(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する艤装装置およびロボットの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下では、ロボットがいわゆるシール材を塗布するエンドエフェクタを用いて作業を行う場合について主に説明するが、作業内容は、シール材の塗布に限らず、ワークのピッキングや、塗装、溶接などであってもよい。
【0012】
また、以下に示す実施形態では、「直交」、「垂直」、「平行」、「鉛直」、「一致」、「等しい」あるいは「重なる」といった表現を用いるが、厳密にこれらの状態を満たすことを要しない。すなわち、上記した各表現は、製造精度、設置精度、処理精度、検出精度などのずれを許容するものとする。
【0013】
まず、実施形態に係る艤装装置40の概要について
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る艤装装置40の概要を示す図である。なお、
図1は、中空アーム100を側面からみた側面図に相当する。
【0014】
なお、
図1には、説明をわかりやすくするために、鉛直上向きが正方向であるZ軸、中空アーム100の延伸向きに沿うX軸を含む3次元の直交座標系を図示している。なお、X軸は中空アーム100の基端側を負方向、先端側を正方向とする。かかる直交座標系は、以下の説明で用いる他の図面においても示す場合がある。
【0015】
図1に示すように、艤装装置40は、中空アーム100の基端側(X軸負方向側)に設けられる。ここで、中空アーム100は、中空アーム100の延伸向きに沿う中空100cが形成された中空形状を有する。
【0016】
たとえば、中空アーム100は、円筒状の形状であり、内周側に中空100cが形成されている。なお、
図1には、中空アーム100の中心線CLを示している。中心線CLは、中空アーム100の延伸向きと平行、すなわち、
図1に示したX軸と平行である。また、中空アーム100の中空100cには、線状体200が挿通される。
【0017】
図1に示したように、艤装装置40は、線状体200が接続される接続部50と、接続部50をスライド可能に支持する直動支持部60とを備える。ここで、線状体200は、内部にシール材などの流体を流す伸縮性を有するホースである。
【0018】
なお、本実施形態では、線状体200がホースである場合について主に説明するが、線状体200は、電気ケーブルなどのケーブルや、複数種類のケーブルを束ねたコンジットケーブル、溶接ワイヤを通過させるケーブル等であってもよい。
【0019】
接続部50には、線状体200の基端側が接続される。このように、接続部50は、延伸向き(X軸)に沿う中空100cを有する中空アーム100の基端側に設けられ、中空アーム100に挿通される線状体200が接続される。
【0020】
直動支持部60は、中空アーム100における基端側の端面または側面に設けられ、接続部50を延伸向き(X軸と平行)に沿って中空アーム100に対してスライド可能に支持する。なお、
図1には接続部50のスライド向きDS(X軸と平行)を参考のため示している。
【0021】
つまり、艤装装置40は、中空アーム100の延伸向きに沿って直動する直動機構を有する。たとえば、直動支持部60はリニアガイドに、接続部50はスライダにそれぞれ対応する。なお、艤装装置40の詳細については
図4を用いて後述することとする。
【0022】
ここで、線状体200がホースである場合、内部の流体の圧力が高まるとホースは径方向に膨らみ、これにより、ホースの全長が短くなる。その後、圧力が低くなるとホースの膨らみが解消され、ホースの全長は元に戻る。つまり、ホースは、内部に流れる流体の圧力に応じて全長が伸縮する。
【0023】
また、弛みのない所定の長さでホースの両端が固定されている場合、内部の流体の圧力の変動が繰り返されると、ホースを伸縮させようとする力が繰り返されることになるので、ホースに疲労が蓄積し、場合によっては、ひびや破断の原因となる可能性がある。
【0024】
そこで、艤装装置40では、線状体200の長さ方向にスライドする接続部50を備えることとしたので、ホースの伸縮に従動して接続部50が自由にスライドすることにより、ホースの伸縮に伴う力を低減することができる。したがって、ホースの耐久性を向上させることが可能となる。
【0025】
なお、ここでは、線状体200として全長が伸縮するホースを例示したが、線状体200は伸縮性がないものであってもよい。たとえば、伸縮性がない線状体200であったとしても、線状体200がねじれたり、線状体200の先端側が引っ張られたり押されたりすると、線状体200の長さ方向に外力が付加されることになる。
【0026】
このような場合であっても、線状体200の長さ方向に自由にスライドする接続部50を備える艤装装置40によれば、線状体200に付加される外力を逃がすことができる。したがって、線状体200の耐久性を向上させることが可能となる。
【0027】
なお、艤装装置40は、中空アーム100の延伸向きに沿う回転軸まわりに回転する回転機構を備えることとしてもよいが、この点については、
図4、
図5Aおよび
図5Bを用いて後述する。また、艤装装置40は、中空アーム100の先端側に線状体200を接続する中継機構を備えることとしてもよいが、この点については、
図6を用いて後述する。
【0028】
次に、
図1に示した艤装装置40が適用されるロボットの構成例について
図2を用いて説明する。
図2は、ロボット10の斜視図である。なお、
図2は、ロボット10を斜め上方からみた図に相当する。また、
図2では、
図1に示した艤装装置40の記載を省略している。
【0029】
図2に示すように、ロボット10は、鉛直軸A0〜第6軸A6の7軸を有するいわゆる垂直多関節ロボットである。また、ロボット10は、基端側から先端側へ向けて、ベース部10Bと、旋回部10Sと、第1アーム11と、第2アーム12と、第3アーム13と、第4アーム14と、手首部15とを備える。
【0030】
図2に示したように、第3アーム13および第4アーム14は、先端側がいわゆる二股形状を有しており、
図2に示した姿勢において、上下方向の少なくとも一方(Z軸に沿った向き)に開放された「開放空間」が確保されている。つまり、第3アーム13および第4アーム14には、旋回向きの側面が開放された「開放空間」が確保されている。
【0031】
また、
図2に示したように、第4アーム14の基端側は、いわゆる二股形状を有している。このように、第4アーム14の基端側を二股形状とすることで、第3アーム14の先端側における二股形状と、第4アーム14の基端側における二股形状とが向かいあうため、第3アーム13における上記した「開放空間」をより広げることができる。
【0032】
また、手首部15の基端側も、いわゆる二股形状を有している。このように、手首部15の基端側を二股形状とすることで、第4アーム14の先端側における二股形状と、手首部15の基端側における二股形状とが向かいあうため、第4アーム14における上記した「開放空間」をより広げることができる。
【0033】
また、第2アーム12には、第3軸A3に沿う第2貫通孔12cが設けられている。なお、第2貫通孔12cの基端側(X軸負方向側)の開口は開口12cbであり、先端側(X軸正方向側)の開口は開口12caである。第2貫通孔12cの中心線は、第3軸A3と一致していることが好ましい。
【0034】
また、第3アーム13には、第3軸A3に沿う第3貫通孔13cが設けられている。なお、第3貫通孔13cの基端側(X軸負方向側)の開口は開口13cbであり、先端側(X軸正方向側)の開口は開口13caである。第3貫通孔13cの中心線は、第3軸A3と一致していることが好ましい。
【0035】
ここで、第2アーム12および第3アーム13は、
図1に示した中空アーム100に対応し、第2貫通孔12cおよび第3貫通孔13cは、
図1に示した中空100cに対応する。
【0036】
以下、ロボット10の構成についてさらに詳細に説明する。ベース部10Bは、床面などの設置面に設置される。旋回部10Sは、ベース部10Bに支持され、設置面と垂直な鉛直軸A0まわりに回転する。第1アーム11は、旋回部10Sに支持され、鉛直軸A0と垂直な第1軸A1まわりに旋回する。第2アーム12は、第1アーム11に支持され、第1軸A1と平行な第2軸A2まわりに旋回する。
【0037】
第3アーム13は、第2アーム12に基端側が支持され、第2軸A2と垂直な第3軸A3まわりに回転する。また、第3アーム13は、第3軸A3に沿う第3貫通孔13cが設けられた第3基端部13aと、第3延伸部13bとを有する。第3延伸部13bは、第3基端部13aにおける第3貫通孔13cの開口13caを避けた位置から第3軸A3に沿って先端側へ延伸する。
【0038】
ここで、
図2には、第3延伸部13bが、開口13caを挟むように2つ設けられ、2つの第3延伸部13bで第4アーム14を支持する場合を示したが、2つのうち一方を省略して第3延伸部13bを1つ、すなわち、第3アーム13をいわゆる片持ち形状としてもよい。
【0039】
第4アーム14は、第3アーム13の先端側に基端側が支持され、第3軸A3と直交する第4軸A4まわりに旋回する。また、第4アーム14は、第3軸A3上に第5軸A5がある姿勢において第3軸A3に沿う第4貫通孔14cが設けられた第4基端部14aと、第4延伸部14bとを有する。
【0040】
なお、第4貫通孔14cの基端側(X軸負方向側)の開口は開口14cbであり、先端側(X軸正方向側)の開口は開口14caである。第4貫通孔14cの中心線は、
図2に示した姿勢において、第3軸A3と一致していることが好ましい。また、第4延伸部14bは、第4基端部14aにおける第4貫通孔14cの開口14caを避けた位置から第3軸A3に沿って先端側へ延伸する。
【0041】
ここで、
図2には、第4延伸部14bが、開口14caを挟むように2つ設けられ、2つの第4延伸部14bで手首部15を支持する場合を示したが、2つのうち一方を省略して第4延伸部14bを1つ、すなわち、第4アーム14をいわゆる片持ち形状としてもよい。
【0042】
手首部15は、旋回部15aと、回転部15bとを備える。旋回部15aは、第4アーム14の先端側に基端側が支持され、第4軸A4と平行な第5軸A5まわりに旋回する。回転部15bは、旋回部15aの先端側に基端側が支持され、第5軸A5と直交する第6軸A6まわりに回転する。
【0043】
また、手首部15には、第3軸A3と第6軸A6とが重なる姿勢において、第3軸A3に沿う貫通孔15cが設けられる。なお、手首部15の先端側(回転部15bの先端側)には、作業内容に応じて各種のエンドエフェクタが着脱可能に固定される。
【0044】
なお、X軸方向における、第2軸A2および第4軸A4間の距離と、第4軸A4および第5軸A5間の距離との比は、「2:1」〜「4:1」の範囲であることが好ましく、「3:1」程度であることがさらに好ましい。これは、第4軸A4および第5軸A5間の距離を、第2軸A2および第4軸A4間の距離に対して短くしすぎると、狭小な空間における手首部15の到達範囲が狭まってしまうためである。
【0045】
次に、ロボット10の側面形状について
図3を用いて説明する。
図3は、ロボット10の側面図である。なお、
図3に示したロボット10の姿勢と、
図2に示したロボット10の姿勢とは同じである。また、
図3には、第1アーム11の先端部分以降の構成を示しており、
図1に示した艤装装置40を併せて示している。なお、
図2で既に説明した事項については説明を省略することとする。
【0046】
図3に示すように、ロボット10は、第3軸A3と、第6軸A6とが一直線となり、かかる直線上に第4軸A4と、第5軸A5とがある姿勢をとることができる。また、第2アーム12の基端側には直動支持部60が設けられ、線状体200の基端側が接続される接続部50を支持する。なお、接続部50は、中空アーム100(第2アーム12および第3アーム13)の延伸向きに沿って自由に直動する。
【0047】
また、線状体200は、中空アーム100の中空100c(第2貫通孔12cおよび第3貫通孔13c)に挿通されている。第3アーム13における第3貫通孔13cの先端側には、中継部70が設けられ、中継部70の基端側には、線状体200の先端側が接続される。また、中継部70の先端側には、手首部15に接続されるエンドエフェクタに向けて伸びる第2線状体201の基端側が接続され、先端側にはエンドエフェクタが接続される。なお、中継部70の構成については
図6を用いて後述する。
【0048】
このように、エンドエフェクタに接続されるホース等を、中継部70を介して線状体200と、第2線状体201とに分離することで、配置される部位に適した性質の部材をそれぞれ用いることができる。
【0049】
たとえば、線状体200が挿通される中空アーム100は屈曲しないので、曲がりにくい材質の線状体200を用いることができる。一方、第2線状体201が配置される第4アーム14および手首部15は、第4軸A4および第5軸A5まわりにそれぞれ旋回することによって屈曲するので、曲がりやすい材質の第2線状体201を用いることができる。なお、線状体200と第2線状体201とで、サイズや材質、性質等が同じものを用いることとしてもよい。
【0050】
なお、中継部70を省略して艤装装置40からエンドエフェクタまで1つの線状体200を配索することとしてもよい。また、中継部70を線状体200の外径よりも大きな貫通孔を有する部材とし、線状体200のX軸方向への移動や、X軸まわりの回転をガイドする機能を持たせることとしてもよい。
【0051】
上記したように、第4アーム14や手首部15が旋回することによって線状体200が艤装装置40から離れる向きに引っ張られたり、近づく向きに押されたりした場合であっても、艤装装置40における接続部50のスライドによって線状体200に付加される外力を逃がすことができるので、線状体200の耐久性を向上させることが可能となる。
【0052】
また、
図3に示したように、線状体200とは別体の第2線状体201を用いる場合であっても、第3アーム13の先端側や、第4アーム14には、上記したように「開放空間」が設けられているので、第2線状体201はロボット10の外形から突出するように緩やかに屈曲する。このため、第2線状体201が無理に屈曲される事態を防止することができる。したがって、第2線状体201の耐久性を向上させることが可能となる。
【0053】
なお、以下では、第3アーム13や第4アーム14を「開放アーム」と呼ぶことがある。つまり、第2線状体201は、中空アーム100に対して旋回し、旋回向きの少なくとも一方が開放された開放アームを通過する。このように、第2線状体201を開放アームに設けることで、第2線状体201が無理に屈曲される事態を防止することができ、第2線状体201の耐久性を向上させることが可能となる。
【0054】
次に、艤装装置40について
図4を用いて説明する。
図4は、艤装装置40の斜視図である。なお、
図1に示したように、艤装装置40における直動支持部60は、中空アーム100の基端側に設けられる。
【0055】
図4に示すように、艤装装置40は、接続部50と、接続部50をスライド向きDSにスライド可能に支持する直動支持部60とを備える。また、接続部50は、スライダ51と、支持部52と、本体部53と、接続口55と、基端側接続口56とを備える。
【0056】
なお、
図4には、接続口55と、基端側接続口56とを2つずつ示しているが、1つずつでもよいし、3つずつ以上であってもよい。なお、複数の接続口55を区別する場合には、接続口55A、接続口55Bのように記載する。また、複数の基端側接続口56についても同様に記載することとする。
【0057】
スライダ51は、直動支持部60に対してスライド向きDS(X軸正方向および負方向)にスライドする。なお、直動支持部60は、上記したように、たとえば、リニアガイドである。スライダ51にはスライダ51から立ち上がる支持部52が設けられており、支持部52は、本体部53を支持する。
【0058】
本体部53は、
図4に示すように、たとえば、直方体状の形状を有しており、中空アーム100(
図1参照)と対向する正面側に接続口55を、側面側に基端側接続口56を、それぞれ備える。なお、基端側接続口56を、
図4とは異なる側面に設けることとしてもよいし、本体部53の背面側に設けることとしてもよい。
【0059】
接続口55および基端側接続口56は、内部を貫通する貫通孔を有している。そして、本体部53には、接続口55Aの貫通孔と基端側接続口56Aの貫通孔とをつなぐ内部流路と、接続口55Bの貫通孔と基端側接続口56Bの貫通孔とをつなぐ内部流路とが形成されている。また、接続口55には、線状体200が接続され、基端側接続口56には、第3線状体202が接続される。
【0060】
このように、エンドエフェクタに接続されるホース等を、接続部50を介して線状体200と、第3線状体202とに分離することで、配置される部位に適した性質の部材をそれぞれ用いることができる。なお、線状体200と第3線状体202とで、サイズや材質、性質等が同じものを用いることとしてもよい。
【0061】
接続口55は、本体部53に固定される固定部55aと、固定部55aに対して回転軸CCまわりに自由に回転する回転部55bとを備える(
図4に示した回転向きDR参照)。接続口55は、線状体200を
図2に示した第3軸A3(回転軸)に沿う軸まわりに回転可能に支持する「回転支持部」に対応する。なお、回転部55bを有する接続口55を「スイベル」と呼ぶこともある。
【0062】
ここで、回転軸CCは、スライド向きDSと平行であることが好ましい。また、接続口55が1つである場合には、回転軸CCは、
図1に示した中心線CLや、
図2に示した第3軸A3と重なることが好ましい。なお、基端側接続口56についても、接続口55と同様の構成としてもよいし、回転機構を省略することとしてもよい。
【0063】
このように、「回転支持部」に対応する接続口55を設けることで、線状体200の回転やねじれによって線状体200に付加される力を低減することができる。したがって、線状体200の耐久性を向上させることが可能となる。
【0064】
なお、線状体200や第3線状体202が内部にシール材を流す場合、たとえば、接続口55Aおよび基端側接続口56Aを含むラインを、エンドエフェクタへシール材を供給するラインとし、接続口55Bおよび基端側接続口56Bを含むラインを、エンドエフェクタからシール材を戻すラインとすることができる。
【0065】
なお、
図4に示した艤装装置40の形状は一例であり、中空アーム100に対してスライド向きDSに直動する機構を備えていれば、その他の形状であってもよい。
【0066】
次に、回転支持部(接続口)55の配置例について
図5Aおよび
図5Bを用いて説明する。
図5Aは、回転支持部55の配置例その1を示す模式図であり、
図5Bは、配置例その2を示す模式図である。なお、
図5Aおよび
図5Bは、回転支持部55を中空アーム100(
図1参照)側からみた模式図に相当する。
【0067】
図5Aに示すように、回転支持部(接続口)55が1つである場合、回転支持部(接続口)55の回転軸CCが、
図2に示した第3軸A3と重なるように、回転支持部(接続口)55を配置することが好ましい。このようにすることで、線状体200(
図4参照)のねじれの抑制効果を高めることができる。なお、回転軸CCと第3軸A3とを所定距離だけシフトすることとしてもよい。
【0068】
また、
図5Bに示すように、回転支持部(接続口)55が複数である場合、回転支持部(接続口)55の回転軸CCが、
図2に示した第3軸A3を中心とする円Cの周上にそれぞれ位置するように、各回転支持部(接続口)55を配置することが好ましい。
【0069】
このようにすることで、複数の回転支持部(接続口)55と、回転軸である第3軸A3との距離がそれぞれ等しくなるので、複数の線状体200がねじれ合う際に各線状体200に付加される力の最大値を小さくすることができる。したがって、線状体200の耐久性を向上させることが可能となる。なお、円Cの中心と第3軸A3とを所定距離だけシフトすることとしてもよい。
【0070】
また、
図5Bでは、複数の接続口55の回転軸CCが円C上にある場合について示したが、接続口55の存在範囲が少なくとも円Cの周上に位置するようにそれぞれの接続口55を配置することとしてもよい。この場合であっても複数の接続口55と円Cの中心との距離を概ね等しくすることができる。
【0071】
なお、
図5Bには、回転支持部(接続口)55が2つである場合を示したが、この場合、
図5Bに示すように、それぞれの回転支持部(接続口)55を円Cの中心について対向するように配置することが好ましい。また、回転支持部(接続口)55が3つ以上である場合、円Cの円周に沿ってそれぞれ等間隔に配置することが好ましい。
【0072】
次に、
図3に示した中継部70について
図6を用いて説明する。
図6は、中継部70の斜視図である。なお、
図3に示したように、中継部70は、中空アーム100の先端側に設けられる。つまり、中継部70には、線状体200の先端側が接続される。なお、
図6に示した中継部70を含めて艤装装置40と呼ぶこととしてもよい。
【0073】
図7に示すように、中継部70は、たとえば、円板状の形状を有する本体部71を備える。本体部71は、基端側(X軸負方向側)に接続口75を、先端側(X軸正方向側)に先端側接続口76をそれぞれ備える。
【0074】
なお、
図7には、接続口75と、先端側接続口76とを2つずつ示しているが、1つずつでもよいし、3つずつ以上であってもよい。なお、複数の接続口75を区別する場合には、接続口75A、接続口75Bのように記載する。複数の先端側接続口76についても同様に記載することとする。
【0075】
接続口75および先端側接続口76は、内部を貫通する貫通孔を有している。そして、本体部71には、接続口75Aの貫通孔と先端側接続口76Aの貫通孔とをつなぐ内部流路と、接続口75Bの貫通孔と先端側接続口76Bの貫通孔とをつなぐ内部流路とが形成されている。また、接続口75には、線状体200が接続され、先端側接続口76には、第2線状体201が接続される。
【0076】
本体部71は、たとえば、
図2に示した中空100cにおける第3貫通孔13cの開口13caを塞ぐように配置される。このように、中継部70は、中空アーム100の先端側に設けられ、基端側に線状体200が接続されるとともに、先端側にエンドエフェクタに向けて伸びる第2線状体201が接続される。
【0077】
エンドエフェクタに接続されるホース等を、中継部70を介して線状体200と、第2線状体201とに分離することで、配置される部位に適した性質の部材をそれぞれ用いることができる。なお、線状体200と第2線状体201とで、サイズや材質、性質等が同じものを用いることとしてもよい。
【0078】
なお、接続口75Aには、
図4に示した接続口55Aに基端側が接続された線状体200の先端側が接続され、接続口75Bには、
図4に示した接続口55Bに基端側が接続された線状体200の先端側が接続される。また、接続口75Aと接続口75Bとの位置関係は、接続口55Aと接続口55Bとの位置関係と同様であることが好ましい。また、接続口75が1つである場合は、
図5Aと同様の配置とし、接続口75が複数である場合は、
図5Bと同様の配置とすることが好ましい。
【0079】
ここで、接続口75は、接続口55と同様の回転機構を有するものとする。なお、接続口75と接続口55とを同種の部材とすることとしてもよい。また、先端側接続口76についても、接続口75と同様の構成としてもよいし、回転機構を省略することとしてもよい。なお、本体部71自体に、X軸と平行な軸まわりに回転する回転機構を設けることとしてもよい。
【0080】
次に、実施形態に係るロボットシステム1の構成について
図7を用いて説明する。
図7は、ロボットシステム1の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、ロボットシステム1は、ロボット10と、コントローラ500とを備える。なお、ロボット10は、コントローラ500に接続されている。また、複数のロボット10をコントローラ500に接続することとしてもよい。
【0081】
コントローラ500は、制御部510と、記憶部520とを備える。制御部510は、受付部511と、動作制御部512とを備える。記憶部520は、教示情報521を記憶する。なお、
図7には、1台のコントローラ500を示したが、複数のロボット10の動作制御を行う場合には、ロボット10にそれぞれ対応するコントローラ500を用いることとしてもよい。この場合、各コントローラを束ねる上位のコントローラを設けることとしてもよい。
【0082】
ここで、コントローラ500は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0083】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部510の受付部511および動作制御部512として機能する。また、受付部511および動作制御部512の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0084】
また、記憶部520は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、教示情報521を記憶することができる。なお、コントローラ500は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。さらに、上記したように、コントローラ500を複数台の相互に通信可能な装置として構成してもよく、上位または下位の装置と通信可能な階層式の装置として構成してもよい。
【0085】
制御部510は、ロボット10の動作制御を行う。なお、コントローラ500が複数台で構成される場合には、制御部510は、コントローラ500間の同期をとる処理を併せて行うこととしてもよい。
【0086】
受付部511は、ワークなどの作業対象の有無や形状、作業箇所に関する情報等を受け付ける。そして、受付部511は、受け付けた情報に応じてロボット10の動作タイミングや動作内容を決定し、決定した動作タイミングや動作内容を動作制御部512へ通知する。たとえば、受付部511は、作業対象が所定位置に配置されたタイミングを取得し、取得したタイミングに基づいてロボット10を動作させるよう動作制御部512へ指示する。
【0087】
動作制御部512は、受付部511からの指示および教示情報521に基づいてロボット10を動作させる。動作制御部512は、ロボット10の動力源であるモータ等のアクチュエータにおけるエンコーダ値を用いつつフィードバック制御を行うなどしてロボット10の動作精度を向上させる。教示情報521は、ロボット10へ動作を教示するティーチング段階で作成され、ロボット10の動作経路を規定するプログラムである「ジョブ」を含んだ情報である。
【0088】
上述してきたように、実施形態に係る艤装装置40は、接続部50と、直動支持部60とを備える。接続部50は、延伸向きに沿う中空100cを有する中空アーム100の基端側に設けられ、中空アーム100に挿通される線状体200が接続される。直動支持部60は、接続部50を延伸向きに沿って中空アーム100に対してスライド可能に支持する。このように、艤装装置40は、中空アーム100の延伸向きに沿って接続部50がスライドするので、線状体200に付加される力を低減することができる。したがって、線状体200の耐久性を向上させることができる艤装装置40を提供することができる。
【0089】
また、実施形態に係るロボット10は、ベース部10Bと、第1アーム11と、第2アーム12と、第3アーム13と、第4アーム14と、上記した艤装装置40とを備える。ベース部10Bは、接地面と垂直な鉛直軸A0まわりに回転する。第1アーム11は、ベース部10Bに支持され、鉛直軸A0と垂直な第1軸A1まわりに旋回する。第2アーム12は、第1アーム11の先端側に基端側が支持され、第1軸A1と平行な第2軸A2まわりに旋回する。第3アーム13は、第2アーム12の先端側に基端側が支持され、第2軸A2と直交する第3軸A3まわりに回転する。第4アーム14は、第3アーム13の先端側に基端側が支持され、第3軸A3と直交する第4軸A4まわりに旋回する。中空アーム100は、第2アーム12および第3アーム13に対応する。このように、艤装装置40をロボット10に設けることで、線状体200の耐久性を向上させることができるロボット10を提供することができる。
【0090】
なお、上述した実施形態では、ロボット10を7軸のロボットとする例を示したが、ロボット10を8軸以上のロボットとしてもよいし、6軸以下のロボットとしてもよい。また、艤装装置40をロボット10以外の構造物に適用することとしてもよい。
【0091】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施例に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。