(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6692916
(24)【登録日】2020年4月17日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】ピストンポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 5/02 20060101AFI20200427BHJP
【FI】
F04B5/02
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-546446(P2018-546446)
(86)(22)【出願日】2017年2月17日
(65)【公表番号】特表2019-507285(P2019-507285A)
(43)【公表日】2019年3月14日
(86)【国際出願番号】EP2017053696
(87)【国際公開番号】WO2017153153
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2018年9月3日
(31)【優先権主張番号】102016203847.8
(32)【優先日】2016年3月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】パヴェレッツ,アントン
(72)【発明者】
【氏名】クラッツァー,ディエトマール
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−041148(JP,A)
【文献】
特開2005−180332(JP,A)
【文献】
特開2008−101788(JP,A)
【文献】
特表2015−530513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車のためのピストンポンプであって、ハウジング内に移動可能に支承されたピストン(8)と、前記ピストン(8)を第1の方向に移動させるためのリニアアクチュエータ(4)と、前記ピストン(8)を第2の方向に移動させるためのリターンスプリング(23)とを有しており、前記ピストン(8)が第1の端部(10)により端面側で、液圧回路に接続されている第1の圧力室(11)を画定している形式のものにおいて、
前記ピストン(8)が第2の端部(18)により端面側で第2の圧力室(17)を画定していて、
前記第1の圧力室(11)が第1のハウジング部分(3)内に配置され、前記第2の圧力室(17)が第2のハウジング部分(2)内に配置されており、前記2つのハウジング部分(2,3)がコイル(6)を有する前記リニアアクチュエータ(4)を包囲しながら互いに密に当接し合っていて、前記コイル(6)は前記第1のハウジング部分(3)と前記第2のハウジング部分(2)との間に配置されており、
前記2つのハウジング部分(2,3)が、互いに一直線に並んでいる複数の孔(24,25)を有しており、これらの孔(24,25)が、流体技術的に一方側で前記圧力室(11,17)のそれぞれ1つに接続されていて、これらの孔(24,25)のうちの一つの孔(25)が、他方側で消費器に接続されていて、
前記複数の孔(24,25)の少なくとも一つの孔(24)は、前記第2のハウジング部分(2)内の孔(24 ′)および前記第1のハウジング部分(3)内の孔(24 ″)によって形成されていることを特徴とする、ピストンポンプ。
【請求項2】
前記リニアアクチュエータ(4)が、前記ピストン(8)に堅固に結合された可動子(7)と、前記ピストン(8)に対して同軸的にハウジング固定して配置された固定子(5)とを有しており、前記固定子(5)が2つの圧力室(11,17)の間に配置されていることを特徴とする、請求項1記載のピストンポンプ。
【請求項3】
前記第2の圧力室(17)が前記液圧回路に接続されていることを特徴とする、請求項1または2記載のピストンポンプ。
【請求項4】
前記圧力室(11,17)がそれぞれ少なくとも1つの逆止弁(13,14,19,20)を有していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のピストンポンプ。
【請求項5】
前記各圧力室(11,17)が、吸込みライン接続部に第1の、また吐出ライン接続部に第2の逆止弁(13,14,19,20)を有していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のピストンポンプ。
【請求項6】
互いに一直線に並んでいる前記複数の孔に少なくとも1つのシールエレメント(26,29)、特にOリングが配設されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のピストンポンプ。
【請求項7】
前記ハウジング部分(2,3)の一方が前記孔(24,25)の領域内で突起(27)を有していて、前記ハウジング部分(3,2)の他方が前記突起(27)に対応する凹部(28)を有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のピストンポンプ。
【請求項8】
前記突起が、前記凹部(28)内で摩擦締結式および/または形状締結式に保持されていることを特徴とする、請求項7記載のピストンポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車のためのピストンポンプであって、ハウジング内に移動可能に支承されたピストンと、ピストンを第1の方向に移動させるためのリニアアクチュエータと、ピストンを第2の方向に移動させるためのリターンスプリングとを有しており、この場合、ピストンが第1の端部により端面側で、第1の液圧回路に対応配設されている第1の圧力室を画定している形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べた形式のピストンポンプは従来技術により公知である。自動車の様々なシステムは液圧式に操作される。これには特に、制動力支援のためのまたは制動力形成のための、ブレーキ圧を調量するために用いられる単数または複数の高圧ポンプを有する車両ブレーキ装置が含まれる。一般的な形式で、この高圧ポンプはピストンポンプとして構成されており、このピストンポンプにおいて、ポンプ室の体積を周期的に増大および縮小させるために、シリンダ内で移動可能に支承されたピストンがアクチュエータによって周期的に若しくは振動しながら移動せしめられる。ポンプ室は例えば1つまたは2つの逆止弁によって液圧回路に接続されているので、ピストンの第1の運動時に液圧媒体がポンプ室内に吸い込まれ、第2の運動時に再び押し退けられる。ピストンを運動させるためのアクチュエータをリニアアクチュエータとして構成することは公知であり、このリニアアクチュエータによってピストンは第1の運動方向にアクチュエータ力によって負荷可能である。この場合、運動力は磁力によって生ぜしめられ、磁力はアクチュエータの通電されたマグネットコイルによって提供される。これによって、ピストンの運動は一方方向だけに可能であるので、ピストンにはさらにリターンスプリングが対応配設されており、このリターンスプリングは、操作工程終了後にピストンを初期位置に戻し移動させる。
【0003】
公知の解決策における欠点は、提供された操作力および操作頻度、並びにリニアアクチュエータによって要求される比較的高いエネルギ必要量である。特に、回転式の電動機と比較して、特にピストンが交互に異なる運動方向に加速されなければならないために、エネルギ必要量が高くなる。
【発明の概要】
【発明の効果】
【0004】
請求項1の特徴を有する本発明によるピストンポンプは、ピストンポンプの効率が高められるので、リニアアクチュエータを有するピストンポンプの利点を自動車の高圧使用時においても利用できるという利点を有している。リニアアクチュエータによって、ピストン運動は、その振幅および周波数を変えることによって互いに依存することなく制御され得る。これによって、より精確な圧力上昇が所望の時点で確実に実現され得る。さらに、アクチュエータとしての回転式の電動機とは異なり、雑音および摩耗が減少される。特に耐用年数を制限する弱い箇所、例えばボールベアリングおよび整流子装置またはスリップリング装置は省略される。さらに、本発明によるピストンポンプによって、特に車両ブレーキ装置の要求に適合したポンピング性能が提供される。本発明によれば、これは、ピストンが第2の端部により端面側で第2の圧力室を画定していることによって得られる。これによって、ピストンがどの方向に移動せしめられるかに依存することなしに、ポンピングおよび吸込み工程が、それぞれ1つの圧力室内へのピストンの移動によって実施される。これによって、ピストンポンプの吐出し量は倍増される。
【0005】
本発明の好適な発展形態によれば、リニアアクチュエータが、ピストンに堅固に結合された可動子と、ピストンに対して同軸的にハウジング固定して配置された固定子とを有しており、この場合、固定子が2つの圧力室の間に配置されている。これによって、ピストンポンプは特にコンパクトな形状を有しており、この形状において、固定子およびひいてはリニアアクチュエータが概ね2つの圧力室間に配置されている。
【0006】
また、好適には、第2の圧力室が第1の液圧回路に対応配設されている。これにより、ピストンポンプは液圧回路内で液圧を生ぜしめるために用いられ、この場合、ピストンの運動方向とは無関係に圧力がこの液圧回路内で生ぜしめられる。これによって、ピストンの2つの運動方向は、液圧回路を充てんするために用いられ、また例えばブレーキ圧を発生させるために用いられる。従って、従来のピストンポンプと比較して、2つの圧力室に基づいて例えば第1の液圧回路内の圧力を従来の2倍の速さで生ぜしめることができる。選択的に、別の実施例によれば、好適には、2つの圧力室が異なる液圧回路に対応配設されており、それによって、第2の圧力室が第2の液圧回路に接続可能若しくは接続されている。これにより、好適なピストンポンプによって液圧が2つの液圧回路内にほぼ同時に生ぜしめられる。
【0007】
本発明の好適な発展形態によれば、各圧力室にそれぞれ少なくとも1つの逆止弁が対応配設されている。この逆止弁によって、圧力比に依存して圧力室内へのインレット若しくは圧力室からのアウトレットが自動的に開放され、この場合、逆流は確実に阻止される。
【0008】
好適には、各圧力室が、吸込みライン接続部に第1の逆止弁を有し、また吐出ライン接続部に第2の逆止弁を有しており、それによって、インレットもアウトレットも、自動的な逆止弁によって調整される。これによって、ピストンポンプの簡単かつコンパクトな構造が得られる。
【0009】
また、好適には、第1の圧力室が第1のハウジング部分内に配置され、第2の圧力室がピストンポンプの第2のハウジング部分内に配置されており、この場合、2つのハウジング部分は、これら2つのハウジング部分間にリニアアクチュエータを閉じこんだ形で、互いに密に当接し合っている。これによって、ピストンポンプのハウジングは1つの機能部分を形成する。この機能部分は概ね2つのハウジング部分によって形成されており、これら2つのハウジング部分は圧力室のそれぞれ1つを有している。2つのハウジング部分が互いに当接し合っていて、この場合、2つのハウジング部分間でリニアアクチュエータを包囲していることによって、一方では、リニアアクチュエータは、比較的簡単な幾何学形状を有する2つのハウジング部分間で確実に保持され、他方では簡単な方法および形式でピストンポンプの好適なシール性が保証されている。このような簡単な幾何学形状によって、(高い圧力において必要な)精密さが実現可能である。しかも、ピストンポンプの簡単な組み立ておよび構造的な実現が得られる。2つのハウジング部分は、ハウジング半部として、または異なっているが互いに相補的に形成されたハウジング部分として形成されていてよい。特に、各ハウジング部分は、リニアアクチュエータ、特にリニアアクチュエータの固定子を少なくとも領域的に受けるようになっている。このために、各ハウジング部分は好適な形式で凹部を有しており、この凹部は、固定子を形状締結式におよび特に正確に受けるために、固定子の形状に適合されている。特に、ハウジング部分は、組み立てられた状態で固定子が2つのハウジング部分間で締め付けられ、それによって高いシール性が保証されるように、構成されている。
【0010】
本発明の好適な発展形態によれば、さらに、ハウジング部分が、互いに一直線に並んでいる複数の孔を有しており、これらの孔が、流体技術的に一方側で圧力室のそれぞれ1つに接続されていて、
これらの孔のうちの一つの孔が、他方側で消費器に接続されている。つまり、複数の孔は、ピストンポンプの流体流路として用いられる。複数の孔が互いに一直線に並んで構成されていることによって、特に2つのハウジング部分の圧力室は互いに流体技術的に接続可能である。これによって特に、同じ液圧回路に2つの圧力室を対応配設し、それによって
2つの圧力室は消費器に共通に液圧を供給することが可能である。複数の孔の一直線に並んだ構成若しくは整列によって、一方のハウジング部分から他方のハウジング部分への簡単かつ確実な流体ガイドが保証される。
【0011】
好適には、複数の孔に少なくとも1つのシールエレメント、特にOリングが対応配設されており、このOリングによって、ピストンポンプのシール性が高められる。特に、Oリングは複数の孔に対して同軸的に配置されている。特に、この場合、Oリング若しくはシールエレメントは、互いに重なり合っている2つのハウジング部分間に位置していて、特に高いシール作用を得るために、弾性的に変形されているか若しくはプリロードをかけられている。
【0012】
さらに、好適には、ハウジング部分の一方が孔の領域内で突起を有していて、ハウジング部分の他方が突起に対応する凹部を有しているので、組み立て時に突起が凹部内に挿入され、それによって2つのハウジング部分間の形状締結式の結合が得られる。また、ピストンポンプのシール性をさらに高める一種のラビリンスシールが形成される。この場合、シールエレメントは、前述のように、半径方向のシールを保証するために、端面側で2つのハウジング部分間に位置しているか、または突起の周壁と凹部の周壁との間に位置していてよい。
【0013】
さらに、好適には、突起が凹部内で摩擦締結式にまたは形状締結式に保持されている。摩擦締結は、例えば突起と凹部との間のプレス嵌めによって保証される。形状締結は特に、突起と凹部とが互いに確実に保持される後方係合を生ぜしめるために、組み立て時に突起および/または凹部が弾性的に変形されることによって保証される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3A】ピストンポンプの好適な実施態様の断面図である。
【
図3B】ピストンポンプの好適な実施態様の断面図である。
【
図3C】ピストンポンプの好適な実施態様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を用いて本発明を具体的に説明する。
【0016】
図1は、ピストンポンプ1の概略的な縦断面図を示し、このピストンポンプ1は、互いに接している2つのハウジング部分2および3を有していて、これらのハウジング部分2と3との間にリニアアクチュエータ4が配置されている。リニアアクチュエータ4は、ハウジング部分間に堅固に固定して配置された、通電可能なコイル6を備えた固定子5を有している。さらに、リニアアクチュエータ4は可動子7を有しており、この可動子7は固定子5と磁気的に協働し、ピストンポンプ1のピストン8と堅固に結合されている。2重矢印9で示されているように、ピストン8はその縦方向でつまり軸方向で可動に支承されている。この場合、ピストン8は第1の端部10で以って第1の圧力室11内に突入しており、従ってピストン8は、圧力室11の体積を端面側で画定している。
【0017】
圧力室11は差し込み部12によって形成されており、この差し込み部12は、ハウジング部分3内に差し込まれていて、カップ状のセクションによって圧力室11を形成している。差し込み部12の周壁内に2つの逆止弁13,14が配置されており、これらの逆止弁13,14のうちの一方の逆止弁14は、圧力室11内の圧力がこの圧力室11に接続された液圧通路16内の圧力を上回ると開放し、他方の逆止弁13は、圧力室11内の圧力が、圧力室11に通じる液圧通路15内の圧力を下回ると圧力室11の方向に開放する。従って、ピストン8は第1の端部10で以って圧力室11内に突入し、それによって液圧媒体が逆止弁14によって液圧通路16内に押し退けられる。ピストン8が圧力室11から引きだされると、圧力室11内に負圧力が生ぜしめられ、この負圧力によって液圧媒体は液圧通路15から圧力室11内に吸い込まれる。
【0018】
ピストン8の、端部10とは反対側で、別の圧力室17がハウジング部分内に配置されており、この別の圧力室17内にピストン8は第2の端部18で以って突入していて、この第2の端部18によって端面側で圧力室17の体積を画定する。圧力室17は同様に差し込み部18によって形成されているが、この差し込み部18はハウジング部分2内に差し込まれている。また、カップ状の差し込み部18の周壁内で入口側および出口側にそれぞれ1つの逆止弁19若しくは20が配置されており、これらの逆止弁19,20は、必要に応じて流体を液圧通路21から吸い込んで液圧通路22内に送るために、ハウジング部分2内でそれぞれ1つの液圧通路21若しくは22に接続されている。
【0019】
これによって、ピストンポンプ1は、ピストンの運動方向に依存することなく、一方の圧力室内に液圧を生ぜしめ、それと同時に他方の圧力室内に新たな液圧媒体を吸い込むための負圧力を生ぜしめる2重ピストンポンプとして構成されている。
【0020】
コイル6が通電されると磁界が発生され、この磁界が可動子7およびひいてはピストン8を第2の圧力室17に向かって移動させる。この場合、可動子7はリターンスプリング23の力に抗して移動せしめられる。リターンスプリング23の応力除去された状態で、可動子7は固定子5に対してずれて位置するので、磁界の発生によって可動子7は引き寄せられ、それによってスプリングエレメント23の力に抗して移動せしめられる。固定子5の通電若しくは制御が終了すると直ちに、リターンスプリング23は可動子7を圧力室11に向かって押し戻し、それによって、そこでさらなるポンピング工程が実施され、圧力室17内でさらなる吸込み工程が実施される。
【0021】
そのかぎりでは、リニアアクチュエータ4は単相の磁気抵抗機械として構成されている。この場合、コイル6を有する固定子5は、可動子7若しくはピストン8に対して同軸的に配置されている。可動子7は特に強磁性の材料より形成されている。この場合、可動子7は好適には同様に同心的に構成されていて、小さい作業エアギャップによって固定子に対して分離されている。特に、磁気回路若しくはリニアアクチュエータ4のすべてのエレメントは、ピストン8若しくはピストンポンプ1のピストン軸線を中心にして回転対称的に配置されている。ハウジング部分2,3は好適な形式で非磁性の材料より製作されていて、能動素子を支持しており、それによって、構造的にできるだけ小さいエアギャップで可能な限り精確な中心性が保証される。
【0022】
コイル6は、相応のパワーエレクトロニクスを用いて、電源、例えば自動車の車載電源網によって電力供給され、制御される。電圧振幅の大きさによって、およびパワーエレクトロニクスにより決定された通電時間によって、可動子7若しくはピストン8の変位/振幅もまたその運動周波数も決定される。好適にはこの周波数は、リニアアクチュエータ4の機械的な固有周波数の範囲内に調節される。
【0023】
2つの圧力室11,17は異なる液圧回路に接続されていてよい。しかしながら本発明では、圧力室17,11は同じ液圧回路に接続されるか若しくは接続可能であるように設計されている。このために、液圧回路16および22並びに液圧回路15および21は、それぞれ液圧式に互いに接続され、かつ
、液圧回路16および22は、ここに図示されていない消費器に接続されている。この場合、流路15および21並びに流路16および22の集合は、本発明ではハウジング部分2、3内の孔24,25によって行われ、これらの孔24,25は、ピストン軸線若しくはピストン18の運動方向に対して平行にハウジング部分2,3内に構成されている。
【0024】
これについて、
図2にピストンポンプ1の概略的な平面図が示されている。この場合、コイル6を有する固定子5が示されており、このコイル6は、可動子7に対して同心的に配置され/構成されている。同様に、固定子5と可動子7との間に狭いエアギャップが示されている。従って、ピストン8はピストンポンプ1の中央に位置している。この場合、固定子パッケージ若しくは固定子5の中間室内に、例えば2つの孔24,25が示されており、これらの孔24,25は、ピストン8に対して平行に延在していて、ハウジング部分2若しくは3内に形成されている。
図1には、孔24,25は破線で示されている。これらの孔を通じて、それぞれの流路間の流体接続若しくは流体技術的な接続が形成され得るようにするために、これらの孔はハウジング部分2,3の組み立てられた状態で互いに一直線に並んでいなければならない。
【0025】
この場合、
図3A乃至
図3Cは、流路15,21および16,22の接続の形態のための様々な実施例を示す。
【0026】
図3A乃至
図3Cは、孔24の範囲の縦断面図でハウジング部分2,3を示し、この場合、孔25は好適な形式で孔24に従って構成されている。
【0027】
図3Aの第1実施例によれば、ハウジング部分2,3は端面側で互いに面状に重なり合っている。この場合、孔24は、ハウジング2内の孔24′およびハウジング部分3内の孔24″によって形成される。孔24′および24″が互いに一直線に並んでいることによって、孔24′および24″は、貫通する孔24を形成し、この孔24は端部側がそれぞれ流路15若しくは21に接続されている。孔として構成することによって、ハウジング部分内に簡単な形式で流体接続が実現され得る。好適な形式で、ハウジング部分2,3間で孔24と同軸的に、シールリング26の形のシールエレメントが配置されており、このシールリング26は、液圧媒体がハウジング部分2,3から漏れ出ることがないように、保証する。
【0028】
図3Bの実施例は、ハウジング部分3が孔24の範囲に突起27を有していて、この突起27がハウジング部分2の凹部28内に突入している点で、
図3Aの実施例とは異なっている。この場合、特に、突起27の外径は少なくとも概ね凹部28の内径に相当しているので、突起27は、緊密に若しくは半径方向で緊密に凹部28内に突入している。この場合、密閉能力は、シールエレメント29特にOリングが、前の実施例のように孔24に対して同軸的に配置され、しかしながらこの実施例では好適には突起27と凹部28との間で半径方向に位置していることによって、オプション的に高められる。しかしシールエレメント29に追加して、またはシールエレメント29の代わりに、シールエレメント26が、
図3Aの実施例に従ってハウジング部分2,3間に設けられてもよい。
【0029】
図3Cの実施例は、突起27がハウジング2に形成されていて、凹部28がハウジング3に形成されている点で、
図3Bの実施例とは異なっている。また、
図3Cの実施例は、突起27および凹部28が軸方向の後方係合32を形成している点で、
図3Bの実施例とは異なっている。このために、突起27はその自由端部に半径方向に突き出すフランジ30を有しており、このフランジ30は、これに対応する、凹部28の切欠31内に係合する。形状締結は、軸方向で若しくは孔24の軸方向で突起27に後ろから係合するために、ハウジング部分3が、そのハウジング部分2に面した端部で以って塑性変形されていることによって得られる。ここでも追加的に単数または複数のシールエレメントが設けられていてよい。
【符号の説明】
【0030】
1 ピストンポンプ
2 第2のハウジング部分
3 第1のハウジング部分
4 リニアアクチュエータ
5 固定子
7 可動子
8 ピストン
10 第1の端部
11 第1の圧力室
12 差し込み部
13,14 逆止弁
15,16 流路
16 液圧通路
17 第2の圧力室
18 第2の端部
19,20 逆止弁
23 リターンスプリング、スプリングエレメント
24,25 孔
26 シールエレメント
27 突起
28 凹部
29 シールエレメント