【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「%」は、「質量%」を表す。
【0045】
熱伝導性無機粒子の平均粒子径、実施例で得られた熱伝導シートの熱伝導性は以下の方法で測定した。
【0046】
<平均粒子径>
日機装(株)社製「Microtrak MT3300ExII」を用いて平均粒径を測定した。なお、平均粒径とは、測定サンプルの50体積%における分散粒径の値である。
【0047】
<熱伝導率>
サンプル試料を15mm角に切り出し、サンプル表面を金蒸着しカーボンスプレーでカーボン被覆した後、キセノンフラッシュアナライザーLFA447 NanoFlash(NETZSCH社製)にて、試料環境25℃での熱拡散率を測定した。
また、比熱容量はエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の高感度型示差走査熱量計DSC220Cを用いて測定した。さらに、密度は水中置換法を用いて算出した。熱伝導率は、下記式に基づいて熱伝導率を求めた。
伝導率(W/m・K)=密度(g/cm
3)×比熱(J/kg・K)×熱拡散率(mm
2/s)。
【0048】
(樹脂合成例1)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、多塩基酸化合物としてプリポール1009を86.8g、5−ヒドロキシイソフタル酸を27.3g、ポリアミン化合物としてプリアミン1074を146.4g、イオン交換水を100g仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分毎に10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。230℃に到達後、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で、1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、重量平均分子量19000、酸価14.5KOHmg/g、フェノール性水酸基価32.3KOHmg/g、ガラス転移温度―7℃のフェノール性水酸基含有ポリアミドを得た。
【0049】
(樹脂合成例2)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、
テレフタル酸とアジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール((株)クラレ製「クラレポリオールP−1011」、Mn=1006)401.9重量部、ジメチロールブタン酸12.7重量部、イソホロンジイソシアネート151.0重量部、トルエン40重量部を仕込み、窒素雰囲気下90℃3時間反応させ、これにトルエン300部を加えてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次に、イソホロンジアミン27.8重量部、ジ−n−ブチルアミン3.2重量部、2−プロパノール342.0重量部、トルエン396.0重量部を混合したものに、得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液815.1重量部を添加し、70℃3時間反応させ、トルエン144.0重量部、2−プロパノール72.0重量部で希釈し、Mw=54,000、酸価=8mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂の溶液を得た。
【0050】
(樹脂合成例3)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、導入管、窒素導入管を備えた4口フラスコに、ポリカーボネートジオール(クラレポリオール C−2090:株式会社クラレ製)292.1質量部、テトラヒドロ無水フタル酸(リカシッドTH:新日本理化株式会社製)44.9質量部、溶剤としてトルエン350.0質量部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いてこのフラスコを110℃に昇温し、3時間反応させた。その後、40℃に冷却後、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−8125:東都化成株式会社製)62.9質量部、触媒としてトリフェニルホスフィン4.0質量部を添加して110℃に昇温し、8時間反応させた。室温まで冷却後、トルエンで固形分が40%になるように調整し、カルボキシル基含有変性エステル樹脂溶液を得た。
【0051】
(樹脂合成例4)
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに、ブチルアクリレート98.5重量部、アクリル酸1.5重量部、酢酸エチル150.0重量部を仕込み、窒素置換下で70℃まで加熱し、アゾビスイソブチロニトリル0.15重量部を添加し重合を開始した。重合開始後3時間後から1時間おきに5時間後までそれぞれアゾビスイソブチロニトリル0.15重量部を添加し更に2時間重合を行った。その後、酢酸エチル150.0重量部を追加して重合を終了させ、アクリル樹脂を得た。
【0052】
(熱伝導性無機粒子凝集体例1)
窒化ホウ素粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン株式会社「NX−1」、平均一次粒子径:約0.7μm、)100重量部、ポリビニルアルコールの4重量%水溶液(日本合成化学工業株式会社製「ゴーセノールNL−05」):125重量部(固形分:5重量部)、及びイオン交換水:25重量部を、ディスパーで1000rpm、1時間、攪拌してスラリーを得た。
このスラリーをミニスプレードライヤー(日本ビュッヒ社製「B−290」)にて、125℃雰囲気下で、噴霧乾燥し、150μmの平均粒径を有する凝集体を得た。
【0053】
(実施例1)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素粒子(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Agglomerates Grades 50」、平均粒子径:20μm)28.3質量部と、樹脂粒子Bとして架橋スチレン樹脂粒子(綜研化学株式会社製「SGP−150C」、平均粒径:60μm)7.3質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液10.8質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液1.4質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール26.1質量部およびトルエン26.1質量部で固形分が40重量部となるように調整した後、超音波脱泡をして樹脂組成物(塗液)を得た。
得られた熱伝導性樹脂組成物を、コンマコーターを用いて剥離処理シート(厚さ75μmの離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム)に塗工し、60℃で2分間、次いで100℃で2分加熱乾燥し、熱伝導前駆部材を得た。
熱伝導層同士が接するように前記熱伝導前駆部材を2枚重ね、150℃、4MPaで1時間プレスして、厚みが100μm、熱伝導率3.5(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は71質量%であり、樹脂粒子Bの含有率は18質量%であり、バインダーCの含有率は11質量%であった。
【0054】
(実施例2)
実施例1で用いた平均粒子径が20μmの窒化ホウ素粒子の代わりに、熱伝導性無機粒子Aとして、平均粒子径:60μm窒化ホウ素粒子(「Agglomerates Grades 100」、スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製)を用い、熱伝導性部材の厚みを100μmとした以外は実施例1と同様にして、熱伝導率6.7(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は71質量%であり、樹脂粒子の含有率は18質量%であり、バインダーCの含有率は11質量%であった。
【0055】
(実施例3)
熱伝導性無機粒子Aとして、窒化ホウ素(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Platelets 15/400」、平均粒子:120μm)28.3質量部と、樹脂粒子Bとしてフェノール樹脂粒子(群栄化学株式会社製「マリリン HF−150」、平均粒径:150μm)7.3質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液10.8質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液1.4質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール26.1質量部およびトルエン26.1質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性層の厚みが200μm、熱伝導率8.0(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は71質量%であり、樹脂粒子の含有率は18質量%であり、バインダー樹脂の含有率は11質量%であった。
【0056】
(実施例4)
熱伝導性無機粒子Aとして、熱伝導性無機粒子凝集体例1で得られた凝集体(平均粒子:150μm)28.3質量部と、樹脂粒子Bとしてフェノール樹脂粒子(群栄化学株式会社製「マリリン HF−150」、平均粒径:150μm)7.3質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液10.8質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液1.4質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール26.1質量部およびトルエン26.1質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性層の厚みが200μm、熱伝導率9.0(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は71質量%であり、樹脂粒子の含有率は18質量%であり、バインダー樹脂の含有率は11質量%であった。
【0057】
(実施例5)
熱伝導性無機粒子Aとして酸化アルミニウム粒子(昭和電工株式会社製「CBA−70」平均粒子径:70μm)28.5質量部と、樹脂粒子Bとして架橋スチレン樹脂粒子(綜研化学株式会社製「SGP−150C」、平均粒径:60μm)7.1質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液10.8質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液1.4質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール26.1質量部およびトルエン26.1質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材の厚みが100μm、熱伝導率3.0(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、酸化アルミニウム粒子の含有率は71質量%であり、樹脂粒子の含有率は18質量%であり、バインダー樹脂の含有率は11質量%であった。
【0058】
(実施例6)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化アルミニウム粒子(トクヤマ株式会社製「H−Tグレード」、平均粒子径:80μm)28.4質量部と、樹脂粒子Bとして架橋スチレン樹脂粒子(綜研化学株式会社製「SGP−150C」、平均粒径:60μm)7.2質量部と、バインダー樹脂Cとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液10.8質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液1.4質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール26.1質量部およびトルエン26.1質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材の厚みが100μm、熱伝導率5.0(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、窒化アルミニウム粒子の含有率は71質量%であり、樹脂粒子の含有率は18質量%であり、バインダー樹脂の含有率は11質量%であった。
【0059】
(比較例1)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Agglomerates Grades 50」、平均粒子径:20μm)28.4質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液28.0質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液3.6質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール20.0質量部およびトルエン20.0質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材の厚みが100μm、熱伝導率1.8(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は71質量%であり、バインダーCの含有率は29質量%であった。
【0060】
(比較例2)
熱伝導性無機粒子Aとして酸化アルミニウム粒子(昭和電工株式会社製「CBA−70」平均粒子径:70μm)28.4質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液28.0質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液3.6質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール20.0質量部およびトルエン20.0質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材の厚みが100μm、熱伝導率2.0(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、酸化アルミニウムの含有率は71質量%であり、バインダーCの含有率は29質量%であった。
【0061】
(比較例3)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化アルミニウム粒子(トクヤマ株式会社製「H−Tグレード」、平均粒子径:80μm)28.4質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液28.0質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液3.6質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール20.0質量部およびトルエン20.0質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材の厚みが100μm、熱伝導率3.0(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、酸化アルミニウムの含有率は71質量%であり、バインダーCの含有率は29質量%であった。
【0062】
(比較例4)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素粒子(電気化学工業株式会社製「SGPS」、平均粒子径:10μm)28.3質量部と、樹脂粒子Bとして架橋スチレン樹脂粒子(綜研化学株式会社製「SGP−150C」、平均粒径:60μm)7.3質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液10.8質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液1.4質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール26.1質量部およびトルエン26.1質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材の厚みが100μm、熱伝導率2.0(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は71質量%であり、樹脂粒子の含有率は18質量%であり、バインダーCの含有率は11質量%であった。
【0063】
(比較例5)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素粒子(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Agglomerates Grades 100」、平均粒子径:60μm)28.3質量部と、樹脂粒子Bとしてシリコーン樹脂(信越化学社製「KMP−602」、平均粒径:30μm)7.3質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液10.8質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液1.4質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール26.1質量部およびトルエン26.1質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材の厚みが70μm、熱伝導率2.2(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は71質量%であり、樹脂粒子の含有率は18質量%であり、バインダーCの含有率は11質量%であった。
【0064】
(実施例7〜9)、(比較例6)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素粒子(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Agglomerates Grades 100」、平均粒子径:60μm)28.3質量部と、樹脂粒子Bとしてフェノール樹脂粒子(群栄化学株式会社製「マリリン HF−100」、平均粒径:100μm)7.3質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液10.8質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液1.4質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール26.1質量部およびトルエン26.1質量部で固形分が40重量部となるようにして、熱伝導性部材形成用の塗液を得た。
以下、熱伝導性部材の厚みを120μm(実施例7)、190μm(実施例8)、250μm(実施例9)、350μm(比較例6)とした以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は71質量%であり、樹脂粒子の含有率は18質量%であり、バインダーCの含有率は11質量%であった。
【0065】
(実施例10〜13)、(比較例7)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素粒子(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Agglomerates Grades 100」、平均粒子径:60μm)20.3質量部と、樹脂粒子Bとしてフェノール樹脂粒子(群栄化学株式会社製「マリリン HF−100」、平均粒径:100μm)、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液を用い、樹脂粒子BとバインダーCとを表1に示す割合となるように混合し、熱伝導性部材の厚みを110μmとした以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材を得た。
【0066】
(実施例14)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素粒子(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Agglomerates Grades 100」、平均粒子径:60μm)11.9質量部と、樹脂粒子Bとしてフェノール樹脂粒子(群栄化学株式会社製「マリリン HF−100」、平均粒径:100μm)11.9質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液39.2質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液5.1質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール16.0質量部およびトルエン16.0質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材の厚みが110μm、熱伝導率3.0(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は30質量%であり、樹脂粒子の含有率は30質量%であり、バインダーCの含有率は40質量%であった。
【0067】
(比較例8)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素粒子(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Agglomerates Grades 100」、平均粒子径:60μm)11.9質量部と、バインダーCとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液68.0質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液8.9質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール5.6質量部およびトルエン5.6質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材の厚みが110μm、熱伝導率1.0(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は30質量%であり、バインダーCの含有率は70質量%であった。
【0068】
(比較例9)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素粒子(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Agglomerates Grades 100」、平均粒子径:60μm)6.1質量部と、樹脂粒子としてフェノール樹脂粒子(群栄化学株式会社製「マリリン HF−100」、平均粒径:100μm)12.0質量部と、バインダー樹脂Cとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液52.9質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液7.0質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール11.0質量部およびトルエン11.0質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材の厚みが110μm、熱伝導率1.7(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。
なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は15質量%であり、樹脂粒子の含有率は30質量%であり、バインダーCの含有率は55質量%であった。
【0069】
(比較例10)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素粒子(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Agglomerates Grades 100」、平均粒子径:60μm)6.1質量部と、バインダー樹脂Cとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液82.0質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液10.7質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール0.6質量部およびトルエン0.6質量部で固形分が40重量部となるように調整する以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材の厚みが110μm、熱伝導率0.6(W/m・K)の熱伝導性部材を得た。なお、部材中において、窒化ホウ素の含有率は15質量%であり、バインダー樹脂の含有率は85質量%であった。
【0070】
(比較例11)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素粒子(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Agglomerates Grades 100」、平均粒子径:60μm)37.3質量部と、バインダー樹脂Cとして樹脂合成例1で得られたポリアミド樹脂の40%トルエン溶液6.6質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液0.9質量部を混合し、溶剤としてイソプロピルアルコール27.6質量部およびトルエン27.6質量部で固形分が40重量部となるように調整したが、塗工の際に、樹脂量が不足しており部材として形状を維持できないため、成膜性に欠けていた。
【0071】
(実施例15〜17)
熱伝導性無機粒子Aとして窒化ホウ素粒子(スリーエム ジャパンホールディングス株式会社製「Agglomerates Grades 100」、平均粒子径:60μm)28.3質量部と、樹脂粒子Bとしてフェノール樹脂粒子(群栄化学株式会社製「マリリン HF−100」、平均粒径:100μm)7.3質量部と、
バインダー樹脂Cとして、
樹脂合成例2で得られたウレタン樹脂の40%トルエン溶液(実施例15)、
樹脂合成例3で得られたエステル樹脂の40%トルエン溶液(実施例16)、
樹脂合成例4で得られたアクリル樹脂の40%トルエン溶液(実施例17)をそれぞれ10.8質量部と、TETRAD−C(三菱ガス化株式会社)の10%トルエン溶液1.4質量部を用い、熱伝導性部材の厚みを110μmとした以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性部材を得た。
【0072】
【表1】
【0073】
表1の実施例1〜6が示すように、樹脂粒子同士の間に熱伝導性無機粒子が濃縮される場合には、無機粒子の種類に関わらずに高熱伝導性を発現する。比較例1〜3のように樹脂粒子を含まない場合には、熱を効率よく伝えるパスが形成されていないために、十分な熱伝導率を発現できない。
比較例4〜5のように、樹脂粒子を含むが、樹脂粒子の粒径に対して無機粒子の粒径が大幅に上回るまたは下回る場合には、樹脂粒子による濃縮の効果はなく、熱伝導率は低い。
【0074】
実施例7〜9が示すように、樹脂粒子径に対して部材の膜厚が同等である場合には、無機粒子が濃縮された柱状に熱伝導パスを形成するため、厚み方向に効率よく熱を逃がすことができ、高熱伝導性を発現する。比較例6が示すように、樹脂粒子径に対して部材の膜厚が上回る場合には、部材で樹脂粒子同士が接触することで、熱伝導パスが遮断されるために、熱伝導率は低い。
【0075】
実施例10〜13が示すように、部材中で樹脂粒子が十分に含有する場合には、柱状の熱伝導パスが形成されているために、熱伝導性は向上する。
【0076】
比較例8〜11が示すように、熱伝導性無機粒子が30質量部未満の場合には、熱伝導パスを形成しないため、熱伝導性は低い。また90重量を超える場合には、膜としての強度を十分に保持しないため、脆くハンドリングに劣る。