特許第6692610号(P6692610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6692610検出プログラム、検出方法および検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6692610
(24)【登録日】2020年4月17日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】検出プログラム、検出方法および検出装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20200427BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20200427BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   G08G1/00 D
   B60R21/00 992
   G08G1/16 C
   G08G1/16 F
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-116807(P2015-116807)
(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-4219(P2017-4219A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】平賀 典生
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 公嗣
(72)【発明者】
【氏名】津田 智之
【審査官】 上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−028332(JP,A)
【文献】 特開2012−022402(JP,A)
【文献】 特開2015−035081(JP,A)
【文献】 特開2008−181252(JP,A)
【文献】 特開2013−117809(JP,A)
【文献】 特開2014−123287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
B60R 21/00−21/13
21/34−21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
車両に搭載された第一の装置から走行情報とともにドライバーの識別情報を取得し、
バイタルサインのモニタを行う第二の装置からバイタルサインとともに前記ドライバーの識別情報を取得し、
取得した前記走行情報に基づいて所定のイベントを検出したか否かを判定し、
前記所定のイベントを検出しない場合には、前記所定のイベントを検出する処理を継続し、
前記所定のイベントを検出した場合には、前記所定のイベントを検出したタイミングの近傍におけるバイタルサインを取得し、前記バイタルサインに基づいて、前記所定のイベントの検出の確からしさを、確からしさの異なる複数の確からしさレベルのいずれか一つに分類し、
分類した確からしさレベルとイベントの検出日時とを対応付けた判定結果を出力する
処理を実行させることを特徴とする検出プログラム。
【請求項2】
前記近傍は、前記所定のイベントを検出したタイミングの前、後、又は、前後双方の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の検出プログラム。
【請求項3】
前記判定する処理は、前記走行情報において前記所定のイベントを検出した際に、前記バイタルサインが通常とは異なる値を示す場合に、前記イベントの発生をより確からしいと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の検出プログラム。
【請求項4】
前記バイタルサインは、前記ドライバーの脈拍の情報を含み、前記分類する処理は、前記所定のイベントが検出されたタイミングを基準とする一定期間の脈拍の平均値を算出し、前記脈拍の平均値が第1閾値よりも大きい場合、前記確からしさを、第1レベルに分類し、前記脈拍の平均値が第2閾値よりも大きく、前記第1閾値未満の場合、前記確からしさを、前記第1レベルよりも小さい第2レベルに分類し、前記脈拍の平均値が前記第2閾値未満の場合、前記確からしさを、前記第2レベルよりも小さい第3レベルに分類することを特徴とする請求項1に記載の検出プログラム。
【請求項5】
コンピュータが実行する判定方法であって、
車両に搭載された第一の装置から走行情報とともにドライバーの識別情報を取得し、
バイタルサインのモニタを行う第二の装置からバイタルサインとともに前記ドライバーの識別情報を取得し、
取得した前記走行情報に基づいて所定のイベントを検出したか否かを判定し、
前記所定のイベントを検出しない場合には、前記所定のイベントを検出する処理を継続し、
前記所定のイベントを検出した場合には、前記所定のイベントを検出したタイミングの近傍におけるバイタルサインを取得し、前記バイタルサインに基づいて、前記所定のイベントの検出の確からしさを、確からしさの異なる複数の確からしさレベルのいずれか一つに分類し、
分類した確からしさレベルとイベントの検出日時とを対応付けた判定結果を出力する
処理を実行することを特徴とする検出方法。
【請求項6】
車両に搭載された第一の装置から走行情報とともにドライバーの識別情報を取得し、バイタルサインのモニタを行う第二の装置からバイタルサインとともに前記ドライバーの識別情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記走行情報に基づいて所定のイベントを検出したか否かを判定し、前記所定のイベントを検出しない場合には、前記所定のイベントを検出する処理を継続し、前記所定のイベントを検出した場合には、前記所定のイベントを検出したタイミングの近傍におけるバイタルサインを取得し、前記バイタルサインに基づいて、前記所定のイベントの検出の確からしさを、確からしさの異なる複数の確からしさレベルのいずれか一つに分類し、分類した確からしさレベルとイベントの検出日時とを対応付けた判定結果を出力する判定部と
を有することを特徴とする検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出プログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通事故死亡者数は減少傾向にあるが、トラック等の事業用車による死亡事故は微増傾向にある。このため、例えば、事業用車に走行記録計を装着することを推奨し、走行情報を基にして、事故の発生しやすい場所や時間等を分析する従来技術が存在する。例えば、係る従来技術では、走行情報を基にして、急ブレーキ、白線逸脱等の所定のイベントを検出し、検出した所定のイベントの発生場所や発生時間等を利用して、交通事故を減らす対策等を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−199616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、所定のイベントを検出した場合の確からしさを判定することができないという問題がある。
【0005】
1つの側面では、本発明は、所定のイベントを検出した場合の確からしさを判定することができる検出プログラム、検出方法および検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の案では、本発明は、コンピュータに下記の処理を実行させる。コンピュータは、車両に搭載された第一の装置から走行情報とともにドライバーの識別情報を取得する。コンピュータは、バイタルサインのモニタを行う第二の装置からバイタルサインとともに前記ドライバーの識別情報を取得する。コンピュータは、取得した走行情報に基づいてあるタイミングにおける所定のイベントを検出した際に、あるタイミング近傍におけるバイタルサインに基づいて、所定のイベントの検出の確からしさを判定し、判定結果を出力する。
【発明の効果】
【0007】
所定のイベントを検出した場合の確からしさを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
図2図2は、健康測定装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、検出装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4図4は、運行情報のデータ構造の一例を示す図である。
図5図5は、イベント確からしさ情報のデータ構造の一例を示す図である。
図6図6は、本実施例に係る検出装置の処理手順の一例を示す図である。
図7図7は、検出プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する検出プログラム、検出方法および検出装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0010】
本実施例に係るシステムの構成の一例について説明する。図1は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。図1に示すように、このシステム1は、複数の健康測定装置10と、サーバ装置20と、複数の端末装置30と、複数の検出装置100とを有する。健康測定装置10と、サーバ装置20と、端末装置30と、検出装置100とは、インターネット50を介して交互に接続される。
【0011】
健康測定装置10は、例えば、自宅や職場等に配置されたドライバーの生体情報を測定する装置である。健康測定装置10は、例えば、血圧計、体重計、体温計、アルコール検知器や睡眠測定器等の測定装置である。
【0012】
サーバ装置20は、後述する検出装置100とインターネット50を介して通信接続し、各ドライバーの運行情報を取得する。サーバ装置20は、健康測定装置10とインターネットを介して通信接続し、各ドライバーの生体情報を取得する。サーバ装置20は、検出装置100および健康測定装置10から取得したドライバーの運行情報および生体情報を保持し、端末装置30からの要求に応答して、ドライバーの運行情報および生体情報を通知する。
【0013】
端末装置30は、例えば、運輸会社等に配置された、パソコン等の端末装置である。例えば、端末装置30は、ドライバーの運行情報および生体情報をサーバ装置20に要求し、要求したドライバーの運行情報および生体情報をサーバ装置20から受け付ける。
【0014】
検出装置100は、車両の運転席等に搭載され、その車両のドライバーの運行情報を検出する装置である。検出装置100は、検出した運行情報を、サーバ装置20に通知する。また、検出装置100は、車両の走行に関する走行情報から所定のイベントを検出した場合に、係る所定のイベント発生近傍におけるドライバーのバイタルサインの値が通常とは異なるか否かにより、所定のイベントの確からしさを判定する。
【0015】
次に、図1に示した健康測定装置10の構成の一例について説明する。図2は、健康測定装置の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、この健康測定装置10は、検出部11と、無線部12と、記憶部13と、制御部14とを有する。
【0016】
検出部11は、利用者の生体情報を検出する。例えば、健康測定装置10が脈拍計の場合、検出部11は、利用者の脈拍数を測定する、例えば、利用者の身体に接触するイヤリングタイプ等の接触方式や非接触方式の脈拍測定部である。また、健康測定装置10が血圧計の場合、検出部11は、利用者の血圧数を測定する、例えば、接触方式又は非接触方式の血圧測定部である。例えば、健康測定装置10が体重計の場合、検出部11は、利用者の体重を測定する、例えば、接触方式又は非接触方式の体重測定部である。例えば、健康測定装置10が体温計の場合、検出部11は、利用者の体温を測定する、例えば、接触方式又は非接触方式の体温測定部である。例えば、健康測定装置10が呼気中のアルコール濃度を検知する測定装置の場合、検出部11は、利用者の呼気中のアルコール濃度を測定する測定部である。健康測定装置10が睡眠測定装置の場合、検出部11は、利用者の睡眠の質を測定する測定部である。
【0017】
無線部12は、例えば、無線方式でインターネット50と通信接続する通信インターフェースである。尚、健康測定装置10は、無線部12を内蔵していない場合、スマートフォン等の端末装置を使用してインターネット50と通信接続する機能を備えるようにしても良い。記憶部13は、健康測定装置10の利用者を識別する利用者ID毎に測定日時毎の生体情報を記憶する領域である。制御部14は、健康測定装置10全体を制御する処理部である。制御部14は、健康測定装置10の利用者を識別する利用者ID毎に測定日時毎の生体情報を記憶部13に記憶する。
【0018】
次に、図1に示した検出装置100の構成の一例について説明する。図3は、検出装置の構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、この検出装置100は、車速検出部101と、回転数検出部102と、車間距離検出部103と、白線検知部104と、GPS(Global Positioning System)105と、時計部106を有する。検出装置100は、無線部107と、読取部108と、脈拍検出部109と、眠気センサ110と、ステータススイッチ111と、ヒヤリハット申告スイッチ112を有する。検出装置100は、眠気申告スイッチ113と、記憶部114と、判定部115と、制御部120とを有する。
【0019】
車速検出部101は、例えば、車両に搭載したセンサ等を通じて車両の走行速度及び走行距離を検出する検出部である。回転数検出部102は、例えば、車両に搭載したセンサを通じて車両のエンジン回転数を検出する検出部である。車間距離検出部103は、例えば、車両に搭載したセンサを通じて、前方車両までの車間距離を検出する検出部である。白線検知部104は、例えば、車両に搭載したセンサを通じて、道路の車線である白線逸脱を検知する検知部である。GPS105は、車両の現在位置を測定するシステムである。
【0020】
時計部106は、現在日時を計時する時計である。無線部107は、例えば、無線方式でインターネット50と通信接続する通信インターフェースである。読取部108は、例えば、ドライバーの運転免許証と非接触IC通信を実行し、運転免許証内の個人情報を読み取り、読み取った個人情報に基づき、運転車両のドライバーの利用者IDを識別する。
【0021】
脈拍検出部109は、ドライバーの脈拍を検出する検出部である。例えば、ドライバーの身体に接触する車両のハンドルにセンサを設置しておき、かかるセンサを用いてドライバーの脈拍を検出する。なお、脈拍検出部109は、図2で説明した検出部11のように、イヤリングタイプ等の接触方式や非接触方式の脈拍測定部と同様にして、ドライバーの脈拍を検出しても良い。また、脈拍検出部109は、脈拍に加えて、ドライバーの血圧を検出しても良い。
【0022】
眠気センサ110は、例えば、走行車両のドライバーの眠気を検知するセンサである。ステータススイッチ111は、例えば、車両のドライバーの状態を指定するスイッチである。ステータススイッチ111は、例えば、指定なし、荷積み、荷卸し、休憩、睡眠中等の状態を指定するスイッチである。ヒヤリハット申告スイッチ112は、例えば、運転車両のドライバーがヒヤリハットを自覚した場合に操作する申告スイッチである。眠気申告スイッチ113は、例えば、運転車両のドライバーが眠気を自覚した場合に操作する申告スイッチである。記憶部114は、各種情報を記憶する記憶装置である。
【0023】
制御部120は、検出装置100全体を制御する処理部である。制御部120は、例えば、各部101〜106、109〜113が検出した検出結果と、各部101〜106、109〜113を一意に識別する装置識別情報と、利用者IDとを対応付けて収集し、収集した情報を、記憶部114に格納する。以下の説明では、検出装置100が収集した情報を運行情報と表記する。例えば、制御部120は、取得部に対応する。
【0024】
ここで、記憶部114に格納される運行情報の一例について説明する。図4は、運行情報のデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、運行情報114aは、利用者IDと、測定日時と、血圧と、脈拍と、眠気検知回数と、稼働フラグとを対応付ける。更に、運行情報114aは、白線逸脱と、ヒヤリと、違反と、車間距離違反と、走行速度と、走行距離と、エンジン回転数とを対応付ける。
【0025】
利用者IDは、ドライバーを一意に識別する情報である。測定日時は、例えば、時計部106で計時する測定日時である。血圧は、例えば、脈拍検出部109で収集したドライバーの血圧である。脈拍は、例えば、脈拍検出部109で収集したドライバーの脈拍である。図4では省略するが、血圧および脈拍には、かかる血圧および脈拍を検出した脈拍検出部109を一意に識別する機器識別情報が対応付けられる。
【0026】
眠気検知は、眠気申告スイッチ113の操作、すなわちドライバーが眠気を感じたか否かを示す。ドライバーが眠気を感じた場合には「1」が格納される。図4では省略するが眠気検知には、眠気申告スイッチを一意に識別する機器識別情報が対応付けられる。
【0027】
稼働フラグは、ドライバーが稼働中であるか否かを示すフラグに相当する。稼働フラグが「1」の場合は、ステータススイッチ111で稼働開始を指定した場合に稼働中を示す。稼働フラグが「0」の場合には、ステータススイッチ111で稼働停止を停止した場合に稼働停止を示す。図4では省略するが、稼働フラグには、ステータススイッチ111を一意に識別する機器識別情報が対応付けられる。
【0028】
白線逸脱は、白線検知部104により白線逸脱が検出されたか否かを示す。例えば、白線逸脱が発生した場合には「1」が格納される。図4では省略するが、白線逸脱には、白線検出部104を一意に識別する機器識別情報が対応付けられる。
【0029】
ヒヤリは、ヒヤリハット申告スイッチ112の操作、すなわちドライバーによるヒヤリハットを感じたか否かを示す。ドライバーによりヒヤリハットを感じた場合には「1」が格納される。図4では省略するが、ヒヤリには、ヒヤリハット申告スイッチ112を一意に識別する機器識別情報が対応付けられる。
【0030】
違反は、例えば、車速検出部101及び回転数検出部102の検出結果で検知した速度超過や急加減速等の違反が発生したか否かを示す。例えば、速度超過や急加減速等の違反発生が発生した場合には「1」が格納される。車間距離違反は、車間距離検出部103で検出した前方車両との間の車間距離が所定距離未満の状態となったか否かを示す。前方車両との間の車間距離が所定距離未満の状態となった場合には「1」が格納される。
【0031】
例えば、白線逸脱を検出したこと、違反の発生を検出したこと、車間距離が所定距離未満を検出したことが、所定のイベントを検出したことに対応する。
【0032】
走行速度は、例えば、車速検出部101に検出される稼働時間帯の走行車両の走行速度である。走行距離は、例えば、車速検出部101に検出される稼働時間帯の走行車両の走行距離である。図4では省略するが、走行速度および走行距離には、車速検出部101を一意に識別する機器識別情報が対応付けられる。エンジン回転数は、例えば、回転数検出部102に検出される稼働時間帯の走行車両のエンジン回転数である。図4では省略するが、エンジン回転数には、回転数検出部102を一意に識別する機器識別情報が対応付けられる。
【0033】
図3の説明に戻る。判定部115は、走行情報を基にして、所定のイベントを検出する処理部である。また、判定部115は、所定のイベントを検出した場合に、所定のタイミング近傍におけるドライバーのバイタルサインの情報に基づいて、所定のイベントの確からしさを判定する。
【0034】
ここで、走行情報は、車速検出部101、回転数検出部102、車間距離検出部103、白線検知部104等により検出される情報である。また、ドライバーのバイタルサインの情報は、脈拍検出部109等により検出される情報である。
【0035】
判定部115が、所定のイベントを検出する処理の一例について説明する。判定部115は、車速検出部101および回転数検出部102が検出する情報を取得し、速度超過や急加減速等の違反が発生したか否かを示す。例えば、判定部115は、速度が所定速度を超えた場合、加速度が所定の加速度を超えた場合、減加速度が所定の減加速度を超えた場合に、違反が発生したと判定する。判定部115は、違反が発生したと判定した場合には、運行情報114aの該当する測定日時のレコードに含まれる違反に「1」を設定する。
【0036】
判定部115は、車間距離検出部103が検出する情報を取得し、前方車両との間の車間距離が所定距離未満の状態となったか否かを判定する。判定部115は、前方車両との間の車間距離が所定距離未満の状態となった場合には、運行情報114aの該当する測定日時のレコードに含まれる車間距離違反に「1」を設定する。
【0037】
判定部115は、白線検知部104が検出する情報を取得し、白線逸脱が検出されたか否かを判定する。判定部115は、白線逸脱が検出された場合には、運行情報114aの該当する測定日時のレコードに含まれる白線逸脱に「1」を設定する。
【0038】
続いて、判定部115が、所定のイベントの検出の確からしさを判定する処理の一例について説明する。例えば、所定のイベントは、上記の違反、車間距離違反、白線逸脱に対応するものとする。判定部115は、運行情報114aにアクセスし、所定のイベントが発生した測定日時近傍におけるバイタルサインの情報を取得し、所定のイベントの確からしさを判定する。
【0039】
判定部115は、所定のイベントを検出した測定日時の前、後、又は、前後双方のバイタルサインの情報について、バイタルサインの情報が通常とは異なる値を示す場合に、所定のイベントの発生をより確からしいと判定する。
【0040】
ここでは、一例として、判定部115がドライバーの脈拍を用いて、確からしさを判定する処理について説明する。判定部115は、イベントの検出の確からしさをA、B、Cの何れかに分類する。確からしさAが最も確からしく、確からしさの大小関係は、確からしさA>確からしさB>確からしさCとする。例えば、判定部115は、下記に示すように、イベントを検出した測定日時から所定秒間前までの脈拍の平均値と閾値との比較により、確からしさを分類する。例えば、閾値の大小関係はT1>T2>T3となり、各閾値のうち、T1が、正常なドライバーの脈拍から最も離れた値とする。各閾値は、管理者により、予め設定される。
【0041】
確からしさA:T1<脈拍の平均値
確からしさB:T2<脈拍の平均値≦T1
確からしさC:T3<脈拍の平均値≦T2
【0042】
上記の説明では、脈拍の平均値を、所定のイベントを検出した測定日時から所定秒前までの脈拍の平均値としたがこれに限定されるものではない。例えば、所定のイベントを検出した測定日時から所定秒後までの脈拍の平均値としても良い。または、所定のイベントを検出した測定日時の所定秒前から所定秒後の脈拍の平均値としても良い。
【0043】
判定部115は、判定結果を基にして、イベント確からしさ情報を生成する。判定部115は、生成したイベント確からしさ情報を、記憶部114に格納する。図5は、イベント確からしさ情報のデータ構造の一例を示す図である。図5に示すように、このイベント確からしさ情報114bは、利用者IDと、イベント検出日時と、イベントと、確からしさとを対応付ける。利用者IDは、ドライバーを一意に識別する情報である。イベント検出日時は、所定のイベントを検出した測定日時に対応する。イベントは、イベントの内容に対応するものである。イベントの内容は、違反、車間距離違反、白線逸脱などを含む。確からしさは、上述した判定部115が判定する確からしさに対応する。
【0044】
なお、上記の説明では、判定部115がドライバーの脈拍を用いて、確からしさを判定していたが、これに限定されるものではない。例えば、判定部115は、眠気センサ110から出力されるドライバーの眠気を基にして、確からしさを判定しても良い。判定部115は、所定のイベントを検出した測定日時の前、後、又は、前後双方において、ドライバーの眠気を検知している場合には、所定のイベントの発生をより確からしいと判定する。判定部115は、眠気の段階に基づいて、確からしさを複数段階に分類しても良い。
【0045】
また、判定部115は、ドライバーの脈拍と、ドライバーの眠気発生の双方を用いて、確からしさを判定しても良い。例えば、判定部115は、所定のイベントを検出した測定日時の前、後、又は、前後双方において、ドライバーの眠気を検知している場合に、確からしさを「確からしさA」と判定する。また、判定部115は、所定のイベントを検出した測定日時の前、後、又は、前後双方において、ドライバーの脈拍の平均値が閾値以上である場合に、確からしさを「確からしさB」と判定する。
【0046】
次に、本実施例に係る検出装置100の処理手順の一例について説明する。図6は、本実施例に係る検出装置の処理手順の一例を示す図である。図6に示すように、検出装置100の判定部115は、走行情報と共に利用者IDを取得する(ステップS101)。判定部115は、バイタルサインと共に利用者IDを取得する(ステップS102)。
【0047】
判定部115は、所定のイベントを検出したか否かを判定する(ステップS103)。判定部115は、所定のイベントを検出していない場合には(ステップS103,No)、ステップS105に移行する。
【0048】
一方、判定部115は、所定のイベントを検出した場合には(ステップS103,Yes)、バイタルサインに基づいて、所定のイベントの確からしさを判定する(ステップS104)。判定部115は、処理を継続するか否かを判定する(ステップS105)。判定部115は、処理を継続する場合には(ステップS105,Yes)、ステップS101に移行する。一方、判定部115は、処理を継続しない場合には(ステップS105,No)、処理を終了する。
【0049】
次に、本実施例に係る検出装置100の効果について説明する。検出装置100は、車速検出部101、脈拍検出部109、記憶部114等から、走行情報、バイタルサインの情報、ドライバーの利用者IDを取得する。そして、検出装置100は、走行情報に基づいて、あるタイミングにおける所定のイベントを検出した際に、あるタイミング近傍におけるバイタルサインに基づいて、所定のイベントの検出の確からしさを判定し、判定結果を出力する。例えば、白線逸脱、違反の発生、車間距離が所定距離未満となった場合には、ドライバーのバイタルサインは、通常とものとは異なる。このため、バイタルサインを利用することで、所定のイベントを検出した場合の確からしさを判定することができる。
【0050】
また、検出装置100は、あるタイミングの前、後、又は、前後双方の何れかのバイタルサインに基づいて、所定のイベントの検出の確からしさを判定する。このため、バイタルサインが正常時とは異なるタイミングが変動しても、所定のイベントを検出した場合の確からしさを判定することができる。
【0051】
また、検出装置100は、走行情報において所定のイベントを検出した際に、バイタルサインが通常とは異なる値を示す場合に、イベントの発生をより確からしいと判定する。このため、イベントの発生の確からしさの判定精度を向上させることができる。
【0052】
次に、上記実施例に示した検出装置100と同様の機能を実現する検出プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。図7は、検出プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【0053】
図7に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置202と、ディスプレイ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読取る読み取り装置204と、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行うインターフェース装置205とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM206と、ハードディスク装置207とを有する。そして、各装置201〜207は、バス208に接続される。
【0054】
ハードディスク装置207は、取得プログラム207a、判定プログラム207bを読み出してRAM206に展開する。取得プログラム207aは、取得プロセス206aとして機能する。判定プログラム207bは、判定プロセス206bとして機能する。例えば、取得プロセス206aは、制御部120に対応する。判定プロセス206bは、判定部115に対応する。
【0055】
なお、取得プログラム207a、判定プログラム207bについては、必ずしも最初からハードディスク装置207に記憶させておかなくても良い。例えば、コンピュータ200に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ200が取得プログラム207a、判定プログラム207bを読み出して実行するようにしてもよい。
【0056】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0057】
(付記1)コンピュータに、
車両に搭載された第一の装置から走行情報とともにドライバーの識別情報を取得し、
バイタルサインのモニタを行う第二の装置からバイタルサインとともに前記ドライバーの識別情報を取得し、
取得した前記走行情報に基づいてあるタイミングにおける所定のイベントを検出した際に、前記あるタイミング近傍における前記バイタルサインに基づいて、前記所定のイベントの検出の確からしさを判定し、
判定結果を出力する
処理を実行させることを特徴とする検出プログラム。
【0058】
(付記2)前記近傍は、前記あるタイミングの前、後、又は、前後双方の何れかであることを特徴とする付記1に記載の検出プログラム。
【0059】
(付記3)前記判定する処理は、前記走行情報において前記所定のイベントを検出した際に、前記バイタルサインが通常とは異なる値を示す場合に、前記イベントの発生をより確からしいと判定することを特徴とする付記1または2に記載の検出プログラム。
【0060】
(付記4)コンピュータが実行する判定方法であって、
車両に搭載された第一の装置から走行情報とともにドライバーの識別情報を取得し、
バイタルサインのモニタを行う第二の装置からバイタルサインとともに前記ドライバーの識別情報を取得し、
取得した前記走行情報に基づいてあるタイミングにおける所定のイベントを検出した際に、前記あるタイミング近傍における前記バイタルサインに基づいて、前記所定のイベントの検出の確からしさを判定し、
判定結果を出力する
処理を実行することを特徴とする検出方法。
【0061】
(付記5)前記近傍は、前記あるタイミングの前、後、又は、前後双方の何れかであることを特徴とする付記4に記載の検出方法。
【0062】
(付記6)前記判定する処理は、前記走行情報において前記所定のイベントを検出した際に、前記バイタルサインが通常とは異なる値を示す場合に、前記イベントの発生をより確からしいと判定することを特徴とする付記4または5に記載の検出方法。
【0063】
(付記7)車両に搭載された第一の装置から走行情報とともにドライバーの識別情報を取得し、バイタルサインのモニタを行う第二の装置からバイタルサインとともに前記ドライバーの識別情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記走行情報に基づいてあるタイミングにおける所定のイベントを検出した際に、前記あるタイミング近傍における前記バイタルサインに基づいて、前記所定のイベントの検出の確からしさを判定し、判定結果を出力する判定部と
を有することを特徴とする検出装置。
【0064】
(付記8)前記近傍は、前記あるタイミングの前、後、又は、前後双方の何れかであることを特徴とする付記7に記載の検出装置。
【0065】
(付記9)前記判定部は、前記走行情報において前記所定のイベントを検出した際に、前記バイタルサインが通常とは異なる値を示す場合に、前記イベントの発生をより確からしいと判定することを特徴とする付記7または8に記載の検出装置。
【符号の説明】
【0066】
10 健康測定装置
20 サーバ装置
30 端末装置
50 インターネット
100 検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7