形、ひいては断裂を最大限に防止することができる。
【0029】
ジャンパー電極接続シート4が、跨がれた電池セル1と接触することによって電池モジュールで短絡が生じることを防止するために、好ましくは、図7に示すように、ジャンパー電極接続シート4上に絶縁材料で作製された保護カバーが設置されていてもよく、或いは、ジャンパー電極接続シート4と跨がれた電池セル1との間に安全セパレータが設置されてもよいため、両者が接触して電池モジュールの短絡を起こすことを防止する。
【0030】
具体的に、電極出力接続シート2、ジャンパー電極接続シート4及び隣接電極接続シート3はいずれも金属などの導電性材料で作製された構造であってもよく、好ましくは、金属銅又はアルミニウムで電極出力接続シート2、ジャンパー電極接続シート4及び隣接電極接続シート3を形成することができる。図1に示すように、ジャンパー電極接続シート4及び隣接電極接続シート3は、いずれも例えばシート状などの構造であってもよく、その厚さと長さはいずれも実際の需要に応じて柔軟に選択することができる。
【0031】
さらに、図3―5に示すように、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42との間に絶縁具5が設置されていてもよい。絶縁具5は、絶縁材料で作製することができる。これにより、重ねて設置された上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42が電気的に接続することを防止し、ジャンパー電極接続シート4が占める空間をさらに低減することができる。上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42が絶縁する信頼性を向上させるためである。
【0032】
好ましくは、図3に示すように、絶縁具5の周縁が上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42との重なり部分の周縁からはみ出すように設置することができる。これにより、電池モジュールが稼働中に、電池モジュールの振動などによって上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42とが、相対変位が生じて電気的に接続する問題を防止することができる。絶縁具5の周縁が上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42との重なり部分からはみ出す具体的なサイズについて、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42の具体的なサイズに応じて柔軟に選択すればよい。具体的に、絶縁具5の周縁は、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42との重なり部分から2〜6mmだけはみ出してもよく、より好ましくは、前記値は5mmであってもよい。これにより、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42との間に良好な絶縁効果を有すると保証できるとともに、電池モジュールの稼働中に温度の変化によって一定の量の凝縮水が生じても、絶縁具5の周縁が上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42との重なり部分から5mmだけはみ出すため、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42との間の絶縁状態を崩すことがなく、凝縮水が絶縁具5の辺縁で凝結して溜まって落下することが可能となる。
【0033】
好ましくは、熱圧着又は粘結プロセスにより、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42をいずれも絶縁具5に貼り合わせて一体的なジャンパーシートのシート群を形成することができる。これにより、電池単体11の膨張によって上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42が位置ずれて、絶縁具5を動かして、さらに上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42の間における絶縁が無効になることを回避することができると共に、電池モジュールを組み立てる際に、上述した一体的なジャンパーシートのシート群の場合、電池モジュールの組立効率を向上させて、電池モジュールで取り付け誤差が生じる確率を低下させることもできる。さらに具体的に、絶縁具5は、フレキシブルな絶縁材料で作製することができる。好ましくは、絶縁具5は、弾性率≧3000MPaを満たすことにより、電池モジュールの稼働中に、絶縁具5は、電池セル1の膨張によってジャンパー電極接続シート4と極柱111との接続が無効になることを防止することもできる。より具体的に、絶縁具5は、PETプラスチックを用いて、一体射出成形の方式で形成することができる。
【0034】
より具体的に、上ジャンパーシート41は、上本体部410、第1の上接続シート411及び第2の上接続シート412を備えてもよく、第1の上接続シート411と第2の上接続シート412はいずれも上本体部410に接続され、第1の上接続シート411と第2の上接続シート412は、それぞれ異なる電池セル1の極柱111に接続されている。上本体部410により、2つの電池セル1が電気的に接続されるようになる。第1の上接続シート411と第2の上接続シート412の一致性を向上させるために、両者は、上本体部410の同一側から並行に延出し、且つ、両者は上本体部410と延出方向が異なり、即ち第1の上接続シート411と第2の上接続シート412は上本体部410に対して折り曲げて設けられてもよい。電池モジュールが稼働中に振動及び膨張などの問題が生じることが避けられないと考慮すると、好ましくは、図3に示すように、第1の上接続シート411と第2の上接続シート412が、それぞれ上本体部410とのなす角は円弧状の過渡形状に設置されており、これによって、両者の適応性がより強く、且つ上ジャンパーシート41全体の構造強度がより強く、断裂しにくい。
【0035】
より具体的に、第1の上接続シート411と第2の上接続シート412のうちの少なくとも一方が円弧状に折り曲げるように上本体部410から延出してもよい。円弧状の円弧角度とサイズはいずれも実際の状況に応じて柔軟に変更してもよい。これにより、上ジャンパーシート41が占める空間をさらに減少させることもできれば、上ジャンパーシート41全体の抗折力をさらに向上させることもできる。また、このような構造に関する特徴により、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42を区分けすることもでき、ジャンパーシート41及び下ジャンパーシート42の取り付け中に、フールプルーフ(foolproof)を防止する効果を奏する。
【0036】
さらに、下ジャンパーシート42は、下本体部420、第1の下接続シート421及び第2の下接続シート422を備えてもよく、第1の下接続シート421と第2の下接続シート422はいずれも下本体部420の同一側から並行に延出してもよい。これにより、サイズが同じである条件で、第1の下接続シート421及び第2の下接続シート422の電流通過面積を最大化することができる。第1の下接続シート421と第2の下接続シート422は、それぞれ異なる電池セル1に極柱111に接続されてもよく、下本体部420により2つの電池セルが電気的に接続されるようになる。
【0037】
ジャンパー電極接続シート4における、極柱111に接続されるための部分がいずれも極柱とうまく貼り合わせることが可能である効果を保証するために、好ましくは、第1の上接続シート411、第2の上接続シート412、第1の下接続シート421及び第2の下接続シート422の四者が電池セル1の表面に向かって面一となるようにしてもよい。上記四者がいずれも極柱111の表面と大きな貼り合わせ面積を有するを保証する。具体的に、折り曲げることにより、上記四者の、極柱111に向かう表面が同一の平面内に位置するようにすることができる。上ジャンパーシート41が下ジャンパーシート42の上方に位置するため、第1の上接続シート411及び第2の上接続シート412を折り曲げてもよい。例えば、第1の上接続シート411と第2の上接続シート412は、円弧状で折り曲げるように上本体部410から並行に延出したもよい。なお、電池モジュールが一定の期間で稼働した後、電池モジュールの振動と電池単体11の膨張及び他の原因によって、当該電池モジュールにおける第1の上接続シート411、第2の上接続シート412、第1の下接続シート421及び第2の下接続シート422四者のうちの1つ又は複数が変位し、又は折曲がることがあり、これは、本願の設計構想に矛盾せず、本願の保護範囲内に含まれる。また、加工精度及び測定機器の誤差などの要因を考慮すると、当該電池モジュールの生産加工中に、第1の上接続シート411、第2の上接続シート412、第1の下接続シート421及び第2の下接続シート422の四者間の平面度が平面度≦1mmを満たせば、前記四者が面一となっているとみなすことができる。
【0038】
さらに、図3に示すように、第1の上接続シート411、第2の上接続シート412、第1の下接続シート421及び第2の下接続シート422の四者のそれぞれに位置決め孔4111が設けられてもよい。電池モジュールの組立中に、位置決め孔4111でジャンパー電極接続シート4と極柱111とを位置決めすることができるとともに、位置決め孔4111が設けられることにより、溶接中に、極柱111とジャンパー電極接続シート4との溶融の効果がより良く、両者間の接続の安定性を向上させることができる。好ましくは、位置決め孔4111は円孔である。
【0039】
さらに、図3に示すように、第1の上接続シート411における位置決め孔4111と第1の下接続シート421における位置決め孔4111とのピッチをD1、第2の上接続シート412における位置決め孔4111と第2の下接続シート422における位置決め孔4111とのピッチをD2としたときに、位置決め孔4111による位置決めの精度をより正確とし、且つ複数のジャンパー電極間の一致性を向上させるために、好ましくは、D1=D2であるとしてもよい。
【0040】
さらに、図3に示すように、第1の上接続シート411と第1の下接続シート421との距離をP1としたときに、電池モジュールの稼働中に、振動や膨張などの問題が生じることが避けられないため、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42とが相対的に移動することを引き起こす。上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42とが相対的に移動しても、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42とが接触することや、両者間の距離が小さすぎることがないように、好ましくは、D1はP1の5倍〜15倍であってもよい。これにより、上ジャンパーシート41と下ジャンパーシート42とがいずれも所望の電流通過能力を有すると保証することができる。同様に、第2の上接続シート412と第2の下接続シート422との距離をP2としたときに、対応的に、D2はP2の5〜15倍であってもよい。
【0041】
さらに、当該電池モジュールにおける2つの電極出力接続シート2がいずれも電池モジュールの同一側に設置されている場合、図1に示すように、2つの電極出力接続シート2がいずれも電池モジュールの長さ方向における同一側に設置されている。当該電池モジュールの組み立て中に、2つの電極出力接続シート2のある位置に取り付けるための空間を予め確保しておけばよく、この予め確保された空間は、モジュールの既存のフレーム構造(例えば、端板)を利用して形成することができる。電極出力接続シート2が高さ方向又は幅方向における同一側に設置される場合に比べ、当該電池モジュールを取り付けるのに必要な空間を減少させることができるとともに、電池モジュールのフレームのサイズが同じである場合、当該電池モジュールにおける2つの電極出力接続シート2が同一側に位置することにより、電池モジュールが押圧を受けるとき、電極出力接続シート2がフレームとの距離が小さいため、接触することによる電池モジュールでの短絡の問題を防止することができる。なお、電池モジュールの長さ方向は、図1に示す方向Xであってもよく、対応的に、電池モジュールの幅方向と高さ方向は、図1に示す方向YとZである。
【0042】
また、当該電池モジュールにおける2つの電極出力接続シート2がいずれも当該電池モジュールの同一側に設置されている場合、電池モジュールのエネルギー密度を向上させるように、電池モジュール全体の全体サイズを小さくすることができると共に、ジャンパー電極接続シート4の長さを小さくすることもでき、電池モジュールの稼働中に、ジャンパー電極接続シート4が生じる熱などを低減させて、電池モジュールの安全性を向上させる目的を達成する。また、ジャンパー電極接続シート4の長さが小さいとき、電池モジュール全体の取り付け誤差が相対的に小さく、且つ、当該電池モジュール組立工程の実施が便利になる。
【0043】
ジャンパー電極接続シート4により電池セル1を接続する過程で、ジャンパー電極接続シート4は、1つの電池セル1を跨いでもよいし、2つ、3つ又はそれより多い電池セル1を跨いでもよく、ここで限定されない。好ましくは、電池モジュールのグループ化の過程で、ジャンパー電極接続シート4は、奇数個の電池セル1を跨ぐように、隣接電極接続シート3と共に、複数の電池セル1を接続することができ、或いは、ジャンパー電極接続シート4は、偶数個の電池セル1を跨ぐように、隣接電極接続シート3と共に、複数の電池セル1を接続することができる。これについて、電池モジュールの生産プロセスで、需要に応じて実際に選択しようとする接続方式を特定することができる。
【0044】
好ましい1つの具体的な実施形態としては、図1に示すように、ジャンパー電極接続シート4は、1つの電池セル1を介して、隣接電極接続シート3と共に複数の電池セル1を接続して、給電経路を形成し、このような接続方式で電池モジュールをグループ化するとき、操作が簡単であり、且つ各ジャンパー電極接続シート4と各隣接電極接続シート3の構造が簡単であり、生産と組立が便利になる。
【0045】
さらに、複数のジャンパー電極接続シート4は、長さ又は形状が同じであるため、電池モジュール内における部品の標準化を向上させ、さらにジャンパー電極接続シート4の加工の困難性を低下させ、ジャンパー電極接続シート4と電池セル1との組立の困難性を低下させる。
【0046】
好ましくは、2つの電極出力接続シート2は、同一方向に延在するように設置されてもよく、図1に示すように、2つの電極出力接続シート2はいずれも電池モジュールの長さ方向に延在してもよい。これにより、電池モジュールの使用中に、電池モジュールが同時に前記長さ方向以外の他の複数の方向からの押圧を受けても、このような構造を有する電池モジュールにおける電極出力接続シート2が電池モジュールのフレームに接触して電池モジュールで短絡を起こすこともない。
【0047】
上述したのは、本願の好適な実施例に過ぎず、本願を限定するものではない。当業者にとって、本願に対して、各種の変更と変形が可能である。本願の精神及び原理の範囲内でなされたいかなる修正、等価な置換、改良などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0048】
1 電池セル
11 電池単体
111 極柱
2 電極出力接続シート
3 隣接電極接続シート
4 ジャンパー電極接続シート
41 上ジャンパーシート
410 上本体部
411 第1の上接続シート
4111 位置決め孔
412 第2の上接続シート
42 下ジャンパーシート
420 下本体部
421 第1の下接続シート
422 第2の下接続シート
5 絶縁具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8