特許第6692685号(P6692685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6692685レール締結機構およびこれに用いる板バネクリップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6692685
(24)【登録日】2020年4月17日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】レール締結機構およびこれに用いる板バネクリップ
(51)【国際特許分類】
   E01B 9/48 20060101AFI20200427BHJP
【FI】
   E01B9/48
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-87335(P2016-87335)
(22)【出願日】2016年4月25日
(65)【公開番号】特開2017-197918(P2017-197918A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000216047
【氏名又は名称】鉄道軌材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和なぎさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 一雄
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−239208(JP,A)
【文献】 特開2013−174087(JP,A)
【文献】 実公昭35−001809(JP,Y1)
【文献】 実公昭43−010728(JP,Y1)
【文献】 特公昭36−013651(JP,B1)
【文献】 特公昭38−026402(JP,B1)
【文献】 米国特許第04832261(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 1/00−26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール頭部と該レール頭部に対して幅広で平底のレール底部とを備えたレールと、該レールにおけるレール底部の下側に敷設するレールパッドと、前記レールとレールパッドとを包容して前記レールに加わる荷重を分散するタイプレートと、該タイプレートを載置して重なり合うタイプレートパッドと、前記タイプレートの上側に載置してレール支承体の平坦なレール設置用座面に向けてレールのレール底部を押圧する左右一対の板バネクリップと、該板バネクリップとタイプレートとタイプレートパッドとにそれぞれ設けた締結用ボルト挿通孔に順次挿通して前記レールをレール支承体に締結する左右一対の締結用ボルトと、前記レール支承体に埋め込んで前記締結用ボルトとそれぞれ螺合する左右一対の埋込栓と、前記レール設置用座面の左右両端部位にそれぞれ配置して前記板バネクリップを保持する左右一対のバネ受け座台とを少なくとも備えたレール締結機構であって、
前記レールのレール底部が、前記レールのレール腹部から末広がり状に連続形成した底部下り傾斜面と該底部下り傾斜面から連続形成した底部緩斜面とを備え、
前記板バネクリップが、短冊状の鋼板を上下に湾曲させてバネ受け座台に着座する中間湾曲板部と、該中間湾曲板部の上端縁から延びてレールのレール底部に着座する上側平板状部と、前記中間湾曲板部の下端縁から延びて前記レールに加わる荷重を分散させるタイプレートの上縁部に着座する下側屈曲板部とを有し、
前記板バネクリップの上側平板状部が、前記中間湾曲板部の上端縁から水平方向に延びる上側平板領域と該上側平板領域の先端縁に沿って隣接する屈曲板領域と該屈曲板領域から斜め上方に延びる上向き傾斜板領域とを有し、
前記上側平板領域に対する上向き傾斜板領域の屈折角度が、前記レール支承体に対する前記レールの締結時に前記上側平板状部の上向き傾斜板領域と前記レール底部の底部下り傾斜面とで接触するとともに前記屈曲板領域の稜線部分と前記レール底部の底部緩斜面とで接触し、列車非通過時にレール外軌側およびレール内軌側でレール底部と上向き傾斜板領域の最先端部分とが接触する一方で列車通過時にレール外軌側でレール底部と上向き傾斜板領域の最先端部分とが接触するとともにレール内軌側でレール底部と屈曲板領域の稜線部分とが接触するように屈曲形成されていることを特徴とするレール締結機構。
【請求項2】
前記板バネクリップの下側屈曲板部が、前記中間湾曲板部の下端縁から前記タイプレートの端縁に沿って上側平板状部に向けて立ち上がる立上り板領域と該立上り板領域の立上り端縁から上側平板状部と遊離した状態で緩い下向き勾配となるように延びて前記タイプレートの凸状着座部に着座するプレート対面板領域を有していることを特徴とする請求項1に記載のレール締結機構。
【請求項3】
前記レール支承体が、コンクリートから構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレール締結機構。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のレール締結機構において、前記上側平板状部と下側屈曲板部とに挿通した状態でレール支承体に締結する締結用ボルトにより前記レールのレール底部をレール支承体側に向けて押圧保持することを特徴とする板バネクリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールをコンクリートまくらぎ等のレール支承体に向けて押圧するレール締結機構およびこれに用いる板バネクリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、板バネをフ字状に折り曲げて構成し、その先端頭部でレールの下部上面を押えまたその末端部でタイプレートの突起を上部及び側面から押えてレールとタイプレートとを夫々固定し得る如き形状を有しているバネクリップが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、レールの底部上面をコンクリート製レール支持体のレール設置用座面に向けてレールの両側でそれぞれ押圧するとともにバネ受け座部の湾曲面であるバネクリップ接触面に面接触するバネ受け座部接触面を有するバネクリップが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭52−049203号公報(第1頁第2欄参照)
【特許文献2】特開2013−174087号公報(段落0017、図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1のバネクリップは、フ字状に折り曲げて構成した板バネの先端頭部でレールの下部上面を押さえる構造であったため、板バネの先端頭部がレールの下部上面を押さえる押圧力は一定であり、列車通過時のレール小返りが大きくなることがあった。
また、上述した特許文献2のバネクリップは、バネクリップのうちレール側寄りを占める部分に比べてバネ受け座部側寄りを占める部分の位置を低く設置してバネクリップの形状に応じたバネクリップの弾性を高め、レールの底部上面をコンクリート製レール支持体のレール設置用座面に向けて両側から押圧するとともに、レールから作用する水平力(衝撃力)をバネ受け座部およびバネ受け座部のバネクリップ接触面を介してコンクリート製レール支持体に逃がす構造であり、バネクリップがレールの底部上面を押さえる押圧力は一定であり、列車通過時のレールの小返りが大きくなることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、レールをレール支承体に対して確実に位置決めして取り付けるとともに列車通過時に生じがちなレール外軌側への過度のレール小返りを抑制するレール締結機構およびこれに用いる板バネクリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本請求項1に係る発明は、レール頭部と該レール頭部に対して幅広で平底のレール底部とを備えたレールと、該レールにおけるレール底部の下側に敷設するレールパッドと、前記レールとレールパッドとを包容して前記レールに加わる荷重を分散するタイプレートと、該タイプレートを載置して重なり合うタイプレートパッドと、前記タイプレートの上側に載置してレール支承体の平坦なレール設置用座面に向けてレールのレール底部を押圧する左右一対の板バネクリップと、該板バネクリップとタイプレートとタイプレートパッドとにそれぞれ設けた締結用ボルト挿通孔に順次挿通して前記レールをレール支承体に締結する左右一対の締結用ボルトと、前記レール支承体に埋め込んで前記締結用ボルトとそれぞれ螺合する左右一対の埋込栓と、前記レール設置用座面の左右両端部位にそれぞれ配置して前記板バネクリップを保持する左右一対のバネ受け座台とを少なくとも備えたレール締結機構であって、前記レールのレール底部が、前記レールのレール腹部から末広がり状に連続形成した底部下り傾斜面と該底部下り傾斜面から連続形成した底部緩斜面とを備え、前記板バネクリップが、短冊状の鋼板を上下に湾曲させてバネ受け座台に着座する中間湾曲板部と、該中間湾曲板部の上端縁から延びてレールのレール底部に着座する上側平板状部と、前記中間湾曲板部の下端縁から延びて前記レールに加わる荷重を分散させるタイプレートの上縁部に着座する下側屈曲板部とを有し、前記板バネクリップの上側平板状部が、前記中間湾曲板部の上端縁から水平方向に延びる上側平板領域と該上側平板領域の先端縁に沿って隣接する屈曲板領域と該屈曲板領域から斜め上方に延びる上向き傾斜板領域とを有し、前記上側平板領域に対する上向き傾斜板領域の屈折角度が、前記レール支承体に対する前記レールの締結時に前記上側平板状部の上向き傾斜板領域と前記レール底部の底部下り傾斜面とで接触するとともに前記屈曲板領域の稜線部分と前記レール底部の底部緩斜面とで接触し、列車非通過時にレール外軌側およびレール内軌側でレール底部と上向き傾斜板領域の最先端部分とが接触する一方で列車通過時にレール外軌側でレール底部と上向き傾斜板領域の最先端部分とが接触するとともにレール内軌側でレール底部と屈曲板領域の稜線部分とが接触するように屈曲形成されていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0007】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたレール締結機構の構成に加えて、前記板バネクリップの下側屈曲板部が、前記中間湾曲板部の下端縁から前記タイプレートの端縁に沿って上側平板状部に向けて立ち上がる立上り板領域と該立上り板領域の立上り端縁から上側平板状部と遊離した状態で緩い下向き勾配となるように延びて前記タイプレートの凸状着座部に着座するプレート対面板領域を有していることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0008】
(削 除)
【0009】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載されたレール締結機構の構成に加えて、前記レール支承体が、コンクリートから構成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
本請求項4に係る発明の板バネクリップは、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載されたレール締結機構において前記上側平板状部と下側屈曲板部とに挿通した状態でレール支承体に締結する締結用ボルトにより前記レールのレール底部をレール支承体側に向けて押圧保持することにより、前述した課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレール締結機構は、以下のような特有の効果を奏することができる。
【0012】
すなわち、本請求項1に係る発明のレール締結機構によれば、板バネクリップが、短冊状の鋼板を上下に湾曲させてバネ受け座台に着座する中間湾曲板部と、この中間湾曲板部の上端縁から延びてレールのレール底部に着座する上側平板状部と、中間湾曲板部の下端縁から延びてレールに加わる荷重を分散させるタイプレートの上縁部に着座する下側屈曲板部とを有し、板バネクリップの上側平板状部が、中間湾曲板部の上端縁から水平方向に延びる上側平板領域とこの上側平板領域の先端縁に沿って隣接する屈曲板領域とこの屈曲板領域から斜め上方に延びる上向き傾斜板領域とを有していることにより、レールのレール底部を押圧保持する上向き傾斜板領域に屈曲板領域を介して連なっている上側平板領域が列車通過時に撓み変形を生じるため、列車通過時に惹起しがちな板バネクリップの振動を吸収緩和することができる。
そして、上側平板領域に対する上向き傾斜板領域の屈折角度が、レール支承体に対する前記レールの締結時に上側平板状部の上向き傾斜板領域とレール底部の底部下り傾斜面とで接触するとともに屈曲板領域の稜線部分とレール底部の底部緩斜面とで接触し、列車非通過時にレール外軌側およびレール内軌側でレール底部と上向き傾斜板領域の最先端部分とが接触する一方で列車通過時にレール外軌側でレール底部と上向き傾斜板領域の最先端部分とが接触するとともにレール内軌側でレール底部と屈曲板領域の稜線部分とが接触するように屈曲形成されていることにより、通過列車の車輪フランジ部がレール内軌側のレール頭部を押圧してレール外軌側に向けた横圧がレール頭部に負荷された場合、板バネクリップの上側平板状部とレール内軌側のレール底部との接触が上向き傾斜板領域の最先端部分から屈曲板領域の稜線部分へ転移して、レール内軌側のレール底部を押圧する上側平板状部のばね定数がレール外軌側のレール底部を押圧する上側平板状部のばね定数より高くなり、レール内軌側のレール底部を押圧する押圧力が増加するため、列車通過時に生じがちなレール外軌側への過度のレール小返りを抑制することができる。
また、レールのレール底部が、レールのレール腹部から末広がり状に連続形成した底部下り傾斜面とこの底部下り傾斜面から連続形成した底部緩斜面とを備え、上側平板状部が、レール締結時に上側平板状部の上向き傾斜板領域とレール底部の底部下り傾斜面とで接触するとともに屈曲板領域の稜線部分とレール底部の底部緩斜面とで接触するように屈曲形成されていることにより、板バネクリップがレール内軌側およびレール外軌側の底部下り傾斜面と底部緩斜面の2か所でそれぞれ着座して押圧するため、レールをレール支承体に対してより確実に位置決めして取り付けることができる。
【0013】
本請求項2に係る発明のレール締結機構によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加え、板バネクリップの下側屈曲板部が、中間湾曲板部の下端縁からタイプレートの端縁に沿って上側平板状部に向けて立ち上がる立上り板領域とこの立上り板領域の立上り端縁から上側平板状部と遊離した状態で緩い下向き勾配となるように延びてタイプレートの凸状着座部に着座するプレート対面板領域を有していることにより、板バネクリップが締結用ボルトによってレール支承体に締結された際、上側平板状部の水平性を保持した状態で板バネクリップにおける上側平板状部の上側平板領域と下側屈曲板部のプレート対面板領域との間隔が押し縮められて、締結用ボルトとこの締結用ボルトを螺合するレール支承体の埋込栓との間に板バネクリップの反発力が働くため、上向き傾斜板領域の最先端部分をレール底部に確実に接触させるとともに列車通過時の振動による締結用ボルトの緩みを防止することができる。
【0014】
(削 除)
【0015】
本請求項3に係る発明のレール締結機構によれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加え、レール支承体が、コンクリートから構成されていることにより、締結用ボルトが板バネクリップに挿通した状態でレール支承体に強固に取り付けられて、板バネクリップの中間湾曲板部がレール支承体に当接するバネ受け座台に確実に着座して保持されるため、板バネクリップの上側平板状部が、列車通過時に生じがちなレール外軌側への過度のレール小返りを抑制することができる。
【0016】
本請求項4に係る発明の板バネクリップによれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載されたレール締結機構において上側平板状部と下側屈曲板部とに挿通した状態でレール支承体に締結する締結用ボルトによりレールのレール底部をレール支承体側に向けて押圧保持することにより、レールをレール支承体に対して確実に位置決めして取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例であるレール締結機構の概要を示す斜視図。
図2図1の2A−2Aから視た一部断面を示す正面図。
図3図1の3Bから視た平面図。
図4図1に示すレール締結機構の分解組立図。
図5】(A)本実施例で用いた板バネクリップの斜め上から視た斜視図、(B)本実施例で用いた板バネクリップの斜め下から視た斜視図。
図6】本実施例で用いた板バネクリップの正面図。
図7】(A)本実施例のレール締結機構においてレール締結前の解放状態を示す図、(B)レール締結前の解放状態における板バネクリップの上向き傾斜板領域とレールのレール底部との拡大図。
図8】(A)本実施例のレール締結機構においてレールを軽く締結した後の状態を示す図、(B)軽くレール締結後の状態における板バネクリップの上向き傾斜板領域とレールのレール底部との拡大図。
図9】(A)本実施例のレール締結機構においてレールを締結した後の状態を示す図、(B)レール締結後における板バネクリップの上向き傾斜板領域とレールのレール底部との拡大図。
図10】(A)本実施例のレール締結機構においてレール締結後にレール小返りが生じた状態を示す図、(B)レール小返りが生じた状態における板バネクリップの上向き傾斜板領域とレールのレール底部との拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、レール頭部とこのレール頭部に対して幅広で平底のレール底部とを備えたレールと、このレールにおけるレール底部の下側に敷設するレールパッドと、レールとレールパッドとを包容してレールに加わる荷重を分散するタイプレートと、このタイプレートを載置して重なり合うタイプレートパッドと、タイプレートの上側に載置してレール支承体の平坦なレール設置用座面に向けてレールのレール底部を押圧する左右一対の板バネクリップと、この板バネクリップとタイプレートとタイプレートパッドとにそれぞれ設けた締結用ボルト挿通孔に順次挿通してレールをレール支承体に締結する左右一対の締結用ボルトと、レール支承体に埋め込んで締結用ボルトとそれぞれ螺合する左右一対の埋込栓と、レール設置用座面の左右両端部位にそれぞれ配置して板バネクリップを保持する左右一対のバネ受け座台とを少なくとも備えたレール締結機構であって、レールのレール底部が、レールのレール腹部から末広がり状に連続形成した底部下り傾斜面とこの底部下り傾斜面から連続形成した底部緩斜面とを備え、板バネクリップが、短冊状の鋼板を上下に湾曲させてバネ受け座台に着座する中間湾曲板部と、この中間湾曲板部の上端縁から延びてレールのレール底部に着座する上側平板状部と、中間湾曲板部の下端縁から延びてレールに加わる荷重を分散させるタイプレートの上縁部に着座する下側屈曲板部とを有し、板バネクリップの上側平板状部が、中間湾曲板部の上端縁から水平方向に延びる上側平板領域とこの上側平板領域の先端縁に沿って隣接する屈曲板領域と該屈曲板領域から斜め上方に延びる上向き傾斜板領域とを有し、上側平板領域に対する上向き傾斜板領域の屈折角度が、レール支承体に対するレールの締結時に上側平板状部の上向き傾斜板領域とレール底部の底部下り傾斜面とで接触するとともに屈曲板領域の稜線部分とレール底部の底部緩斜面とで接触し、列車非通過時にレール外軌側およびレール内軌側でレール底部と上向き傾斜板領域の最先端部分とが接触する一方で列車通過時にレール外軌側でレール底部と上向き傾斜板領域の最先端部分とが接触するとともにレール内軌側でレール底部と屈曲板領域の稜線部分とが接触するように屈曲形成され、レールをレール支承体に対して確実に位置決めして取り付けるとともに列車通過時に生じがちなレール外軌側への過度のレール小返りを抑制するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0019】
例えば、本発明のレール締結機構に適用するレール支承体の具体的形態については、コンクリートにあらかじめ引張力を作用させた鋼材を用いてコンクリートに圧縮力を与えることによって強度の高いコンクリートとしたもの、所謂、プレストレスト・コンクリート(PC)製のまくらぎであって、埋込栓が所定の埋込間隔で埋め込まれたものであれば、防振のまくらぎ、有道床弾性のまくらぎなどの何れのものであれば、何ら差し支えない。
【0020】
さらに、本発明のレール締結機構に適用するレールの具体的形態については、レール頭部に対して幅広で平底のレール底部を備えた逆T字状のレール断面を呈するもの、所謂、平底レールであれば、通常、37kgレール(長さ1mあたり37kgの重量をもつレール)、40kgレール(長さ1mあたり40kgの重量をもつレール)、50kgレール(長さ1mあたり50kgの重量をもつレール)、これより広い底部幅からなる60kgレール(長さ1mあたり60kgの重量をもつレール)などの何れのレールであっても構わない。
なお、レールのレール断面形状については、レール底部が、一定の傾斜面(底部下り傾斜面)を備えているものであっても、レール底部が、2つの異なる傾斜面、すなわち、レール腹部から末広がり状に連続形成した第1傾斜面(底部下り傾斜面)とこの第1傾斜面(底部下り傾斜面)から連続形成した第2傾斜面(底部緩斜面)との2つの傾斜面からなるレール底部上面を備えているものであっても構わない。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の一実施例であるレール締結機構100は、図1乃至図4に示すように、レールRをレール支承体Sに向けて押圧する板バネクリップ140を用いてレールRをレール支承体Sに対して確実に位置決めして取り付けるものであって、以下に詳しく説明する。
【0022】
なお、本実施例のレール締結機構100に適用するレールRの具体的なレール形態については、図2に示すように、幅広で平底のレール底部R1を備えた逆T字状のレール断面を呈する長さ1mあたり重量50kgのものであって、レールRのレール底部R1が、レールRのレール腹部R2から末広がり状に連続形成した底部下り傾斜面R1aaとこの底部下り傾斜面R1aaから連続形成した底部緩斜面R1abとの2つの傾斜面からなるレール底部上面R1aを備えたものをその対象としている。
【0023】
また、本実施例のレール締結機構100に適用するレール支承体Sについては、このレール支承体Sの天面S1と、この天面S1よりも低位置に形成された凹部の底面に位置してレールRを敷設するレール設置用座面S2と、このレール設置用座面S2の両端縁から連続して立ち上がった内方端壁面S3とを備えたものであって、コンクリートにあらかじめ引張力を作用させた鋼材を用いてコンクリートに圧縮力を与えることによって強度の高いコンクリートとしたもの、所謂、プレストレスト・コンクリート(PC)製のまくらぎをその対象としている。
【0024】
本発明の一実施例であるレール締結機構100は、図1乃至図4に示すように、レールパッド110と、タイプレート120と、タイプレートパッド130と、板バネクリップ140と、締結用ボルト150と、埋込栓160と、バネ受け座台170との組合せによるレール締結のための基本構造を備えたものであって、以下に、これらの部品について説明する。
【0025】
まず、前述したレールパッド110は、レールRのレール底部R1の少なくとも全幅に渡って敷設されてレールRの振動を弾力的に吸収し、列車通過時にレール外軌側で圧縮変形を生じてレール外軌側へのレール小返りを許容するものであって、ゴム製の矩形状パッドから構成されている。
なお、レールパッド110のゴム材質については、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム(U)などの合成ゴムや、天然ゴム(NR)などの弾性材料であれば、如何なるものであっても構わない。
【0026】
そして、本実施例のレール締結機構100で用いるタイプレート120は、レールRとレールパッド110とを係合包容してレールRに加わる荷重を分散するとともに締結用ボルト150でレール支承体Sに締結固定するものであって、鋳造品から構成されている。
さらに、このタイプレート120は、図4に示すように、内面を平坦面とし、外面を傾斜面とした断面台形状を呈する一対の突部122、122を備え、これら一対の突部122、122の相互間に載置したレールRの横圧を受け止めるものであって、一対の突部122、122が上面に形成され、この上面の中間部には、板バネクリップ140がレールRを押圧する際に突部上面に当接してレールRに対する押圧を阻止しないように板バネクリップ140の幅よりも長い上面凹部が形成され、外面の中間部には外面凹部が形成され、一対の突部122、122の外側中央にはそれぞれ締結用ボルト挿通孔121が設けられ、この締結用ボルト挿通孔121の両側には一対の山形状の凸状着座部123、123が設けられている。
【0027】
さらに、タイプレートパッド130は、タイプレート120を載置した状態で重なり合ってレールRの振動を弾力的に吸収し、列車通過時にレール外軌側で圧縮変形を生じてレール外軌側へのレール小返りをレールパッド110と協働して許容するものであって、ゴム製の矩形状パッドから構成されている。
なお、タイプレートパッド130のゴム材質については、レールパッド110と同様に、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム(U)などの合成ゴムや、天然ゴム(NR)などの弾性材料であれば、如何なるものであっても構わない。
【0028】
本実施例のレール締結機構100で用いる締結用ボルト150は、板バネクリップ140とタイプレート120とタイプレートパッド130とにそれぞれ設けた締結用ボルト挿通孔141h、143h、121、131に順次挿通してレールRをレール支承体Sに締結して左右から固定するために、レールRに対して左右一対で配置されている。
なお、締結用ボルト150は、バネ座金(スプリングワッシャ―)151と平座金(平ワッシャ―)152とを用いて埋込栓160に螺着されることは言うまでもない。
【0029】
本実施例のレール締結機構100で用いる埋込栓160は、左右一対の締結用ボルト150とそれぞれ螺合するために、レールRに対して左右一対で配置され、レール支承体Sのレール設置用座面S2に埋め込まれている。
【0030】
本実施例のレール締結機構100で用いるバネ受け座台170は、レール支承体Sのレール設置用座面S2の左右両端部位にそれぞれ配置して板バネクリップ140の中間湾曲板部142を保持するために、レールRに対して左右一対で配置されている。
【0031】
次に、本実施例のレール締結機構100が最も特徴とする板バネクリップ140について、更に詳しく説明する。
本実施例のレール締結機構100で用いる板バネクリップ140は、図1図2図4乃至図6に示すように、短冊状の鋼板を上下に湾曲させてバネ受け座台170に着座する中間湾曲板部142と、この中間湾曲板部142の上端縁142aから延びてレールRのレール底部R1に着座する上側平板状部141と、中間湾曲板部142の下端縁142bから延びてレールRに加わる荷重を分散させるタイプレート120の上縁部に着座する下側屈曲板部143とで構成され、上側平板状部141と下側屈曲板部143とからなる上下の二股構造とした板状体を呈している。
これにより、板バネクリップ140は、レールRに対して左右一対で配置するとともにタイプレート120の上側に載置され、上側平板状部141と下側屈曲板部143とに挿通した状態でレール支承体Sに締結する締結用ボルト150がレールRのレール底部R1をレール支承体S側に向けて押圧保持するため、板バネクリップ140がレール支承体Sの平坦なレール設置用座面S2に向けてレールRのレール底部R1のレール底部上面R1aを左右から押圧してレールRをレール支承体Sに対して確実に位置決めして取り付けることが可能になる。
【0032】
さらに、板バネクリップ140の上側平板状部141は、中間湾曲板部142の上端縁142aから水平方向に延びる上側平板領域141aとこの上側平板領域141aの先端縁に沿って隣接する屈曲板領域141bとこの屈曲板領域141bから斜め上方に延びる上向き傾斜板領域141cとを有している。
これにより、レールRのレール底部R1を押圧保持する上向き傾斜板領域141cに屈曲板領域141bを介して連なっている上側平板領域141aが、列車通過時に撓み変形を生じるようになっている。
【0033】
また、上述した上側平板状部141の上側平板領域141aに対する上向き傾斜板領域141cの屈折角度は、列車非通過時にレール外軌側およびレール内軌側でレール底部R1と上向き傾斜板領域141cの最先端の下側に位置する最先端部分141dとが接触する一方で列車通過時にレール外軌側でレール底部R1と上向き傾斜板領域141cの最先端部分141dとが接触するとともにレール内軌側でレール底部R1と屈曲板領域141bの下側に位置する稜線部分141eとが接触するように規定されている。
これにより、通過列車の車輪フランジ部が、レール内軌側のレール頭部R3を押圧してレール外軌側に向けた横圧がレール頭部R3に負荷された場合、板バネクリップ140の上側平板状部141とレール内軌側のレール底部R1との接触が、上向き傾斜板領域141cの最先端部分141dから屈曲板領域141bの稜線部分141eへ転移して、レール内軌側のレール底部R1を押圧する上側平板状部141のばね定数が、レール外軌側のレール底部R1を押圧する上側平板状部141のばね定数より高くなる。
さらに、板バネクリップ140の上向き傾斜板領域141cは、レール頭部R3の傾きを、通常の列車通過時に生ずるレール小返りに対して追従し、過度のレール小返りに対して抑制するため、列車走行時にレール頭部R3のレール踏面が波状に擦り減るようなレール波状摩耗の発生を抑制する。
【0034】
そして、板バネクリップ140の上側平板状部141は、上側平板領域141aに締結用ボルト150を挿通させる締結用ボルト挿通孔141hを備えている。
【0035】
他方、板バネクリップ140の下側屈曲板部143は、中間湾曲板部142の下端縁142bからタイプレート120の端縁に沿って上側平板状部141に向けて立ち上がる立上り板領域143aとこの立上り板領域143aの立上り端縁143bから上側平板状部141と遊離した状態で緩い下向き勾配となるように先端に向かって直線的に延びてタイプレート120の上面に形成された凸状着座部123に着座するプレート対面板領域143cを備え、さらに、このプレート対面板領域143cは、先端に向かって二つに分岐し、分岐部間に締結用ボルト150が挿通し得る締結用ボルト挿通孔としての結用ボルト回避スリット143hが形成され、板バネクリップ140を取り付けた際にプレート対面板領域143cの分岐部がタイプレート120の上面に形成された凸状着座部123の頂面にそれぞれ当接している。
これにより、板バネクリップ140が締結用ボルト150によってレール支承体Sに締結された際、上側平板状部141の水平性を保持した状態で板バネクリップ140における上側平板状部141の上側平板領域141aと下側屈曲板部143のプレート対面板領域143cとの間隔が押し縮められて、締結用ボルト150とこの締結用ボルト150を螺合するレール支承体Sの埋込栓160との間に板バネクリップ140の反発力が働くことになる。
なお、板バネクリップ140に用いられる鋼板の材質については、シリコンマンガン鋼鋼材、マンガンクロム鋼鋼材、クロムバナジウム鋼鋼材などのばね鋼鋼材であれば、如何なるものであっても構わない。
【0036】
次に、本発明の一実施例の機構設置状態を図面に基づいて説明する。
レール締結機構100をレール支承体Sに設置する場合、図7(A)および図7(B)に示すように、締結用ボルト150を締結する前の解放状態で、下側屈曲板部143のプレート対面板領域143cが緩い下向き勾配を有しており、このプレート対面板領域143cの下面が、タイプレート120の上面端部付近に設けられた凸状着座部123に着座するため、上側平板状部141の下面とレール底部R1のレール底部上面R1aとが離間して非接触状態となっている。
次いで、締結用ボルト150を板バネクリップ140とタイプレート120とタイプレートパッド130とにそれぞれ設けた締結用ボルト挿通孔141h、143h、121、131に順次挿通し、締結用ボルト150と埋込栓160との螺合を進める。
【0037】
そして、締結用ボルト150の締結力を締め込み規定の12〜13%程度に軽く締結した場合、図8(A)および図8(B)の板バネクリップ140で示すように、板バネクリップ140の最先端部分141dだけがレール底部上面R1aの底部下り傾斜面R1aaと接触しており、稜線部分141eがレール底部上面R1aの底部緩斜面R1abから浮いた状態になる。
【0038】
その後、締結用ボルト150を所定の締結力まで締結した場合、図9(A)および図9(B)に示すように、板バネクリップ140の上側平板状部141が、屈曲形成されているため、上側平板状部141の上向き傾斜板領域141cの下側に位置する最先端部分141dとレール底部R1の底部下り傾斜面R1aaとが接触するとともに、屈曲板領域141bの下側に位置する稜線部分141eとレール底部R1の底部緩斜面R1abとが、接触する。
これにより、板バネクリップ140は、レール内軌側およびレール外軌側の底部下り傾斜面R1aaと底部緩斜面R1abの2か所でそれぞれ着座して押圧する。
なお、締結用ボルト150を所定の締結力まで締結した際、板バネクリップ140の稜線部分141eがレール底部R1のレール底部上面R1aの底部緩斜面R1abから若干離間した状態であっても、例えば、内軌側に横圧が働いてレール小返りが生じた時に内軌側に設けられた板バネクリップ140の稜線部分141eがレール底部上面R1aの底部緩斜面R1abに接触する状態であってもよい。
【0039】
そして、図10に示すように、レール内軌側に横圧が働いてレール小返りが生じた場合、小返り量が大きくなると、レールパッド110の外軌側は、押圧されて沈み、レールパッド110のレール内軌側は、若干浮くようになる。
さらに、レール内軌側の板バネクリップ140の最先端部分141dは、レール底部上面R1aの底部下り傾斜面R1aaから離間し、板バネクリップ140の稜線部分141eだけがレール底部上面R1aの底部緩斜面R1abに接触してレール底部R1をレール支承体Sに向けて押圧保持する。
【0040】
この時、レール外軌側の板バネクリップ140の稜線部分141eは、レール底部上面R1aの底部緩斜面R1abから離間し、板バネクリップ140の最先端部分141dだけがレール底部上面R1aの底部下り傾斜面R1aaに接触してレール底部R1をレール支承体Sに向けて押圧保持する。
ここで、板バネクリップ140の押圧力は、板バネクリップ140の稜線部分141eのばね定数の方が板バネクリップ140の最先端部分141dのばね定数よりも大きいことから、内軌側のレール底部R1への押圧力が増し、レール外軌側への過度のレール小返りを抑制する。
【0041】
このようにして得られた本実施例のレール締結機構は、板バネクリップ140の上側平板状部141が、中間湾曲板部142の上端縁142aから水平方向に延びる上側平板領域141aとこの上側平板領域141aの先端縁に沿って隣接する屈曲板領域141bとこの屈曲板領域141bから斜め上方に延びる上向き傾斜板領域141cとを有していることにより、列車通過時に惹起しがちな板バネクリップ140の振動を吸収緩和することができる。
【0042】
そして、上側平板領域141aに対する上向き傾斜板領域141cの屈折角度が、列車非通過時にレール外軌側およびレール内軌側でレール底部R1と上向き傾斜板領域141cの最先端部分141dとが接触する一方で列車通過時にレール外軌側でレール底部R1と上向き傾斜板領域141cの最先端部分141dとが接触するとともにレール内軌側でレール底部R1と屈曲板領域141bの稜線部分141eとが接触するように規定されていることにより、列車通過時に生じがちなレール外軌側への過度のレール小返りを抑制することができる。
【0043】
また、板バネクリップ140の下側屈曲板部143が、中間湾曲板部142の下端縁142bからタイプレート120の端縁に沿って上側平板状部141に向けて立ち上がる立上り板領域143aとこの立上り板領域143aの立上り端縁143bから上側平板状部141と遊離した状態で緩い下向き勾配となるように延びてタイプレート120の凸状着座部123に着座するプレート対面板領域143cを有していることにより、上向き傾斜板領域141cの最先端部分141dをレール底部R1に確実に接触させるとともに列車通過時の振動による締結用ボルト150の緩みを防止することができる。
また、レールRのレール底部R1が、レールRのレール腹部R2から末広がり状に連続形成した底部下り傾斜面R1aaとこの底部下り傾斜面R1aaから連続形成した底部緩斜面R1abとを備え、上側平板状部141が、レール締結時に上側平板状部141の上向き傾斜板領域141cとレール底部R1の底部下り傾斜面R1aaとで接触するとともに屈曲板領域141bの稜線部分141eとレール底部R1の底部緩斜面R1abとで接触するように屈曲形成されていることにより、レールRをレール支承体Sに対してより確実に位置決めして取り付けることができる。
【0044】
また、レール支承体Sが、コンクリートから構成されていることにより、締結用ボルト150が板バネクリップ140に挿通した状態でレール支承体Sに強固に取り付けられて、板バネクリップ140の中間湾曲板部142がレール支承体Sに当接するバネ受け座台170に確実な着座して保持されるため、板バネクリップ140の上側平板状部141が、列車通過時に生じがちなレール外軌側への過度のレール小返りを抑制することができるなど、その効果は甚大である。
【0045】
なお、本実施例のレール締結機構は、タイプレートパッド130およびバネ受け座台170、170とレール設置用座面S2との間に高さ調整パッキンを挿入し、この高さ調整パッキンにタイプレートパッド130とバネ受け座台170とを並置状態で着座させることによって高さを調整が可能な構成としても良く、このような高さ調整パッキンを併用した場合には、レールRに生じたレール波状摩耗をレール削正して除去した後に、板バネクリップ140に当接するタイプレートパッド130とバネ受け座台170とを同時に締結用ボルト150に沿って高さ調整パッキンの厚みだけ持ち上げて高さ調整パッキンによりレールRを底上げしても、レールRに対して当接する板バネクリップ140の押圧姿勢がより一層確実に保持されるので、その効果はより一段と甚大である。
【符号の説明】
【0046】
100 ・・・ レール締結機構
110 ・・・ レールパッド
120 ・・・ タイプレート
121 ・・・ 締結用ボルト挿通孔
122 ・・・ 突部
123 ・・・ 凸状着座部
130 ・・・ タイプレートパッド
131 ・・・ 締結用ボルト挿通孔
140 ・・・ 板バネクリップ
141 ・・・ 上側平板状部
141a ・・ 上側平板領域
141b ・・ 屈曲板領域
141c ・・ 上向き傾斜板領域
141d ・・ 最先端部分
141e ・・ 稜線部分
141h ・・ 締結用ボルト挿通孔
142 ・・・ 中間湾曲板部
142a ・・ 上端縁
142b ・・ 下端縁
143 ・・・ 下側屈曲板部
143a ・・ 立上り板領域
143b ・・ 立上り端縁
143c ・・ プレート対面板領域
143h ・・ 締結用ボルト回避スリット(締結用ボルト挿通孔)
150 ・・・ 締結用ボルト
151 ・・・ バネ座金(スプリングワッシャ―)
152 ・・・ 平座金(平ワッシャ―)
160 ・・・ 埋込栓
170 ・・・ バネ受け座台
R ・・・ レール
R1・・・ レール底面
R1a・・ レール底部上面
R1aa・ 底部下り傾斜面
R1ab・ 底部緩斜面
R2・・・ レール腹部
R3・・・ レール頭部
S ・・・ レール支承体
S1・・・ 天面
S2・・・ レール設置用座面
S3・・・ 内方端壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10