特許第6692693号(P6692693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6692693
(24)【登録日】2020年4月17日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】蓄熱パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20200427BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   E04B1/76 100B
   E04B1/80 100M
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-103663(P2016-103663)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-210773(P2017-210773A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100130443
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】川添 正伸
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−077492(JP,A)
【文献】 特開2000−314187(JP,A)
【文献】 特開2008−038554(JP,A)
【文献】 特開2016−044484(JP,A)
【文献】 米国特許第05630961(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62−1/99
E04F 15/00−15/22
F24D 11/00
C09K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基材と前記基材に含浸された潜熱蓄熱材とを含む蓄熱体、
多孔質のクッション体、並びに、
前記蓄熱体及び前記クッション体を封入する袋体
を備え、
前記クッション体は圧縮変形した状態で前記袋体内に収容されており、
前記蓄熱体の一方の面は、前記袋体の一部により覆われている、蓄熱パネル。
【請求項2】
前記クッション体は、内部に空気を保持した状態で、前記蓄熱体の他方の面を覆うように前記袋体内に収容されている、請求項1に記載の蓄熱パネル。
【請求項3】
前記袋体の周縁の少なくとも一部は、対向する内面同士が接合された接合部を形成している、請求項1又は2に記載の蓄熱パネル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄熱パネルの製造方法であって、
板状の基材と前記基材に含浸された潜熱蓄熱材とを含む蓄熱体と、
多孔質のクッション体と
を、対向する一対のシート材の間に挟んで積層し、前記クッション体が圧縮変形されるように積層方向に圧縮しながら、前記シート材同士を周縁において接合させて、前記蓄熱体と前記クッション体とを、前記シート材により構成される袋体に封入する封入工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱蓄熱材を利用した蓄熱パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境性の観点から、壁材、床材、天井材、屋根材等の建材の技術分野において、室内暖房時に発生する熱エネルギーや、日射光等の自然エネルギーをより有効に活用するための研究開発が盛んであり、これらの研究開発に基づいた省エネ及びエコ対策が講じられている。
【0003】
具体的には、壁(内壁、外壁)、床、天井、屋根等の建物の部分に、蓄熱材を用いた蓄熱体を設置する技術が開発されている。ここで蓄熱材として、融点(相変化温度)以上の温度で蓄熱することができる潜熱蓄熱材が注目されており、潜熱蓄熱材を利用したさまざまな蓄熱体が提案されている。
【0004】
このような技術として、例えば特許文献1には、所定密度のエチレン−αオレフィン共重合体と結晶性有機化合物(潜熱蓄熱材)との溶融混合物を多孔質材料に含浸させた蓄熱体が開示されている。この蓄熱体では、潜熱蓄熱材が、エチレン−αオレフィン共重合体とともに多孔質材料に含浸されているので、多孔質材料からの潜熱蓄熱材の染み出しが低減される。
【0005】
一方、特許文献2、3、4には、潜熱蓄熱材を袋体又は容器に封入したものを建材における蓄熱体として用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−1281号公報
【特許文献2】実公平5−729号公報
【特許文献3】特開2012−77492号公報
【特許文献4】特開2016−44484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
潜熱蓄熱材を含む蓄熱体を、袋体に封入することにより、蓄熱体からの潜熱蓄熱材の漏えい及び揮発を抑制することができる。
【0008】
しかしながら、蓄熱体が袋体に封入された蓄熱パネルは次の問題を生じ得る。すなわち、蓄熱パネルが高温に曝されると、潜熱蓄熱材のなかで比較的融点の低い成分が気化することがあり、気化した成分は袋体内で気泡を形成し得る。蓄熱パネルのうち入熱及び出熱が行われる位置に気泡が存在すると、該位置における熱伝導効率が低下するため、蓄熱体の蓄熱性能が十分に発揮されず好ましくないと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題に鑑みて開発された本発明の蓄熱パネルは、
板状の基材と前記基材に含浸された潜熱蓄熱材とを含む蓄熱体、
多孔質のクッション体、並びに、
前記蓄熱体及び前記クッション体を封入する袋体
を備え、
前記クッション体は圧縮変形した状態で前記袋体内に収容されており、
前記蓄熱体の一方の面は、前記袋体の一部により覆われていることを特徴とする。
【0010】
本発明の蓄熱パネルでは、蓄熱体からの入熱及び出熱は、蓄熱体の一方の面が、袋体の一部により覆われ、袋体の内面と接している部分において主に行われる。本発明の蓄熱パネルが、高温条件に曝され、潜熱蓄熱材が袋体内で気化した場合、圧縮変形した状態で収容された多孔質のクッション体が、気化により発生したガスを吸収して膨張するため、蓄熱体の一方の面と、該面を覆う袋体の一部の内面とが接している部分には気泡が形成され難い。この結果、前記部分の熱伝導効率は低下せず、蓄熱体の蓄熱性能は維持される。
【0011】
本発明の好ましい態様では、前記クッション体は、内部に空気を保持した状態で、前記蓄熱体の他方の面を覆うように前記袋体内に収容されている。
【0012】
この態様によれば、空気を保持した前記クッション体が断熱層の機能を奏するため、この態様による蓄熱パネルは、前記クッション体が存在する部分での入熱及び出熱が抑えられ、この結果、該部分を通じた熱的損失が抑制される。
【0013】
本発明の好ましい態様では、前記袋体の周縁の少なくとも一部は、対向する内面同士が接合された接合部を形成している。
【0014】
この態様に係る蓄熱パネルにおいて、前記接合部は、周縁において袋体の対向する内面同士が、間に蓄熱体及びクッション体を介さずに接合されて形成されているため、前記接合部に釘やネジなどの固定具を貫通させても蓄熱体及びクッション体を損傷することがない。このため、この態様に係る蓄熱パネルによれば、前記接合部に固定具を貫通させて設置しようとする部分へ固定することが容易である。
【0015】
本発明はまた、本発明の蓄熱パネルの製造方法に関する。本発明の蓄熱パネルの製造方法は、板状の基材と前記基材に含浸された潜熱蓄熱材とを含む蓄熱体と、多孔質のクッション体とを、対向する一対のシート材の間に挟んで積層し、前記クッション体が圧縮変形されるように積層方向に圧縮しながら、前記シート材同士を周縁において接合させて、前記蓄熱体と前記クッション体とを、前記シート材により構成される袋体に封入する封入工程を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の蓄熱パネルの製造方法によれば、上記の有利な効果を奏する本発明の蓄熱パネルを簡便な工程により製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の蓄熱パネルは、高温条件に曝され潜熱蓄熱材が袋体内で気化した場合であっても、圧縮変形した状態で収容された多孔質のクッション体が、気化により発生したガスを吸収して膨張するため、蓄熱体の一方の面と、該面を覆う袋体の一部の内面とが接している部分には気泡が形成され難く、この結果、前記部分の熱伝導効率は低下せず、蓄熱体の蓄熱性能は維持される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本発明の一実施形態に係る蓄熱パネルの模式的斜視図である。
図1B図1Aに示す蓄熱パネルの、A−A’線矢視断面図である。
図2図1Aに示す蓄熱パネルの製造方法の一例を説明するための模式図である。
図3】比較例の蓄熱パネルの製造方法の一例を説明するための模式図である。
図4図1Aに示す蓄熱パネルを設置面に取り付けた状態の模式的断面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る蓄熱パネルの模式的断面図である。
図6図5に示す蓄熱パネルの製造方法の一例を説明するための模式図である。
図7図7Aは、第1実施形態の蓄熱パネルを40℃に加温し放熱させたときの、蓄熱体が配置された側の袋体の外面と、クッション体が配置された側の袋体の外面における温度の経時的測定結果を示す。図7Bは、第1実施形態の蓄熱パネルを40℃に加温し放熱させたときの、蓄熱体が配置された側の袋体の外面と、クッション体が配置された側の袋体の外面における熱流の経時的測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<1.比較例>
本発明の実施形態を説明する前に、図3を参照して、クッション体を用いずに蓄熱体10を袋体30に封入した比較例の蓄熱パネル2Aに生じ得る課題について説明する。
【0020】
図3は、比較例の蓄熱パネル2Aの製造方法を示す。まず、図3Aに示すように、板状の基材に潜熱蓄熱材を含浸した蓄熱体10を一対の第1シート材31と第2シート材32により挟んで積層配置する。このとき、第1シート材31の周縁部31aと第2シート材32の周縁部32aは、蓄熱体10を間に介さずに直接対向するように配置する。こうして形成された積層体を、ヒートシール装置などが備える枠体101と加圧板102との間に配置する。加圧板102は、ヒーターを内蔵しており、且つ、枠体101に向けて昇降可能である。枠体101は、位置が固定されており、周縁が隆起して形成される加圧板受部101aと、加圧板受部101aに囲われた凹部101bとを備える。図3Bに示すように、前記積層体を、第1シート材31の周縁部31aと第2シート材32の周縁部32aが加圧板受部101a上に乗り上げ、蓄熱体10及び第2シート材32の中央部が枠体101の凹部101bに収容される状態で枠体101に配置し、加圧板102を加熱しながら枠体101に向け近づけて、第1シート材31の周縁部31aと第2シート材32の周縁部32aを加圧板受部101aと加圧板102との間に挟み加圧し圧縮することで熱融着により接合する(熱融着工程)。これにより一対の第1シート材31と第2シート材32により形成された袋体30が構成され、その中に蓄熱体10が封入された比較例の蓄熱パネル2Aが製造される。
【0021】
この製造方法では、図3Bに示す熱融着工程での加熱により、蓄熱体10が含む潜熱蓄熱材の一部の成分が気化する場合がある。比較例の蓄熱パネル2Aは、熱融着工程後に加圧から解放されると、図3Cに示すように、気化した潜熱蓄熱材の成分が、袋体30を構成するシート材のうち加圧板102による加熱に直接さらされる第1シート材31と、蓄熱体10の一方の面である第1面10aとの間に気泡300を形成し易い。形成された気泡300は冷却後も残留する場合がある。袋体30の第1シート材31と、蓄熱体10の第1面10aとの間に気泡300が存在すると、気泡300が断熱層となるため、蓄熱体10の第1面10aの側からの、第1シート材31を介した外部との熱伝導が気泡300により妨げられ、蓄熱パネル2Aの蓄熱性能が低下する。
【0022】
また、比較例の蓄熱パネル2Aの製造時には気泡300が形成されない場合であっても、蓄熱パネル2Aを建物に設置したのちに夏場等に高温に曝されると、蓄熱体10が含む潜熱蓄熱材の一部の成分が気化し、蓄熱体10の第1面10aと、袋体30の第1シート材31との間、或いは、蓄熱体10の他方の面である第2面10bと、袋体30の第2シート材32との間に気泡300が形成される場合がある。この場合も同様に気泡300が形成された側からの蓄熱体10と外部との熱伝導が妨げられ蓄熱パネル2Aの蓄熱性能は低下する。
【0023】
本発明は、比較例のような、蓄熱体と袋体とを備える蓄熱パネルにおける蓄熱体と袋体との間での望ましくない気泡の形成を抑制する技術を提供する。以下に、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る蓄熱パネル1、1A及びその製造方法を図1A図7を参照して説明する。ただし本発明の範囲は図示する実施形態に限定されるものではない。
【0024】
<2.第1実施形態>
本発明の第1実施形態の蓄熱パネル1は、図1A図1B及び図2に示すように、板状の基材と前記基材に含浸された潜熱蓄熱材とを含む蓄熱体10、多孔質のクッション体20、並びに、蓄熱体10及びクッション体20を封入する袋体30を備える。第1実施形態では袋体30は、一対のシート材である第1シート材31と第2シート材32とが、それらの周縁部31a、32aで接合されて形成される。第1実施形態では、クッション体20は圧縮変形した状態で袋体30内に収容されている。更に、蓄熱体10の一方の面である第1面10aは、袋体30の一部である第1シート材31により覆われて、第1シート材31の内面である第1内面33と接しており、蓄熱体10が、第1面10aの側から袋体30(第1シート材31)を介して入熱及び出熱を行うことができるように構成されている。
【0025】
本実施形態に係る蓄熱パネル1は、壁(内壁、外壁)、床、天井、屋根等の建物の部分を構成する建材として単独で又は他の建材と組み合わせて使用することで、この部分に蓄熱性を付与することができる。蓄熱パネル1はパネル状(板状)の形状をしている。図示する蓄熱パネル1は、平面視においてほぼ正方形状であるが、以下に示す特徴を備えている限り、平面視において長方形状、円形状、楕円形状、多角形状など、その形状は特に限定されるものではない。
【0026】
以下では先に各構成部材の説明をした後、蓄熱パネル1による機能について説明する。
【0027】
(蓄熱体)
第1実施形態において、蓄熱体10は、潜熱蓄熱材が含浸された板状の基材により構成される。蓄熱体10の形状は、基材の形状と同様に板状である。
【0028】
本発明に用いることができる潜熱蓄熱材は、例えば、室内の暖房、日光による熱などで固相から液相に相変化する潜熱蓄熱材であり、好ましくは相変化温度(融点)は5℃〜60℃の範囲にあり、より好ましくは15℃以上であり、より好ましくは18℃以上であり、より好ましくは35℃以下であり、より好ましくは28℃以下であり、より好ましくは15℃〜35℃の範囲にあり、より好ましくは18℃〜28℃の範囲にある。本明細書において相変化温度及び融点は1atmでの値を指す。相変化温度は相転移温度ともいう。
【0029】
潜熱蓄熱材としては、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、及びn−ノナデカンからなる群から選択される少なくとも1種(2種以上の混合物であってもよい)等で構成される又は前記少なくとも1種を含む、典型的には炭素数16〜24の範囲内の炭素数を有する、n−パラフィンやパラフィンワックス等の飽和脂肪族炭化水素(好ましくは直鎖飽和脂肪族炭化水素);1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、及び1−エイコセン等からなる群から選択される少なくとも1種(2種以上の混合物であってもよい)等で構成される又は前記少なくとも1種を含む、典型的には炭素数16〜26の範囲内(好ましくは24以下)の炭素数を有する、α−オレフィン(好ましくは直鎖α−オレフィン)等の一価又は多価不飽和脂肪族炭化水素(好ましくは直鎖状の一価又は多価不飽和脂肪族炭化水素);オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、及びミリスチン酸からなる群から選択される少なくとも1種(2種以上の混合物であってもよい)等で構成される又は前記少なくとも1種を含む、典型的には炭素数6〜24、好ましくは炭素数8〜14の範囲内の炭素数を有する、中鎖又は長鎖脂肪酸;上記脂肪酸のエステル;ポリエチレングリコール(例えば分子量500〜1000)等のポリエーテル化合物;硫酸ナトリウム水和物、塩化カルシウム水和物、硫酸ナトリウム10水和物等の無機塩等を挙げることができる。好ましくは、潜熱蓄熱材は、前記飽和脂肪族炭化水素、前記一価又は多価不飽和脂肪族炭化水素、前記中鎖又は長鎖脂肪酸、前記脂肪酸のエステル及び前記ポリエーテル化合物からなる群から選択される1種又は2種以上の混合物である。
【0030】
また、上記以外に、本発明に用いる潜熱蓄熱材は、相変化温度以上でゲル状となる潜熱蓄熱材であってもよい。この態様によれば相変化温度以上で固形状からゲル状となるので、相変化温度以上になったとしても潜熱蓄熱材の形状を容易に保持することができる。
【0031】
更に、出願人が既に出願した国際公開2015/174523に開示されるように、潜熱蓄熱材と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとを含む蓄熱材組成物が、蓄熱材10に含まれてもよい。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、及びスチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)からなる群から選択される少なくとも1種(2種以上の混合物であってもよい)等を挙げることができる。
【0032】
蓄熱材10を構成する基材としては、潜熱蓄熱材を含浸し保持することができる基材であればよく、具体的には、潜熱蓄熱材を含浸し保持することができる微細な空隙を有する材料を含む多孔質基材であればよく、その材料は限定されない。
【0033】
蓄熱材10の基材の材料としては、例えば、パーティクルボード、木質繊維板(MDF、インシュレーションボード、ハードボード等)等の木質系ボードを挙げることができる。この他にも、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板等の無機質ボード;鉱物質がボード状に成形された鉱物質ボード;グラスウール、カーボンファイバー、金属繊維などの無機繊維を集積したボードなどを挙げることができる。
【0034】
蓄熱材に含まれる基材は板状の形状であればよく、その厚さは特に限定されないが、通常は3〜30mmであり、好ましくは5〜20mmである。蓄熱材10では、潜熱蓄熱材が板状の基材の厚さ方向の全体に亘って含浸されていることが好ましいが、これには限定されず、板状の基材のうち表層部分のみに潜熱蓄熱材が含浸されてもよい。板状の基材及び該基材に潜熱蓄熱材を含浸した蓄熱材10の形状は特に限定されず、図示する実施形態では、平面視においてほぼ正方形状であるが、以下に示す特徴を備えている限り、平面視において長方形状、円形状、楕円形状、多角形状など、その形状は特に限定されるものではない。
【0035】
板状の基材及び該基材に潜熱蓄熱材を含浸した蓄熱材10の厚さ方向での断面の形状は特に限定されない。蓄熱パネル1を製造する際に、図2に示すように、蓄熱材10の第2面10bの側を、第2シート材32に押し付けながら、第2シート材32を、蓄熱体10の第2面10b及び側面10cの形状に沿うように変形させて、外方に突出した収容部30Bを形成する場合には、蓄熱体10の第2面10bと側面10cとが交差する稜線部10dが、第2シート材32を内側から傷つけないように丸みを帯びるように形成されていることが好ましい。この目的では、図示するように、第2面10bと側面10cとが第1面10aの側で成す角θが90°を超える鈍角であることがより好ましい。
【0036】
(クッション体)
第1実施形態において、多孔質のクッション体20は、押圧により復元可能に圧縮変形することができる多孔質体であれば特に限定されない。ここで復元とは、完全にあるいは途中まで元の形状に戻ることを意味する。以下、同様である。クッション体20は、繊維、樹脂等の可撓性のマトリクス中に、外気と連通している複数の細孔が形成されたものであり、押圧による圧縮変形時には前記細孔内のガス(空気等)が排出されて細孔内の容積が縮小し、復元時には前記細孔が周囲の雰囲気のガスを取り込んで元の容積を復元することができる。
【0037】
クッション体20の具体的な材料は特に限定されず、例えば、不織布、織布、スポンジ、紙及びコルクから選択される1種以上の材料を含むクッション体であることができ、2種以上の材料の複合物を含むクッション体であってもよい。
【0038】
クッション体20の形状は図示する形状には限定されずいかなる形状であってもよいが、図示するようにシート状又は板状であることが好ましく、蓄熱体10の第2面10bの略全体を覆うことができるシート状の形状であることがより好ましい。
【0039】
(袋体)
第1実施形態において、袋体30は、第1シート材31と第2シート材32とが周縁の接合部30Aにより接合されたものである。第2シート32には、蓄熱体10とクッション体20とを収容するように突出した形状の収容部30Bが形成されている。
【0040】
袋体30の一方側の外面である第1外面34は、第1シート材31の外表面であって、略平面状である。袋体30の他方側の外面である第2外面36は、第2シート材32の外表面であって、収容部30Bにより突出した形状である。
【0041】
本発明において袋体を構成する材料(第1実施形態における第1シート材31及び第2シート材32を構成する材料)は、蓄熱体に含まれる潜熱蓄熱材に対して非透過性を有する限り特に限定されない。袋体のうちクッション体と接する部分(第1実施形態における第2シート材32)は、クッション体の復元による膨張に追従できるように構成されており、この観点から、袋体のうち少なくともクッション体と接する部分(第1実施形態における第2シート材32)は可撓性を有する材料により形成されていることが好ましく、袋体の全体が、可撓性を有する材料により形成されていることがより好ましい。例えば袋体を構成する材料としてはポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等の熱可塑性樹脂を挙げることができ、これらにアルミニウム箔等の金属製のシートまたはフィルムが積層されていてもよい。
【0042】
(蓄熱パネルの機能)
第1実施形態の蓄熱パネル1では、クッション体20が、圧縮変形した状態で袋体30内に収容されていることを特徴とする。クッション体20は、蓄熱体10の他方の面である第2面10bと、袋体30の他方の内面である第2内面35との間に付勢した状態で袋体30内に収容されている。
【0043】
第1実施形態の蓄熱パネル1が高温に曝され、蓄熱体10が含む潜熱蓄熱材の一部の成分が気化した場合、気化により生じたガスは、圧縮変形した状態のクッション体20の細孔に吸収され、クッション体20は吸収したガスの容積に応じて復元して僅かに膨張し、それに応じて、袋体30も変形し僅かに膨張する。仮に蓄熱体10からの潜熱蓄熱材の気化が、クッション体20が配置されていない位置(例えば蓄熱体10の第1面10a上)で生じた場合であっても、クッション体20は潜熱蓄熱材のガスを吸収して復元するため、蓄熱体10の第1面10a上のガスは、時間経過とともにクッション体20に向け移動し吸収される。このため、蓄熱パネル1では、蓄熱体10の第1面10aと袋体30の第1内面33との間に気泡が残存することを回避できる。上記の通り、第1実施形態の蓄熱パネル1では、蓄熱体10が、第1面10aの側から袋体30(第1シート材31)を介して入熱及び出熱を行うことができるように構成されている。蓄熱体10の第1面10aと袋体30の第1内面33との間に、断熱層として作用する気泡が残存しにくい構成となっていることにより、蓄熱体10の、第1面10aの側での袋体30(第1シート材31)を介した入熱及び出熱が妨げられず、蓄熱体10の蓄熱性能を十分に引き出すことができる。
【0044】
(蓄熱パネルの好適な特徴)
第1実施形態の蓄熱パネル1では、袋体30内において、蓄熱体10の第1面10aの反対側の面である第2面10bの全体を覆うようにクッション体20が収容されている。このとき、クッション体20が内部に空気を保持した状態で収容されていることが好ましい。空気を保持するクッション体20が断熱層として機能するため、蓄熱パネル1は、クッション体20が存在する側である袋体30の第2外面36の側からの入熱及び出熱が抑えられ、この部分を通じた熱的損失が抑制され、その結果、蓄熱体10の第1面10aの側からの袋体30を介した入熱及び出熱が更に効率的となるからである。
この効果を確認するために本発明者らは次の実験を行った。
【0045】
(使用した蓄熱パネル)
第1実施形態の蓄熱パネル1の具体例として以下の蓄熱パネルを製造した。
板状基材として、インシュレーションボード(300×300×9.3mm)を用いた。
【0046】
潜熱蓄熱材として、n−ヘキサデカン20質量%とn−オクタデカン80質量%の混合蓄熱材100質量部に対してスチレン系エラストマー15質量部を添加したゲル化蓄熱材を用いた。
【0047】
前記潜熱蓄熱材を溶融した液状物に前記板状基材を浸漬し、前記板状基材の単位面積当たりの潜熱蓄熱材の含浸量が5.0kg/mとなるように含浸させた。
【0048】
クッション体として、ポリエステル繊維系不織布(厚み5.6mm)を用いた。
第1シート材及び第2シート材として、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂+アルミ箔+ポリエチレン樹脂の3層積層シート(シート総厚100μm)を用いた。第1シート材と第2シート材はポリエチレン樹脂層の側が対向するように配置し熱融着により周縁部を接合して袋体を形成することができる。
【0049】
上記の部材を用い、後述する蓄熱パネル1の製造方法により、図1A,1Bに図示する第1実施形態の蓄熱パネル1と同じ構造の蓄熱パネル1を製造した。製造した蓄熱パネル1では、クッション体20は空気を保持した状態で圧縮変形され、袋体30内に収容されている。
【0050】
(試験条件)
上記で製造した蓄熱パネル1を40℃に加温したのち放熱させた。
蓄熱パネル1の、蓄熱体10が配置された側の袋体30の第1外面34と、クッション体20が配置された側の袋体30の第2外面36における温度と熱流を経時的に測定した。
【0051】
各面で測定された熱流から放熱量を求めた。
また、蓄熱パネル1において、蓄熱体10の第1面10aと第1シート材31の内面である第1内面33との、加温後の密着性も確認した。
【0052】
(結果)
温度の測定結果を図7Aに、熱流の測定結果を図7Bに示す。
放熱量を求めたところ、蓄熱体10が配置された側の袋体30の第1外面34での放熱量は648kJ/mであり、クッション体20が配置された側の袋体30の第2外面36での放熱量は393kJ/mであった。このことから、空気を保持したクッション体20により、第2外面36からの熱の出入りは40%程度減少できることが確認された。
【0053】
また、蓄熱体10の第1面10aと第1シート材31の内面である第1内面33との密着性は加温後も維持されていた。本試験で使用した潜熱蓄熱材は40℃で気化する成分を含んでいることから、蓄熱体10の第1面10aと第1シート材31の第1内面33との間の密着性が維持されたことは、加温により気化した潜熱蓄熱材の成分が、クッション体20により吸収され、蓄熱体10の第1面10aと第1シート材31の第1内面33との間に気泡を形成しなかったことを示している。
【0054】
以上のことから、第1実施形態の蓄熱パネル1の構成により、蓄熱体10の第1面10aの側からの袋体30を介した入熱及び出熱が効率化できることが確認された。
【0055】
(蓄熱パネルの別の好適な特徴)
第1実施形態の蓄熱パネル1では更に、袋体30の周縁は、対向する内面である第1内面33と第2内面35とが接合された接合部30Aを形成している。袋体30の対向する第1内面33と第2内面35とは、袋体30に内包される蓄熱体10に含まれる潜熱蓄熱材が漏出しないように接合されていればよく、接合の態様は特に限定されない。袋体30の対向する第1内面33と第2内面35との接合は融着によるものであってもよいし、接着によるものであってもよい。接合部30Aは図示するように袋体30の周縁に全周に亘って形成されていてもよいし、一部のみに形成されていてもよい。接合部30Aは所定の幅、例えば1〜10cm程度の幅、を有している。接合部30Aは、袋体30を構成する第1シート材31の周縁部31aと第2シート材32の周縁部32aとが、間に蓄熱体10及びクッション体20を介さずに接合されて形成されているため、接合部30Aに釘やネジなどの固定具を貫通させても蓄熱体10及びクッション体20を損傷することがない。このため接合部30Aには釘やネジなどの固定具を貫通させることができる。このため図4に示すように、設置部50の設置面51に第1実施形態の蓄熱パネル1を固定する場合に、固定具40の先端を、接合部30Aに貫通させ設置部50に埋設することにより固定することができる。設置部50としては例えば外壁を構成する柱材が挙げられる。図4では、設置部50が外壁を構成する柱材であり、蓄熱パネル1の、袋体30の第1シート材31の側が室内側であり、第2シート材32の側が室外側である例を示す。図4に示すように配置することにより、蓄熱パネル1に含まれる蓄熱体10は、第1シート材31を介して室内と熱の交換を行うことができる。
【0056】
接合部30Aを介した蓄熱パネル1の固定は、釘やネジなどの固定具40による態様には限定されない。例えば、図示しないが、接合部30Aに接着剤を塗布して設置面に固定することもできる。
【0057】
(蓄熱パネルの製造方法)
第1実施形態の蓄熱パネル1の好ましい製造方法を図2を参照して説明する。
まず、図2Aに示すように、潜熱蓄熱材を含浸した板状の基材を含む蓄熱体10と、多孔質のクッション体20とを、対向する一対のシート材である第1シート材31と第2シート材32とにより挟むように積層する。このとき、平面視において、第1シート材31の外郭と第2シート材32の外郭はともに、蓄熱体10の外郭及びクッション体20の外郭の全体を内包するように形成し、第1シート材31の、袋体30において第1内面33となる面の周縁部と、第2シート材32の、袋体30において第2内面35となる面の周縁部とが、蓄熱体10及びクッション体20を間に介さずに直接に対向するように配置する。
【0058】
次に、この配置の積層体を、図2Bに示すように、比較例に関して説明したのと同様の、ヒートシール装置などが備える枠体101と加圧板102との間に設置する。加圧板102は、ヒーターを内蔵しており、且つ、枠体101に向けて昇降可能である。枠体101は、位置が固定されており、周縁が隆起して形成される加圧板受部101aと、加圧板受部101aに囲われた凹部101bとを備える。図2Bに示すように、前記積層体を、第1シート材31の周縁部31aと第2シート材32の周縁部32aが加圧板受部101a上に乗り上げ、蓄熱体10、クッション体20及び第2シート材32の中央部32bが枠体101の凹部101bに収容される状態で枠体101に配置し、加圧板102を加熱しながら枠体101に向け近づけて、第1シート材31の周縁部31aと第2シート材32の周縁部32aとが、加圧板102の加熱加圧面102aの周縁部102bと、枠体101の加圧板受部101aとの間に挟まれ、且つ、第1シート材31の中央部31bと、蓄熱体10と、クッション体20と、第2シート材32の中央部32bとが、加圧板102の加熱加圧面102aの中央部102cと、枠体101の凹部101bの底面101cとの間で挟まれた状態で、積層方向に加圧し圧縮する。このとき、枠体101の凹部101bの底面101cと、加圧板102の加熱加圧面102aの中央部102cとの間で、第1シート材31の中央部31bと、蓄熱材10と、クッション体20と、第2シート材32の中央部32bとが積層方向に圧縮され、クッション体20が圧縮変形する。圧縮変形したクッション体20は、第1シート材31の中央部31bと蓄熱材10を、加圧板102の加熱加圧面102aの中央部102cに押し付けるように付勢するとともに、第2シート材32の中央部32bを枠体101の凹部101bの底面101cに押し付けるように付勢する。これによって、第1シート材31の中央部31bと蓄熱体10とクッション体20と第2シート材32の中央部32bとが隣接するもの同士で密着される。この状態で、第1シート材31と第2シート材32とが周縁部31a,32aにおいて熱融着により接合されて袋体30が形成される。形成された袋体30では、対向する内面である第1内面33と第2内面35とが周縁で接合された接合部30Aが形成されている。こうして図2Cに示すように、袋体30により蓄熱体10と圧縮変形されたクッション体20とが封入された第1実施形態の蓄熱パネル1が製造される。
【0059】
図2Bに示す熱融着工程の条件は特に限定されないが、一例を挙げれば、加圧板102による加熱温度を例えば120〜200℃の範囲、具体的には160℃とすることができ、加圧板102を、前記積層体を配置した枠体101に向け押し付ける際の圧力を例えば1〜5kg/cmの範囲、具体的には2kg/cmとすることができ、前記圧力を掛ける時間を例えば5〜20秒間の範囲、具体的には10秒間とすることができる。この条件は、第1シート材31及び第2シート材32の熱融着材料としてポリエチレン樹脂を用いる場合に特に好ましい。
【0060】
また、枠体101及び蓄熱パネル1の各部材の寸法の一例としては、枠体101の凹部101bの底面101cからの加圧板受部101aの高さを11.0mmとしたとき、厚さの合計が9.5mmとなる蓄熱体10、第1シート材31及び第2シート材32と、圧縮前の厚さが5.6mmであるクッション体20(不織布)を用いることができる。
【0061】
この製造方法では、図2Bに示す熱融着工程での加熱により、蓄熱体10が含む潜熱蓄熱材の一部の成分が気化する場合がある。特に、蓄熱体10のうち、加圧板102による加熱にさらされる第1シート材31の側の第1面10aの近傍部分で潜熱蓄熱材が気化し易い。しかし、本実施形態の蓄熱パネル1は、圧縮変形されて封入された多孔質のクッション体20を内包しているため、熱融着工程後に加圧から解放されると、潜熱蓄熱材の成分が気化して形成されるガスは、クッション体20に吸収されるため、比較例とは異なり、蓄熱体10と袋体30の第1シート材31との間に気泡が形成され難い。
【0062】
なお図2に基づく上記の製造方法の説明では、加圧板102にヒーターを内蔵して加熱する態様について説明したが、これには限らず枠体101にヒーターを内蔵して加熱することもできる。
【0063】
また、袋体30の対向する第1内面33と第2内面35との間の接合の手段として主に熱融着について説明したが、この態様には限定されず、袋体30に内包される蓄熱体10に含まれる潜熱蓄熱材が漏出しないように第1内面33と第2内面35とが接合されていればよい。例えば、第1シート材31の周縁部31aと第2シート材32の周縁部32aの対向する面間に接着剤を介在させた状態で図2Bに示すように周縁部を圧縮し接着により接合させてもよい。
【0064】
<3.第2実施形態>
第1実施形態の蓄熱パネル1の変形例として、図5に、第2実施形態の蓄熱パネル1Aを示す。
【0065】
以下の説明では、第2実施形態の蓄熱パネル1Aの、第1実施形態の蓄熱パネル1との相違点について説明し、他の特徴については説明を省略する。
【0066】
第1実施形態の蓄熱パネル1において、接合部30Aは、蓄熱体10が位置する側に配置されており、蓄熱体10の第1面10aが袋体30の第1シート材31に覆われ、蓄熱体10の第2面10bがクッション体20に覆われ、クッション体20が第2シート材32に覆われ、第2シート材32が、蓄熱体10の第2面10b及び側面10cの形状に沿うように変形されて、外方に突出した収容部30Bを形成している。
【0067】
一方、第2実施形態の蓄熱パネル1Aでは、接合部30Aが、クッション体20の側に配置されており、蓄熱体10の第2面10bが袋体30の第1シート材31に覆われ、蓄熱体10の第1面10aがクッション体20に覆われ、クッション体20が第2シート材32に覆われ、第1シート材31が、蓄熱体10の第2面10b及び側面10cの形状に沿うように変形されて、外方に突出した収容部30Bを形成している。
【0068】
第2実施形態の蓄熱パネル1Aは、第1実施形態の蓄熱パネル1と同様の方法で製造することができる。図6にその手順の概略を示す。
【0069】
まず、図6Aに示すように、潜熱蓄熱材を含浸した板状の基材を含む蓄熱体10の第1面10aの側に多孔質のクッション体20を配置し、対向する一対のシート材である第1シート材31と第2シート材32とを、蓄熱体10の第2面10bの側に第1シート材31が位置し、多孔質のクッション体20の側に第2シート材32が位置するように積層して配置する。このとき、平面視において、第1シート材31の外郭と第2シート材32の外郭はともに、蓄熱体10の外郭及びクッション体20の外郭の全体を内包するように形成し、第1シート材31の、袋体30において第1内面33となる面の周縁部と、第2シート材32の、袋体30において第2内面35となる面の周縁部とが、蓄熱体10及びクッション体20を間に介さずに直接に対向するように配置する。
【0070】
次に、上記配置の積層体を、図6Bに示すように、第1実施形態に関して説明したのと同様の、ヒートシール装置などが備える枠体101と加圧板102との間に設置する。図6Bに示すように、前記積層体を、第2シート材32が加圧板102の側に位置し、第1シート材31が枠体101の側に位置し、第2シート材32の周縁部32aと第1シート材31の周縁部31aが加圧板受部101a上に乗り上げ、蓄熱体10、クッション体20及び第1シート材31の中央部31bが枠体101の凹部101bに収容される状態で枠体101に配置し、加圧板102を加熱しながら枠体101に向け近づけ積層方向に加圧し圧縮する。このとき、枠体101の凹部101bの底面101cと、加圧板102の加熱加圧面102aの中央部102cとの間で、第2シート材32の中央部32bと、クッション体20と、蓄熱材10と、第1シート材31の中央部31bとが積層方向に圧縮され、クッション体20が圧縮変形するとともに、第2シート材32と第1シート材31とが周縁部32a,31aにおいて熱融着により接合されて袋体30が形成される。こうして図6C図6Bでの向きを上下に反転して示す)に示すように、第2実施形態の蓄熱パネル1Aが製造される。
【符号の説明】
【0071】
1:蓄熱パネル、10:蓄熱体、10a:蓄熱体10の一方の面(第1面)、10b:蓄熱体10の一方の面(第2面)、20:クッション体、30:袋体、33:袋体30の第1内面、35:袋体30の第2内面
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7