特許第6692989号(P6692989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6692989
(24)【登録日】2020年4月17日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】格納式中心供給型注入装置
(51)【国際特許分類】
   C10G 9/18 20060101AFI20200427BHJP
   C10B 57/04 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   C10G9/18
   C10B57/04 101
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-518369(P2019-518369)
(86)(22)【出願日】2016年8月15日
(65)【公表番号】特表2019-523815(P2019-523815A)
(43)【公表日】2019年8月29日
(86)【国際出願番号】US2016047068
(87)【国際公開番号】WO2017218020
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2019年2月14日
(31)【優先権主張番号】15/185,324
(32)【優先日】2016年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518448194
【氏名又は名称】デルタバルブ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100117444
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ラー,ルーベン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン,ゲリー
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−505866(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/093763(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/093363(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 9/18
C10B 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークスドラムの側壁と結合して前記側壁の第1の開口部と整列するように構成されたハウジングと、
前記ハウジング内に含まれる注入ノズルであって、前記注入ノズルは第1の端部と第2の端部を有し、前記注入ノズルは、格納位置と、前記第1の端部が前記コークスドラム内に延びる延伸位置との間でスライドするように構成された、注入ノズルと、
前記注入ノズルの前記第2の端部に結合され、前記格納位置と前記延伸位置との間で前記注入ノズルをスライドさせるように構成された、アクチュエータと、
前記コークスドラムの前記側壁と結合して前記側壁の第2の開口部と整列するように構成された供給入口であって、前記第2の開口部は前記第1の開口部の反対側にあり、前記注入ノズルの前記第1の端部は、前記注入ノズルが前記延伸位置にあるときに前記供給入口と結合する、供給入口と、
を備える、格納式中心供給型注入装置であって、
前記注入ノズルは、前記供給入口と整列している入口開口部と、上向きに向けられた1つまたは複数の出口開口部とを有するチャンバを含み、前記注入ノズルが前記延伸位置にあるときに前記供給入口を通って供給される残留油が、前記ハウジングを通過することなく、前記入口開口部を通って前記チャンバ内に流れ込み、前記1つまたは複数の出口開口部を通って前記チャンバ外に流れ出るようになっている
格納式中心供給型注入装置。
【請求項2】
前記注入ノズルの前記第1の端部が前記供給入口に挿入される、請求項に記載の格納式中心供給型注入装置。
【請求項3】
前記注入ノズルが、
前記入口開口部の周りで前記注入ノズルの前記第1の端部に結合されたノズルシートであって、前記ノズルシートは、前記注入ノズルが前記延伸位置にあるときに前記供給入口と結合するように構成される、ノズルシート
を備える、請求項に記載の格納式中心供給型注入装置。
【請求項4】
前記供給入口が、
前記供給入口の先端に配置された供給入口シートであって、前記供給入口シートは、前記注入ノズルが前記延伸位置にあるときに前記ノズルシートと結合するように構成される、供給入口シート
を備える、請求項に記載の格納式中心供給型注入装置。
【請求項5】
前記供給入口シートが前記コークスドラムの内部に延びないように前記供給入口シートが前記第2の開口部の内側に配置され、前記ノズルシートは、前記注入ノズルが前記延伸位置にあるときに前記第2の開口部内に延びる、請求項に記載の格納式中心供給型注入装置。
【請求項6】
前記注入ノズルが、
前記入口開口部の周りで前記注入ノズルの前記第1の端部に結合されたノズルシート
を備える、請求項1に記載の格納式中心供給型注入装置。
【請求項7】
第1の開口部と、前記第1の開口部に対向して整列している第2の開口部とを備えた側壁を有するコークスドラムと、
前記第2の開口部に結合され、前記第2の開口部を介して前記コークスドラムに残留油を供給するように構成された、供給入口と、
を備えた、コークスドラム中心供給システムであって、
格納式中心供給型注入装置が、
前記第1の開口部と整列して前記側壁に結合されたハウジングと、
前記ハウジング内に含まれる注入ノズルであって、前記注入ノズルは第1の端部と第2の端部を有し、前記注入ノズルは、前記第1の端部が前記第1の開口部を通って前記コークスドラムの内部に延びない格納位置と、前記注入ノズルが前記コークスドラムの前記内部を横切って延びて前記第1の端部を前記供給入口と結合する延伸位置との間でスライドするように構成され、前記注入ノズルは、前記第1の端部に向かって配置されたチャンバを含み、前記チャンバは、前記注入ノズルが前記延伸位置にあるときに前記供給入口を通って供給される前記残留油が、入口開口部を介して前記チャンバ内に流れ込み、1つまたは複数の出口開口部を介して前記チャンバ外に流れ出るように、前記供給入口と整列している前記入口開口部と、上方に向けられた前記1つまたは複数の出口開口部とを含む、注入ノズルと、
前記格納位置と前記延伸位置との間で前記注入ノズルをスライドさせるためのアクチュエータと、
を備える、コークスドラム中心供給システム。
【請求項8】
前記注入ノズルが、前記入口開口部の周りで前記第1の端部に結合されたノズルシートを含む、請求項に記載のコークスドラム中心供給システム。
【請求項9】
前記ノズルシートが前記供給入口と結合する、請求項に記載のコークスドラム中心供給システム。
【請求項10】
前記ノズルシートが前記供給入口に挿入される、請求項に記載のコークスドラム中心供給システム。
【請求項11】
前記供給入口が供給入口シートを含み、前記ノズルシートが前記注入ノズルを前記供給入口に結合するために前記供給入口シートに挿入される、請求項10に記載のコークスドラム中心供給システム。
【請求項12】
前記供給入口が供給入口シートを含み、前記ノズルシートが前記供給入口シートと結合する、請求項に記載のコークスドラム中心供給システム。
【請求項13】
前記注入ノズルが前記延伸位置にあるとき、前記出口開口部が前記コークスドラムの前記内部の中心付近に配置される、請求項に記載のコークスドラム中心供給システム。
【請求項14】
前記注入ノズルが前記延伸位置にあるとき、前記チャンバが前記ハウジングの完全に外側に配置される、請求項に記載のコークスドラム中心供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、遅延コーキングプロセスの一部として加熱された残留油をコークスドラムに注入するための装置に関する。より具体的には、本発明は、側方供給エントリを用いてコークスドラムの底部および中心からコークスドラム内に残留油を供給することを可能にする格納式中心供給型注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遅延コーキングは石油コークスを製造することができる1つのプロセスである。簡単な概説として、遅延コーキングプロセスは、炉内の残留油として知られる石油精製プロセスの副産物を約485〜505℃の熱分解温度に加熱することを含む。この加熱された残留油は、次にコークスドラムにポンプで送られ、そこで、コークスドラム内に発生する熱と圧力が熱分解プロセスを完了する。加熱された残留油が冷却すると、石油コークスが形成され、これをコークスドラムから除去することができる。
【0003】
典型的には、コークスドラムの底部および中心から加熱された残留油を供給することが望ましい。これに対する1つの理由は、残留油が壁の片側に向けて供給される場合に起こり得るコークスドラムの壁の不均一な加熱を最小にすることである。中心からの残留油の供給を達成するために、種々のいわゆる「中心供給」システムが開発されてきた。これらの中心供給システムは、コークスドラムの中心に挿入されそしてそこから引き込まれることができる注入ノズルを使用する。中心供給システムの例は、米国特許第8,702,911号明細書および米国特許第8,545,680号明細書に記載されている。
【0004】
これらの先行技術の中心供給システムは、入口スリーブ内に含まれる注入ノズルを使用し、加熱された残留油が入口スリーブを通して注入ノズルに供給される。言い換えれば、入口スリーブと注入ノズルとの組み合わせが供給ラインを形成する。結果として、注入ノズルを延伸および格納するために使用されるものを含むすべての構成要素は、それらが運ぶ加熱された残留油の高温および高圧に耐えるように構成されなければならず、したがって比較的高価である。さらに、これらの構成要素が作動する厳しい環境のために、それらは頻繁なメンテナンスを必要とし、遅延コーキングプロセスにおける停止時間を招く可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、遅延コーキングプロセスの一部として残留油をコークスドラムに供給するために使用することができる格納式中心供給型注入装置に関する。本発明の格納式中心供給型注入装置はハウジングを含むことができ、ハウジングの中で注入ノズルは延伸位置と格納位置との間でスライドする。しかしながら、先行技術の中心供給システムとは異なり、このハウジングは供給入口の一部としては使用されていない。代わりに、供給入口がコークスドラムの側、好ましくは格納式中心供給型注入装置とは反対側に配置される。延伸位置にあるとき、注入ノズルは供給入口と結合し、それによってコークスドラムの中心への供給入口の延伸部を形成する。このようにして、残留油は注入ノズルのハウジングを通って流れることは決してなく、延伸したノズル部分を通ってのみ流れる。
【0006】
いくつかの実施形態では、本発明は、コークスドラム上で使用するための格納式中心供給型注入装置として実装される。格納式中心供給型注入装置は、コークスドラムの側壁に結合して側壁の第1の開口部と整列するように構成されたハウジングと、ハウジング内に収容された注入ノズルとを含むことができる。注入ノズルは、第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部がコークスドラム内に延び得ない格納位置と第1の端部がコークスドラム内に延びる延伸位置との間でスライドするように構成される。格納式中心供給型注入装置はまた、注入ノズルの第2の端部に結合され、注入ノズルを格納位置と延伸位置との間でスライドさせるように構成されたアクチュエータを含む。注入ノズルは、第1の端部に向かって配置され、ドラム内に向けられた1つまたは複数の出口開口部と、第1の端部を通って外に延びる入口開口部とを有するチャンバを含み、残留油が入口開口部を介してチャンバ内に流入しかつ1つまたは複数の出口開口部を介してチャンバから出ることができるようにする。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、コークスドラム中心供給システムとして実装され、コークスドラム中心供給システムは:第1の開口部と第1の開口部に対向して整列している第2の開口部とを備えた側壁を有するコークスドラムと;第2の開口部に結合され、第2の開口部を介してコークスドラムに残留油を供給するように構成された供給入口と;格納式中心供給型注入装置と、を含む。格納式中心供給型注入装置は:第1の開口部と整列して側壁に結合されたハウジングと;ハウジング内に含まれる注入ノズルであって、注入ノズルは第1の端部と第2の端部を有し、注入ノズルは、第1の端部が第1の開口部を通ってコークスドラムの内部に延びない格納位置と、注入ノズルがコークスドラムの内部を横切って延びて第1の端部を供給入口と結合する延伸位置との間でスライドするように構成され、注入ノズルは、第1の端部に向かって配置されたチャンバを含み、チャンバは、注入ノズルが延伸位置にあるときに供給入口を通って供給される残留油が入口開口部を介してチャンバ内に流れ込み、1つまたは複数の出口開口部を介してチャンバ外に流れ出るように、供給入口と整列している入口開口部と、上方に向けられた1つまたは複数の出口開口部とを含む、注入ノズルと;格納位置と延伸位置との間で注入ノズルをスライドさせるためのアクチュエータと、を含むことができる。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、格納式中心供給型注入装置として実装され、格納式中心供給型注入装置は:コークスドラムの側壁に結合して側壁の第1の開口部と整列するように構成されたハウジングと;ハウジング内に含まれる注入ノズルと;注入ノズルに結合され、注入ノズルを格納位置と延伸位置との間でスライドさせるように構成された、アクチュエータと;コークスドラムの側壁に結合して第1の開口部と反対側の側壁の第2の開口部と整列するように構成された供給入口と、を含む。注入ノズルが格納位置にあるとき、注入ノズルの第1の端部はコークスドラムの内部には延びない。一方、注入ノズルが延伸位置にあるとき、注入ノズルの第1の端部はコークスドラムの内部を横切って延び、供給入口と結合する。第1の端部は、供給入口を通って流れた残留油をコークスドラムの内部に注入することができるチャネルを形成する。
【0009】
この概要は、以下の発明を実施するための形態でさらに説明される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。この概要は、特許請求の範囲に記載された主題の重要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図していない。
【0010】
これらの図面は本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって本発明の範囲を限定するものと見なすべきではないことを理解した上で、本発明を、添付の図面を使用することにより、さらなる具体性および詳細と共に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による遅延コーキングシステムを示す図である。
図2A】格納位置にある格納式中心供給型注入装置の等角図である。
図2B】格納位置にある格納式中心供給型注入装置の側面断面図である。
図2C】格納位置にある格納式中心供給型注入装置の平面図である。
図3A】延伸位置にある格納式中心供給型注入装置の等角図である。
図3B】延伸位置にある格納式中心供給型注入装置側面断面図である。
図3C】延伸位置にある格納式中心供給型注入装置の平面図である。
図4】注入ノズルと、残留油がコークスドラムに供給される供給入口との間の界面の詳細図である。
図5】格納式中心供給型注入装置を通ってコークスドラム内へ流れる残留油の流れの方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、概して、本発明の実施形態による格納式中心供給型注入装置を含む遅延コーキングシステム100を示している。遅延コーキングシステム100は、コークスドラム110を含み、遅延コーキングプロセスの一部として、コークスドラム110内に加熱された残留油を注入することができる。ボトムアンヘディングバルブ120は、コークスドラム110のボトムに結合され、遅延コーキングプロセスが完了した後にコークスがコークスドラム110から外に出ることを可能にするように開くことができる。コークスドラム110は、供給入口130および格納式中心供給型注入装置200をコークスドラムの両側でコークスドラムに結合することを可能にするように構成され得る。例えば、コークスドラム110は、コークスドラムの両側に開口部を形成するフランジを含み得る。本明細書および特許請求の範囲において、コークスドラムという用語は、コークスドラムの全体、またはコークスドラムに結合されその一部を形成する構成要素(例えばスプール)を包含するものと解釈されるべきである。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコークスドラム110は、既存のコークスドラム上に設置することができるコークスドラムの最下部を表すことができる。したがって、本発明は、格納式中心供給型注入装置を結合することができるコークスドラムの特定の構成に限定されるべきではない。現時点では残留生成物を上方に注入することが好ましいが、分解生成物もまた任意の方向に注入することができることが理解されよう。さらに、好ましい実施形態におけるハウジングのすべてがドラムまで延びているが、取り付けフランジのようなハウジングのいくつかの小さな部分がドラムの内側に配置されてもよいことが理解されよう。できるだけ多くのハウジングをドラムの外側に配置することが好ましい。
【0013】
背景技術で説明したように、コークスドラムの中心からコークスドラム110内に残留油を供給するために使用できる様々な中心供給システムが存在する。しかしながら、これらの先行技術の中心供給システムのそれぞれにおいて、残留油は中心供給システムを通して供給され得る。図1を参照すると、これは、コークスドラム110の外側に位置する格納式中心供給型注入装置200の部分を通して残留油を供給することに似ている。対照的に、本発明の実施形態によれば、格納式中心供給型注入装置200および供給入口130は、コークスドラム110(例えば、ハウジング201)の外部に位置する格納式中心供給型注入装置200のいかなる部分も通過することなく残留油をコークスドラム110に供給できるように構成され得る。この構成は図2A図3Cに示されている。
【0014】
図2A図2Cでは、格納式中心供給型注入装置200は格納位置で示されているが、図3A図3Cでは、格納式中心供給型注入装置200は延伸位置で示されている。延伸位置にある間、格納式中心供給型注入装置200は供給入口130を有するチャネルを形成することができ、それを通して残留油をコークスドラム110に注入することができる。残留油が注入された後、残留油を注入することが再び望まれるまで(すなわち、次のコーキングサイクルまで)、格納式中心供給型注入装置200を格納位置に戻すことができる。
【0015】
格納式中心供給型注入装置200は、ハウジング201と、ハウジング201内に配置された注入ノズル202と、注入ノズル202を格納位置と延伸位置との間で移動させるように構成されたアクチュエータ203とを含む。任意の適切な種類のアクチュエータを使用することができ、したがってアクチュエータ203は詳細には説明されない。アクチュエータ203は、2つの位置の間で注入ノズル202をスライドさせる目的で注入ノズル202に結合するスライド可能な構成要素を含むと言えば十分である。
【0016】
ハウジング201はフランジ201aを含むことができ、それによってハウジング201は(例えば、コークスドラム110上のフランジ110a1を介して)コークスドラム110に結合される。ハウジング201はまた、いくつかの開口部201bを含み、それによってハウジング201の内部を(例えば蒸気で)加圧して、コークスドラム110内からハウジング201内への材料の流れを防ぐことができる。言い換えれば、コーキングプロセス中にコークスドラム110内に存在することになる圧力と実質的に一致または近似するように、注入ノズル202の外面とハウジング201の内面との間の小さな間隙を加圧することができる。加えて、ハウジング201は、注入ノズル202の外面に対してシールを形成し、ハウジング201が加圧されることを可能にし、またハウジング201内への材料の流れを遮断することを可能にするいくつかの構成要素/構造を含み得る。
【0017】
図2Bに最もよく示されるように、注入ノズル202は、注入ノズルの先端がコークスドラム110の開口部110aの近くに配置されるようにする長さを有することができる。ハウジング201はまた、フランジ201aを越えてフランジ110a1内に延びる部分を含むことができ、ハウジング201の先端も開口部110aまたはその近くに配置される。開口部110aとハウジング201と注入ノズル202との間の公差は、開口部110aにおいて緊密なシールが形成され、それによってフランジ110a1と201aとの間の接合部を通る材料の流出を防止するようなものであり得る。
【0018】
注入ノズル202は、コークスドラム110に挿入される注入ノズルの端部に配置されたチャンバ202aを含むことができる。チャンバ202aは、コークスドラム110の反対側の供給入口130に向けられかつ供給入口130と整列している入口開口部202a1を含む。いくつかの実施形態では、ノズルシート202b1を、注入ノズル202の先端でかつ入口開口部202a1の周りに結合することができる。ノズルシート202b1が含まれる場合、注入ノズル202の長さならびにノズルシート202b1のサイズは、注入ノズル202が格納位置にあるときにノズルシート202b1が開口部110aにまたはわずかにその中に収まるように構成され得る(すなわち、ノズルシート202b1は、注入ノズル202が格納位置にあるときにコークスドラム110内に延びないように構成され得る)。このノズルシート202b1の役割についてはさらに後述する。しかしながら、いくつかの実施形態では、注入ノズル202はノズルシート202b1を含まなくてもよい。そのような場合、注入ノズル202の先端は、図示のノズルシート202b1の形状と一致する形状で構成され得る。
【0019】
チャンバ202aはまた、注入ノズル202が延伸位置にあるときに開口部202a2および202a3がコークスドラム110の中心または中心付近に位置するように、上方に向けられかつ注入ノズル202の先端から離間した出口開口部202a2および202a3を含むことができる。出口開口部202a2および202a3はそれぞれ、インサート202b2および202b3を含むことができ、これらは、チャンバ202aを出るときに残留油の流れを方向付けるために使用され得る。いくつかの実施形態では、インサート202b2および202b3は、注入ノズル202の維持を容易にするために交換可能であり得る。
【0020】
供給入口130は、開口部110aと整列している開口部110bを形成するフランジ110b1を介してコークスドラム110に結合するように構成され得る。供給入口130は、フランジ110b1に結合するように構成されたフランジ130aと、フランジ130aがフランジ110b1に結合されたときにフランジ110b1を通って内方に延びる部分130bとを含むことができる。部分130bの長さは、その先端が開口部110bの近くに配置されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、供給入口シート130cは、開口部130b1の周りの部分130bの先端に結合され得る。ノズルシート202b1と同様に、供給入口シート130cは、コークスドラム110内に延びないように開口部110bにまたはわずかに開口部110b内に配置され得る。しかしながら、他の実施形態では、供給入口130は供給入口シート130cを含まなくてもよい。そのような場合、部分130bの先端は、図示の供給入口シート130cの先端と同じ形状で構成され得る。
【0021】
ノズルシート202b1および供給入口シート130cの形状は、ノズルシート202b1が供給入口シート130cに対して押圧されたときにシールを形成することができるように互いに対応し得る。これは図3Bおよび図4に最もよく示されている。注入ノズル202が延伸位置にスライドされたとき、開口部110aと110bとが整列していることにより、ノズルシート202b1は供給入口シート130cに挿入される(あるいは、供給入口シート130cはノズルシート202b1に挿入するように構成され得る)。アクチュエータ203によって注入ノズル202に加えられる力のため、注入ノズル202が延伸位置にあり、残留油がチャンバ202aを通って供給されるとき、ノズルシート202b1と供給入口シート130cとの間の界面がシールを形成する。
【0022】
図5は、供給入口130を通って供給された残留油がどのように入口開口部202a1を通ってチャンバ202aに入り、次に出口開口部202a2および202a3を介してチャンバ202aから出ることができるかを示している。図示のように、残留油は、例えばハウジング201のような、コークスドラム110の外側に配置された格納式中心供給型注入装置200のいかなる構成要素も決して通過しない。代わりに、残留油は、コークスドラム110内に配置されている注入ノズル202の部分を通ってのみ流れる。このため、ハウジング201および格納式中心供給型注入装置200の他の外部構成要素は、加熱された残留油がこれらの構成要素を通って流れた場合に生じ得る過酷な条件に適応するように設計される必要はない。このようにして、格納式中心供給型注入装置200の設計および保守が簡単になる。
【0023】
シールを形成することに加えて、ノズルシート202b1および供給入口シート130cは、格納式中心供給型注入装置200の保守を簡単にするように機能することができる。特に、ノズルシート202b1および供給入口シート130cの両方は、それぞれ注入ノズル202および供給入口130から取り外し可能であるように構成され得る。したがって、これらのシートが摩耗するにつれて、注入ノズル202および/または供給入口130を交換する必要なく、シートのみを交換することができる。実際、それらの設計により、これらのシートをその場で(例えば、注入ノズル202が格納位置(または少なくとも部分的に格納された位置)にある間にシートを取り外すためにコークスドラム110内に個々のシートを下げることによって)交換できる。
【0024】
ノズルシート202b1および供給入口シート130cの一方または両方を使用することが好ましい場合があるが、いくつかの実施形態では、格納式中心供給型注入装置200は、ノズルシート202b1または供給入口シート130cの一方のみを含むか、どちらも含まないように設計され得る。上述のように、1つのみのシートが使用されるかまたはシートがまったく使用されていない場合、注入ノズル202と供給入口130とは、両方のシートが含まれるときには依然として上記と同様の方法で結合するように構成され得、注入ノズル202が延伸位置にあるときにシールが依然として形成されるようにする。
【0025】
格納式中心供給型注入装置200の設計の他の利点は、格納式中心供給型注入装置が適切に作動していないかまたは外部保守を受けている可能性がある場合でも、残留油をコークスドラム110に供給できることである。例えば、何らかの理由で注入ノズル202を延伸位置にスライドさせることができない場合でも、残留油を依然として供給入口130から供給して、それによってコークスドラム110を満たすことができる。言い換えれば、格納式中心供給型注入装置200は、中心供給または側方供給プロセスのいずれかによりコークスドラム110を満たすことを可能にする。
【0026】
本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で実施することができる。説明した実施形態は、あらゆる点で例示的なものにすぎず、限定的なものではないと見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5