(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
両側縁に一対の起立部が形成された基板と、前記基板に沿って配置されかつ一対の前記起立部の間に保持される吸音材と、前記吸音材に沿って配置されかつ両側縁に一対の係合部が形成された有孔板と、を有し、
一対の前記係合部の内側に一対の前記起立部が外向きに圧接され、前記有孔板に張力が付与されていることを特徴とする吸音パネル。
両側縁に一対の起立部が形成された基板と、吸音材と、両側縁に一対の係合部が形成された有孔板と、を用い、前記吸音材を、前記基板に沿って配置して一対の前記起立部の間に保持し、前記有孔板を、前記吸音材に沿って配置して一対の前記係合部および前記起立部により前記基板に装着するとともに、
前記有孔板を前記基板に装着する際に、一対の前記係合部の内側に一対の前記起立部を外向きに圧接させ、前記有孔板に張力が付与することを特徴とする吸音パネル製造方法。
【背景技術】
【0002】
建築物、橋梁構造物、トンネル構造物などの天井面や壁面には、内部騒音を吸収するために吸音材が設置される。
吸音材としては、吸音性の高いグラスウールやポリエステル発泡体などの多孔質素材が用いられる。吸音材は、それ自体に剛性がないため、表面側(吸音面側)にパンチングメタルなどの開口率の高い有孔板を重ね合わせてパネル化され、天井面や壁面に沿って配置される。建物等の内部騒音は、有孔板の開口から取り込まれ、多孔質吸音材に吸音される(特許文献1参照)。
近年の吸音パネルでは、吸音材および有孔板のユニット化が進められ、例えばアルミ材やステンレス材などの板材を加工し、周縁に起立部を有する偏平箱状の基板を形成し、基板の起立部の内側に吸音材を収容するとともに、吸音材を覆う有孔板の周縁を起立部で支持する構造が採用されている。吸音パネルとしては、例えば幅500〜1000mm程度、長さ1000〜2000mm程度の大きさに形成される。
ところで、吸音パネルは、天井面に設置した場合、パンチングメタルなどの有孔板が自重および吸音材の重量を受けて、下向きに撓むことがある。また、壁面に設置した場合でも、パンチングメタルの下半分に吸音材の重量がかかり、手前側に撓むことがある。
このような撓みを防止するために、従来の吸音パネルでは、有孔板の板厚を1mm程度としていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、吸音パネルに対しても、軽量化や材料削減によるコスト低減が求められている。
しかし、吸音パネルのうち有孔板においては、前述した撓みの防止に十分な板厚が要求されている。このような制約があるため、有孔板の薄肉化による吸音パネルの軽量化が難しく、有孔板の材料削減によるコスト低減も難しかった。また、有孔板を薄肉化できないことで、金属加工(プレス加工、パンチング加工)の簡素化も難しかった。
【0005】
本発明の目的は、有孔板の撓みを抑制して有孔板を薄肉化できる吸音パネルおよび吸音パネル製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吸音パネルは、両側縁に一対の起立部が形成された基板と、前記基板に沿って配置されかつ一対の前記起立部の間に保持される吸音材と、前記吸音材に沿って配置されかつ両側縁に一対の係合部が形成された有孔板と、を有し、一対の前記係合部の内側に一対の前記起立部が外向きに圧接され、前記有孔板に張力が付与されていることを特徴とする。
【0007】
このような本発明では、一対の係合部の内側に一対の起立部を外向きに圧接させること、つまり、一対の係合部を一対の起立部の外側に内向きに圧接させることで、有孔板に張力が付与された状態で有孔板が基板に支持され、各々の間に吸音材が保持される。
有孔板においては、係合部と起立部との圧接により一対の係合部が互いに離れる向きに付勢され、外側へ押し拡げられる。これにより、有孔板に張力が与えられて面交差方向の変位、つまり自重および吸音材の重量による撓みが抑制される。
このように、基板に支持された有孔板においては、吸音材の重量がかかっても、有孔板に付与された張力により撓みを抑制することができる。その結果、有孔板を薄くすることができ、軽量化およびコスト低減が可能となる。例えば、従来板厚1mmであった有孔板を、0.4mm程度まで薄肉化することができる。
【0008】
本発明の吸音パネルにおいて、一対の前記起立部の外側に形成されて前記基板の本体から離れるにつれて互いに離れるように傾斜した外側傾斜面と、一対の前記係合部の内側に形成されて前記有孔板の本体から離れるにつれて互いに近づくように傾斜した内側傾斜面と、の少なくともいずれかを有することが好ましい。
このような本発明では、基板の外側傾斜面と有孔板の係合部との圧接、あるいは有孔板の内側傾斜面と基板の起立部との圧接により、有孔板が基板に支持される。この際、有孔板が、自重および吸音材の重量により基板から離れる向きに変位することで、外側傾斜面と係合部との圧接し、および内側傾斜面と起立部との圧接がより強化され、有孔板に対する張力を強化することができる。これにより、簡単な構造で撓みの防止が促進され、さらに強い圧接が得られることで、外れ止めの機能およびがたつき防止の機能を得ることができる。
【0009】
本発明の吸音パネルにおいて、一対の前記係合部は、それぞれ前記有孔板の本体から離れた先端部が外側から一対の前記起立部に圧接され、一対の前記係合部に前記先端部が互いに離れる向きの曲げモーメントが付与されていることが好ましい。
このような本発明では、係合部が形成された有孔板の両端縁は、その先端部までのレバー長に応じてそれぞれ曲げモーメントを受け、有孔板の本体はその両端縁の間の中間部が持ち上げられる。その結果、基板に支持された有孔板においては、吸音材の重量がかかっても、係合部による有孔板の中間部を持ち上げる力で負担荷重が相殺され、これによっても有孔板の撓みを抑制することができる。
【0010】
本発明の吸音パネルにおいて、一対の前記起立部は、前記基板の本体から離れた先端部に前記基板に沿った方向に延びる延出部を有することが好ましい。
このような本発明では、起立部の剛性を高めて有孔板の支持性能を高めることができる。すなわち、起立部が基板の一対の辺縁に沿って延びており、同辺縁と交差する他の辺縁に設置された梁に接続される構造とした際に、係合部に対する反力により起立部には内向きの撓みが生じる。起立部の梁に近い部分では、梁により撓みを生じる力を負担できるが、梁から離れた起立部の中間部では起立部の剛性が十分でないと、撓みの変形が顕在化する。これに対し、一対の起立部に基板に沿った方向の延出部を形成することで、起立部の剛性を高め、これにより有孔板の支持性能を高めることができる。
【0011】
本発明の吸音パネル製造方法は、両側縁に一対の起立部が形成された基板と、吸音材と、両側縁に一対の係合部が形成された有孔板と、を用い、前記吸音材を、前記基板に沿って配置して一対の前記起立部の間に保持し、前記有孔板を、前記吸音材に沿って配置して一対の前記係合部および前記起立部により前記基板に装着するとともに、前記有孔板を前記基板に装着する際に、一対の前記係合部の内側に一対の前記起立部を外向きに圧接させ、前記有孔板に張力が付与することを特徴とする。
このような本発明の製造方法では、前述した本発明の吸音パネルで説明した通りの効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、有孔板の撓みを抑制して有孔板を薄肉化できる吸音パネルおよび吸音パネル製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、吸音パネル1は、両側縁に一対の起立部11が形成された基板10と、両側縁に一対の係合部21が形成された有孔板20とを有する。基板10と有孔板20との間には、吸音材30が設置されている。
吸音材30は、吸音性の高いグラスウールやポリエステル発泡体などの多孔質素材である。吸音材30は、基板10の下面に沿って一対の起立部11の間に収容され、その下面側を有孔板20で覆うことで、基板10と有孔板20との間の空間に充填される。吸音材30の重量は、下面側の有孔板20で負担される。
【0015】
基板10は、2枚の鋼製の折板材(外板12および内板13)を貼り合わせて形成される。
図2において、外板12は、両側縁が前述した一対の起立部11とされ、中間部には起立部11と平行に複数の溝部121が形成されている。
内板13は、両端に上向きの縁部131が形成され、この縁部131を介して外板12の内側面に当接され、溶接などで固定されている。
縁部131の立ち上がり高さは、外板12の溝部121の内側迫り出し寸法に合わせられ、内板13の中間部と複数の溝部121とは互いに当接され、溶接などで固定されている。
基板10は、外板12と内板13とを貼り合わせることで起立部11の延伸方向に連続した複数の偏平な箱状構造が形成され、同延伸方向に十分な剛性が確保される。
【0016】
基板10は、起立部11の延伸方向の両端にそれぞれ梁材14を有する。
図3において、梁材14は、断面C字状の鋼材であり、上側面を内板13に当接され、溶接などで固定されている。
基板10は、両端一対の梁材14によって幅方向つまり起立部11と交差方向の剛性が確保される。
従って、基板10においては、梁材14により幅方向の剛性が確保され、前述した箱状構造により起立部11の延伸方向の剛性が確保される。その結果、基板10には、作業者が歩行可能な十分な強度が確保される。
基板10を設置する際には、梁材14から内板13および外板12を貫通するボルト15により、設置対象の梁16に固定される。
【0017】
図1および
図2に戻って、有孔板20は、両側縁に係合部21を有し、交差方向の辺縁には端縁部22が形成されている。有孔板20は、いわゆるパンチングメタルであり、係合部21および端縁部22を除く全面に多数の孔(一部図示省略)が開口されている。
有孔板20は、両側縁の係合部21を基板10の両側の起立部11に係合させることで、基板10の下面側に装着されて吸音材30を保持する。
基板10の起立部11は、外板12の両側縁から下方に延び、段差で凹んだのち先端に向けて外側(一対の起立部11が互いに離れる側)へ傾斜され、その外側の表面が外側傾斜面112とされている。
起立部11の先端縁には、全長にわたって内側(一対の起立部11が向かい合う側)に延出する延出部111が形成されている。
【0018】
有孔板20の係合部21には、それぞれ起立部11が内側から外向きに圧接され、一対の係合部21が互いに反対向きに付勢されることで、有孔板20に張力T201(
図4および
図5参照)が付与される。
係合部21は、有孔板20の両端縁から上向きに傾斜して立ち上がっており、その内側の表面が内側傾斜面212とされている。係合部21の傾斜は、起立部11の傾斜より僅かにきつく形成され、有孔板20が自重により下向きに付勢されることで、係合部21はその先端部211で外側傾斜面112に圧接され、前述した有孔板20の張力T201が付与されるとともに、係合部21には曲げモーメントM21(
図4および
図5参照)が付与される。
【0019】
本実施形態では、次のようにして吸音パネル1を組み立てる。
先ず、前述した外板12、内板13および梁材14を組み立てて基板10を製造するとともに、有孔板20を製造し、さらに吸音材30を準備しておく。
次に、基板10の下面側(起立部11が起立する側)に吸音材30を設置する。この際、基板10の下面側を上向きに載置し、基板10の上方から起立部11の間の表面に吸音材30を敷いて行くことで作業を容易にできる。
【0020】
続いて、基板10の下面側に有孔板20を装着する。基板10に対する有孔板20の装着は、両側一対の係合部21が起立部11の外側に係合することで行われる。従って、基板10装着にあたっては、有孔板20の係合部21および基板10の起立部11を弾性変形させる操作を行う。
具体的には、先ず、有孔板20を基板10の下面側に配置し、有孔板20の一方の係合部21を、対向する基板10の起立部11の外側に係合させる。次に、有孔板20の反対側の係合部21を、対向する基板10の起立部11の外側へと引き出して弾性変形させたうえ、起立部11の外側面に係合させる。
【0021】
図4において、有孔板20の一方の係合部21を基板10に係合させた状態で、反対側の係合部21を対向する起立部11の外側へと引っ張ることで、一対の係合部21にはそれぞれ外向き(互いに離れる向き)の力F21がかかり、一対の係合部21の先端部211はそれぞれ外向きに拡げられる。同時に、基板10においては、一対の起立部11にそれぞれ内向き(互いに近づく向き)の力F11がかかり、一対の起立部11の先端はそれぞれ内向きに変形される。その結果、一対の係合部21の先端部211は、起立部11の先端を乗り越えて外側面に当接した状態とされる。両側の先端部211が、それぞれ起立部11の外側面に当接することで、有孔板20が基板10に装着される。
【0022】
基板10に装着された有孔板20においては、両側の係合部21に互いに離れる向きの力F21を受けることで、有孔板20に張力T201が与えられて、吸音材30の荷重などによる面交差方向の撓みが抑制される。
さらに、有孔板20においては、一対の係合部21に起立部11からの力F21が維持されており、係合部21の基端部(有孔板20の本体と接続される部分)には曲げモーメントM21がかかる。
図5に示すように、有孔板20において、その両側に曲げモーメントM21がかかることで、有孔板20の中間部201では上向きに変位する力F201が生じる。有孔板20には、前述した通り吸音材30の荷重がかかるが、この力F201があることで吸音材30の荷重F30を負担することができ、有孔板20の中間部201が下方へ変形することを防止できる。
このように、本実施形態においては、有孔板20に付与される張力T201により、有孔板20の撓みが抑制されるとともに、両側の曲げモーメントM21によって有孔板20の撓みが抑制が強化される。
【0023】
前述した有孔板20の吸音材30の荷重による変形防止に関して、中間部201に上向きの力F201を生じさせる曲げモーメントM21は、基板10の起立部11からの力F21によるものであった。ここで、基板10の起立部11は、その延伸方向の位置により曲げ剛性および捩り剛性が変化することがある。
図6において、基板10は起立部11の延伸方向の両端に梁材14を有し、起立部11においても延伸方向の両端で十分な剛性(曲げおよび捩り)が得られている。ただし、起立部11の中間部においては、梁材14から離れるに従って剛性が低下し(
図6下段のグラフK2参照)、撓みおよび捩りの変形が生じる(
図6の2点鎖線参照)。
【0024】
これに対し、本実施形態の起立部11には、その全長にわたって内側(一対の起立部11が向かい合う側)に延出する延出部111が形成されており、起立部11の断面二次モーメントが改善されることで延長方向の剛性変化が緩和されている(
図6下段のグラフK1参照)。
その結果、起立部11の中間部での変形が抑制され、有孔板20の係合部21に得られる曲げモーメントM21の延長方向の変動が抑制され、有孔板20において中間部201が下方へ変形することを確実に防止できる。
【0025】
上述した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、一対の係合部21の内側に一対の起立部11を外向きに圧接させること、つまり、一対の係合部21を一対の起立部11の外側に内向きに圧接させることで、有孔板20に張力が付与された状態で有孔板20が基板10に支持され、各々の間に吸音材30を保持することができる。
有孔板20においては、係合部21と起立部11との圧接により一対の係合部21の先端部211が互いに反対向きに付勢され、外側へ押し拡げられる。これにより、有孔板に張力が与えられて面交差方向の変位、つまり自重および吸音材30の重量による撓みが抑制される。
【0026】
このように、基板10に支持された有孔板20においては、吸音材30の重量(F30)がかかっても、有孔板20に付与された張力により撓みを抑制することができる。その結果、有孔板20を薄くすることができ、軽量化およびコスト低減が可能となる。例えば、従来板厚1mmであった有孔板20を、0.4mm程度まで薄肉化することができる。
【0027】
本実施形態では、一対の起立部11は、各々の外側面が、基板10の本体から離れるにつれて(上部の基部から下部の先端に向けて)互いに離れる外側傾斜面112とされている。このため、起立部11の外側傾斜面112に圧接する係合部21の先端部211が、外側傾斜面112に沿って基板10の本体側へ付勢され、簡単な構造で外れ止めの機能およびがたつき防止の機能を得ることができる。
【0028】
本実施形態において、一対の係合部21は、それぞれ有孔板20の本体から離れた先端部211が外側から一対の起立部11に圧接され、一対の係合部21に先端部211が互いに離れる向きの曲げモーメントM21が付与されている。
これにより、係合部21が形成された有孔板20の両端縁は、その先端部211までのレバー長に応じてそれぞれ曲げモーメントM21を受け、有孔板20の本体はその両端縁の間の中間部が持ち上げられる(
図4および
図5の力F201参照)。その結果、基板10に支持された有孔板20においては、吸音材30の重量がかかっても、係合部21による有孔板20の中間部を持ち上げる力F201で負担荷重が相殺され、これによっても有孔板20の撓みを抑制することができる。
【0029】
本実施形態では、一対の係合部21は、起立部11の外側傾斜面112に沿うように傾斜された内側傾斜面212とされている。このため、一対の起立部11および係合部21が互いに略平行となって互いの隙間が最小になり、全体の小型化が図れる。この場合でも、若干の傾斜角度の差を設けることで、係合部21の先端部211を起立部11の外側傾斜面112に圧接させることができる。
これにより、有孔板20の本体から先端部211までのレバー長を確保し、所期の曲げモーメントM21を確保することができる。
【0030】
本実施形態では、一対の起立部11は、基板10の本体から離れた先端部に互いに内向きに延びる延出部111を有する。このため、起立部11の剛性を高めて有孔板20の支持性能を高めることができる。
すなわち、起立部11が基板10の一対の辺縁に沿って延びており、同辺縁と交差する他の辺縁に設置された梁材14に接続される構造とした際に、有孔板20に張力T201を生じさせるとともに係合部21に曲げモーメントM21を生じさせる力F11により、起立部11には逆向きの曲げおよび内向きの撓みが生じる。起立部11の梁材14に近い部分では、梁材14により曲げおよび撓みを生じる力を負担できるが、梁材14から離れた起立部11の中間部では、起立部11の剛性が十分でないと、曲げおよび撓みの変形が顕在化する。これに対し、一対の起立部11に内向きの延出部111を形成することで、起立部11の剛性を高め、これにより有孔板20の支持性能を高めることができる。
【0031】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前記実施形態では、起立部11に外側傾斜面112を形成するとともに、係合部21に内側傾斜面212を形成した。そして、係合部21の傾斜をややきつくすることで、係合部21の先端部211を起立部11の傾斜した外側面に係合させた。これに対し、係合部21を垂直(有孔板20の本体に対して直角)に立ち上げ、その先端を内側(一対の係合部21の向かいあう側)に延出させ、その先端を起立部11の傾斜した外側面に係合させてもよい。このような構成でも、傾斜面による外れ止めの機能およびがたつき防止の機能を得ることができるとともに、レバー長を十分にとって曲げモーメントM21を確保することができる。
【0032】
図7に示す本発明の他の実施形態においては、基板10Aの端部に起立部11Aが傾斜して形成され、その外側(図中右側)が外側傾斜面112Aとされ、その先端に外向きの延出部111Aが形成されている。一方、有孔板20Aの端部には係合部21Aが形成されている。
ただし、本実施形態の係合部21Aは、有孔板20Aの端部から垂直に立ち上がり、先端を内向き(図中左向き)に折り返され、先端部211Aが起立部11Aの外側傾斜面112Aに圧接されている。つまり、本実施形態の係合部21Aには、
図1の実施形態のような内側傾斜面212が形成されていない。
このような本実施形態においても、基板10に対して有孔板20が図中下向きに変位することで、先端部211Aが外側傾斜面112Aに沿って外向きに変位する。従って、
図1の実施形態と同様に、張力T201および曲げモーメントM21(
図4および
図5参照)による有孔板20の撓み抑制の効果が得られる。ただし、
図1の実施形態のような内側傾斜面212が形成されていないため、起立部11Aおよび係合部21Aが重なり合う部分の厚みが、
図1の実施形態よりも大きくなる。
【0033】
図8に示す本発明の他の実施形態においては、基板10Bの端部に起立部11Bが形成され、その先端に外向き(図中右向き)の延出部111Bが形成されている。起立部11Bは垂直に形成され、その外側に
図1の実施形態のような外側傾斜面112は形成されていない。
一方、有孔板20Bの端部には垂直に立ち上がる係合部21Bが形成されている。係合部21Bの先端は内向き(図中左向き)に折り曲げられたのち、さらに先端部211Bに至る部分が下向きに折り曲げられている。下向きの部分は所定の傾斜とされ、その内側面に内側傾斜面212Bが形成されている。内側傾斜面212Bには、起立部11Bの延出部111Bが外向き(図中右向き)に圧接されている。
このような本実施形態においても、基板10に対して有孔板20が図中下向きに変位することで、延出部111Aの先端が圧接される内側傾斜面212Bが外向きに変位する。従って、
図1の実施形態と同様に、張力T201および曲げモーメントM21(
図4および
図5参照)による有孔板20の撓み抑制の効果が得られる。ただし、本実施形態においても、起立部11Bおよび係合部21Bが重なり合う部分の厚みが、
図1の実施形態よりも大きくなる。
【0034】
前記実施形態では、起立部11に延出部111を設けて起立部11の剛性を高めたが、起立部11に有孔板20を支持するのに十分な剛性が得られていれば、延出部111は省略してもよい。
前記実施形態では、起立部11の延伸方向の両端に梁材14を設けたが、同方向の中間部に梁材14を設置してもよい。
前記実施形態において、基板10は、外板12、内板13および梁材14を組み立てられるものに限らず、例えば各部が一体に形成されていてもよく、他の補助的な構造を含むものであってもよい。有孔板20は、少なくとも両側縁に係合部21が形成されたパンチングメタルなどであればよく、開口形状は丸孔に限らず任意であり、例えば比較的大きな開口にネットを張ったような開口としてもよい。
【解決手段】吸音パネル1は、両側縁に一対の起立部11が形成された基板10と、基板10に沿って配置されかつ一対の起立部11の間に保持される吸音材30と、吸音材30に沿って配置されかつ両側縁に一対の係合部21が形成された有孔板20と、を有し、一対の係合部21の内側に一対の起立部11が外向きに圧接され、有孔板20に張力が付与されている。