(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1方向における前記第1コイル同士の間の距離は、前記第1方向における前記第1コイルと前記第2コイルとの間の距離よりも大きい、請求項4に記載の積層型フィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、一実施形態に係る積層型フィルタを示す斜視図である。
図1に示される積層型フィルタ1は、特定の周波数帯域の信号を通過させると共に、特定の周波数帯域以外の周波数帯域の信号を通過させない(減衰させる)バントパスフィルタである。
【0018】
図1に示されるように、積層型フィルタ1は、素体2と、第1端子電極(入力端子電極)3と、第2端子電極(出力端子電極)4と、第1グランド電極5と、第2グランド電極6と、を備えている。積層型フィルタ1は、第1端子電極3及び第2端子電極4がそれぞれ信号ラインに接続されると共に、第1グランド電極5及び第2グランド電極6がそれぞれグランドに接続されるように、電子機器(例えば、回路基板又は電子基板など)に実装される。
【0019】
素体2は、直方体形状を呈している。素体2は、その外表面として、互いに対向する長方形状の第1主面(対向面)2a及び第2主面(実装面)2bと、互いに対向する第1側面2c及び第2側面2dと、互いに対向する第1端面(側面)2e及び第2端面(側面)2fと、を有している。素体2の長手方向(第1方向)は、第1端面2eと第2端面2fとが対向している方向である。素体2の幅方向は、第1側面2cと第2側面2dとが対向している方向である。素体2の高さ方向(第2方向)は、第1主面2aと第2主面2bとが対向している方向である。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体2は、例えば、長さLが1.6mm、幅Wが0.8mm、高さTが0.7mm程度である。
【0020】
図2は、積層型フィルタの素体の分解斜視図である。
図2に示されるように、素体2は、誘電体セラミック(BaTiO
3系セラミック又はガラスセラミック等)からなる。素体2は、複数の誘電体層(絶縁体層)7(7a〜7j)の積層によって構成されている。各誘電体層7は、例えば、誘電体材料(BaTiO
3系材料、Ba(Ti,Zr)O
3系材料、(Ba,Ca)TiO
3系材料、ガラス材料、又はアルミナ材料など)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。誘電体層7のうち、誘電体層7a及び誘電体層7jは、保護層として素体2の最表層にそれぞれ配置されている。実際の素体2では、各誘電体層7は、層間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体2の高さ方向、すなわち第1主面2aと第2主面2bとが対向している方向は、複数の誘電体層7が積層されている方向(以下、単に「積層方向」と称する。)と一致する。
【0021】
誘電体層7bには、第1コイル導体10と、第2コイル導体11と、第3コイル導体12と、第4コイル導体13と、が配置されている。各コイル導体10〜13は、導電材(例えば、Ag又はPdなど)を含んでいる。各コイル導体10〜13は、導電性材料(例えば、Ag粉末又はPd粉末など)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。以下、コイル導体は、同様に形成されている。
【0022】
第1コイル導体10は、略直線状(略I字状)を呈している。第1コイル導体10は、誘電体層7bの略中央部に配置されている。第1コイル導体10は、当該第1コイル導体10の長手方向が素体2の幅方向に沿うように配置されている。
【0023】
第2コイル導体11は、略L字状を呈している。第2コイル導体11は、誘電体層7bにおいて第2端面2f側に配置されている。第1コイル導体10と第2コイル導体11とは、素体2の長手方向において所定の間隔をあけて配置されている。第2コイル導体11は、直線状を呈する第1部分11aと、第1部分11aの一端に接続され且つ第1部分11aの延在方向に略直交する方向に延在する直線状の第2部分11bと、を有している。第1部分11aの長さ寸法は、第2部分11bの長さ寸法よりも大きい。第2コイル導体11の第1部分11aは、素体2の幅方向に沿うように配置されている。第2コイル導体11の第2部分11bは、素体2の長手方向に沿うと共に第1側面2c側に位置し、且つ第1部分11aの一端から内側(第1コイル導体10側)に延在するように配置されている。
【0024】
第3コイル導体12は、略直線状を呈している。第3コイル導体12は、誘電体層7bの略中央部に配置されている。第1コイル導体10と第3コイル導体12とは、素体2の長手方向において隣り合うように配置されている。具体的には、第3コイル導体12は、第1コイル導体10に対して、素体2の第1端面2e側に配置されている。第1コイル導体10と第3コイル導体12との間隔は、第1コイル導体10と第2コイル導体11との間隔よりも小さい。
【0025】
第4コイル導体13は、略L字状を呈している。第4コイル導体13は、誘電体層7bにおいて第1端面2e側に配置されている。第3コイル導体12と第4コイル導体13とは、素体2の長手方向において所定の間隔をあけて配置されている。第4コイル導体13は、直線状を呈する第1部分13aと、第1部分13aの一端に接続され且つ第1部分13aの延在方向に略直交する方向に延在する直線状の第2部分13bと、を有している。第1部分13aの長さ寸法は、第2部分13bの長さ寸法よりも大きい。第4コイル導体13の第1部分13aは、素体2の幅方向に沿うように配置されている。第4コイル導体13の第2部分13bは、素体2の長手方向に沿うと共に第1側面2c側に位置し、且つ第1部分13aの一端から内側(第3コイル導体12側)に延在するように配置されている。
【0026】
誘電体層7bにおいて、第1コイル導体10及び第2コイル導体11と、第3コイル導体12及び第4コイル導体13とは、誘電体層7bの中点を通り且つ素体2の幅方向に沿う直線を軸として線対称に配置されている。
【0027】
誘電体層7cには、第5コイル導体14と、第6コイル導体15と、第7コイル導体16と、第8コイル導体17と、が配置されている。
【0028】
第5コイル導体14は、第1コイル導体10と同様の構成を有している。第5コイル導体14は、積層方向において第1コイル導体10と重なる位置に配置されている。第5コイル導体14は、スルーホール導体H1及びスルーホール導体H2を介して第1コイル導体10と電気的に接続されている。
【0029】
第6コイル導体15は、第2コイル導体11と同様の構成を有している。第6コイル導体15は、第1部分15aと、第2部分15bと、を有している。第6コイル導体15は、積層方向において第2コイル導体11と重なる位置に配置されている。第6コイル導体15は、スルーホール導体H3及びスルーホール導体H4を介して第2コイル導体11と電気的に接続されている。
【0030】
第7コイル導体16は、第3コイル導体12と同様の構成を有している。第7コイル導体16は、積層方向において第3コイル導体12と重なる位置に配置されている。第7コイル導体16は、スルーホール導体H5及びスルーホール導体H6を介して第3コイル導体12と電気的に接続されている。
【0031】
第8コイル導体17は、第4コイル導体13と同様の構成を有している。第8コイル導体17は、第1部分17aと、第2部分17bと、を有している。第8コイル導体17は、積層方向において第4コイル導体13と重なる位置に配置されている。第8コイル導体17は、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H8を介して第4コイル導体13と電気的に接続されている。
【0032】
誘電体層7cにおいて、第5コイル導体14及び第6コイル導体15と、第7コイル導体16及び第8コイル導体17とは、誘電体層7cの中点を通り且つ素体2の幅方向に沿う直線を軸として線対称に配置されている。
【0033】
誘電体層7dには、スルーホール導体H1〜H8が挿通(配置)される複数(ここでは8個)の孔が設けられている。孔のそれぞれは、誘電体層7dを厚み方向に貫通している。誘電体層7dは、複数(例えば、10層程度)積層されている。
【0034】
誘電体層7eには、第1内部電極20と、第1接続導体21と、ビア導体22a,22b,22c,22d,22e,22fと、が配置されている。第1内部電極20は、直線状を呈している。第1内部電極20は、当該第1内部電極20の長手方向が素体2の長手方向に沿うように配置されている。第1内部電極20は、誘電体層7eの中央部に対して第2側面2d側寄りの位置に配置されている。第1接続導体21は、直線状を呈している。第1接続導体21は、素体2の第1側面2c側に位置し、素体2の長手方向に沿うように配置されている。第1接続導体21は、スルーホール導体H2及びスルーホール導体H6と電気的に接続されている。
【0035】
ビア導体22aは、スルーホール導体H3と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H3と電気的に接続されている。ビア導体22bは、スルーホール導体H4と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H4と電気的に接続されている。ビア導体22cは、スルーホール導体H1と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H1と電気的に接続されている。ビア導体22dは、スルーホール導体H5と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H5と電気的に接続されている。ビア導体22eは、スルーホール導体H7と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H7と電気的に接続されている。ビア導体22fは、スルーホール導体H8と積層方向において重なる位置に配置され、スルーホール導体H8と電気的に接続されている。
【0036】
誘電体層7eにおいて、第1内部電極20、第1接続導体21及びビア導体22a〜22fは、誘電体層7eの中点を通り且つ素体2の幅方向に沿う直線を軸として線対称に配置されている。
【0037】
誘電体層7fには、第2内部電極23と、第3内部電極24と、ビア導体25a,25b25c,25d,25e,25fと、が配置されている。第2内部電極23は、誘電体層7fにおいて第2端面2f側で且つ第1側面2c側に配置されている。第2内部電極23は、本体部23aと、本体部23aの一端から延在する引出部23bと、を有している。本体部23aは、略矩形状を呈している。引出部23bは、本体部23aの内側の一辺から誘電体層7fの中央部に向かって延在している。
【0038】
第3内部電極24は、誘電体層7fにおいて第1端面2e側で且つ第1側面2c側に配置されている。第3内部電極24は、本体部24aと、本体部24aの一端から延在する引出部24bと、を有している。本体部24aは、略矩形状を呈している。引出部24bは、本体部24aの内側の一辺から誘電体層7fの中央部に向かって延在している。第2内部電極23及び第3内部電極24は、誘電体層7eに配置された第1内部電極20と積層方向において重ならない位置に配置されている。
【0039】
ビア導体25aは、ビア導体22aと積層方向において重なる位置に配置され、ビア導体22aと電気的に接続されている。ビア導体25bは、ビア導体22cと積層方向において重なる位置に配置され、ビア導体22cと電気的に接続されている。ビア導体25cは、ビア導体22dと積層方向において重なる位置に配置され、ビア導体22dと電気的に接続されている。ビア導体25dは、ビア導体22eと積層方向において重なる位置に配置され、ビア導体22eと電気的に接続されている。ビア導体25e及びビア導体25fは、第1接続導体21と積層方向において重なる位置に配置され、第1接続導体21とスルーホール導体H2,H6によって電気的に接続されている。
【0040】
誘電体層7fにおいて、第2内部電極23、ビア導体25a、ビア導体25b及びビア導体25eと、第3内部電極24、ビア導体25c、ビア導体25d及びビア導体25fとは、誘電体層7fの中点を通り且つ素体2の幅方向に沿う直線を軸として線対称に配置されている。
【0041】
誘電体層7gには、第4内部電極26と、第5内部電極27と、第6内部電極28と、第7内部電極29と、ビア導体30a,30bと、が配置されている。第4内部電極26は、略矩形状を呈している。第4内部電極26は、誘電体層7gの中央部側で且つ第2側面2d側に配置されている。第4内部電極26は、その一部が第1内部電極20と積層方向において対向する位置に配置されている。第4内部電極26は、スルーホール導体H10を介して第2内部電極23(引出部23b)と電気的に接続されている。
【0042】
第5内部電極27は、略矩形状を呈している。第5内部電極27は、誘電体層7gの中央部側で且つ第2側面2d側に配置されている。第5内部電極27は、その一部が第1内部電極20と積層方向において対向する位置に配置されている。第5内部電極27は、スルーホール導体H11を介して第3内部電極24と電気的に接続されている。第4内部電極26と第5内部電極27とは、素体2の長手方向において隣接して配置されている。
【0043】
第6内部電極28は、誘電体層7gにおいて第2端面2f側に配置されている。第6内部電極28は、その一部が第1内部電極20と積層方向において対向する位置に配置されている。第7内部電極29は、誘電体層7gにおいて第1端面2e側に配置されている。第7内部電極29は、その一部が第1内部電極20と積層方向において対向する位置に配置されている。第6内部電極28と第7内部電極29とは、第4内部電極26及び第5内部電極27を素体2の長手方向において挟む位置に配置されている。
【0044】
ビア導体30a,30bは、誘電体層7gにおいて第1側面2c側に配置されている。ビア導体30aとビア導体30bとは、素体2の長手方向に沿って並んで配置されている。ビア導体30aは、ビア導体25eと積層方向において重なる位置に配置され、ビア導体25eと電気的に接続されている。ビア導体30bは、ビア導体25fと積層方向において重なる位置に配置され、ビア導体25fと電気的に接続されている。
【0045】
誘電体層7gにおいて、第4内部電極26、第6内部電極28及びビア導体30aと、第5内部電極27、第7内部電極29及びビア導体30bとは、誘電体層7gの中点を通り且つ素体2の幅方向に沿う直線を軸として線対称に配置されている。
【0046】
誘電体層7hには、第8内部電極31と、ビア導体32a,32bと、が配置されている。第8内部電極31は、略矩形状を呈している。第8内部電極31は、誘電体層7hの中央部に配置されている。ビア導体32aは、誘電体層7hにおいて第2端面2f側で且つ第1側面2c側に配置されている。ビア導体32bは、誘電体層7fにおいて第1端面2e側で且つ第1側面2c側に配置されている。ビア導体32a及びビア導体32bは、誘電体層7hにおいて第8内部電極31を挟む位置に配置されている。
【0047】
ビア導体32aは、第6内部電極28と積層方向において重なる位置に配置され、第6内部電極28とスルーホール導体H12を介して電気的に接続されている。ビア導体32bは、第7内部電極29と積層方向において重なる位置に配置され、第7内部電極29とスルーホール導体H13を介して電気的に接続されている。誘電体層7hにおいて、第8内部電極31及びビア導体32a,32bは、誘電体層7hの中点を通り且つ素体2の幅方向に沿う直線を軸として線対称に配置されている。
【0048】
誘電体層7iには、第9コイル導体33と、第10コイル導体34と、第2接続導体35と、が配置されている。第9コイル導体33は、略U字状を呈している。第9コイル導体33は、誘電体層7iにおいて第2端面2f側に配置されている。第9コイル導体33の一端は、スルーホール導体H12を介してビア導体32aと電気的に接続されている。第9コイル導体33の他端は、スルーホール導体H14を介して誘電体層7j(素体2の第2主面2b)に配置された第2端子電極4に電気的に接続されている。
【0049】
第10コイル導体34は、略U字状を呈している。第10コイル導体34は、誘電体層7iにおいて第1端面2e側に配置されている。第10コイル導体34の一端は、スルーホール導体H13を介してビア導体32bと電気的に接続されている。第10コイル導体34の他端は、スルーホール導体H15を介して誘電体層7j(素体2の第2主面2b)に配置された第1端子電極3に電気的に接続されている。
【0050】
第2接続導体35は、誘電体層7iにおいて略中央部に配置されている。第2接続導体35は、第9コイル導体33と第10コイル導体34との間に配置されている。第2接続導体35は、略H字状を呈している。第2接続導体35は、スルーホール導体H16a〜H16fを介して第8内部電極31と電気的に接続されている。第2接続導体35は、スルーホール導体H17a,H17bを介して誘電体層7j(素体2の第2主面2b)に配置された第2グランド電極6に電気的に接続されている。第2接続導体35は、スルーホール導体H17a,H17bを介して誘電体層7j(素体2の第2主面2b)に配置された第1グランド電極5に電気的に接続されている。
【0051】
誘電体層7iにおいて、第9コイル導体33、第10コイル導体34及び第2接続導体35は、誘電体層7iの中点を通り且つ素体2の幅方向に沿う直線を軸として線対称に配置されている。
【0052】
図1及び
図2に示されるように、第1端子電極3及び第2端子電極4は、素体2の第2主面2bに配置されている。第1端子電極3及び第2端子電極4のそれぞれは、長方形状を呈している。第1端子電極3は、第2主面2bの第1端面2e側に位置し、当該第1端子電極3の長手方向が素体2の幅方向に沿うように配置されている。第2端子電極4は、第2主面2bの第2端面2f側に位置し、当該第2端子電極4の長手方向が素体2の幅方向に沿うように配置されている。第1端子電極3と第2端子電極4とは、素体2の長手方向において所定の間隔をあけて配置されている。
【0053】
第1グランド電極5及び第2グランド電極6は、素体2の第2主面2bに配置されている。第1グランド電極5及び第2グランド電極6のそれぞれは、長方形状を呈している。第1グランド電極5は、第1端子電極3と第2端子電極4との間に配置されている。第1グランド電極5は、第2主面2bの第1側面2c側に位置し、当該第1グランド電極5の長手方向が素体2の長手方向に沿うように配置されている。第2グランド電極6は、第1端子電極3と第2端子電極4との間に配置されている。第2グランド電極6は、第2主面2bの第2側面2d側に位置し、当該第2グランド電極6の長手方向が素体2の長手方向に沿うように配置されている。第1グランド電極5と第2グランド電極6とは、素体2の幅方向において所定の間隔をあけて配置されている。
【0054】
各端子電極3〜6は、導電材(例えば、Ag又はPdなど)を含んでいる。各端子電極3〜6は、導電性材料(例えば、Ag粉末又はPd粉末など)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。各端子電極3〜6の表面にはめっき層が形成されている。めっき層は、例えば電気めっきにより形成される。めっき層は、Cuめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層からなる層構造、又は、Niめっき層及びSnめっき層からなる層構造などを有する。
【0055】
図3は、
図1に示す積層型フィルタの内部構造を示す斜視図である。
図4は、積層型フィルタの等価回路図である。
図4に示されるように、積層型フィルタ1は、第1LC並列共振部40と、第2LC並列共振部42と、第3LC並列共振部44と、第4LC並列共振部46と、第1整合コイル48と、第2整合コイル50と、コンデンサ部52と、を素体2内に備えている。積層型フィルタ1は、
図4に示されるように、線対称に構成されている。
【0056】
第1LC並列共振部40は、第1コンデンサC1と、第1コイルL1と、から構成されている。第1コンデンサC1と第1コイルL1とは、並列に接続されている。第1コンデンサC1と第1コイルL1とは、LCフィルタを構成している。
【0057】
第1コンデンサC1は、
図2及び
図3に示されるように、誘電体層7gに配置された第4内部電極26と、誘電体層7hに配置された第8内部電極31と、から構成されている。第4内部電極26と第8内部電極31とは、誘電体層7gを挟んで対向している。
【0058】
第1コイルL1は、第1コイル導体10と、第5コイル導体14と、スルーホール導体H1と、スルーホール導体H2と、を含んで構成されている。第1コイルL1の一端は、ビア導体22c、ビア導体25b、第4内部電極26、第2内部電極23及びビア導体22bを介して、後述する第2コイルL2の他端に電気的に接続されている。第1コイルL1の他端は、第1接続導体21、ビア導体25e、ビア導体30a、第8内部電極31及び第2接続導体35を介して、第1グランド電極5及び第2グランド電極6に電気的に接続されている。
【0059】
図4に示されるように、第2LC並列共振部42は、第2コンデンサC2と、第2コイルL2と、から構成されている。第2コンデンサC2と第2コイルL2とは、並列に接続されている。第2コンデンサC2と第2コイルL2とは、LCフィルタを構成している。第2LC並列共振部42は、第1LC並列共振部40に直列に接続されている。第2LC並列共振部42は、通過帯域外の所定の周波数帯域に必要な減衰量を確保するために設けられた、いわゆるトラップ共振器である。
【0060】
第2コンデンサC2は、
図2及び
図3に示されるように、誘電体層7fに配置された第2内部電極23と、誘電体層7gに配置された第6内部電極28と、から構成されている。第2内部電極23と第6内部電極28とは、誘電体層7fを挟んで対向している。
【0061】
第2コイルL2は、第2コイル導体11と、第6コイル導体15と、スルーホール導体H3と、スルーホール導体H4と、を含んで構成されている。第2コイルL2の一端は、ビア導体22a、ビア導体25a、第6内部電極28、ビア導体32a及び第9コイル導体33を介して第2端子電極4に電気的に接続されている。第2コイルL2の他端は、ビア導体22b、第2内部電極23、第4内部電極26、ビア導体25b及びビア導体22cを介して、第1コイルL1の一端に電気的に接続されている。
【0062】
図4に示されるように、第3LC並列共振部44は、第3コンデンサC3と、第3コイルL3と、から構成されている。第3コンデンサC3と第3コイルL3とは、並列に接続されている。第3コンデンサC3と第3コイルL3とは、LCフィルタを構成している。
【0063】
第3コンデンサC3は、
図2及び
図3に示されるように、誘電体層7gに配置された第5内部電極27と、誘電体層7hに配置された第8内部電極31と、から構成されている。第5内部電極27と第8内部電極31とは、誘電体層7gを挟んで対向している。
【0064】
第3コイルL3は、第3コイル導体12と、第7コイル導体16と、スルーホール導体H5と、スルーホール導体H6と、を含んで構成されている。第3コイルL3の一端は、ビア導体22d、ビア導体25c、第5内部電極27、第3内部電極24及びビア導体22fを介して、後述する第4コイルL4の他端に電気的に接続されている。第3コイルL3の他端は、第1接続導体21、ビア導体25f、ビア導体30b、第8内部電極31及び第2接続導体35を介して、第1グランド電極5及び第2グランド電極6に電気的に接続されている。第3コイルL3は、第1接続導体21により、第1コイルL1と電気的に接続されている。
【0065】
図4に示されるように、第4LC並列共振部46は、第4コンデンサC4と、第4コイルL4と、から構成されている。第4コンデンサC4と第4コイルL4とは、並列に接続されている。第4コンデンサC4と第4コイルL4とは、LCフィルタを構成している。第4LC並列共振部46は、第3LC並列共振部44と直列に接続されている。第4LC並列共振部46は、通過帯域外の所定の周波数帯域に必要な減衰量を確保するために設けられた、いわゆるトラップ共振器である。
【0066】
第4コンデンサC4は、
図2及び
図3に示されるように、誘電体層7fに配置された第3内部電極24と、誘電体層7gに配置された第7内部電極29と、から構成されている。第3内部電極24と第7内部電極29とは、誘電体層7fを挟んで対向している。
【0067】
第4コイルL4は、第4コイル導体13と、第8コイル導体17と、スルーホール導体H7と、スルーホール導体H8と、から構成されている。第4コイルL4の一端は、ビア導体22e、ビア導体25d、第7内部電極29、ビア導体32b及び第10コイル導体34を介して、第1端子電極3に電気的に接続されている。第4コイルL4の他端は、ビア導体22f、第3内部電極24、第5内部電極27、ビア導体25c及びビア導体22dを介して、第3コイルL3の一端に電気的に接続されている。
【0068】
図3に示されるように、第1コイルL1、第2コイルL2、第3コイルL3及び第4コイルL4は、素体2の長手方向に沿った軸心Ax1を有している。第1コイルL1、第2コイルL2、第3コイルL3及び第4コイルL4は、軸心Ax1を中心とするループ状に構成されている。
【0069】
第1コイルL1と第2コイルL2とは、素体2の長手方向(軸心Ax1方向)において所定の間隔をあけて配置されている。第3コイルL3と第4コイルL4とは、素体2の長手方向において所定の間隔をあけて配置されている。第1コイルL1と第3コイルL3とは、隣り合うように配置されている。第2コイルL2と第4コイルL4とは、素体2の長手方向において、第1コイルL1及び第3コイルL3を挟んで配置されている。第1コイルL1と第2コイルL2、及び、第3コイルL3と第4コイルL4との素体2の長手方向における間の距離は、第1コイルL1と第3コイルL3との間の距離よりも大きい。
【0070】
第1整合コイル48は、インピーダンスマッチング用のコイル(インダクタ)である。
図4に示されるように、第1整合コイル48は、第2LC並列共振部42と第2端子電極4との間に配置されている。
図2に示されるように、第1整合コイル48は、誘電体層7iに配置された第9コイル導体33により構成されている。第9コイル導体33は、第2LC並列共振部42に直列に接続されている。
【0071】
図2に示されるように、第9コイル導体33は、素体2の高さ方向(積層方向)において、第2コイルL2(第2コイル導体11、第5コイル導体14、スルーホール導体H3及びスルーホール導体H4)の下方(第2コイルL2と第2主面2bとの間)に配置されている。すなわち、第9コイル導体33は、素体2の高さ方向において、第2コイルL2と重なる位置で、且つ、第2コイルL2よりも第2主面2b側に配置されている。第2コイルL2と第9コイル導体33との間には、第2コンデンサC2(第2内部電極23及び第6内部電極28)が配置されている。第9コイル導体33は、第2コンデンサC2において第2主面2b側に配置された第6内部電極28の下方(第6内部電極28と第2主面2bとの間)に配置されている。詳細には、第9コイル導体33は、第2コンデンサC2を構成する第2内部電極23及び第6内部電極28のうち、第2コイルL2において第1整合コイル48と接続される端部に接続される第6内部電極28の下方に配置されている。すなわち、第9コイル導体33は、第2コンデンサC2を構成する第2内部電極23及び第6内部電極28のうち、第9コイル導体33の第2端子電極4と接続される端部とは反対側の端部と電位が同じ(電位差が小さい)第6内部電極28の下方に配置される。
【0072】
第9コイル導体33は、素体2の高さ方向に沿った軸心Ax2を有する。第9コイル導体33の軸心Ax2は、第1コイルL1及び第2コイルL2の軸心Ax1に直交する。
【0073】
第2整合コイル50は、インピーダンスマッチング用のコイルである。
図4に示されるように、第2整合コイル50は、第4LC並列共振部46と第1端子電極3との間に配置されている。
図2に示されるように、第2整合コイル50は、誘電体層7iに配置された第10コイル導体34により構成されている。第10コイル導体34は、第4LC並列共振部46に直列に接続されている。
【0074】
図3に示されるように、第10コイル導体34は、素体2の高さ方向において、第4コイルL4(第4コイル導体13、第8コイル導体17、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H8)の下方(第4コイルL4と第2主面2bとの間)に配置されている。第10コイル導体34は、素体2の高さ方向において、第4コイルL4と重なる位置で、且つ、第4コイルL4よりも第2主面2b側に配置されている。第4コイルL4と第10コイル導体34との間には、第4コンデンサC4(第3内部電極24及び第7内部電極29)が配置されている。第10コイル導体34は、第4コンデンサC4において第2主面2b側に配置された第7内部電極29の下方(第7内部電極29と第2主面2bとの間)に配置されている。詳細には、第10コイル導体34は、第4コンデンサC4を構成する第3内部電極24及び第7内部電極29のうち、第4コイルL4において第2整合コイル50と接続される端部に接続される第7内部電極29の下方に配置されている。すなわち、第10コイル導体34は、第4コンデンサC4を構成する第3内部電極24及び第7内部電極29のうち、第10コイル導体34の第1端子電極3と接続される端部とは反対側の端部と電位が同じ(電位差が小さい)第7内部電極29の下方に配置される。
【0075】
第10コイル導体34は、素体2の高さ方向に沿った軸心Ax3を有する。第10コイル導体34の軸心Ax3は、第3コイルL3及び第4コイルL4の軸心Ax1に直交する。
【0076】
図4に示されるように、コンデンサ部52は、第5コンデンサCaと、第6コンデンサCbと、第7コンデンサCcと、第8コンデンサCdと、を含んでいる。コンデンサ部52は、素体2の高さ方向において、第1コイルL1、第2コイルL2、第3コイルL3及び第4コイルL4と、第1整合コイル48及び第2整合コイル50との間に配置されている。第5コンデンサCa、第6コンデンサCb、第7コンデンサCc及び第8コンデンサCdは、減衰極である。また、第5コンデンサCa、第6コンデンサCb、第7コンデンサCc及び第8コンデンサCdは、各コイルの結合を調整する機能を有している。
【0077】
第5コンデンサCaは、第1内部電極20と、第6内部電極28と、から構成されている。第1内部電極20と第6内部電極28とは、誘電体層7e及び誘電体層7fを挟んで対向している。第6コンデンサCbは、第1内部電極20と、第4内部電極26と、から構成されている。第1内部電極20と第4内部電極26とは、誘電体層7e及び誘電体層7fを挟んで対向している。
【0078】
第7コンデンサCcは、第1内部電極20と、第5内部電極27と、から構成されている。第1内部電極20と第5内部電極27とは、誘電体層7e及び誘電体層7fを挟んで対向している。第8コンデンサCdは、第1内部電極20と、第7内部電極29と、から構成されている。第1内部電極20と第7内部電極29とは誘電体層7e及び誘電体層7fを挟んで対向している。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る積層型フィルタ1は、素体2内に、第2LC並列共振部42に直列に接続された第1整合コイル48と、第4LC並列共振部46に直列に接続された第2整合コイル50と、が設けられている。第1整合コイル48は、素体2の高さ方向において第2コンデンサC2と第2主面2bとの間に配置されている。第2整合コイル50は、素体2の高さ方向において第4コンデンサC4と第2主面2bとの間に配置されている。これにより、第2コンデンサC2及び第4コンデンサC4のそれぞれによって、第1整合コイル48と第1コイルL1及び/又は第2コイルL2、第2整合コイル50と第3コイルL3及び/又は第4コイルL4とが結合することを抑制できる。したがって、第1端子電極3から第2端子電極4まで間のアイソレーション効果が低下することを抑制でき、Q値の低下を抑制できる。その結果、積層型フィルタ1は、高周波帯域における減衰量の低下を抑制できるため、減衰特性の向上を図ることができる。
【0080】
本実施形態では、第1整合コイル48を構成する第9コイル導体33は、第2コンデンサC2を構成する第2内部電極23及び第6内部電極28のうち、第2コイルL2において第1整合コイル48と接続される端部に接続される第6内部電極28と第2主面2bとの間に配置されている。第2整合コイル50を構成する第10コイル導体34は、第4コンデンサC4を構成する第3内部電極24及び第7内部電極29のうち、第4コイルL4において第2整合コイル50と接続される端部に接続される第7内部電極29と第2主面2bとの間に配置されている。このような構成によれば、第6内部電極28と第9コイル導体33との間、及び、第7内部電極29と第10コイル導体34との間で浮遊容量が形成されることを抑制でき、信号の迂回路が形成されることを抑制できる。これにより、第1整合コイル48又は第2整合コイル50を通過すべき信号が第1整合コイル48又は第2整合コイル50を通過せず、浮遊容量により形成された迂回路を通過するといった現象を防止できる。その結果、第1整合コイル48又は第2整合コイル50によって、インピーダンスの不整合をより確実に解消することができる。
【0081】
本実施形態では、素体2の長手方向における第1コイルL1と第3コイルL3同士との間の距離は、第1コイルL1と第2コイルL2、及び、第3コイルL3と第4コイルL4との間の距離よりも大きい。第1コイルL1と第2コイルL2、及び、第3コイルL3と第4コイルL4とが結合すると、高周波帯域における減衰量が低下する。積層型フィルタ1では、第1コイルL1と第2コイルL2、及び、第3コイルL3と第4コイルL4との間の距離を大きくすることにより、第1コイルL1と第2コイルL2、及び、第3コイルL3と第4コイルL4とが結合することを抑制できる。その結果、高周波帯域の減衰量が低下することを抑制できるため、高周波帯域を効果的に減衰させることができる。
【0082】
本実施形態では、第1コイルL1、第2コイルL2、第3コイルL3及び第4コイルL4の軸心Ax1は、素体2の長手方向に沿っている。第1整合コイル48の軸心Ax2及び第2整合コイル50の軸心Ax3は、素体2の高さ方向に沿っている。これにより、第1コイルL1及び/又は第2コイルL2と第1整合コイル48との結合、及び、第3コイルL3及び/又は第4コイルL4と第2整合コイル50との結合をより一層抑制できる。また、素体2の高さ方向における寸法が大きくなることを抑制できる。したがって、積層型フィルタ1の小型化を図ることが可能となる。
【0083】
本実施形態では、第1整合コイル48は、第2端子電極4と第2LC並列共振部42との間に接続されている。第2整合コイル50は、第1端子電極3と第4LC並列共振部46との間に接続されている。これにより、積層型フィルタ1では、インピーダンスの不整合を効果的に解消することができる。
【0084】
本実施形態では、第2コイル導体11、第4コイル導体13、第6コイル導体15及び第8コイル導体17は、略L字状を呈している。これにより、例えば、直線状を呈する場合に比べて、インダクタンスを大きくすることができる。
【0085】
本実施形態では、第1コイルL1は、同一の形状を呈する第1コイル導体10及び第5コイル導体14を含んで構成されており、第2コイルL2は、同一の形状を呈する第2コイル導体11及び第6コイル導体15を含んで構成されている。また、第3コイルL3は、第3コイル導体12及び第7コイル導体16を含んで構成されており、第4コイルL4は、第4コイル導体13及び第8コイル導体17を含んで構成されている。このように、各コイルL1〜L4において、同形状を呈するコイル導体を積層方向において並べて配置することにより、各コイルL1〜L4のQ値を高くすることができる。これにより、各コイルL1〜L4において減衰のロスが生じることを抑制でき、減衰を効果的に得ることができる。
【0086】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、第1整合コイル48(第9コイル導体33)が第6内部電極28の下方に配置され、第2整合コイル50(第10コイル導体34)が第7内部電極29の下方に配置された形態を一例に説明した。しかし、第1整合コイル48及び第2整合コイル50は、第8内部電極31の下方に配置されてもよい。
【0087】
上記実施形態では、第2コイル導体11、第4コイル導体13及び第6コイル導体15が略L字状を呈する形態を一例に説明したが、これらのコイル導体は他の形状(例えば、I字状)を呈していてもよい。
【0088】
第2接続導体35を備える形態を一例に説明したが、第2接続導体35は設けなくてもよい。この場合、第8内部電極31と第1グランド電極5とがスルーホール導体H17c,H17dで接続され、第8内部電極31と第2グランド電極6とがスルーホール導体H17a,H17bで接続されればよい。また、上記実施形態では、第2接続導体35が略H字形状を呈している形態を一例に説明したが、第2接続導体35の形状はこれに限定されない。
【0089】
上記実施形態では、第1LC並列共振部40及び第3LC並列共振部44を備える形態を一例に説明したが、これらのLC並列共振部は更に備えられていてもよい。
【0090】
上記実施形態では、第1整合コイル48を構成する第9コイル導体33が、第2コンデンサC2を構成する第2内部電極23及び第6内部電極28のうち、第2コイルL2において第1整合コイル48と接続される端部に接続される第6内部電極28と第2主面2bとの間に配置されている形態を一例に説明した。しかし、第9コイル導体33は、第1コイルL1において第2コイルL2と接続される端部に接続される第1コンデンサC1を構成する第8内部電極31の下方に配置されていてもよい。また、上記実施形態では、第2整合コイル50を構成する第10コイル導体34が、第4コンデンサC4を構成する第3内部電極24及び第7内部電極29のうち、第4コイルL4において第2整合コイル50と接続される端部に接続される第7内部電極29と第2主面2bとの間に配置されている形態を一例に説明した。しかし、第10コイル導体34は、第3コイルL3において第4コイルL4を接続される端部に接続される第3コンデンサC3を構成する第8内部電極31の下方に配置されていてもよい。
【0091】
上記実施形態では、素体2において、第1端面2eと第2端面2fとの間の距離が、第1主面2aと第2主面2bとの間の距離、及び、第1側面2cと第2側面2dとの間の距離よりも大きい形態を一例に説明したが、素体の形状はこれに限定されない。