特許第6692583号(P6692583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6692583入浴状況監視システム及び入浴状況監視プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6692583
(24)【登録日】2020年4月17日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】入浴状況監視システム及び入浴状況監視プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20200427BHJP
   A61H 33/00 20060101ALI20200427BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20200427BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   F24H1/00 602P
   A61H33/00 C
   F24H1/00 602X
   G08B25/04 K
   G08B21/02
【請求項の数】20
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-233141(P2017-233141)
(22)【出願日】2017年12月5日
(65)【公開番号】特開2019-100642(P2019-100642A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2018年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】野原 由記
(72)【発明者】
【氏名】田中 正弘
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−71519(JP,A)
【文献】 特開2015−137793(JP,A)
【文献】 特開2010−57654(JP,A)
【文献】 特開2008−157537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
A61H 33/00
G08B 21/02
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室に設けられた温度センサ及び/または湿度センサと、脱衣所に設けられた温度センサ及び/または湿度センサと、
前記浴室に設けられた温度センサ及び/または湿度センサにより得られるセンサデータである温度及び/または湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出し、前記脱衣所に設けられた温度センサ及び/または湿度センサにより得られるセンサデータである温度及び/または湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値に基づき入浴開始となったか入浴終了となったかを判定する入浴判定手段と
を具備することを特徴とする入浴状況監視システム。
【請求項2】
湿度センサが浴室と脱衣所に設けられ、
前記算出手段は、浴室に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室湿度対応判定対象値算出手段と、脱衣所に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所湿度対応判定対象値算出手段とにより構成され、
入浴判定手段は、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴開始の判定を行い、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴終了の判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の入浴状況監視システム。
【請求項3】
温度センサが浴室と脱衣所に設けられ、
前記算出手段は、浴室に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室温度対応判定対象値算出手段と、脱衣所に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所温度対応判定対象値算出手段とにより構成され、
入浴判定手段は、前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴開始の判定を実行し、前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴終了と判定することを特徴とする請求項1に記載の入浴状況監視システム。
【請求項4】
湿度センサと温度センサが浴室と脱衣所のそれぞれに設けられ、
前記算出手段は、浴室に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室湿度対応判定対象値算出手段と、浴室に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室温度対応判定対象値算出手段と、脱衣所に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所湿度対応判定対象値算出手段と、脱衣所に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所温度対応判定対象値算出手段とにより構成され、
入浴判定手段は、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値と前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値とに基づき入浴開始の判定を実行し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値と前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値とに基づき入浴終了の判定を実行することを特徴とする請求項1に記載の入浴状況監視システム。
【請求項5】
入浴判定手段は、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値及び前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値が共に入浴開始を示すときに入浴開始と判定し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値及び前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値が共に入浴終了を示すときに入浴終了と判定することを特徴とする請求項4に記載の入浴状況監視システム。
【請求項6】
入浴判定手段は、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値と前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値のいずれかが入浴開始を示すときに入浴開始と判定し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値と前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値のいずれかが入浴終了を示すときに入浴終了と判定することを特徴とする請求項4に記載の入浴状況監視システム。
【請求項7】
算出手段は、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合の度数を入浴開始判定対象値または入浴終了判定対象値とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の入浴状況監視システム。
【請求項8】
算出手段は、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合に所定重み値を加算して入浴開始判定対象値または入浴終了判定対象値とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の入浴状況監視システム。
【請求項9】
初期状態が入浴終了状態であり、前記入浴判定手段により入浴終了状態から入浴開始への変化がある毎に1人または1回を加算し、入浴した後に入浴終了となった人数または入浴回数を算出する入浴人数回数算出手段を具備したことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の入浴状況監視システム。
【請求項10】
入浴中状態において、現在時刻から入浴開始時刻を減算した入浴時間を監視する入浴時間監視手段と、
前記入浴時間監視手段により監視された入浴時間が所定値を超えると、警報情報を出力する警報出力制御手段と
を具備することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の入浴状況監視システム。
【請求項11】
コンピュータを、
浴室に設けられた温度センサ及び/または湿度センサにより得られるセンサデータである温度及び/または湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出し、脱衣所に設けられた温度センサ及び/または湿度センサにより得られるセンサデータである温度及び/または湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する算出手段、
前記算出手段が算出した入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値に基づき入浴開始となったか入浴終了となったかを判定する入浴判定手段
として機能させることを特徴とする入浴状況監視プログラム。
【請求項12】
前記コンピュータを、前記算出手段における、
浴室に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室湿度対応判定対象値算出手段、
脱衣所に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所湿度対応判定対象値算出手段
として機能させ、
前記コンピュータを、入浴判定手段として、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴開始の判定を行い、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴終了の判定を行うように機能させることを特徴とする請求項11項に記載の入浴状況監視プログラム。
【請求項13】
前記コンピュータを、前記算出手段における、
浴室に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室温度対応判定対象値算出手段、
脱衣所に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所温度対応判定対象値算出手段として機能させ、
前記コンピュータを、入浴判定手段として、前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴開始の判定を実行し、前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴終了と判定するように機能させることを特徴とする請求項11に記載の入浴状況監視プログラム。
【請求項14】
前記コンピュータを、前記算出手段における、
浴室に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室湿度対応判定対象値算出手段、
浴室に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室温度対応判定対象値算出手段、
脱衣所に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所湿度対応判定対象値算出手段、
脱衣所に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所温度対応判定対象値算出手段
として機能させ、
前記コンピュータを、入浴判定手段として、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値と前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値とに基づき入浴開始の判定を実行し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値と前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値とに基づき入浴終了の判定を実行するように機能させることを特徴とする請求項11に記載の入浴状況監視プログラム。
【請求項15】
前記コンピュータを、入浴判定手段として、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値及び前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値が共に入浴開始を示すときに入浴開始と判定し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値及び前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値が共に入浴終了を示すときに入浴終了と判定するように機能させることを特徴とする請求項14に記載の入浴状況監視プログラム。
【請求項16】
前記コンピュータを、入浴判定手段として、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値と前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値のいずれかが入浴開始を示すときに入浴開始と判定し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値と前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値のいずれかが入浴終了を示すときに入浴終了と判定するように機能させることを特徴とする請求項14に記載の入浴状況監視プログラム。
【請求項17】
前記コンピュータを、算出手段として、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合の度数を入浴開始判定対象値または入浴終了判定対象値とするように機能させることを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の入浴状況監視プログラム。
【請求項18】
前記コンピュータを、算出手段として、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合に所定重み値を加算して入浴開始判定対象値または入浴終了判定対象値とするように機能することを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の入浴状況監視プログラム。
【請求項19】
前記コンピュータを更に、
初期状態が入浴終了状態であり、前記入浴判定手段により入浴終了状態から入浴開始への変化がある毎に1人または1回を加算し、入浴した後に入浴終了となった人数または入浴回数を算出する入浴人数回数算出手段
として機能させることを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項に記載の入浴状況監視プログラム。
【請求項20】
前記コンピュータを更に、
入浴中状態において、現在時刻から入浴開始時刻を減算した入浴時間を監視する入浴時間監視手段、
前記入浴時間監視手段により監視された入浴時間が所定値を超えると、警報情報を出力する警報出力制御手段
として機能させることを特徴とする請求項11乃至19のいずれか1項に記載の入浴状況監視プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入浴状況監視システム及び入浴状況監視プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に人がどこに居るのかを監視するためには、ドアセンサや人感センサが用いられる。しかしながら、ドアセンサや人感センサは高価であるばかりか、取付位置が限定されることや取付法が難しい場合があるなどの問題があった。
【0003】
特許文献1には、リストバンドを人に取り付け、リストバンドからIDを読み取るID読取装置をゾーン毎に設けて、どのゾーンにどの人が居るのかを検出するシステムが開示されている。
【0004】
特許文献2には、寝室とトイレなどのように温度差の大きな場所へ移動する際のヒートショック発生等に対応するために、温度を検出して演算により温度差を検出し注意喚起を行うことが開示されている。
【0005】
特許文献3には、ヒートショックの発生を抑制しながらも使用者の負担を低減させる報知システムが開示されている。このシステムでは、建物内の第1空間と第2空間の温度を測定し、この第1空間と第2空間との間の移動が照明の点灯消灯などにより検出され、第1空間と第2空間との温度の条件が所定の場合に報知を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−3215000号公報
【特許文献2】特開2005−249441号公報
【特許文献3】特開2017−4379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1の発明によると、リストバンドを人に取り付ける必要があり、また、ゾーン毎にID読取装置を設ける必要があり、構成が大型化しコスト的にも高いものとなる問題がある。また、特許文献2の発明によると、移動先を入力することにより温度差が検出されるものであり、例えば脱衣所から浴室へ移ったかまたは浴室から脱衣所へ移動したかなどを人が入力することなく検出できるものではない。従って、特に監視者を不要として入浴状況監視を行えるものではなかった。更に、特許文献3の発明は、人感センサを設ける必要がないものの、照明の点灯と消灯により人の移動を検出するものであるから、照明が同じ照度で点灯している場合には、人の移動を検出できないものであった。
【0008】
本発明は上記のような人の移動を検出に係る技術分野の現状に鑑みてなされたもので、その目的は、人による監視が不必要であり、照明環境の変動が特にない入浴環境においても入浴開始と入浴終了を判定して、風呂場などにおけるヒートショックやその他の事故などの蓋然性が高い場合を知ることができる入浴状況監視システム及び入浴状況監視プログラム提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る入浴状況監視システムは、浴室に設けられた温度センサ及び/または湿度センサと、脱衣所に設けられた温度センサ及び/または湿度センサと、
前記浴室に設けられた温度センサ及び/または湿度センサと前記脱衣所に設けられた温度センサ及び/または湿度センサとにより得られるセンサデータである温度または湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値に基づき入浴開始となったか入浴終了となったかを判定する入浴判定手段と
を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る入浴状況監視システムでは、湿度センサが浴室と脱衣所に設けられ、
前記算出手段は、浴室に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室湿度対応判定対象値算出手段と、脱衣所に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所湿度対応判定対象値算出手段とにより構成され、
入浴判定手段は、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴開始の判定を行い、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴終了の判定を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る入浴状況監視システムでは、温度センサが浴室と脱衣所に設けられ、
前記算出手段は、浴室に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室温度対応判定対象値算出手段と、脱衣所に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所温度対応判定対象値算出手段とにより構成され、
入浴判定手段は、前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴開始の判定を実行し、前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴終了と判定することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る入浴状況監視システムでは、湿度センサと温度センサが浴室と脱衣所のそれぞれに設けられ、
前記算出手段は、浴室に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室湿度対応判定対象値算出手段と、浴室に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室温度対応判定対象値算出手段と、脱衣所に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所湿度対応判定対象値算出手段と、脱衣所に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所温度対応判定対象値算出手段とにより構成され、
入浴判定手段は、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値と前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値とに基づき入浴開始の判定を実行し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値と前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値とに基づき入浴終了の判定を実行することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る入浴状況監視システムでは、入浴判定手段は、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値及び前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値が共に入浴開始を示すときに入浴開始と判定し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値及び前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値が共に入浴終了を示すときに入浴終了と判定することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る入浴状況監視システムでは、入浴判定手段は、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値と前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値のいずれかが入浴開始を示すときに入浴開始と判定し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値と前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値のいずれかが入浴終了を示すときに入浴終了と判定することを特徴とする請求項4に記載の入浴状況監視システム。
【0015】
本発明に係る入浴状況監視システムでは、算出手段は、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合の度数を入浴開始判定対象値または入浴終了判定対象値とすることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る入浴状況監視システムでは、算出手段は、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合に所定重み値を加算して入浴開始判定対象値または入浴終了判定対象値とすることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る入浴状況監視システムでは、初期状態が入浴終了状態であり、前記入浴判定手段により入浴終了状態から入浴開始への変化がある毎に1人または1回を加算し、入浴した後に入浴終了となった人数または入浴回数を算出する入浴人数回数算出手段を具備したことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る入浴状況監視システムでは、入浴中状態において、現在時刻から入浴開始時刻を減算した入浴時間を監視する入浴時間監視手段と、
前記入浴時間監視手段により監視された入浴時間が所定値を超えると、警報情報を出力する警報出力制御手段と
を具備することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る入浴状況監視プログラムは、コンピュータを、
浴室に設けられた温度センサ及び/または湿度センサと脱衣所に設けられた温度センサ及び/または湿度センサにより得られるセンサデータである温度または湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値を算出する算出手段、
前記算出手段が算出した入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値に基づき入浴開始となったか入浴終了となったかを判定する入浴判定手段
として機能させることを特徴とする入浴状況監視プログラム。
【0021】
本発明に係る入浴状況監視プログラムでは、前記コンピュータを、前記算出手段における、
浴室に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室湿度対応判定対象値算出手段、
脱衣所に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所湿度対応判定対象値算出手段
として機能させ、
前記コンピュータを、入浴判定手段として、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴開始の判定を行い、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴終了の判定を行うように機能させることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る入浴状況監視プログラムでは、前記コンピュータを、前記算出手段における、
浴室に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室温度対応判定対象値算出手段、
脱衣所に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所温度対応判定対象値算出手段
として機能させ、
前記コンピュータを、入浴判定手段として、前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴開始の判定を実行し、前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴終了と判定するように機能させることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る入浴状況監視プログラムでは、前記コンピュータを、前記算出手段における、
浴室に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室湿度対応判定対象値算出手段、
浴室に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴開始判定対象値を算出する浴室温度対応判定対象値算出手段、
脱衣所に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データである湿度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所湿度対応判定対象値算出手段、
脱衣所に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データである温度の上昇下降傾向の変動状態を検出して、この検出結果から入浴終了判定対象値を算出する脱衣所温度対応判定対象値算出手段
として機能させ、
前記コンピュータを、入浴判定手段として、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値と前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値とに基づき入浴開始の判定を実行し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値と前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値とに基づき入浴終了の判定を実行するように機能させることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る入浴状況監視プログラムでは、前記コンピュータを、入浴判定手段として、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値及び前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値が共に入浴開始を示すときに入浴開始と判定し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値及び前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値が共に入浴終了を示すときに入浴終了と判定するように機能させることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る入浴状況監視プログラムでは、前記コンピュータを、入浴判定手段として、前記浴室湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値と前記浴室温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴開始判定対象値のいずれかが入浴開始を示すときに入浴開始と判定し、前記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値と前記脱衣所温度対応判定対象値算出手段により算出された入浴終了判定対象値のいずれかが入浴終了を示すときに入浴終了と判定するように機能させることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る入浴状況監視プログラムでは、前記コンピュータを、算出手段として、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合の度数を入浴開始判定対象値または入浴終了判定対象値とするように機能させることを特徴とする。
【0027】
本発明に係る入浴状況監視プログラムでは、前記コンピュータを、算出手段として、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合に所定重み値を加算して入浴開始判定対象値または入浴終了判定対象値とするように機能することを特徴とする。
【0029】
本発明に係る入浴状況監視プログラムでは、前記コンピュータを更に、
初期状態が入浴終了状態であり、前記入浴判定手段により入浴終了状態から入浴開始への変化がある毎に1人または1回を加算し、入浴した後に入浴終了となった人数または入浴回数を算出する入浴人数回数算出手段
として機能させることを特徴とする。
【0030】
本発明に係る入浴状況監視プログラムでは、前記コンピュータを更に、
入浴中状態において、現在時刻から入浴開始時刻を減算した入浴時間を監視する入浴時間監視手段、
前記入浴時間監視手段により監視された入浴時間が所定値を超えると、警報情報を出力する警報出力制御手段
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、浴室と脱衣所において人が戸やドア等を操作して出入りすることにより温度または湿度の上昇下降傾向が現れることに鑑み、浴室と脱衣所の少なくとも一方に設けられる温度センサと湿度センサのとのいずれか一方のセンサにより得られるセンサデータに基づき温度または湿度の上昇下降傾向に対応付けて入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値を算出し、算出した判定対象値に基づき入浴開始となったか入浴終了となったかを判定するので、人による監視が不必要であり、照明環境の変動が特にない入浴環境においても適切に入浴開始と入浴終了を判定して、風呂場などにおけるヒートショックやその他の事故などの蓋然性が高い場合を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る入浴状況監視システムの第1の実施形態に係る入浴状況監視システムの構成図。
図2】本発明に係る入浴状況監視システムの第1の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図3】本発明に係る入浴状況監視システムの第1の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図4】本発明に係る入浴状況監視システムの第2の実施形態に係る入浴状況監視システムの要部構成図。
図5】本発明に係る入浴状況監視システムの第2の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図6】本発明に係る入浴状況監視システムの第2の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図7】本発明に係る入浴状況監視システムの第3の実施形態に係る入浴状況監視システムの要部構成図。
図8】本発明に係る入浴状況監視システムの第3の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図9】本発明に係る入浴状況監視システムの第3の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図10】本発明に係る入浴状況監視システムの第4の実施形態に係る入浴状況監視システムの要部構成図。
図11】本発明に係る入浴状況監視システムの第4の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図12】本発明に係る入浴状況監視システムの第4の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図13】本発明に係る入浴状況監視システムの第5の実施形態に係る入浴状況監視システムの要部構成図。
図14】本発明に係る入浴状況監視システムの第5の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図15】本発明に係る入浴状況監視システムの第5の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図16】本発明に係る入浴状況監視システムの第6の実施形態に係る入浴状況監視システムの要部構成図。
図17】本発明に係る入浴状況監視システムの第6の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図18】本発明に係る入浴状況監視システムの第6の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図19】本発明に係る入浴状況監視システムの第7の実施形態に係る入浴状況監視システムの要部構成図。
図20】本発明に係る入浴状況監視システムの第7の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
図21】本発明に係る入浴状況監視システムの第7の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下添付図面を参照して、本発明に係る入浴状況監視システム及び入浴状況監視プログラムの実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1には、第1の実施形態に係る入浴状況監視システムの構成図が示されている。この実施形態では、一般住宅100における監視を例とするが、シェアハウスやグループホームなどにも適用することができる。
【0034】
一般住宅100には、リビング110と脱衣所130と浴室120とが設けられている。浴室120には、温湿度センサ101が設けられ、脱衣所130には、温湿度センサ102が設けられている。温湿度センサ101、102は、温度センサと湿度センサが含まれたセンサである。温湿度センサ101、102は、天井などに吊るして簡単に設けることができるが、湯船から立ち上った蒸気が結露して水滴として落下するような位置は避けるものとする。本発明に係る入浴状況監視システムでは、浴室と脱衣所の少なくとも一方に、温度センサと湿度センサのとのいずれか一方のセンサが設けられていれば良い。温湿度センサ101、102には、送信機器103が接続されている。
【0035】
温湿度センサ101、102により得られた温度データ及び湿度データは、送信機器103からクラウド環境のクラウドコンピュータ200に送られる。クラウドコンピュータ200には、受信部201が設けられ、送信機器103から送られた温度データ及び湿度データの受信が受信部201において行われる。クラウドコンピュータ200には、演算処理部210が備えられており、入浴状況監視に関する中心的な処理がこの演算処理部210において行われる。具体的には、演算処理部210には、プログラムにより実現される算出手段220、入浴判定手段230、入浴人数回数算出手段240、入浴時間監視手段250及び警報出力制御手段260が備えられている。
【0036】
また、クラウドコンピュータ200には、送信部202が設けられ、演算処理部210により演算処理された結果の情報が上記送信部202から一般住宅の端末104へ送られる。端末104は、スマートフォン、PDA(パーソナルディジタルアシスタント)、パーソナルコンピュータなどにより構成することができる。クラウドコンピュータ200から送られた入浴中と非入浴中、入浴人数回数、警報情報などは端末104の表示部に表示出力され、スピーカなどから音声として出力されるようにすることができる。
【0037】
算出手段220は、上記センサにより得られるセンサデータに基づき温度または湿度の上昇下降傾向に対応付けて入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値を算出するものである。温度または湿度の上昇下降傾向に対応付けて算出された入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値は、入浴開始と入浴終了を判定する情報として好適である。即ち、人が浴室と脱衣所において出入りすることは入浴開始と入浴終了に対応し、この出入りによって浴室や脱衣所において、温度または湿度の上昇下降傾向が現れるからである。
【0038】
算出手段220は、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合の度数を判定対象値とする。また、算出手段220は、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合に所定重み値を加算して判定対象値とするものであっても良い。上記の2通りの算出においていずれにおいても、人が脱衣所・浴室に入ることにより温度と湿度が上昇するという観点からは入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値との双方算出には、上記の変動として上昇傾向の変動を用いることができる。また、人が脱衣所・浴室から去ることにより温度と湿度が低下するという観点からは入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値との双方算出には、上記の変動として下降傾向の変動を用いることができる。
【0039】
入浴判定手段230は、上記算出手段220が算出した判定対象値(入浴開始判定対象値と入浴終了判定対象値)に基づき入浴開始となったか入浴終了となったかを判定するものである。入浴開始となったときに、入浴中である旨の情報を端末104へ送るようにしても良い。また、入浴終了となったときに、入浴中であることを取り消す情報を端末104へ送るようにしても良い。
【0040】
入浴人数回数算出手段240は、初期状態が入浴終了状態であり、上記入浴判定手段230により入浴終了状態から入浴開始への変化がある毎に1人または1回を加算し、入浴した後に入浴終了となった人数または入浴回数を算出するものである。この人数または入浴回数は、端末104へ送るようにしても良い。
【0041】
入浴時間監視手段250は、初期状態が入浴終了状態であり、前記入浴判定手段により入浴終了状態から入浴開始への変化があったときから入浴終了となるまでの入浴時間を監視するものである。警報出力制御手段260は、上記入浴時間監視手段250により監視された入浴時間が所定値を超えると、警報情報を出力するものである。この警報情報を端末104へ送るようにしても良い。
【0042】
以上のように構成された第1の実施形態に係る入浴状況監視システムの動作を、図2に示すフローチャートを用いて説明する。処理が開始され、保存されている入浴中フラグ、入浴開始時刻、入浴回数(または、人数)などのデータの読み込みを行い(S11)、入浴中フラグが1であるかを検出する(S12)。なお、初期状態では入浴終了であり、入浴中フラグは0である。
【0043】
上記ステップS12においてYESへ分岐すると、データ受信の時刻をレジスタtへセットし(S13)、温度または湿度の上昇下降傾向に対応付けて入浴開始判定対象値を算出する処理を行う(S14)。次に、上記ステップS14の処理において得られた入浴開始判定対象値に基づき入浴開始となったかの判定を行う(S15)。
【0044】
ステップS15において入浴開始となった場合には、入浴中フラグを1として(S16)、更にレジスタtに現在時刻を入浴開始時刻としてセットすると共に入浴回数(人数)を1インクリメントして(S17)処理を終了する。
【0045】
上記ステップS12においてNOへ分岐すると、ステップS11において得た入浴開始時刻をレジスタtへセットし(S18)、温度または湿度の上昇下降傾向に対応付けて入浴終了判定対象値を算出する処理を行う(S19)。次に、上記ステップS19の処理において得られた入浴終了判定対象値に基づき入浴終了となったかの判定を行う(S20)。
【0046】
上記ステップS20においてNOとなると処理を終了する一方、上記ステップS20においてYESとなると入浴中フラグを0として(S21)、レジスタtに現在時刻を入浴終了時刻としてセットして(S22)、処理を終了する。
【0047】
図3は、入浴時間監視手段250及び警報出力制御手段260による処理のフローチャートである。処理の開始となり、入浴中フラグと入浴開始時刻とを読み出し(S23)、入浴中フラグが1となっているかを検出する(S24)。
【0048】
ステップS24においてNOとなると処理を終了する一方、YESとなると、現在時刻から入浴開始時刻を減算して、この値が所定値(ここでは、30分)を越えているかを検出する(S25)。このステップS25においてNOとなると処理を終了する一方、YESとなると、注意喚起の警報を端末104へ送って(S26)処理を終了する。
【0049】
図4に、第2の実施形態の要部である算出手段220Aが示されている。算出手段220Aは、浴室湿度対応判定対象値算出手段310と脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320とにより構成されている。また、図示していないが、浴室120に湿度センサが設けられ、脱衣所130に湿度センサが設けられており、温度センサは用いない。
【0050】
上記浴室湿度対応判定対象値算出手段310は、浴室120に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データに基づき湿度の上昇下降傾向に対応付けて入浴開始判定対象値を算出する。また、脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320は、脱衣所130に設けられた湿度センサから時系列に得られる湿度データに基づき湿度の上昇下降傾向に対応付けて入浴終了判定対象値を算出する。
【0051】
更に、入浴判定手段230Aは、上記浴室湿度対応判定対象値算出手段310により算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴開始の判定を行い、上記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320により算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴終了の判定を行う。算出手段220Aと入浴判定手段230A以外の構成は第1の実施形態と同じ構成である。
【0052】
図5に、上記浴室湿度対応判定対象値算出手段310による算出処理と、算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴判定手段230Aが行う入浴開始の判定の処理フローチャートを示し、図6に、上記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320による算出処理と、算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴判定手段230Aが行う入浴終了の判定の処理フローチャートを示す。以下に、上記図5図6の処理を説明する。
【0053】
図5に示すように処理が開始されると、レジスタtに現在時刻をセットし、レジスタtmpに0をセットする(S31)。ステップS32からステップS35の処理を繰り返す。つまり、算出手段220Aは、所定時間内(この実施形態では5分)に所定時間間隔(この実施形態では1分)で前後のデータを比較し、所定値(浴室湿度変化指標)を超える変動があった場合の度数tmpを判定対象値とする。
【0054】
ステップS32は、1分ごとにデータを更新するステップであり、ステップS33は、前後のデータを比較し浴室湿度変化指標を超えているか検出するステップである。ステップS34は、浴室湿度変化指標を超えている場合に度数tmpを1インクリメントするステップである。ステップS35は、5分の処理を行っていない場合にステップS32へ戻し、5分の処理を行っていると次に進めるステップである。
【0055】
ステップS32からステップS35の繰り返し処理が終わると、度数tmpが浴室湿度参考値(閾値)を超えているかを判定し(S36)、YESとなると入浴開始と判定して入浴中フラグを1とする(S37)。ステップS37が終了した場合またはステップS36においてNOへ分岐すると処理を終了する。
【0056】
図6に示すように処理が開始されると、レジスタtに現在時刻をセットし、レジスタtmpに0をセットする(S41)。ステップS42からステップS45の処理を繰り返す。つまり、算出手段220Aは、所定時間内(この実施形態では5分)に所定時間間隔(この実施形態では1分)で前後のデータを比較し、所定値(脱衣所湿度変化指標)を超える変動があった場合の度数tmpを判定対象値とする。
【0057】
ステップS42は、1分ごとにデータを更新するステップであり、ステップS43は、前後のデータを比較し脱衣所湿度変化指標を超えているか検出するステップである。ステップS44は、脱衣所湿度変化指標を超えている場合に度数tmpを1インクリメントするステップである。ステップS45は、5分の処理を行っていない場合にステップS42へ戻し、5分の処理を行っていると次に進めるステップである。
【0058】
ステップS42からステップS45の繰り返し処理が終わると、度数tmpが脱衣所湿度参考値(閾値)を超えているかを判定し(S46)、YESとなると入浴終了と判定して入浴中フラグを0とする(S47)。ステップS47が終了した場合またはステップS46においてNOへ分岐すると処理を終了する。
【0059】
図7に、第3の実施形態の要部である算出手段220Bが示されている。算出手段220Bは、浴室温度対応判定対象値算出手段330と脱衣所温度対応判定対象値算出手段340とにより構成されている。また、図示していないが、浴室120に温度センサが設けられ、脱衣所130に温度センサが設けられており、湿度センサは用いない。
【0060】
上記浴室温度対応判定対象値算出手段330は、浴室120に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データに基づき温度の上昇下降傾向に対応付けて入浴開始判定対象値を算出する。また、脱衣所温度対応判定対象値算出手段340は、脱衣所130に設けられた温度センサから時系列に得られる温度データに基づき温度の上昇下降傾向に対応付けて入浴終了判定対象値を算出する。
【0061】
更に、入浴判定手段230Bは、上記浴室温度対応判定対象値算出手段330により算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴開始の判定を行い、上記脱衣所温度対応判定対象値算出手段340により算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴終了の判定を行う。算出手段220Bと入浴判定手段230B以外の構成は第1の実施形態と同じ構成である。
【0062】
図8に、上記浴室温度対応判定対象値算出手段330による算出処理と、算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴判定手段230Bが行う入浴開始の判定の処理フローチャートを示し、図9に、上記脱衣所温度対応判定対象値算出手段340による算出処理と、算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴判定手段230Bが行う入浴終了の判定の処理フローチャートを示す。以下に、上記図8図9の処理を説明する。
【0063】
図8に示すように処理が開始されると、レジスタtに現在時刻をセットし、レジスタtmpに0をセットする(S51)。ステップS52からステップS55の処理を繰り返す。つまり、算出手段220Bは、所定時間内(この実施形態では5分)に所定時間間隔(この実施形態では1分)で前後のデータを比較し、所定値(浴室温度変化指標)を超える変動があった場合の度数tmpを判定対象値とする。
【0064】
ステップS52は、1分ごとにデータを更新するステップであり、ステップS53は、前後のデータを比較し浴室温度変化指標を超えているか検出するステップである。ステップS54は、浴室温度変化指標を超えている場合に度数tmpを1インクリメントするステップである。ステップS55は、5分の処理を行っていない場合にステップS52へ戻し、5分の処理を行っていると次に進めるステップである。
【0065】
ステップS52からステップS55の繰り返し処理が終わると、度数tmpが浴室温度参考値(閾値)を超えているかを判定し(S56)、YESとなると入浴開始と判定して入浴中フラグを1とする(S57)。ステップS57が終了した場合またはステップS56においてNOへ分岐すると処理を終了する。
【0066】
図9に示すように処理が開始されると、レジスタtに現在時刻をセットし、レジスタtmpに0をセットする(S61)。ステップS62からステップS65の処理を繰り返す。つまり、算出手段220Bは、所定時間内(この実施形態では5分)に所定時間間隔(この実施形態では1分)で前後のデータを比較し、所定値(脱衣所温度変化指標)を超える変動があった場合の度数tmpを判定対象値とする。
【0067】
ステップS62は、1分ごとにデータを更新するステップであり、ステップS63は、前後のデータを比較し脱衣所温度変化指標を超えているか検出するステップである。ステップS64は、脱衣所温度変化指標を超えている場合に度数tmpを1インクリメントするステップである。ステップS65は、5分の処理を行っていない場合にステップS62へ戻し、5分の処理を行っていると次に進めるステップである。
【0068】
ステップS62からステップS65の繰り返し処理が終わると、度数tmpが脱衣所温度参考値(閾値)を超えているかを判定し(S66)、YESとなると入浴終了と判定して入浴中フラグを0とする(S67)。ステップS67が終了した場合またはステップS66においてNOへ分岐すると処理を終了する。
【0069】
図10に、第4の実施形態の要部である算出手段220Cが示されている。算出手段220Cは、浴室湿度対応判定対象値算出手段310、脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320と浴室温度対応判定対象値算出手段330、脱衣所温度対応判定対象値算出手段340とにより構成されている。また、図示していないが、浴室120及び脱衣所130にそれぞれ湿度センサ及び温度センサが設けられている。
【0070】
入浴判定手段230Cは、上記浴室湿度対応判定対象値算出手段310により算出された入浴開始判定対象値と上記浴室温度対応判定対象値算出手段330により算出された入浴開始判定対象値とに基づき入浴開始の判定を実行し、上記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320により算出された入浴終了判定対象値と上記脱衣所温度対応判定対象値算出手段340により算出された入浴終了判定対象値とに基づき入浴終了の判定を実行する。
【0071】
本実施形態において、入浴判定手段230Cは、上記浴室湿度対応判定対象値算出手段310により算出された入浴開始判定対象値及び上記浴室温度対応判定対象値算出手段330により算出された入浴開始判定対象値が共に入浴開始を示すときに入浴開始と判定し、上記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320により算出された入浴終了判定対象値及び上記脱衣所温度対応判定対象値算出手段340により算出された入浴終了判定対象値が共に入浴終了を示すときに入浴終了と判定する。
【0072】
図11に、上記浴室湿度対応判定対象値算出手段310と上記浴室温度対応判定対象値算出手段330による算出処理と、算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴判定手段230Cが行う入浴開始の判定の処理フローチャートを示し、図12に、上記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320と上記脱衣所温度対応判定対象値算出手段340による算出処理と、算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴判定手段230Cが行う入浴終了の判定の処理フローチャートを示す。以下に、上記図11図12の処理を説明する。
【0073】
図11においては、図8に示したステップS51からステップS56までの第3の実施形態の浴室温度対応判定対象値算出手段330による算出処理と、図5に示したステップS31からステップS36までの第2の実施形態の浴室湿度対応判定対象値算出手段310による算出処理とが組み合わされており、この部分は既に説明したので再度の説明を省略する。
【0074】
図11のステップS56において、度数tmpが浴室温度参考値(閾値)を超えているかを判定し(S56)、YESとなると入浴開始と判定して入浴中フラグではなく浴室温度判定フラグを1とする(S71)。ステップS71が終了した場合またはステップS56においてNOへ分岐するとステップS31へ進む。
【0075】
ステップS31からステップS36までは既に説明した通りの処理が行われ、ステップS36において、度数tmpが浴室湿度参考値(閾値)を超えているかを判定し(S36)、YESとなると入浴開始と判定して入浴中フラグではなく浴室湿度判定フラグを1とする(S72)。ステップS72が終了した場合またはステップS36においてNOへ分岐するとステップS73へ進む。
【0076】
ステップS73においては、浴室温度判定フラグが1で且つ浴室湿度判定フラグが1であるかを検出し(S73)、YESとなると入浴開始と判定して入浴中フラグを1とする(S74)。つまり、上記浴室湿度対応判定対象値算出手段310により算出された入浴開始判定対象値及び上記浴室温度対応判定対象値算出手段330により算出された入浴開始判定対象値が共に入浴開始を示すときに入浴開始と判定している。ステップS74が終了した場合またはステップS73においてNOへ分岐すると処理を終了する。
【0077】
図12においては、図9に示したステップS61からステップS66までの第3の実施形態の脱衣所温度対応判定対象値算出手段340による算出処理と、図6に示したステップS41からステップS46までの第2の実施形態の脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320による算出処理とが組み合わされており、この部分は既に説明したので再度の説明を省略する。
【0078】
図12のステップS66において、度数tmpが脱衣所温度参考値(閾値)を超えているかを判定し(S66)、YESとなると入浴終了と判定して入浴中フラグではなく脱衣所温度判定フラグを1とする(S81)。ステップS81が終了した場合またはステップS66においてNOへ分岐するとステップS41へ進む。
【0079】
ステップS41からステップS46までは既に説明した通りの処理が行われ、ステップS46において、度数tmpが脱衣所湿度参考値(閾値)を超えているかを判定し(S46)、YESとなると入浴終了と判定して入浴中フラグではなく浴室湿度判定フラグを1とする(S82)。ステップS82が終了した場合またはステップS46においてNOへ分岐するとステップS83へ進む。
【0080】
ステップS83においては、脱衣所温度判定フラグが1で且つ脱衣所湿度判定フラグが1であるかを検出し(S83)、YESとなると入浴終了と判定して入浴中フラグを0とする(S84)。つまり、上記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320により算出された入浴終了判定対象値及び上記脱衣所温度対応判定対象値算出手段340により算出された入浴終了判定対象値が共に入浴終了を示すときに入浴終了と判定している。ステップS84が終了した場合またはステップS83においてNOへ分岐すると処理を終了する。
【0081】
図13に、第5の実施形態の要部である演算処理部210が示されている。本実施形態では、入浴判定手段230Dの構成が第4の実施形態のものと異なるだけで、他の構成は同じである。入浴判定手段230Dは、上記浴室湿度対応判定対象値算出手段310により算出された入浴開始判定対象値と上記浴室温度対応判定対象値算出手段330により算出された入浴開始判定対象値のいずれかが入浴開始を示すときに入浴開始と判定し、上記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320により算出された入浴終了判定対象と上記脱衣所温度対応判定対象値算出手段340により算出された入浴終了判定対象値のいずれかが入浴終了を示すときに入浴終了と判定する。
【0082】
図14に、上記浴室湿度対応判定対象値算出手段310と上記浴室温度対応判定対象値算出手段330による算出処理と、算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴判定手段230Dが行う入浴開始の判定の処理フローチャートを示し、図15に、上記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320と上記脱衣所温度対応判定対象値算出手段340による算出処理と、算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴判定手段230Dが行う入浴終了の判定の処理フローチャートを示す。以下に、上記図14図15の処理を説明する。
【0083】
図14のフローチャートも第4の実施形態における図11のフローチャートとほぼ同一である。ステップS75のみが異なる。ステップS75においては、浴室温度判定フラグが1または浴室湿度判定フラグが1であるかを検出し(S75)、YESとなると入浴開始と判定して入浴中フラグを1とする(S74)。つまり、上記浴室湿度対応判定対象値算出手段310により算出された入浴開始判定対象値と上記浴室温度対応判定対象値算出手段330により算出された入浴開始判定対象値のいずれかが入浴開始を示すときに入浴開始と判定している。
【0084】
図15のフローチャートも第4の実施形態における図12のフローチャートとほぼ同一である。ステップS85のみが異なる。ステップS85においては、脱衣所温度判定フラグが1または脱衣所湿度判定フラグが1であるかを検出し(S85)、YESとなると入浴終了と判定して入浴中フラグを0とする(S84)。つまり、上記脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320により算出された入浴終了判定対象と上記脱衣所温度対応判定対象値算出手段340により算出された入浴終了判定対象値のいずれかが入浴終了を示すときに入浴終了と判定している。
【0085】
以上の各実施形態では、算出手段220、220A、220B、220Cは、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合の度数を判定対象値とするものであった。これらの算出手段220、220A、220B、220Cを、所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合に所定重み値を加算して判定対象値とするように変更しても良い。
【0086】
図16に、第6の実施形態の要部構成を示す。本実施形態の算出手段220Eが上記の重みによる判定対象値の算出を行う。従って、浴室湿度対応判定対象値算出手段310E、脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320E、浴室温度対応判定対象値算出手段330E、脱衣所温度対応判定対象値算出手段340Eが、重みによる判定対象値の算出を行う。また、入浴判定手段230Eは、浴室湿度対応判定対象値算出手段310Eにより算出された重みによる判定対象値と浴室温度対応判定対象値算出手段330Eにより算出された重みによる判定対象値とを加えた値が所定閾値を超えているか場合に入浴開始と判定する。また、入浴判定手段230Eは、脱衣所湿度対応判定対象値算出手段320Eにより算出された重みによる判定対象値と脱衣所温度対応判定対象値算出手段340Eにより算出された重みによる判定対象値とを加えた値が所定閾値を超えているか場合に入浴終了と判定する。
【0087】
図17図18に第6の実施形態による動作のフローチャートを示す。これらのフローチャートは、図11図12に示した第4の実施形態のフローチャートとほぼ同じである。図17のフローチャートでは、重みαと重みβを用いるために、レジスタtに現在時刻をセットし、レジスタtmpAとレジスタtmpBに0をセットする(S51A)。ステップS52からステップS55の処理を繰り返しにより重みαの加算によりレジスタtmpAに判定対象値を蓄えている(S76)。また、ステップS32からステップS35の処理を繰り返しにより重みβの加算によりレジスタtmpBに判定対象値を蓄えている(S77)。
【0088】
2つの繰り返し処理の後に、レジスタtmpAの判定対象値とレジスタtmpBの判定対象値を加えて、これが入浴判定値(閾値)より大きいか否か判定し(S78)、YESとなると入浴開始と判定して入浴中フラグを1とする(S74)。
【0089】
図18のフローチャートでも、重みαと重みβを用いるために、レジスタtに現在時刻をセットし、レジスタtmpAとレジスタtmpBに0をセットする(S61A)。ステップS62からステップS65の処理を繰り返しにより重みαの加算によりレジスタtmpAに判定対象値を蓄えている(S86)。また、ステップS42からステップS45の処理を繰り返しにより重みβの加算によりレジスタtmpBに判定対象値を蓄えている(S87)。
【0090】
2つの繰り返し処理の後に、レジスタtmpAの判定対象値とレジスタtmpBの判定対象値を加えて、これが退室判定値(閾値)より大きいか否か判定し(S88)、YESとなると入浴終了と判定して入浴中フラグを0とする(S84)。本実施形態においても、他の実施形態と同様に、高価な人感センサを用いることなく適切に入浴開始と入浴終了を判定して、風呂場などにおけるヒートショックやその他の事故などの蓋然性が高い場合を知ることができる。
【0091】
図19には、第7の実施形態に係る入浴状況監視システムの要部構成図が示されている。この実施形態の算出手段220Fは、浴室温度対応判定対象値算出手段330Fにより構成されている。また、図示していないが、浴室120に温度センサが設けられ、脱衣所130に温度センサが設けられておらず、湿度センサは用いない。つまり、浴室120に温度センサが設けられているだけである。
【0092】
浴室温度対応判定対象値算出手段330Fは、図7の第3の実施形態と同様に所定時間内に所定時間間隔で前後のデータを比較し、所定値を超える変動があった場合の度数を判定対象値とする処理を行って入浴開始判定対象値を算出する他に、浴室120の温度の下降傾向に対応付けて入浴終了判定対象値を算出する。入浴判定手段230Fは、上記浴室温度対応判定対象値算出手段330Fにより算出された入浴開始判定対象値に基づき入浴開始の判定を行い、上記浴室温度対応判定対象値算出手段330Fにより算出された入浴終了判定対象値に基づき入浴終了の判定を行う。
【0093】
図20には、入浴開始判定対象値の算出処理と入浴開始判定対象値に基づく入浴開始の判定処理の動作を示すフローチャートが示されている。この処理は、図8に示した第3の実施形態の処理に概ね同じであるため、図8の符号と同じ符号部分の説明を省略する。この入浴開始判定対象値の算出処理においても、入浴終了判定対象値の算出に必要なレジスタsが用いられる。処理が開始され、レジスタtに現在時刻をセットし、レジスタtmpとレジスタsに0をセットする(S51F)。
【0094】
ステップS52からステップS55の処理を繰り返す。入浴終了判定対象値の算出のためにステップS91においてレジスタの値sより処理対象の浴室温度が大きいか否かを検出し(S91)、YESとなるとレジスタの値sへ処理対象の浴室温度をセットする(S92)。ステップS52からステップS55の繰り返し処理が終了してステップS56、S57の第3の実施形態と同じ処理により、度数tmpが浴室温度参考値(閾値)を超えているかを判定し(S56)、YESとなると入浴開始と判定して入浴中フラグを1とする(S57)。ステップS91、S92による処理の結果、ステップS93では、レジスタsに最高浴室温度がセットされる(S93)。
【0095】
図21には、入浴終了判定対象値の算出処理と入浴終了判定対象値に基づく入浴終了の判定処理の動作を示すフローチャートが示されている。この処理は、図9に示した第3の実施形態の処理と同じ処理が含まれている。この入浴終了判定対象値の算出処理においても、レジスタsが用いられる。処理が開始され、レジスタtに現在時刻をセットし、レジスタtmpと0をセットし、図20のステップS93を受けてレジスタsに最高浴室温度をセットする(S61F)。
【0096】
次のステップS94においては、レジスタsの値よりも処理中の浴室温度が高いか否かが検出され(S94)、YESとなるとレジスタsへ処理中の浴室温度をセットして(S98)、処理を終了する。ステップS94においてNOへ分岐すると、ステップS62からステップS65の繰り返し処理へ進む。
【0097】
ステップS62からステップS65の繰り返し処理において第3の実施形態と異なる点は、ステップS95においては、前後のデータの差分値が脱衣所温度変化指標を下回っているか検出する点である。即ち、ステップS95においては、浴室温度の下降傾向が所定であるかを検出している。ステップS95においてYESへ分岐すると、ステップS64において、度数tmpを1インクリメントする(S64)。
【0098】
ステップS62からステップS65の繰り返し処理が終了すると、度数tmpが退室浴室温度参考値(閾値)を超えているか、或いは、レジスタsの値(最高浴室温度)から処理中の浴室温度を減算した値が所定閾値より大きいか、の条件が満たされているか否かを検出し(S96)、YESとなると入浴終了と判定して入浴中フラグを0とする(S67)。ステップS67が終了した場合には、レジスタsの値を0として処理を終了する。
【0099】
本実施形態においても、他の実施形態と同様に、高価な人感センサを用いることなく適切に入浴開始と入浴終了を判定して、風呂場などにおけるヒートショックやその他の事故などの蓋然性が高い場合を知ることができる。
【符号の説明】
【0100】
100 一般住宅
101、102 温湿度センサ
103 送信機器
104 端末
110 リビング
120 浴室
130 脱衣所
200 クラウドコンピュータ
201 受信部
202 送信部
210 演算処理部
220、220A、220B、220C、220E、220F 算出手段
230、230A、230B、230C、230D、230E、230F 入浴判定手段
240 入浴人数回数算出手段
250 入浴時間監視手段
260 警報出力制御手段
310、310E 浴室湿度対応判定対象値算出手段
320、320E 脱衣所湿度対応判定対象値算出手段
330、330E、330F 浴室温度対応判定対象値算出手段
340、340E 脱衣所温度対応判定対象値算出手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18
図19
図20
図21