特許第6693687号(P6693687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6693687-汚染土壌の改質方法 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6693687
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】汚染土壌の改質方法
(51)【国際特許分類】
   B09C 1/10 20060101AFI20200427BHJP
   B09C 1/02 20060101ALI20200427BHJP
   B09C 1/08 20060101ALI20200427BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20200427BHJP
   B03C 1/02 20060101ALI20200427BHJP
   B09C 1/00 20060101ALI20200427BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   B09B3/00 EZAB
   B09B3/00 304K
   B03C1/00 B
   B03C1/02 Z
   B09B5/00 S
   C12N1/00 R
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-268883(P2012-268883)
(22)【出願日】2012年12月8日
(65)【公開番号】特開2014-113538(P2014-113538A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年10月29日
【審判番号】不服2019-1092(P2019-1092/J1)
【審判請求日】2019年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100157107
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100212358
【弁理士】
【氏名又は名称】岩佐 佑希子
(72)【発明者】
【氏名】河目 裕介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和生
(72)【発明者】
【氏名】川越 大樹
(72)【発明者】
【氏名】久保田 謙三
(72)【発明者】
【氏名】久保 幹
(72)【発明者】
【氏名】福原 優樹
【合議体】
【審判長】 大島 祥吾
【審判官】 加藤 友也
【審判官】 植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−116420(JP,A)
【文献】 特開2008−289445(JP,A)
【文献】 特開2009−254358(JP,A)
【文献】 特開2001−300507(JP,A)
【文献】 特開2005−21748(JP,A)
【文献】 特開2008−221167(JP,A)
【文献】 特開2004−16859(JP,A)
【文献】 特開2001−300507(JP,A)
【文献】 Yuting Liang,International Biodeterioration&Biodegradation,英国,2009年 1月,Vol.63,No.1,80−87
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09C1/00-1/10
B03C1/00-1/02
C12N1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油分で汚染された汚染土壌の改質方法であって、
前記汚染土壌中に存在するalkB(アルカンヒドロキシラーゼ)遺伝子を有するゴルドニア属またはロドコッカス属の微生物および/または新たに前記汚染土壌中に混合するalkB(アルカンヒドロキシラーゼ)遺伝子を有するゴルドニア属またはロドコッカス属の微生物と、
粒径が1〜3mmの粒状で、かつ微生物を担持していない活性炭と、
栄養剤とを前記汚染土壌に混合し、
まず、前記油分を前記活性炭に前記alkB(アルカンヒドロキシラーゼ)遺伝子を有する微生物との接触効率が低下しないように吸着させて油臭を解消し、
次に、前記活性炭に吸着された油分および前記活性炭に吸着されずに存在する油分に前記alkB(アルカンヒドロキシラーゼ)遺伝子を有する微生物を接触させることによって前記汚染土壌中の油分を継続して分解することを特徴とする油分で汚染された汚染土壌の改質方法。
【請求項2】
前記活性炭が、
鉄粉と粉状の活性炭とを混練して成形したもの、または鉄粉に活性炭をコーティングしたものであることを特徴とする請求項1に記載の油分で汚染された汚染土壌の改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油分、揮発性有機化合物(VOC)、ベンゼン、シアン化合物、ジクロロ化合物などによって汚染された汚染土壌の改質方法に係る。さらに詳しくは、元々汚染土壌中に存在している微生物を利用したり、あるいは新たに微生物を汚染土壌に投入することによって行う汚染土壌の改質において、活性炭との併用時に発生する微生物の分解能力の低下を防止しつつ、活性炭の有する吸着力を発現させ、安定的かつ継続的に汚染物質の改質を行う汚染土壌の改質方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、油分などによって汚染された汚染土壌を微生物や活性炭などを用いて改質する汚染土壌の改質方法は知られている。例えば、特許文献1には、汚染土壌中に存在する微生物を活性化させるための微生物活性剤を活性炭とともに汚染土壌に供給し、活性化させた微生物を活性炭の表面で増殖させて汚染土壌の改質を行う汚染土壌の改質方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−221167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に代表される従来の汚染土壌の改質方法においては、通常、活性炭に粉末状のものが、吸着剤としての能力をより効果的に発現させる目的で使用される。
ここで今回、本発明者らは、微生物とともに活性炭を併用する汚染土壌の改質において、活性炭に粉末状のものを使用するとかえって汚染物質に対する微生物の分解能力が低下することを発見した。具体的には、微生物および活性炭を汚染土壌に供給した直後から数日間においては活性炭の持つ吸着効果により汚染物質の吸着が行われるものの、その後に発現するはずの微生物の分解効果が認められずに汚染物質の分解が滞り、安定した改質が行われないという現象が生じることを発見した。
【0005】
また、従来の活性炭を使用する汚染物質の改質方法においては、活性炭によって汚染物質が吸着されることによって土壌中への汚染物質の拡散は防止されるものの、汚染物質そのものが除去されるわけではないという問題点もある。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、微生物を使用する汚染土壌の改質において粒状、塊状の活性炭を使用することによって、活性炭との併用時に発生する微生物の分解性能の低下を防止しつつ、活性炭の有する吸着力を発現させ、安定的かつ継続的に汚染物質の改質を行う汚染土壌の改質方法の提供を目的とする。
【0007】
また、使用する粒状、塊状の活性炭に、鉄粉と粉状の活性炭とを混練して成形したものや、鉄粉に活性炭をコーティングしたものを使用することによって、当該活性炭を汚染土壌に供給して油分等の汚染物質を吸着させた後、当該土壌に電磁石などを接触させるだけで汚染物質が吸着した活性炭を回収することができ、汚染物質そのものの除去を簡単に行うことができる汚染土壌の改質方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る汚染土壌の改質方法は、油分で汚染された汚染土壌の改質方法であって、汚染土壌中に存在するalkB(アルカンヒドロキシラーゼ)遺伝子を有するゴルドニア属またはロドコッカス属の微生物および/または新たに汚染土壌中に混合するalkB(アルカンヒドロキシラーゼ)遺伝子を有するゴルドニア属またはロドコッカス属の微生物と、粒径が1〜3mmの粒状で、かつ微生物を担持していない活性炭と、栄養剤とを汚染土壌に混合し、まず、油分を活性炭にalkB(アルカンヒドロキシラーゼ)遺伝子を有する微生物との接触効率が低下しないように吸着させて油臭を解消し、次に、活性炭に吸着された油分および活性炭に吸着されずに存在する油分にalkB(アルカンヒドロキシラーゼ)遺伝子を有する微生物を接触させることによって汚染土壌中の油分を継続して分解することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項に係る汚染土壌の改質方法は、活性炭が、鉄粉と粉状の活性炭とを混練して成形したもの、または鉄粉に活性炭をコーティングしたものであることを特徴とする。
【0013】
次に、本発明の各構成要件を説明する。
【0014】
本発明に用いられる活性炭は、粒状および/または塊状のものである必要があるが、かかる条件を具備していればそれ以外の条件については特に限定されない。
従って、椰子、木などを原料とする植物系のものや石炭、石油などを原料とする鉱物系のもの、あるいはこれらのものを薬品などによって賦活させたものなど各種の活性炭を用いることができる。なお、これらの中でも、中性活性炭については改質する土壌のpHの変動を防止することができるので好適である。
【0015】
そして、本発明に用いられる粒状および/または塊状の活性炭の粒径としては、後記する微生物による汚染物質の分解性能の低下を防止しつつ、汚染物質の吸着を行うことができる粒径であることが好ましい。具体的には1〜12mmの範囲の粒径が好ましく、その中でも1〜3mmの粒径のものがより好ましい。
【0016】
また、本発明に用いられる活性炭としては、1)鉄粉と粉状の活性炭とを混練して上記した範囲の粒径に成形したものや、2)鉄粉と粉状の活性炭とを水ガラスなどをバインダーとして混練し、必要に応じて焼成することによって上記した範囲の粒径に成形したものや、3)鉄粉と粉状の活性炭とを熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などをバインダーとして混練した後、不活性ガス存在下において昇温または焼成するなどして、バインダーを炭化させることによって上記した範囲の粒径に調整したものを用いることもできる。
さらに、鉄粉を芯材として、当該鉄粉を熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などに浸漬させるなどして、当該鉄粉の表面に熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などをコーティングした後、不活性ガス存在下において昇温または焼成するなどして、コーティングした熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などを炭化させることによって上記した範囲の粒径に調整したものを用いることもできる。
【0017】
本発明に用いられる微生物としては、汚染物質の種類によって適宜選択されることになり、例えばゴルドニア属、ロドコッカス属、シュードモナス属、バチルス属、アシネトバクター属、ハロモナス属、アクロモバクター属、アルカリゲネス属、オクロバクトラム属、クルチア属、スタフィロコッカス属、セラチア属、チオバチルス属、バクテリジウム属、フラボバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、プロタミノバクター属、ミクロコッカス属、ミコバクテリウム属、ミコプラーナ属、メタノモナス属、ロツデロマイセス属、ロドシュードモナス属などの細菌、パチソレン属、ロドスポリジウム属又はサッカロミセス属などの酵母、アスペルギルス属、ムコール属またはペニシリウム属などの糸状菌などを挙げることができる。
また、上記に列記される本発明に用いられる微生物は、新たに汚染土壌中に混合して使用する形態だけではなく、既に土壌中に存在しているこれらの菌を用いることもできる。
【0018】
そしてこれらの中でも、汚染物質が油分である場合には、alkB(アルカンヒドロキシラーゼ)遺伝子と呼ばれる石油分解酵素遺伝子を有している微生物を使用することが好ましい。このような微生物としては、例えばゴルドニア属、ロドコッカス属、シュードモナス属、バークホルデリア属、ノカルディア属、マイコバクテリウム属、アシネトバクター属、バチルス属などが挙げられる。
さらに、上記列記した微生物の中でもゴルドニア属、ロドコッカス属については、表1に示すようにその他の微生物よりも疎水性が高く、活性炭に吸着された油分にも接触して微生物の分解効果が発現することから好適である。
【0019】
【表1】
【0020】
また、本発明の改質方法には原則として微生物の栄養剤を用いるが、改質する土壌によっては必要に応じて栄養剤を用いないこともできる。このような微生物の栄養剤としては、LB培地、酵母エキス(イーストエクストラクト)、ミネラルなどの栄養剤、窒素、燐、カリウムなどが含まれている有機系または無機系肥料などを挙げることができる。
【0021】
なお、本発明の改質方法に使用される活性炭、微生物、栄養剤の汚染土壌への供給量は、改質を行う汚染土壌の汚染状況に応じて適宜決定されることになるが、より安定的かつ継続的に汚染物質の改質を行うためには、汚染土壌に対して活性炭を0.1〜5重量%供給することが好ましい。
さらに、活性炭、微生物、栄養剤の汚染土壌への供給方法についても、改質を行う汚染土壌の汚染状況に応じて、汚染土壌全体と混合する方法や、予め汚染土壌を所定の深さに掘った後に一定の厚みを持って活性炭などを堆積させ、その後汚染土壌などで埋め戻す方法など各種の方法を採用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1に係る汚染土壌の改質方法によれば、粒状および/または塊状の活性炭を微生物および栄養剤とともに用いることによって、汚染土壌中の汚染物質と活性炭および微生物との接触効率を調節しつつ、活性炭の持つ吸着性能を発現させることができる。
その結果、活性炭との併用時に発生する微生物の分解能力の低下を防止しつつ、微生物の持つ汚染物質の分解効果と活性炭の持つ汚染物質の吸着効果とを安定的かつ継続的に発現させることができ、従来の粉末状の活性炭を使用する場合に比べて汚染物質の処理効率を向上させることができる。
【0023】
本発明の請求項2に係る汚染土壌の改質方法によれば、活性炭の粒径を特定の範囲とすることによって、汚染物質の処理効率をより向上させることができる。
【0024】
本発明の請求項3、4に係る汚染土壌の改質方法によれば、微生物に特定の菌種を使用することによって、汚染物質の処理効率をより向上させることができる。
【0025】
本発明の請求項5に係る汚染土壌の改質方法によれば、粒状等の活性炭に鉄粉と粉状の活性炭とを混練して成形したもの、または鉄粉に活性炭をコーティングしたものを使用することによって、汚染物質の処理後の土壌に電磁石などを接触させるだけで、汚染物質を吸着した活性炭のみを分離回収することができ、汚染物質そのものの除去を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る汚染土壌の改質方法を行った際の残存油分濃度の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の汚染土壌の改質方法を実施例と比較例に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施例は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
【0028】
(実施例1)
活性炭に粒径が1〜3mmの範囲の活性炭を、微生物にゴルドニア・テラエNDKY76A株を、栄養剤に無機栄養塩(窒素成分:尿素、リン成分:リン酸水素二アンモニウム)を用い、A重油を5000mg/kgの濃度で混合した模擬土壌100gに、活性炭を5g、微生物1×10個/g−soilとなるように混合することで実施例1の汚染土壌を作製した。
【0029】
(実施例2)
活性炭に粒径が8〜12mmの範囲の活性炭を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例2の汚染土壌を作製した。
【0030】
(比較例1)
微生物、活性炭、栄養剤を使用しない模擬土壌のみを比較例1の汚染土壌とした。
【0031】
(比較例2)
活性炭を使用せずに、微生物と栄養剤のみを使用した以外は実施例1と同様にして、比較例2の汚染土壌を作製した。
【0032】
(比較例3)
活性炭に実施例1において用いた1〜3mmの範囲の活性炭を乳鉢によって粉末状にすりつぶしたものを使用した以外は実施例1と同様にして、比較例3の汚染土壌を作製した。
【0033】
(残存油分濃度の測定)
次に、上記した実施例1〜2および比較例1〜3の汚染土壌について、混合直後(0日目)、14日後、28日後の残存油分濃度の測定を行った。なお、具体的にはサンプリングした汚染土壌中の油分を溶剤(H−997、旭硝子社製)で抽出することによって測定した。結果を表2および図1に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
表2の結果から、粒状、塊状の活性炭を微生物とともに使用した実施例1〜2の汚染土壌については、混合直後においては活性炭と油分との接触が少ないことや微生物が分解を開始したばかりであることから残存油分濃度は高いものの、その後は継続的に残存油分濃度が低下し、28日後においては残存油分濃度がほぼ1/4に低下した。
【0036】
一方、比較例1の汚染土壌についてはほとんど残存油分濃度が低下しなかった。
また、活性炭を使用せずに、微生物と栄養剤のみを混合した比較例2の汚染土壌については残存油分濃度を低減する効果は認められるものの、14日以降は低減効果が頭打ちとなってしまい実施例1、2に比べると改質効果が低いものとなった。
また、粉状の活性炭と微生物とを混合した比較例3の汚染土壌については、活性炭が粉状であることから活性炭と油分との接触が多くなり、混合直後においては残存油分濃度が著しく低下するものの、その後は汚染物質の改質が進まないという結果となった。これは、1)混合直後の段階において粉状の活性炭が多くの油を吸着してしまうことからその後は活性炭による吸着能力が頭打ちになってしまうこと、2)粉状の活性炭が多くの油を吸着してしまうことによって微生物と油との接触効率が低下することによる微生物の分解能力の低下などが理由として考えられる。
【0037】
次に、本発明の汚染土壌の改質方法を汚染土壌に用いた場合の油臭の解消効果を評価した。評価は実施例3、4および比較例4〜7に基づいて行った。
【0038】
(実施例3)
活性炭に粒径が1〜3mmの範囲の活性炭を、微生物にゴルドニア・テラエNDKY76A株を、栄養剤に無機栄養塩(尿素、リン酸水素二アンモニウム)を用い、A重油を5000mg/kgの濃度で混合した模擬土壌30gに、活性炭を1.5g、微生物1×10個/g−soilとなるように混合することで実施例3の汚染土壌を作製した。
【0039】
(実施例4)
活性炭に粒径が8〜12mmの範囲の活性炭を使用した以外は実施例と同様にして、
実施例4の汚染土壌を作製した。
【0040】
(比較例4、5)
活性炭を使用せずに、微生物と栄養剤のみを使用した以外は実施例と同様にして、比
較例4および比較例5の汚染土壌を作製した。
【0041】
(比較例6、7)
活性炭に比較例3で使用した粉末状の活性炭を使用した以外は実施例と同様にして、
比較例6および比較例7の汚染土壌を作製した。
【0042】
(油臭の解消効果の評価)
次に、上記した実施例3、4および比較例4〜7の汚染土壌について、混合後1日後の油臭を4名の評価者による官能評価によって評価した。具体的には、油汚染対策ガイドラインに準拠した0〜5までの6段階で臭気を評価し、2未満の臭気しか感じなかった場合を油臭の解消効果ありと認定し、全評価者における油臭の解消効果ありと判定した評価者の割合によって評価した。結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
表3の結果から、粉状の活性炭を使用した比較例6、7の汚染土壌については、活性炭による吸着効果が十分に発現していることから、4名のすべてが油臭が解消しているとの判定を行った。なお、活性炭を使用しない比較例4、5の汚染土壌については、油臭の解消効果が全く認められなかった。
一方、粒状、塊状の活性炭を微生物とともに使用した実施例3、4の汚染土壌については、粉状の活性炭を使用した比較例6、7の汚染土壌に比べると油種の解消効果は若干劣るものの、4名のうち3名が油臭が解消しているとの判定を行ったことから油臭の解消効果についても十分な効果を発現するものであることがわかった。
【0045】
以上、実施例1〜4および比較例1〜7の結果から、本発明の汚染土壌の改質方法は、粒状、塊状の活性炭を微生物とともに使用することによって、活性炭との併用時に発生する微生物の分解性能の低下を防止しつつ、活性炭の有する吸着力を発現させ、安定的かつ継続的に汚染物質の改質を行うことができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の汚染土壌の改質方法は、汚染土壌の改質に用いることができ、特に油汚染土壌の改質に有効である。
図1