特許第6693428号(P6693428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6693428
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】物品搬送車
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20200427BHJP
   B61B 3/02 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   B65G1/04 551Z
   B61B3/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-9662(P2017-9662)
(22)【出願日】2017年1月23日
(65)【公開番号】特開2018-118809(P2018-118809A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】村上 龍也
【審査官】 松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−160075(JP,A)
【文献】 実開昭59−050465(JP,U)
【文献】 実開昭60−054374(JP,U)
【文献】 特開平06−024520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/133,1/14−1/20
B65G 35/00−37/02
B61B 1/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行レールに沿って走行する走行体に吊り下げ支持された搬送車本体により搬送対象の物品を吊り下げ支持して当該物品を搬送する物品搬送車であって、
前記走行レールに沿う方向を前後方向とし、水平面において前記前後方向に直交する方向を幅方向とし、
前記搬送車本体は、
前記物品を吊り下げ支持する物品支持体と、
前記物品支持体が前記物品を吊り下げ支持している状態で、前記前後方向に見て前記物品支持体及び前記物品と重複する本体カバーと、を備え、
前記本体カバーは、前記走行体及び前記搬送車本体を駆動制御するための複数の電気機器を収容する機器収容空間を有し、
前記機器収容空間には、上下方向及び前記幅方向に広がると共に貫通穴を有する板状の機器支持フレームが備えられ、
前記機器支持フレームは、両面が前記電気機器を支持する機器支持面であり、
複数の前記電気機器は、前記機器支持フレームの両面に分割配置され、異なる面に配置された前記電気機器同士が前記貫通穴を通る配線により電気的に接続され
前記本体カバーは、前記前後方向の一方側である第1方向側に配置された第1本体カバーと、他方側である第2方向側に配置された第2本体カバーとを含み、
前記第1本体カバーに設置された前記機器支持フレームは、前記上下方向に見て前記第1方向側に突出するように湾曲し、
前記第2本体カバーに設置された前記機器支持フレームは、前記上下方向に見て前記第2方向側に突出するように湾曲している物品搬送車。
【請求項2】
前記電気機器は、通信機器及び冷却が必要な要冷却機器を含み、前記通信機器及び前記要冷却機器の少なくとも一方は、前記機器支持フレームの前記機器支持面の内、前記物品支持体が配置されている側とは反対側の前記機器支持面に支持されている請求項1に記載の物品搬送車。
【請求項3】
走行レールに沿って走行する走行体に吊り下げ支持された搬送車本体により搬送対象の物品を吊り下げ支持して当該物品を搬送する物品搬送車であって、
前記走行レールに沿う方向を前後方向とし、水平面において前記前後方向に直交する方向を幅方向とし、
前記搬送車本体は、
前記物品を吊り下げ支持する物品支持体と、
前記物品支持体が前記物品を吊り下げ支持している状態で、前記前後方向に見て前記物品支持体及び前記物品と重複する本体カバーと、を備え、
前記本体カバーは、前記走行体及び前記搬送車本体を駆動制御するための複数の電気機器を収容する機器収容空間を有し、
前記機器収容空間には、上下方向及び前記幅方向に広がると共に貫通穴を有する板状の機器支持フレームが備えられ、
前記機器支持フレームは、両面が前記電気機器を支持する機器支持面であり、
複数の前記電気機器は、前記機器支持フレームの両面に分割配置され、異なる面に配置された前記電気機器同士が前記貫通穴を通る配線により電気的に接続され、
前記電気機器は、通信機器及び冷却が必要な要冷却機器を含み、前記通信機器及び前記要冷却機器の少なくとも一方は、前記機器支持フレームの前記機器支持面の内、前記物品支持体が配置されている側とは反対側の前記機器支持面に支持されている物品搬送車。
【請求項4】
前記電気機器は、制御装置を含み、前記制御装置は、前記機器支持フレームの前記機器支持面の内、前記物品支持体が配置されている側の前記機器支持面に支持されている請求項1から3の何れか一項に記載の物品搬送車。
【請求項5】
走行レールに沿って走行する走行体に吊り下げ支持された搬送車本体により搬送対象の物品を吊り下げ支持して当該物品を搬送する物品搬送車であって、
前記走行レールに沿う方向を前後方向とし、水平面において前記前後方向に直交する方向を幅方向とし、
前記搬送車本体は、
前記物品を吊り下げ支持する物品支持体と、
前記物品支持体が前記物品を吊り下げ支持している状態で、前記前後方向に見て前記物品支持体及び前記物品と重複する本体カバーと、を備え、
前記本体カバーは、前記走行体及び前記搬送車本体を駆動制御するための複数の電気機器を収容する機器収容空間を有し、
前記機器収容空間には、上下方向及び前記幅方向に広がると共に貫通穴を有する板状の機器支持フレームが備えられ、
前記機器支持フレームは、両面が前記電気機器を支持する機器支持面であり、
複数の前記電気機器は、前記機器支持フレームの両面に分割配置され、異なる面に配置された前記電気機器同士が前記貫通穴を通る配線により電気的に接続され、
前記電気機器は、制御装置を含み、前記制御装置は、前記機器支持フレームの前記機器支持面の内、前記物品支持体が配置されている側の前記機器支持面に支持されている物品搬送車。
【請求項6】
前記制御装置の1つ又は複数の特定の端部に沿って接続端子が配置され、前記貫通穴は当該特定の端部に沿ってスリット状に形成されている請求項4又は5に記載の物品搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行レールに沿って走行する走行体に吊り下げ支持された搬送車本体により搬送対象の物品を吊り下げ支持して物品を搬送する物品搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016−160075号公報(特許文献1)には、走行レールに沿って走行する走行体に吊り下げ支持された搬送車本体により搬送対象の物品を吊り下げ支持して物品を搬送する物品搬送車(天井搬送車(V))が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。この天井搬送車(V)は、走行部(V1)と本体部(V2)とを備えており、本体部(V2)は天井搬送車(V)の走行方向の前後にカバー部(50C)を有している(特許文献1:図1図2等参照)。また、天井搬送車(V)は、搬送指令等の指令情報を受信する通信部(G)、指令情報に基づいて天井搬送車(V)の各部を制御する制御部(H)、通信部(G)や制御部(H)や各種アクチュエータ(M1,M2,M3,N)に電力を供給する電源基板(E2)等を有している(特許文献1:図5等参照)。
【0003】
ところで、特許文献1の図8及び図9に示すように、カバー部(50C)は、その内部に機器を収容可能な収容空間を有している。上述した、通信部(G)や制御部(H)や電源基板(E2)は、この収容空間に設置される場合がある。本明細書に添付する図7は、カバー部(50C)に相当する本体カバー30Bに設けられた機器収容空間Eに、制御部(H)に相当する電気機器50(搬送車制御ユニット51)や、通信部(G)に相当する電気機器(通信ユニット52)などが収容されている例を示している。搬送車制御ユニット51及び通信ユニット52は、それぞれ異なる機器支持フレーム33B,33Cに固定されてはいるが、前後方向FRに沿って積み重なるように配置されている。このため、機器同士を電気的に接続する配線の取り回しが煩雑となり、組み立てやメンテナンスの際の作業効率が低くなる。また、例えば奥側に配置された搬送車制御ユニット51の点検や交換等を行う場合には、手前側に配置された機器を取り外す必要があり、作業効率が低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−160075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景に鑑みて、組み立てやメンテナンスの際の作業効率が高くなるように、物品搬送車の制御装置などの電気機器を本体カバー内の収容空間に適切に収容する技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様として、上記に鑑みた、走行レールに沿って走行する走行体に吊り下げ支持された搬送車本体により搬送対象の物品を吊り下げ支持して当該物品を搬送する物品搬送車は、
前記走行レールに沿う方向を前後方向とし、水平面において前記前後方向に直交する方向を幅方向とし、
前記搬送車本体が、前記物品を吊り下げ支持する物品支持体と、前記物品支持体が前記物品を吊り下げ支持している状態で、前記前後方向に見て前記物品支持体及び前記物品と重複する本体カバーと、を備え、
前記本体カバーが、前記走行体及び前記搬送車本体を駆動制御するための複数の電気機器を収容する機器収容空間を有し、
前記機器収容空間には、上下方向及び前記幅方向に広がると共に貫通穴を有する板状の機器支持フレームが備えられ、
前記機器支持フレームが、両面が前記電気機器を支持する機器支持面であり、
複数の前記電気機器が、前記機器支持フレームの両面に分割配置され、異なる面に配置された前記電気機器同士が前記貫通穴を通る配線により電気的に接続され
前記本体カバーは、前記前後方向の一方側である第1方向側に配置された第1本体カバーと、他方側である第2方向側に配置された第2本体カバーとを含み、
前記第1本体カバーに設置された前記機器支持フレームは、前記上下方向に見て前記第1方向側に突出するように湾曲し、
前記第2本体カバーに設置された前記機器支持フレームは、前記上下方向に見て前記第2方向側に突出するように湾曲している。
【0007】
また、第2の態様として、上記に鑑みた、走行レールに沿って走行する走行体に吊り下げ支持された搬送車本体により搬送対象の物品を吊り下げ支持して当該物品を搬送する物品搬送車は、
前記走行レールに沿う方向を前後方向とし、水平面において前記前後方向に直交する方向を幅方向とし、
前記搬送車本体は、
前記物品を吊り下げ支持する物品支持体と、
前記物品支持体が前記物品を吊り下げ支持している状態で、前記前後方向に見て前記物品支持体及び前記物品と重複する本体カバーと、を備え、
前記本体カバーは、前記走行体及び前記搬送車本体を駆動制御するための複数の電気機器を収容する機器収容空間を有し、
前記機器収容空間には、上下方向及び前記幅方向に広がると共に貫通穴を有する板状の機器支持フレームが備えられ、
前記機器支持フレームは、両面が前記電気機器を支持する機器支持面であり、
複数の前記電気機器は、前記機器支持フレームの両面に分割配置され、異なる面に配置された前記電気機器同士が前記貫通穴を通る配線により電気的に接続され、
前記電気機器は、通信機器及び冷却が必要な要冷却機器を含み、前記通信機器及び前記要冷却機器の少なくとも一方は、前記機器支持フレームの前記機器支持面の内、前記物品支持体が配置されている側とは反対側の前記機器支持面に支持されている
【0008】
また、第3の態様として、上記に鑑みた、走行レールに沿って走行する走行体に吊り下げ支持された搬送車本体により搬送対象の物品を吊り下げ支持して当該物品を搬送する物品搬送車は、
前記走行レールに沿う方向を前後方向とし、水平面において前記前後方向に直交する方向を幅方向とし、
前記搬送車本体は、
前記物品を吊り下げ支持する物品支持体と、
前記物品支持体が前記物品を吊り下げ支持している状態で、前記前後方向に見て前記物品支持体及び前記物品と重複する本体カバーと、を備え、
前記本体カバーは、前記走行体及び前記搬送車本体を駆動制御するための複数の電気機器を収容する機器収容空間を有し、
前記機器収容空間には、上下方向及び前記幅方向に広がると共に貫通穴を有する板状の機器支持フレームが備えられ、
前記機器支持フレームは、両面が前記電気機器を支持する機器支持面であり、
複数の前記電気機器は、前記機器支持フレームの両面に分割配置され、異なる面に配置された前記電気機器同士が前記貫通穴を通る配線により電気的に接続され、
前記電気機器は、制御装置を含み、前記制御装置は、前記機器支持フレームの前記機器支持面の内、前記物品支持体が配置されている側の前記機器支持面に支持されている。
【0009】
これら第1〜第3の態様の構成によれば、両面に機器支持面を有する機器支持フレームは、上下方向及び幅方向に広がる広い設置領域を有しているため、当該機器支持フレームに対して電気機器を平面的に安定して設置することができる。また、機器支持面の両面に電気機器を分割して配置することにより、作業者は、機器支持面に対する両方向からそれぞれの電気機器にアクセスすることができる。このため、点検や修理、交換などの際に他の電機機器による制約を受けにくくなり、作業効率がよい。また、異なる電気機器の間を電気的に接続するための配線は、機器支持フレームに形成された貫通穴を介して引き回されるため、機器収容空間の中の配線が整理され、機器収容空間内が配線によって煩雑となることが抑制される
【0010】
さらに、第1の態様の構成によれば、第1本体カバーにおける第1方向側、第2本体カバーにおける第2方向側は、それぞれ前後方向において物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側とは逆側である。前後方向において物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側では、物品支持体及び物品の支持空間に影響しないように、第1本体カバー及び第2本体カバーの外面が、平面状に形成されていることが好ましい。しかし、逆側では、支持空間に影響を与えないため、第1本体カバー及び第2本体カバーの外面を前後方向に沿って膨らませることができる。この膨らみによって、機器収容空間を確保することができる。そして、その膨らみに応じて、機器支持フレームを湾曲させることによって、高い空間利用効率で電気機器を機器支持フレームに固定することができる。また、機器支持フレームが前後方向に湾曲することによって、前後方向や上下方向に沿った応力に対する耐性が高くなり、機器支持フレームの強度が高くなる。その結果、機器支持フレームの軽量化も可能となる。
【0011】
さらに、第2の態様の構成によれば、物品支持体が配置されている側とは反対側の機器支持面は、前後方向において外側に向いていることになる。従って、当該機器支持面に通信機器が配置されると、電波等の送受信における障害物が少なくなり、通信品質が向上する。また、前後方向における本体カバーの外側は、物品支持体が配置されている内側に比べて風通しが良い。このため、当該機器支持面に要冷却機器が配置されていると当該要冷却機器の放熱が容易となる。
【0012】
さらに、第3の態様の構成によれば、前後方向において物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側では、物品支持体及び物品の支持空間に影響しないように、第1本体カバー及び第2本体カバーの外面が、平面状に形成されていることが好ましい。多くの場合、制御装置は、制御基板等を中核として構成されており、矩形状である。従って、制御装置は、前後方向において物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側の本体カバーの内壁と、機器支持フレームとが平行状となっている空間に適切に、配置することができる。また、物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側において、本体カバーの壁部の一部が取り外し可能であれば、壁部の一部を取り外した開口部より、制御装置の点検や修理などを容易に行うことができる。
【0013】
即ち、これら第1〜第3の態様の構成によれば、組み立てやメンテナンスの際の作業効率が高くなるように、物品搬送車の制御装置などの電気機器を本体カバー内の収容空間に適切に収容することができる。
【0014】
物品搬送車のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】物品搬送設備の平面図
図2】物品搬送車の背面図
図3】物品搬送車の斜視図
図4】本体カバーの分解斜視図
図5】物品搬送車のシステム構成を示す模式的ブロック図
図6】本体カバーの上下方向視の模式的断面図
図7】本体カバーの比較例の上下方向視の模式的断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、物品搬送車の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は物品搬送車3が物品90を搬送する物品搬送設備100の平面図を示し、図2は、物品搬送車3の背面図を示している。図1及び図2に示すように、物品搬送設備100は、走行経路1に沿って設置された走行レール2と、走行レール2上を走行経路1に沿って走行する物品搬送車3とを備えている。物品搬送車3は、走行レール2に沿って走行する走行体9に吊り下げ支持された搬送車本体10により搬送対象の物品90を吊り下げ支持して当該物品90を搬送する。本実施形態では、物品搬送車3は、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を物品90として搬送する。
【0017】
走行経路1は、1つの環状の主経路4と、複数の環状の副経路5と、主経路4と副経路5とを接続する複数の接続経路6とを備えている。副経路5は、主経路4よりも小さい環状であり、複数の物品処理部MEを経由する経路である。物品搬送車3は、主経路4及び複数の副経路5においては、何れも同じ周回方向(図1では矢印で示すように時計回り)に走行する。走行経路1は、直線状に設定された直線部分1aと曲線状に設定された曲線部分1bとを有している。接続経路6には、主経路4から副経路5に分岐する分岐用の接続経路6と、副経路5から主経路4に合流する合流用の接続経路6がある。
【0018】
以下の説明においては、上下方向V(図4等参照)に見て、走行レール2に沿う方向(物品搬送車3の走行方向に沿う方向)を前後方向FRとし、水平面において前後方向FRに対して直交する方向を幅方向W(図4等参照)と称して説明する。尚、本実施形態では、水平面において2本の走行レール2が平行して配置されて走行レール対2Pが構成される。走行レール対2Pは、幅方向断面において逆U字状に形成された支持部材43を介して幅方向Wに一定間隔で互いに平行に配置されている(図2等参照)。それぞれの走行レール2は、吊り下げ部材44によって天井Cに吊り下げ支持されている。
【0019】
図2に示すように、物品搬送車3は、天井Cから吊り下げ支持された走行レール2の上面に設けられた走行面21を車輪15が転動することによって走行する走行体9と、走行レール2の下方に位置して走行体9に吊り下げ支持された搬送車本体10とを備えている。走行体9には、車輪対15Pの下端より下方に突出する状態で連結体17が備えられている。連結体17は、上下方向に沿う縦軸心周りに走行体9と搬送車本体10とが相対回転できる状態で両者を連結している。搬送車本体10には、走行経路1に沿って配設された給電線11から非接触で駆動用電力を受電する受電部12、及び、搬送車本体10に昇降するように備えられて物品90を吊り下げ状態で支持する物品支持体13が備えられている。
【0020】
走行体9には、不図示のモータにより駆動される左右一対の車輪15(車輪対15P)が備えられている。この車輪対15Pは、走行レール2を構成する左右一対の走行レール2(走行レール対2P)のそれぞれの上面(走行面21)を走行するように、走行体9に備えられている。また、走行体9には、車体上下方向に沿う軸心周り(上下軸心周り)で自由回転する左右一対の案内輪16(案内輪対16P)が備えられている。この左右一対の案内輪16は、それぞれの走行レール2が対向する内側に当接するように、走行体9に設けられている。物品搬送車3は、案内輪16が走行レール対2Pに接触して案内されることによって走行体9が走行経路1に沿った姿勢を維持しながら走行経路1に沿って走行する。
【0021】
図2に示すように、走行体9には、車輪15よりも上方側箇所に、上下軸心(車体上下幅方向に沿う軸心)周りで回転する案内補助輪19が設けられている。案内補助輪19は、案内レール41に当接する。案内レール41は、走行レール2を支持する支持部材43に連結されて、支持部材43によって支持されている。案内レール41は、走行経路1の接続経路6(分岐用及び合流用の接続経路6)に設けられている。案内補助輪19は、モータなどのガイドアクチュエータ(GD-ACT:図5参照)によって幅方向Wに移動される。走行体9は、案内補助輪19を幅方向Wに移動させることによって、案内補助輪19の位置を右案内位置と左案内位置とに移動させる。右案内位置は、図2に示すように、案内補助輪19が前方Fに向かって(図2では紙面に向かって)走行体9の幅方向Wの中央より右側に位置して、案内レール41に対して右側から当接する位置である。左案内位置は、案内補助輪19が走行体9の幅方向Wの中央より左側に位置して、案内レール41に対して左側から当接する位置である。
【0022】
図5のブロック図は、物品搬送設備100及び物品搬送車3のシステム構成を模式的に示している。搬送管理装置(GND-CTRL)H1は、物品搬送設備100の地上側に設置され、物品搬送設備100の中核となるシステムコントローラである。搬送管理装置H1は、物品搬送車3に対する上位コントローラであり、物品搬送車3の作動を制御する。物品搬送車3は、通信ユニット(COM-UNIT)52を介して搬送管理装置H1とワイヤレス通信を行い、搬送管理装置からの搬送指令に基づいて自律制御により作動(物品搬送作動)し、物品90を保持して搬送する。物品搬送車3には、マイクロコンピュータ等を中核として構成され、物品搬送作動の中核となる搬送車制御ユニット(VHL-CTRL)51が備えられている。搬送車制御ユニット51は、搬送管理装置H1からの搬送指令に基づいて物品搬送車3を作動させる。
【0023】
搬送車制御ユニット51は、走行用モータM1を駆動制御して、車輪15を回転させると共に、ソレノイドなどの案内用アクチュエータA1を駆動制御して、案内輪16の姿勢を変更させる。また、搬送車制御ユニット51は、昇降用モータM3を駆動制御して、物品支持体13を走行体9に対して昇降させると共に、把持用アクチュエータ(GRP-ACT)A3を駆動制御して、物品支持体13により物品90を把持させる。尚、モータやアクチュエータなどは、例示でありこれらの他にも各種アクチュエータやセンサ等が設けられていてもよい。
【0024】
電力ユニット(PW-UNIT)53は、通信ユニット52、搬送車制御ユニット51、走行用モータM1、昇降用モータM3、案内用アクチュエータA1、把持用アクチュエータA3等に動作用の電力を供給する。上述したように、物品搬送車3は、走行経路1に沿って配設された給電線11から非接触で駆動用電力を受電する受電部12を備えている。電力ユニット53は変圧器、電圧レギュレーション回路、整流回路、等を備えており、受電された駆動用電力は、電力ユニット53での整流、変圧等の処理を経て各装置に供給される。また、電力ユニット53は、例えば物品搬送車3が停止する際に走行用モータM1の回転によって生じる回生電力を消費する回生抵抗や、ブレーカー、電力用リレー、電力バックアップ用のバッテリ等を備えていてもよい。
【0025】
前後方向FRに沿って物品搬送車3を背面から見た図2に示すように、搬送車本体10は、物品90を吊り下げ支持する物品支持体13と、物品支持体13が物品90を吊り下げ支持している状態で、前後方向FRに見て物品支持体13及び物品90と重複する本体カバー30とを備えている。尚、上述したように、物品支持体13は、走行体9に対して昇降可能である。従って、本実施形態では、本体カバー30は、物品支持体13が物品90を吊り下げ支持して上昇している状態で、前後方向FRに見て物品支持体13及び物品90と重複する。尚、物品支持体13は、本実施形態のように昇降して物品90の受渡しをせず、例えば、水平方向にスライドすることによって物品90の受渡しするような構造であってもよい。この場合には、物品支持体13が上昇している状態でなくても、前後方向FRに見て本体カバー30と、物品支持体13及び物品90とが重複する。
【0026】
図3は物品搬送車3の斜視図、図4は物品搬送車3の分解斜視図を示しており、図6は、図4における本体カバー30のVI−VI断面図を示している。図4及び図6に示すように、本体カバー30は、走行体9及び搬送車本体10を駆動制御するための複数の電気機器50を収容する機器収容空間Eを有している。複数の電気機器50には、上述した搬送車制御ユニット51、通信ユニット52、電力ユニット53などが含まれる。また、各種アクチュエータを駆動するためのドライブ回路(モータドライバなど)が構成されたドライブユニットが電気機器に含まれていてもよい。
【0027】
図4図6に示すように、機器収容空間Eは、前後方向FRにおいて物品支持体13が配置されている側(前後方向内側FRI)の内側壁部32と、前後方向内側FRIとは反対側(前後方向外側FRO)の外側壁部31と、底部34と、不図示の天部とに囲まれた空間である。内側壁部32は、前後方向FRにおいて物品支持体13及び物品90が吊り下げ支持されている側に配置されているので、物品支持体13及び物品90の支持空間を狭めるなど、当該空間に影響しないように、湾曲することなく平面状に形成されている。
【0028】
一方、外側壁部31は、その形状によって支持空間に影響を与えないため、前後方向外側FROに向かって膨らんだ形状とすることができる。外側壁部31は、幅方向Wにおける両端部が内側壁部32に当接し、幅方向Wにおける中央部が前後方向外側FROに膨らんだ形状である。この膨らみによって、広い機器収容空間Eを確保することができる。尚、膨らみは、外側壁部31の幅方向Wにおける中央部において、内側壁部32と外側壁部31とが平行状となるように形成されている。つまり、外側壁部31は、幅方向Wにおける両端部に、内側壁部32に当接する側壁部31aを有すると共に、側壁部31aの間に内側壁部32と平行状の板状部31bを有している。
【0029】
図4及び図6に示すように、機器収容空間Eには、上下方向V及び幅方向Wに広がると共に貫通穴35を有する板状の機器支持フレーム33が備えられている。ここでは、機器支持フレーム33も、前後方向外側FROに向かって膨らんだ形状に形成されている。当然ながら、機器支持フレーム33は、図7の比較例の機器支持フレーム33Bのように、平板状であってもよい。本実施形態のように、前後方向外側FROに向かって膨らんだ形状の機器支持フレーム33は、例えばプレス加工等によって形成される。
【0030】
機器支持フレーム33は、幅方向Wの両端において内側壁部32に固定され、幅方向Wの中央部が前後方向外側FROに膨らんだ形状に形成されている。上述した外側壁部31と同様に、膨らみは、内側壁部32の幅方向Wにおける中央部において、内側壁部32と機器支持フレーム33とが平行状となるように形成されている。つまり、機器支持フレーム33は、幅方向Wにおける両端部に、内側壁部32に固定される固定部33aを有すると共に、固定部の間に内側壁部32と平行状の板状部33bを有している。
【0031】
機器支持フレーム33、特に上述した板状部33bの両面は、電気機器50を支持する機器支持面Pである。機器支持面Pの内、物品支持体13が配置されている側(前後方向内側FRI)の機器支持面Pを内側機器支持面P1と称し、機器支持面Pの内、前後方向内側FRIとは反対側(前後方向外側FRO)の機器支持面Pを外側機器支持面P2と称する。図6に例示するように、複数の電気機器50は、機器支持フレーム33の両面(P1,P2)に分割配置される。また、異なる面に配置された電気機器50同士は、貫通穴35を通る不図示の配線により電気的に接続されている。
【0032】
尚、図3に示すように、本体カバー30は、前後方向FRの一方側である第1方向側(例えば前方側F)に配置された第1本体カバー30Fと、他方側である第2方向側(この場合後方側R)に配置された第2本体カバー30Rとを含む。第1本体カバー30Fの外側壁部31は、前方側F(前後方向外側FROに相当)に突出するように湾曲し、第2本体カバー30Rの外側壁部31は、後方側R(前後方向外側FROに相当)に突出するように湾曲している。また、図3では不図示であるが、第1本体カバー30Fに設置された機器支持フレーム33は、前方側F(前後方向外側FROに相当)に突出するように湾曲し、第2本体カバー30Rに設置された機器支持フレーム33は、後方側R(前後方向外側FROに相当)に突出するように湾曲している。
【0033】
機器支持フレーム33は、上下方向V及び幅方向Wに広がる広い設置領域(機器支持面P)を有しているため、機器支持フレーム33に対して電気機器50を平面的に安定して設置することができる。また、機器支持フレーム33の両面に電気機器50を分割して配置することにより、作業者は、内側機器支持面P1の側、及び外側機器支持面P2の側の両方向からそれぞれの電気機器50にアクセスすることができる。このため、点検や修理、交換などの際に他の電気機器50の配置による制約を受けにくくなり、作業効率がよい。例えば、内側機器支持面P1と外側機器支持面P2とに同時にアクセスすることもできるので複数の作業者が各面を担当することによって作業時間を短縮することもできる。
【0034】
また、異なる電気機器50の間を電気的に接続するための配線は、貫通穴35を介して引き回されるため、機器収容空間Eの中の配線が整理され、機器収容空間Eの内部が配線によって煩雑となることが抑制される。また、作業者によって生じる配線のバラツキも軽減することができるので、修理や点検などの作業性も向上する。
【0035】
機器支持フレーム33が外側壁部31と同様に前後方向外側FROに膨らんでいることによって、機器支持フレーム33の外側機器支持面P2と、外側壁部31との間に、電気機器50を収容するために充分な空間(外側収容空間E2)を確保すると共に、機器支持フレーム33の内側機器支持面P1と、内側壁部32との間に、電気機器50を収容するために充分な空間(内側収容空間E1)を確保することができる。つまり、機器支持フレーム33の外側壁部31の膨らみに応じて、機器支持フレーム33を湾曲させることによって、高い空間利用効率で電気機器50を機器支持フレーム33に固定して本体カバー30の中に収容することができる。
【0036】
また、機器支持フレーム33が前後方向FRに湾曲することによって、前後方向FRや上下方向Vに沿った応力に対する耐性が高くなり、機器支持フレーム33の強度が高くなる。特に前後方向FRは、物品搬送車3の走行時の速度変化による加速度を受けるが、加速度に対して高い耐性を有する構造を実現することができる。その結果、機器支持フレーム33の軽量化が可能となり、物品搬送車3も軽量化することができる。その結果、走行用モータM1のモータトルク等に余裕ができるため、加減速時における振動が低減され、物品搬送車3の走行安定性が向上する。
【0037】
上述したように、電気機器50は、通信機器(例えば、通信ユニット52)及び冷却が必要な要冷却機器(例えば、ドライバユニットや電力ユニット53、特に回生抵抗、変圧器、電圧レギュレーション回路、バッテリなど)を含む。通信機器及び要冷却機器の少なくとも1つは、図6に例示するように、機器支持フレーム33の機器支持面Pの内、外側機器支持面P2に支持されて外側収容空間E2に配置されていると好適である。
【0038】
外側収容空間E2は、前後方向外側FROに向いている。従って、電波等の送受信における障害物が少なくなり、通信ユニット52などの通信装置による通信品質が向上する。また、前後方向外側FROは、物品支持体13が配置されている前後方向内側FRIに比べて風通しが良い。このため、外側収容空間E2に要冷却機器が配置されていると当該要冷却機器の放熱が容易となる。
【0039】
また、上述したように、電気機器50は、搬送車制御ユニット51などの制御装置を含む。このような制御装置は、図6に例示するように、機器支持フレームの前記機器支持面の内、内側機器支持面P1に支持されて内側収容空間E1に配置されていると好適である。
【0040】
多くの場合、搬送車制御ユニット51などの制御装置は、制御基板等を中核として構成されており、矩形状である。従って、このような制御装置は、本体カバー30の内側壁部32と、機器支持フレーム33とが平行状となっている内側収容空間E1に適切に配置することができる。また、物品支持体13及び物品90が吊り下げ支持されている前後方向内側FRIにおいて、本体カバー30の内側壁部32の一部が取り外し可能であれば、内側壁部32の一部を取り外した開口部より、制御装置の点検や修理などを容易に行うことができる。
【0041】
尚、図6に示すように、搬送車制御ユニット51などの制御装置の1つ又は複数の特定の端部50tに沿って接続端子が配置され、図4に示すようなスリット状の貫通穴35がこの特定の端部50tに沿って形成されていると好適である。搬送車制御ユニット51から貫通穴35への配線距離を短くすることができ、機器収容空間Eの内部が配線によって煩雑になることが抑制できる。また、配線の取り回しも容易になるため、配線及び外側機器支持面P2に配置される電気機器50の配置の自由度も高くなる。
【0042】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送車の概要について簡単に説明する。
【0043】
第1の態様として、走行レールに沿って走行する走行体に吊り下げ支持された搬送車本体により搬送対象の物品を吊り下げ支持して当該物品を搬送する物品搬送車は、
前記走行レールに沿う方向を前後方向とし、水平面において前記前後方向に直交する方向を幅方向とし、
前記搬送車本体が、前記物品を吊り下げ支持する物品支持体と、前記物品支持体が前記物品を吊り下げ支持している状態で、前記前後方向に見て前記物品支持体及び前記物品と重複する本体カバーと、を備え、
前記本体カバーが、前記走行体及び前記搬送車本体を駆動制御するための複数の電気機器を収容する機器収容空間を有し、
前記機器収容空間には、上下方向及び前記幅方向に広がると共に貫通穴を有する板状の機器支持フレームが備えられ、
前記機器支持フレームが、両面が前記電気機器を支持する機器支持面であり、
複数の前記電気機器が、前記機器支持フレームの両面に分割配置され、異なる面に配置された前記電気機器同士が前記貫通穴を通る配線により電気的に接続され
前記本体カバーは、前記前後方向の一方側である第1方向側に配置された第1本体カバーと、他方側である第2方向側に配置された第2本体カバーとを含み、
前記第1本体カバーに設置された前記機器支持フレームは、前記上下方向に見て前記第1方向側に突出するように湾曲し、
前記第2本体カバーに設置された前記機器支持フレームは、前記上下方向に見て前記第2方向側に突出するように湾曲している。
【0044】
また、第2の態様として、上記に鑑みた、走行レールに沿って走行する走行体に吊り下げ支持された搬送車本体により搬送対象の物品を吊り下げ支持して当該物品を搬送する物品搬送車は、
前記走行レールに沿う方向を前後方向とし、水平面において前記前後方向に直交する方向を幅方向とし、
前記搬送車本体は、
前記物品を吊り下げ支持する物品支持体と、
前記物品支持体が前記物品を吊り下げ支持している状態で、前記前後方向に見て前記物品支持体及び前記物品と重複する本体カバーと、を備え、
前記本体カバーは、前記走行体及び前記搬送車本体を駆動制御するための複数の電気機器を収容する機器収容空間を有し、
前記機器収容空間には、上下方向及び前記幅方向に広がると共に貫通穴を有する板状の機器支持フレームが備えられ、
前記機器支持フレームは、両面が前記電気機器を支持する機器支持面であり、
複数の前記電気機器は、前記機器支持フレームの両面に分割配置され、異なる面に配置された前記電気機器同士が前記貫通穴を通る配線により電気的に接続され、
前記電気機器は、通信機器及び冷却が必要な要冷却機器を含み、前記通信機器及び前記要冷却機器の少なくとも一方は、前記機器支持フレームの前記機器支持面の内、前記物品支持体が配置されている側とは反対側の前記機器支持面に支持されている
【0045】
また、第3の態様として、上記に鑑みた、走行レールに沿って走行する走行体に吊り下げ支持された搬送車本体により搬送対象の物品を吊り下げ支持して当該物品を搬送する物品搬送車は、
前記走行レールに沿う方向を前後方向とし、水平面において前記前後方向に直交する方向を幅方向とし、
前記搬送車本体は、
前記物品を吊り下げ支持する物品支持体と、
前記物品支持体が前記物品を吊り下げ支持している状態で、前記前後方向に見て前記物品支持体及び前記物品と重複する本体カバーと、を備え、
前記本体カバーは、前記走行体及び前記搬送車本体を駆動制御するための複数の電気機器を収容する機器収容空間を有し、
前記機器収容空間には、上下方向及び前記幅方向に広がると共に貫通穴を有する板状の機器支持フレームが備えられ、
前記機器支持フレームは、両面が前記電気機器を支持する機器支持面であり、
複数の前記電気機器は、前記機器支持フレームの両面に分割配置され、異なる面に配置された前記電気機器同士が前記貫通穴を通る配線により電気的に接続され、
前記電気機器は、制御装置を含み、前記制御装置は、前記機器支持フレームの前記機器支持面の内、前記物品支持体が配置されている側の前記機器支持面に支持されている。
【0046】
これら第1〜第3の態様の構成によれば、両面に機器支持面を有する機器支持フレームは、上下方向及び幅方向に広がる広い設置領域を有しているため、当該機器支持フレームに対して電気機器を平面的に安定して設置することができる。また、機器支持面の両面に電気機器を分割して配置することにより、作業者は、機器支持面に対する両方向からそれぞれの電気機器にアクセスすることができる。このため、点検や修理、交換などの際に他の電機機器による制約を受けにくくなり、作業効率がよい。また、異なる電気機器の間を電気的に接続するための配線は、機器支持フレームに形成された貫通穴を介して引き回されるため、機器収容空間の中の配線が整理され、機器収容空間内が配線によって煩雑となることが抑制される
【0047】
さらに、第1の態様の構成によれば、第1本体カバーにおける第1方向側、第2本体カバーにおける第2方向側は、それぞれ前後方向において物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側とは逆側である。前後方向において物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側では、物品支持体及び物品の支持空間に影響しないように、第1本体カバー及び第2本体カバーの外面が、平面状に形成されていることが好ましい。しかし、逆側では、支持空間に影響を与えないため、第1本体カバー及び第2本体カバーの外面を前後方向に沿って膨らませることができる。この膨らみによって、機器収容空間を確保することができる。そして、その膨らみに応じて、機器支持フレームを湾曲させることによって、高い空間利用効率で電気機器を機器支持フレームに固定することができる。また、機器支持フレームが前後方向に湾曲することによって、前後方向や上下方向に沿った応力に対する耐性が高くなり、機器支持フレームの強度が高くなる。その結果、機器支持フレームの軽量化も可能となる。
【0048】
さらに、第2の態様の構成によれば、物品支持体が配置されている側とは反対側の機器支持面は、前後方向において外側に向いていることになる。従って、当該機器支持面に通信機器が配置されると、電波等の送受信における障害物が少なくなり、通信品質が向上する。また、前後方向における本体カバーの外側は、物品支持体が配置されている内側に比べて風通しが良い。このため、当該機器支持面に要冷却機器が配置されていると当該要冷却機器の放熱が容易となる。
【0049】
さらに、第3の態様の構成によれば、前後方向において物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側では、物品支持体及び物品の支持空間に影響しないように、第1本体カバー及び第2本体カバーの外面が、平面状に形成されていることが好ましい。多くの場合、制御装置は、制御基板等を中核として構成されており、矩形状である。従って、制御装置は、前後方向において物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側の本体カバーの内壁と、機器支持フレームとが平行状となっている空間に適切に、配置することができる。また、物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側において、本体カバーの壁部の一部が取り外し可能であれば、壁部の一部を取り外した開口部より、制御装置の点検や修理などを容易に行うことができる。
【0050】
即ち、これら第1〜第3の態様の構成によれば、組み立てやメンテナンスの際の作業効率が高くなるように、物品搬送車の制御装置などの電気機器を本体カバー内の収容空間に適切に収容することができる。
【0051】
ここで、第1の態様において、前記電気機器が、通信機器及び冷却が必要な要冷却機器を含み、前記通信機器及び前記要冷却機器の少なくとも一方は、前記機器支持フレームの前記機器支持面の内、前記物品支持体が配置されている側とは反対側の前記機器支持面に支持されていると好適である。
【0052】
物品支持体が配置されている側とは反対側の機器支持面は、前後方向において外側に向いていることになる。従って、当該機器支持面に通信機器が配置されると、電波等の送受信における障害物が少なくなり、通信品質が向上する。また、前後方向における本体カバーの外側は、物品支持体が配置されている内側に比べて風通しが良い。このため、当該機器支持面に要冷却機器が配置されていると当該要冷却機器の放熱が容易となる。
【0053】
また、第1の態様及び第2の態様において、前記電気機器が、制御装置を含み、前記制御装置は、前記機器支持フレームの前記機器支持面の内、前記物品支持体が配置されている側の前記機器支持面に支持されていると好適である。
【0054】
前後方向において物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側では、物品支持体及び物品の支持空間に影響しないように、第1本体カバー及び第2本体カバーの外面が、平面状に形成されていることが好ましい。多くの場合、制御装置は、制御基板等を中核として構成されており、矩形状である。従って、制御装置は、前後方向において物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側の本体カバーの内壁と、機器支持フレームとが平行状となっている空間に適切に、配置することができる。また、物品支持体及び物品が吊り下げ支持されている側において、本体カバーの壁部の一部が取り外し可能であれば、壁部の一部を取り外した開口部より、制御装置の点検や修理などを容易に行うことができる。
【0055】
また、第1の態様、第2の態様、及び第3の態様において、前記電気機器が、制御装置を含み、前記制御装置が、前記機器支持フレームの前記機器支持面の内、前記物品支持体が配置されている側の前記機器支持面に支持されている場合、前記制御装置の1つ又は複数の特定の端部に沿って接続端子が配置され、前記貫通穴は当該特定の端部に沿ってスリット状に形成されていると好適である。
【0056】
この構成によれば、制御装置から貫通穴への配線距離を短くすることができ、機器収容空間内が配線によって煩雑になることが抑制できる。また、配線の取り回しも容易になるため、配線及び制御装置が配置される機器支持面とは反対側の面に配置される電気機器の配置の自由度も高くなる。
【符号の説明】
【0057】
2 :走行レール
3 :物品搬送車
9 :走行体
10 :搬送車本体
13 :物品支持体
30 :本体カバー
30F :第1本体カバー
30R :第2本体カバー
31 :外側壁部
32 :内側壁部
33 :機器支持フレーム
35 :貫通穴
50 :電気機器
50t :端部
51 :制御ユニット(電気機器)
52 :通信ユニット(電気機器)
53 :電力ユニット(電気機器)
90 :物品
E :機器収容空間
E1 :内側収容空間(機器収容空間)
E2 :外側収容空間(機器収容空間)
FR :前後方向
FRI :前後方向内側
FRO :前後方向外側
P :機器支持面
P1 :内側機器支持面
P2 :外側機器支持面
V :上下方向
W :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7