(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開口部の前記第2の方向の幅を縦開口幅としたとき、前記縦光量変動領域は、前記縦開口幅が前記開口部の略中央から前記第1の方向の両端に向かってそれぞれ連続的に変化する、
請求項1又は2記載の立体表示装置。
前記開口部の前記第2の方向の幅を縦開口幅とし、前記開口部の一端における前記第2の方向の位置と前記開口部の他端における前記第2の方向の位置との差の最大値を縦開口区間としたとき、この縦開口区間は前記縦開口幅の最大値よりも大きい、
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の立体表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述の関連技術を用いても、3Dモアレの視認性が十分に低減できないという問題がある。この問題について
図21A乃至
図24を用いて以下に詳述する。
【0011】
図21Aを参照して、理想的なサブ画素の構成について述べる。二つのサブ画素400,500は、第1の方向xに隣接して配置されている。光線制御手段であるレンズ1は、サブ画素400,500と対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。この構成のため、第1の方向xは光線分離方向と一致する。なお、二つのサブ画素400,500の光学的な開口部410,510の形状は説明の便宜上、略平行四辺形としている。
【0012】
まず、開口部410を第1の方向xにおいて二つの区間に分けて考える。第1の方向xのある区間では、開口部410が開口部510に第2の方向yに重畳している。その区間を重なり区間401Lとする。また、第1の方向xの他の区間では、開口部410が開口部510に第2の方向yに重畳していない。その区間を開口幅一定区間403とする。
【0013】
これに伴い、開口部410の形状も第1の方向xにおいて二つの領域に分けて考える。開口部410のうち、重なり区間401Lに属する領域を重なり領域421Lとし、開口幅一定区間403に属する領域を開口幅一定領域423とする。隣接する開口部510においても同様に考えることができ、開口部510のうち、重なり区間501Rに属する領域を重なり領域521Rとし、開口幅一定区間503に属する領域を開口幅一定領域523とする。なお、重なり区間は第2の方向yにおける開口部410,510同士の重畳によって規定される区間であるから、重なり区間401L,501Rの第1の方向xの位置は互いに一致している。
【0014】
ここで、開口部の幅のうち第2の方向yの幅を「縦開口幅」と定義する。開口幅一定領域423,523における縦開口幅413,513の大きさは、第1の方向xの位置に関わらず一定である。一方、重なり区間401L,501Rにおける縦開口幅411L,511Rの大きさは、第1の方向xの位置に応じて変化する。
【0015】
また、重なり区間401L,501R内の第1の方向xの同じ位置において、縦開口幅411L,511Rの和(以下「縦開口幅の和」という。)である「411L+511R」の値は、一定である。更に、縦開口幅の和「411L+511R」と縦開口幅413と縦開口幅513とは互いに同一の値である。
【0016】
次に、表示パネル上にマトリックス配列したサブ画素のうち、第1の方向に配列されたサブ画素群の縦開口幅の合計値に着目する。
図21Bは、
図21Aに示す理想的なサブ画素の構成における、第1の方向xの位置と縦開口幅の合計値との関係をプロット002で示したグラフである。ここで、縦開口幅の合計値とは、重なり区間401L,501Rでは二つの縦開口幅の和「411L+511R」であり、開口幅一定区間403では縦開口幅413の大きさであり、開口幅一定区間503では縦開口幅513の大きさである。
【0017】
上述のとおり、縦開口幅の和「411L+511R」と縦開口幅413と縦開口幅513とは互いに同一の値であるから、プロット002は第1の方向xの位置に対して常に一定となる。これにより、光線分離方向における3Dモアレの発生を抑制しようとしている。
【0018】
ところで、実際のサブ画素の光学的開口形状を構成する要素としては、電気光学素子の種類によって様々である。例えば、液晶ディスプレイにおいてはブラックマトリックスや信号配線など、プラズマディスプレイにおいては隔壁や表示電極など、有機ELディスプレイにおいては発光層領域や信号配線などがそれぞれ挙げられる。これらの各要素は一般的にフォトリソグラフィ技術を用いて製造されるため、これらの形状精度はフォトリソグラフィ技術のパターン精度に依存する。
【0019】
現在一般的に用いられるフォトリソグラフィ用の材料や製造装置を考慮すると、形状精度として数μm程度の加工バラつきを完全に無くすことは困難である。また、加工バラつきをサブμmレベル以下とするには、高価な材料や製造装置が必要になるので、安価な立体表示装置の提供が難しい。上記した加工バラつきには形状依存性も少なからず存在し、特に鋭角を伴う屈曲形状の加工精度バラつきは比較的大きくなる。この加工精度バラつきにより、例えば、サブ画素の光学的開口部の角に丸まりが生じたり、光学的開口部が全体的に大きくなったり又は小さくなったりする、といった出来映えに変動が生じることになる。
【0020】
図22Aは、
図21Aで示した理想的なサブ画素構成に対して、開口部に角の丸まりが生じたときの縦開口幅の変化についての説明図である。理想的なサブ画素の開口部410,510と、角の丸まりP,Qが生じたサブ画素400a,500aの開口部410a,510aとが、対応して記載されている。開口部410aは重なり領域421aL、開口幅変動領域422aL及び開口幅一定領域423aを含み、開口部510aは重なり領域521aR、開口幅変動領域522aR及び開口幅一定領域523aを含む。
【0021】
角の丸まりP,Qが存在する開口部410a,510aの重なり区間401aL,501aRは、理想的な開口部410,510の重なり区間よりも小さくなる。また、この変化により、重なり区間401aLと開口幅一定区間403aとの間に開口幅変動区間402aLが現れ、重なり区間501aRと開口幅一定区間503aとの間に開口幅変動区間502aRが現れる。これらの開口幅変動区間402aL,502aRは、理想的な開口部410,510であれば重なり区間になる部分が、加工精度バラつきによって角に丸まりP,Qが発生し、これらの区間で開口部が存在しなくなったことによって出現したものである。
【0022】
この場合における、第1の方向の位置と第1の方向に配列されたサブ画素群の縦開口幅の合計値とに着目した結果を、
図22Bに示す。つまり、
図22Bは、角の丸まりが存在する開口部について、第1の方向の位置と縦開口幅の合計値との関係を示したグラフである。
【0023】
図22Bにおいてプロット002aで示すように、角の丸まりP,Qの影響による開口幅変動区間402aL,502aRの出現に伴い、その区間において縦開口幅の値が急激に低下する位置S,Tが局所的に発生する。それらの位置S,T以外の重なり区間401aL,501aRおける縦開口幅の和の値「411aL+511aR」及び開口幅一定区間403a,503aにおける縦開口幅413a,513aの各値は、角の丸まりP,Qの影響を受けていないため変化していない。
【0024】
位置S,Tには縦開口幅変化値Wq'と縦開口幅変化区間Vq'が存在する。縦開口幅変化値Wq'は、開口部内の重なり区間に存在する辺(例えば開口辺400aA,500aBなど)の第1の方向xに対する角度θの大きさに依存する。また、縦開口幅変化区間Vq'は、この角度θの大きさに加えて、角の丸まりP,Qの大きさにも依存する。
【0025】
図23は、開口部の角に丸まりが発生した場合における、開口部の角の角度θと縦開口幅変化値Wq'及び縦開口幅変化区間Vq'との関係を示したグラフである。
【0026】
図23に示すように、角度θが大きくなると、縦開口幅変化値Wq'が大きく、縦開口幅変化区間Vq'が小さくなる。これとは逆に角度θが小さくなると、縦開口幅変化値Wq'が小さく、縦開口幅変化区間Vq'が大きくなる。したがって、3Dモアレの観点から言えば、角度θの小さい方が有利となる。ただし、角度θが小さすぎると、サブ画素の重なり区間が非常に大きくなるので、3Dクロストーク特性は悪化する傾向にある。
【0027】
また、近年の超高精細化に伴い、サブ画素サイズと配列ピッチが小さくなる場合には、角度θも大きくなることにより、上記したように3Dモアレは悪化する。そのため、
図21Aで示したような理想的なサブ画素構成では、この課題への対応が必須となる。
【0028】
図24は、
図22Bで示した角の丸まりにより縦開口幅の値が急激に低下する状態において、このときに生じる3Dモアレを観察者と立体視域との関係を用いて示した図である。
図24の横軸は第1の方向での観察角度であり、縦軸は観察角度に対する輝度分布である。二種類の点線は、サブ画素400aを右眼用画素とし、サブ画素500aを左眼用画素とした場合に、どちらか一方の画素のみに画像を出力したときの輝度分布を示す。つまり、Y1は右眼用画素に白、左眼用画素に黒を表示した場合の輝度分布であり、Y2は右眼用画素に黒、左眼用画素に白を表示した場合の輝度分布であり、Y3は両方の画素に白を表示した場合の輝度分布である。輝度の関係は、基本的にY3=Y1+Y2である。
【0029】
ここで、右眼用観察領域は800R、左眼用観察領域は800Lとなる。
図24に示すように、各観察領域の中心に観察者の両眼が配置されている場合は3Dモアレを認知することは無い。しかし、各観察領域の境界付近(例えば位置T,S)に観察者の両眼が配置される場合は、急激な輝度変化を認知することにより3Dモアレを知覚する。
【0030】
なお、この画像輝度が急激に低くなる場合には黒モアレといい、逆に高くなる場合は白モアレということとする。
図24は黒モアレが発生していることになる。
【0031】
このように関連技術で示された理想的な画素形状を実際の表示パネルに適用した場合、加工精度のバラつきにより、観察位置の移動に応じて急峻な輝度差が発生するので、3Dモアレが視認されることとなる。この対策として、例えば、鋭角部に補正パターンを入れて理想的な形状を実現する、という手法も考えられる。しかし、この場合は、補正パターンを入れても加工精度バラつきを十分に吸収できないだけでなく、高精細化するにつれてこのような補正パターン自身が配置できない又は補正パターンが機能しないという問題を生ずる。
【0032】
なお、3Dモアレの対策として、レンズのデフォーカスを応用してこの輝度明暗を緩和させる方法が考えられる。デフォーカスを応用する場合には、レンズの焦点距離に対してレンズ頂点からサブ画素までの距離(以下「レンズ画素間距離」という。)を変えて、急峻な輝度差を「ぼけ」させることよって3Dモアレを改善する。しかし、焦点距離を意図的にずらすことになるので、3Dクロストークに代表されるような立体表示特性は悪化することになる。
【0033】
また、デフォーカスを用いる場合には、レンズ画素間距離を高い精度で一定に保つことが重要である。このレンズ画素間距離のバラつきが大きいと、デフォーカスが更に悪化し、3Dクロストーク特性が大きく劣化するためである。ここで3Dクロストークとは、立体表示において、ある視点画像が他の視点画像に混入して表示される現象をいう。レンズ画素間距離を高精度で一定に保つためには、レンズ製造技術に加え、表示パネルの製造技術にも高い加工精度が求められる。
【0034】
高精細化に伴う狭ピッチのサブ画素をマトリックス配置した表示パネルにおいては、相対的に加工精度のバラつきが大きくなることにより、縦開口幅の変化がより大きくなる。そして、高画素数の表示パネルにおいては表示領域におけるサブ画素数が相対的に多くなるため、表示パネルの広範囲にわたって加工精度を保つ必要がある。
【0035】
そこで、本発明の目的は、高精細な表示や高歩留りを実現しつつ、良好な立体表示特性を実現する裸眼式立体表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明に係る立体表示装置は、
第1の方向及びこの第1の方向に略垂直な第2の方向にマトリックス状に配置され、光学的な開口部を含むサブ画素、を有する表示パネルと、
この表示パネルに対向して配設され、前記第1の方向に光線を制御する光線制御手段と、
を備えた立体表示装置において、
全ての前記サブ画素の前記開口部は、前記第1の方向に隣接す
る前記サブ画素
の前記開口部に対して、前記第2の方向に互いに重なる重なり領域と重ならない非重なり領域とを有し、
前記開口部の前記第2の方向に平行な直線状の開口から出射される光量を縦光量としたとき、前記非重なり領域は、前記縦光量が前記開口部の略中央から前記第1の方向の両端に向かってそれぞれ連続的に変化する縦光量変動領域を含み、
前記第1の方向の同じ位置における互いに重なる二つの前記重なり領域の前記縦光量の和は、前記開口部の前記略中央の前記縦光量よりも大きい、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、狭ピッチサブ画素を設けた表示パネルや高画素数の表示パネルを採用した裸眼式立体表示装置においても良好な立体表示特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】実施形態1の各実施例における立体表示装置を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1に示す立体表示装置を上から見た部分平面図である。
【
図3】
図3Aは、実施形態1の実施例1における構成を示す部分正面図である。
図3Bは、実施形態1の実施例1における第1の方向の位置と縦光量との関係を示すグラフである。
図3Cは、実施形態1の実施例1における第1の方向の位置とスリット角度との関係を示すグラフである。
【
図4】
図4Aは、ポジ液晶の場合におけるスリットの角度と液晶分子の回転角度との関係を示す説明図である。
図4Bは、ポジ液晶の場合におけるスリットの角度ごとの印加電圧と透過率との関係を示すグラフである。
【
図5】
図5Aは、ネガ液晶の場合におけるスリットの角度と液晶分子の回転角度との関係を示す説明図である。
図5Bは、ネガ液晶の場合におけるスリットの角度ごとの印加電圧と透過率との関係を示すグラフである。
【
図6】
図6Aは、実施形態1の実施例2における構成を示す部分正面図である。
図6Bは、実施形態1の実施例2における第1の方向の位置と縦光量との関係を示すグラフである。
図6Cは、実施形態1の実施例2における第1の方向の位置とスリット角度との関係を示すグラフである。
【
図7】
図7Aは、実施形態1の実施例3における構成を示す部分正面図である。
図7Bは、実施形態1の実施例3における第1の方向の位置と縦光量との関係を示すグラフである。
図7Cは、実施形態1の実施例3における第1の方向の位置とスリット角度との関係を示すグラフである。
【
図8】
図8Aは、実施形態1の実施例1における開口部に角の丸まりが発生した場合を示す部分正面図である。
図8Bは、
図8Aに示す場合における第1の方向の位置と縦光量との関係を示すグラフである。
【
図9】実施形態1の実施例1における開口部に角の丸まりが発生した場合の、観察者が視認する3Dモアレを示すグラフである。
【
図10】3Dモアレの主観評価結果を示すグラフである。
【
図11】
図11Aは、実施形態2における構成を示す部分正面図である。
図11Bは、実施形態2における第1の方向の位置と縦光量との関係を示すグラフである。
【
図12】
図12Aは、実施形態2における減光手段を示す部分正面図である。
図12Bは、
図12Aの減光手段における第1の方向の位置と透過率との関係を示すグラフである。
【
図13】実施形態2における立体表示装置の一例を示す分解斜視図である。
【
図14】
図14Aは、実施形態3の実施例1における構成を示す部分正面図である。
図14Bは、実施形態3の実施例1における第1の方向の位置と縦光量との関係を示すグラフである。
図14Cは、実施形態3の実施例1における第1の方向の位置とスリット角度との関係を示すグラフである。
【
図15】
図15Aは、実施形態3の実施例2における構成を示す部分正面図である。
図15Bは、実施形態3の実施例2における第1の方向の位置と縦光量との関係を示すグラフである。
図15Cは、実施形態3の実施例2における第1の方向の位置とスリット角度との関係を示すグラフである。
【
図16】
図16Aは、実施形態4の実施例1における構成を示す部分正面図である。
図16Bは、実施形態4の実施例1における第1の方向の位置と縦光量との関係を示すグラフである。
図16Cは、実施形態4の実施例1における第1の方向の位置とスリット角度との関係を示すグラフである。
【
図17】
図17Aは、実施形態4の実施例2における構成を示す部分正面図である。
図17Bは、実施形態4の実施例2における第1の方向の位置と縦光量との関係を示すグラフである。
図17Cは、実施形態4の実施例2における第1の方向の位置とスリット角度との関係を示すグラフである。
【
図18】
図18Aは、実施形態5の比較例における構成を示す部分正面図である。
図18Bは、実施形態5の比較例における第2の方向の位置と輝度との関係を示すグラフ(その1)である。
図18Cは、実施形態5の比較例における第2の方向の位置と輝度との関係を示すグラフ(その2)である。
【
図19】
図19Aは、実施形態5の実施例1における構成を示す部分正面図である。
図19Bは、実施形態5の実施例1における第2の方向の位置と輝度との関係を示すグラフ(その1)である。
図19Cは、実施形態5の実施例1における第2の方向の位置と輝度との関係を示すグラフ(その2)である。
【
図20】
図20Aは、実施形態5の実施例2における構成を示す部分正面図である。
図20Bは、実施形態5の実施例2における第2の方向の位置と輝度との関係を示すグラフ(その1)である。
図20Cは、実施形態5の実施例2における第2の方向の位置と輝度との関係を示すグラフ(その2)である。
【
図21】
図21Aは、関連技術における構成を示す部分正面図である。
図21Bは、関連技術における第1の方向の位置と縦開口幅との関係を示すグラフである。
【
図22】
図22Aは、関連技術における開口部に角の丸まりが発生した場合を示す部分正面図である。
図22Bは、
図22Aに示す場合における第1の方向の位置と縦開口幅との関係を示すグラフである。
【
図23】関連技術における開口部の角に丸まりが発生した場合の、開口部の角の角度θと縦開口幅変化値Wq'及び縦開口幅変化区間Vq'との関係を示すグラフである。
【
図24】関連技術における開口部に角の丸まりが発生した場合の、観察者が視認する3Dモアレを示すグラフである。
【
図25】
図25Aは、実施形態6における構成を示す部分正面図である。
図25Bは、実施形態6における第1の方向の位置と縦光量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については同一の符号を用いる。図面に描かれたハッチングは、当業者が理解しやすいように付したものであり、切断面を示すものではない。
【0040】
<実施形態1(全体構成)>
本発明に係る実施形態1の各実施例に共通する立体表示装置の全体構成について、
図1及び
図2に基づき説明する。
図1に示すように、立体表示装置3は、第1の方向x及び第1の方向xに略垂直な第2の方向yにマトリックス状に配置され、光学的な開口部を含むサブ画素(後述)を有する表示パネル2と、表示パネル2に対向して配設され、第1の方向xに光線を制御する光線制御手段としてのレンズ1と、を備えたものである。レンズ1は表示パネル2の観察者側に配設される。
図1ではわかりやすくするためレンズ1と表示パネル2とを離して示しているが、実際には
図2に示すようにレンズ1と表示パネル2とは互いに接した状態で用いられる。
【0041】
立体表示装置3は、本発明におけるサブ画素(後述)がマトリックス配列された表示パネル2を有するものであればよい。表示パネル2は、自発光型の表示装置であるプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ、又は非自発光型の液晶ディスプレイなどであってもよい。また、光線制御手段としてのレンズ1は、レンチキュラーレンズやGRINレンズやフライアイレンズなどを採用することができる。
【0042】
図2は、
図1に示す立体表示装置3の一部を上から見た平面図である。第1視点用のサブ画素4及び第2視点用のサブ画素5が表示パネル2にマトリックス配列され、これらのサブ画素対にレンズ1の単位レンズが対応して配置されている。観察面側には、第1視点画像の視域6及び第2視点画像の視域7が形成される。観察面側に各視点の視域を形成できれば、光線制御手段はレンズ1である必要はなく、視差バリアや出射光そのものが指向性を有するものも採用できる。
図2では二視点の立体表示装置3を示しているが、多視点やIP(インテグラルフォトグラフィー)の立体表示装置であっても、例えばサブ画素や光線制御手段のピッチを変更することにより、本発明を適用できる。
【0043】
<実施形態1(実施例1)>
実施形態1の実施例1について、
図3Aに基づき説明する。本実施例1におけるサブ画素110,120,130は、第1の方向xに沿って配列されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは、一対のサブ画素110,130と対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。この構成のため、第1の方向xは光線分離方向である観察者の視点方向と略平行である。
【0044】
以下、サブ画素110を中心に説明するが、これに隣接するサブ画素120,130についても同様である。また、他の実施形態及び実施例についても、図示する三つのサブ画素のうち中央の一つを中心に説明する。
【0045】
まず、本実施例1の概要を説明する。第1の方向xに隣接する三つのサブ画素110,120,130は、それぞれの開口部111,121,131を有する。開口部111は、第2の方向yに開口部121又は開口部131と互いに重なる重なり領域116L,116Rと重ならない非重なり領域117とを有する。開口部111の第2の方向yに平行な直線状の開口から出射される光量を「縦光量」としたとき、非重なり領域117は、縦光量が開口部111の略中央から第1の方向xの両端に向かってそれぞれ連続的に変化する縦光量変動領域118L,118Rを含む。そして、第1の方向xの同じ位置における互いに重なる二つの重なり領域116L,126Rの縦光量146L,156Lの和は、開口部111の略中央の縦光量149よりも大きい。
【0046】
また、第1の方向xの同じ位置における互いに重なる二つの重なり領域116L,126Rの縦光量146L,156Lの和は、第1の方向xのどの位置でも同じとしてもよい。
【0047】
表示パネル2(
図1及び
図2)は、上述したサブ画素110,120,130を有するものであれば有機ELディスプレイやプラズマディスプレイでもよいが、本実施例1では次のように液晶ディスプレイを用いている。サブ画素110は、FFS(Fringe Field Switching)モードの液晶表示デバイスであり、開口部111内に複数のストライプ状の電極101と電極101の周囲のスリット102とを有する。スリット102の長手方向と液晶初期配向(第1の方向x)との角度は、重なり領域116L,116Rにおいてφ1であり、縦光量変動領域118L,118Rにおいてφ1からφ2に変化する。かつ、角度の関係がφ1≠φ2である。
【0048】
以下、本実施例1について、
図3A乃至
図5Bに基づき更に詳しく説明する。
【0049】
図3Aでは、マトリックス配置された多数のサブ画素のうち、第1の方向xに平行に配置された三つのサブ画素110,120,130を図示している。サブ画素110は、FFS液晶駆動方式であるため、下部の電極(図示せず)と上部の電極101とを有する。電極101の周囲にはスリット102が配置されている。第1の方向xに対するスリット102の長手方向の角度φ(−90°<φ≦90°)はφ1とφ2とで構成されているため、開口部111内で液晶ドメインが二つ存在している。
図3Aでは、一例としてφ1=0°、φ2=−30°としている。
【0050】
なお、角度φは、第1の方向xの角度を0°とし、反時計回りを+方向、時計回りを−方向とする。このように定義すれば、−90°<φ≦90°の範囲で、全てのスリット102の長手方向の角度を規定することができる。
【0051】
図3Aにおいて、開口部111の形状は、第1の方向xに隣接する開口部121,131と、第2の方向yに重畳している。この重畳した第1の方向xに沿った区間を、重なり区間112L,112Rという。そして、重なり区間112L,112R内の光学的開口形状を重なり領域116L,116Rという。一方、開口部111内には、隣接する開口部121,131と第2の方向yに重畳していない区間も存在する。この重畳していない区間を非重なり区間113といい、非重なり区間113における光学的開口形状を非重なり領域117という。
【0052】
非重なり領域117は更に以下のように説明することができる。開口部111の略中央には、第2の方向yに平行な直線開口から出射される光量である縦光量が第1の方向xの位置に関わらず一定となっている区間が存在する。この区間を縦光量一定区間115といい、縦光量一定区間115における光学的開口形状を縦光量一定領域119という。また、非重なり領域117内には縦光量一定区間115の両側に、第1の方向xの位置によって縦光量が変動する縦光量変動区間114L,114Rが存在する。縦光量変動区間114L,114Rで規定される領域を縦光量変動領域118L,118Rという。
【0053】
第1の方向xの位置と縦光量の変化との関係を、
図3Bにプロット3bで表す。重なり区間112Lにける縦光量は、開口部111の縦光量146Lと開口部121の縦光量156Rとの和である。プロット3bからわかるように縦光量は、重なり区間112L,112Rにおいて最大値Whとなり、縦光量変動区間114L,114Rにおいて連続的に変化し、縦光量一定区間115において最小値Wlとなる。
【0054】
第1の方向xの位置とスリット102の角度との関係を、
図3Cにプロット3cで表す。開口部111内の複数の電極101に隣接する複数のスリット102の角度は、重なり区間112L,112Rにおいて全てφ1であり、縦光量一定区間115において全てφ2である。縦光量変動区間114L,114Rにおける複数のスリット102の角度は、φ1からφ2に屈曲しており、また各スリットごとにその屈曲する第1の方向xの位置が異なる。
【0055】
スリット102の角度と縦光量との関係を、FFSモードにおける印加電圧V及び透過率Tの観点から、
図4A及び
図4Bを用いて説明する。FFSモードは、上層の電極101からスリット102を経て下層の電極(図示せず)に至る電位差によってフリンジ電界を発生させ、このフリンジ電界によって液晶分子103を回転させる駆動方式である。
図4Aでは、スリット102の長手方向に対してポジ液晶(ε//−ε⊥>0)の初期配向方向pのなす角度ψ(0°≦ψ<180°)について、ψ=ψ1,ψ2の場合が図示されている。ここで、ε//はダイレクタ方向dの誘電率であり、ε⊥はダイレクタ方向dと直交方向の誘電率である。なお、初期配向方向pはラビング方向や光配向における偏光照射方向によって規定することができる。フリンジ電界はスリット102の長手方向と略垂直な方向(電界方向e)に発生するため、液晶分子103は初期配向方向pから反時計回りに回転することにより、その回転角度rは図示するようにψ1の場合よりもψ2の場合の方が小さくなる。
【0056】
なお、角度ψはスリット102の長手方向の角度を0°とし、反時計回りを+方向、時計回りを−方向とする。このように定義すれば、0°≦φ<180°の範囲ですべての液晶分子103の初期配向方向pの角度ψを規定することができる。
【0057】
図4Bに印加電圧と透過率の関係を概略的に示す。電圧V1における透過率を比較すると、ψ1の場合の透過率の方がψ2の場合の透過率よりも大きい。これは前述の液晶分子103の回転角度rの相違によるものである。そのため、ψ1の場合とψ2の場合では、開口面積が同一であっても、開口部111全体から出射される光量が異なることになる。
【0058】
図5Aは、ネガ液晶(ε//−ε⊥<0)の場合の初期配向方向nとスリット102の長手方向とのなす角度を示す。ネガ液晶の初期配向方向nはポジ液晶の初期配向方向pの+90°方向に設定している。液晶分子103は初期配向方向nから反時計回りに回転し、その回転角度rはψ11の場合よりψ12の場合の方が小さくなる。したがって、ポジ液晶の場合と同様に
図5Bに示すように、液晶の印加電圧Vと透過率Tの関係から、ψ11の場合とψ12の場合では、開口面積が同一であっても開口部111全体から出射される光量が異なることになる。
【0059】
図4A乃至
図5Bの結果から、スリット102の角度φが異なればV−T特性も異なることがわかる。したがって、液晶分子103の初期配向方向p,nを適切に設定することにより、
図3Bに示すように、重なり領域116L,116R及び縦光量一定領域119の各縦光量を設定することが可能となる。そして、縦光量変動領域118L,118Rではスリット102の角度φの屈曲する位置が第1の方向xにスリット102ごとに異なっているため、
図3Bのように縦光量を連続的に変化させることが可能となる。
【0060】
なお、
図3Aではφ1>φ2の関係になっているが、この大小関係が異なっていてもよい。なぜならば、(縦光量146L+縦光量156R)>縦光量148L>縦光量149の関係を成立させればよく、液晶分子103の配向方向の調整により任意に縦光量の大小関係を調整できるからである。
【0061】
また、重なり領域116Lにおける縦光量146L,156Rの和は、
図3Bでは第1の方向xの位置に関わらず一定となっているがこれに限定されず、(縦光量146L+縦光量156R)>縦光量148L>縦光量149が満足されていれば必ずしも一定である必要はない。
【0062】
<実施形態1(実施例2)>
実施形態1の実施例2について
図6Aに基づき説明する。サブ画素210は開口部211を含む。開口部211は、重なり区間212L,212Rと非重なり区間213とに分けられる。非重なり区間213は、縦光量変動区間214L,214Rと縦光量一定区間215とに分けられる。重なり区間212L,212Rは重なり領域216L,216R、非重なり区間213は非重なり領域217、縦光量変動区間214L,214Rは縦光量変動領域218L,218R、縦光量一定区間215は縦光量一定領域219にそれぞれ対応する。縦光量246Lは重なり領域216L、縦光量248Lは縦光量変動領域218L、縦光量249は縦光量一定領域219にそれぞれ対応する。サブ画素220,230もサブ画素210と同様の構成である。例えば、サブ画素220,230はそれぞれ開口部221,231を含み、重なり区間222Rは重なり領域226R及び縦光量256Rに対応する。
【0063】
実施例1と同様に、重なり領域216Lはスリット102の角度がφ1となる電極101のみで形成され、縦光量一定領域219はスリット102の角度がφ2となる電極101のみで形成されている。一方、縦光量変動領域218L,218Rは、実施例1と異なり、第1方向xの位置が縦光量一定区間215から重なり区間212L,212Rに近づくにつれて、複数の全てのスリット102の角度がφ2からφ1になだらかに変化する。本実施例2は、第1の方向xの位置に対して全てのスリット102の角度変化が同一であり、かつその変化がなだらかであることが特徴である。
【0064】
本実施例2のその他の構成は、
図6Aに示すように実施形態1の実施例1と同様である。本実施例2の作用及び効果も、
図6Bのプロット6b及び
図6Cのプロット6cで示すように実施形態1の実施例1と同様である。
【0065】
<実施形態1(実施例3)>
実施形態1の実施例3について
図7Aに基づき説明する。サブ画素310は開口部311を含む。開口部311は、重なり区間312L,312Rと非重なり区間313とに分けられる。非重なり区間313は縦光量変動区間314L,314Rに分けられる。重なり区間312L,312Rは重なり領域316L,316R、非重なり区間313は非重なり領域317、縦光量変動区間314L,314Rは縦光量変動領域318L,318Rにそれぞれ対応する。縦光量346Lは重なり領域316L、縦光量348Lは縦光量変動領域318Lにそれぞれ対応する。サブ画素320,330もサブ画素310と同様の構成である。例えば、サブ画素320,330はそれぞれ開口部321,331を含み、重なり区間322Rは重なり領域326R及び縦光量356Rに対応する。
【0066】
本実施例3において実施例1、2と異なるところは、縦光量一定領域が存在しない点である。つまり、本実施例3では、開口部311の非重なり領域317内におけるスリット102の角度が、第1の方向xの位置に対し常に連続的に変化している。また、開口部311の略中央では、スリット102の角度がφ2であり、縦光量349が最小値Wlとなる。縦光量変動領域318L,318Rの縦光量は、最小値Wlから重なり領域316L,Rに向かうにつれて連続的に増加している。
【0067】
本実施例3のその他の構成は、
図7Aに示すように実施形態1の実施例1と同様である。本実施例3の作用及び効果も、
図7Bのプロット7b及び
図7Cのプロット7cで示すように実施形態1の実施例1と同様である。
【0068】
<実施形態1(作用及び効果)>
本実施形態1における上記実施例1〜3は、理想的なサブ画素構成である。実施例1において、サブ画素の開口部に角の丸まりが生じた場合について、
図8Aを用いて説明する。
図8Aには、角の丸まりP,Qが生じたことにより変形した、サブ画素110a,120aの開口部111a,121a、開口部111aの重なり区間112aL、縦光量変動区間114aL及び重なり領域116aL、開口部121aの重なり区間122aR、縦光量変動区間124aR及び重なり領域126aRなどが示されている。
【0069】
第1の方向xの位置に対する縦光量の変化(重なり区間112aL,122aRにおいては縦光量の和の変化)を、
図8Bのプロット8bで示す。理想的なサブ画素と比較して、重なり区間112aL,122aRは角の丸まりP,Qによって縮小する。そして,この角の丸まりP,Qの生じた位置S,Tでは、縦光量の降下が生じる。具体的には、第1の方向xに沿って重なり領域116aL近傍の縦光量変化区間Vqで縦光量変化値Wqだけ下降し再び増加する、縦光量プロファイルとなる。
【0070】
この縦光量変化値Wqは、重なり区間112aL,126aRにおける縦光量の和である最大値Whと縦光量一定区間における縦光量である最低値Wlとの差Wh−Wl、よりも小さい値となっている。
図8Bに示す現象は、実施例2、3において開口部に角の丸まりが生じた場合も同様に見られる。
【0071】
図3Aに示すように、開口部111の略中央に位置する縦光量一定区間115における縦光量149(最小値Wl)は、他の区間の縦光量(重なり区間112L,122Rでは縦光量の和)に比べ小さくなっている。このことを、
図2に示す観察面に投影される立体視域(視域6,7)及び
図3Aに示すレンズ1とサブ画素110との位置関係の観点から考察すると、立体視域の略中央に投影される画像輝度は、縦光量一定区間115に対応した縦光量149(最小値Wl)に支配される。そのため、縦光量149(最小値Wl)はその他の観察角度における画像輝度より常に低くなっている。したがって、通常の立体観察位置から観察位置をずらした場合には、縦光量149(最小値Wl)より大きな縦光量が支配的となり、常に白モアレが発生することになる。
【0072】
この場合、上述したように(縦光量146L+縦光量156R)>縦光量148L>縦光量149が満足されていれば、常に白モアレを実現できるため、重なり区間112L,122Rにおける縦光量146L,156Rの和は必ずしも一定である必要はない。
【0073】
より具体的には以下のとおりである。
図8Bの状態における3Dモアレのイメージを
図9に示す。
図9には、重なり区間112aL,122aR、縦光量変動区間114aL,124aR、縦光量一定区間115a,125aなどが示されている。
図9の横軸は第1の方向xに対する観察角度であり、縦軸は観察角度に対する輝度分布である。点線は、サブ画素110を右眼用画素、サブ画素120を左眼用画素とした場合に、どちらか一方のサブ画素のみに画像を出力した場合の輝度分布を示す。Y1は右眼用画素に白、左眼用画素に黒を表示した場合の輝度分布であり、Y2は右眼用画素に黒、左眼用画素に白を表示した場合の輝度分布であり、Y3は両方の画素に白を表示した場合の輝度分布である。輝度の関係は、基本的にY3=Y1+Y2である。なお、
図9では、
図8Bのプロット8b(第1の方向xの位置に対する縦光量の変化)も重ねて表示する。
【0074】
ここで、右眼用観察領域は160R、左眼用観察領域は160Lとなる。
図8Bに示すように、各観察領域の境界付近(例えば位置S,T)に観察者の両眼が配置される場合においても、上述のとおりWh−Wl>Wqが成り立っているため、これにより黒モアレを抑制することができる。
【0075】
縦光量の変化における「連続的に変化」とは、ある第1の方向の位置に対する縦光量の値が一つに決められ、かつ第1の方向の位置の変化に対し縦光量の値が切れ目なく変化することをいう。縦光量が連続的変化することにより観察面に投影される画像輝度の変化が連続的になり良好な立体表示を実現できる。第1の方向の位置に対する縦光量の変化が微分可能なように、滑らかに変化する構成であればより望ましい。なお、角の丸まりが小さい場合には縦光量変化区間Vqの範囲は非常に小さくなるため、
図8Bにおいても光量一定領域から重なり領域近傍に向かって縦光量が連続的に増加していると言える。
【0076】
立体表示観察において白モアレが生じている場合と黒モアレが生じている場合に、観察者が感じる立体表示品位を一般的な評価画像を用いて評価した結果を、
図10に示す。横軸として縦光量差比率(Wh−Wl)/Wlをとり、縦軸を主観レベルとした。主観レベルは5段階で設定し、スコア5が最も良好な画質、スコア3は許容できる画質、スコア1が最も受け入れられない画質である。評価結果は、被験者10名のスコア平均と標準偏差を示している。横軸の正の領域は白モアレの発生している領域であり、負の領域は黒モアレの発生している領域である。この評価によれば白モアレ領域の方が主観的に許容される領域が広いという結果が得られた。また縦光量差比率の値として−4%から12%の範囲が主観的に許容される範囲となった。
図10に示す評価結果から、次の(1)、(2)のことが言える。
【0077】
(1)縦光量差比率の値が12%以下の範囲が許容され、かつ黒モアレが許容されない場合、重なり領域の縦光量の和が縦光量一定領域の縦光量の1倍を越えて1.12倍以下までの範囲にあることが望ましい。
【0078】
(2)関連技術では理想形のサブ画素構成に対して加工精度のバラつきが生じると必ず黒モアレが生じ、観察者が主観的に許容できる範囲が狭い。一方、本実施形態1においては、理想形のサブ画素構成に対して加工精度のバラつきが生じても黒モアレを抑制すると同時に、白モアレを意図的に生じさせる構成のため、観察者が許容できる範囲は関連技術に比べ広くなる。これにより、高精細化に伴う狭ピッチのサブ画素を有する表示パネルや高画素数の表示パネルを採用した裸眼式立体表示装置において、より顕著に良好な立体表示特性を実現することができる。
【0079】
<実施形態2>
実施形態2について
図11Aに基づき説明する。サブ画素610は開口部611を含む。開口部611は、重なり区間612L,612Rと非重なり区間613とに分けられる。非重なり区間613は、縦光量変動区間614L,614Rと縦光量一定区間615とに分けられる。重なり区間612L,612Rは重なり領域616L,616R、非重なり区間613は非重なり領域617、縦光量変動区間614L,614Rは縦光量変動領域618L,618R、縦光量一定区間615は縦光量一定領域619にそれぞれ対応する。縦光量646Lは重なり領域616L、縦光量648Lは縦光量変動領域618L、縦光量649は縦光量一定領域619にそれぞれ対応する。サブ画素620,630もサブ画素610と同様の構成である。例えば、サブ画素620,630はそれぞれ開口部621,631を含み、重なり区間622Rは重なり領域626R及び縦光量656Rに対応する。
【0080】
本実施形態2では、実施形態1と同様に、重なり区間612L,612R及び非重なり区間613が存在する。それぞれの区間によって規定される光学的開口形状はそれぞれ重なり領域616L,616R及び非重なり領域617である。非重なり区間613内に縦光量一定区間615及び縦光量変動区間614L,614Rが存在する。そしてそれぞれの区間に対応して縦光量一定領域619及び縦光量変動領域618L,618Rが存在する。
【0081】
第1の方向xの位置と縦光量との関係は、
図11Bのプロット11bの示すとおりである。重なり区間612L,612Rにおける縦光量646L,656Rの和が最大値Whとなり、縦光量一定区間615における縦光量649が最小値Wlとなる点は、実施形態1と同様である。
【0082】
図11A及び
図11Bに示す縦光量を実現するには、例えば減光手段を用いる。
図12A及び
図12Bにおいて減光手段の概略を説明する。
図12Aは、減光手段8の透過率分布を概略的に示したものである。第1の方向xの位置に応じてその透過率が変化している。具体的には、光学濃度一定区間662の透過率はT1であり、光学濃度一定区間665の透過率はT2(<T1)であり、光学濃度変動区間664の透過率はT1からT2まで連続的に変化する。光学濃度一定区間662は重なり区間612L、光学濃度一定区間665は縦光量一定区間615、光学濃度変動区間664は縦光量変動区間614Lにそれぞれ対応する。第1の方向xの位置と透過率(OD(Optical Density)値)との関係を、
図12Bのプロット12bで示す。T1とT2の大小関係としてT1>T2が成立している。
【0083】
上述の本実施形態2の構成により、第1の方向xの位置に対する縦光量の変化を、実施形態1(
図3B)と同様にできる。また、角の丸まりが生じた場合にも、
図8Bと同様の縦光量の変化となるため、実施形態1と同様に白モアレを実現することができる。更に、本実施形態2においては、角の丸まりの影響を受けない減光手段8により本発明が構成されているため、優れた立体表示特性を得ることができる。
【0084】
本実施形態2の立体表示装置の全体構成の一例を
図13に示す。立体表示装置9は、減光手段としてND(Neutral Density)フィルタ8aを採用し、これを表示パネル2上に対向して配置している。このNDフィルタ8aは、図示するように表示パネル2の観察面側に配置してもよいし、光線制御手段としてのレンズ1の観察面側に配置してもよく、又は表示パネル2が液晶ディスプレイであればその観察面の反対側すなわちバックライト側に配置してもよい。立体表示装置9のその他の構成は、
図1に示す立体表示装置1と同様である。
【0085】
なお、減光手段としてNDフィルタ以外の構成も採用することができる。実施形態1のように、画素単位で縦光量できるものが望ましく、例えば、LCDを構成するカラーフィルターの色層に透過率分布を有しているものや、レンズそのものに透過率分布を有しているものでもよい。更に、有機ELのような自発光デバイスにおいては、画素単位内で出射光強度が分布を有しているもの(例えば、画素単位内で有機EL層の膜厚を、縦光量一定区間で大きくし重なり区間に向けて徐々に小さくするといった膜厚可変構成など)でもよい。これらの場合は、NDフィルタを配置する必要はないため、
図1に示した立体表示装置の全体構成と同様となる。本実施形態2のその他の構成、作用及び効果は、実施形態1のそれらと同様である。
【0086】
<実施形態3(実施例1)>
実施形態3は、実施形態1で説明した縦光量の変化に加え、縦開口幅も変化させる構成である。実施形態1、2のように出射光量を調整するのではなく、第2の方向に平行な直線開口の長さを増減させる、つまり縦開口幅の調整によっても、縦光量を調整することが可能である。ここで、「縦開口幅」とは、開口部の第2の方向の幅であり、第1の方向の位置に応じて変化する。各図において、縦開口幅は縦光量と同じ矢印で示せるので、縦開口幅の符号は縦光量の符号に括弧書きで併記する。
【0087】
本実施形態3の実施例1について
図14Aに基づき説明する。サブ画素710は開口部711を含む。開口部711は、重なり区間712L,712Rと非重なり区間713とに分けられる。非重なり区間713は、縦光量変動区間714L,714Rと縦光量一定区間715とに分けられる。重なり区間712L,712Rは重なり領域716L,716R、非重なり区間713は非重なり領域717、縦光量変動区間714L,714Rは縦光量変動領域718L,718R、縦光量一定区間715は縦光量一定領域719にそれぞれ対応する。縦光量746L及び縦開口幅746Lwは重なり領域716L、縦光量748L及び縦開口幅748Lwは縦光量変動領域718L、縦光量749及び縦開口幅749wは縦光量一定領域719にそれぞれ対応する。サブ画素720,730もサブ画素710と同様の構成である。例えば、サブ画素720,730はそれぞれ開口部721,731を含み、重なり区間722Rは重なり領域726R、縦光量756R及び縦開口幅756Rwに対応する。
【0088】
縦光量変動領域718Lでは、縦開口幅748Lwが開口部711の略中央から第1の方向xの両端に向かってそれぞれ連続的に変化する。このことは、縦光量変動領域718Rでも同様である。なお。縦開口幅の変化における「連続的に変化」とは、前述した縦光量の変化における「連続的に変化」と同様である。
【0089】
本実施例1について更に詳しく説明する。本実施例1では、
図14Aに示すとおり、実施形態1の実施例1と同様に、第1の方向xの位置における重なり区間712L,712R、非重なり区間713、縦光量一定区間715及び縦光量変動区間714L,714Rに対応して、重なり領域716L,716R、非重なり領域717、縦光量一定領域719及び縦光量変動領域718L,718Rが存在している。ここで、各スリット102の角度φ1,φ2については、実施形態1の実施例1で説明した
図3Cと同様である。
【0090】
また、縦開口幅の構成は
図14Cに示すプロット14cのとおりである。実施形態1の実施例1では、縦開口幅が第1の方向の位置に関わらず常に一定である。これに対し、本実施例1では、縦光量変動領域718Lの縦開口幅748Lwは重なり区間712Lから縦光量一定区間715の方向に向かって、最大値Yhから最小値Ylへ連続的に減少するように変化する。また、縦光量一定領域719の縦開口幅749wは第1の方向xの位置に関わらず一定(最小値Yl)であり、重なり領域716L,726Rにおける縦開口幅746Lw,756Rwの和は第1の方向xの位置に関わらず一定(最大値Yh)である。
【0091】
なお、縦光量変動区間714Rにおいて各スリット102の角度は、第1の方向xの互いに異なる位置でφ1からφ2へ屈曲する構成であるが、実施形態1の実施例2と同様になだらかに変化する構成としてもよい。また、縦開口幅746Lw,756Rwの和又は縦光量746L,756Rの和が第1の方向xの位置に対して必ずしも一定である必要がないことは、実施形態1と同様である。
【0092】
図14Cにプロット14cで示す縦開口幅を用いることにより、第1の方向xの位置と縦光量との関係は
図14Bのプロット14bで示すとおりになる。なお、
図14Bには、縦開口幅が第1の方向Xの位置に関わらず常に一定(最大値Yh)である、実施形態1の実施例1の縦光量のプロット3bも、比較のために併記している。
【0093】
本実施例1によれば、縦光量変動領域718Lで縦開口幅748Lwを重なり区間712Lから縦光量一定区間715へ向かって、連続的に減少するように変化させることにより、
図14Bのプロット14bに示すように、実施形態1の実施例1(プロット3b)と比較して、縦光量の最大値Whと最小値Wlとの差をより大きくすることが可能となる。本実施例1のその他の構成、作用及び効果は、実施形態1のそれらと同様である。
【0094】
<実施形態3(実施例2)>
実施形態3の実施例2について
図15Aに基づき説明する。サブ画素760は開口部761を含む。開口部761は、重なり区間762L,762Rと非重なり区間763とに分けられる。非重なり区間763は、縦光量変動区間764L,764Rと縦光量一定区間765とに分けられる。重なり区間762L,762Rは重なり領域766L,766R、非重なり区間763は非重なり領域767、縦光量変動区間764L,764Rは縦光量変動領域768L,768R、縦光量一定区間765は縦光量一定領域769にそれぞれ対応する。縦光量796L及び縦開口幅796Lwは重なり領域766L、縦光量798L及び縦開口幅798Lwは縦光量変動領域768L、縦光量799及び縦開口幅799wは縦光量一定領域769にそれぞれ対応する。サブ画素770,780もサブ画素760と同様の構成である。例えば、サブ画素770,780はそれぞれ開口部771,781を含み、重なり区間772Rは重なり領域776R、縦光量806R及び縦開口幅806Rwに対応する。縦光量変動領域768Lでは、縦開口幅798Lwが開口部761の略中央から第1の方向xの両端に向かってそれぞれ連続的に変化する。このことは、縦光量変動領域768Rでも同様である。
【0095】
本実施例2について更に詳しく説明する。本実施例2では、
図15A及び
図15C(プロット15c)に示すとおり、縦光量変動領域768Lにおける縦開口幅798Lwが重なり区間762Rから縦光量一定区間765に向かって連続的に増加している。本実施例2によれば、このような縦開口幅798Lwを用いることにより、
図15Bのプロット15bに示すように、実施形態1の実施例1(プロット3b)と比較して、縦光量の最大値Whと最小値Wlとの差をより小さくすることが可能となる。本実施例2のその他の構成、作用及び効果は、実施形態3の実施例1のそれらと同様である。
【0096】
本実施形態3によれば、このように縦光量のプロファイル(振幅)を、スリットの角度だけでなく、縦開口幅によっても調整することが可能である。本実施形態3の構成により、レイアウトの制約条件に応じてスリット角度及び縦開口幅の両方を任意に調整することができるため、レイアウト制約条件の多い高精細画素であっても良好な立体表示が可能となる。
【0097】
<実施形態4(実施例1)>
実施形態4は、実施形態2で説明した縦光量の変化に加え、縦開口幅も変化させる構成である。
【0098】
本実施形態4の実施例1について
図16Aに基づき説明する。サブ画素810は開口部811を含む。開口部811は、重なり区間812L,812Rと非重なり区間813とに分けられる。非重なり区間813は、縦光量変動区間814L,814Rと縦光量一定区間815とに分けられる。重なり区間812L,812Rは重なり領域816L,816R、非重なり区間813は非重なり領域817、縦光量変動区間814L,814Rは縦光量変動領域818L,818R、縦光量一定区間815は縦光量一定領域819にそれぞれ対応する。縦光量846L及び縦開口幅846Lwは重なり領域816L、縦光量848L及び縦開口幅848Lwは縦光量変動領域818L、縦光量849及び縦開口幅849wは縦光量一定領域819にそれぞれ対応する。サブ画素820,830もサブ画素810と同様の構成である。例えば、サブ画素820,830はそれぞれ開口部821,831を含み、重なり区間822Rは重なり領域826R、縦光量856R及び縦開口幅856Rwに対応する。
【0099】
縦光量変動領域818Lでは、縦開口幅848Lwが開口部811の略中央から第1の方向xの両端に向かってそれぞれ連続的に変化する。このことは、縦光量変動領域818Rでも同様である。
【0100】
本実施例1について更に詳しく説明する。本実施例1では、
図16Aに示すとおり、実施形態2と同様、第1の方向xの位置における重なり区間812L,812R、非重なり区間813、縦光量一定区間815及び縦光量変動区間814L,814Rに対応して、重なり領域816L,816R、非重なり領域817、縦光量一定領域819及び縦光量変動領域818L,818Rが存在している。
【0101】
また、縦開口幅の構成は
図16Cに示すプロット16cのとおりである。実施形態2では、縦開口幅が第1の方向の位置に関わらず常に一定である。これに対し、本実施例1では、縦光量変動領域818Lの縦開口幅848Lwは重なり区間812Lから縦光量一定区間815の方向に向かって、最大値Yhから最小値Ylへ連続的に減少するように変化する。また、縦光量一定領域819の縦開口幅849wは第1の方向xの位置に関わらず一定(最小値Yl)であり、重なり領域816L,826Rにおける縦開口幅846Lw,856Rwの和は第1の方向xの位置に関わらず一定(最大値Yh)である。なお、縦光量846L,856Rの和が第1の方向xの位置に対して必ずしも一定である必要がないことは、実施形態2と同様である。
【0102】
図16Cにプロット16cで示す縦開口幅を用いることにより、第1の方向xの位置と縦光量との関係は
図16Bのプロット16bで示すとおりになる。なお、
図16Bには、縦開口幅が第1の方向Xの位置に関わらず常に一定(最大値Yh)である、実施形態2の縦光量のプロット11bも、比較のために併記している。
【0103】
本実施例1によれば、縦光量変動領域818Lで縦開口幅848Lwを重なり区間812Lから縦光量一定区間815へ向かって、連続的に減少するように変化させることにより、
図16Bのプロット16bに示すように実施形態2(プロット11b)と比較して縦光量の最大値Whと最小値Wlとの差をより大きくすることが可能となる。本実施例1のその他の構成、作用及び効果は、実施形態2のそれらと同様である。
【0104】
<実施形態4(実施例2)>
実施形態4の実施例2について
図17Aに基づき説明する。サブ画素860は開口部861を含む。開口部861は、重なり区間862L,862Rと非重なり区間863とに分けられる。非重なり区間863は、縦光量変動区間864L,864Rと縦光量一定区間865とに分けられる。重なり区間862L,862Rは重なり領域866L,866R、非重なり区間863は非重なり領域867、縦光量変動区間864L,864Rは縦光量変動領域868L,868R、縦光量一定区間865は縦光量一定領域869にそれぞれ対応する。縦光量896L及び縦開口幅896Lwは重なり領域866L、縦光量898L及び縦開口幅898Lwは縦光量変動領域868L、縦光量899及び縦開口幅899wは縦光量一定領域869にそれぞれ対応する。サブ画素870,880もサブ画素860と同様の構成である。例えば、サブ画素870,880はそれぞれ開口部871,881を含み、重なり区間872Rは重なり領域876R、縦光量906R及び縦開口幅906Rwに対応する。縦光量変動領域868Lでは、縦開口幅898Lwが開口部861の略中央から第1の方向xの両端に向かってそれぞれ連続的に変化する。このことは、縦光量変動領域868Rでも同様である。
【0105】
本実施例2について更に詳しく説明する。本実施例2では、
図17A及び
図17C(プロット17c)に示すとおり、縦光量変動領域868Lにおける縦開口幅898Lwが重なり区間862Rから縦光量一定区間865に向かって連続的に増加している。本実施例2によれば、このような縦開口幅898Lwを用いることにより、
図17Bのプロット17bに示すように、実施形態2(プロット11b)と比較して、縦光量の最大値Whと最小値Wlとの差をより小さくすることが可能となる。本実施例2のその他の構成、作用及び効果は、実施形態4の実施例1のそれらと同様である。
【0106】
本実施形態4では、第1の方向の位置における縦光量及び縦開口幅の両方を変化させることにより、白モアレを実現している。これにより、加工精度のバラツキによって縦開口幅の丸まりが生じた場合でも、縦光量により白モアレを保つことができ、また縦光量のバラツキが生じた場合でも、縦開口幅により白モアレを保つことができるため、製造バラつきによる影響をより軽減することができる。
【0107】
<実施形態5(比較例)>
実施形態5の実施例について説明する前に、まず比較例を
図18Aに示す。本比較例のサブ画素900UL,900DL,900UR,900DRのそれぞれの開口部901UL,901DL,901UR,901Dは、実施形態2における開口部と同じ形状及び縦光量であり、2×2のマトリックス状に配置されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは、一対のサブ画素900UL(900DL),900UR(900DR)に対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。
図18Bは、開口部901UL,901DLにおける第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット902Lとして示したグラフである。同様に
図18Cは、開口部901UR,901DRの第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット902Rとして示したグラフである。
【0108】
開口部901UL,901URが第2の方向yに対して互いにずれて配置され、開口部901DL,901DRが第2の方向yに対して互いにずれて配置されていることから、プロット902Lとプロット902Rとの間で第2の方向yにおける輝度分布の変化の極大値にズレが生じる。レンズ1は第2の方向yに光線を振り分けることができないため、この第2の方向yに対して異なる輝度分布が観察面にそのまま投影され、その結果画像の粒状感を生じることになる。
【0109】
<実施形態5(実施例1)>
図19Aは、実施形態5の実施例1として、サブ画素910UL,910DL,910UR,910DRを示す。サブ画素910UL,910DL,910UR,910DRのそれぞれの開口部911UL,911DL,911UR,911DRは、上記比較例における開口部の形状を第2の方向yに拡げたような形状であり、2×2のマトリックス状に配置されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは、一対のサブ画素910UL(910DL),910UR(910DR)に対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。開口部911URは、例えば実施形態2における開口部及び縦光量と同様に、重なり領域、縦光量変動領域及び縦光量一定領域を有する。他の開口部911UL,911DL,911DRも同様である。
【0110】
図19Bは、開口部911UL,911DLにおける第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット912Lとして示したグラフである。同様に
図19Cは、開口部911UR,911DRの第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット912Rとして示したグラフである。本実施例1では、比較例(
図18B及び
図18C)と異なり、第2の方向yにおける輝度分布の変化の極大値にズレがほとんど生じていない。したがって、本実施例1によれば、観察面の視点方向の異なる位置で生じる輝度明暗がほぼ同様となり、その結果粒状感を抑制することができる。
【0111】
<実施形態5(実施例2)>
図20Aは、実施形態5の実施例2として、サブ画素920UL,920DL,920UR,920DRを示す。サブ画素920UL,920DL,920UR,920DRのそれぞれの開口部921UL,921DL,921UR,921DRは、上記実施例1における開口部とは異なる形状を第2の方向yに拡げたような形状であり、2×2のマトリックス状に配置されている。光線制御手段であるレンズ1の単位レンズは、一対のサブ画素920UL(920DL),920UR(920DR)に対応する位置に配置されるとともに、第1の方向xに沿って繰り返し配列される。開口部921URは、例えば実施形態2における開口部及び縦光量と同様に、重なり領域、縦光量変動領域及び縦光量一定領域を有する。他の開口部921UL,921DL,921DRも同様である。
【0112】
図20Bは、開口部921UL,921DLにおける第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット922Lとして示したグラフである。同様に
図20Cは、開口部921UR,921DRの第2の方向yに対する輝度分布の変化を、プロット922Rとして示したグラフである。本実施例2においても、比較例(
図18B及び
図18C)と異なり、第2の方向yにおける輝度分布の変化の極大値にズレがほとんど生じていない。したがって、本実施例2によれば、観察面の視点方向の異なる位置で生じる輝度明暗がほぼ同様となり、その結果粒状感を抑制することができる。
【0113】
<実施形態5(総括)>
ここで、1つのサブ画素における第2の方向における開口位置の極大値と極小値の距離を、光学的縦開口区間とする。つまり、開口部の一端における第2の方向の位置と開口部の他端における第2の方向の位置との差の最大値を「縦開口区間」とする。
図18Aに示す比較例の開口部901ULでは、一端904における第2の方向yの位置と他端905における第2の方向yの位置との差が、縦開口区間903となる。
図19Aに示す実施例1の開口部911ULでは、一端914における第2の方向yの位置と他端915における第2の方向yの位置との差が、縦開口区間913となる。
図20Aに示す実施例2の開口部921ULでは、一端924における第2の方向yの位置と他端925における第2の方向yの位置との差が、縦開口区間923となる。また、実施形態3、4と同様に、開口部の第2の方向の幅を「縦開口幅」とする。
【0114】
本実施形態5におけるサブ画素は以下の特徴を有する。
図18Aに示す比較例では、縦開口区間903の値と、第1の方向xの任意の位置における縦開口幅のうち最も大きい縦開口幅の値とが、同一になっている。これに対し、
図19Aに示す実施例1では、縦開口区間913の値は第1の方向xの任意の位置における縦開口幅のうち最も大きい縦開口幅の値よりも大きい値となっており、かつ縦開口区間913の第2の方向yの位置は第1の方向xに隣接する縦開口区間同士で一致している。同様に、
図20Aに示す実施例2では、縦開口区間923の値は第1の方向xの任意の位置における縦開口幅のうち最も大きい縦開口幅の値よりも大きい値となっており、かつ縦開口区間923の第2の方向yの位置は第1の方向xに隣接する縦開口区間同士で一致している。これにより、本実施形態5によれば、観察面での画像の粒状感の抑制を可能としている。
【0115】
本実施形態5は、次のように言い換えることもできる。
図19Aに示す実施例1では、開口部911ULの一端における第2の方向yの位置と開口部911ULの他端における第2の方向yの位置との差は、一端914と他端915との間が最大となる。その最大値を縦開口区間913とする。このとき、縦開口区間913は開口部911ULの縦開口幅の最大値よりも大きい。また、縦開口区間913を構成する一端914及び他端915の第2の方向yの位置は、第1の方向xに隣接する開口部911UL,911UR同士で同じである。
図20Aに示す実施例2でも同様である。
【0116】
なお、実施形態2だけではなく実施形態1、3、4における各開口部の場合も、同様に本実施形態5を適用できる。本実施形態5のその他の構成、作用及び効果は、実施形態1〜4のそれらと同様である。
【0117】
<実施形態6>
実施形態6について
図25A及び
図25Bに基づき説明する。サブ画素1100は開口部1110を含む。開口部1110は、重なり区間A1101、重なり区間B1105、重なり区間C1106及び縦光量一定区間1103に分けられる。縦光量一定区間1103は、第1の方向xに隣接するサブ画素1200,1300と第2の方向yに重畳していない非重なり区間となっている。重なり区間A1101、重なり区間B1105及び重なり区間C1106は、いずれも第1の方向xに隣接するサブ画素1200,1300と第2の方向yに重畳している重なり区間となっている。サブ画素1100では、重なり区間A1101に重なり領域A1121が対応し、重なり区間B1105に重なり領域B1125が対応し、重なり区間C1106に重なり領域C1126が対応し、縦光量一定区間1103に縦光量一定領域1123が対応する。
【0118】
サブ画素1100に第1の方向xに隣接するサブ画素1200,1300においても、サブ画素1100と同様の構成になっている。サブ画素1100における重なり区間A1101Lはサブ画素1200における重なり区間A1201Rと同じ区間であり、サブ画素1100における重なり区間B1105Lはサブ画素1200における重なり区間C1206Rと同じ区間であり、サブ画素1100における重なり区間C1106Lはサブ画素1200における重なり区間B1205Rと同じ区間である。同様に、サブ画素1100とサブ画素1300では、重なり区間A1101Rと重なり区間A1301Lとが同じ区間であり、重なり区間B1105Rと重なり区間C1306Lとが同じ区間であり、重なり区間C1106Rと重なり区間B1305Lとが同じ区間である。
【0119】
サブ画素1100の各区間における縦光量は以下のとおりである。サブ画素1200との重なり区間において、重なり区間A1101L(1201R)における縦光量の和は「1111L+1211R」であり、重なり区間B1105L(1206R)における縦光量の和は「1115L+1216R」であり、重なり区間C1106L(1205R)における縦光量の和は「1116L+1215R」である。サブ画素1300との重なり区間においても同様に、重なり区間A1101R(1301L)における縦光量の和は「1111R+1311L」であり、重なり区間B1105R(1306L)における縦光量の和は「1115R+1316L」であり、重なり区間C1106R(1305L)における縦光量の和は「1116R+1315L」である。
【0120】
縦光量(縦光量の和)と第1の方向xの位置との関係は、以下のとおりである。重なり区間A1101Lにおける縦光量の和「1111L+1211R」は、第1の方向xの位置に関わらず一定となっている。同様に、縦光量一定区間1103における縦光量1113も第1の方向xの位置に関わらず一定である。一方、重なり区間B1105L(1206R)は重なり区間A1101L(1201R)と縦光量一定区間1103との間に存在し、その縦光量の和「1115L+1216R」は第1の方向xの位置の変化に伴い連続的かつ線形的に変化している。重なり区間C1106L(1205R)は重なり区間A1101L(1201R)とサブ画素1200の縦光量一定区間1203との間に存在し、その縦光量の和「1116L+1215R」も第1の方向xの位置の変化に伴い連続的かつ線形的に変化している。
【0121】
したがって、重なり領域A1121、重なり領域B1125及び重なり領域C1126は、別の言い方をすれば以下のようになる。重なり領域Aは縦光量和一定領域と言い換えることができる。なぜなら、重なり領域A1121L(1121R)における縦光量と、第2の方向yに重畳しているサブ画素1200(1300)の重なり領域A1221R(1321L)における縦光量との、和が一定となっているからである。また、重なり領域B,Cは縦光量和変動領域と言い換えることができる。なぜなら、重なり領域B1125L(1125R)及び重なり領域C1126L(1126R)における縦光量と、第2の方向yに重畳しているサブ画素1200(1300)の重なり領域C1226R(1326L)及び重なり領域B1225R(1325L)の縦光量との、和が第1の方向xの位置によって変動しているからである。
【0122】
第1の方向xの位置と縦光量(縦光量の和)との関係は、
図25Bのプロット006の示すとおりである。重なり区間A1101L,1101Rにおける縦光量の和「1111L+1211R」及び「1111R+1311L」が最大値Whとなり、縦光量一定区間1103における縦光量1113が最小値Wlとなる点は、実施形態1、2と同様である。
【0123】
本実施形態6の実施形態2と異なる点は以下のとおりである。つまり、隣接するサブ画素と第2の方向yに重畳する重なり領域は上述のとおり三つに分けられ、重なり領域の略中央では縦光量の和は一定であり、重なり領域の両端では縦光量の和は変動している。換言すると、重なり領域A,B,Cは、隣接する二つのサブ画素との縦光量の和が重なり領域A,B,Cの略中央から第1の方向xの両端に向かってそれぞれ連続的に変化する縦光量和変動領域(重なり領域B,C)を二つ含む。重なり領域A,B,Cにおけるそれぞれの縦光量の和は、開口部の略中央の縦光量よりも大きい。本実施形態6の構成でも、縦光量の変化と第1の方向の位置との関係が実施形態2と同様であるので、実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0124】
その他の実施形態6の全体構成、減光手段、レンズ等の内容は実施形態2と同様である。
【0125】
<補足>
上記各実施形態で述べた本発明の複数の構成要素は、上述の具体的なものに限定されるものではない。例えば、これまでの説明においては、光線制御手段は、レンズを用いた構成としたが、これに限定されず、液晶レンズやパララックスバリアのような電気光学素子を用いることも可能である。更に、上記各実施形態に示された構成要素のうちいくつかを削除することができ、また異なる実施形態にかかる構成要素を適宜組み合わせることができる。
【0126】
上記の各実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
【0127】
[付記1]第1の方向及びこの第1の方向に略垂直な第2の方向にマトリックス状に配置され光学的な開口部を含むサブ画素、を有する表示パネルと、
この表示パネルに対向して配設され、前記第1の方向に光線を制御する光線制御手段と、
を備えた立体表示装置において、
前記第1の方向に隣接する二つの前記サブ画素のそれぞれの前記開口部は、前記第2の方向に互いに重なる重なり領域と重ならない非重なり領域とを有し、
前記開口部の前記第2の方向に平行な直線状の開口から出射される光量を縦光量としたとき、前記非重なり領域は、前記縦光量が前記開口部の略中央から前記第1の方向の両端に向かってそれぞれ連続的に変化する縦光量変動領域を含み、
前記第1の方向の同じ位置における互いに重なる二つの前記重なり領域の前記縦光量の和は、前記開口部の前記略中央の前記縦光量よりも大きい、
ことを特徴とする立体表示装置。
【0128】
[付記2]前記第1の方向の同じ位置における互いに重なる二つの前記重なり領域の前記縦光量の和は、前記第1の方向のどの位置でも同じである、
付記1記載の立体表示装置。
【0129】
[付記3]前記開口部の前記第2の方向の幅を縦開口幅としたとき、前記縦光量変動領域は、前記縦開口幅が前記開口部の略中央から前記第1の方向の両端に向かってそれぞれ連続的に変化する、
付記1又は2記載の立体表示装置。
【0130】
[付記4]前記サブ画素は、FFSモードの液晶表示デバイスであり、前記開口部内に複数のストライプ状の電極とこれらの電極の周囲のスリットとを有し、
前記スリットの長手方向と液晶初期配向との角度は、前記重なり領域においてφ1であり、前記縦光量変動領域においてφ1からφ2に変化し、
前記角度の関係がφ1≠φ2である、
付記1乃至3のいずれか一つに記載の立体表示装置。
【0131】
[付記5]前記表示パネルと対向して配設された減光手段を更に備え、
前記減光手段の透過率は、前記重なり領域においてT1であり、前記縦光量変動領域においてT1からT2に変化し、
前記透過率の関係がT1>T2である、
付記1乃至3のいずれか一つに記載の立体表示装置。
【0132】
[付記6]前記開口部の前記第2の方向の幅を縦開口幅とし、前記開口部の一端における前記第2の方向の位置と前記開口部の他端における前記第2の方向の位置との差の最大値を縦開口区間としたとき、この縦開口区間は前記縦開口幅の最大値よりも大きい、
付記1乃至5のいずれか一つに記載の立体表示装置。
【0133】
[付記7]前記縦開口区間を構成する前記一端及び前記他端の前記第2の方向の位置は、前記第1の方向に隣接する前記開口部同士で同じである、
付記6記載の立体表示装置。
【0134】
[付記8]第1の方向及びこの第1の方向に略垂直な第2の方向にマトリックス状に配置され光学的な開口部を含むサブ画素、を有する表示パネルと、
この表示パネルに対向して配設され、前記第1の方向に光線を制御する光線制御手段と、
を備えた立体表示装置において、
前記第1の方向に隣接する二つの前記サブ画素のそれぞれの前記開口部は、前記第2の方向に互いに重なる重なり領域と重ならない非重なり領域とを有し、
前記開口部の前記第2の方向に平行な直線状の開口から出射される光量を縦光量としたとき、前記重なり領域は、前記隣接する二つのサブ画素との前記縦光量の和が前記重なり領域の略中央から前記第1の方向の両端に向かってそれぞれ連続的に変化する縦光量和変動領域を二つ含み、
前記重なり領域の前記縦光量の和は、前記開口部の略中央の前記縦光量よりも大きい、
ことを特徴とする立体表示装置。