(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一実施形態は、厚さを増やさないながらも光漏れを防止し表示特性を改善することができる有機発光装置を提供する。
他の実施形態は、前記有機発光装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態によれば、複数の画素を含む表示パネルと、前記表示パネルと対向する円偏光板とを含み、前記円偏光板は前記表示パネルの画素に対応する複数の位相差を有する有機発光装置を提供する。
前記表示パネルの画素は微細共振効果を有し得る。
前記表示パネルは、互いに異なる色を表示する第1画素、第2画素、および第3画素を含むことが可能であり、前記円偏光板は前記第1画素に対応し第1位相差を有する第1領域、前記第2画素に対応し第2位相差を有する第2領域、および前記第3画素に対応し第3位相差を有する第3領域を有する補償フィルムと、偏光子とを含むことが可能である。
【0005】
前記補償フィルムの位相差は、下記の関係式1または関係式2を満足することができる。
[関係式1]
R
e1>R
e2≧R
e3
[関係式2]
R
e1≧R
e2>R
e3
関係式1または関係式2において、R
e1、R
e2、およびR
e3はそれぞれ、第1位相差、第2位相差、および第3位相差である。
前記第1位相差は約125nm〜155nmとすることが可能であり、前記第2位相差は約110nm〜160nmとすることが可能であり、前記第3位相差は約110nm〜125nmとすることが可能である。
前記第1位相差は約135nm〜145nmとすることが可能であり、前記第2位相差は約130nm〜140nmとすることが可能であり、前記第3位相差は約115nm〜125nmとすることが可能である。
【0006】
前記第1画素は青色画素とすることが可能であり、前記第2画素は緑色画素とすることが可能であり、前記第3画素は赤色画素とすることが可能である。
前記補償フィルムは硬化した液晶を含むことが可能である。
前記第1画素、第2画素、および第3画素の反射率はそれぞれ、約5%以下とすることが可能である。
【0007】
前記第1画素、第2画素、および第3画素の反射色変化(Δa*b*)はそれぞれ、約5以下とすることが可能である。
前記有機発光装置の反射色変化(Δa*b*)は約5以下とすることが可能である。
前記有機発光装置は前記表示パネルと対向する封止基板をさらに含むことが可能であり、前記補償フィルムは前記封止基板の一面に付着させることが可能であり、前記偏光子は前記封止基板の他の一面に付着させることが可能である。
【0008】
他の実施形態によれば、複数の画素を含む表示パネルを準備する段階と、複数の位相差を有する円偏光板を準備する段階と、前記表示パネルと前記円偏光板を貼り合わせる段階とを含み、前記表示パネルと前記円偏光板を貼り合わせる段階で、前記表示パネルの複数の画素と前記円偏光板の複数の位相差が対応するように貼り合わせる有機発光装置の製造方法を提供する。
前記表示パネルは互いに異なる色を表示する第1画素、第2画素、および第3画素を含むことが可能であり、前記円偏光板を準備する段階は第1位相差を有する第1領域、第2位相差を有する第2領域、および第3位相差を有する第3領域を含む補償フィルムを準備する段階と、偏光子を準備する段階とを含み、前記表示パネルと前記円偏光板を貼り合わせる段階で、前記表示パネルの第1画素、第2画素、および第3画素と前記補償フィルムの第1領域、第2領域、および第3領域をそれぞれ対応するように貼り合わせることが可能である。
前記補償フィルムを準備する段階は、基材の一面に補償フィルム用液晶層を形成する段階と、前記補償フィルム用液晶層を温度を変化させながら前記第1領域、第2領域、および第3領域に分割して硬化する段階とを含むことが可能である。
前記補償フィルム用液晶層を硬化する段階は、前記補償フィルム用液晶層の上にマスクを配置し第1温度で1次露光して第1領域を形成する段階と、前記補償フィルム用液晶層の上にマスクを配置し第2温度で2次露光して第2領域を形成する段階と、前記補償フィルム用液晶層を第3温度で3次露光して第3領域を形成する段階とを含むことが可能である。
前記第2温度は前記第1温度より高くすることが可能であり、前記第3温度は前記第2温度より高くすることが可能である。
前記製造方法は、前記補償フィルム用液晶層を形成する段階の前に、前記基材の上に配向膜を形成する段階をさらに含むことが可能である。
前記基材は封止基板とすることが可能であり、前記製造方法は前記基材の他の面に前記偏光子を付着する段階をさらに含むことが可能である。
【0009】
前記補償フィルムの位相差は下記の関係式3または関係式4を満足することができる。
[関係式3]
R
e1>R
e2≧R
e3
[関係式4]
R
e1≧R
e2>R
e3
関係式3または関係式4において、
R
e1、R
e2およびR
e3はそれぞれ、第1位相差、第2位相差、および第3位相差である。
前記第1位相差は約125nm〜155nmとすることが可能であり、前記第2位相差は約110nm〜160nmとすることが可能であり、前記第3位相差は約110nm〜125nmとすることが可能である。
前記第1位相差は約135nm〜145nmとすることが可能であり、前記第2位相差は約130nm〜140nmとすることが可能であり、前記第3位相差は約115nm〜125nmとすることが可能である。
前記第1画素は青色画素とすることが可能であり、前記第2画素は緑色画素とすることが可能であり、前記第3画素は赤色画素とすることが可能である。
【発明の効果】
【0010】
反射光の光漏れを効果的に防止して表示特性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、実施形態は様々な形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分については同一図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるというとき、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなくその中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるというときには中間に他の部分がないことを意味する。
以下、図面を参照して一実施形態による有機発光装置を説明する。
図1は一実施形態による有機発光装置を概略的に示す断面図であり、
図2は
図1の有機発光装置における表示パネルの複数の画素の配置の一例を示す平面図である。
図1において、図面符号に「R」が含まれている構成要素は赤色画素Rの構成要素を意味し、図面符号に「G」が含まれている構成要素は緑色画素Gの構成要素を意味し、図面符号に「B」が含まれている構成要素は青色画素Bの構成要素を意味する。しかし、これは説明の便宜のためのものに過ぎず、これに限定されるのではない。
図1に示すように、一実施形態による有機発光装置は、表示パネル(display panel)100と、表示パネル100に対向する円偏光板225とを含む。
【0013】
まず、表示パネル100を説明する。
図2に示すように、表示パネル100は、青色を表示する青色画素B、緑色を表示する緑色画素G、および赤色を表示する赤色画素Rを含む。
青色画素B、緑色画素Gおよび赤色画素Rはフルカラー(full color)を表現するための基本画素であって、一つの群(group)を成して行および/または列に沿って交互に配置されている。
図2では一つの群に一つの赤色画素R、二つの緑色画素G、および一つの青色画素Bが含まれている構造を例示したが、これに限定されない。また、白色画素がさらに含まれ、一つの赤色画素R、一つの緑色画素G、一つの青色画素B、および一つの白色画素Wが一つの群を成すことが可能である。画素の構成および配置は多様に変形可能である。
【0014】
図1に示すように、表示パネル100は、ベース基板110、ベース基板110の上に配列されている薄膜トランジスタアレイ(thin film transistor array)Q1、Q2、Q3、および有機発光ダイオード150B、150G、150Rを含む。
ベース基板110は、ガラス基板、高分子基板、または半導体基板とすることができる。高分子基板は、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、これらの共重合体、これらの誘導体またはこれらの組み合わせとすることができ、高分子基板を用いた場合、フレキシブル素子を容易に実現することができる。
薄膜トランジスタアレイQ1、Q2、Q3は各画素ごとに配置されているスイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3および駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3を含み、スイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3および駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3は電気的に接続されている。
スイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3は制御端子、入力端子および出力端子を有し、制御端子はゲート線に接続されており、入力端子はデータ線に接続されており、出力端子は駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3に接続されている。スイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3はゲート線に印加される走査信号に応答してデータ線に印加されるデータ信号を駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3に伝達する。
駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3も、制御端子、入力端子、および出力端子を有し、制御端子はスイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3に接続されており、入力端子は駆動電圧線に接続されており、出力端子は有機発光ダイオード150B、150G、150Rに接続されている。駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3は制御端子と出力端子との間に印加される電圧によってその大きさが変わる出力電流を流す。
薄膜トランジスタアレイQ1、Q2、Q3の上には絶縁層111が形成されている。絶縁層111は、スイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3、および駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3の一部を露出する複数の接触孔を有する。
絶縁層111の上には有機発光ダイオード150B、150G、150Rが形成されている。有機発光ダイオード150B、150G、150Rは、下部電極120B、120G、120R、発光層130B、130G、130R、および上部電極140B、140G、140Rを含む。
【0015】
下部電極120B、120G、120Rは駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3の出力端子に接続されており、上部電極140B、140G、140Rは共通電圧に接続されている。
下部電極120B、120G、120Rと上部電極140B、140G、140Rとのうちのいずれか一方はアノード(anode)であり、他方はカソード(cathode)である。例えば、下部電極120B、120G、120Rをアノードとすることができ、上部電極140B、140G、140Rをカソードとすることができる。アノードは正孔(hole)が注入される電極であって、高い仕事関数(work function)を有する導電物質から形成することができ、カソードは電子(electron)が注入される電極であって、低い仕事関数を有する導電物質から形成することができる。
下部電極120B、120G、120Rと上部電極140B、140G、140Rとのうちの少なくとも一方は発光した光が外部に放出され得る透明または半透明導電物質から形成することができ、例えば、ITOまたはIZOのような導電性酸化物薄膜および/またはAg薄膜のような金属薄膜とすることができる。
【0016】
発光層130B、130G、130Rは、下部電極120B、120G、120Rと上部電極140B、140G、140Rに電圧が印加された時、赤色、緑色または青色などの光を固有に発することができる有機物質を含むことができる。
下部電極120B、120G、120Rと発光層130B、130G、130Rの間および/または上部電極140B、140G、140Rと発光層130B、130G、130Rの間には付帯層(図示せず)をさらに含むことができる。付帯層は電子と正孔の均衡をとるための正孔伝達層(hole transporting layer)、正孔注入層(hole injecting layer)、電子注入層(electron injecting layer)および電子伝達層(electron transporting layer)を含むことができるが、これに限定されるものではない。
下部電極120B、120G、120R、発光層130B、130G、130R、および上部電極140B、140G、140Rは微細共振効果(microcavity effect)を有する。微細共振効果は、発光層130B、130G、130Rから放出された光が光路長(optical length)だけ離れている反射層と(半)透明層との間で反復的に反射されることによって補強干渉によって特定波長の光を増幅することであって、微細共振の共鳴波長に相応する波長の光は強化され他の波長の光は抑制される。
微細共振効果のために、下部電極120B、120G、120Rと上部電極140B、140G、140Rのうちの一つは反射層を含むことができ、他の一つは(半)透明層を含むことができる。微細共振効果で強化される光の波長範囲は光路長によって決定することができ、光路長は例えば下部電極120B、120G、120Rと上部電極140B、140G、140Rとの間の距離によって決定することができる。即ち、赤色画素Rは赤色波長領域の光が選択的に増幅され得る光路長を有することができ、緑色画素Gは緑色波長領域の光が選択的に増幅され得る光路長を有することができ、青色画素Bは青色波長領域の光が選択的に増幅され得る光路長を有することができる。このように微細共振効果によって各画素別に特定波長領域の光を選択的に強化することによって色の純度を高めることができる。
【0017】
対向基板210は表示パネル100と対向する。対向基板210は、例えば封止基板とすることができる。封止基板はガラス、金属および/または高分子から形成することができ、高分子は例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、これらの共重合体、これらの誘導体および/またはこれらの組み合わせとすることができる。封止基板は有機発光ダイオード150B、150G、150Rを封止して外部から水分および/または酸素が流入するのを防止することができる。
円偏光板225は、表示パネル100の画素に対応する複数の位相差を有することができる。一例として、円偏光板225は赤色画素Rに対応する位相差、緑色画素Gに対応する位相差および青色画素Bに対応する位相差をそれぞれ有することができる。
【0018】
円偏光板225は、偏光子230および補償フィルム220を含む。
偏光子230は対向基板210の一面に位置する。偏光子230は光が入射する側に配置することができ、入射光の偏光を線偏光に変換させる線形偏光子(linear polarizer)とすることができる。
偏光子230は、例えば、延伸されたポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)から形成された偏光板とすることができ、偏光板は、例えば、ポリビニルアルコールフィルムを延伸し、ここにヨードまたは二色性染料を吸着させた後、ホウ酸処理および洗浄などの方法で形成することができる。
偏光子230は、例えば、高分子樹脂と二色性染料を溶融混合(melt blend)して準備された偏光フィルムとすることができ、偏光フィルムは、例えば、高分子染料を混合し高分子樹脂の溶融点以上の温度で溶融してシートとして製作する方法で形成することができる。
【0019】
補償フィルム220は、対向基板210の他の一面に配置することができ、対向基板210を挟んで偏光子230と対向することもできる。しかし、これに限定されず、対向基板210の一面に補償フィルム220と偏光子230とが順次に積層された構造とすることができ、場合によっては対向基板210を省略可能である。
補償フィルム220と対向基板210との間には配向膜21が形成されている。配向膜21は後述の補償フィルム220の液晶の配向性を制御することができ、例えば、ポリアミック酸、ポリイミドまたはこれらの組み合わせで形成することができる。配向膜21の表面はラビング(rubbing)のような物理的処理または光配向のような光処理によって形成された複数の溝を有することができる。配向膜21は場合によっては省略可能である。
補償フィルム220は硬化した液晶を含むことができる。液晶は一方向に伸びた棒(rod)状とすることができ、例えば、モノマー、オリゴマーまたは重合体とすることもできる。液晶は、例えば、正または負の複屈折値(Δn)を有することができる。複屈折値(Δn)は光軸に対して水平に進行する光の屈折率(ne)から光軸に対して垂直に進行する光の屈折率(no)を引いた値である。
【0020】
液晶は反応性メソゲン液晶(reactive mesogenic liquid crystal)とすることができ、例えば、一つ以上のメソゲンモイエティ(mesogenic moiety)と一つ以上の重合性官能基を有することができる。反応性メソゲン液晶は、例えば、一つ以上の重合性官能基を有する棒状の芳香族誘導体、プロピレングリコール1−メチル、プロピレングリコール2−アセテートおよびP1−A1−(Z1−A2)n−P2で表現される化合物(ここで、P1とP2は重合性官能基としてそれぞれ独立してアクリレート(acrylate)、メタクリレート(methacrylate)、アクリロイル(acryloyl)ビニル(vinyl)、ビニルオキシ(vinyloxy)、エポキシ(epoxy)またはこれらの組み合わせを含むことができ、A1およびA2はそれぞれ独立して1,4−フェニレン(1,4-phenylene)、ナフタレン(naphthalene)−2,6−ジイル(diyl)基またはこれらの組み合わせを含むことができ、Z1は単一結合、−COO−、−OCO−またはこれらの組み合わせを含むことができ、nは0、1または2である)のうちの少なくとも一つを含むことができ、これに限定されるものではない。
液晶は熱硬化性液晶または光硬化性液晶とすることができ、例えば、液晶は光硬化性液晶とすることができる。液晶が光硬化性液晶であるとき、光は約250nm〜400nm波長の紫外光とすることができる。
【0021】
補償フィルム220は1種または2種以上の液晶を含むことができる。
補償フィルム220は液晶を含む組成物から形成することができ、組成物は液晶以外に反応開始剤、界面活性剤、溶解補助剤および/または分散剤のような各種添加剤と溶媒を含むことができる。組成物は、例えば、スピンコーティング、スリットコーティングおよび/またはインクジェットのような溶液工程で適用することができ、補償フィルム220の屈折率などを考慮して厚さを調節することができる。
補償フィルム220は、偏光子230を通過した線偏光された光を円偏光させて位相差を発生させることができ、例えば、λ/4プレートとすることができる。λ/4プレートは550nm波長の入射光に対して、例えば、約110nm〜160nmの面内位相差(R
e:in-plane retardation)(以下、「位相差」という)を有することができる。
一方、補償フィルム220は、位相差が異なる二つ以上の領域を有することができる。
【0022】
図3は
図1の有機発光装置における位相差が異なる複数の領域を有する補償フィルムの平面図である。
図3に示すように、補償フィルム220は位相差が異なる複数の領域220B、220G、220Rを有し、複数の領域220B、220G、220Rは
図2に示された表示パネル100の複数の画素の配置にそれぞれ対応させることができる。具体的に、補償フィルム220は、青色画素Bに対応する第1領域220B、緑色画素Gに対応する第2領域220G、および赤色画素Rに対応する第3領域220Rを有する。
図3では第3領域220Rが別途に区画されていないが、赤色画素Rに対応するように区画することができる。
補償フィルム220の第1領域220B、第2領域220G、および第3領域220Rのうちの少なくとも二つは、互いに異なる位相差を有することができ、第1領域220B、第2領域220G、および第3領域220Rの位相差は、表示パネル100の各画素別の反射光の波長によって決定することができる。
ここで、反射光は、外部から入射した光(以下、「外光(external light)」という)が表示パネルの電極などによって反射される光である。前述のように、表示パネル100は微細共振効果を有するので、反射光のうちの一部の光は電極の間に閉じ込められるようになり、一部の光は外部に抜け出るようになる。反射光は偏光子230と補償フィルム220によって遮断または減少される。
【0023】
図4は、一実施形態による有機発光装置における外光反射防止原理を示す概略図である。
図4に示すように、外部から入射する非偏光の光(incident unpolarized light)、即ち、外光は偏光子230を通過しながら二つの偏光直交成分のうちの一方の偏光直交成分、即ち、第1偏光直交成分のみが透過され、偏光された光は補償フィルム220を通過しながら円偏光に変わる。円偏光された光は基板、電極などを含む表示パネル100で反射されながら円偏光方向が変わるようになり、円偏光された光が補償フィルム220を再び通過しながら二つの偏光直交成分のうちの他方の偏光直交成分、即ち、第2偏光直交成分のみが透過され得る。第2偏光直交成分は偏光子230を通過せず外部に光が抜け出なくて外光反射防止効果を有し得る。
一方、前述のように、表示パネル100の下部電極120B、120G、120Rと上部電極140B、140G、140Rの間の微細共振効果によって各画素別に特定波長の光が増幅され得る。即ち、微細共振によって赤色画素の発光層130Rから放出された光のうちの赤色波長領域の光がさらに増幅され、緑色画素の発光層130Gから放出された光のうちの緑色波長領域の光がさらに増幅され、青色画素の発光層130Bから放出された光のうちの青色波長領域の光がさらに増幅され得る。
この時、前述の反射光も下部電極120B、120G、120Rと上部電極140B、140G、140Rとの間の微細共振効果によって特定波長の光が閉じ込められ特定波長領域の光が反射され得る。例えば、微細共振効果によって、赤色画素では反射光のうちの赤色波長領域の光が内部に閉じ込められその他の波長の光が反射され、緑色画素では反射光のうちの緑色波長領域の光が内部に閉じ込められその他の波長の光が反射され、青色画素では反射光のうちの青色波長領域の光が内部に閉じ込められその他の波長の光が反射される。
【0024】
したがって、各画素別に内部に閉じ込められず反射される光の波長範囲に合わせて補償フィルム220の位相差を調節することによって反射光を効果的に抑制および/または減少させることができる。
補償フィルム220の位相差は各画素で微細共振によって閉じ込められる光以外の反射される波長領域に関連付けされており、例えば、微細共振によって短波長領域の光が閉じ込められる画素は位相差が大きい領域に対応するように配置され、長波長領域の光が閉じ込められる画素は位相差が小さい領域に対応するように配置することができる。
【0025】
一例として、補償フィルム220の第1領域220B、第2領域220G、および第3領域220Rの位相差をそれぞれ、第1位相差、第2位相差、および第3位相差というとき、補償フィルム220の位相差は、例えば、下記の関係式5または関係式6を満足することができる。
[関係式5]
R
e1>R
e2≧R
e3
[関係式6]
R
e1≧R
e2>R
e3
【0026】
関係式5または関係式6において、R
e1、R
e2、およびR
e3はそれぞれ、第1位相差、第2位相差、および第3位相差である。
一例として、関係式5または関係式6を満足する範囲内で、第1位相差は約125nm〜155nmとすることができ、第2位相差は約110nm〜160nmとすることができ、第3位相差は約110nm〜125nmとすることができる。
一例として、関係式5または関係式6を満足する範囲内で、第1位相差は約135nm〜145nmとすることができ、第2位相差は約130nm〜140nmとすることができ、第3位相差は約115nm〜125nmとすることができる。
補償フィルム220の第1、第2、および第3領域の位相差が前記範囲である場合、青色画素B、緑色画素G、および赤色画素Rの反射率はそれぞれ、約5%以下とすることができる。
また、補償フィルム220の第1、第2、および第3領域の位相差が前記範囲である場合、青色画素B、緑色画素G、および赤色画素Rの反射色の変化(Δa*b*)はそれぞれ、約5以下とすることができる。
また、前述の補償フィルム220を通じて各画素の反射光の色変化を調節することができるので、各画素の反射色の変化が約5以下にならない場合であっても、赤色画素、緑色画素、および青色画素の反射色の変化を効果的に調節することによって、有機発光装置全体の反射色の変化を約5以下に合わせることができる。
【0027】
このように各画素別に反射光の波長範囲によって補償フィルム220の位相差を調節することにより反射光の光漏れを減らすだけでなく、例えば、青みがかった(bluish)色感のような特定波長領域が強化された反射光による特定色感によって色変化が発生するのを防止することができる。これにより、視認性低下を減らし表示特性を改善することができる。
表示パネル100と対向基板210とはシーラント(sealant)50によって貼り合わせることができ、表示パネル100、対向基板210およびシーラント50によって区画された空間に充填材(filler)を満たすことができる。
【0028】
以下、図面を参照して他の実施形態による有機発光装置を説明する。
図5は、
図1の有機発光装置における表示パネルの複数の画素の配置の他の例を示す平面図である。
図5に示すように、表示パネル100は前述の実施形態と同様に赤色を表示する赤色画素R、緑色を表示する緑色画素G、および青色を表示する青色画素Bを含む。
しかし、本実施形態は前述の実施形態とは異なり、第1列には複数個の緑色画素Gが所定間隔離隔して配置されており、第2列には赤色画素Rと青色画素Bが交互に配置されており、第3列には緑色画素Gが所定間隔離隔して配置されており、第4列には青色画素Bと赤色画素Rが交互に配置されており、このような配列は第N列まで反復配置されている。このような画素配置構造をペンタイルマトリックス(PenTile Matrix)といい、隣接した画素を共有して色を表現するレンダリング(Rendering)駆動を適用することによって、少ない数の画素で高解像度を実現することができる。しかし、画素の構成および配置は多様に変形することができる。
【0029】
図6は、
図5の画素配置を有する有機発光装置における位相差が異なる複数の領域を有する補償フィルムの平面図である。
図6に示すように、補償フィルム220は位相差が異なる複数の領域220B、220G、220Rを有し、複数の領域220B、220G、220Rは
図5に示された表示パネル100の複数の画素の配置にそれぞれ対応する。具体的には、補償フィルム220は青色画素Bに対応する第1領域220B、緑色画素Gに対応する第2領域220G、および赤色画素Rに対応する第3領域220Rを有する。
図6では第3領域220Rが別途に区画されていないが、赤色画素Rに対応するように区画することができる。
補償フィルム220の第1領域220B、第2領域220G、および第3領域220Rのうちの少なくとも二つは互いに異なる位相差を有することができ、第1領域220B、第2領域220G、および第3領域220Rの位相差は表示パネル100の各画素別の反射光の波長によって決定され得る。具体的な内容は前述のとおりである。
【0030】
一例として、補償フィルム220の第1領域220B、第2領域220G、および第3領域220Rの位相差をそれぞれ、第1位相差、第2位相差、および第3位相差というとき、補償フィルム220の位相差は、例えば、下記の関係式7または関係式8を満足することができる。
[関係式7]
R
e1>R
e2≧R
e3
[関係式8]
R
e1≧R
e2>R
e3
関係式7または関係式8において、R
e1、R
e2、およびR
e3はそれぞれ、第1位相差、第2位相差、および第3位相差である。
一例として、関係式7または関係式8を満足する範囲内で、第1位相差は約125nm〜155nmとすることができ、第2位相差は約110nm〜160nmとすることができ、第3位相差は約110nm〜125nmとすることができる。
一例として、関係式7または関係式8を満足する範囲内で、第1位相差は約135nm〜145nmとすることができ、第2位相差は約130nm〜140nmとすることができ、第3位相差は約115nm〜125nmとすることができる。
補償フィルム220の第1、第2および第3領域の位相差が前記範囲である場合、青色画素B、緑色画素G、および赤色画素Rの反射率はそれぞれ、約5%以下とすることができる。
また、補償フィルム220の第1、第2および第3領域の位相差が前記範囲である場合、青色画素B、緑色画素G、および赤色画素Rの反射色の変化(Δa*b*)はそれぞれ、約5以下とすることができる。また、有機発光装置の反射色の変化(Δa*b*)も約5以下とすることができる。
【0031】
以下、
図1の有機発光装置の製造方法について、
図1と共に
図7〜
図11を参考にして説明する。
図7〜
図11は一実施形態による有機発光装置の製造方法を示す断面図である。
まず、表示パネル100を準備する。
図7に示すように、ベース基板110の上にゲート電極を含むゲート線、ゲート絶縁膜、半導体層、データ線を含むソース電極およびドレイン電極を積層して薄膜トランジスタアレイQ1、Q2、Q3を形成する。
その次に、薄膜トランジスタアレイQ1、Q2、Q3の上に絶縁層111を形成し、絶縁層111に薄膜トランジスタアレイQ1、Q2、Q3の一部を露出させる接触孔を形成する。
その次に、絶縁層111の上に導電層を積層しパターニングして下部電極120B、120G、120Rを形成する。その次に、下部電極120B、120G、120Rの上に発光層130B、130G、130Rを形成する。その次に、発光層130B、130G、130Rの上に導電層を積層して発光層130B、130G、130Rの全面を覆う上部電極140B、140G、140Rを形成する。
その次に、補償フィルム220を準備する。
【0032】
図8に示すように、対向基板210の一面に配向膜21を形成する。配向膜21は、例えば、ポリアミック酸を溶液工程で塗布し硬化して形成することができ、ラビングのような物理的処理または光配向のような光処理によって複数の溝を形成することができる。これにより、配向膜の表面に後述の液晶を効果的に配向することができる。
その次に、配向膜21の一面に液晶組成物を塗布して補償フィルム用液晶層220aを形成する。液晶組成物は液晶、反応開始剤、界面活性剤、溶解補助剤および/または分散剤のような各種添加剤と溶媒を含むことができ、例えば、インクジェット印刷、バーコーティング、スリットコーティング、スピンコーティングなどの溶液工程で塗布されてもよい。
その次に、補償フィルム用液晶層220aを硬化する。補償フィルム用液晶層220aの硬化は複数の領域に分割して複数回実行することができ、各硬化時ごとに温度を変化させることもできる。これにより、位相差が異なる複数の領域を有する補償フィルム220を形成することができる。
【0033】
図9に示すように、補償フィルム用液晶層220aの上に複数の開口部40aを有するマスク(mask)40を配置する。この時、開口部40aは表示パネル100の青色画素Bに対応する位置に配置することができる。しかし、これに限定されず赤色画素Rまたは緑色画素Gに対応する位置に配置することができる。その次に、第1温度で1次露光して補償フィルム用液晶層220aの中のマスク40の開口部40aによって露出された領域を硬化し第1位相差を有する第1領域220Bを形成する。第1温度は、例えば、常温(約25℃)とすることができるが、これは第1領域220Bの所望の位相差によって決定することができる。
【0034】
その次に、
図10に示すように、補償フィルム用液晶層220aの上に複数の開口部40aを有するマスク40を配置する。補償フィルム用液晶層220aの温度は第1温度より高い第2温度に設定することができ、例えば、補償フィルム用液晶層220aが形成された対向基板210をホットプレート、オーブンのような加熱器の上に配置して温度を上昇させることができる。マスク40の開口部40aは表示パネル100の緑色画素Gに対応する位置に配置することができるが、これに限定されず、赤色画素Rまたは青色画素Bに対応する位置に配置することができる。その次に、2次露光して補償フィルム用液晶層220aの中のマスク40の開口部40aによって露出された領域を硬化し第2位相差を有する第2領域220Gを形成する。第2温度は、例えば、約30〜60℃とすることができるが、これは第2領域220Gの所望の位相差によって決定することができる。
その次に、
図11に示すように、補償フィルム用液晶層220aの温度をさらに上昇させて補償フィルム用液晶層220aを3次露光する。これにより、第1領域220Bおよび第2領域220Gを除いた領域が硬化され第3位相差を有する第3領域220Rが形成される。第3温度は、例えば、約63〜約90℃とすることができ、これは第3領域220Rの所望の位相差によって決定することができる。
これにより、液晶層220aを硬化して第1領域220B、第2領域220G、および第3領域Rを有する補償フィルム220が準備できる。第1領域220B、第2領域220G、および第3領域220Rは前述のように異なる温度で硬化されそれぞれ異なる位相差を有し得る。
【0035】
補償フィルム220の第1領域220B、第2領域220G、および第3領域220Rの位相差をそれぞれ、第1位相差、第2位相差、および第3位相差というとき、補償フィルム220の位相差は、例えば、下記の関係式9または関係式10を満足することができる。
[関係式9]
R
e1>R
e2≧R
e3
[関係式10]
R
e1≧R
e2>R
e3
関係式9または関係式10において、R
e1、R
e2、およびR
e3はそれぞれ、第1位相差、第2位相差、および第3位相差である。
一例として、関係式9または関係式10を満足する範囲内で、第1位相差は約125nm〜155nmとすることができ、第2位相差は約110nm〜160nmとすることができ、第3位相差は約110nm〜125nmとすることができる。
一例として、関係式9または関係式10を満足する範囲内で、第1位相差は約135nm〜145nmとすることができ、第2位相差は約130nm〜140nmとすることができ、第3位相差は約115nm〜125nmとすることができる。
ここでは位相差を変化させる方法の一例として、補償フィルム220の露光温度を変化させる方法を例示したが、位相差が異なる複数の領域を形成することができる方法であれば特に制限されない。
ここでは一例として、青色画素B、緑色画素G、および赤色画素Rに対応する順に露光して第1領域、第2領域、および第3領域を形成したが、これは一例に過ぎず、露光順序を限定するものではない。
その次に、対向基板210の他の一面に偏光子230を付着する。しかし、これに限定されず、対向基板210の一面に補償フィルム220と偏光子230を順次に積層することができる。偏光子230は延伸されたポリビニルアルコール(PVA)から製造された偏光板であるか、高分子樹脂と二色性染料を溶融混合して準備された偏光フィルムとすることができる。
【0036】
その次に、表示パネル100、補償フィルム220および偏光子230を貼り合わせる。
貼り合わせは表示パネル100と対向基板210を対向するように貼り合わせることができ、表示パネル100に補償フィルム220と偏光子230を転写し対向基板210を除去することができる。
図1に示すように、表示パネル100の青色画素B、緑色画素G、および赤色画素Rと補償フィルム220の第1領域220B、第2領域220G、および第3領域220Bをそれぞれ対応するように貼り合わせることができる。
表示パネル100と対向基板210とはシーラント50で貼り合わせることができ、表示パネル100、対向基板210およびシーラント50によって区画された空間に充填材を満たすことができる。
【0037】
以下、実施例を通じて前述の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
〔実施例〕
補償フィルムの準備
【0038】
<実施例1>
ガラス基板の上にポリアミック酸(日産化学(Nissan Chemical)社製、サンエバー(sunever)SE7492)を塗布し、200℃で1時間焼成して配向膜を形成する。その次に、配向膜の上に液晶組成物(RMS03−013C)を1500rpmで15秒間スピンコーティングし、80℃で予熱して液晶層を形成する。その次に、液晶層の上にマスクを配置し、基板温度25℃、UV照射量500mJで1次露光して硬化された第1領域を形成する。その次に、マスクを移動させ、基板温度50℃、UV照射量500mJで2次露光して硬化された第2領域を形成する。その次に、マスクを除去し、基板温度70℃、UV照射量500mJで3次露光して硬化された第3領域を形成し、補償フィルムを準備する。
【0039】
<比較例1>
ガラス基板の上にポリアミック酸(日産化学社製、サンエバーSE7492)を塗布し、200℃で1時間焼成して配向膜を形成する。その次に、配向膜の上に液晶組成物(RMS03−013C)を1500rpmで15秒間スピンコーティングし、80℃で予熱して液晶層を形成する。その次に、液晶層を基板温度50℃、UV照射量500mJで硬化して補償フィルムを準備する。
【0040】
<評価1>
実施例1による補償フィルムの第1、第2および第3領域の位相差を評価する。
位相差は回転検光子法で評価する。
その結果は、
図12および表1のとおりである。
図12は、実施例1による補償フィルムの硬化温度による位相差を示すグラフである。
【0042】
表1および
図12に示すように、約25℃で硬化して得られた第1領域、約50℃で硬化して得られた第2領域、および約70℃で硬化して得られた第3領域の位相差が互いに異なるのを確認することができる。
【0043】
<評価2>
実施例1と比較例1による補償フィルムを適用した有機発光装置の反射率および反射色の変化をシミュレーションで評価する。
ここで表示パネルは、上部発光(top emission)タイプのOLEDパネルを採用したと設定し、OLEDパネルは微細共振効果を有する赤色画素、緑色画素および青色画素を含み、赤色画素、緑色画素および青色画素の発光層の反射特性が互いに異なり、各画素の発光を最適化する膜の厚さに設定する。また、補償フィルムの液晶はフラット(flat)波長分散特性を有するものであって各画素が表1の位相差を有すると設定する。
前記条件下で青色画素、緑色画素および赤色画素のそれぞれの反射率および反射色の変化をシミュレーションで評価し、その結果は表2のとおりである。
【0045】
表2に示すように、実施例1による補償フィルムを適用した有機発光装置は5%以下の反射率、5以下の反射色の変化を満足するのを確認することができ、比較例1による補償フィルムを適用した有機発光装置と比較して反射率は同等であり、反射色の変化が大きく改善されたのを確認することができる。
【0046】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。