(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6693386
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】中空容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 20/12 20060101AFI20200427BHJP
B23K 9/167 20060101ALI20200427BHJP
B23K 9/173 20060101ALI20200427BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20200427BHJP
【FI】
B23K20/12 330
B23K20/12 360
B23K9/167 A
B23K9/173 A
B23K26/21 P
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-215621(P2016-215621)
(22)【出願日】2016年11月2日
(65)【公開番号】特開2018-69322(P2018-69322A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 久司
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 伸城
【審査官】
岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−131323(JP,A)
【文献】
特表2009−523615(JP,A)
【文献】
特開2016−002558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
B23K 9/167
B23K 9/173
B23K 26/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第一金属部材と、底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第二金属部材とを用意する準備工程と、
前記第一金属部材の前記周壁部の端面と、前記第二金属部材の前記周壁部の端面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、
攪拌ピンを備える仮接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して摩擦攪拌でスポット仮付けを行う仮接合工程と、
攪拌ピンを備える本接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して前記本接合用回転ツールを一周させて摩擦攪拌する本接合工程と、を含むことを特徴とする中空容器の製造方法。
【請求項2】
底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第一金属部材と、平板状の第二金属部材とを準備する準備工程と、
前記第一金属部材の周壁部の端面と、前記第二金属部材の裏面と、を突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、
攪拌ピンを備える仮接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して摩擦攪拌でスポット仮付けを行う仮接合工程と、
攪拌ピンを備える本接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して前記本接合用回転ツールを一周させて摩擦攪拌する本接合工程と、を含むことを特徴とする中空容器の製造方法。
【請求項3】
前記仮接合用回転ツールと前記本接合用回転ツールとが同一であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空容器の製造方法。
【請求項4】
前記第一金属部材及び前記第二金属部材の対向する各角部に丸面取り加工を施すことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の中空容器の製造方法。
【請求項5】
底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第一金属部材と、底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第二金属部材とを用意する準備工程と、
前記第一金属部材の前記周壁部の端面と、前記第二金属部材の前記周壁部の端面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、
前記突合せ部に対してMIG溶接、TIG溶接又はレーザー溶接でスポット仮付けを行う仮接合工程と、
攪拌ピンを備える本接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して前記本接合用回転ツールを一周させて摩擦攪拌する本接合工程と、を含むことを特徴とする中空容器の製造方法。
【請求項6】
底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第一金属部材と、平板状の第二金属部材とを用意する準備工程と、
前記第一金属部材の前記周壁部の端面と、前記第二金属部材の裏面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、
前記突合せ部に対してMIG溶接、TIG溶接又はレーザー溶接でスポット仮付けを行う仮接合工程と、
攪拌ピンを備える本接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して前記本接合用回転ツールを一周させて摩擦攪拌する本接合工程と、を含み、
前記突合せ工程では、前記第一金属部材の側面と前記第二金属部材の側面とが面一になるように前記突合せ部を形成し、
前記本接合工程では、前記第一金属部材の前記側面及び前記第二金属部材の前記側面と、前記本接合用回転ツールの回転中心軸とが垂直となるように設定しつつ、前記本接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記突合せ部に挿入することを特徴とする中空容器の製造方法。
【請求項7】
前記第一金属部材及び前記第二金属部材の対向する各角部に丸面取り加工を施すことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の中空容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、中空容器の製造方法が開示されている。当該中空容器の製造方法は、中空容器本体の開口部に封止体を配置した後、中空容器本体と封止体との突合せ部に沿ってレーザ溶接を行う溶接工程と、当該溶接工程を行った後に回転ツールを用いて摩擦攪拌接合を行う摩擦攪拌工程と、を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−102895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の中空容器の製造方法では、突合せ部の全周に亘ってレーザー溶接を行うため、入熱量が大きくなり中空容器本体及び封止体に熱歪みが発生するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、熱歪みを小さくすることができる中空容器の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために本発明は、底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第一金属部材と、底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第二金属部材とを用意する準備工程と、前記第一金属部材の前記周壁部の端面と、前記第二金属部材の前記周壁部の端面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、攪拌ピンを備える仮接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して摩擦攪拌でスポット仮付けを行う仮接合工程と、攪拌ピンを備える本接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して前記本接合用回転ツールを一周させて摩擦攪拌する本接合工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明は、底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第一金属部材と、平板状の第二金属部材とを準備する準備工程と、前記第一金属部材の周壁部の端面と、前記第二金属部材の裏面と、を突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、攪拌ピンを備える仮接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して摩擦攪拌でスポット仮付けを行う仮接合工程と、攪拌ピンを備える本接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して前記本接合用回転ツールを一周させて摩擦攪拌する本接合工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明は、底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第一金属部材と、底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第二金属部材とを用意する準備工程と、前記第一金属部材の前記周壁部の端面と、前記第二金属部材の前記周壁部の端面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、前記突合せ部に対してMIG溶接、TIG溶接又はレーザー溶接でスポット仮付けを行う仮接合工程と、攪拌ピンを備える本接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して前記本接合用回転ツールを一周させて摩擦攪拌する本接合工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明は、底部と前記底部の周縁から立ち上る周壁部とを備える第一金属部材と、平板状の第二金属部材とを用意する準備工程と、前記第一金属部材の前記周壁部の端面と、前記第二金属部材の裏面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、前記突合せ部に対してMIG溶接、TIG溶接又はレーザー溶接でスポット仮付けを行う仮接合工程と、攪拌ピンを備える本接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に対して前記本接合用回転ツールを一周させて摩擦攪拌する本接合工程と、を含
み、前記突合せ工程では、前記第一金属部材の側面と前記第二金属部材の側面とが面一になるように前記突合せ部を形成し、前記本接合工程では、前記第一金属部材の前記側面及び前記第二金属部材の前記側面と、前記本接合用回転ツールの回転中心軸とが垂直となるように設定しつつ、前記本接合用回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記突合せ部に挿入することを特徴とする。
【0007】
かかる製造方法によれば、スポット仮付けで仮接合工程を行うため、入熱量を小さくすることができる。また、本接合工程でも攪拌ピンのみを用いて摩擦攪拌接合を行うため、入熱量を小さくすることができる。これにより、熱歪みを相乗的に小さくすることができる。また、スポット仮付けで仮接合工程を行うため、仮接合工程を短時間で行うことができる。また、本接合工程では、摩擦攪拌装置に大きな負荷がかからない状態で、深い位置まで摩擦攪拌接合することができる。
【0008】
また、前記仮接合用回転ツールと前記本接合用回転ツールとが同一であることが好ましい。これにより、仮接合工程と本接合工程とで回転ツールを交換する必要がないため、作業時間をより短くすることができる。
【0009】
また、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の対向する各角部に丸面取り加工を施すことが好ましい。これにより、本接合工程の際に、角部を容易に接合することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る中空容器の製造方法によれば、熱歪みを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る中空容器の製造方法の準備工程を示す斜視図である。
【
図2】第一実施形態に係る中空容器の製造方法の突合せ工程を示す断面図である。
【
図3】第一実施形態に係る中空容器の製造方法の仮接合工程を示す斜視図である。
【
図4】第一実施形態に係る中空容器の製造方法の仮接合工程を示す断面図である。
【
図5】第一実施形態に係る中空容器の製造方法の本接合工程を示す斜視図である。
【
図6】第一実施形態に係る中空容器の製造方法の本接合工程を示す断面図である。
【
図7】本発明の第二実施形態に係る中空容器の製造方法の準備工程を示す斜視図である。
【
図8】第二実施形態に係る中空容器の製造方法の仮接合工程を示す斜視図である。
【
図9】第二実施形態に係る中空容器の製造方法の本接合工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第一実施形態〕
本発明の第一実施形態に係る中空容器の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態に係る中空容器の製造方法では、
図1に示すように、中空部を備えた金属製の中空容器1を形成する。中空容器の製造方法では、準備工程と、突合せ工程と、仮接合工程と、本接合工程と、を行う。
【0013】
準備工程は、
図1に示すように、第一金属部材2と、第二金属部材3とを用意する工程である。第一金属部材2は、箱状体である。第一金属部材2は、矩形板状の底部10と、底部10の周縁から立ち上る矩形枠状の周壁部11と、で構成されている。周壁部11の4つの角部は高さ方向に亘って丸面取り加工が施されている。第一金属部材2の内部には、凹部12が形成されている。
【0014】
第二金属部材3は、矩形板状の底部20と、底部20の周縁から立ち上る矩形枠状の周壁部21と、で構成されている。周壁部21の4つの角部は高さ方向に亘って丸面取り加工が施されている。第二金属部材3の内部には、凹部22が形成されている。第一金属部材2及び第二金属部材3の大きさ及び形状は、異なっていてもよいが、本実施形態では同一になっている。
【0015】
第一金属部材2及び第二金属部材3は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金等の摩擦攪拌可能な金属で形成されている。第一金属部材2及び第二金属部材3は、異なる材料であってもよいが、本実施形態では同一の材料になっている。
【0016】
突合せ工程は、
図2に示すように、第一金属部材2と第二金属部材3とを突き合わせる工程である。突合せ工程では、周壁部11の端面11aと、周壁部21の端面21aとを突き合わせて突合せ部J1を形成する。突合せ工程によって、周壁部11の側面11bと、周壁部21の側面21bとは面一になる。
【0017】
仮接合工程は、第一金属部材2と第二金属部材3とを摩擦攪拌で仮接合する工程である。仮接合工程では、回転ツールF(仮接合用回転ツール)を用いて仮接合を行う。
図3に示すように、回転ツールFは、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されている。連結部F1は、円柱状を呈し、摩擦攪拌装置の回転軸に連結される部位である。
【0018】
攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝が刻設されている。本実施形態では、回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。
【0019】
なお、回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。螺旋溝をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(第一金属部材2及び第二金属部材3)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。回転ツールFは、例えば、先端にスピンドルユニット等の回転駆動手段を備えたアームロボットに取り付けられる。これにより、回転ツールFの回転中心軸の角度や挿入位置を容易に変更することができる。
【0020】
図3及び
図4に示すように、仮接合工程では、回転ツールF(仮接合用回転ツール)を用いて摩擦攪拌でスポット仮付けを行う。仮接合工程では、側面11b,21bと回転ツールFの回転中心軸とが垂直となるように設定しつつ、右回転させた回転ツールFの攪拌ピンF2のみを浅目に突合せ部J1に挿入し、突合せ部J1に沿って点状にスポット仮接合工程を行う。仮接合工程によって所定の間隔で塑性化領域W1が形成される。
【0021】
本接合工程は、
図5及び
図6に示すように、突合せ部J1を本格的に摩擦攪拌接合する工程である。仮接合工程及び本接合工程は、異なる回転ツールを用いてもよいが、本実施形態では、仮接合工程と同様に回転ツールF(本接合用回転ツール)を用いる。本接合工程では、右回転する回転ツールFの攪拌ピンF2のみを第一金属部材2及び第二金属部材3に接触させた状態で、回転ツールFを突合せ部J1に沿って相対移動させる。本接合工程では、側面11b,21bと回転ツールFの回転中心軸とが垂直となるように設定しつつ、攪拌ピンF2を所定の深さまで挿入する。
【0022】
回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域W2が形成される。本接合工程では、被接合金属部材の回りに回転ツールFを相対移動させ、塑性化領域W2の始端と終端とが重複するようにする。本接合工程が終了したら、塑性化領域W2の周囲に形成されたバリを除去するバリ除去工程を行ってもよい。これにより、中空容器1をきれいに仕上げることができる。
【0023】
以上説明した本実施形態に係る中空容器の製造方法によれば、スポット仮付けで仮接合工程を行うため、入熱量を小さくすることができる。また、本接合工程でも攪拌ピンF2のみを用いて摩擦攪拌接合を行うため、入熱量を小さくすることができる。これにより、第一金属部材2及び第二金属部材3の熱歪みを相乗的に小さくすることができる。また、スポット仮付けで仮接合工程を行うため、仮接合工程を短時間で行うことができる。また、本接合工程では、摩擦攪拌装置に大きな負荷がかからない状態で、突合せ部J1の深い位置まで摩擦攪拌接合することができる。
【0024】
また、本実施形態のように仮接合工程と本接合工程で同じ回転ツールを用いれば、工程ごとに回転ツールを交換する必要がないため、作業時間をより短くすることができる。
【0025】
また、第一金属部材2及び第二金属部材3の角部は、面取り加工を施さなくてもよいが、本実施形態では、丸面取り加工を行っている。これにより、第一金属部材2及び第二金属部材3の角部で回転ツールFをスムーズに相対移動できるので、容易に摩擦攪拌接合することができる。
【0026】
なお、仮接合工程では、摩擦攪拌に代えて、溶接でスポット仮付けを行ってもよい。溶接は、TIG溶接、MIG溶接又はレーザー溶接を行ってもよい。
【0027】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る中空容器の製造方法について説明する。第二実施形態に係る中空容器の製造方法では、準備工程と、突合せ工程と、仮接合工程と、本接合工程と、を行う。第二実施形態に係る中空容器の製造方法は、
図7に示すように、第二金属部材4と仮接合工程が第一実施形態と相違する。第二実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0028】
準備工程は、
図7に示すように、第一金属部材2と第二金属部材4を準備する工程である。第二金属部材4は、第一金属部材2の開口部を封止する板状の金属部材である。第二金属部材4は、第一金属部材2と同じ材料で形成されている。また、第二金属部材4の角部は丸面取り加工されている。
【0029】
突合せ工程は、
図7に示すように、第一金属部材2の端面11aと、第二金属部材4の裏面4bとを突き合わせて突合せ部J2(
図8参照)を形成する工程である。また、突合せ工程では、第一金属部材2の側面11bと第二金属部材3の側面4cとを面一にする。
【0030】
仮接合工程は、
図8に示すように、第一金属部材2と第二金属部材4とを溶接で仮接合する工程である。仮接合工程では、溶接トーチHを用いてレーザー溶接でスポット仮付けを行う。仮接合工程では、溶接トーチHを突合せ部J2に近接させ、突合せ部J2に沿って点状にスポット仮接合工程を行う。仮接合工程によって溶接痕W3が所定の間隔で形成される。なお、溶接の種類については特に制限されないが、レーザー溶接、TIG溶接又はMIG溶接を行うことができる。
【0031】
本接合工程は、
図9に示すように、第一実施形態と同様の要領で突合せ部J2に対して摩擦攪拌接合を行う。つまり、本接合工程では、回転ツールFの攪拌ピンF2のみを第一金属部材2及び第二金属部材4に接触させた状態で、突合せ部J2に沿って相対移動させる。以上のように、第二実施形態に係る中空容器の製造方法によっても第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。
【0032】
また、第二実施形態に係る中空容器の製造方法の仮接合工程では溶接によって仮接合を行ったが、第一実施形態のように摩擦攪拌でスポット仮付けを行ってもよい。
【0033】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜設計変更が可能である
【符号の説明】
【0034】
1 中空容器
2 第一金属部材
3 第二金属部材
4 第二金属部材
F 回転ツール(本接合用回転ツール、仮接合用回転ツール)
F2 攪拌ピン
J1 突合せ部
J2 突合せ部
W1 塑性化領域
W2 塑性化領域