特許第6693085号(P6693085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6693085
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】点灯装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/00 20200101AFI20200427BHJP
【FI】
   H05B37/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-214080(P2015-214080)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-84700(P2017-84700A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】山上 陽
(72)【発明者】
【氏名】大津 定治
(72)【発明者】
【氏名】景山 正則
(72)【発明者】
【氏名】村松 正城
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−219963(JP,A)
【文献】 特開2013−120722(JP,A)
【文献】 特開2014−107251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H05B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された直流電圧を変換するDC−DCコンバータ回路と、
前記DC−DCコンバータ回路と光源との接続を仲介する出力端子と、
前記出力端子の端子間電圧を分圧する分圧回路部と、前記DC−DCコンバータ回路が備えるスイッチング素子を迂回して前記分圧回路部と前記出力端子との接続点に前記直流電圧から生成した電圧を印加する電圧供給部と、を含むランプ検出回路と、
前記DC−DCコンバータ回路を制御するとともに、前記分圧回路部と接続して前記分圧回路部で分圧された分圧電圧から互いに異なる大きさの第一電圧と第二電圧とを取得し前記第二電圧から電源を得ることで起動し且つ前記第一電圧に基づいて前記出力端子に前記光源が接続しているか否かを判定する制御装置と、
を備える点灯装置。
【請求項2】
前記分圧回路部は、第1抵抗、第2抵抗、および第3抵抗がこの順に直列接続したものであり、
前記第1抵抗の一端と前記出力端子との接続点に電圧を印加する電圧供給部を更に備え、
前記第一電圧は前記第1抵抗の他端と前記第2抵抗の一端との接続点の第一分圧電圧であり、前記第二電圧は前記第2抵抗の他端と前記第3抵抗の一端との接続点の第二分圧電圧であり、
前記制御装置は、前記第一分圧電圧に基づいて前記出力端子に前記光源が接続しているか否かを判定し、前記第二分圧電圧を電源として起動する請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
入力された直流電圧を変換するDC−DCコンバータ回路と、
前記DC−DCコンバータ回路と光源との接続を仲介する出力端子と、
前記出力端子の端子間電圧を分圧する分圧回路部と、前記DC−DCコンバータ回路が備えるスイッチング素子を迂回して前記分圧回路部と前記出力端子との接続点に前記直流電圧から生成した電圧を印加する電圧供給部と、を含むランプ検出回路と、
前記DC−DCコンバータ回路を制御するとともに、前記分圧回路部と接続して前記分圧回路部で分圧された分圧電圧から電源を得ることで起動し且つ前記分圧電圧に基づいて前記出力端子に前記光源が接続しているか否かを判定する制御装置と、
を備え、
前記DC−DCコンバータ回路の高電位側配線から取得した電圧を用いて制御電源を生成し、前記制御電源を前記制御装置に供給する制御電源回路と、
前記制御装置の起動後、前記制御電源が前記制御装置に供給され始めた後に、前記分圧回路部からの電源経路を遮断する遮断回路と、
をさらに備える点灯装置。
【請求項4】
前記DC−DCコンバータ回路は、チョークコイルを含むチョッパ回路であり、
前記チョークコイルが前記高電位側配線の途中に設けられており、
前記制御電源回路は、前記チョークコイルに結合した2次コイルに発生する電圧から前記制御電源を生成する請求項3に記載の点灯装置。
【請求項5】
入力された直流電圧を変換するDC−DCコンバータ回路と、
前記DC−DCコンバータ回路と光源との接続を仲介する出力端子と、
前記出力端子の端子間電圧を分圧する分圧回路部と、前記DC−DCコンバータ回路が備えるスイッチング素子を迂回して前記分圧回路部と前記出力端子との接続点に前記直流電圧から生成した電圧を印加する電圧供給部と、を含むランプ検出回路と、
前記DC−DCコンバータ回路を制御するとともに、前記分圧回路部と接続して前記分圧回路部で分圧された分圧電圧から電源を得ることで起動し且つ前記分圧電圧に基づいて前記出力端子に前記光源が接続しているか否かを判定する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記光源が点灯しないように前記DC−DCコンバータ回路の出力を低下させる待機モードを備え、
前記待機モード中に前記分圧回路部から前記制御装置に電圧が供給される点灯装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の点灯装置を備えた照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、下記の特許文献1に開示されているように、点灯装置が制御電源回路及び制御回路を備え、制御電源回路からの制御電源を受けることで制御回路が起動するように構成された点灯装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5743041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
点灯装置に直管型ランプが接続されているかを検出するランプ検出を行う技術が公知である。このランプ検出は、一般に制御回路においてランプ検出回路の出力値を予め定めた閾値と比較するなどの回路動作を伴う。交流電源の投入後、制御電源回路が起動して制御電源を生成して制御装置が起動するまでには僅かとはいえタイムラグがある。制御装置の起動に用いる起動電圧を制御電源回路から得る場合の遅れをなくし、ランプ検出を可及的速やかに実施したいという要求があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ランプ検出を迅速に行うことのできる点灯装置および照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる点灯装置は、入力された直流電圧を変換するDC−DCコンバータ回路と、前記DC−DCコンバータ回路と光源との接続を仲介する出力端子と、前記出力端子の端子間電圧を分圧する分圧回路部と、前記DC−DCコンバータ回路が備えるスイッチング素子を迂回して前記分圧回路部と前記出力端子との接続点に前記直流電圧から生成した電圧を印加する電圧供給部と、を含むランプ検出回路と、前記DC−DCコンバータ回路を制御するとともに、前記分圧回路部と接続して前記分圧回路部で分圧された分圧電圧から互いに異なる大きさの第一電圧と第二電圧とを取得し前記第二電圧から電源を得ることで起動し且つ前記第一電圧に基づいて前記出力端子に前記光源が接続しているか否かを判定する制御装置と、を備える。本発明にかかる照明器具は、上記本発明にかかる点灯装置を備える。

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、分圧回路部から制御装置の起動電圧とランプ検出電圧とを同時に取得することができるので、ランプ検出回路での検出電圧を受けた制御装置が、直ちに起動およびランプ検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1にかかる点灯装置およびこれを備える照明器具を示す回路図である。
図2】本発明の実施の形態1にかかる点灯装置で行われるランプ検出を説明するための回路図である。
図3】本発明の実施の形態1にかかる点灯装置で行われるランプ検出を説明するための回路図である。
図4】本発明の実施の形態1の変形例にかかる点灯装置およびこれを備える照明器具を示す回路図である。
図5】本発明の実施の形態1の変形例にかかる点灯装置およびこれを備える照明器具を示す回路図である。
図6】本発明の実施の形態1の変形例にかかる点灯装置およびこれを備える照明器具を示す回路図である。
図7】本発明の実施の形態1の変形例にかかる点灯装置における制御装置周辺の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態にかかる装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態にかかる点灯装置1およびこれを備える照明器具100を示す回路図である。照明器具100は、直管LEDランプ21と、点灯装置1とで構成される。点灯装置1は、整流回路6、コンデンサ7、分圧回路を構成する抵抗8、9、DC−DCコンバータ回路1a、出力端子30、ランプ検出回路25、制御電源回路4、制御装置5、および駆動回路24を備えている。
【0010】
整流回路6は、交流電源22と接続している。DC−DCコンバータ回路1aは、昇圧チョッパ回路2と、バックコンバータ回路(すなわち降圧チョッパ回路)3とを備えている。DC−DCコンバータ回路1aは、整流回路6から直流電圧を受けて、この直流電圧を昇圧チョッパ回路2のスイッチング素子Q1およびバックコンバータ回路3のスイッチング素子Q2を用いて変換する。
【0011】
ユーザが壁スイッチSWを操作することで点灯装置1へ交流電源22からの交流入力電圧が投入される。この交流入力電圧の投入は、点灯装置1に対する「点灯指示信号の入力」という意義も有している。交流入力電圧の投入後、制御電源回路4の起動、制御装置5の起動、昇圧チョッパ回路2の起動、およびバックコンバータ回路3の起動の順に点灯装置1が駆動を開始する。
【0012】
整流回路6は、交流電源22からの交流電圧を直流電圧に変換する。コンデンサ7は、整流回路6の出力端子に並列に接続する。抵抗8、9が直列接続した分圧回路は、コンデンサ7に並列接続される。抵抗8、9がコンデンサ7の両端電圧を分圧することで入力電圧Vinが生成され、この入力電圧Vinが制御装置5に入力される。
【0013】
昇圧チョッパ回路2は、整流回路6から直流電圧を受けて、第1スイッチング素子Q1を用いて直流電圧を昇圧することにより第1出力電圧V1を出力する。具体的には、昇圧チョッパ回路2は、インダクタ10と、第1スイッチング素子Q1と、ダイオード11と、コンデンサ15と、抵抗13、14が直列接続した分圧回路を備えている。インダクタ10は、一端が整流回路6の高電位側に接続される。第1スイッチング素子Q1は、本実施形態ではMOSFETであり、第1端子(本実施形態ではドレイン)、第2端子(本実施形態ではソース)および第1、2端子間をスイッチングするための制御端子(本実施形態ではゲート)を備え、インダクタ10の他端に第1端子が接続される。ダイオード11のアノードが、第1スイッチング素子Q1の第1端子とインダクタ10の他端との接続点に接続される。コンデンサ15は、正極がダイオード11のカソードに接続され、負極が整流回路6の低電位側に接続される電解コンデンサである。抵抗13、14が直列接続した分圧回路は、コンデンサ15に並列に接続される。コンデンサ15の両端電圧が抵抗13、14を用いて分圧され制御装置5に入力される。
【0014】
抵抗13、14で構成される分圧回路は、昇圧チョッパ回路2の出力端に設けられている。抵抗13と抵抗14の接続点に現れる検知電圧Vpが制御装置5に入力される。検知電圧Vpは、昇圧チョッパ回路2の第1出力電圧V1を検出するために用いられる。
【0015】
バックコンバータ回路3は、第2スイッチング素子Q2を用いて第1出力電圧V1を降圧することにより、直管LEDランプ21を点灯させるための第2出力電圧V2を出力する。具体的には、バックコンバータ回路3は、第2スイッチング素子Q2と、ダイオード18と、インダクタ17と、コンデンサ23と、検出抵抗19を備えている。第2スイッチング素子Q2とダイオード18からなる直列回路が、昇圧チョッパ回路2のコンデンサ15と並列に接続されている。第2スイッチング素子Q2は、本実施形態ではMOSFETであり、第1端子(本実施形態ではドレイン)、第2端子(本実施形態ではソース)および第1、第2端子間をスイッチングするための制御端子(本実施形態ではゲート)を備えている。第2スイッチング素子Q2の第1端子がコンデンサ15の一端(正極)と接続し、第2スイッチング素子Q2の第2端子がダイオード18のカソードおよびインダクタ17の接続点に接続される。インダクタ17、コンデンサ23、および検出抵抗19はこの順に直列接続して直列回路を形成しており、この直列回路がダイオード18に並列に接続している。
【0016】
検出抵抗19の一端は直管LEDランプ21のカソード端とコンデンサ23の負極端子との接続点に接続しており、検出抵抗19の他端は接地されている。検出抵抗19には、直管LEDランプ21に流れる電流に比例した電圧が発生する。検出抵抗19と直管LEDランプ21のカソード端との接続点が制御装置5と接続されており、検出抵抗19に発生した検出電圧VILEDが制御装置5に入力される。制御装置5は、検出電圧VILEDに基づいて、直管LEDランプ21に流れるLED電流値ILEDを検出することができる。
【0017】
出力端子30は、バックコンバータ回路3と直管LEDランプ21との接続を仲介する。直管LEDランプ21は、出力端子30を介して、コンデンサ23に並列に接続している。直管LEDランプ21は、複数のLED20を備えており、図1では一例として複数のLED20を1列に直列接続したモジュールとしている。LED20は、無機半導体で形成されたLED素子であってもよく、有機半導体で形成されたいわゆるOLED素子(すなわち有機EL素子)であってもよい。
【0018】
制御電源回路4は駆動回路24の電源電圧VACCおよび制御装置5の電源電圧VDCCを供給する回路である。制御電源回路4は、実施の形態ではコンデンサ15の後段、すなわち昇圧チョッパ回路2の出力端に接続されている。交流電源22が投入されると、整流回路6によって整流された直流電圧(脈流直流電圧)により制御電源回路4が起動する。昇圧チョッパ回路2が起動した後は、昇圧チョッパ回路2が出力する第1出力電圧V1が制御電源回路4の電源となる。
【0019】
駆動回路24は、制御装置5から制御信号Sp、Sbを受け取って、この制御信号Sp、Sbに従って、第1、2スイッチング素子Q1、Q2のゲート駆動信号を出力する。例えば制御信号Sp、SbがPWM(pulse width modulation)信号であれば、駆動回路24はこのPWM信号を必要な電圧レベルに増幅する増幅回路である。
【0020】
ランプ検出回路25は、出力端子30に対する直管LEDランプ21の接続有無を検出する回路である。ランプ検出回路25は、抵抗271、27、28からなる分圧回路部と、電圧供給抵抗26(以下、単に抵抗26とも称す)と、を含む。この分圧回路部は、抵抗271、27、28の直列回路が出力端子30に接続されたものである。抵抗26は、スイッチング素子Q2に並列に接続されている。抵抗26は、第2スイッチング素子Q2を迂回して抵抗271と出力端子30との接続点に第1出力電圧V1から生成した電圧を印加する。この抵抗271、27、28によって出力端子30の端子間電圧が分圧される。
【0021】
ディジタルインターフェース回路40には、図示しない様々な外部デバイスを接続することができる。外部デバイスから、ディジタルインターフェース回路40を介して、制御装置5へと各種の信号が入力される。外部デバイスとしては、例えば人感センサ、照度センサ(明るさセンサ)、調光器、無線通信ユニットなどが想定される。実施の形態では、一例として、ディジタルインターフェース回路40に例えば図示しない調光器から調光信号が入力されるものとする。調光信号は、ディジタルインターフェース回路40からマイコン51に伝達される。
【0022】
[制御装置5の構成及び動作]
制御装置5は、検知電圧VpおよびLED電流値ILEDに基づいて、第1、2スイッチング素子Q1、Q2を制御する。具体的には、制御装置5は、検知電圧Vpに基づいて、昇圧チョッパ回路2の出力電圧が一定値になるように(昇圧チョッパ回路2の出力電圧が予め設定された昇圧目標電圧と一致するように)、制御信号Spを調節する。制御装置5は、力率改善制御を行うために、いわゆる電流臨界モードまたは電流連続モードなどで第1スイッチング素子Q1をスイッチング制御する。また、制御装置5は、検出電圧VILEDに基づいてLED電流値ILEDが一定値となるように(バックコンバータ回路3の出力電圧が予め設定された降圧目標電圧と一致するように)、制御信号Sbを調節する。
【0023】
制御装置5から出力された制御信号Sp、Sbは、駆動回路24に入力される。駆動回路24は、第1、2スイッチング素子Q1、Q2をオンさせる為に必要な電圧まで制御信号Sp、Sbを増幅して駆動信号を生成し、この駆動信号を第1、2スイッチング素子Q1、Q2それぞれの制御端子に出力する。制御信号Spに従って第1スイッチング素子Q1がオンオフされることで、昇圧チョッパ回路2において所望の昇圧動作および力率改善動作が得られる。また、制御信号Sbに従って第2スイッチング素子Q2がオンオフされることで、バックコンバータ回路3が直管LEDランプ21を所望の明るさで点灯させることができる。なお、制御装置5はユーザの設定により任意の異なるタイミングで制御信号Sp、Sbの出力を開始することもできる。
【0024】
制御装置5の内部構造については各種公知のハードウェア構成を適用することができるので詳細を図示することは省略するが、ハードウェア構成の一部を説明すると、図1に示す制御装置5はマイコン51およびA/D変換回路52を内蔵している。図1では、一例として、制御電源回路4が生成した制御電源VDCCが、給電配線53を介してマイコン51およびA/D変換回路52に供給されている。ICパッケージ内において制御電源を給電する給電配線53がマイコン51およびA/D変換回路52とで共有されている。
【0025】
マイコン51は、内部に演算処理部およびメモリなどを含んでおり、点灯制御に必要な各種ディジタル情報および制御プログラムを記憶している。A/D変換回路52は、上述した入力電圧Vin、検知電圧Vp、ランプ検出電圧VLMP、および検出電圧VILEDをそれぞれディジタル値に変換する。A/D変換回路52を介してディジタル値に変換された各種情報と、マイコン51のメモリに記憶された各種ディジタル情報とを利用して、マイコン51の演算処理部において点灯制御用の制御プログラムが実行される。
【0026】
マイコン51は、制御プログラムを実行することにより、第1、2スイッチング素子Q1、Q2それぞれのスイッチング制御に関するオンデューティ等の動作目標値を算出する。具体的には、マイコン51は、昇圧チョッパ回路2において所望の昇圧電圧を得るとともに所望の力率改善制御を行うように、第1スイッチング素子Q1の動作目標値を算出する。マイコン51は、ディジタルインターフェース回路40を介して調光器(図示せず)から調光信号に応じた調光率で直管LEDランプ21を点灯させるように、第2スイッチング素子Q2についてオンデューティ等の動作目標値を算出する。マイコン51は、算出した動作目標値で指定されたパルス幅、周期、およびデューティなどを駆動回路24に出力させるための制御信号Sp、Sbをそれぞれ出力する。
【0027】
実施の形態では、下記に述べるランプ検出を行うために必要な制御プログラムおよびディジタル情報も、マイコン51の内部メモリに記憶されている。ランプ検出閾値VLMPTHなどのディジタル情報も記憶されている。
【0028】
実施の形態では、一例として、点灯装置1および照明器具100が「待機モード」を備える仕様の照明器具であるものとする。具体的には、この実施の形態では、待機モードの条件成立時に、マイコン51は、予め定めた待機モードプログラムに従って、昇圧チョッパ回路2およびバックコンバータ回路3を停止するか、或いは直管LEDランプ21が点灯しないように昇圧チョッパ回路2およびバックコンバータ回路3の出力を絞る。制御プログラムは、予めマイコン51の内蔵メモリに記憶されている。また、待機モードの条件は、予め設計された条件であり、一例としては、調光器において0%まで調光率が絞られた場合、あるいは人感センサにより人不在が検知されることで照明器具100の設置箇所を照らす必要がないと判定された場合などでもよい。マイコン51には、このような待機モードの判定プログラムも予め記憶されている。ディジタルインターフェース回路40を通じてマイコン51に待機モードを告げる信号が入力されると、制御信号Sp,Sbをオフに停止するか、或いは予め定めた消灯レベル信号となるように制御信号Sp,Sbを調整する。例えば調光器で調光率を上げるなどのユーザの手動操作或いは人感センサによる人検知等により、再点灯を指示する旨の点灯指示信号が送られることでこの待機モードは解除される。
【0029】
[実施の形態におけるランプ検出および起動電源]
図1において、昇圧チョッパ回路2側の電圧は抵抗26の一端に接続され、抵抗26の他端からは抵抗271、27、28の直列回路に電圧が印加される。分圧電圧の低下に基づくランプ検出を行うためには、点灯装置1の出力端子30とランプ検出回路25の抵抗271との接続点に、抵抗26から電圧を供給する必要がある。抵抗271、27、28は出力端子30に並列接続されているので、抵抗271と出力端子30の接続点に、抵抗26を介して電圧(「ランプ検出用電源電圧」とも称す)が供給されている。
【0030】
整流回路6とコンデンサ7により整流・平滑された電圧が、抵抗26、271、27、28で分圧されることで、抵抗271と抵抗27との接続点、および抵抗27と抵抗28との接続点に、それぞれ分圧された電圧が現れる。抵抗271と抵抗27との接続点から取り出される電圧は、「ランプ検出電圧VLMP」として取り扱うことができる。ランプ検出電圧VLMPを、予めマイコン51の内部メモリに設定したランプ検出閾値VLMPTHと比較することで、直管LEDランプ21の接続を検出することができる。
【0031】
さらに、実施の形態では、抵抗27と抵抗28との接続点から取り出される電圧を制御装置5の起動電圧として使用する。抵抗27と抵抗28との接続点から取り出される電圧を、以下「起動電圧VDCCL」とも称す。起動電圧VDCCLは、ランプ検出電圧VLMPよりも低い電圧である。
【0032】
図2および図3は、本発明の実施の形態にかかる点灯装置1で行われる直管LEDランプ21検出を説明するための回路図である。図2は交流電源投入時の直管LEDランプ非接続時におけるランプ検出回路25周辺のブロック図である。図3は交流電源投入時の直管LEDランプ接続時におけるランプ検出回路25周辺のブロック図である。図2および図3においては、説明の便宜上、昇圧チョッパ回路2およびバックコンバータ回路3などを省略している。
【0033】
図3に示すように出力端子30に直管LEDランプ21が接続されると、抵抗271、27、28の直列回路に対して抵抗29が並列に接続されるのでランプ検出電圧VLMP図2に示すランプ非装着時よりも低下する。抵抗27の一端に印加されるランプ検出電圧VLMPは、抵抗271、27、28と直管LEDランプ21の抵抗29とが構成する並列回路における合成抵抗の比で決まる。図2に示すランプ非接続時の抵抗26〜28の分圧回路から取り出されたランプ検出電圧VLMPよりも、図3に示すランプ接続時の抵抗26〜28に抵抗29を並列接続した回路から取り出されたランプ検出電圧VLMPのほうが低い。
【0034】
直管LEDランプ非接続時のランプ検出電圧VLMPは直管LEDランプ接続時よりも高いので、ランプ検出電圧VLMPがランプ検出閾値VLMPTH以下か否かを判定することで、ランプ接続の有無を判定することができる。もし、ランプ検出電圧VLMPがランプ検出閾値VLMPTHよりも高い値を示すときには、ランプが接続されていないと判定することもできる。ランプ検出閾値VLMPTHは、図2に示す直管LEDランプ非接続時のランプ検出電圧VLMPを予め測定した上で、この測定値よりも低い値に予め設定される。ランプ検出閾値VLMPTHは、マイコン51の内蔵メモリに記憶されている。
【0035】
制御装置5は、交流電源22から点灯装置1へ交流入力電圧が投入された後、ランプ検出回路25から取り出された起動電圧VDCCLを利用して起動する。また、整流回路6が出力した脈流直流電圧が平滑した電圧が制御電源回路4に入力されており、この電圧から制御電源回路4が制御電源(つまり、アナログ回路用制御電源電圧VACCおよびディジタル回路用制御電源電圧VDCC)を生成する。起動した制御装置5は、図2図3で説明した上記ランプ検出方法に従って、ランプ検出閾値VLMPTHとランプ検出電圧VLMPとの比較処理を行うことで、ランプ検出を実施する。直管LEDランプ21の接続が検出された場合には、制御装置5は、その後、昇圧チョッパ回路2、およびバックコンバータ回路3をこの順に起動する。なお、バックコンバータ回路3起動後などの任意のタイミングにおいて、スイッチ54がオフにされることで、起動電圧VDCCLによる電源供給が遮断される。既に制御装置5に制御電源回路4から制御電源VDCCが安定的に供給される段階に至っているからである。
【0036】
なお、制御装置5は、上述した「待機モード」中にはスイッチ54がオンとされることで、起動電圧VDCCLを待機モード中の待機電源として消費してもよい。待機モード中にバックコンバータ回路3が停止していたとしても、抵抗26を介して抵抗271、27、28の分圧回路へと電圧が印加されるので、抵抗271、27の接続点から起動電圧VDCCLを取り出すことができる。このようにすることで、制御電源回路4とは別に、待機モード中の電源を確保することができる。この場合、待機モード中に制御電源回路4の駆動を停止しても良い。
【0037】
以上説明したように、実施の形態によれば、起動時にランプ検出回路25から制御装置5の起動電圧VDCCLを取得し、制御装置5が起動することが可能となる。起動電圧VDCCLとランプ検出電圧VLMPとを同時に取得することができるので、制御装置5の起動に伴って即座にランプ検出を行うことができる。
【0038】
なお、実施の形態において制御装置5がランプ検出回路25から起動電圧VDCCLを得るための手段としては、少なくとも次の2つの方法が考えられる。第1の手段として、まず、制御装置5におけるランプ検出回路25との接続端子を、他の回路素子を含むことなく給電配線53に直接に接続してもよい。これにより、抵抗27、28の接続点の電圧が給電配線53に入力され、きわめてシンプルな構成で起動電圧VDCCLを得ることができる。また、第2の手段として、制御装置5における検出回路25との接続端子が、回路素子あるいはレギュレータ等の回路を介して給電配線53に接続してもよい。給電配線53の途中にレギュレータを設けることで、レギュレータで起動電圧VDCCLを降圧したり安定化したりしてもよい。なお、電圧安定化回路または電圧変換回路としてのレギュレータは、制御装置5の外側においてランプ検出回路25と制御装置5とを接続する配線の途中に設けられていてもよい。
【0039】
なお、実施の形態においてはディジタル制御を行う前提でマイコン51およびA/D変換回路52などを制御装置5に内蔵しているが、マイコン51等に代えて制御装置5に従来のアナログ制御回路を内蔵するように変形しても良い。この変形例でも、制御装置5が備えるアナログ制御回路への給電配線に対して、ランプ検出回路25から取り出した電圧を供給することができる。
【0040】
図4は、本発明の実施の形態の変形例にかかる点灯装置101およびこれを備える照明器具200を示す回路図である。図4の変形例では、バックコンバータ回路3が、インダクタ9と結合した2次巻線(2次コイル)32を備えている。制御電源回路4は、この2次巻線32の一端に接続しており、2次巻線32に発生する電圧から制御電源VDCCを生成する。バックコンバータ回路3起動後は、制御装置5はインダクタ9の2次巻線32より電圧を取得する。起動回路60は起動時にオンとなっており、2次巻線32の電圧が制御装置5の動作に必要な電圧に達すると起動回路60がオフとなって起動電圧VDCCLの供給を遮断する。その後は2次巻線32から供給される電圧により、制御装置5は駆動する。
【0041】
なお、制御電源回路4は、DC−DCコンバータ回路1aの高電位側配線1bから電圧を取り出している。高電位側配線1bは、整流回路6の高電位側出力端子からインダクタ10、ダイオード11、第2スイッチング素子Q2、インダクタ17を経て出力端子30に至るまでを結ぶ電気的経路を構成する導電体である。実施の形態では、具体例として、図1に示す昇圧チョッパ回路2とバックコンバータ回路3との中間点から電圧を取り出す例、および図4に示すインダクタ9に結合した2次巻線32から電圧を取り出す例が示されている。
【0042】
図5は、本発明の実施の形態の変形例にかかる点灯装置1およびこれを備える照明器具を示す回路図である。上記の実施の形態では、ランプ検出回路25により2つの電圧が取り出されるように抵抗271、27、28からなる分圧回路を設けている。しかしながら、変形例として、ランプ検出回路25から1つの電圧を取り出して、この1つの電圧からランプ検出電圧VLMPおよび制御装置5の起動電圧を得るようにしてもよい。この点に関し、図5に示す変形例では、ランプ検出回路25から抵抗271が削除されおり、さらに制御装置5内の給電配線53にレギュレータREG(例えばシリーズレギュレータ)が設けられている。レギュレータREGを用いて、抵抗27、28の接続点から取得したランプ検出電圧VLMPを降圧することで起動電圧VDCCLを得ている。レギュレータREGは、図5では一例として制御装置5に内蔵されているが、制御装置5の外側においてランプ検出回路25と制御装置5とを接続する配線の途中に設けられていてもよい。
【0043】
図6は、本発明の実施の形態の変形例にかかる点灯装置1を示す図である。制御装置5は、CPU等が形成された回路基板を樹脂等で封止した集積回路パッケージ(ICパッケージ)の形態で提供される。本変形例は、この集積回路パッケージについての変形例である。ランプ検出回路25から取り出された起動電圧VDCCLがスイッチ54および給電配線53を経由してマイコン51等に供給される点、および待機モードで起動電圧VDCCLを待機電源に使用しても良いことなどは、図1に示した実施の形態と同様である。
【0044】
変形例にかかる制御装置50は、図6に示すように、駆動回路24および制御電源回路4の制御電源IC42などの「アナログ回路」と、マイコン51等の「ディジタル回路」とが単一のICパッケージに納められ、かつ各回路がICパッケージ内で互いに配線接続された形態で提供されている。駆動回路24が制御装置50の外側に設けられる場合と比べて、第4変形例ではマイコン51と駆動回路24とを結ぶ信号送受信配線を飛躍的に短くすることができる。制御電源回路4の少なくとも一部が制御装置50に設けられる。この第4変形例では、一例として、制御電源回路4は制御電源IC42と受動回路部41のうち、受動回路部41については制御装置50の外部に設けられる。
【0045】
好ましくは、さらに制御装置50のパッケージ内において、信号送受信配線に、ノイズを防止するためのノイズフィルタ(例えば、一端が信号送受信配線と接続した他端がグランド配線と接続したコンデンサ素子)を接続してもよい。ノイズフィルタは、一例として、一端が信号送受信配線と接続し且つ他端がグランド配線と接続したコンデンサ素子であってもよい。信号送受信配線にノイズフィルタを搭載した制御装置50によれば、制御装置50のパッケージ内に形成した短い配線を介して、マイコン51から駆動回路24へと制御信号Sp、Sbを低ノイズで伝送できる。この特徴は、2つの第1、2スイッチング素子Q1、Q2を精度よく連動させる制御を行う観点からも好ましい。
【0046】
図7は、本発明の実施の形態の変形例にかかる点灯装置における制御装置50周辺の回路図である。制御電源回路4は、より具体的には降圧コンバータ回路であり、ここでは一例としてバックコンバータ回路であるものとする。制御電源回路4が備える制御電源IC42は、バックコンバータ回路を構成する能動素子であるインテリジェントパワーデバイスIPDおよびダイオードD1を備えている。インテリジェントパワーデバイスIPDは内部にスイッチング素子としてMOSFETを備えている。制御電源回路4が備える受動回路部41は、バックコンバータ回路を構成する受動素子であるインダクタ(チョークコイル)L1およびコンデンサC1を備えている。インダクタL1とコンデンサC1の接続点から取り出された出力電圧は、制御電源VACCとして用いられる。制御電源VACCは、図7に示すように駆動回路24へと供給される。インダクタL1とコンデンサC1の接続点から取り出された出力電圧は、レギュレータREGにも入力され、レギュレータREGで降圧された電圧が制御電源VDCCとして用いられる。制御電源VDCCは、図6に示すように、マイコン51などに供給される。
【0047】
制御装置50の更なる変形例の一つとして、ICパッケージ内において、上記アナログ回路およびディジタル回路それぞれのグランド電極がICパッケージ内における共通のグランド配線(図示せず)に接続されることで、グランド配線の短縮化が図られていてもよい。ただし、他の変形例として、上記アナログ回路のグランド電極はICパッケージ内の第1グランド配線(図示せず)に接続され、ディジタル回路のグランド電極はICパッケージ内で第1グランド配線と電気的に接続していない第2グランド配線(図示せず)に接続されるようにしてもよく、これにより駆動回路24などの動作がマイコン51の動作に影響しないようにしてもよい。
【0048】
実施の形態では、図1に示すように、制御装置5に昇圧チョッパ回路2およびバックコンバータ回路3の制御を行う単一のマイコン51が設けられている。一方、変形例として制御装置5内に複数のマイコン51が設けられていてもよい。複数のマイコン51は、昇圧チョッパ回路2を制御する「第1のマイコン51」とバックコンバータ回路3を制御する「第2のマイコン51」とを含んでもよい。複数のマイコン51が設けられた場合に、それぞれのマイコン51で異なるスイッチング制御開始タイミングなどを設定できるように、各マイコン51内のプログラムを構築してもよい。あるいはこれら複数のマイコン51が連携して動作してもよい。具体的には複数のマイコン51が互いに通信を行ってもよく、例えば昇圧チョッパ回路2側の駆動状態を示す信号およびバックコンバータ回路3の駆動状態を示す信号を複数のマイコン51の間で授受してもよい。
【0049】
なお、マイコン51に代えて、ディジタル信号処理装置(Digital Signal Processer:DSP)が制御装置5、50内に収められていてもよい。つまり、実施の形態で提供される制御装置5、50には、マイコン51あるいはDSPなどの「ディジタル演算回路」が設けられており、このディジタル演算回路が点灯装置1の点灯制御に関する演算処理を行う。
【符号の説明】
【0050】
1、101 点灯装置、1a DC−DCコンバータ回路、1b 高電位側配線、2 昇圧チョッパ回路、3 バックコンバータ回路、4 制御電源回路、5 制御装置、6 整流回路、7、15、23 コンデンサ、10、17 インダクタ、11、18 ダイオード、8、9、13、14、27〜29 抵抗、19 検出抵抗、21 直管LEDランプ、22 交流電源、24 駆動回路、25 ランプ検出回路、26 抵抗(電圧供給抵抗)、30 出力端子、40 ディジタルインターフェース(I/F)回路、41 受動回路部、42 制御電源IC、50 制御装置、51 マイコン、52 A/D変換回路、53 給電配線、100、200 照明器具、AC 交流電源、IPD インテリジェントパワーデバイス、Q1 第1スイッチング素子、Q2 第2スイッチング素子、Sb、Sp 制御信号、SW 壁スイッチ、VACC アナログ回路用制御電源電圧、VDCC ディジタル回路用制御電源電圧、VDCCL 起動電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7