(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、従来の台紙付のラベルに換え、ラベル貼り付け後にゴミとなる台紙を備えていない台紙なしラベルの需要が伸びている。特に、印刷しながら貼り付ける感熱タイプのラベルの台紙なしラベルが、スーパーやコンビニを中心として、普及しつつある。
【0003】
このような台紙なしラベルを、
図4を用いて説明すると、台紙なしラベル100は、
図4(a)に示すように、ロール状に巻回された長尺状の台紙なしラベル本体101を備えている。この台紙なしラベル本体101には、所定の大きさに容易に切断できるように、切断線として、幅方向に一定間隔置きに複数のミシン目101aが互いに平行になるように設けられている。そしてこの台紙なしラベル本体101は、
図4(b)に示すように、紙素材で形成された基材層102と、この基材層102の下層側(図示下面)にこの台紙なしラベルを被貼付物に貼り付けるための粘着剤を積層して形成された粘着層103と、この基材層102の上層側(図示上面)に形成された商品名、コード、金額、年月日、社名等がサーマルヘッド等によって印字される感熱層104と、この感熱層104の上層側(最上層)に粘着層103に対して剥離性を備えるシリコーン樹脂を主成分とする剥離剤を積層して形成された剥離層105とで構成されている。これにより、
図4(a)に示すように巻回された場合であっても、粘着層103の粘着剤が剥離層105に固着することなく、容易に剥離することができるようになっている。
【0004】
ところで、このような台紙なしラベル100は、スーパーなどで使用される値引きシールとしては使用することができない。すなわち、このような値引きシールは、
図4(c)に示すように、例えば、発泡スチロール製のトレイに鮮魚等の商品をラップフィルムで包装した被貼付物Hに、既に貼着されている値引きシールN1の上に「表示価格の2割引」という値引きシールN2を重ね貼りして使用するものである。それゆえ、このような値引きシールは、剥がされ難いものでなければならない。
【0005】
しかしながら、上記のような台紙なしラベル100は、
図4(b)に示すように、最上層が剥離層105で形成されているため、重ね貼りしても、容易に剥離できる、すなわち、容易に剥がすことができてしまう。それゆえ、スーパーなどで使用される値引きシールとしては使用することができないという問題があった。
【0006】
そこで、このような問題を解決すべく、特許文献1に記載のような発明が提案されている。この特許文献1に記載の発明は、ラベル基材の表面に、剥離剤層を形成した剥離領域と、剥離剤層を形成しない被剥離領域とを区分けして形成するため、粘着剤層をそれに合わせて部分塗工するか、又は、粘着剤層の一部の裏面に糊殺し層を設けることで、重ね貼りを可能にするというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、一般的に、台紙なしラベルは、巻回して使用するものである(
図4(a)参照)ため、上記のような台紙なしラベルの構成では、被剥離領域(すなわち、重ね貼り可能な部分)を長手方向(巻回方向)に平行な直線状にしか設けることができず重ね貼りできる箇所が制限されてしまうという問題があった。さらに、上記のような台紙なしラベルを巻回する際、僅かにずれてしまったり、又、粘着剤層の粘着剤が移動してしまったり、或いは、糊殺しが不十分であった場合、固着してしまい、台紙なしラベル本来の機能が低下してしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、台紙なしラベル本来の機能を維持しつつ所望箇所に重ね貼り可能な台紙なしラベル
を提供することができる台紙なしラベル印字装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
請求項1の台紙なしラベル
印字装置によれば、粘着剤で形成された粘着層(103)を最下層に有し、該粘着剤に対して剥離性を有する剥離層(105)を最上層に有する積層体からな
る台紙なしラベル(100)をロール状に巻回
し、該台紙なしラベル(100)を所定方向に供給するラベル供給部(2)と、
前記ラベル供給部(2)より所定方向に供給された台紙なしラベル(100)の前記剥離層(105)を除去する剥離層除去部(4,11)と、を有してなることを特徴としている。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の台紙なしラベル
印字装置において、
前記剥離除去部(4)は、前記剥離層(105)を焼失
することによって除去
してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
請求項1の発明によれば、最上層に形成されている剥離層(105)が除去されているため、この台紙なしラベルを用いて、
図4(c)に示すように、重ね貼りしても、容易に剥離することができず、もって、重ね貼りすることが可能となる。さらに、本発明によれば、ロール状に巻回されている台紙なし
ラベル(100)の剥離層(105)は維持しつつ、
ラベル供給部(2)より所定方向に供給された台紙なしラベル(100)の剥離層(105)は除去しているため、従来のように、ロール状に巻回することによって生じる不具合(重ね貼りできる箇所が制限されてしまったり、台紙なしラベル本来の機能が低下してしまったりという不具合)が生じることがない。
【0015】
よって、本発明によれば、台紙なしラベル本来の機能を維持しつつ所望箇所に重ね貼り可能な台紙なしラベルを提供することができる。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、剥離層(105)を焼失させることによって除去しているため、剥離層(105)を確実に除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る台紙なしラベルの第1実施形態を、
図1〜
図2を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとし、従来の構成と同一の構成には、同一の符号を付すものとする。
【0019】
図1(a)は、本実施形態に係る台紙なしラベルがセットされた台紙なしラベル印字装置1の一部を示す概略構成図である。この台紙なしラベル印字装置1は、台紙なしラベル100(
図4(a)参照)を被貼付物H(
図4(c)参照)に貼着する際用いられ、これによって、本実施形態に係る台紙なしラベルが製造されるものである。
【0020】
この台紙なしラベル印字装置1は、
図1(a)に示すように、ラベル供給部2と、印字部3と、剥離層除去部4と、パーソナルコンピュータ等のホスト機器(図示せず)からの指令に従って各部を制御する制御部5とで主に構成されている。このラベル供給部2は、ロール状に巻回された台紙なしラベル100を支持する支持ホルダ20を備えている。この支持ホルダ20にて支持されている台紙なしラベル100は、一部が繰り出されて予めプラテンローラ6に掛け渡されている。そして、このプラテンローラ6が、制御部5からの指令データに基づいて駆動するモータ(図示せず)によって回転駆動されると、このプラテンローラ6の回転によって台紙なしラベル100が矢印Y1方向に供給されることとなる。
【0021】
一方、印字部3は、複数の発熱素子が設けられたサーマルヘッド30を備えており、制御部5より印字データ(商品名、コード、金額、年月日、社名等)が送出されてくると、サーマルヘッド30の複数の発熱素子が選択的に通電されて発熱し、その発熱したサーマルヘッド30が図示しない加圧スプリングによって台紙なしラベル100の感熱層104の表面に押し付けられ、もって、その感熱層104の表面が発色し、台紙なしラベル100に上記印字データに応じた印字が施されることとなる(例えば、
図4(c)に示す「表示価格の2割引」参照)。
【0022】
一方、剥離層除去部4は、レーザ光Lを照射するレーザ装置40を備えており、制御部5より指令データが送出されてくると、レーザ装置40は、レーザ光Lを照射する。これにより、
図1(b)に示すように、台紙なしラベル100の剥離層105がレーザ光Lによって除去、すなわち、焼きとられる(焼失される)こととなる。
【0023】
ここで、上記のように構成される台紙なしラベル印字装置1を用いて本実施形態に係る台紙なしラベルを製造する方法を、
図2を参照して説明する。
【0024】
まず、プラテンローラ6に台紙なしラベル100が
図1(a)に示すように掛け渡された状態で、制御部5から図示しないモータに指令データが送出されると、図示しないモータが駆動し、もって、プラテンローラ6が回転することとなる。これにより、台紙なしラベル100が矢印Y1方向に供給されることとなる(ステップS1)。
【0025】
次いで、制御部5は、印字データ(商品名、コード、金額、年月日、社名等)を印字部3に送出する。これを受けて、印字部3が備えるサーマルヘッド30の複数の発熱素子が選択的に通電されて発熱する。そして、その発熱したサーマルヘッド30が図示しない加圧スプリングによって、上記矢印Y1方向に供給された台紙なしラベル100の感熱層104の表面に押し付けられ、もって、台紙なしラベル100に上記印字データに応じた印字が施されることとなる(ステップS2)。
【0026】
次いで、制御部5は、レーザ光Lを照射するように、剥離層除去部4に指令データを送出する。これを受けて、剥離層除去部4が備えるレーザ装置40は、レーザ光Lを照射する。これにより、
図1(b)に示すように、台紙なしラベル100の剥離層105がレーザ光Lによって除去、すなわち、焼きとられる(焼失される)こととなる(ステップS3)。
【0027】
かくして、上記のような工程を経て、ロール状に巻回されている台紙なしラベル本体101の剥離層105は除去されず、ロール状に巻回されていない台紙なしラベル本体101の剥離層105は事後的(印字が施された後)に除去(焼失)されることとなり、もって、本実施形態に係る台紙なしラベルが製造されることとなる。
【0028】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、最上層に形成されている剥離層105が除去されているため、この台紙なしラベル100を用いて、
図4(c)に示すように、重ね貼りしても、容易に剥離することができず、もって、重ね貼りすることが可能となる。さらに、本実施形態によれば、ロール状に巻回されている台紙なしラベル本体101の剥離層105は維持しつつ、ロール状に巻回されていない台紙なしラベル本体101の剥離層105は除去しているため、従来のように、ロール状に巻回することによって生じる不具合(重ね貼りできる箇所が制限されてしまったり、台紙なしラベル本来の機能が低下してしまったりという不具合)が生じることがない。
【0029】
よって、本実施形態によれば、台紙なしラベル本来の機能を維持しつつ所望箇所に重ね貼り可能な台紙なしラベルを提供することができる。
【0030】
また、本実施形態によれば、剥離層105を焼失させることによって除去しているため、剥離層105を確実に除去することができる。
【0031】
さらに、本実施形態によれば、レーザ光Lを用いて剥離層105を除去(焼失)させているため、レーザ光Lの照射の向きを変えるだけで任意の位置の剥離層105を除去(焼失)することができる。
【0032】
なお、本実施形態においては、剥離層105を除去(焼失)するにあたって、レーザ光Lを用いた例を示したが、それに限らず、焼失させることができるものであればどのような方法でも良い。
【0033】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る台紙なしラベルの第2実施形態を、
図3を参照して具体的に説明する。なお、第1実施形態と同一構成については、同一の符号を付し、説明は省略する。
【0034】
第2実施形態と第1実施形態の異なる点は、剥離層105を除去する方法が異なるだけで、それ以外は同一である。すなわち、第1実施形態においては、剥離層105を焼失させることで除去していたが、第2実施形態においては、剥離層105を削ることで除去するようにするものである。すなわち、本実施形態に係る台紙なしラベルは、
図3(a)に示すように、ラベル印字装置10にセットされて使用される。この台紙なしラベル印字装置10は、ラベル供給部2と、印字部3と、剥離層除去部11と、パーソナルコンピュータ等のホスト機器(図示せず)からの指令に従って各部を制御する制御部5とで主に構成されている。この剥離層除去部11は、円盤状の研磨材110を備え、制御部5より指令データが送出されてくると、矢印Y10方向に回転する。これにより、
図3(b)に示すように、台紙なしラベル100の剥離層105が研磨材110によって除去、すなわち、削りとられることとなる。
【0035】
ここで、上記のように構成される台紙なしラベル印字装置10を用いて本実施形態に係る台紙なしラベルを製造する方法を、
図2を参照して説明する。
【0036】
まず、プラテンローラ6に台紙なしラベル100が
図3(a)に示すように掛け渡された状態で、制御部5から図示しないモータに指令データが送出されると、図示しないモータが駆動し、もって、プラテンローラ6が回転することとなる。これにより、台紙なしラベル100が矢印Y1方向に供給されることとなる(ステップS1)。
【0037】
次いで、制御部5は、印字データ(商品名、コード、金額、年月日、社名等)を印字部3に送出する。これを受けて、印字部3が備えるサーマルヘッド30の複数の発熱素子が選択的に通電されて発熱する。そして、その発熱したサーマルヘッド30が図示しない加圧スプリングによって、上記矢印Y1方向に供給された台紙なしラベル100の感熱層104の表面に押し付けられ、もって、台紙なしラベル100に上記印字データに応じた印字が施されることとなる(ステップS2)。
【0038】
次いで、制御部5は、研磨材110を回転させるように、剥離層除去部11に指令データを送出する。これを受けて、剥離層除去部11が備える研磨材110が矢印Y10方向に回転する。これにより、
図3(b)に示すように、台紙なしラベル100の剥離層105が研磨材110によって除去、すなわち、削りとられることとなる(ステップS3)。
【0039】
かくして、上記のような工程を経て、ロール状に巻回されている台紙なしラベル本体101の剥離層105は除去されず、ロール状に巻回されていない台紙なしラベル本体101の剥離層105は事後的(印字が施された後)に除去(削り取られる)されることとなり、もって、本実施形態に係る台紙なしラベルが製造されることとなる。
【0040】
しかして、以上説明した本実施形態においても、最上層に形成されている剥離層105が除去されているため、この台紙なしラベル100を用いて、
図4(c)に示すように、重ね貼りしても、容易に剥離することができず、もって、重ね貼りすることが可能となる。さらに、本実施形態においても、ロール状に巻回されている台紙なしラベル本体101の剥離層105は維持しつつ、ロール状に巻回されていない台紙なしラベル本体101の剥離層105は除去しているため、従来のように、ロール状に巻回することによって生じる不具合(重ね貼りできる箇所が制限されてしまったり、台紙なしラベル本来の機能が低下してしまったりという不具合)が生じることがない。
【0041】
よって、本実施形態においても、台紙なしラベル本来の機能を維持しつつ所望箇所に重ね貼り可能な台紙なしラベルを提供することができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、剥離層105を除去、すなわち、削りとるにあたって、研磨材110を用いた例を示したが、それに限らず、やすり又は刃物等で削りとるようにしてもよく、削りとることができるものであればどのような方法でも良い。
【0043】
ところで、第1実施形態及び第2実施形態において示した除去方法では、剥離層105の一部のみ除去している例を示したが、剥離層105を全て除去するようにしても良い。
【0044】
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、剥離層105のみ除去する例を示したが、それに限らず、感熱層104又は基材層102の一部が除去されてしまっても良い。
【0045】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態においては、台紙なしラベル印字装置1に剥離層除去部4、台紙なしラベル印字装置10に剥離層除去部11を設ける例を示したが、それに限らず、台紙なしラベル印字装置1,10に剥離層除去部4,11を設けず、剥離層除去部4,11単体の装置を別個設けても良い。
【0046】
また、第1実施形態及び第2実施形態において製造された台紙なしラベルは、値引きシールに限らず、重ね貼りによって何らかの情報を更新したい箇所であればどの箇所にも適用可能である。
【0047】
一方、第1実施形態及び第2実施形態においては、ラベル本体101が、基材層102と、粘着層103と、感熱層104と、剥離層105とで構成されているが、他の層を有していても良い。例えば、基材層102と感熱層104との密着性を改善するアンカー層を両層間に設けても良い。
【0048】
また、通常のインクを用いた印刷により形成される印刷層を更に設けても良い。印刷層を設けることにより、使用者情報や製品名などの情報を予め所望の色彩を用いて記録することができる。印刷層は、基材層と感熱層の間、感熱層の表面側など、必要に応じていかなる位置に設けても良い。
【0049】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態においては、台紙なしラベルに感熱層104を形成する例を示したが、感熱層104を割愛しても良い。感熱層104を割愛しても、上記印刷層を設ける場合には、文字、記号、図形またはバーコード等のような情報を事前の印刷により形成された印刷層により表示することが可能である。また、熱転写リボンを用いた印字や、インクジェットプリンタなどを用いた事後的な印刷により表示しても良い。
【0050】
また、第1実施形態及び第2実施形態において製造された台紙なしラベルには、ミシン目101aが設けられている例を示したが、それに限らず、ミシン目が設けられていなくても良い。