(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6692942
(24)【登録日】2020年4月17日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】3Dプリンティング装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/124 20170101AFI20200427BHJP
B29C 64/255 20170101ALI20200427BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20200427BHJP
B29C 64/227 20170101ALI20200427BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20200427BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20200427BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20200427BHJP
【FI】
B29C64/124
B29C64/255
B29C64/245
B29C64/227
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-987(P2019-987)
(22)【出願日】2019年1月8日
(65)【公開番号】特開2019-214199(P2019-214199A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2019年1月8日
(31)【優先権主張番号】201810605201.2
(32)【優先日】2018年6月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514008930
【氏名又は名称】三緯國際立體列印科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】XYZprinting, Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】511067204
【氏名又は名称】金▲宝▼電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】呂 冠儀
(72)【発明者】
【氏名】陳 俊瑞
(72)【発明者】
【氏名】倪 志銘
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 澄富
(72)【発明者】
【氏名】李 安修
(72)【発明者】
【氏名】林 財億
【審査官】
▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−156109(JP,A)
【文献】
特表2016−530125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C64/00−64/40,67/00
B33Y10/00−99/00
H02P4/00,6/00,7/00,25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
ベース上に配置されたガントリと、
前記ガントリに移動可能に組み立てられた形成プラットフォームと、
前記ベース上に配置されたタンクと、
前記ガントリと前記形成プラットフォームとの間、あるいは、前記タンクと前記ベースとの間に配置されるアジャスタブルプラットフォームと、
前記形成プラットフォームと前記ガントリとの間に接続された駆動モジュールと、
前記駆動モジュールに電気的に接続された制御モジュールと、
を備え、
前記制御モジュールは、前記駆動モジュールによって、前記ガントリに沿って往復させるように前記形成プラットフォームを駆動し、前記形成プラットフォームは前記タンクの中へあるいは外へ移動し、3Dプリンティングを実行する前に、前記制御モジュールは、前記駆動モジュールを介して前記形成プラットフォームを前記タンクに対して傾斜させるように前記タンク内に移動させ、前記アジャスタブルプラットフォームが変形するように駆動させ、前記形成プラットフォーム及び前記タンクの接触面の一致を確実にし、
前記駆動モジュールは、少なくとも1つのモータを備え、
前記モータは、前記制御モジュールに電気的に接続されたストール警報部を備え、
前記ストール警報部は、前記モータの駆動電圧を感知及び判別し、
前記制御モジュールは、前記ストール警報部の感知及び判別情報に応じて前記形成プラットフォームを駆動する、
ことを特徴とする3Dプリンティング装置。
【請求項2】
前記ストール警報部は、警報値を供給し、
前記制御モジュールが、前記モータを介して前記タンクに対して傾斜せずに移動するように前記形成プラットフォームを駆動させた場合、前記モータの前記駆動電圧は恒常値であり、前記制御モジュールが、前記モータを介して前記タンクに対して傾斜して移動するように前記形成プラットフォームを駆動させ、前記アジャスタブルプラットフォームを変形させた場合、前記モータの前記駆動電圧は、前記恒常値と前記警報値との間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の3Dプリンティング装置。
【請求項3】
前記アジャスタブルプラットフォームは、前記タンクと前記ベースとの間に配置され、
前記アジャスタブルプラットフォームは、
前記ベースに固定される第1のプレートと、
前記第1のプレート上に配置される弾性部材と、
前記弾性部材を介して浮遊状態で前記第1のプレート上に配置される第2のプレートと、
を備え、
前記タンクは、前記第2のプレート上に配置され、前記アジャスタブルプラットフォームが変形すると、前記タンク及び前記第2のプレートは、前記第1のプレートに向かって移動して前記弾性部材を変形させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の3Dプリンティング装置。
【請求項4】
前記アジャスタブルプラットフォームは、さらに、ロッドと、ロック部材と、を備え、
前記ロッドは、前記第2のプレート上に配置され、前記弾性部材及び前記第1のプレートを貫通し、
前記ロック部材は、前記第2のプレートと反対の側である前記第1のプレートの一方の側に配置され、前記ロッドによってロックされ、
前記第1のプレート、前記弾性部材及び前記第2のプレートは、ロック部材によって調整及び固定される状態となる、
ことを特徴とする請求項3に記載の3Dプリンティング装置。
【請求項5】
前記アジャスタブルプラットフォームは、前記ガントリ及び前記形成プラットフォームとの間に配置され、
前記ガントリは、前記駆動モジュールによって駆動されるように適合されたクロスバーを備え、
前記アジャスタブルプラットフォームは、
前記クロスバーに固定されるプレートと、
前記プレートと前記形成プラットフォームとの間に配置されて傾斜する弾性部材と、を備え、
前記形成プラットフォームは、前記弾性部材を介して前記プレートに対して浮遊状態であり、
前記アジャスタブルプラットフォームが変形されると、前記形成プラットフォームは前記プレートに向かって移動し、前記弾性部材を変形させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の3Dプリンティング装置。
【請求項6】
前記アジャスタブルプラットフォームは、さらに、ロック部材を備え、
前記ロック部材は、前記プレート及び前記弾性部材を貫通し、前記形成プラットフォームにロックされ、
前記プレート、前記弾性部材及び前記形成プラットフォームは、前記ロック部材によって調整及び固定される状態となる、
ことを特徴とする請求項5に記載の3Dプリンティング装置。
【請求項7】
前記駆動モジュールは、複数のモータを備え、前記各モータは、前記制御モジュールに電気的に接続された前記ストール警報部を備え、前記各モータによってそれぞれ生成される駆動電圧が、全て、前記恒常値と前記警報値との間にある場合、3Dプリンティングを行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の3Dプリンティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3Dプリンティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の急速な発展に伴い、層毎のモデル構築等の付加製造技術を用いて三次元(3D)モデルを構築する異なる方法が開発されている。一般に、付加製造技術は、コンピュータ支援デザイン(CAD)等のソフトウェアによって構築された3Dモデルのデザインデータを、複数の連続的に積層された薄い(擬似二次元(2D))断面層に変換する。
【0003】
複数の薄い断面層を形成する多くの方法が開発されている。例えば、フォトポリマーが、3Dプリンティング装置によって液体形成材料として用いられてよい。液体形成材料内に形成プラットフォームを構成し、3Dモデルのデザインデータに基づいて構築されたXYZ座標に応じて、XY座標に沿って移動するように光源を駆動して液体の形成材料に光を照射することで、液体形成材料が硬化され、断面層の正確な形状が形成される。次に、形成プラットフォームは、液体の形成材料で満たされたタンクからZ軸に沿って徐々に取り出されることで、液体形成材料が層毎に硬化され、形成プラットフォーム上で積層されて3Dオブジェクトを形成する。
【0004】
従って、形成プラットフォームとタンクとの間の対応する位置が求められる対応条件を満たすか否かは、3Dプリンティングオブジェクトの品質に影響する重要な要因である。しかしながら、既存の3Dプリンティング装置では、ユーザが3Dプリンティングの前に対応条件を確認する方法がない、あるいは、ユーザが追加のツールや複雑な手順を利用して対応条件を確認する必要があるため、形成プラットフォームとタンクとの間の対応する位置が、対応条件を満たすようにする有効な解決策を未だ提供されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、3Dプリンティング装置に関し、形成プラットフォーム及びタンクが補正されるように適合される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つの実施の形態は、ベースと、ガントリと、形成プラットフォームと、タンクと、アジャスタブルプラットフォームと、駆動モジュールと、制御モジュールとを備える3Dプリンティング装置を提供する。ガントリ及びタンクは、それぞれ、ベース上に配置される。形成プラットフォームは、ガントリに移動可能に組み立てられる。アジャスタブルプラットフォームは、ガントリと形成プラットフォームとの間あるいはタンクとベースとの間に配置される。駆動モジュールは、形成プラットフォーム及びガントリに接続される。制御モジュールは、駆動モジュールに電気的に接続される。制御モジュールは、駆動モジュールによって、ガントリに沿って往復するように形成プラットフォームを駆動し、形成プラットフォームはタンクの中へあるいは外に移動する。3Dプリンティングが実行される前に、制御モジュールは、駆動モジュールを介して形成プラットフォームをタンクに対して傾斜させるようにタンク内に移動させ、アジャスタブルプラットフォームが変形するように駆動し、形成プラットフォーム及びタンクの接触面の一致を確実にする。
【発明の効果】
【0007】
以上より、3Dプリンティング装置においては、形成プラットフォームと、タンクと、アジャスタブルプラットフォームとの対応する構成を介して、3Dプリンティングが実行される前に、形成プラットフォームは、まず、タンクの内部の底面に対して傾斜するように駆動され、継続して力が加わる状態で、アジャスタブルプラットフォームは変形するように駆動され、形成プラットフォームの形成面がタンクの内部の底面に密着した状態が維持され、これによって形成プラットフォームとタンクとの接触面の一致が確実となる。従って、形成プラットフォームとタンクとの間にギャップが形成されることが回避される、あるいは、それらの相対的に非平行な傾斜状態が防止され、続く3Dプリンティングに悪影響を与えないようにする。
【0008】
本開示の上記及び他の特徴並びに利点についての理解をより容易にするため、添付の図面とともにいくつかの例示的な実施の形態について以下に詳細に説明する。
【0009】
添付の図面は、本開示についての更なる理解のために供され、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は本開示の実施の形態を示し、詳細な説明とともに、本開示の原理を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態に係る三次元(3D)プリンティング装置の概略図である。
【0011】
【
図2】別の状態にある
図1の3Dプリンティング装置の概略図である。
【0012】
【
図3】別の角度から見た
図1の3Dプリンティング装置の構成要素の一部の概略図である。
【0013】
【
図4】3Dプリンティング装置の関連する構成要素の電気的な関連を示す図である。
【0014】
【
図5】3Dプリンティング装置の簡略側面図である。
【0015】
【
図6】別の状態にある3Dプリンティング装置の簡略側面図である。
【0016】
【
図7】3Dプリンティング装置の制御方法を示すフローチャートである。
【0017】
【
図8】3Dプリンティング装置の駆動モジュールの駆動電圧の概略図である。
【0018】
【
図9】本開示の別の実施の形態に係る3Dプリンティング装置の簡略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の好ましい実施の形態について、詳細に説明し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同一あるいは同様の部分には図面及び詳細な説明において同一の参照番号を付す。
【0020】
図1は、本開示の実施の形態に係る三次元(3D)プリンティング装置の概略図である。
図2は、別の状態にある
図1の3Dプリンティング装置の概略図である。
図3は、別の角度から見た
図1の3Dプリンティング装置の構成要素の一部の概略図である。
図4は、3Dプリンティング装置の関連する構成要素の電気的な関連図である。関連する構成要素についての説明を容易にするため、直交座標XYZを用いる。
図1乃至
図4を参照すると、本実施の形態において、3Dプリンティング装置100は、例えば、ステレオリソグラフィ装置(SLA)であり、ベース110と、ガントリ120と、タンク130と、形成プラットフォーム140と、駆動モジュール150と、制御モジュール160とを備える。ガントリ120は、ベース110上に配置され、部分的に表面P1から突出する。駆動モジュール150は、形成プラットフォーム140及びガントリ120に接続される。制御モジュール160は、駆動モジュール150に電気的に接続される。形成プラットフォーム140は、駆動モジュール150によってZ軸に沿って移動可能にガントリ120に組み立てられる。つまり、制御モジュール160は、駆動モジュール150によってガントリ120に沿って往復運動するように形成プラットフォーム140を駆動し、形成プラットフォーム140がタンク130の内または外へ移動する。タンク130はベース110上に配置され、アジャスタブルプラットフォーム170がタンク130とベース110との間にアジャスタブルプラットフォーム170が配置される。
【0021】
また、3Dプリンティング装置100において、硬化用光源(図示せず)がタンク130の底部に配置される。制御モジュール160は、硬化用光源を駆動して硬化用光を供給し、硬化用光は、タンク130の透明な底部を通過して照射され、タンク130内の液体の形成材料(図示せず)を硬化させる。換言すると、3Dプリンティング装置100が3Dプリンティングを実行する場合、制御モジュール160は、形成プラットフォーム140を制御及び駆動してタンク130内に移動させてその内部の液体の形成材料に接触させる(あるいは浸す)。次に、制御モジュール160は、硬化用光源を駆動して硬化用光を供給し、形成すべき3Dオブジェクトのプロファイルについての関連デジタル情報に応じて特定の部分の液体の形成材料に硬化用光を照射して硬化させ、硬化層を、形成プラットフォーム140の形成面S1とタンク130の内部の底面S2との間に形成する。次に、硬化層がタンク130の底部から分離され、形成プラットフォーム140の形成面S1上に残る。上記の硬化、分離動作を繰り返すことで、また、形成プラットフォーム140がタンク130の内部の底面S2から徐々に離間するよう移動することで、複数の硬化層が、3Dオブジェクトが完成するまで、徐々に形成面S1上に積層される。 関連する3Dプリンティング動作については概要を説明しており、他の説明していない内容については、既存の技術から得られるので、省略する。
【0022】
本実施の形態では、駆動モジュール150は、1ペアのモータ151及び152を備え、モータ151及び152は、それぞれ、ストール警報部T1及びT2を備え、ストール警報部T1及びT2は、モータ151及び152の駆動電圧を感知し、モータがストール状態か否か判別するため用いられる。制御モジュール160は、モータ151及び152ならびにそのストール警報部T1及びT2に電気的に接続され、制御モジュール160は、ストール警報部T1及びT2の感知及び判別情報に応じて形成プラットフォーム140を駆動するアプローチを決定する。
【0023】
図5は、3Dプリンティング装置の簡略側面図である。
図6は、別の状態にある3Dプリンティング装置の簡略側面図である。
図3、
図5及び
図6を参照すると、本開示はこれに限定されないが、本実施の形態のアジャスタブルプラットフォーム170は、第1のプレート171と、第2のプレート172と、弾性部材とを備え、弾性部材は、例えば、複数の弾性部材173A乃至173Dであるが、本開示はこれに限定されない。第1のプレート171は、ベース110に固定される。弾性部材173A乃至173Dは、それぞれ、第1のプレート171に配置される。第2のプレートは、弾性部材173A乃至173Dを介して浮遊状態で第1のプレート171上に配置され、タンク130は、第2のプレート172の上に配置される。さらに、アジャスタブルプラットフォーム170は、ロッド175A乃至175Dと、ロック部材174A乃至174D(上記弾性部材173A乃至173Dの数に対応)とをさらに備える。ロッド175A乃至175Dは、第2のプレート172上に配置され、弾性部材173A乃至173D及び第1のプレート171を貫通する。ロック部材174A乃至174Dは、第2のプレート172の反対側である第1のプレート171の一方の側に配置され、ロッド175A乃至175Dにロックされる。ロッド175A乃至175Dは、ネジ山を備え、ロック部材174A乃至174Dは、例えば、第1のプレート177、弾性部材173A乃至173D及び第2のプレート172を共にロックするためのスクリューキャップ(またはナット)であってよい。つまり、ユーザが、第1のプレート171からスクリューキャップを緩めると、タンク130は、アジャスタブルプラットフォーム170を介して浮遊状態になる。図示しない別の実施の形態においては、第2のプレート172及びタンク130は、一体構造であり、これは、タンク130が弾性部材173A乃至173Dに直接組み立てられて傾斜した状態と等しい。
【0024】
図7は、3Dプリンティング装置の制御方法を示すフローチャートである。
図8は、3Dプリンティング装置の駆動モジュールの駆動電圧の概略図である。
図7及び
図8を参照し、
図5及び
図6を比較すると、本実施の形態において、3Dプリンティングにおいて良好な3Dプリンティング品質を得るため、形成プラットフォーム140とタンク130とは、相対的な傾斜なしで互いに一致した状態にあることが求められる。3Dプリンティング装置100の制御方法は、制御モジュール160が、タンク130内へ移動するように形成プラットフォーム140を駆動してタンク130に対して傾斜を作る、つまり、形成プラットフォーム140の形成面S1とタンク130の内部の底面S2とが接触の初期においては非平行であるように、
図5に示すように、タンク130の内部の底面S2に、形成プラットフォーム140の形成面S1を接触させるステップS01と、制御モジュール160が継続して形成プラットフォーム140を駆動してZ軸方向に押下し、内部の底面S2に接触している形成プラットフォーム140の一部がアジャスタブルプラットフォーム170を駆動及び変形させ、内部の底面S2に非接触の形成プラットフォーム140の一部が、内部の底面S2に対して傾斜し、
図6の状態となるステップS02とを含む。
【0025】
つまり、本実施の形態のタンク130は、最初はアジャスタブルプラットフォーム170を介して浮遊状態でベース110上に配置されているため、ステップS02のプロセスにおいて、制御モジュール160が駆動モジュール150を制御して形成プラットフォーム140がタンク130に対して傾斜するように駆動し、継続して押下力を加えると、タンク130及びアジャスタブルプラットフォーム170の第2のプレート172が連続的に下に(第1のプレート171に向かって)移動し、弾性部材173A乃至173Dが変形される。同時に、ステップS02が実行されると、制御モジュール160は、ストール警報部T1及びT2から得られるモータ151及び152の状態に応じて形成プラットフォーム140の駆動を調整し得る。
【0026】
また、
図8に示すモータの駆動電圧の変動によれば、本実施の形態のモータ151及び152が、タンク130に対して傾斜する前にガントリ120に沿って移動するよう形成プラットフォーム140を駆動する場合、その駆動電圧の平均は約754mvであり、恒常値として定義され、ストール状態に達するモータ151及び152の駆動電圧は、795mvであり、警告値として定義される、ことが分かる。従って、制御モジュール160は、754mvから795mvの範囲に応じて形成プラットフォーム140を駆動する。つまり、ステップS02において、制御モジュール160は、駆動モジュール150の各モータ151及び152の駆動電圧が上記の恒常値と警報値との間になるまで、駆動モジュール150を制御して形成プラットフォーム140を下に移動させる。
【0027】
上記のステップS02を実行することで、制御モジュール160が駆動モジュール150を制御して形成プラットフォーム140を下に移動させてタンク130に対して傾斜させ、アジャスタブルプラットフォーム170を駆動して変形、つまり、アジャスタブルプラットフォーム170を過剰圧状態にし、これにより、形成プラットフォーム140の形成面S1とタンク130の内部の底面S2とがギャップなしで密着するようにし、換言すれば、形成プラットフォーム140及びタンク130の接触面(形成面S1及び内部の底面S2)が一致する状態になることを確実にする、効果が達成される。恒常値と警告値との間のモータの駆動電圧は、モータ151あるいは152によって駆動された形成プラットフォーム140の一部がタンク130に対して傾斜し、アジャスタブルプラットフォーム170を過剰圧状態にしたことを示し、その値の範囲は、モータ151及び152の種類、また、形成プラットフォーム140、タンク130あるいはアジャスタブルプラットフォーム170の機構に応じて異なる。
【0028】
次に、ステップS03において、両モータ151及び152の駆動電圧が恒常値と警告値との間にあると確認された後、アジャスタブルプラットフォーム170のロック部材174A乃至174Dが駆動されて第1のプレート171、弾性部材173A乃至173D及び第2のプレート172を共にロックする、つまり、タンク130及び形成プラットフォーム140が互いに一致した状態が維持されることを確実にするため、アジャスタブルプラットフォーム170の変形状態が維持される。最後に、ステップS04において、制御モジュール160は、3Dプリンティング動作を実行するため3Dプリンティング装置100を駆動し、上記のステップS01からS03の実行により、形成プラットフォーム140が徐々にタンク130から離間して3Dプリンティング動作において3Dオブジェクトを形成するため硬化層を徐々に積層するプロセスにおいて、形成プラットフォーム140の表面S1は、タンク130の内部の底面S2と平行な状態が維持され、良好なプリンティング品質が得られる。
【0029】
図9は、本開示の別の実施の形態に係る3Dプリンティング装置の簡略側面図である。
図9を参照すると、上記の実施の形態と異なり、本実施の形態の3Dプリンティング装置において、形成プラットフォーム140とガントリ120との間にアジャスタブルプラットフォーム270が配置される。また、アジャスタブルプラットフォーム270は、プレート271と、弾性部材272と、ロック部材273とを備え、プレート271はガントリ120のクロスバー121上に固定され、クロスバー121は、駆動モジュール150(モータ151及び152)によって駆動されて移動する。弾性部材272は、プレート271及び形成プラットフォーム140との間に配置されて傾斜し、形成プラットフォーム140は、弾性部材272を介してプレート271に対して浮遊状態にある。
【0030】
ロック部材273は、プレート271及び弾性部材272を貫通し、形成プラットフォーム140に固定される。ロック部材273は、プレート271、弾性部材272及び形成プラットフォーム140の状態を調整及び固定のために用いられる。
【0031】
このように、制御モジュール160が駆動モジュール150を制御して形成プラットフォーム140を駆動してタンク130に対して傾斜させる場合、アジャスタブルプラットフォーム270が変形する、つまり、形成プラットフォーム140がプレート271に向けて移動し、弾性部材272を変形させる。また、制御モジュール160は、形成プラットフォーム140とタンク130との間の傾斜関係を制御し、アジャスタブルプラットフォーム270を、ストール警報部T1及びT2によって感知された駆動電圧に応じて要求される過剰圧状態にする。この部分については、先の実施の形態で詳細に説明しているので、省略する。
【0032】
また、
図9に示す実施の形態のアセンブリ及び固定の各手段(例えば、ロッドまたはロック部材)は、上記の実施の形態と互いに共通である。
【0033】
要約すると、本開示の実施の形態に係る3Dプリンティング装置は、形成プラットフォーム、タンク及びアジャスタブルプラットフォームの対応する構成を通じて、3Dプリンティングが実行される前、形成プラットフォームは、まず、タンクの内部の底面に対して傾斜するように駆動され、継続して力が加わる状態で、アジャスタブルプラットフォームが変形するように駆動され、形成プラットフォームの形成面は、タンクの内部の底面に密着し、形成プラットフォームおよびタンクの一致が確実なものとされる。従って、形成プラットフォームとタンクとの間にギャップが形成されることが回避される、あるいは、それらの間の非平行な相対傾斜状態が生じることが防止されて、続く3Dプリンティングの品質に悪影響を与えないようにする。アジャスタブルプレートが、ガントリと形成プラットフォームとの間に配置されるか、あるいは、タンクとベースとの間に配置されるか、に関わらず、形成プラットフォームとタンクとの相対的な傾斜によって全てが変形され、制御モジュールは、ストール警報部によって感知された駆動モジュールの駆動電圧に応じてアジャスタブルプラットフォームの変形度を制御し、形成プラットフォームとタンクとの過剰圧状態についての制御も同じ基準を採用する。
【0034】
本開示の技術的範囲から逸脱しない限り、本開示の構成に様々な応用及び変更が可能な点、当業者にとって明らかである。以上を鑑み、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内における本開示の応用及び変更も包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る形成プラットフォームおよびタンクを備える3Dプリンティング装置は、3Dプリンティング産業に適用し得る。
【符号の説明】
【0036】
100 3Dプリンティング装置
110 ベース
120 ガントリ
130 タンク
140 形成プラットフォーム
150 駆動モジュール
151、152 モータ
160 制御モジュール
170、270 アジャスタブルプラットフォーム
171 第1のプレート
172 第2のプレート
173A乃至173D、272 弾性部材
174A乃至174D ロック部材
175A乃至175D ロッド
271 プレート
P1 表面
S1 形成面
S2 内部の底面
S01乃至S04 ステップ
T1、T2 ストール警報部
XYZ 座標系