【文献】
K. Ryu et al.,,High Efficiency n-type Solar Cells with Screen-printed Boron Emitters and Ion-implanted Back Surface Field ,2012 38th IEEE Photovoltaic Specialists Conference,米国,IEEE,2012年 6月 3日,pp.2247-2249
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法を詳しく説明する。明確な説明のために、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法によって製造可能な太陽電池の一例を説明した後、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法を詳しく説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法によって製造される太陽電池の一例を示す断面図であり、
図2は、
図1に示した太陽電池の平面図である。
図2では、半導体基板と電極を中心に示している。
【0010】
図1を参照すると、本実施例に係る太陽電池100は、ベース領域10を含む半導体基板110と、半導体基板110に又は半導体基板110上に形成される導電型領域20,30と、導電型領域20,30に連結される電極42,44とを有している。ここで、導電型領域20,30としては、第1導電型を有する第1導電型領域20と、第2導電型を有する第2導電型領域30を有することができ、電極42,44としては、第1導電型領域20に連結される第1電極42と、第2導電型領域30に連結される第2電極44を有することができる。そして、太陽電池100は、第1パッシベーション膜22、反射防止膜24、第2パッシベーション膜32などをさらに有することができる。これについてより詳しく説明する。
【0011】
半導体基板110は、結晶質半導体で構成することができる。一例として、半導体基板110は、単結晶又は多結晶半導体(例えば、単結晶又は多結晶シリコン)で構成することができる。特に、半導体基板110は、単結晶半導体(例えば、単結晶半導体ウエハー、より具体的には、単結晶シリコンウエハー)で構成することができる。このように半導体基板110を単結晶半導体(例えば、単結晶シリコン)で構成すると、太陽電池100は、結晶性が高くて欠陥の少ない結晶質半導体で構成される半導体基板110を基盤とするものとなる。これによって、太陽電池100は優れた電気的特性を有することができる。
【0012】
半導体基板110の前面及び/又は背面にはテクスチャリング(texturing)を施して凹凸を形成することができる。凹凸は、一例として、外面が半導体基板110の(111)面で構成され、不規則な大きさを有するピラミッド形状を有することができる。このようなテクスチャリングによって半導体基板110の前面などに凹凸が形成されて表面粗さが増加すると、半導体基板110の前面などに入射する光の反射率を下げることができる。これによって、ベース領域10及び第1導電型領域20によって形成されたpn接合まで到達する光量を増加させることができ、光損失を最小化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体基板110の前面及び背面にテクスチャリングによる凹凸が形成されなくてもよい。
【0013】
半導体基板110は、第2導電型ドーパントを相対的に低いドーピング濃度で含むとともに第2導電型を有するベース領域10を有することができる。一例として、ベース領域10は、第1導電型領域20に比べて、半導体基板110の前面からより遠くに、又は背面とより近くに位置している。そして、ベース領域10は、第2導電型領域30に比べて、半導体基板110の前面とより近くに、背面からより遠くに位置している。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、ベース領域10の位置は変更されてもよい。
【0014】
ここで、ベース領域10は、第2導電型ドーパントを含む結晶質半導体で構成することができる。一例として、ベース領域10は、第2導電型ドーパントを含む単結晶又は多結晶半導体(例えば、単結晶又は多結晶シリコン)で構成することができる。特に、ベース領域10は、第2導電型ドーパントを含む単結晶半導体(例えば、単結晶半導体ウエハー、より具体的には、単結晶シリコンウエハー)で構成することができる。
【0015】
第2導電型はn型又はp型であってよい。ベース領域10がn型を有する場合には、ベース領域10を、5族元素である、リン(P)、ヒ素(As)、ビズマス(Bi)、アンチモン(Sb)などがドープされた単結晶又は多結晶半導体で構成することができる。ベース領域10がp型を有する場合には、ベース領域10を、3族元素である、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などがドープされた単結晶又は多結晶半導体で構成することができる。
【0016】
しかし、本発明は、これに限定されず、ベース領域10及び第2導電型ドーパントが様々な物質で構成されてもよい。
【0017】
一例として、ベース領域10をn型とすることができる。すると、ベース領域10とpn接合をなす第1導電型領域20がp型を有することになる。このようなpn接合に光が照射されると、光電効果によって生成された電子が、半導体基板110の背面側に移動して第2電極44によって収集され、正孔が半導体基板110の前面側に移動して第1電極42によって収集される。これによって、電気エネルギーが発生する。すると、電子に比べて移動速度の遅い正孔が、半導体基板110の背面ではなく前面に移動し、変換効率を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、ベース領域10及び第2導電型領域30がp型を有し、第1導電型領域20がn型を有してもよい。
【0018】
半導体基板110の前面側には、ベース領域10と反対である第1導電型を有する第1導電型領域20を形成することができる。第1導電型領域20は、ベース領域10とpn接合を形成して、光電変換によってキャリアを生成するエミッタ領域を構成する。
【0019】
本実施例では、第1導電型領域20を、半導体基板110の一部を構成するドーピング領域とすることができる。そのために、第1導電型領域20を、第1導電型ドーパントを含む結晶質半導体で構成することができる。一例として、第1導電型領域20を、第1導電型ドーパントを含む単結晶又は多結晶半導体(例えば、単結晶又は多結晶シリコン)で構成することができる。特に、第1導電型領域20は、第1導電型ドーパントを含む単結晶半導体(例えば、単結晶半導体ウエハー、より具体的には、単結晶シリコンウエハー)で構成されればよい。このように第1導電型領域20が半導体基板110の一部を構成すると、ベース領域10と第1導電型領域20との接合特性を向上させることができる。
【0020】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1導電型領域20が半導体基板11上に、半導体基板110と別個に形成されてもよい。この場合、第1導電型領域20は、半導体基板110上に容易に形成されるように、半導体基板110と異なる結晶構造を有する半導体層で構成することができる。例えば、第1導電型領域20を、蒸着などの様々な方法によって容易に製造可能な非晶質半導体、微結晶半導体、又は多結晶半導体(一例として、非晶質シリコン、微結晶シリコン、又は多結晶シリコン)などに第1導電型ドーパントをドープして形成することができる。その他の様々な変形も可能である。
【0021】
第1導電型はp型又はn型であってよい。第1導電型領域20がp型を有する場合には、第1導電型領域20を、3族元素である、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などがドープされた単結晶又は多結晶半導体で構成することができる。第1導電型領域20がn型を有する場合には、第1導電型領域20を、5族元素である、リン(P)、ヒ素(As)、ビズマス(Bi)、アンチモン(Sb)などがドープされた単結晶又は多結晶半導体で構成することができる。一例として、第1導電型領域20は、ボロンがドープされた単結晶又は多結晶半導体であってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な物質が第1導電型ドーパントとして使われてもよい。
【0022】
図面では、第1導電型領域20が全体的に均一なドーピング濃度を有する均一な構造(homogeneous structure)を有する場合を例示している。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、他の実施例として、第1導電型領域20は選択的構造(selective structure)を有してもよい。選択的構造の場合は、第1導電型領域20において、第1電極42と隣接した部分では高いドーピング濃度、大きいジャンクション深さ及び低い抵抗を有し、その他の部分では低いドーピング濃度、小さいジャンクション深さ及び高い抵抗を有することができる。その他にも、第1導電型領域20の構造、形状などには様々な構造、形状などが適用されてもよい。
【0023】
半導体基板110の背面側にはベース領域10と同じ第2導電型を有するが、ベース領域10に比べて高いドーピング濃度で第2導電型ドーパントを含む第2導電型領域30を有することができる。第2導電型領域30は、背面電界(back surface field)を形成し、半導体基板110の表面(より正確には、半導体基板110の背面)で再結合によってキャリアが損失することを防止する背面電界領域を構成する。
【0024】
本実施例では、第2導電型領域30を、半導体基板110の一部を構成するドーピング領域とすることができる。そのために、第2導電型領域30を、第2導電型ドーパントを含む結晶質半導体で構成することができる。一例として、第2導電型領域30を、第2導電型ドーパントを含む単結晶又は多結晶半導体(一例として、単結晶又は多結晶シリコン)で構成することができる。特に、第2導電型領域30は、第2導電型ドーパントを含む単結晶半導体(例えば、単結晶半導体ウエハー、より具体的には、単結晶シリコンウエハー)で構成されればよい。このように第2導電型領域30が半導体基板110の一部を構成すると、ベース領域10と第2導電型領域30との接合特性を向上させることができる。
【0025】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、第2導電型領域30が半導体基板110上に半導体基板110と別個に形成されてもよい。この場合、第2導電型領域30は、半導体基板110上に容易に形成されるように、半導体基板110と異なる結晶構造を有する半導体層で構成することができる。例えば、第2導電型領域30を、蒸着などの様々な方法によって容易に製造可能な非晶質半導体、微結晶半導体、又は多結晶半導体(一例として、非晶質シリコン、微結晶シリコン、又は多結晶シリコン)などに第2導電型ドーパントをドープして形成することができる。その他の様々な変形も可能である。
【0026】
第2導電型はn型又はp型であってよい。第2導電型領域30がn型を有する場合には、第2導電型領域30を、5族元素である、リン(P)、ヒ素(As)、ビズマス(Bi)、アンチモン(Sb)などがドープされた単結晶又は多結晶半導体で構成することができる。第2導電型領域30がp型を有する場合には、第2導電型領域30を、3族元素である、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などがドープされた単結晶又は多結晶半導体で構成することができる。一例として、第2導電型領域30は、リンがドープされた単結晶又は多結晶半導体であってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な物質が第2導電型ドーパントとして使われてもよい。そして、第2導電型領域30の第2導電型ドーパントは、ベース領域10の第2導電型ドーパントと同じ物質であってもよく、異なる物質であってもよい。
【0027】
本実施例で、第2導電型領域30は局部的構造を有することができる。すなわち、第2導電型領域30を、第2電極44と連結される部分に局部的に形成される第1部分30aとすることができる。例えば、第1部分30aがフィンガー電極44aの形成された部分に対応して局部的に形成されたり、又は第1部分30aがフィンガー電極44aの形成された部分及びバスバー電極44bの形成された部分に対応して局部的に形成され、これ以外の部分では形成されなくてもよい。すると、第2電極44と連結される部分では第2導電型領域30が位置して第2電極44との接触抵抗を低減し、優れた充密度(fill factor;FF)特性を維持することができる。そして第2電極44と連結されない部分では、ドーピング領域で構成される第2導電型領域30を形成しないことから、ドーピング領域で発生しうる再結合を低減して短絡電流密度(short−circuit current;Jsc)及び開放電圧を向上させることができる。また、第2導電型領域30が形成されない部分では優れた内部量子効率(internal quantum efficiency;IQE)値を有するので、長波長の光に対して非常に優れた特性を有する。したがって、ドーピング領域が全体的に形成された均一な構造及び選択的構造に比べて、長波長の光に対する特性を大きく向上させることができる。このように、局部的構造の第2導電型領域30は、太陽電池100の効率に関わる充密度、短絡電流密度及び開放電圧をいずれも良好に維持し、太陽電池100の効率を向上させることができる。
【0028】
しかし、本発明はこれに限定されず、
図3に示すように、第2導電型領域30が全体的に均一なドーピング濃度を有する均一な構造(homogeneous structure)を有してもよい。又は、他の実施例として、第2導電型領域30が選択的構造を有してもよい。選択的構造の場合には、第2導電型領域30において、第2電極44と隣接した部分では高いドーピング濃度、大きい(深い)ジャンクション深さ及び低い抵抗を有し、その他の部分では低いドーピング濃度、小さい(浅い)ジャンクション深さ及び高い抵抗を有することができる。その他にも、第2導電型領域30の構造、形状などには様々な構造、形状などが適用されてもよい。
【0029】
半導体基板110の前面上に、より正確には、半導体基板110に又はこの上に形成された第1導電型領域20上に、第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24が順に形成され、第1電極42が第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24を貫通して(すなわち、開口部102を通して)第1導電型領域20に電気的に連結(より具体的には、接触)される。
【0030】
第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24は、第1電極42に対応する開口部102を除いて実質的に半導体基板110の前面の全体に形成されてもよい。
【0031】
第1パッシベーション膜22は、第1導電型領域20に接触して形成されて、第1導電型領域20の表面又はバルク内に存在する欠陥を不活性化させる。これによって、少数キャリアの再結合サイトを除去し、太陽電池100の開放電圧Vocを増加させることができる。反射防止膜24は、半導体基板110の前面に入射する光の反射率を減少させる。したがって、半導体基板110の前面に入射する光の反射率を下げることによって、ベース領域10と第1導電型領域20とによって形成されたpn接合にまで到達する光量を増加させることができる。これによって、太陽電池100の短絡電流Iscを増加させることができる。このように第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24によって太陽電池100の開放電圧及び短絡電流を増加させ、太陽電池100の効率を向上させることができる。
【0032】
第1パッシベーション膜22は、様々な物質で構成されてもよい。一例として、第1パッシベーション膜22は、シリコン窒化膜、水素含有シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、MgF
2、ZnS、TiO
2及びCeO
2からなる群から選ばれるいずれか一つの単一膜又は2以上の膜が組み合わせられた多層膜の構造を有することができる。一例として、第1パッシベーション膜22は、第1導電型領域20がn型を有する場合には、固定正電荷を有するシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などを含むことができ、第1導電型領域20がp型を有する場合には、固定負電荷を有するアルミニウム酸化膜などを含むことができる。
【0033】
反射防止膜24は、様々な物質で構成されてもよい。一例として、反射防止膜24は、シリコン窒化膜、水素含有シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、MgF
2、ZnS、TiO
2及びCeO
2からなる群から選ばれるいずれか一つの単一膜又は2つ以上の膜が組み合わせられた多層膜の構造を有することができる。一例として、反射防止膜24はシリコン窒化物を含むことができる。
【0034】
しかし、本発明は、これに限定されず、第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24がその他の様々な物質を含んでもよいことは勿論である。そして、第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24のいずれか一方が、反射防止の役割及びパッシベーションの役割を併せて行い、いずれか他方は省かれてもよい。第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24以外の様々な膜が半導体基板110上に形成されてもよい。その他にも様々な変形が可能である。
【0035】
第1電極42は、第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24に形成された開口部102を通して(すなわち、第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24を貫通して)第1導電型領域20に電気的に連結される。この第1電極42は、様々な物質(一例として、金属)を含み、様々な形状を有することができる。第1電極42の形状については、
図2を参照して後述する。
【0036】
半導体基板110の背面上に、より正確には、半導体基板110に形成された第2導電型領域30上に、第2パッシベーション膜32が形成され、第2電極44が第2パッシベーション膜32を貫通して(すなわち、開口部104を通して)第2導電型領域30に電気的に連結(一例として、接触)される。
【0037】
第2パッシベーション膜32は、第2電極44に対応する開口部104を除いて実質的に半導体基板110の背面全体に形成することができる。
【0038】
第2パッシベーション膜32は、第2導電型領域30に接触して形成されて、第2導電型領域30の表面又はバルク内に存在する欠陥を不活性化させる。これによって、少数キャリアの再結合サイトを除去し、太陽電池100の開放電圧Vocを増加させることができる。
【0039】
第2パッシベーション膜32は様々な物質で構成されてもよい。一例として、第2パッシベーション膜32は、シリコン窒化膜、水素含有シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、MgF
2、ZnS、TiO
2及びCeO
2からなる群から選ばれるいずれか一つの単一膜又は2つ以上の膜が組み合わせられた多層膜の構造を有することができる。一例として、第2パッシベーション膜32は、第2導電型領域30がn型を有する場合には、固定正電荷を有するシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などを含むことができ、第2導電型領域30がp型を有する場合には、固定負電荷を有するアルミニウム酸化膜などを含むことができる。
【0040】
しかし、本発明は、これに限定されず、第2パッシベーション膜32が様々な物質を含んでもよいことは勿論である。又は、第2パッシベーション膜32以外の様々な膜が半導体基板110の背面上に形成されてもよい。その他にも様々な変形が可能である。
【0041】
第2電極44は、第2パッシベーション膜32に形成された開口部104を通して第2導電型領域30に電気的に連結される。第2電極44は、様々な物質(一例として、金属)を含み、様々な形状を有することができる。
【0042】
図2を参照して、第1及び第2電極42,44の平面形状を詳しく説明する。
【0043】
図2を参照すると、第1及び第2電極42,44は、一定のピッチを有しながら互いに離隔した複数のフィンガー電極42a,44aを有することができる。同図では、フィンガー電極42a,44aが互いに平行であり、半導体基板110の一つの縁に平行である場合を例示しているが、本発明がこれに限定されるわけではない。そして、第1及び第2電極42,44は、フィンガー電極42a,44aと交差する方向に形成されてフィンガー電極42a,44aを連結するバスバー電極42b,44bを有することができる。このようなバスバー電極42b,44bは、1つのみ設けられてもよく、又は、
図2に示すように、フィンガー電極42a,44aのピッチよりも大きいピッチを有しながら複数個が設けられてもよい。このとき、フィンガー電極42a,44aの幅よりもバスバー電極42b,44bの幅が大きくてもよいが、本発明がこれに限定されるわけではない。したがって、バスバー電極42b,44bはフィンガー電極42a,44aの幅と同一又は小さい幅を有してもよい。
【0044】
断面からみると、第1電極42のフィンガー電極42a及びバスバー電極42bは両方とも第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24を貫通して形成されている。すなわち、開口部102が第1電極42のフィンガー電極42a及びバスバー電極42bの両方に対応して形成されている。そして、第2電極44のフィンガー電極44a及びバスバー電極44bは両方とも第2パッシベーション膜32を貫通して形成されている。すなわち、開口部104が第2電極44のフィンガー電極44a及びバスバー電極44bの両方に対応して形成されている。しかし、本発明がこれに限定されるわけではない。他の例として、第1電極42のフィンガー電極42aが第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24を貫通して形成され、バスバー電極42bが第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24上に形成されてもよい。この場合には、開口部102がフィンガー電極42aに対応する形状で形成され、バスバー電極42bのみ位置している部分には形成されなくてもよい。そして、第2電極44のフィンガー電極44aが第2パッシベーション膜32を貫通して形成され、バスバー電極44bは第2パッシベーション膜32上に形成されてもよい。この場合には、開口部104がフィンガー電極44aに対応する形状で形成され、バスバー電極44bのみが位置している部分には形成されなくてもよい。
【0045】
同図では、図示を簡略にするために、第1電極42と第2電極44が互いに同じ平面形状を有するとした。しかし、本発明はこれに限定されず、第1電極42のフィンガー電極42a及びバスバー電極42bの幅、ピッチなどは、第2電極44のフィンガー電極44a及びバスバー電極44bの幅、ピッチなどと異なる値を有してもよい。特に、太陽光が相対的に多く入射する第1電極42の面積を第2電極44の面積よりも小さくするために、第1電極42のフィンガー電極42a及び/又はバスバー電極42bの幅を第2電極42のフィンガー電極44a及び/又はバスバー電極44bの幅よりも小さくしたり、又は、第1電極42のフィンガー電極42a及び/又はバスバー電極42bのピッチを第2電極42のフィンガー電極44a及び/又はバスバー電極44bのピッチよりも大きくすることができる。また、第1電極42と第2電極44の平面形状が互いに異なってもよい。その他の様々な変形が可能である。
【0046】
このように、本実施例では、太陽電池100の第1及び第2電極42,44が一定のパターンを有するので、太陽電池100は、半導体基板110の前面及び背面に光が入射する両面受光型(bi−facial)の構造を有する。これによって、太陽電池100で使われる光量を増加させ、太陽電池100の効率向上に寄与することができる。
【0047】
しかし、本発明は、これに限定されず、第2電極44が半導体基板110の背面全体を通じて形成される構造を有してもよい。また、第1及び第2導電型領域20,30と第1及び第2電極42,44が、半導体基板110の一面(例えば、背面)に併せて配置されてもよく、第1及び第2導電型領域20,30のうち少なくとも一つが、半導体基板110の両面にわたって形成されてもよい。すなわち、上述した太陽電池100は、本発明の実施例に係る太陽電池100の製造方法を適用可能な一例に過ぎず、本発明がこれに限定されるわけではない。
【0048】
本発明の実施例に係る太陽電池100の製造方法を、
図4及び
図5A〜
図5Iを参照してより詳しく説明する。
【0049】
図4は、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。
図5A〜
図5Iは、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図1及び
図2で既に説明した太陽電池100の部分についての詳細な説明は省略し、説明していない部分について詳しく説明する。
【0050】
図4を参照すると、本実施例に係る太陽電池100の製造方法は、テクスチャリング段階ST10、イオン注入による第2導電型領域形成段階ST20、ドーパント層形成段階ST30、熱処理段階ST40、除去段階ST42、絶縁膜形成段階ST50及び電極形成段階ST60を含む。さらに、第2キャッピング膜形成段階ST22、第1キャッピング膜形成段階ST32を含むことができる。これについてより詳しく説明する。
まず、
図4及び
図5Aに示すように、テクスチャリング段階ST10では、第2導電型ドーパントを有するベース領域10で構成される半導体基板110の前面及び背面の少なくとも一面が凹凸を有するようにテクスチャリングすることができる。
【0051】
一例として、本実施例で、半導体基板110を、n型のドーパント(特に、リン(P))を有するシリコン基板(一例として、シリコンウエハー)で構成することができる。しかし、本発明は、これに限定されず、ベース領域10がボロン以外のp型のドーパント又はn型のドーパントを有してもよい。
【0052】
半導体基板110の表面のテクスチャリングには、湿式又は乾式テクスチャリングを用いることができる。湿式テクスチャリングは、テクスチャリング溶液に半導体基板110を浸漬することによって行うことができる。これは、工程時間が短いという長所がある。乾式テクスチャリングは、ダイアモンドドリル又はレーザーなどを用いて半導体基板110の表面を削る方式であり、凹凸を均一に形成することはできるが、工程時間が長く、半導体基板110に損傷を招きうる。その他にも、反応性イオンエッチング(RIE)などによって半導体基板110をテクスチャリングしてもよい。このように、本発明では様々な方法によって半導体基板110をテクスチャリングすることができる。
【0053】
図面では、半導体基板110の前面及び背面の両方がテクスチャリングされ、前面及び背面に入射する光の反射を最小化する場合を例示している。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0054】
次に、
図5B乃至
図5Gに示すように、半導体基板110に又は半導体基板110上に導電型領域20,30を形成する。より具体的には、本実施例で、第1導電型領域20は、半導体基板100の一面上に、第1導電型ドーパントを含むドーパント層206を形成した後に熱処理して形成し、第2導電型領域30は、半導体基板100の他面に、第2導電型ドーパントをイオン注入(ion implant)して形成する。
【0055】
このように、ドーパント層206を半導体基板110の一面にのみ形成して熱処理することによって、半導体基板110の一面にのみ第1導電型ドーパントをドープすることができ、片面ドーピングを容易にさせるイオン注入を半導体基板110の他面に施して、半導体基板110の他面に第2導電型ドーパントを容易にドープすることができる。
【0056】
これによって、異なる導電型のドーパントを容易に半導体基板110の一面及び他面にそれぞれドープすることができる。そして、第1導電型領域20の形成時に用いられるドーパント層206の厚さ、ドーピング濃度、熱処理温度などを調節して、半導体基板110の一面に、第1導電型ドーパントを所望の注入深さ、ドーピング濃度などを有するようにドープすることができ、第2導電型領域30の形成時に用いられる、イオン注入時の注入エネルギー、注入速度などを調節して、半導体基板110の他面に、第2導電型ドーパントを所望の注入深さ、ドーピング濃度などを有するようにドープすることができる。
【0057】
本実施例では、半導体基板110の前面に配置され、p型を有する第1導電型領域20を、第1導電型ドーパントを含むドーパント層206を用いて形成し、半導体基板110の背面に配置され、第2導電型ドーパントを有する第2導電型領域30を、イオン注入した後に活性化熱処理して形成する例を示している。すると、ドーパント層206を用いた熱処理によって第1導電型領域20を半導体基板110の前面全体を通じて容易に形成することができる。そして、半導体基板110の背面に位置して背面電界領域として構成される第2導電型領域30を、所望の形状に形成することができる。すなわち、
図1に示したように、第2導電型領域30が局部的な構造の第1部分30aで構成される場合、マスクなどを用いたイオン注入によって、所望の形状の第2導電型領域30を容易に形成することができる。
【0058】
特に、第1導電型領域20の第1導電型ドーパントがp型を有し、ベース領域10及び第2導電型領域30の第2導電型ドーパントがn型を有する場合に、工程をより一層単純化することができる。これと逆に、第1導電型ドーパントがn型を有し、第2導電型ドーパントがp型を有する場合には、第2導電型ドーパントを含む第2導電型領域30は、第2電極44に含まれた物質(例えば、アルミニウム)を拡散させて形成することができる。すると、第2導電型領域30を形成する工程を別に行わなくて済む。一方、本実施例のように第2導電型領域30がn型を有する場合には、第2導電型領域30を形成する工程を行わなければならないが、本実施例では、これをイオン注入で形成し、工程をより単純化することができる。
【0059】
第1及び第2導電型領域20,30を形成する工程をより詳しく説明する。まず、
図4及び
図5Bに示すように、第2導電型領域形成段階ST20では、半導体基板110の背面に第2導電型ドーパントをイオン注入して第2導電型領域30を形成することができる。イオン注入によれば片面ドーピングが可能であり、よって、半導体基板110の前面に第2導電型ドーパントをイオン注入せず、半導体基板110の背面にのみ第2導電型ドーパントをイオン注入することができる。
【0060】
図5Bでは、第1部分30aに対応する開口部200aを有するマスク200を配置した状態で第2導電型ドーパントをイオン注入をし、局部的構造の第2導電型領域30を形成することができる。マスク200を具備しないで第2導電型ドーパントをイオン注入すると、
図3に示したように、均一な構造の第2導電型領域30を形成することができる。
【0061】
例えば、イオン注入には、リボン状ビーム(ribbon beam)を用いたイオン注入、プラズマドーピング(plasma assisted doping;PLAD)を用いたイオン注入などを利用することができる。しかし、本発明は、これに限定されず、様々な方式のイオン注入が利用されてもよい。
【0062】
図面では、第2導電型領域30が半導体基板110の一部を構成するドーピング領域で構成された例を示しているが、本発明がこれに限定されるわけではない。すなわち、第2導電型領域30が半導体基板110の背面上に形成され、第2導電型ドーパントのドープされた半導体層で構成されてもよい。この場合には、半導体基板110の背面上に半導体層を形成した後、イオン注入によって半導体層に第2導電型ドーパントをイオン注入して第2導電型領域30を形成することができる。その他の様々な変形も可能である。
【0063】
次に、
図4及び
図5Cに示すように、第2キャッピング膜形成段階ST22では、第2導電型領域30上に第2キャッピング膜202を形成することができる。第2キャッピング膜202は、第2導電型領域30の活性化熱処理時に第2導電型ドーパントが外部に拡散することを防止する外部拡散防止膜の役割を担うことができる。そして、本実施例では、第2キャッピング膜202をまず形成した後に第1導電型領域20を形成するので、第2キャッピング膜202は、第1導電型領域20形成時に第1導電型ドーパントが第2導電型領域30にドープされることを防止する役割を担うこともできる。したがって、第1導電型ドーパントによって第2導電型領域30の特性が低下することを防止することができる。
【0064】
第2キャッピング膜202は様々な物質を含むことができる。また、第2キャッピング膜202は様々な方法で形成されてもよい。
【0065】
例えば、第2キャッピング膜202は酸化物を含むことができ、より具体的には、シリコン酸化物を含むことができる。酸化物(特に、シリコン酸化物)を含む第2キャッピング膜202は、ドーパントの侵入又は漏れを防止するバリアー効果に優れるとともに、低コストで簡単な方法によって容易に形成可能である。
【0066】
また、第2キャッピング膜202は、蒸着によって形成することができる。すると、第2キャッピング膜202の後に、第1導電型領域20を形成するためのドーパント層206に用いられるのと同じ蒸着装置によって第2キャッピング膜202を形成することができる。すなわち、第2キャッピング膜202とドーパント層206をイン−サイチュ(in−situ)工程によって形成し、工程を単純化することができる。その詳細については後述する。第2キャッピング膜202は、400℃〜500℃の温度で、酸素の供給源である酸素気体、シリコンの供給源であるシリコン含有気体(一例として、シラン気体)、キャリア気体である窒素気体を含む原料気体を用いて形成することができる。このとき、プラズマを使用しない常圧化学気相蒸着(APCVD)によって第2キャッピング膜202を形成することができる。すると、プラズマ使用時に発生しうるプラズマ損傷無しで第2キャッピング膜202を形成し、第2導電型領域30の特性を向上させることができる。
【0067】
第2キャッピング膜202は、第2導電型領域30中の第2導電型ドーパントが外部に漏れることを防止し、且つ外部の不純物又は第1導電型ドーパントなどが内部に侵入することを防止し得るような厚さを有することができる。一例として、第2キャッピング膜202は20nm以上の厚さを有することができる。第2キャッピング膜202の厚さが20nm未満であると、第2キャッピング膜202による効果を十分に得ることができない。第2キャッピング膜202の厚さの上限に制限はないが、第2キャッピング膜202の厚さが大きすぎると、工程時間が増加しうる。このため、第2キャッピング膜202の厚さは、一例として100μm以下(例えば、10μm以下)であってもよい。
【0068】
しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2キャッピング膜202の物質、製造工程、厚さなどは様々な変形が可能である。
【0069】
次に、
図4及び
図5Dに示すように、ドーパント層形成段階ST30では、半導体基板110の前面上に、第1導電型ドーパントを含むドーパント層206を形成する。ドーパント層206は、半導体基板110の前面上に全体を通じて形成することができる。すると、簡単な工程によってドーパント層206を形成することができ、熱処理によって半導体基板110の前面の全体に第1導電型領域20を形成することができる。
【0070】
ドーパント層206は、第1導電型ドーパントを含む様々な物質で構成された層であってもよい。一例として、ドーパント層206は、第1導電型ドーパントを含むシリケートガラス(silicate glass)で構成することができる。例えば、ドーパント層206によって形成される第1導電型領域20がp型である場合には、ドーパント層206がp型を示し得る3族元素(例えば、ボロン)を含むシリケートガラスであってもよい。一例として、ドーパント層206がボロンシリケートガラス(boronsilicate glass ;BSG)であってもよい。このようにドーパント層206が第1導電型ドーパントを含むシリケートガラスで構成されると、熱処理時に第1導電型ドーパント以外の、半導体基板110の内部に拡散する物質を最小化することができる。また、第1導電型ドーパントを含むシリケートガラスを蒸着によって容易に形成することができる。
【0071】
本実施例では、半導体基板110がn型を有し、第1導電型領域20がp型を有することから、第1ドーパント層206がp型のドーパントを含むことを例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、半導体基板110がp型を有し、第1導電型領域20がn型を有することから、ドーパント層206がn型である場合には、n型のドーパント(例えば、リン)を含むシリケートガラス(一例として、リンシリケートガラス(phosphorous silicate glass、PSG))であってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1ドーパント層206はその他の様々な物質で構成されてもよい。
【0072】
ドーパント層206は、蒸着によって形成することができる。ドーパント層206は、400℃〜500℃の温度で、酸素の供給源である酸素気体、シリコンの供給源であるシリコン含有気体(例えば、シラン気体)、キャリア気体である窒素気体、そして第1導電型ドーパントの供給源であるドーパント含有気体(例えば、ボロン含有気体、一例としてジボラン(B
2H
6)気体)を含む原料気体を用いて形成することができる。一例として、シラン気体の投入量sccm:ジボラン気体の投入量の比率が1:0.06〜1:0.2であってもよい。この範囲内で所望の第1導電型領域20のドーピング濃度を実現できる濃度で第1導電型ドーパントを含むドーパント層206を形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものでなく、原料気体の投入量、各気体の投入量の比率などは様々に変形されてもよい。
【0073】
このとき、ドーパント層206は、プラズマを使用しない常圧化学気相蒸着によって形成することができる。すると、プラズマ使用時に発生しうるプラズマ損傷無しでドーパント層206を形成でき、第1及び第2導電型領域20,30の特性を向上させることができる。
【0074】
このように、ドーパント層206は第2キャッピング膜202と同様に、蒸着(特に、常圧化学気相蒸着)によって形成することができ、工程温度も同一又は類似(一例として、100℃以下の差)である。ただし、第2キャッピング膜202の形成のための原料気体とドーパント層206の形成のための原料気体、原料気体の分圧などに相違がある。より具体的には、第2キャッピング膜202の形成時には酸素気体、シリコン含有気体、キャリア気体を使用し、ドーパント層206の形成時には酸素気体、シリコン含有気体、キャリア気体及びドーパント含有気体を使用する。これによって、第2キャッピング膜202とドーパント層206を、半導体基板110を外部に取り出さないで連続工程で行うイン−サイチュ工程によって形成することができる。
【0075】
蒸着装備内の温度は、長い時間に熱を加えたり熱を冷ますことによって調節可能であり、温度を安定化するには長い時間がかかるのに対し、原料気体の種類及び圧力は、蒸着装置内に供給される気体の種類、量などによって調節可能である。したがって、気体雰囲気及び圧力は温度に比べて容易に制御可能である。
【0076】
このため、ドーパント層206は、第2キャッピング膜202の形成後に供給される気体の種類を変更し、供給される気体の量を調節することによって形成することができる。例えば、第2キャッピング膜202の形成が完了した後に、第2キャッピング膜202の形成に使われた気体(例えば、酸素気体、窒素気体、塩素気体など)をポンピング(pumping)及びパージ(purge)によって除去した後に、ドーパント層206を形成するための気体(例えば、半導体物質を含む気体など)を注入することによってドーパント層206を形成することができる。
【0077】
ドーパント層206は、第1導電型領域20の特性を向上させる厚さを有することができる。
【0078】
一例として、ドーパント層206は、50nm〜120nmの厚さを有することができる。ドーパント層206の厚さが50nm未満であると、ドーパント層206内の第1導電型ドーパントの量が十分でなく、これによって形成される第1導電型領域20が十分に形成されないか、第1導電型領域20の面抵抗均一度が低下しうる。ドーパント層206の厚さが120nmを超えると、半導体基板110に形成された第1導電型領域20がドーパントリッチ層(例えば、ボロンリッチ層(boron rich layer;BRL)となり得る。すると、第1導電型ドーパントの濃度が高くなり、浅いエミッタ(shallow emitter)を形成し難く、その結果、電流密度が低くなって太陽電池100の効率が低下しうる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、ドーパント層206の物質、製造工程、厚さなどは様々な変形が可能である。
【0079】
又は、ドーパント層206の厚さは第2キャッピング膜202の厚さよりも厚くてもよい。すると、ドーパント層206は十分なドーピングのための厚さを有しなければならない一方、第2キャッピング膜202は最小限の厚さのみを有すればいいので、第2キャッピング膜202の厚さを相対的に小さくし、製造工程にかかる時間及びコストを低減することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2キャッピング膜202は、ドーパント層206の厚さと同一又は大きい厚さを有してもよい。
【0080】
続いて、
図4及び
図5Eに示すように、第1キャッピング膜形成段階ST32では、第1導電型領域20上に第1キャッピング膜204を形成することができる。第1キャッピング膜204は、第1導電型領域20の形成のための熱処理時に第1導電型ドーパントが外部に拡散することを防止する外部拡散防止膜の役割を担うことができる。
【0081】
第1キャッピング膜204は様々な物質を含むことができ、様々な方法によって形成されてもよい。
【0082】
例えば、第1キャッピング膜204は酸化物を含むことができ、より具体的には、シリコン酸化物を含むことができる。酸化物(特に、シリコン酸化物)を含む第1キャッピング膜204は、ドーパントの侵入又は漏れを防止するバリアー効果に優れるとともに、低い製造コストで簡単な方法によって容易に形成可能である。
【0083】
そして、第1キャッピング膜204は蒸着によって形成することができる。すると、第1キャッピング膜204の形成後に第1導電型領域20の形成のために形成するドーパント層206と同じ蒸着装置によって第1キャッピング膜204を形成することができる。すなわち、第2キャッピング膜202、ドーパント層206及び第1キャッピング膜204をイン−サイチュ工程によって形成し、工程を単純化することができる。第1キャッピング膜204は、400℃〜500℃の温度(第2ドーピング膜202を形成する温度又はドーパント層206を形成する温度と100℃以内の差を有する温度)で、酸素の供給源である酸素気体、シリコンの供給源であるシリコン含有気体(一例として、シラン気体)、キャリア気体である窒素気体を含む原料気体を用いて形成することができる。すなわち、第1キャッピング膜204は、原料気体を変更することによってドーパント層206の形成後に連続して形成することができる。この時、第1キャッピング膜204は、プラズマを使用しない常圧化学気相蒸着によって形成することができる。すると、プラズマ使用時に発生しうるプラズマ損傷無しで第1キャッピング膜204を形成することができ、第1及び第2導電型領域20,30の特性を向上させることができる。
【0084】
第1キャッピング膜204は、第1導電型領域20中の第1導電型ドーパントが外部に漏れることを防止し、外部の不純物などが内部に侵入することを防止し得る厚さを有することができる。一例として、第1キャッピング膜204は20nm以上の厚さを有することができる。第1キャッピング膜204の厚さが20nm未満であると、第1キャッピング膜204による効果を十分に得ることができない。第1キャッピング膜204の厚さの上限に限定はないが、第1キャッピング膜204の厚さが大きすぎると工程時間が増加しうる。一例として、第1キャッピング膜204の厚さは100μm以下(例えば、10μm以下)であってもよい。
【0085】
しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1キャッピング膜204の物質、製造工程、厚さなどには様々な変形が可能である。
【0086】
次に、
図4及び
図5Fに示すように、熱処理段階ST40では、熱処理によってドーパント層206の第1導電型ドーパントを拡散させて第1導電型領域20を形成し、第2導電型領域30内の第2導電型ドーパントを活性化させる。
【0087】
熱処理によってドーパント層206の第1導電型ドーパントが半導体基板110の前面側に拡散することによって、半導体基板110の前面に第1導電型領域20が形成される。この時、第1キャッピング膜204は、第1導電型ドーパントが外部に拡散することを防止し、第1導電型ドーパントを半導体基板110の内部に効果的に拡散させる。
【0088】
イオン注入によって半導体基板110の背面側に注入された第2導電型領域20内の第2導電型ドーパントは、イオン注入の直後に格子位置以外の位置に位置することがあるが、こうなると、ドーパントとしての役割を効果的に果たし難い。このため、活性化熱処理を行って第2導電型ドーパントを格子位置に移動させ、ドーパントとしての役割を効果的に果たすようにする。そして、半導体基板110の表面側に位置する第2導電型ドーパントを内部に拡散させ、第2導電型領域30が十分のジャンクション深さを有するようにしてもよい。
【0089】
本実施例では、ドーパント層206中の第1導電型ドーパントを拡散させ、第1導電型領域20を形成するための熱処理において第2導電型領域30の活性化熱処理を併せて行うことで、簡単な工程によって第1導電型領域20を形成し、第2導電型領域30を活性化させることがきる。
【0090】
これによって、第1導電型領域20と第2導電型領域30に必要な熱処理を一度だけ行えばいいので、工程を単純化することができる。一例として、熱処理温度が900℃〜1100℃(一例として、920℃〜1030℃)であってもよい。これは、第1導電型ドーパントの拡散及び第2導電型ドーパントの活性化に適した温度であるが、本発明はこれに限定されず、熱処理温度が様々な値を有してもよい。
【0091】
そして、熱処理は、高温の炉(furnace)内で窒素気体などを用いて行うことができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、活性化熱処理のための装置、気体などは様々な変形が可能である。
【0092】
本実施例では、第1導電型領域20の形成のための熱処理と第2導電型領域30の活性化熱処理を同時に行って工程を単純化する。しかし、本発明は、これに限定されず、第1導電型領域20の形成のための熱処理と第2導電型領域30の活性化熱処理を個別に行ってもよい。例えば、第2導電型領域30及び第2キャッピング膜202を形成し、第2導電型領域30を活性化熱処理した後に、ドーパント層206及び第1キャッピング膜204を形成し、第1導電型領域20の形成のための熱処理を行うこともできる。又は、ドーパント層206及び第1キャッピング膜204を形成し、第1導電型領域20の形成のための熱処理をした後に、第2導電型領域30及び第2キャッピング膜202を形成し、第2導電型領域30を活性化熱処理することもできる。すると、第2導電型領域30に最適化された温度で(すなわち、第2導電型ドーパントの活性化に最適化された温度で)活性化熱処理を行い、第1導電型領域20の形成に最適化された温度で(すなわち、第1導電型ドーパントの拡散又はドーピングに最適化された温度で)第1導電型領域20を熱処理することができる。その他の様々な変形も可能である。
【0093】
図面では、第1導電型領域20が半導体基板110の一部を構成するドーピング領域で構成された例を示しているが、本発明がこれに限定されるわけではない。例えば、第1導電型領域20が半導体基板110の前面上に形成され、第1導電型ドーパントのドープされた半導体層で構成されてもよい。この場合には、半導体基板110の前面上に半導体層を形成し、その上にドーパント層206を形成した後、熱処理によってドーパント層206内の第1導電型ドーパントを半導体層に拡散させて第1導電型領域20を形成することができる。その他の様々な変形も可能である。
【0094】
そして、本実施例では、第1導電型ドーパントを含むドーパント層206を形成した後に、ドーパント層206内の第1導電型ドーパントを拡散させて第1導電型領域20を形成する例を示した。しかし、本発明がこれに限定されるわけでない。例えば、熱拡散が可能な工程温度で、第1導電型ドーパントを含む気体を供給して半導体基板110に第1導電型ドーパントを拡散又はドープする熱拡散工程によって第1導電型領域20を形成することもできる。この場合には、ドーパントを含むドーパント含有気体としてボロン含有気体(例えば、BBr
3)を使用することができる。その他の様々な変形も可能である。
【0095】
続いて、
図4及び
図5Gに示すように、除去段階ST42では、ドーパント層206及びキャッピング膜202,204を除去する。ドーパント層206及びキャッピング膜202,204は様々な方法によって除去することができ、例えば、希釈したフッ酸(diluted HF)を用いて除去することができる。これで、第1及び第2導電型領域20,30の形成工程を完了することができる。
【0096】
次に、
図4及び
図5Hに示すように、絶縁膜形成段階ST50では、半導体基板110の前面上(又は第1導電型領域20上)及び/又は半導体基板110の背面上(又は第2導電型領域30上)に絶縁膜を形成する。
【0097】
より具体的に、本実施例では、第1導電型領域20上に第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24を形成し、第2導電型領域30上に第2パッシベーション膜32を形成する。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1及び第2パッシベーション膜22,32又は反射防止膜24のいずれかのみを形成してもよい。
【0098】
第1パッシベーション膜22、反射防止膜24及び/又は第2パッシベーション膜32は、真空蒸着法、化学気相蒸着法、スピンコーティング、スクリーン印刷又はスプレーコーティングなどのような様々な方法によって形成することができる。
【0099】
次に、
図4及び
図5Iに示すように、電極形成段階ST60では、第1及び第2導電型領域20,30にそれぞれ連結される第1及び第2電極42,44を形成する。
【0100】
一例として、第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24に開口部102を形成し、第2パッシベーション膜32に開口部104を形成した後、開口部102,104内にメッキ法、蒸着法などの様々な方法によって導電性物質を形成して第1及び第2電極42,44を形成することができる。
【0101】
他の例として、第1及び第2電極形成用ペーストを第1パッシベーション膜22及び反射防止膜24、及び/又は第2パッシベーション膜32上にスクリーン印刷などによって塗布した後に、ファイアスルー(fire through)又はレーザー焼成コンタクト(laser firing contact)などを行って、上述した形状の第1及び第2電極42,44を形成することもできる。この場合には、第1及び第2電極42,44を形成する際(特に、焼成する際)に開口部102,104が形成されるので、開口部102,104を形成する別の工程を追加しなくて済む。
【0102】
本実施例によれば、第2導電型領域30をイオン注入によって形成し、第1導電型領域20を、第2導電型領域30とは異なる方法によって形成する。これによって、第1導電型領域20ではイオン注入をしなくて済み、イオン注入によるコストの負担を軽減することができる。そして、第2導電型領域30が全体的に形成される場合だけでなく、第2導電型領域30が局部的に形成される場合にも適用可能である。このとき、第1導電型領域20は熱処理による拡散によって形成するので、第1及び第2導電型領域20,30を形成する上で必要な工程の数を減らすことができる。第1導電型領域20の形成のための熱処理及び第2導電型領域30の活性化熱処理を併せて行うことによって、必要な工程をより一層単純化させることができる。
【0103】
このとき、イオン注入によって第2導電型領域30を形成し、第2キャッピング膜204を形成した後、第1導電型領域20の形成のためのドーパント層206を形成することができる。すると、ドーパント層206を形成する時、第1導電型ドーパント又は不純物が第2導電型領域30側にドープされたり侵入することを防止することができる。
【0104】
上述したような特徴、構造、効果などは本発明の少なくとも一つの実施例に含まれるが、必ずしも一つの実施例に限定されない。なお、各実施例で例示された特徴、構造、効果などは、実施例の属する分野における通常の知識を有する者にとって、他の実施例と組合せ又は変形して実施されてもよい。したがって、このような組合せ又は変形に関する内容は本発明の範囲に含まれるものとして解釈しなければならない。