特許第6693626号(P6693626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6693626
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】ディスプレイ付マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20200427BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   A41D13/11 Z
   A62B18/02 Z
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-90197(P2019-90197)
(22)【出願日】2019年4月16日
【審査請求日】2019年7月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510286433
【氏名又は名称】株式会社ネットアプリ
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠
【審査官】 西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0029716(US,A1)
【文献】 特開2018−172807(JP,A)
【文献】 特開2007−021031(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0000179(US,A1)
【文献】 特開平09−292850(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0213918(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第107799018(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A47G 7/00 − 7/02
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性と通気性を有する材質から成り着用者の口と鼻を含む顔面下部を覆うマスク本体部と、
前記マスク本体部を覆うフレキシブルディスプレイと、
前記マスク本体部の両端側に取付けた耳紐とを備えており、
前記フレキシブルディスプレイが呼吸用の複数の貫通孔を備えており、
前記貫通孔の径のサイズが1 [mm]以下であることを特徴とするディスプレイ付マスク。
【請求項2】
前記貫通孔は前記フレキシブルディスプレイの内部の発光素子を避けて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ付マスク。
【請求項3】
前記マスク本体部が前記マスク本体部を前記フレキシブルディスプレイで覆う状態で支持するためのポケット機構を備え、
前記ポケット機構は透明性と通気性と柔軟性とを有する材質から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスプレイ付マスク。
【請求項4】
前記フレキシブルディスプレイに写す画像を制御するための画像制御用コンピュータを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のディスプレイ付マスク。
【請求項5】
前記画像制御用コンピュータが携帯型通信装置に内蔵されたコンピュータであることを特徴とする請求項4に記載のディスプレイ付マスク。
【請求項6】
前記着用者の口部の動きを検知するためのセンサーを備え、
前記センサーからの信号により前記画像制御用コンピュータは前記画像を制御することを特徴とする請求項4に記載のディスプレイ付マスク。
【請求項7】
前記センサーが圧電センサー又はマイクロフォンのいずれかであることを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ付マスク。
【請求項8】
キーボード又はボタンのいずれかを備え、
前記画像制御用コンピュータは前記キーボード又は前記ボタンのいずれかの信号によって前記画像を制御することを特徴とする請求項4に記載のディスプレイ付マスク。
【請求項9】
前記マスク本体部と前記顔面下部の間に空気の通り道用の空間を設けるためのスペーサーを備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のディスプレイ付マスク。
【請求項10】
前記フレキシブルディスプレイが、空気を通す程度に空けた配置間隔で前記マスク本体部に敷き詰められている複数のフレキシブルディスプレイから成ることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のディスプレイ付マスク。
【請求項11】
前記マスク本体部が前記着用者の目を含む顔面全体を覆う形状であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のディスプレイ付マスク。
【請求項12】
請求項4に記載のディスプレイ付マスクに用いるプログラムであり、
コンピュータメモリから前記顔面下部の画像データを読み込むステップ1と、前記画像データの加工を行うステップ2と、前記フレキシブルディスプレイへ前記画像データを出力するステップ3を含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ付マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の粉じんの吸引防止や空気感染の予防のために鼻又は口或はその両方を覆うタイプのマスクが販売され使用されている。この種の従来のマスクは肌に密着する柔軟な布などの素材からなる矩形状のマスク本体部の両側に耳掛け用のゴム紐等の着用部材が付いているものが多く用いられている。特に我が国日本においてマスクは前述の空気感染予防の用途以外にファッション用途又は女性が未化粧の際の顔を隠すための用途に使われている(これらは通称伊達マスクやファッションマスクと称される事が多い)。
特許文献1にはマスクと口部の接触する部分に補助スペーサーを用いて化粧落ちや着用跡を防止するマスクに関する技術が開示されている。
特許文献2にはマスク本体部に取り付けたフィルターパッドが着用者の口元に接触しないようにすることにより蒸れることを防止するマスクに関する技術が開示されている。
一方、液晶方式ディスプレイやプラズマディスプレイ、ブラウン管ディスプレイ、有機EL方式ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ等の既存の映像表示装置はどれもそのディスプレイ越しに空気を通して呼吸することが出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−19920号公報
【特許文献2】特開2011−139893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1〜2や既存のマスクでは顔の口部近傍をマスク本体部の布が覆ってしまうためマスクの着用者を外部から見た際に着用者がマスク非着用時で且つ化粧時に比して審美的に劣るという問題点を有する。また着用者の表情が読み取り難いという問題点も有する。
【0005】
本発明は上記問題を鑑みマスクを着用するだけで化粧時の顔に書き換えが可能で、更に呼吸も可能なマスクを提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のディスプレイ付マスクは、柔軟性と通気性を有する材質から成り着用者の口と鼻を含む顔面下部を覆うマスク本体部と、前記マスク本体部を覆うフレキシブルディスプレイと、前記マスク本体部の両端側に取付けた耳紐とを備えており、前記フレキシブルディスプレイが呼吸用の複数の貫通孔を備えており、前記貫通孔の径のサイズが1 [mm]以下であることを特徴とする。
また、前記貫通孔は前記フレキシブルディスプレイの内部の発光素子を避けて設けられていることを特徴とする。

【0007】
また、前記マスク本体部が前記マスク本体部を前記フレキシブルディスプレイで覆う状態で支持するためのポケット機構を備え、前記ポケット機構は透明性と通気性と柔軟性とを有する材質から成ることを特徴とする。
また、前記フレキシブルディスプレイに写す画像を制御するための画像制御用コンピュータを備えることを特徴とする。
また、前記画像制御用コンピュータが携帯型通信装置に内蔵されたコンピュータであることを特徴とする。
また、前記着用者の口部の動きを検知するためのセンサーを備え、前記センサーからの信号により前記画像制御用コンピュータは前記画像を制御することを特徴とする。
また、前記センサーが圧電センサー又はマイクロフォンのいずれかであることを特徴とする。
また、キーボード又はボタンのいずれかを備え、前記画像制御用コンピュータは前記キーボード又は前記ボタンのいずれかの信号によって前記画像を制御することを特徴とする。
また、前記マスク本体部と前記顔面下部の間に空気の通り道用の空間を設けるためのスペーサーを備えることを特徴とする。
また、前記フレキシブルディスプレイが、空気を通す程度に空けた配置間隔で前記マスク本体部に敷き詰められている複数のフレキシブルディスプレイから成ることを特徴とする。
また、前記マスク本体部が前記着用者の目を含む顔面全体を覆う形状であることを特徴とする。
本発明のディスプレイ付マスクに用いるプログラムは、コンピュータメモリから前記顔面下部の画像データを読み込むステップ1と、前記画像データの加工を行うステップ2と、前記フレキシブルディスプレイへ前記画像データを出力するステップ3を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明マスクはフレキシブルディスプレイを用いているため通常の柔軟なマスクと同じ着用感を得られるため長時間着用時の負担が少ない。またマスクに設けられたフレキシブルディスプレイにより着用者の顔面下部或は顔面全体を自由に書き換える事が出来るため着用者は好みの顔に状況に応じて瞬時に変更出来る。更にフレキシブルディスプレイはマスク着用時には顔の形状に沿って湾曲してフィットすることが出来るため着用者の顔を書き換えた際の違和感が少ない。更に複数のフレキシブルディスプレイをマスク本体部上に敷き詰めて用いる事により様々な形状の顔にフィット或は密着しやすくなりそれら複数のフレキシブルディスプレイの配置間隔を空気が流れる程度空ける事により着用者は呼吸が可能になる。
着用者の化粧時の写真や動画像をフレキシブルディスプレイに写すだけで疑似的に着用者の化粧時の顔を再現出来、しかもそれに要する時間はマスクの耳紐を着用者の耳に掛ける時間だけである。
フレキシブルディスプレイに写す画像を制御するための画像制御用コンピュータに架空のキャラクターや女優等の顔面下部の部分のCGを保存しておきそれを用いて着用者の顔を書き換える事も出来る。
フレキシブルディスプレイに空気を通す貫通孔を設ける事により着用者は呼吸が可能になる。フレキシブルディスプレイに複数の貫通孔を設ける事により個々の貫通孔の径のサイズを小型化できるため、それにより貫通孔による画素抜け部分を目立たなくする事が可能になる。前述の貫通孔はフレキシブルディスプレイの発光素子のエリアを避けて設ければ貫通孔によるフレキシブルディスプレイの画素抜けを効果的に防止できる。
【0009】
フレキシブルディスプレイは動画像を写す事が可能なため、マスク本体部に着用者の口部の動きを検知する圧電素子等のセンサーを備えることにより着用者の実際の口部の動きとマスク本体部のフレキシブルディスプレイに再現された着用者の口部の動きとを同期させてアニメーションさせる事が可能になる。着用者以外の第三者へ表情や感情を伝えるのも容易になる。
着用者が任意のタイミングで例えば携帯電話に文字を入力したタイミングでその入力文字の内容をマスクに表示する事が可能になる。
【0010】
マスク本体部にフレキシブルディスプレイを覆う状態で支持するためにマスク本体部側に透明性と柔軟性と通気性を有する素材から成るポケット機構をマスク本体部に設けることによりマスク本体部からフレキシブルディスプレイを着脱するのが容易になり、フレキシブルディスプレイを見る第三者の映像視認を妨げられる事もなない。更に着用者の呼吸も妨げられる事はない。
マスク本体部と着用者の顔面下部の間に空気の通り道用の空間を設けるためのスペーサーを設ける事により着用者は呼吸がよりし易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態のマスクを示す正面図
図2】第1の実施の形態のマスクを示す断面図(a),(b),(c)
図3】貫通孔の拡大断面図(a),(b)及び拡大正面図(c)
図4】画像制御用コンピュータの画像処理のブロック図
図5】画像制御用コンピュータの画像処理のフローチャート図
図6】第2の実施の形態のマスクの構成を示す図
図7】第3の実施の形態のマスクの構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[ディスプレイ付マスクの第1の実施の形態]
以下、本発明のディスプレイ付マスクの第1の実施の形態を図面を用いて示す。
図1に示すように、ディスプレイ付マスク1はマスク本体部10、耳紐11、フレキシブルディスプレイ100、画像制御用コンピュータ200から概略構成される。
マスク本体部10は着用者Uの口と鼻を含む顔面下部を覆うためのシート状の物体であり柔軟性と通気性を有した材質から成る。マスク本体部10の素材の例としては、一般的な医療用マスクと同様に布やガーゼ等が挙げられる。なお、マスク本体部10の形状は着用者Uの口と鼻を含む顔面下部を覆う事が出来る形状であれば特に制限は無く、顔面の広範囲なエリアを書き換えたい場合は着用者Uの口や鼻だけでなく目を含む顔面全体を覆う形状のマスク本体部10を用いても構わない。
耳紐11はマスク本体部10を着用者Uの耳部に引っ掛ける事により固定するための部材であり、耳紐11の素材としては一般的な医療用マスクと同様に柔軟性を有する布やゴム等が挙げられる。
ポケット機構12はフレキシブルディスプレイ100をマスク本体部10に覆う状態で支持或は固定するための部材である。図2(a)のようにポケット機構12は着用者Uの呼吸を妨げないために通気性を有する材質から成り、更にポケット機構12は着用者Uの近傍にいる第三者U2のフレキシブルディスプレイ100の映像の視認を妨げないために透明性を有する材質から成る。またポケット機構12はマスク着用時の負担軽減のために柔軟性を有した材質から成る。ポケット機構12の素材の例としては透明な軟質塩化ビニールに空気を通す孔を設けた物等が挙げられる。本実施の形態ではフレキシブルディスプレイ100をマスク本体部10に覆う状態で支持するためにポケット機構12を用いた例を用いているが本発明マスクはこれに限定される事は無く、例えばフレキシブルディスプレイ100をマスク本体部10に接着や熱溶着して一体化しても良いし、フレキシブルディスプレイ100その物をマスク本体部10としても良い。なお、ディスプレイ付マスク1では通常フレキシブルディスプレイ100をマスク本体部10の表面側にマスク本体部10を覆う状態で配置するが、ディスプレイ付マスク1をリバーシブルマスクとして使用する場合はマスク本体部10の表面側と裏面側の両方にフレキシブルディスプレイ100を配置しても構わない。
フレキシブルディスプレイ100は柔軟性を有した変形可能なシート状の映像表示装置でありマスク本体部10を覆った状態で配置され、着用者Uの顔面下部にあたる画像150を写す事により任意のタイミングで着用者Uの顔を書き換えるのに用いられる。フレキシブルディスプレイは有機ELや無機ELの発光を用いた方式や複数のマイクロLED又はLEDを用いて画素を構成する方式等が存在するが本発明マスクのフレキシブルディスプレイ100はこれらの方式に限定される事は無く、フレキシブルディスプレイ100は柔軟性を有した映像表示装置であれば特に制限は無い。フレキシブルディスプレイ100は柔軟性を有しているためマスク着用時には着用者Uの顔の形状に沿って湾曲することが可能なため顔を書き換えた際の違和感が少ない。なお、図1図2(a)ではフレキシブルディスプレイ100を1枚だけ用いた構成を例に説明しているが、図2(b)に示すようにフレキシブルディスプレイ100を複数の小さなフレキシブルディスプレイ100を用いた構成にしても良く、こうする事によりマスク本体部10がより変形し易くなるため様々な形状の顔に密着或はフィットさせる事が容易になる。更にマスク本体部10に複数のフレキシブルディスプレイ100を敷き詰めて配置する際に、図2(b)のように空気が通る程度の配置間隔15でそれら複数のフレキシブルディスプレイ100を配置すればその配置間隔15を通して空気が流入するため着用者Uの呼吸が容易になる。
【0013】
フレキシブルディスプレイ100は着用者Uの呼吸を妨げないために空気を通す複数の貫通孔101(或は貫通孔101のアレイ)を備える。フレキシブルディスプレイ100に貫通孔101を設ける方法としては図3(a)のように針状の物体80でフレキシブルディスプレイ100に貫通孔101を穿てば良い。
フレキシブルディスプレイ100はその発光エリア或は発光素子102に貫通孔101を設けると当該エリアの画素の欠損(或は画素抜け)を引き起こしてしまうが、光は拡散する性質があるため貫通孔101の径のサイズが小さければ小さい程貫通孔101による画素の欠損(或は画素抜け)は視認できなくなる。これは例えば1[mm]以下の画素抜けは周囲の光に埋没して殆ど視認出来ないが1[cm]以上の画素抜けは容易に視認出来る原理と同じである。そのため貫通孔101の径のサイズは出来るだけ小さくする方が望ましい。本発明マスクでは図3(b)のように複数の貫通孔101を用いることによりフレキシブルディスプレイ100の内部の呼吸用の空気の流れAFを分散させており、それにより個々の貫通孔101のサイズを小さくしている。例えば貫通孔を数千〜数万個設ける事により個々の貫通孔101のサイズを約0.5〜1[mm]以下にしても呼吸用の空気の流量を十分確保出来るため(つまり貫通孔101のサイズと貫通孔の数はオフセットの関係)、それにより画素抜けを殆ど視認出来なくする事も可能になる。
貫通孔101のサイズと貫通孔の数はオフセットの関係にあるため、貫通孔103の数を増やす程貫通孔101のサイズは小さく出来る。そのため多数の貫通孔103を用いれば図3(c)のように発光素子102を効率的に避けて貫通孔101を設ける事が可能になる。例えばフレキシブルディスプレイ100が発光素子102としてマイクロLED103(又はLED)の場合は、図3(b)のようにマイクロLED103の隙間のエリアに限定して貫通孔101を穿つことが可能になる。
なお、貫通孔101のサイズが小さい程、発光素子102と発光素子102への給電用の導線104(或は給電用の回路の導体部分)へのダメージを減らせるため断線の危険性を減じられる。給電用の導線104に比して大きな貫通孔101をフレキシブルディスプレイ100に穿つ際は断線が発生してないか確認した方が確実である。
【0014】
画像制御用コンピュータ200はフレキシブルディスプレイ100に表示される画像を制御するためのコンピュータであり顔面下部にあたる画像150をフレキシブルディスプレイ100へ出力する用途に使用される。画像制御用コンピュータ200は外部のコンピュータメモリから画像150の読み込む用途にも使用しても良い。画像制御用コンピュータ200内部に画像加工部202を設けて画像150を加工する用途に使用しても良い。画像制御用コンピュータ200としては、図1のようにフレキシブルディスプレイ100に予め内蔵されているICチップ以外に例えば外部のパソコンやサーバーコンピュータ、ASIC、その他スマートフォン等の携帯型通信装置に内蔵されているコンピュータ等を用いても良い。
なお、画像制御用コンピュータ200としてスマートフォン等の携帯型通信装置を用いる場合はフレキシブルディスプレイ100への顔面下部の画像150のデータの送信は無線通信、赤外線通信、USBケーブルによる有線通信のいずれかの通信手段を用いて送信すると良い。
【0015】
図4に画像制御用コンピュータ200の内部の画像処理のブロック図を示す。
図4に示すように、最初のステップ1にて画像制御用コンピュータ200の内部(或は外部)のコンピュータメモリ201に予め保存しておいた着用者Uの顔面下部の画像150を読み込み、次のステップ2にて必要な場合は画像加工部202にてその画像150に加工を施し、最後のステップ3にてフレキシブルディスプレイ100に出力する事により着用者Uの顔を任意のタイミングで好きな顔に書き換えられる。つまりコンピュータメモリ201に予め着用者Uの化粧時の顔面下部の画像150を保存しておきそれをフレキシブルディスプレイ100に出力すれば、着用者Uはマスク本体部10を着用するだけで疑似的にではあるが化粧を完了する事が出来る。なお、コンピュータメモリ201に保存する画像150は女優や架空のキャラクターのCGを用いても良い。画像150に加工を施す際に化粧状態の着用者Uの顔面下部をCGにより再現しても良い。マスク本体部10が着用者Uの口や鼻だけでなく目を含む顔面全体を覆う場合は画像150として顔面全体の画像を用いる必要がある。
図5に画像制御用コンピュータ200の内部の画像処理のフローチャート図を示す。
図5に示すように、最初にステップ1にてコンピュータメモリ201から着用者Uの顔面下部の画像150の画像データ(図5内ではDATA150と表記)を読み込み、次のステップ2にて画像150の画像データの加工を行い、最後のステップ3にてフレキシブルディスプレイ100へ画像150の画像データを出力した後に終了する。
【0016】
マスク本体部10と顔面下部の間に空気の通り道用の空間Sを設けるために図2(c)のようにスペーサー16を備えても良くこうする事により着用者Uの顔面下部近傍の空気の流れが良くなるため着用者Uの呼吸を補助する事が出来る。なお、スペーサー16の材質としては低反発ウレタンや発泡スチロール或はゴム等の可撓性を有している素材が考えられるがこれに限定される事は無く例えばある程度の固さを有した樹脂等を用いても良い。なお、フレキシブルディスプレイ100に貫通孔101を設けない場合は着用者Uの窒息を防ぐためマスク本体部10と顔面下部の間の距離を大きく取るなどの工夫が必要である。
【0017】
[ディスプレイ付マスクの第2の実施の形態]
以下、本発明のディスプレイ付マスクの第2の実施の形態を図面を用いて示すが、上記第1の実施の形態のディスプレイ付マスク1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図6のように本実施の形態のディスプレイ付マスク1は着用者Uの口部の動きを検知するためのセンサー20を備え、そのセンサー20からの信号22により画像制御用コンピュータ200は顔面下部の画像150(或は画像データ)の制御を行う。
フレキシブルディスプレイ100は動画像を写す事が可能なため、マスク本体部10に着用者Uの唇部が触れる位置にセンサー20として圧電素子21(フィルムやシート状のピエゾ素子等)を配置する事によりその圧電素子21からの信号22を以て着用者Uの口部の動きを常時モニタリングできるため、フレキシブルディスプレイ100に出力される着用者Uの口を含む顔面下部の画像150を着用者Uの口部の動きに同期させてアニメーションさせる事が可能になる。なお、本実施の形態ではセンサー20として圧電素子21を用いる方法を例に挙げて説明したが、センサー20としてマイクロフォン或はマイクを用いて信号22として音声信号や音声波形により着用者Uの口部の動きをモニタリング出来るようにしても良い。
【0018】
[ディスプレイ付マスクの第3の実施の形態]
以下、本発明のディスプレイ付マスクの第3の実施の形態を図面を用いて示すが、上記第1の実施の形態のディスプレイ付マスク1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図7のように本実施の形態のディスプレイ付マスク1はキーボード30又はボタン31のいずれかを備え画像制御用コンピュータ200はキーボード30又はボタン31のいずれかの信号によって顔面下部の画像150(或は画像データ)を制御を行う。これによりで任意のタイミングで例えば着用者の手UHにてキーボード30に文字を入力したタイミングでその入力文字の内容を顔面下部の画像150に合成してマスクに表示する事が可能になる。他のアイデアとしてはボタン31として携帯電話の着信ボタンを用いることによりその着信ボタンを押したタイミングで通話中を表現する文字列又は記号をディスプレイ付マスク1に表示しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、任意のタイミングで任意の顔に着用者の顔面下部或は顔面全体を書き換えるマスクであり、貫通孔を設けたフレキシブルディスプレイを用いているため着用時の負担が少なく怪我や窒息の心配がない以上より本発明は産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0020】
U 着用者(ユーザー)
U2 第三者(着用者以外の人間)
UH 着用者の手
S 空間(空気の通り道用)
AF 空気の流れ(呼吸用)
1 ディスプレイ付マスク(本発明マスク)
10 マスク本体部
11 耳紐
12 ポケット機構
15 配置間隔(隙間)
16 スペーサー
20 センサー
21 圧電素子
22 信号(センサー)
30 キーボード
31 ボタン
80 針状の物体
100 フレキシブルディスプレイ
101 貫通孔(呼吸用)
102 発光素子
103 マイクロLED
104 導線(発光素子給電用)
150 画像(顔面の画像)
200 画像制御用コンピュータ
201 コンピュータメモリ
202 画像加工部
【要約】
【課題】着用するだけで化粧時の顔に書き換えが可能で、更に呼吸も可能なマスクを提供する事。
【解決手段】ディスプレイ付マスク1は、柔軟性と通気性を有する材質から成り着用者の顔面下部を覆うマスク本体部10とマスク本体部10を覆うフレキシブルディスプレイ100と、マスク本体部10の両端側に取付けた耳紐11とを備えることを特徴とする。フレキシブルディスプレイ100は呼吸用の複数の貫通孔を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7