(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)成分の水溶性金属塩が、グルコン酸銅、クエン酸銅、硫酸銅、塩化銅、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛及びクエン酸亜鉛から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の歯磨剤組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記金属塩を配合した歯磨剤組成物の口臭予防効果は十分とは言い難く、口臭抑制効果を向上し、口臭予防に更に有効に利用し得る製剤の開発が望まれた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、口臭抑制効果が優れ、かつ経時における製剤表面の肌荒れ、液分離が抑制され外観安定性が優れる水溶性金属塩含有の歯磨剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)銅塩及び亜鉛塩から選ばれる水溶性金属塩を0.01〜1質量%と、(B)ブルックフィールド型粘度計で測定した25℃における5W/V%水溶液の粘度が10mPa・s以上であり、かつ前記粘度計で測定した25℃における2W/V%水溶液の粘度が800mPa・s以下である高重合ポリエチレングリコールを0.01〜0.5質量%とを併用して配合すると、口臭抑制効果が向上し、かつ経時における歯磨製剤表面の肌荒れ、液分離が抑制され良好な外観安定性を与えることができることを見出した。即ち、本発明によれば、(A)成分を含有する歯磨剤組成物に、(B)成分を適切に配合することによって、口臭抑制効果が高く、かつ外観安定性が優れる、口臭の予防又は抑制に好適な歯磨剤組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
即ち、銅塩、亜鉛塩といった水溶性金属塩の口臭抑制効果は十分ではなく、また、高重合ポリエチレングリコールには口臭抑制効果が認められないにもかかわらず、本発明では、(A)成分に(B)成分を併用することによって、(A)成分由来の口臭抑制効果が向上し、かつ製剤外観が安定化する。この場合、歯磨剤組成物において、(A)成分に(B)成分を不適切量で併用すると、経時において製剤表面が肌荒れして歯磨剤のきめが悪くなり、液分離も発生し、外観安定性が低下するという課題が生じるが、(A)、(B)成分を適切に組み合わせると、意外にも、上記課題も解消して製剤外観が悪化することなく口臭抑制効果が高まり、口内から採取された口臭が十分に抑制されて認知されなくなる優れた口臭抑制効果を奏し、また、製剤外観が経時で安定化し、50℃で1ヶ月保存後に製剤表面がしわや粒状の凝集体によって肌荒れするのが抑えられ、滑らかでツヤのある表面を与えることも可能となり、歯磨剤のきめが良好となり、更には液分離を抑制することもできる。
なお、本発明において、(B)成分の高重合ポリエチレングリコールによって、(A)成分含有歯磨剤組成物の口臭抑制効果及び外観安定性が改善することは、歯磨剤組成物の粘稠剤、保湿剤としてのポリエチレングリコールの使用からは予測できない。
【0009】
従って、本発明は、下記の歯磨剤組成物を提供する。
〔1〕
(A)銅塩及び亜鉛塩から選ばれる1種又は2種以上の水溶性金属塩を0.01〜1質量%と、
(B)ブルックフィールド型粘度計で測定した25℃における5W/V%水溶液の粘度が
30〜2,000mPa・s
である高重合ポリエチレングリコールを0.01〜0.5質量%と
を含有し
、(A)成分と(B)成分との配合量の割合を示す(A)/(B)が、質量比として0.1〜10であることを特徴とする歯磨剤組成物。
〔2〕
(A)成分の水溶性金属塩が、グルコン酸銅、クエン酸銅、硫酸銅、塩化銅、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛及びクエン酸亜鉛から選ばれる1種又は2種以上である〔1〕に記載の歯磨剤組成物。
〔3〕
(A)成分の水溶性金属塩が、グルコン酸銅及び/又はクエン酸亜鉛である〔
2〕に記載の歯磨剤組成物。
〔4〕
(B)成分の高重合ポリエチレングリコール
が、ブルックフィールド型粘度計で測定した25℃における5W/V%水溶液の粘度が
55〜
250mPa・s
のものである〔1〕、〔2〕又は〔3〕に記載の歯磨剤組成物。
〔5〕
(A)成分と(B)成分との配合量の割合を示す(A)/(B)が、質量比として
0.5〜
2である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔6〕
更に、(C)アルギン酸プロピレングリコールエステルを0.01〜3質量%含有する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔
7〕
練歯磨剤である〔1〕〜〔
6〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、口臭抑制効果が優れ、かつ経時における製剤表面の肌荒れ、液分離が抑制され外観安定性が優れ、口臭の予防又は抑制に好適に使用し得る水溶性金属塩含有の歯磨剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について更に詳述する。本発明の歯磨剤組成物は、(A)銅塩及び亜鉛塩から選ばれる水溶性金属塩と、(B)ブルックフィールド型粘度計で測定した25℃における5W/V%水溶液の粘度が10mPa・s以上であり、かつ前記粘度計で測定した25℃における2W/V%水溶液の粘度が800mPa・s以下である高重合ポリエチレングリコールとを配合してなる。
【0012】
(A)成分の水溶性金属塩は、水溶性の銅塩、亜鉛塩から選ばれる1種又は2種以上であり、例えばグルコン酸銅、クエン酸銅、硫酸銅、塩化銅、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸亜鉛等が挙げられ、無水物だけでなく硫酸銅5水和物等の結晶水を含む水和物を用いることもできるが、中でもグルコン酸銅、クエン酸銅、クエン酸亜鉛、特にグルコン酸銅、クエン酸亜鉛が好ましい。
【0013】
上記水溶性金属塩の配合量は、口臭抑制の点から組成物全体の0.01〜1%(質量%、以下、同様。)であり、好ましくは0.01〜0.5%、より好ましくは0.05〜0.3%である。0.01%以上配合すると、十分な口臭抑制効果が得られる。1%以下であることが、経時で歯磨剤のきめが悪くなるのを防止するには好適である。
なお、上記配合量の範囲内において、(A)成分の水溶性銅塩の配合量は、銅として組成物全体の0.0014〜0.5%、特に0.007〜0.15%が好ましい。また、水溶性亜鉛塩の配合量は、亜鉛として組成物全体の0.0014〜0.5%、特に0.007〜0.15%が好ましい。
【0014】
(B)成分の高重合ポリエチレングリコールは、エチレングリコールが重合した構造をもつ高分子化合物であり、ブルックフィールド型粘度計で測定した25℃における5W/V(質量/体積(容量))%水溶液の粘度が10mPa・s以上であり、かつ前記粘度計で測定した25℃における2W/V%水溶液の粘度が800mPa・s以下のものである。
5W/V%水溶液の粘度が20,000mPa・sを超える場合は、粘度測定が不能となるため、2W/V%水溶液における粘度を採用する。即ち、本発明において、高重合ポリエチレングリコールは、下記(1)又は(2)の粘度物性を有する。
(1)25℃における5W/V%水溶液の粘度が10〜20,000mPa・s
(2)(1)で粘度が20,000mPa・sを超える場合は、25℃における2W/V%水溶液の粘度が800mPa・s以下
本発明において、より好ましい高重合ポリエチレングリコールは、25℃における5W/V%水溶液の粘度が10〜18,000mPa・s、特に30〜10,000mPa・s、とりわけ55〜2,000mPa・s、更にとりわけ55〜250mPa・sのものである。
本発明では、(B)成分として粘度が上記特定範囲内である高重合ポリエチレングリコールを用いることで、(A)成分由来の口臭抑制効果が向上し、また、経時における製剤表面の肌荒れが改善し、液分離が抑制され、良好な外観安定性を与える。
上記5W/V%水溶液の粘度が10mPa・sに満たないと、歯磨剤のきめの改善効果が十分に得られず、上記2W/V%水溶液の粘度が800mPa・sを超えると、歯磨剤のきめが経時で低下する。
【0015】
(B)成分の高重合ポリエチレングリコールとしては下記に示す市販品を使用し得る。
・POLYOX WSR N−10
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:12〜50mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVT、ローターNo.1、回転数50rpm、測定温度25℃、測定時間0.5分)
・POLYOX WSR N−80
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:55〜115mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVT、ローターNo.1、回転数50rpm、測定温度25℃、測定時間0.5分)
・POLYOX WSR N−750
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:1,000〜1,200mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVF、ローターNo.2、回転数10rpm、測定温度25℃、測定時間1分)
・POLYOX WSR−205
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:4,500〜8,800mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVF、ローターNo.2、回転数2rpm、測定温度25℃、測定時間5分)
・POLYOX WSR−1105
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:8,800〜17,600mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVF、ローターNo.2、回転数2rpm、測定温度25℃、測定時間5分)
・POLYOX WSR N−12K
(ダウ・ケミカル社製、2W/V%水溶液の粘度:400〜800mPa・s、測定機器:ブルックフィールド RVF、ローターNo.1、回転数10rpm、測定温度25℃、測定時間1分)
【0016】
(B)成分の高重合ポリエチレングリコールの配合量は、組成物全体の0.01〜0.5%であり、好ましくは0.03〜0.2%、より好ましくは0.05〜0.1%である。配合量が0.01%に満たないと、十分な口臭抑制効果、歯磨剤のきめの改善効果が得られない。配合量が多すぎると、それ以上の効果向上が期待できない上に製剤の外観安定性が低下し、0.5%を超えると歯磨剤のきめを良好に維持できず、液分離を抑えることができない。
【0017】
本発明では、(A)成分と(B)成分とを適切比率で配合すると、口臭抑制効果がより優れ、外観安定性もより向上する。この場合、(A)成分と(B)成分との配合量の割合を示す(A)/(B)が質量比として0.02〜100が好ましく、より好ましくは0.1〜10,特に好ましくは0.5〜6、更に好ましくは0.5〜2である。(A)/(B)比が小さすぎると、口臭抑制効果が十分に得られない場合があり、大きすぎると、歯磨剤のきめが十分に改善しなかったり、液分離が十分に抑えられない場合がある。
なお、(A)/(B)の質量比が上記範囲内において、(A)成分の水溶性銅塩の銅としての配合量と(B)成分の配合量との割合を示す(A−1)/(B)は質量比として0.003〜50、特に0.07〜3が好ましい。また、(A)成分の水溶性亜鉛塩の亜鉛としての配合量と(B)成分の配合量との割合を示す(A−2)/(B)は質量比として0.003〜50、特に0.07〜3が好ましい。
【0018】
本発明の歯磨剤組成物に、更に、(C)アルギン酸プロピレングリコールエステルを配合すると、口臭抑制効果の持続性が向上し、(A)成分由来の金属味を抑制するため、好ましい。使用するアルギン酸プロピレングリコールエステルは、特に制限されないが、ブルックフィールド型粘度計による1%水溶液(20℃)の粘度が、10〜1,300mPa・s、特に10〜200mPa・sの範囲であることが好ましい。
(C)アルギン酸プロピレングリコールエステルの配合量は、組成物全体の0.01〜3%が好ましく、より好ましくは0.05〜3%である。前記範囲内で、口臭抑制持続効果が特に優れ、また、金属味が抑制され使用感も良好である。
また、(C)アルギン酸プロピレングリコールエステルに対する(A)成分の配合比率は質量比で0.01〜5であることが好ましい。
【0019】
本発明の歯磨剤組成物は、練歯磨剤、液状歯磨剤等として、特に練歯磨剤として好適に調製される。また、その剤型に応じて、上記成分以外に通常使用される公知の成分を必要に応じ配合できる。例えば、研磨剤、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、甘味剤、防腐剤、着色剤、香料、上記以外の有効成分などを、本発明の効果を妨げない範囲で通常量で用いることができる。
【0020】
研磨剤としては、シリカゲル、沈降シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第二リン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系研磨剤、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。研磨剤の配合量は通常、5〜50%である。
【0021】
粘稠剤としては、ソルビット、キシリット、エリスリトール等の糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。これら粘稠剤の配合量は通常、5〜50%である。
【0022】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系誘導体、キサンタンガム等のガム類等が挙げられる。粘結剤の配合量は通常、0〜5%、特に0.1〜5%である。
【0023】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合できる。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩などが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム型等が挙げられ、両性界面活性剤としては、ベタイン型、イミダゾリン型等が挙げられる。
界面活性剤の配合量は、組成全体の0.5〜5%が好ましい。
【0024】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム等が挙げられる。防腐剤としては、メチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸又はその塩等が挙げられる。着色剤としては、青色1号、黄色4号等が挙げられる。
【0025】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及びこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、歯磨剤組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。これら香料の配合量は通常、0.00001〜3%である。
【0026】
有効成分としては、歯磨剤組成物に通常配合される公知のものを使用でき、例えばフッ化物、殺菌剤、抗炎症剤、酵素、植物抽出物、歯石防止剤、歯垢防止剤などを配合できる。具体的には、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、カチオン性殺菌剤、デキストラナーゼ等の酵素トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン等の抗炎症剤などが挙げられる。なお、上記有効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合することができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例、処方例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
【0028】
[実施例、比較例]
表1〜3に示す組成の歯磨剤組成物(練歯磨)を常法によって調製し、下記方法で評価した。結果を表1〜3に併記した。
【0029】
(1)口臭抑制効果の評価方法
健常人で口臭を有し、かつ1ヶ月以内に抗生物質を服用していないボランティア5名を被験者とした。被験者には前日夜から試験当日まで口腔清掃と飲食を禁止した。口臭試験は、試験開始前と歯磨きして1時間経過後(試験後)の口臭をそれぞれテドラバッグに採取し、テドラバッグに採取した呼気1リットルの口臭強度を、専門評価者3名が下記の評点基準に従い判定した。
<口臭強度の評点基準>
0点:口臭は認められない
1点:わずかな口臭が認められる
2点:口臭が認められる
3点:著しい口臭が認められる
更に、下記式により、口臭改善度を求め、試験組成物の口臭抑制効果を下記基準で評価した。
<口臭改善度の算出式>
(口臭改善度)=(試験開始前の口臭強度平均値)−(試験後の口臭強度平均値)
なお、口臭強度平均値は、各群被験者の口臭強度を平均した値である。
<口臭抑制効果の評価基準>
◎:顕著な効果あり。口臭改善度が1.5点以上
○:効果あり。口臭改善度が1.0点以上1.5点未満
△:若干の効果あり。口臭改善度が0.5点以上1.0点未満
×:効果なし。口臭改善度が0.5点未満
【0030】
(2)製剤表面の肌荒れのなさ(歯磨剤のきめ)の評価方法
50℃で1ヶ月保存後、歯磨剤組成物をチューブから歯ブラシに出した時の練の外観(製剤表面の肌荒れのなさ(歯磨剤のきめ))について、評価者3名が、下記の評点基準で判定した。
評点基準
5:しわが認められなく、更に滑らかでツヤがある
4:しわが認められない
3:しわがわずかに認められるが、品質的には問題ないレベルである
2:しわが認められるが、粒状の凝集体は認められない
1:しわや粒状の凝集がかなり認められる
3名の平均点を求め、歯磨剤のきめについて下記基準で評価した。
評価基準
◎:平均点が4.5点以上
○:平均点が3.0点以上4.5点未満
△:平均点が2.0点以上3.0点未満
×:平均点が2.0点未満
【0031】
(3)液分離のなさの評価方法
50℃で1ヶ月保存後、歯磨剤組成物をチューブから歯ブラシに出した時の液分離について、評価者3名が、下記の評点基準で判定した。
評点基準
5:全く液の分離が認められない
4:口元にわずかな滲みが認められるが、全体的には問題ない
3:全体的にわずかな滲みが認められるが、品質的には問題ないレベル
である
2:全体に液の分離が認められる
1:歯ブラシから落ちるほどの激しい液分離が認められる
3名の平均点を求め、液分離のなさについて下記基準で評価した。
評価基準
◎:平均点が4.5点以上
○:平均点が3.0点以上4.5点未満
△:平均点が2.0点以上3.0点未満
×:平均点が2.0点未満
【0032】
使用原料の詳細を下記に示す。なお、高重合ポリエチレングリコールの粘度は、上記と同様に、ブルックフィールド型粘度計(ブルックフィールド RVT又はRVF)で測定した25℃における粘度である。また、同様の方法で測定したポリエチレングリコール#400の粘度は、(B)高重合ポリエチレングリコールの粘度に満たなかった。
(A)グルコン酸銅;関東化学(株)製、グルコン酸銅
(A)クエン酸亜鉛;関東化学(株)製、クエン酸亜鉛
(B)高重合ポリエチレングリコール;
POLYOX WSR N−80
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:85mPa・s(ロー
ターNo.1、回転数50rpm、測定時間0.5分))
POLYOX WSR N−10
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:35mPa・s(ロー
ターNo.1、回転数50rpm、測定時間0.5分))
POLYOX WSR N−750
(ダウ・ケミカル社製、5W/V%水溶液の粘度:1,100mPa・s
(ローターNo.2、回転数10rpm、測定時間1分))
POLYOX WSR N−12K
(ダウ・ケミカル社製、2W/V%水溶液の粘度:420mPa・s(ロ
ーターNo.1、回転数10rpm、測定時間1分))
ポリエチレングリコール#400
(三洋化成工業社製、医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量380
〜420)
【0033】
【表1】
*;実施例5は参考例。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
次に、表4に示す組成の歯磨剤組成物(練歯磨)を上記と同様の原料を用いて常法によって調製し、同様の方法で評価した。また、口臭抑制効果の持続性(口臭抑制持続効果)、金属味抑制効果を下記方法で評価した。結果を表4に併記した。
【0037】
(4)口臭抑制持続効果の評価方法
前記口臭抑制効果の評価方法に準じ、試験後として歯磨きして4時間経過後の口臭を採取して口臭強度を判定し、更に、同様にして口臭改善度を求め、口臭抑制効果を評価した。
【0038】
(5)金属味抑制効果の評価方法
被験者10名を用い、歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間歯磨きを行った際の金属味について、金属味を全く感じないを4点、やや金属味を感じるを3点、金属味を感じるを2点、金属味を非常に感じるを1点として、判定した。
10名の平均点から以下の基準で、金属味の抑制効果を評価した。
金属味の抑制効果の評価基準:
◎:平均点が3.5点以上4.0点未満
○:平均点が3.0点以上3.5点未満
△:平均点が2.0点以上3.0点未満
×:平均点が1.0点以上2.0点未満
【0039】
【表4】
*1:商品名「キミロイドBF」、(株)キミカ製、
1%水溶液(20℃)の粘度:20mPa・s(BL型粘度計、ロー
ターNo.1、回転数60rpm)
【0040】
[処方例]
以下、処方例を表5に示す。処方例の歯磨剤組成物を上記と同様に調製し、同様に評価したところ、口臭抑制効果、歯磨剤のきめ、液分離のなさがいずれも◎であった。
【0041】
【表5】