(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の方向の同じ位置における互いに重なる二つの前記重なり領域の前記縦開口幅の和は、前記開口部の前記略中央の前記縦開口幅の1倍を越えて1.12倍以下となる範囲にある、
請求項1又は2記載の立体表示装置。
前記開口部の一端における前記第2の方向の位置と前記開口部の他端における前記第2の方向の位置との差の最大値を縦開口区間としたとき、この縦開口区間は前記縦開口幅の最大値よりも大きい、
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の立体表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述の関連技術を用いても、3Dモアレの視認性が十分に低減できないという問題がある。この問題について
図15A乃至
図17を用いて以下に詳述する。
【0011】
図15Aを参照して、理想的なサブ画素の構成について述べる。二つのサブ画素400,500は、第1の方向xに隣接して配置されている。光線制御手段であるレンズ1は、サブ画素400,500と対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。この構成のため、第1の方向xは光線分離方向と一致する。なお、二つのサブ画素400及び500の光学的な開口部410,510の形状は説明の便宜上、略平行四辺形としている。
【0012】
まず、開口部410を第1の方向xにおいて二つの区間に分けて考える。第1の方向xのある区間では、開口部410が開口部510に第2の方向yに重畳している。その区間を重なり区間401Lとする。また、第1の方向xの他の区間では、開口部410が開口部510に第2の方向yに重畳していない。その区間を開口幅一定区間403とする。
【0013】
これに伴い、開口部410の形状も第1の方向xにおいて二つの領域に分けて考える。開口部410のうち、重なり区間401Lに属する領域を重なり領域421Lとし、開口幅一定区間403に属する領域を開口幅一定領域423とする。隣接する開口部510においても同様に考えることができ、開口部510のうち、重なり区間501Rに属する領域を重なり領域521Rとし、開口幅一定区間503に属する領域を開口幅一定領域523とする。なお、重なり区間は第2の方向yにおける開口部410,510同士の重畳によって規定される区間であるから、重なり区間401L,501Rの第1の方向xの位置は互いに一致している。
【0014】
ここで、開口部の幅のうち第2の方向yの幅を「縦開口幅」と定義する。開口幅一定領域423,523における縦開口幅413,513の大きさは、第1の方向xの位置に関わらず一定である。一方、重なり区間401L,501Rにおける縦開口幅411L,511Rの大きさは、第1の方向xの位置に応じて変化する。
【0015】
また、重なり区間401L,501R内の第1の方向xの同じ位置において、縦開口幅411L,511Rの和(以下「縦開口幅の和」という。)である「411L+511R」の値は、一定である。更に、縦開口幅の和「411L+511R」と縦開口幅413と縦開口幅513とは互いに同一の値である。
【0016】
次に、表示パネル上にマトリックス配列したサブ画素のうち、第1の方向に配列されたサブ画素群の縦開口幅の合計値に着目する。
図15Bは、
図15Aに示す理想的なサブ画素の構成における、第1の方向xの位置と縦開口幅の合計値との関係をプロット002で示したグラフである。ここで、縦開口幅の合計値とは、重なり区間401L,501Rでは二つの縦開口幅の和「411L+511R」であり、開口幅一定区間403では縦開口幅413の大きさであり、開口幅一定区間503では縦開口幅513の大きさである。
【0017】
上述の通り、縦開口幅の和「411L+511R」と縦開口幅413と縦開口幅513とは互いに同一の値であるから、プロット002は第1の方向xの位置に対して常に一定となる。これにより、光線分離方向における3Dモアレの発生を抑制しようとしている。
【0018】
ところで、実際のサブ画素の光学的開口形状を構成する要素としては、電気光学素子の種類によって様々である。例えば、液晶ディスプレイにおいてはブラックマトリックスや信号配線など、プラズマディスプレイにおいては隔壁や表示電極など、有機ELディスプレイにおいては発光層領域や信号配線などがそれぞれ挙げられる。これらの各要素は一般的にフォトリソグラフィ技術を用いて製造されるため、これらの形状精度はフォトリソグラフィ技術のパターン精度に依存する。
【0019】
現在一般的に用いられるフォトリソグラフィ用の材料や製造装置を考慮すると、形状精度として数μm程度の加工バラつきを完全に無くすことは困難である。また、加工バラつきをサブμmレベル以下とするには、高価な材料や製造装置が必要になるので、安価な立体表示装置の提供が難しい。上記した加工バラつきには形状依存性も少なからず存在し、特に鋭角を伴う屈曲形状の加工精度バラつきは比較的大きくなる。この加工精度バラつきにより、例えば、サブ画素の光学的開口部の角に丸まりが生じたり、光学的開口部が全体的に大きくなったり又は小さくなったりする、といった出来映えに変動が生じることになる。
【0020】
図16Aは、
図15Aで示した理想的なサブ画素構成に対して、開口部に角の丸まりが生じたときの縦開口幅の変化についての説明図である。理想的なサブ画素の開口部410,510と、角の丸まりP,Qが生じたサブ画素400a,500aの開口部410a,510aとが、対応して記載されている。
【0021】
角の丸まりP,Qが存在する開口部410a,510aの重なり区間401aL,501aRは、理想的な開口部410,510の重なり区間よりも小さくなる。また、この変化により、重なり区間401aLと開口幅一定区間403aとの間に開口幅変動区間402aLが現れ、重なり区間501aRと開口幅一定区間503aとの間に開口幅変動区間502aRが現れる。これらの開口幅変動区間402aL,502aRは、理想的な開口部410,510であれば重なり区間になる部分が、加工精度バラつきによって角に丸まりP,Qが発生し、これらの区間で開口部が存在しなくなったことによって出現したものである。
【0022】
この場合における、第1の方向の位置と第1の方向に配列されたサブ画素群の縦開口幅の合計値とに着目した結果を、
図16Bに示す。つまり、
図16Bは、角の丸まりが存在する開口部について、第1の方向の位置と縦開口幅の合計値との関係を示したグラフである。
【0023】
図16Bにおいてプロット002aで示すように、角の丸まりP,Qの影響による開口幅変動区間402aL,502aRの出現に伴い、その区間において縦開口幅の値が急激に低下する位置S,Tが局所的に発生する。それ以外の重なり区間401aL,501aRおける縦開口幅の和の値「411aL+511aR」及び開口幅一定区間403a,503aにおける縦開口幅413a,513aの各値は、角の丸まりP,Qの影響を受けていないため変化していない。
【0024】
位置S,Tには縦開口幅変化値Wqと縦開口幅変化区間Vqが存在する。縦開口幅変化値Wqは、開口部内の重なり区間に存在する辺(例えば開口辺400aA,500aBなど)の第1の方向xに対する角度θの大きさに依存する。また、縦開口幅変化区間Vqは、この角度θの大きさに加えて角の丸まりP,Qの大きさに依存する。
【0025】
図17は、開口部の角に丸まりが発生した場合における、開口部の角の角度θと縦開口幅変化値Wq及び縦開口幅変化区間Vqとの関係を示したグラフである。
【0026】
図17に示すように、角度θが大きくなると、縦開口幅変化値Wqが大きく、縦開口幅変化区間Vqが小さくなる。これとは逆に角度θが小さくなると、縦開口幅変化値Wqが小さく、縦開口幅変化区間Vqが大きくなる。したがって、3Dモアレの観点から言えば、角度θの小さい方が有利となる。ただし、角度θが小さすぎると、サブ画素の重なり区間が非常に大きくなるので、3Dクロストーク特性は悪化する傾向にある。
【0027】
また、近年の超高精細化に伴い、サブ画素サイズと配列ピッチが小さくなる場合には、角度θも大きくなることにより、上記したように3Dモアレは悪化する。そのため、
図15Aで示したような理想的なサブ画素構成では、この課題への対応が必須となる。
【0028】
図18は、
図16Bで示した角の丸まりにより縦開口幅の値が急激に低下する状態において、このときに生じる3Dモアレを観察者と立体視域との関係を用いて示した図である。
図18の横軸は第1の方向での観察角度であり、縦軸は観察角度に対する輝度分布である。二種類の点線は、サブ画素400aを右眼用画素とし、サブ画素500aを左眼用画素とした場合に、どちらか一方の画素のみに画像を出力したときの輝度分布を示す。つまり、Y1は右眼用画素に白、左眼用画素に黒を表示した場合の輝度分布であり、Y2は右眼用画素に黒、左眼用画素に白を表示した場合の輝度分布であり、Y3は両方の画素に白を表示した場合の輝度分布である。輝度の関係は、基本的にY3=Y1+Y2である。
【0029】
ここで、右眼用観察領域は800R、左眼用観察領域は800Lとなる。
図18に示すように、各観察領域の中心に観察者の両眼が配置されている場合は3Dモアレを認知することは無い。しかし、各観察領域の境界付近(例えば位置T,S)に観察者の両眼が配置される場合は、急激な輝度変化を認知することにより3Dモアレを知覚する。
【0030】
なお、この画像輝度が急激に低くなる場合には黒モアレといい、逆に高くなる場合は白モアレということとする。
図18は黒モアレが発生していることになる。
【0031】
このように関連技術で示された理想的な画素形状を実際の表示パネルに適用した場合、加工精度のバラつきにより観察位置の移動に応じて発生する急峻な輝度差により、3Dモアレが視認されることとなる。この対策として、例えば、鋭角部に補正パターンを入れて理想的な形状を実現する、という手法も考えられる。しかし、この場合は、補正パターンを入れても加工精度バラつきを十分に吸収できないだけでなく、高精細化するにつれてこのような補正パターン自身が配置できない、又は補正パターンが機能しないという問題を有する。
【0032】
なお、3Dモアレの対策として、レンズのデフォーカスを応用してこの輝度明暗を緩和させる方法が考えられる。デフォーカスを応用する場合には、レンズの焦点距離に対してレンズ頂点からサブ画素までの距離(以下「レンズ画素間距離」という。)を変えて、急峻な輝度差を「ぼけ」させることよって3Dモアレを改善する。しかし、焦点距離を意図的にずらすことになるので、3Dクロストークに代表されるような立体表示特性は悪化することになる。
【0033】
また、デフォーカスを用いる場合には、レンズ画素間距離を高い精度で一定に保つことが重要である。このレンズ画素間距離のバラつきが大きいと、デフォーカスが更に悪化し、3Dクロストーク特性が大きく劣化するためである。ここで3Dクロストークとは、立体表示において、ある視点画像が他の視点画像に混入して表示される現象をいう。レンズ画素間距離を高精度で一定に保つためには、レンズ製造技術に加え、表示パネルの製造技術にも高い加工精度が求められる。
【0034】
高精細化に伴う狭ピッチのサブ画素をマトリックス配置した表示パネルにおいては、相対的に加工精度のバラつきが大きくなることにより、縦開口幅の変化がより大きくなる。そして、高画素数の表示パネルにおいては表示領域におけるサブ画素数が相対的に多くなるため、表示パネルの広範囲にわたって加工精度を保つ必要がある。
【0035】
そこで、本発明の目的は、高精細な表示や高歩留りを実現しつつ、良好な立体表示特性を実現する裸眼式立体表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明に係る立体表示装置は、
第1の方向及びこの第1の方向に略垂直な第2の方向にマトリックス状に配置され光学的な開口部を含むサブ画素、を有する表示パネルと、
この表示パネルに対向して配設され、前記第1の方向に光線を制御する光線制御手段と、
を備えた立体表示装置において、
全ての前記サブ画素の前記開口部は、前記第1の方向に隣接す
る前記サブ画素
の前記開口部に対して、前記第2の方向に互いに重なる重なり領域と重ならない非重なり領域とを有し、
前記開口部の前記第2の方向の幅を縦開口幅としたとき、前記非重なり領域は、前記縦開口幅が前記開口部の略中央から前記第1の方向の両端に向かってそれぞれ連続的に変化する開口幅変動領域を含み、
前記第1の方向の同じ位置における互いに重なる二つの前記重なり領域の前記縦開口幅の和は、前記開口部の前記略中央の前記縦開口幅よりも大きい、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、狭ピッチサブ画素を設けた表示パネルや高画素数の表示パネルを採用した裸眼式立体表示装置においても、良好な立体表示特性を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については同一の符号を用いる。図面に描かれたハッチングは、当業者が理解しやすいように付したものであり、切断面を示すものではない。
【0040】
<全体構成>
本発明に係る各実施形態及び各実施例に共通する立体表示装置の全体構成について、
図13及び
図14に基づき説明する。
図13に示すように、立体表示装置3は、第1の方向x及び第1の方向xに略垂直な第2の方向yにマトリックス状に配置され、光学的な開口部を含むサブ画素(後述)を有する表示パネル2と、表示パネル2に対向して配設され、第1の方向xに光線を制御する光線制御手段としてのレンズ1と、を備えたものである。レンズ1は表示パネル2の観察者側に配設される。
図13ではわかりやすくするためレンズ1と表示パネル2とを離して示しているが、実際には
図14に示すようにレンズ1と表示パネル2とは互いに接した状態で用いられる。
【0041】
立体表示装置3は、本発明におけるサブ画素(後述)がマトリックス配列された表示パネル2を有するものであればよい。表示パネル2は、自発光型の表示装置であるプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ、又は非自発光型の液晶ディスプレイなどであってもよい。また、光線制御手段としてのレンズ1は、レンチキュラーレンズやGRINレンズやフライアイレンズなどを採用することができる。
【0042】
図14は、
図13に示す立体表示装置3の一部を上から見た平面図である。第1視点用のサブ画素4及び第2視点用のサブ画素5が表示パネル2にマトリックス配列され、これらのサブ画素対にレンズ1の単位レンズが対応して配置されている。観察面側には、第1視点画像の視域6及び第2視点画像の視域7が形成される。観察面側に各視点の視域を形成できれば、光線制御手段はレンズ1である必要はなく、視差バリアや出射光そのものが指向性を有するものも採用できる。
図14では二視点の立体表示装置3を示しているが、多視点やIP(インテグラルフォトグラフィー)の立体表示装置であっても、例えばサブ画素や光線制御手段のピッチを変更することにより、本発明を適用できる。
【0043】
<実施形態1(実施例1)>
実施形態1の実施例1について、
図1Aに基づき説明する。
図1Aでは、マトリックス配置された多数のサブ画素のうち、第1の方向xに平行に配置された三つのサブ画素100,200,300を図示している。つまり、本実施例1におけるサブ画素100,200,300は、第1の方向xに沿って配列されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは、一対のサブ画素100,300と対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。この構成のため、第1の方向xは光線分離方向である観察者の視点方向と略平行である。
【0044】
以下、サブ画素100を中心に説明するが、これに隣接するサブ画素200,300についても適宜括弧内に符号を記載する。また、符号の末尾にL,Rが付くものは、それらのL,Rを省略して総称することにする。例えば、重なり区間101L,101Rは総称して重なり区間101という。このような符号の用い方は、他の各実施形態及び各実施例の説明でも同様である。
【0045】
まず、本実施例1の概要を説明する。第1の方向xに隣接する二つのサブ画素100(200,300)のそれぞれの開口部110(210,310)は、第2の方向yに互いに重なる重なり領域121(221,321)と重ならない非重なり領域(後述する開口幅変動領域及び開口幅一定領域)とを有する。開口部110(210,310)の第2の方向yの幅を縦開口幅としたとき、非重なり領域は、縦開口幅が開口部110(210,310)の略中央から第1の方向xの両端に向かってそれぞれ連続的に変化する開口幅変動領域122(222,322)を含む。第1の方向xの同じ位置における互いに重なる二つの重なり領域121(221,321)の縦開口幅の和「111L+211R」及び「111R+311L」は、開口部110(210,310)の略中央の縦開口幅113(223,323)よりも大きい。
【0046】
第1の方向xの同じ位置における互いに重なる二つの重なり領域121(221,321)の縦開口幅の和「111L+211R」及び「111R+311L」は、第1の方向xのどの位置でも同じとしてもよく、開口部110(210,310)の略中央の縦開口幅113(213,313)の1倍を越えて1.12倍以下となる範囲にしてもよい。開口部110の周縁の辺を開口辺としたとき、開口幅変動領域122(222,322)に含まれる全ての開口辺は、重なり領域121(221,321)に含まれる全ての開口辺と非平行としてもよい。非重なり領域は、縦開口幅113(213,313)が第1の方向xのどの位置でも同じである開口幅一定領域123(223,323)を含んでもよい。
【0047】
以下、本実施例1について更に詳しく説明する。サブ画素100(200,300)は、第1の方向xにおいて、開口幅一定区間103(203,303)、重なり区間101(201,301)、開口幅変動区間102(202,302)の三つの区間を有している。
【0048】
開口幅一定区間103(203,303)には、開口幅一定領域123(223,323)が存在する。開口幅一定領域123(223,323)では、開口部110(210,310)の縦開口幅113(213,313)が第1の方向xに一定である。なお、開口部110と開口部210,310とは、第2の方向yにおける位置が互いにずれて配列されて、それぞれの形状が互いに180°の回転対称の関係にある。
【0049】
重なり区間101(201,301)には、重なり領域121(221,321)が存在する。重なり領域121(221,321)では、第2の方向yにおいて開口部110(210,310)が互いに重畳する。開口部110は、第1の方向に二つの開口部210,310と隣接しているため、重なり区間101及び重なり領域121も二つずつ存在する。具体的には、開口部110(210,310)における二つの重なり区間101L(201L,301L)及び101R(201R,301R)に対応して、二つの重なり領域121L(221L,321L)及び121R(221R,321R)が存在する。
【0050】
重なり区間101は第1の方向xに隣接する開口部210,310との関係で決まるから、第1の方向xにおいて重なり区間101Lと重なり区間201Rは一致し、同様に重なり区間101Rと重なり区間301Lも一致している。
【0051】
本実施例1の重なり領域121の形状は直角三角形である。また、一つの開口部110内に存在する二つの重なり領域121L,121Rは、互いに合同かつ線対称の関係にある。そして、二つの重なり領域121L,121Rの第2の方向yの位置は互いに一致している。なお、重なり領域121L,121Rにおいて、隣接する開口部210,310に対向する開口辺100A,100Bは互いに非平行である。重なり領域221L,221R,321L,321R及び開口辺200A,200B,300A,300Bについても同様である。
【0052】
重なり区間における縦開口幅の和の関係は以下の通りである。
図1Aに示すように、重なり区間101L,201Rは第1の方向xにおいて互いに一致している。そして、重なり区間101Lにおける重なり領域121Lの縦開口幅111Lと、重なり区間201Rにおける重なり領域221Rの縦開口幅211Rとの和は、第1の方向xにおいて一定の値である。同様に、縦開口幅111Rと縦開口幅311Lとの和は第1の方向xにおいて一定の値となっている。
【0053】
これらの縦開口幅の和「111L+211R」及び「111R+311L」は、製造安定性の観点から一定であることが望ましいが、必ずしも一定の値をとる必要はない。その値は、
図1Bに示すプロット001の説明で言及するように、開口幅一定領域123における縦開口幅113よりも大きければ足りる。
【0054】
開口幅変動区間102(202,302)には、開口幅変動領域122(222,322)が存在する。開口幅変動領域122(222,322)は、一つの開口部110(210,310)内に二つ存在している。具体的には、開口部110(210,310)の第1の方向における二つの開口幅変動区間102L(202L,302L)及び102R(202R、302R)に対応して、二つの開口幅変動領域122L(222L,322L)及び122R(222R,322R)が存在する。開口幅変動領域122(222,322)は、重なり領域121(221,321)と開口幅一定領域123(223,323)との間に存在する。
【0055】
開口幅変動領域122(222,322)では、第1の方向xの位置に対応して縦開口幅が変化している。その縦開口幅は、開口幅一定領域123(223,323)から重なり領域121(221,321)すなわち開口部110(210,310)の両端側に向かって、連続的に増加している。具体的には、開口幅変動領域122L(222L、322L)の縦開口幅は、開口幅一定領域123(223、323)に接する位置では最小値の縦開口幅113(213、313)となり、重なり領域121(221、321)に接する位置では最大値の縦開口幅111(211,311)となり、それらの間の位置では当該最小値から当該最大値まで連続的かつ線形的に増加している。なお、本実施例1での開口幅変動領域123(223,323)の形状は等脚台形である。
【0056】
本実施例1における第1の方向の位置と縦開口幅との関係を、
図1Bのプロット001で示す。開口幅一定区間103(203,303)では縦開口幅は常に一定である。また、重なり区間101(201,301)における縦開口幅の和「111L+211R」及び「111R+311L」は、常に一定となっており、かつ、それぞれ縦開口幅113より大きな値となっている。開口幅一定区間103(203,303)と重なり区間101(201,301)との間に存在する開口幅変動区間102(202,302)は、第1の方向xの位置の変化に対して縦開口幅が変化している。本実施例1では、開口幅変動領域122(222,322)の形状が等脚台形であるため、その縦開口幅変化は線形的である。第1の方向xにおいて縦開口幅が変化する範囲をV1とすると、範囲V1内において縦開口幅の最大値Whと縦開口幅の最小値Wlとが生じている。なお前述のとおり縦開口幅の和は必ずしも一定である必要はない。
【0057】
<実施形態1(実施例2)>
実施形態1の実施例2について、
図2Aに基づき説明する。本実施例2におけるサブ画素130、230、330は、第1の方向xに沿って配列されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは、一対のサブ画素130,330と対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。
【0058】
本実施例2のサブ画素130(230,330)の開口部140(240,340)は、第1の方向xにおいて、開口幅一定区間133(233,333)、重なり区間131(231,331)、開口幅変動区間132(232,332)の三つの区間を有している。具体的には、一つの開口部140(240,340)につき、一つの開口幅一定区間133(233,333)と、二つの開口幅変動区間132L(232L,332L)及び132R(232R,332R)と、二つの重なり区間131L(231L,331L)及び131R(231R、331R)とが存在する。
【0059】
開口幅一定領域153(253,353)の形状は、
図1Aの実施例1における開口幅一定領域123(223,323)の形状と同様、長方形となっている。本実施例2の特徴は、開口部140の開口幅一定領域153の第2の方向yの位置と、これに隣接する開口部240,340の開口幅一定領域253,353の第2の方向yの位置とが、互いに一致していることである。
【0060】
開口部140の重なり領域151L,151Rは、ともに直角三角形であり、互いに合同かつ回転対称の関係にある。なお、第1の方向xの位置が一致している、異なる開口部のそれぞれの重なり領域、例えば重なり領域151Lと重なり領域251Rも互いに合同かつ回転対称の関係にある。また、開口部140の二つの重なり領域151L,151Rは、第2の方向yの位置が互いにずれている。この点は、
図1Aの実施例1における開口部110と異なる特徴である。
【0061】
重なり領域151L,151R内における開口部140の形状を規定する開口辺のうち、第1の方向xに隣接する開口部240,340と対向して配置されている開口辺130A,130Bは、互いに平行である。また、開口辺130A,130Bは、開口部140の形状を規定する他の全ての開口辺に対して、それぞれ非平行である。別の側面から言えば、開口幅変動領域152L,152Rにおける開口辺は、いずれも重なり領域151L,151Rにおける開口辺のいずれとも非平行である。この点は、
図1Aの実施例1における開口部110も同様である。以上のことは、重なり領域251L,251R,351L,351R及び開口辺230A,230B,330A,330Bについても同様である。
【0062】
開口部140における開口幅変動領域152L,152Rの形状は台形である。その台形の下底は、開口部140の第1の方向xの両端側にそれぞれ配置される。これにより、第1の方向xの位置における縦開口幅は、
図1Aの実施例1と同様に、開口部140の略中央から両端側に向かって連続的かつ線形的に増加する。なお、
図1Aの実施例1における開口幅変動領域122L,122Rの形状が等脚台形となっているのに対し、本実施例2における開口幅変動領域152L,152Rの形状は等脚台形に限定されない。以上のことは、開口幅変動領域252L,252R,352L,352Rについても同様である。
【0063】
本実施例2では、サブ画素の開口部の配列方法にも以下の特徴がある。
図2Aにおいて、第1の方向xに互いに隣接する開口部140,240,340は、それぞれ第2の方向yにおける位置が全て同一になるように配置されている。また、開口部140とこれに隣接する開口部240,340とは互いに合同である。
【0064】
図2Bは、本実施例2における第1の方向xの位置と縦開口幅との関係をプロット031で示したグラフである。本実施例2では、実施例1とサブ画素の開口部の形状が異なっているが、
図1Bの実施例1におけるプロット001と同様の関係を満たすことが可能である。本実施例2のその他の構成は、実施例1の構成と同様である。
【0065】
<実施形態1(実施例3)>
本実施形態1の実施例3について、
図3Aに基づき説明する。本実施例3におけるサブ画素160,260,360は、第1の方向xに沿って配列されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは、一対のサブ画素160,360と対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。
【0066】
本実施例3のサブ画素160(260,360)の開口部170(270,370)は、第1の方向xにおいて、開口幅一定区間163(263,363)、重なり区間161(261,361)、開口幅変動区間162(262,362)の三つの区間を有している。具体的には、一つの開口部170(270,370)につき、一つの開口幅一定区間163(263,363)と、二つの開口幅変動区間162L(262L,362L)及び162R(262R,362R)と、二つの重なり区間161L(261L,361L)及び161R(261R,361R)とが存在する。
【0067】
開口幅一定区間163では、開口部170の形状を規定する開口辺160C,160C'はともに屈曲している。この二つの開口辺160C,160C'がともに第2の方向yに沿って平行移動の関係を有することにより、開口幅一定区間163内の縦開口幅が第1の方向xに一定に保たれている。開口辺260C,260C'及び開口辺360C,360C'についても同様である。
【0068】
重なり区間161Lでは、開口部170の形状を規定する開口辺160F'が屈曲している。この開口辺160F'は、重なり区間161Lと同一の重なり区間261Rにおける開口辺260Fと、第2の方向yに沿って平行移動の関係にある。これは、開口部170とこれに隣接する開口部270との境界線が第1の方向xに一定の幅を有し、かつ重なり区間161L,261Rにおけるそれぞれの縦開口幅の和が第1の方向xに一定となる関係である。同一の重なり区間161R,361Lにおけるそれぞれの開口辺160F,360F'についても同様である。なお、同一の重なり区間161L,261Rにおける縦開口幅の和は、第1の方向xにおいて一定であることが望ましい。しかし、その和が必ずしも一定である必要がないことは、実施例1と同様である。つまり、開口辺160F'と開口辺260Fとが第2の方向yに沿って平行移動の関係になくてもよい。
【0069】
図3Aにおけるサブ画素では、同一の重なり区間161L(161R)における重なり領域181L(181R)と重なり領域281R(381L)とが互いに合同ではない。これは上述の開口辺160F’(160F)が開口辺260F(360F’)と平行移動の関係にあることによる。
【0070】
開口幅変動区間162L(162R)における開口部170の形状を規定する開口辺160D(160E)及び160D'(160E')はともに屈曲している。このとき、開口幅変動領域182L(182R)の縦開口幅は、開口幅一定領域183から重なり領域181L(181R)に向かって連続的かつ非線形的に変化する。
【0071】
図3Bは、本実施例3における第1の方向xの位置と縦開口幅の関係とをプロット061で示したグラフである。本実施例3でも実施例1、2と同様に、開口部の第1の方向における両端側に向かって縦開口幅が連続的に変化する。ただし、本実施例3では、上記した屈曲した開口辺を用いているため、縦開口幅が変化している範囲V1において、縦開口幅の変化が非線形的(曲線的)に変化している点が実施例1、2と異なる。本実施例3のその他の構成は、実施例1、2の構成と同様である。
【0072】
<実施形態1(作用及び効果)>
上記実施例1〜3は、理想的なサブ画素構成である。実施例1において、開口部に角の丸まりが生じた場合について、
図4Aを用いて説明する。
図4Aには、
図1Aで示す理想的なサブ画素の開口部110,210(破線)と、角の丸まりが生じたサブ画素100a,200aの開口部110a,210aとが示されている。開口部110a(210a)には、理想的な開口部110(210)と同様に、開口幅一定区間103a(203a)と開口幅変動区間102aL(202aR)と重なり区間101aL(201aR)との三つの区間が存在する。
【0073】
理想的な開口部110(210)と比較して、開口部110a(210a)は、角の丸まりにより、重なり区間101aL(201aR)が縮小すると同時に、その分、開口幅変動区間102aL(202aR)が拡大する。これにより第1の方向xに対する縦開口幅の合計値が変化する様子を、
図4Bに示す。理想的な開口部110(210)では、縦開口幅が開口幅変動区間から重なり区間にかけて連続的に増加する。これに対し、角の丸まりを有する開口部110a(210a)では、開口幅変動区間102aL(202aR)内の重なり区間101aL(201aR)の近傍に、縦開口幅が急激に低下するポイントが発生する。したがって、開口幅変動領域122aL(222aR)における縦開口幅は、開口幅一定領域123a(223a)から重なり領域121aL(221aR)に向かって連続的に増加し、重なり領域121aL(221aR)近傍の縦開口幅変化区間Vqで縦開口幅変化値Wqだけ下降に転じ、再び増加するプロット001aとなる。
【0074】
図4Bで示されたプロット001aは、第1の方向xに対する縦開口幅の関係を示している。これからわかるように、角の丸まりによって縦開口幅変化区間Vqで縦開口幅変化値Wqが生じている。ただし、この縦開口幅変化値Wqは、重なり区間101aL(201aR)における縦開口幅111aL(211aR)の和「111aL+211aR」と開口幅一定区間123a(223a)における縦開口幅113a(213a)との差Wh−Wl、よりも小さい値となっている。すなわち、Wq<Wh−Wlが成り立つ。
図4A及び
図4Bに示す現象は、実施例2及び実施例3において開口部に角に丸まりが生じた場合も、同様に見られる。
【0075】
また、加工精度バラつきによって開口部が全体的に縮小した場合について、
図5Aを用いて説明する。
図5Aには、
図1Aで示す理想的なサブ画素の開口部110,210(破線)と、加工精度バラつきによって全体的に縮小したサブ画素100b,200bの開口部110b,210bとが示されている。開口部110b,210b)には、理想的な開口部110(210)と同様に、開口幅一定区間103b(203b)と開口幅変動区間102bL(202bR)と重なり区間101bL(201bR)との三つの区間が存在する。開口幅一定区間103b(203b)は、開口幅一定領域123b(223b)及び縦開口幅113b(213b)に対応する。
【0076】
理想的な開口部110(210)と比較して、開口部110b(210b)は、全体的な縮小により、重なり区間101bL(201bR)が縮小すると同時に、開口幅変動区間102bL(202bR)が拡大する。これにより第1の方向xに対する縦開口幅の合計値が変化する様子を、
図5Bに示す。第1の方向xを原点から正の方向にかけてみると、プロット001で示された理想的な開口部110(210)では、開口幅変動領域122bR(222bR)における縦開口幅が開口幅一定区間103(203)と開口幅変動区間102L(202R)との境界から重なり区間101L(201R)にかけて連続的に増加して、重なり区間101L(201R)で一定となる。それに対し、プロット001bで示された全体的に縮小した開口部110b(210b)では、縦開口幅が一様に小さくなることにより、開口幅変動区間102bL(202bR)における縦開口幅は、最小値Wlから最大値Whまで連続的に増加し、重なり領域121bL(221bR)近傍の縦開口幅変化区間Vqで縦開口幅変化値Wrだけ下降する。そして、重なり区間101bL(201bR)での縦開口幅も、縦開口幅変化値Wr分、減少したままとなる。
【0077】
このように、
図5Bで示したプロット001bにおいても、
図4Bで示した角の丸まりによるプロット001aと同様に、開口幅変動区間102bL(202bR)及び重なり区間101bL(201bR)における縦開口幅の大きさは、開口幅一定区間103b(203b)の縦開口幅である最小値Wlよりも大きな値となっている。
図5A及び
図5Bに示す現象は、実施例2及び実施例3において開口部が全体的に縮小した場合も同様に見られる。
【0078】
図1A乃至
図5Bまでを概説する。いずれの図においても、開口部の略中央に位置する開口幅一定区間における縦開口幅は、他の区間の縦開口幅(重なり区間においては縦開口幅の和)に比べ小さく、最小値Wlとなっている。このことを観察面に投影される画像輝度の観点から考察すると、観察面側の立体視域の略中央に投影される画像輝度は、その他の観察角度における画像輝度より常に低くなっている。したがって、通常の立体観察位置から観察位置をずらした場合には、常に白モアレが発生することになる。
【0079】
より具体的には以下の通りである。
図4Bの状態における3Dモアレのイメージを
図6に示す。
図6の横軸は第1の方向に沿った位置からの観察角度であり、縦軸は観察角度に対する輝度分布である。点線は、サブ画素100を右眼用画素、サブ画素300を左眼用画素とした場合に、どちらか一方の画素のみに画像を出力したときの輝度分布を示す。輝度分布Y1は右眼用画素に白、左眼用画素に黒を表示した場合であり、輝度分布Y2は右眼用画素に黒、左眼用画素に白を表示した場合であり、輝度分布Y3は両方の画素に白を表示した場合である。輝度の関係は、基本的にY3=Y1+Y2である。なお、
図6には、
図4Bに示すプロット001aも重ねて表示している。
【0080】
ここで、右眼用観察領域は810R、左眼用観察領域は810Lとなる。
図6に示すように、各観察領域の境界付近(例えば位置Tや位置S)に観察者の両眼が配置される場合においても、上述の通りWh−Wl>Wqが成り立っているため、これにより黒モアレを抑制することができる。
【0081】
また、開口幅変動領域における縦開口幅の変化における「連続的に変化」とは、ある第1の方向の位置に対する縦開口幅の値が一つに決められ、かつ第1の方向の位置の変化に対し縦開口幅の値が切れ目なく変化することをいう。縦開口幅が連続的変化することにより、観察面に投影される画像輝度の変化が連続的になり、良好な立体表示を実現できる。第1の方向の位置に対する縦開口幅は、微分可能なように滑らかに変化する構成であればより望ましい。なお、開口部の角の丸まり及び開口部の全体的な変化が小さい場合には、縦開口幅変化区間Vqは非常に小さくなるため、
図4B及び
図5Bにおいても縦開口幅は開口幅一定領域123a(223a)から重なり領域121aL(221aL)近傍に向かって連続的に増加していると言える。
【0082】
立体表示観察において白モアレが生じている場合と黒モアレが生じている場合に、一般的な評価画像を用いて観察者が感じる立体表示品位を評価した。その結果を
図7A及び
図7Bに示す。
図7Aにおいて、横軸を縦開口差比率(Wh−Wl)/Wlとし、縦軸を主観レベルとした。
図7Bに示すように、最大値Whは重なり領域における縦開口幅の和L1+L2であり、最小値Wlは開口幅一定領域における縦開口幅Lである。主観レベルは、5段階で設定し、スコア5が最も良好な画質、スコア3が許容できる画質、スコア1が最も受け入れられない画質である。
図7Aには、被験者10名のスコア平均と標準偏差を示している。横軸の正の領域は白モアレの発生している領域であり、負の領域は黒モアレの発生している領域である。この評価によれば、白モアレ領域の方が主観的に許容される領域が広いという結果が得られた。また、縦開口差比率の値として−4%から12%の範囲が主観的に許容される範囲となった。
【0083】
図7Aに示す結果から、開口幅一定領域の縦開口幅と重なり領域の縦開口幅の和の関係について以下のことが言える。縦開口差比率の値が12%以下の範囲が許容される範囲であるから、黒モアレを許容しないとして、重なり領域の縦開口幅の和が開口幅一定領域の縦開口幅の1倍を越えて1.12倍以下の範囲にあることが望ましい。
【0084】
また、
図7の結果から以下のことが言える。関連技術では、理想形のサブ画素構成に対して加工精度のバラつきが生じると、必ず黒モアレが生じるので、観察者が主観的に許容できる範囲が狭い。一方、本実施形態1においては、理想形のサブ画素構成に対して加工精度のバラつきが生じても、黒モアレを抑制すると同時に白モアレを意図的に生じさせる構成のため、観察者が許容できる範囲は関連技術に比べ広くなる。これは、高精細化に伴う狭ピッチのサブ画素を有する表示パネルや高画素数の表示パネルを採用した裸眼式立体表示装置において、より顕著に良好な立体表示特性を実現することができる。
【0085】
<実施形態2>
実施形態2について、
図8Aに基づき説明する。本実施形態2におけるサブ画素600,700,800は、第1の方向xに沿って配列されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは、一対のサブ画素600,800と対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。
【0086】
本実施形態2のサブ画素600(700,800)の開口部610(710,810)には、実施形態1における開口幅一定領域が存在しない。開口部610(710,810)には二つの重なり領域621L(721L,821L)及び621R(721R,821R)が存在している。そして、これらの二つの重なり領域に挟まれて開口幅変動領域が存在している。この開口幅変動領域は、開口幅変動領域602L(702L,802L)及び602R(702R,802R)の二つに分けられる。
【0087】
すなわち、開口部610は、重なり区間601(601L,601R)の重なり領域621(621L,621R)と、開口幅変動区間602(602L,602R)の開口幅変動領域622(622L,622R)とを有する。開口部710は、重なり区間701(701L,701R)の重なり領域721(721L,721R)と、開口幅変動区間702(702L,702R)の開口幅変動領域722(722L,722R)とを有する。開口部810は、重なり区間801(801L,801R)の重なり領域821(821L,821R)と、開口幅変動区間802(802L,802R)の開口幅変動領域822(822L,822R)とを有する。縦開口幅611(611L,611R)は重なり領域621(621L,621R)に対応し、縦開口幅711(711L,711R)は重なり領域721(721L,721R)に対応し、縦開口幅811(811L,811R)は重なり領域821(821L,821R)に対応する。
【0088】
図8Bは、
図8Aに示す構成において第1の方向xの位置と縦開口幅との関係をプロット003として示す。縦開口幅の変化が生じている範囲V1内において、縦開口幅は最小値Wlから最大値Whまで連続的かつ線形的に変化している。
【0089】
本実施形態2において
図8Aに示す理想的なサブ画素構成に対して、角の丸まりが生じたときの様子を
図9Aに示す。角の丸まりが生じたサブ画素600aの開口部610aは、重なり区間601aLの重なり領域621aLと、開口幅変動区間602aLの開口幅変動領域622aLとを有する。同様に角の丸まりが生じたサブ画素700aの開口部710aは、重なり区間701aRの重なり領域721aRと、開口幅変動区間702aRの開口幅変動領域622aRとを有する。重なり領域621aLの縦開口幅611aLと重なり領域721aRの縦開口幅711aRとの和は、第1の方向xのどの位置でも同じである。
【0090】
図9Bは、
図9Aに示す構成において第1の方向xの位置と縦開口幅との関係をプロット003aとして示す。本実施形態2では、実施形態1と同様に角の丸まりによって縦開口幅変化区間Vqで縦開口幅変化値Wqが生じるが、実施形態1と同様にWh−Wl>Wqの関係が成立している。これにより、本実施形態2においても、理想形のサブ画素構成に対して加工精度のバラつきが生じても、黒モアレを抑制すると同時に、白モアレを意図的に生じさせる構成のため、観察者が許容できる範囲は関連技術に比べ広くなる。
【0091】
なお、
図8Aに示すように、開口幅変動領域622(722,822)における開口部610(710,810)の形状を規定する開口辺がいずれも、重なり領域621(721,821)における開口部610(710,810)の形状を規定する開口辺のいずれとも非平行である点は、実施形態1と同様である。また、本実施形態2のその他の構成、作用及び効果は、実施形態1のそれらと同様である。
【0092】
<実施形態3(比較例)>
実施形態3の実施例について説明する前に、まず比較例を
図10Aに示す。本比較例のサブ画素900UL,900DL,900UR,900DRのそれぞれの開口部901UL,901DL,901UR,901Dは、実施形態1の実施例1における開口部と同じ形状であり、2×2のマトリックス状に配置されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは、一対のサブ画素900UL(900DL),900UR(900DR)に対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。
図10Bは、開口部901UL,901DLにおける第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット902Lとして示したグラフである。同様に
図10Cは、開口部901UR,901DRの第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット902Rとして示したグラフである。
【0093】
開口部901UL,901URが第2の方向yに対して互いにずれて配置され、開口部901DL,901DRが第2の方向yに対して互いにずれて配置されていることから、プロット902Lとプロット902Rとの間で第2の方向yにおける輝度分布の変化の極大値にズレが生じる。レンズ1は第2の方向yに光線を振り分けることができないため、この第2の方向yに対して異なる輝度分布が観察面にそのまま投影され、その結果画像の粒状感を生じることになる。
【0094】
<実施形態3(実施例1)>
図11Aは、実施形態3の実施例1として、サブ画素910UL,910DL,910UR,910DRを示す。サブ画素910UL,910DL,910UR,910DRのそれぞれの開口部911UL,911DL,911UR,911DRは、上記比較例における開口部の形状を第2の方向yに拡げたような形状であり、2×2のマトリックス状に配置されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは、一対のサブ画素910UL(910DL),910UR(910DR)に対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。開口部911URは、重なり領域916(916L,916R)、開口幅変動領域917(917L,917R)及び開口幅一定領域918を有する。他の開口部911UL,911DL,911DRも同様に、重なり領域、開口幅変動領域及び開口幅一定領域を有する。
【0095】
図11Bは、開口部911UL,911DLにおける第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット912Lとして示したグラフである。同様に
図11Cは、開口部911UR,911DRの第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット912Rとして示したグラフである。本実施例1では、比較例(
図10B及び
図10C)と異なり、第2の方向yにおける輝度分布の変化の極大値にズレがほとんど生じていない。したがって、本実施例1によれば、観察面の視点方向の異なる位置で生じる輝度明暗がほぼ同様となり、その結果粒状感を抑制することができる。
【0096】
<実施形態3(実施例2)>
図12Aは、実施形態3の実施例2として、サブ画素920UL,920DL,920UR,920DRを示す。サブ画素920UL,920DL,920UR,920DRのそれぞれの開口部921UL,921DL,921UR,921DRは、上記実施例1における開口部とは異なる形状を第2の方向yに拡げたような形状であり、2×2のマトリックス状に配置されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは、一対のサブ画素920UL(920DL),920UR(920DR)に対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。開口部921URは、重なり領域926(926L,926R)、開口幅変動領域927(927L,927R)及び開口幅一定領域928を有する。他の開口部921UL,921DL,921DRも同様に、重なり領域、開口幅変動領域及び開口幅一定領域を有する。
【0097】
図12Bは、開口部921UL,921DLにおける第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット922Lとして示したグラフである。同様に
図12Cは、開口部921UR,921DRの第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット922Rとして示したグラフである。本実施例2においても、比較例(
図10B及び
図10C)と異なり、第2の方向yにおける輝度分布の変化の極大値にズレがほとんど生じていない。したがって、本実施例2によれば、観察面の視点方向の異なる位置で生じる輝度明暗がほぼ同様となり、その結果粒状感を抑制することができる。
【0098】
<実施形態3(総括)>
ここで、1つのサブ画素における第2の方向における開口位置の極大値と極小値の距離を、光学的縦開口区間とする。つまり、開口部の一端における第2の方向の位置と開口部の他端における第2の方向の位置との差の最大値を「縦開口区間」とする。
図10Aに示す比較例の開口部901ULでは、一端904における第2の方向yの位置と他端905における第2の方向yの位置との差が、縦開口区間903となる。
図11Aに示す実施例1の開口部911ULでは、一端914における第2の方向yの位置と他端915における第2の方向yの位置との差が、縦開口区間913となる。
図12Aに示す実施例2の開口部921ULでは、一端924における第2の方向yの位置と他端925における第2の方向yの位置との差が、縦開口区間923となる。また、実施形態1、2と同様に、開口部の第2の方向の幅を「縦開口幅」とする。
【0099】
本実施形態3におけるサブ画素は以下の特徴を有する。
図10Aに示す比較例では、縦開口区間903の値と、第1の方向xの任意の位置における縦開口幅のうち最も大きい縦開口幅の値とが、同一になっている。これに対し、
図11Aに示す実施例1では、縦開口区間913の値は第1の方向xの任意の位置における縦開口幅のうち最も大きい縦開口幅の値よりも大きい値となっており、かつ縦開口区間913の第2の方向yの位置は第1の方向xに隣接する縦開口区間同士で一致している。同様に、
図12Aに示す実施例2では、縦開口区間923の値は第1の方向xの任意の位置における縦開口幅のうち最も大きい縦開口幅の値よりも大きい値となっており、かつ縦開口区間923の第2の方向yの位置は第1の方向xに隣接する縦開口区間同士で一致している。これにより、本実施形態3によれば、観察面での画像の粒状感の抑制を可能としている。
【0100】
本実施形態3は、次のように言い換えることもできる。
図11Aに示す実施例1では、開口部911ULの一端における第2の方向yの位置と開口部911ULの他端における第2の方向yの位置との差は、一端914と他端915との間が最大となる。その最大値を縦開口区間913とする。このとき、縦開口区間913は開口部911ULの縦開口幅の最大値よりも大きい。また、縦開口区間913を構成する一端914及び他端915の第2の方向yの位置は、第1の方向xに隣接する開口部911UL,911UR同士で同じである。
図12Aに示す実施例2でも同様である。
【0101】
なお、
図2A、
図3A及び
図8Aに示す開口部の場合も、同様に本実施形態3を適用できる。また、開口幅変動領域917(927)の開口部911UR(921UR)の形状を規定する開口辺はいずれも、重なり領域916(926)の開口部911UR(921UR)の形状を規定する開口辺のいずれとも非平行であることは、実施形態1、2と同様である。本実施形態3のその他の構成、作用及び効果は、実施形態1、2のそれらと同様である。
【0102】
<実施形態4(実施例1)>
実施形態4の実施例1について、
図19A及び
図19Bに基づき説明する。
図19Aでは、マトリックス配置された多数のサブ画素のうち、第1の方向xに平行に配置された三つのサブ画素1100,1200,1300を図示している。つまり、本実施例1におけるサブ画素1100,1200,1300は、第1の方向xに沿って配列されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは一対のサブ画素1100,1300と対応する位置に配置され、この構成が第1の方向xに沿って繰り返し配列される。そのため、第1の方向xは、光線分離方向である観察者の視点方向と略平行である。また、これら三つのサブ画素1100,1200,1300は、開口形状が等脚台形であり、隣接するもの同士が第2の方向yの位置をずらしかつ180°回転対称で配置されている。
【0103】
第1の方向xに隣接する二つのサブ画素1100(1200,1300)のそれぞれの開口部1110(1210,1310)は、第2の方向yに互いに重なる重なり領域A1121(1221,1321)、重なり領域B1125(1225,1325)及び重なり領域C1126(1226,1326)と、互いに重ならない非重なり領域としての開口幅一定領域1123(1223,1323)と、を有する。これらの重なり領域は第1の方向xに隣接するサブ画素との重畳によって生じるため、一つのサブ画素内の両端に一つずつ存在する。重なり領域B,Cは縦開口幅和変動領域である。非重なり領域では第1の方向xに関わらず縦開口幅1113(1213,1313)が常に一定である。この点において、本実施例1は実施形態1、2と異なっている。
【0104】
第1の方向xの各区間は以下のとおりである。サブ画素1100の重なり区間A1101L,1101Rは、それぞれサブ画素1200の重なり区間A1201R及びサブ画素1300の重なり区間A1301Lと同じ区間となっている。そして、サブ画素1100の重なり区間B1105L,1105Rはサブ画素1200の重なり区間C1206R及びサブ画素1300の重なり区間C1306Lに対応し、サブ画素1100の重なり区間C1106L,1106Rはサブ画素1200の重なり区間B1205R及びサブ画素1300の重なり区間B1305Lに対応している。これらの区間でそれぞれのサブ画素は互いに第2の方向yに重畳し、重なり領域A,B,Cを形成している。
【0105】
縦開口幅及び縦開口幅の和は以下のとおりである。サブ画素1100の重なり区間A1101L(1201R)の縦開口幅の和「1111L+1211R」は、第1の方向xの位置に関わらず一定である。一方、サブ画素1100の重なり区間B1105L(1206R)の縦開口幅の和「1115L+1216R」及びサブ画素1100の重なり区間C1106L(1205R)の縦開口幅の和「1116L+1215R」は、第1の方向xの位置によって変動する。これは、重なり区間B1105Lではサブ画素1200の縦開口幅1216Rが、重なり区間C1106Lではサブ画素1100の縦開口幅1116Lが、それぞれ第1の方向xの位置によって変動しているためである。サブ画素1100の重なり区間A1101R、重なり区間B1105R及び重なり区間C1106Rでも同様に、縦開口幅の和「1111R+1311L」は第1の方向xの位置に関わらず一定であり、縦開口幅の和「1115R+1316L」及び「1116R+1315L」は第1の方向xの位置によって変動する。サブ画素1100の開口幅一定区間1103の縦開口幅1113は、第1の方向xの位置に関わらず一定である。また、他のサブ画素1200,1300もサブ画素1100と同様の関係にある。
【0106】
縦開口幅及び縦開口幅の和の大小関係は以下のとおりである。サブ画素1100の重なり区間A1101Lの縦開口幅の和「1111L+1211R」、重なり区間B1105Lの縦開口幅の和「1115L+1216R」及び重なり区間C1106Lの縦開口幅の和「1116L+1215R」は、第1の方向xの位置に関わらず、開口幅一定区間1103の縦開口幅「1113」よりも大きい。この関係は、サブ画素1100の重なり区間A1101Rの縦開口幅の和「1111R+1311L」、重なり区間B1105Rの縦開口幅の和「1115R+1316L」及び重なり区間C1106Rの縦開口幅の和「1116R+1315L」についても同様である。また、他のサブ画素1200,1300もサブ画素1100と同様の関係にある。
【0107】
本実施例1の実施形態1、2と異なる点は以下のとおりである。本実施例1におけるサブ画素は、実施形態1、2と同様に、第1の方向xに隣接するサブ画素に対して、第2の方向yに重畳した重なり区間を有する。実施形態1、2では、重なり区間における縦開口幅の和は第1の方向xの位置に関わらず一定であった。一方、本実施例1では、重なり区間は重なり区間A,B,Cと三つに区分され、かつ重なり区間の略中央に存在する重なり区間Aでのみ縦開口幅の和が一定であり、重なり区間Aの両端に存在する重なり区間B,Cでは縦開口幅の和が変動している。これは、サブ画素1100と隣接するサブ画素1200との対向する開口辺同士が、第1の方向xにずれて配置されていることによる。具体的には、サブ画素1100の角部1100pとサブ画素1200の角部1200qとが第1の方向xにずれており、同様にサブ画素1100の角部1100qとサブ画素1200の角部1200pとが第1の方向xにずれている。
【0108】
これらの重なり区間B,Cでは、縦開口幅の和が連続的かつ線形的に変化している。これは、実施形態1、2における開口幅変動区間における縦開口幅の振る舞いと同様である。
【0109】
本実施例1における第1の方向xの位置と縦開口幅との関係を、
図19Bのプロット041で示す。開口幅一定区間1103(1203,1303)では、縦開口幅が常に一定である。また、重なり区間A1101(1201,1301)における縦開口幅の和は、第1の方向xの位置に関わらず常に一定となっており、かつ開口幅一定区間1103(1203,1303)における縦開口幅より大きな値となっている。開口幅一定区間1103と重なり区間A1101との間に存在する重なり区間B1105では、第1の方向xの位置の変化に対して縦開口幅の和が変化している。その縦開口幅の和の変化は線形的である。なぜなら、本実施例1では、サブ画素1100に隣接するサブ画素1200,1300の重なり領域C1226R,1326Lの形状が直角三角形になっているからである。第1の方向xにおいて縦開口幅が変化する範囲をV1とすると、範囲V1内において縦開口幅の最大値Whと縦開口幅の最小値Wlとが生じている。なお、本実施例1においても実施形態1と同様、縦開口幅の和は必ずしも一定である必要はない。
【0110】
本実施例1は、次のように言い換えることもできる。重なり領域A,B,Cは、第1の方向xの同じ位置における隣接する二つのサブ画素との縦開口幅の和が重なり領域A,B,Cの略中央から前記第1の方向xの両端に向かってそれぞれ連続的に変化する縦開口幅和変動領域(すなわち重なり領域B,C)を二つ含む。重なり領域A,B,Cにおいて隣接する二つのサブ画素との縦開口幅の和は、開口部の略中央の縦開口幅よりも大きい。
【0111】
本実施例1においても実施形態1と同様の効果を得ることができる。つまり、開口部が全体的に縮小した場合や角に丸まりが生じた場合でも、実施形態1と同様に白モアレが発生するため良好な立体表示特性を実現することができる。更に、本実施例1によれば、実施形態1、2と異なり、サブ画素の開口部の角と隣接するサブ画素の開口部の角とで第1の方向の位置が異なっているため、角の丸まりが生じたときの縦開口幅の和の変化が実施形態1、2に比較して小さい。つまり、
図4Bで言えば縦開口幅変化値Wqがより小さくなる。これは、前述のとおり、サブ画素と隣接サブ画素との対向する開口辺同士が第1の方向でずれて配置されているためである。
【0112】
また、サブ画素形状のうち特に開口部の角の形状寸法は、製造上のバラつきの影響を受けやすい。本実施例1のサブ画素形状は、実施形態1、2のサブ画素形状と比較して、角の数が少ない。よって、本実施例1によれば、サブ画素形状の製造上の精度を向上できる。
【0113】
<実施形態4(実施例2)>
実施形態4の実施例2について
図20A及び
図20Bに基づき説明する。
図20Aに示すように、本実施例2ではサブ画素2100に対し隣接するサブ画素2200,2300が第1の方向xに配置されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズはサブ画素2100及びこれに隣接するサブ画素2300に対応して配置され、この構成が第1の方向xに沿って繰り返し配置されている。本実施例2では、実施形態4の実施例1と異なり、サブ画素2100とこれに隣接するサブ画素2200,2300とは第2の方向yの位置が一致している。
【0114】
実施形態4の実施例1と同様、本実施例2においても第1の方向xに隣接する二つのサブ画素2100(2200,2300)のそれぞれの開口部2110(2210,2310)は、第2の方向yに互いに重なる重なり領域A2121(2221,2321)、重なり領域B2125(2225,2325)及び重なり領域C2126(2226,2326)と、互いに重ならない非重なり領域としての開口幅一定領域2123(2223,2323)と、を有する。重なり領域B,Cは縦開口幅和変動領域である。非重なり領域では、第1の方向xに関わらず縦開口幅2113(2213,2313)が常に一定である。この点において、本実施例2は実施形態1、2と異なる。サブ画素2100の重なり区間A2101Lの縦開口幅の和「2111L+2211R」、重なり区間B2105Lの縦開口幅の和「2115L+2216R」及び重なり区間C2106Lの縦開口幅の和「2116L+2215R」は、それぞれ開口幅一定区間2103の縦開口幅2113よりも大きい。同様に、重なり区間A2101Rの縦開口幅の和「2111R+2311L」、重なり区間B2105Rの縦開口幅の和「2115R+2316L」及び重なり区間C2106Rの縦開口幅の和「2116R+2315L」も、それぞれ開口幅一定区間2103の縦開口幅2113よりも大きい。
【0115】
本実施例2においても、サブ画素2100と隣接サブ画素2200との対向する開口辺同士が第1の方向xでずれている。具体的には、サブ画素2100の角部2100pとサブ画素2200の角部2200qとが第1の方向xにずれており、同様にサブ画素2100の角部2100qとサブ画素2200の角部2200pとが第1の方向xにずれている。本実施形態2のその他の構成は、実施形態4の実施例1と同様である。
【0116】
本実施例2における第1の方向xの位置と縦開口幅(縦開口幅の和)の関係を、
図20Bのプロット042に示す。実施形態4の実施例1と同様に、第1の方向xにおいて縦開口幅が変化する範囲をV1とすると、範囲V1内において縦開口幅の最大値Whと縦開口幅の最小値Wlとが生じている。よって、本実施例2によれば、実施形態4の実施例1と同様の効果を奏する。なお、本実施形態4のその他の構成、作用及び効果は、実施形態1〜3のそれらと同様である。
【0117】
<実施形態5(実施例1)>
本実施形態5では、各実施例間でサブ画素の形状が異なっていても、説明を簡潔にするためにサブ画素A,Bと呼ぶことにする。実施形態5の実施例1について
図21A及び
図21Bに基づき説明する。
図21Aのサブ画素は、実施形態4(実施例1)における開口形状、及び、液晶表示デバイスの横電界方式における画素電極又は共通電極を、模式的に示したものである。サブ画素の開口形状は実施形態4(実施例1)と同様に等脚台形であり、隣接するサブ画素同士は互いに180°回転対称の開口形状であり、これらのサブ画素が第1の方向xに交互に配列されている。また、第2の方向yに隣接したサブ画素同士も互いに180°回転対称の開口形状であり、これらのサブ画素が交互に配列されている。
【0118】
図21A及び
図21Bにおいて、電極a1の長手方向a2が液晶の初期配向方向(第1の方向x)に対し角度ψAをなすサブ画素Aと、電極b1の長手方向b2が液晶の初期配向方向(第1の方向x)に対し角度ψBをなすサブ画素Bとが存在する。横電界方式であるため、サブ画素Aに印加される電界方向a3は液晶の初期配向方向(第1の方向x)に対し角度ξAとなり、サブ画素Bに印加される電界方向b3は液晶の初期配向方向(第1の方向x)に対し角度ξBとなる。長手方向a2と電界方向a3とは直交し、長手方向b2と電界方向b3とは直交する。第1の方向xでは、サブ画素Aが二つ並び、これに隣接してサブ画素Bが二つ並ぶことにより、サブ画素Aとサブ画素Bとが二サブ画素周期で配列している。同様に、第2の方向yでも、サブ画素Aとサブ画素Bとが二サブ画素周期で配列している。特に第2の方向yに隣接する二つのサブ画素A(又は二つのサブ画素B)は、等脚台形の長辺側が互いに対向しており、同一の電極角度になっている。
【0119】
本実施例1は、次のように言い換えることもできる。サブ画素A,Bは、横電界駆動方式の液晶表示デバイスであり、それぞれ開口部内にストライプ状の電極a1,b1を有する。サブ画素Aの電極a1の長手方向a2と液晶初期配向(第1の方向x)との角度ψAと、サブ画素Aと同一視点用かつ第1の方向xに隣り合うサブ画素Bの電極b1の長手方向b2と液晶初期配向(第1の方向x)との角度ψBとが異なる。
【0120】
図22A及び
図22Bに、ポジ液晶(ε//-ε⊥>0)の初期配向と電極との関係を模式的に示す。これらの図では、初期配向の方向は第1の方向xと平行である。サブ画素Aでは電界方向a3が角度ξAになるように電圧が印加され、サブ画素Bでは電界方向b3が角度ξBになるように電圧が印加される(
図21B)。したがって、電圧が印加されたとき、サブ画素Aでは液晶分子pm0が基板平面に対し初期配向から反時計回りに回転し(矢印pa)、サブ画素Bでは液晶分子pm0が基板平面に対し初期配向から時計回りに回転する(矢印pb)。したがって、
図22Cに示すように、サブ画素Aとサブ画素Bとが周期的に配列している場合は、ある角度で観察するとサブ画素A(サブ画素B)の液晶分子pma(液晶分子pmb)の長軸方向とサブ画素B(サブ画素A)の液晶分子pmb(液晶分子pma)の短軸方向との両方から観察することになる。
【0121】
図22D及び
図22Eに、ネガ液晶(ε//-ε⊥<0)の初期配向と電極との関係を模式的に示す。これらの図では、初期配向の方向は第2の方向yと平行である。サブ画素Aでは、電界方向ξAになるように電圧が印加され、液晶分子nm0は基板平面に対し初期配向から反時計回りに回転する(矢印na)。サブ画素Bでは、電界方向ξBになるように電圧が印加され、液晶分子nm0は基板平面に対し初期配向から時計回りに回転する(矢印nb)。したがって、
図22Fに示すように、サブ画素Aとサブ画素Bとが周期的に配列している場合は、ある角度で観察するとサブ画素A(サブ画素B)の液晶分子nma(液晶分子pmb)の長軸方向とサブ画素B(サブ画素A)の液晶分子nmb(液晶分子pma)の短軸方向との両方から観察することになる。
【0122】
液晶分子を屈折率楕円体として見た場合、シングルドメイン構成では基板平面に対し液晶の長軸方向の視野角から眺めた場合及び短軸方向の視野角から眺めた場合に、長軸方向では青付いて視認され、短軸方向では黄色付いて視認される。ここで、各サブ画素ごとに電極方向(印加電界方向)を変えることにより、サブ画素Aとサブ画素Bとで液晶が相互に異なる方向に回転することになるので、どの視野角でも必ず屈折率楕円体の長軸と短軸とを同時に眺めることになる。なお、ψA≠ψBであれば、屈折率楕円体の軸を異なる方向から眺めることができ、色の補償が可能である。
図21Bにおいて、サブ画素Aの電極角度ψAとサブ画素Bの電極角度ψBとは、液晶の初期配向方向に対して互いに線対称の関係(ψA=180°−ψB)にある。この関係にある場合、サブ画素A,Bに同一電界が印加されたとき、サブ画素A,Bの液晶はそれぞれ異なる回転方向に同一角度で回転することになるため、より良好な表示特性が得られる。
【0123】
裸眼式立体表示装置の場合には更に検討すべきことがある。なぜなら、レンズ等の光線制御手段により各サブ画素からの出射光は指向性を持ち、ある視野角からは視認されないサブ画素が存在するからである。
【0124】
本実施例1は2視点を表示するサブ画素のマトリックスの例であり、同一視点用のサブ画素同士でサブ画素Aとサブ画素Bとが隣接し、それらの電極角度は相互に異なっている。
図21Aでは全てのサブ画素が前述の関係になっている。本構成により同一視点ではサブ画素A及びサブ画素Bを相互に視認することになり、屈折率楕円体の長軸及び短軸を同時に眺めることになるため、良好な立体表示特性を得ることができる。
【0125】
<実施形態5(実施例2)>
実施形態5の実施例2について、
図23A及び
図23Bを用いて説明する。本実施例2は実施形態5の実施例1と異なり、サブ画素A,Bの開口形状が実施形態1(実施例1)と同様となっている。本実施例2によれば、実施形態1、2の各開口形状を用いても、実施形態5の実施例1と同様に良好な表示特性を得ることができる。
【0126】
<実施形態5(実施例3)>
本実施形態5の実施例3〜5でいう「第1の方向(図面の左右方向)」及び「第2の方向(図面の上下方向)」は、他の図面における「第1の方向x」及び「第2の方向y」に相当する。
図24A、
図24B及び
図24Cは実施例3の構成例を示した図表である。本実施例3では、第1の方向に隣接する同一視点用サブ画素が、互いに電極角度の異なる2種のサブ画素である。
図24A及び
図24Bは、2視点の場合のサブ画素マトリックスのサブ画素Aとサブ画素Bとの配列をそれぞれ示している。具体的には、最左端の画素は右視点用の画素列であり、その右隣りは左視点用の画素列となっている。以降この繰り返しでサブ画素マトリックスを形成している。そして右視点画素列に着目すると、隣接するサブ画素の配列がサブ画素A列とサブ画素B列とで交互に替わっている。第2の方向に着目すると、サブ画素Aとサブ画素Bとで互いに入れ替わっていない。この構成でも同一視点かつ第1の方向に隣接したサブ画素同士は互いに電極角度が異なっているため、光線制御手段を透過した後のどの視野角でも屈折率楕円体の長軸と短軸とを同時に眺めることになる。
【0127】
図24Cは、N視点の立体表示装置の場合における、サブ画素マトリックスのサブ画素Aとサブ画素Bとの配列を示している。ここで、Nは2以上の整数である。1視点用のサブ画素列に着目すると、最左端のサブ画素列は全てサブ画素Aになっており、その隣の1視点用のサブ画素列は全てサブ画素Bになっている。以降隣接する1視点用のサブ画素列がサブ画素Aとサブ画素Bとで交互に替わっている。他の視点用のサブ画素列も同様に隣接サブ画素列で交互に替わっている。なお、第2の方向に着目すると、サブ画素は交互に入れ替わっていないが、N視点の場合でも
図21A又は
図23Aのように交互に入れ替えることができる。
【0128】
<実施形態5(実施例4)>
図25A及び
図25Bは実施例4の構成例を示した図表である。本実施例4では、第1の方向に隣接する同一視点用サブ画素が、互いに電極角度の異なる2種のサブ画素である。かつ、第2の方向に前記2種のサブ画素が1又は2サブ画素周期で配列している。
図25A及び
図25Bは、2視点の場合のサブ画素マトリックスのサブ画素Aとサブ画素Bとの配列を示している。第1の方向での隣接する同一視点用のサブ画素は、実施形態5の実施例1、2で述べたサブ画素配列の構成と同様になっている。
図25Aでは、第2の方向でサブ画素Aとサブ画素Bが1サブ画素ごとに交互に入れ替わっている。また、
図25Bでは、第2の方向でサブ画素Aとサブ画素Bとが2サブ画素ごとに交互に入れ替わっている。この
図25Bは、
図21A又は
図23で示した画素配列と同様の構成になっている。
【0129】
図25A及び
図25Bの構成は、
図24A及び
図24Bの構成と比較して第2の方向でもサブ画素Aとサブ画素Bとが入れ替わっており、屈折率楕円体の長軸と短軸を第2の方向に配置されたサブ画素間でも眺めることになるため、より良好な立体表示特性を得ることができる。
【0130】
<実施形態5(実施例5)>
図26A及び
図26Bは実施例5の構成例を示した図表である。本実施例5では、第1の方向に隣接する同一視点用かつ同一色のサブ画素が、互いに電極角度の異なる2種のサブ画素である。
図26A及び
図26Bは、2視点の場合のサブ画素マトリックスのサブ画素Aとサブ画素Bとの配列であって、それぞれのサブ画素が色表示機能を有しておりそれぞれ赤(R)、緑(G)又は青(B)の三つの色の何れかを表示する。
図26Aでは各色が縦ストライプ配列となっており、
図26Bでは各色が横ストライプ配列になっている。
【0131】
図26Aにおける最左端のサブ画素列は、右視点用かつ赤表示用のサブ画素列であり、第2の方向にサブ画素Aからサブ画素Bに交互に入れ替わって配列している。そして、このサブ画素列と同じ右視点かつ赤表示用の第1の方向に隣接するサブ画素列は、第1の方向にサブ画素A(サブ画素B)からサブ画素B(サブ画素A)に入れ替わっている。以降同じ右視点かつ赤表示用の第1の方向に隣接するサブ画素列で、サブ画素Aとサブ画素Bとが交互に入れ替わって配列されている。他の視点及び他の色列においても同様に、第1の方向に隣接する同一視点かつ同一色のサブ画素列で、第1の方向にサブ画素Aとサブ画素Bとが交互に入れ替わっている。
【0132】
一方、
図26Bにおいて、最左端のサブ画素列は右視点用であり、n行は赤表示用のサブ画素、n+1行は緑表示用のサブ画素、以降青→赤・・・と第2の方向に3色が入れ替わり配列されている。ここでnは自然数である。最左端のサブ画素列に対して第1の方向に隣接する右視点用のサブ画素列は、n行(R)にてサブ画素Aからサブ画素Bに入れ替わっており、n+1行(G)ではサブ画素Bからサブ画素Aに入れ替わっている。以降他の行においても同様に、サブ画素A(サブ画素B)からサブ画素B(サブ画素A)に入れ替わっている。したがって、
図26Bの構成は、
図26Aと同様、第1の方向に隣接する同一視点かつ同一色のサブ画素列で、第1の方向にサブ画素Aとサブ画素Bとが交互に入れ替わっている。なお、サブ画素の色表示機能は、赤(R)、緑(G)及び青(B)の三つに限らず、(例えばこれらに白(W)を加えた)四つ以上としてもよい。
【0133】
実施形態5の各実施例は、液晶表示デバイスで本発明を実施した例であり、実施形態5に限らず他の実施形態にも適用可能である。したがって、実施形態5の各実施例は、
図21A及び
図23Aで示したサブ画素形状及びサブ画素配列に限定されるものではなく、他の実施形態におけるサブ画素形状及びサブ画素配列と任意に組み合わせることができる。本実施形態5のその他の構成、作用及び効果は、実施形態1〜4のそれらと同様である。
【0134】
<補足>
上記各実施形態で述べた本発明の複数の構成要素は、上述の具体的なものに限定されるものではない。例えば、これまでの説明においては、光線制御手段は、レンズを用いた構成としたが、これに限定されず、液晶レンズやパララックスバリアのような電気光学素子を用いることも可能である。更に、上記各実施形態に示された構成要素のうちいくつかを削除することができ、また異なる実施形態にかかる構成要素を適宜組み合わせることができる。
【0135】
上記の各実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
【0136】
[付記1]第1の方向及びこの第1の方向に略垂直な第2の方向にマトリックス状に配置され光学的な開口部を含むサブ画素、を有する表示パネルと、
この表示パネルに対向して配設され、前記第1の方向に光線を制御する光線制御手段と、
を備えた立体表示装置において、
前記第1の方向に隣接する二つの前記サブ画素のそれぞれの前記開口部は、前記第2の方向に互いに重なる重なり領域と重ならない非重なり領域とを有し、
前記開口部の前記第2の方向の幅を縦開口幅としたとき、前記非重なり領域は、前記縦開口幅が前記開口部の略中央から前記第1の方向の両端に向かってそれぞれ連続的に変化する開口幅変動領域を含み、
前記第1の方向の同じ位置における互いに重なる二つの前記重なり領域の前記縦開口幅の和は、前記開口部の前記略中央の前記縦開口幅よりも大きい、
ことを特徴とする立体表示装置。
【0137】
[付記2]前記第1の方向の同じ位置における互いに重なる二つの前記重なり領域の前記縦開口幅の和は、前記第1の方向のどの位置でも同じである、
付記1記載の立体表示装置。
【0138】
[付記3]前記第1の方向の同じ位置における互いに重なる二つの前記重なり領域の前記縦開口幅の和は、前記開口部の前記略中央の前記縦開口幅の1倍を越えて1.12倍以下となる範囲にある、
付記1又は2記載の立体表示装置。
【0139】
[付記4]前記開口部の周縁の辺を開口辺としたとき、前記開口幅変動領域に含まれる全ての前記開口辺は、前記重なり領域に含まれる全ての前記開口辺と非平行である、
付記1乃至3のいずれか一つに記載の立体表示装置。
【0140】
[付記5]前記非重なり領域は、前記縦開口幅が前記第1の方向のどの位置でも同じである開口幅一定領域を含む、
付記1乃至4のいずれか一つに記載の立体表示装置。
【0141】
[付記6]前記開口部の一端における前記第2の方向の位置と前記開口部の他端における前記第2の方向の位置との差の最大値を縦開口区間としたとき、この縦開口区間は前記縦開口幅の最大値よりも大きい、
付記1乃至5のいずれか一つに記載の立体表示装置。
【0142】
[付記7]前記縦開口区間を構成する前記一端及び前記他端の前記第2の方向の位置は、前記第1の方向に隣接する前記開口部同士で同じである、
付記6記載の立体表示装置。
【0143】
[付記8]第1の方向及びこの第1の方向に略垂直な第2の方向にマトリックス状に配置され光学的な開口部を含むサブ画素、を有する表示パネルと、
この表示パネルに対向して配設され、前記第1の方向に光線を制御する光線制御手段と 、
を備えた立体表示装置において、
前記第1の方向に隣接する二つの前記サブ画素のそれぞれの前記開口部は、前記第2の方向に互いに重なる重なり領域と重ならない非重なり領域とを有し、
前記開口部の前記第2の方向の幅を縦開口幅としたとき、前記重なり領域は、前記第1の方向の同じ位置における前記隣接する二つのサブ画素との前記縦開口幅の和が前記重なり領域の略中央から前記第1の方向の両端に向かってそれぞれ連続的に変化する縦開口幅和変動領域を二つ含み、
前記重なり領域の前記縦開口幅の和は、前記開口部の略中央の前記縦開口幅よりも大きい、
ことを特徴とする立体表示装置。
【0144】
[付記9]前記サブ画素は、横電界駆動方式の液晶表示デバイスであり、
前記開口部内にストライプ状の電極を有し、
前記サブ画素の前記電極の長手方向と液晶初期配向との角度と、当該サブ画素と同一視点用かつ前記第1の方向に隣り合うサブ画素の前記電極の長手方向と液晶初期配向との角度とが異なる、
付記1又は8記載の立体表示装置。