特許第6693692号(P6693692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6693692
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】鉄筋コンクリート構造及びその構築方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/18 20060101AFI20200427BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20200427BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   E04C5/18 105
   E03F3/04 A
   E04G21/12 105A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-140963(P2014-140963)
(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公開番号】特開2016-17321(P2016-17321A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年6月20日
【審判番号】不服2019-10365(P2019-10365/J1)
【審判請求日】2019年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100099704
【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
(72)【発明者】
【氏名】永井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】永礼 大
(72)【発明者】
【氏名】天満 知生
【合議体】
【審判長】 秋田 将行
【審判官】 有家 秀郎
【審判官】 住田 秀弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−108431(JP,A)
【文献】 特開2001−193283(JP,A)
【文献】 特開平10−245844(JP,A)
【文献】 特開2002−81166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C5/06
E04C5/18
E04G21/12
E03F3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに背中合わせとなる2つの壁面のうち、一方の壁面から所定距離だけ後退した位置に第1の主筋を該壁面に沿って列状に立設される形でコンクリートに埋設するとともに、他方の壁面から所定距離だけ後退した位置に第2の主筋を該壁面に沿って列状に立設される形で前記コンクリートに埋設し、前記第1の主筋に交差する形で第1の配力筋を前記コンクリートに埋設するとともに、前記第2の主筋に交差する形で第2の配力筋を前記コンクリートに埋設した鉄筋コンクリート構造において、
前記第1の主筋及び前記第2の主筋のうち、互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋が一体に取り囲まれるように螺旋状のせん断補強筋を前記コンクリートに埋設してなり、該せん断補強筋は単一の螺旋軸回りに周回形成してあるとともに、その内側に埋設される主筋が前記互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋のみであり、該互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋はそれぞれ単一の鉄筋で構成してあることを特徴とする鉄筋コンクリート構造。
【請求項2】
前記互いに対向する第1の主筋及び前記第2の主筋のうち、それらが立設された列方向に沿って一つおきとなるように前記せん断補強筋を配置した請求項1記載の鉄筋配置構造。
【請求項3】
互いに背中合わせとなる2つの壁面位置のうち、一方の壁面位置から所定距離だけ後退した位置に第1の主筋を該壁面位置に沿って列状に立設するとともに、他方の壁面位置から所定距離だけ後退した位置に第2の主筋を該壁面位置に沿って列状に立設し、
前記第1の主筋及び前記第2の主筋のうち、互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋が一体に取り囲まれるように前記2つの壁面位置の間に螺旋状のせん断補強筋を配置し、
第1の配力筋を前記第1の主筋に交差するように該主筋に連結するとともに、第2の配力筋を前記第2の主筋に交差するように該主筋に連結し、
前記2つの壁面位置の間にコンクリートを打設する鉄筋コンクリート構造の構築方法であって、前記せん断補強筋は単一の螺旋軸回りに周回形成してあるとともに、その内側に埋設される主筋が前記互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋のみであり、該互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋はそれぞれ単一の鉄筋で構成してあることを特徴とする鉄筋コンクリート構造の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として鉄筋コンクリート壁、特にボックスカルバートの側壁に適用される鉄筋コンクリート構造及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートで壁体を構築するにあたっては、曲げモーメントを負担する主筋や、該主筋に一般的には直交する方向に配置される配力筋をはじめ、斜め引張応力を支持するせん断補強筋が壁断面内に配置されるが、ボックスカルバートの場合、側壁が面外方向の地震時繰り返し荷重によってせん断破壊することがないよう、せん断補強筋を適宜配置する必要がある。
【0003】
せん断補強筋は、一般的にはその末端部に鋭角フックを設けなければならないとされており、ボックスカルバートにおける鉄筋工事においては、側壁の外側と内側に主筋をそれぞれ立設するとともに、これらの主筋に直交するように配力筋をそれぞれ配置した上、側壁の外側と内側における主筋と配力筋との交差箇所にせん断補強筋の末端部に設けられた各フックを引っ掛けるようにして該せん断補強筋を壁面直交方向に配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−44222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ボックスカルバートの側壁が30〜50cm程度の標準的な壁厚であれば、上述したせん断補強筋を加工する際、末端部を鋭角に折り曲げても、その先端同士が干渉するおそれはない。
【0006】
しかしながら、例えば高強度コンクリートの採用によって、断面の合理化あるいは薄肉化を図ろうとすると、ボックスカルバートの側壁が上述した標準的な壁厚よりも小さくなり、せん断補強筋の末端部が互いに干渉して上述した鋭角状に鉄筋加工することが困難となる。
【0007】
そのため、薄壁に適したせん断補強筋の採用を余儀なくされ、結果として鉄筋工事のコストが増大するという問題を生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、壁厚が小さい場合であっても経済性に優れた形で十分なせん断補強を行うことが可能な鉄筋コンクリート構造及びその構築方法を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る鉄筋コンクリート構造は請求項1に記載したように、互いに背中合わせとなる2つの壁面のうち、一方の壁面から所定距離だけ後退した位置に第1の主筋を該壁面に沿って列状に立設される形でコンクリートに埋設するとともに、他方の壁面から所定距離だけ後退した位置に第2の主筋を該壁面に沿って列状に立設される形で前記コンクリートに埋設し、前記第1の主筋に交差する形で第1の配力筋を前記コンクリートに埋設するとともに、前記第2の主筋に交差する形で第2の配力筋を前記コンクリートに埋設した鉄筋コンクリート構造において、
前記第1の主筋及び前記第2の主筋のうち、互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋が一体に取り囲まれるように螺旋状のせん断補強筋を前記コンクリートに埋設してなり、該せん断補強筋は単一の螺旋軸回りに周回形成してあるとともに、その内側に埋設される主筋が前記互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋のみであり、該互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋はそれぞれ単一の鉄筋で構成してあるものである。
【0010】
また、本発明に係る鉄筋コンクリート構造は、前記互いに対向する第1の主筋及び前記第2の主筋のうち、それらが立設された列方向に沿って一つおきとなるように前記せん断補強筋を配置したものである。
【0011】
また、本発明に係る鉄筋コンクリート構造の構築方法は請求項3に記載したように、互いに背中合わせとなる2つの壁面位置のうち、一方の壁面位置から所定距離だけ後退した位置に第1の主筋を該壁面位置に沿って列状に立設するとともに、他方の壁面位置から所定距離だけ後退した位置に第2の主筋を該壁面位置に沿って列状に立設し、
前記第1の主筋及び前記第2の主筋のうち、互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋が一体に取り囲まれるように前記2つの壁面位置の間に螺旋状のせん断補強筋を配置し、
第1の配力筋を前記第1の主筋に交差するように該主筋に連結するとともに、第2の配力筋を前記第2の主筋に交差するように該主筋に連結し、
前記2つの壁面位置の間にコンクリートを打設する鉄筋コンクリート構造の構築方法であって、前記せん断補強筋は単一の螺旋軸回りに周回形成してあるとともに、その内側に埋設される主筋が前記互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋のみであり、該互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋はそれぞれ単一の鉄筋で構成してあるものである。
【0012】
本発明に係る鉄筋コンクリート構造においては、第1の主筋及び第2の主筋のうち、互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋、換言すれば概ね同一の横断面上に位置する第1の主筋及び第2の主筋が一体に取り囲まれるように螺旋状のせん断補強筋をコンクリートに埋設してある。
【0013】
このようにすると、螺旋状をなすせん断補強筋のうち、第1の主筋から第2の主筋に向かう湾曲部分と第2の主筋から第1の主筋に向かう湾曲部分とがそれぞれ壁面直交方向に沿って概ね配置されるため、従来のせん断補強筋と同様の配置状況が実現されるとともに、上述の湾曲部分は、該湾曲部分を除く他の螺旋状部分がコンクリートに埋設されるので、せん断補強筋として必要な定着が十分に確保される。
【0014】
そのため、本発明のせん断補強筋は、末端部にフックが設けられた従来のせん断補強筋と少なくとも同等のせん断補強作用を発揮する。
【0015】
また、上述した2つの壁面の離間距離、すなわち壁厚が小さい場合でも、それに応じて螺旋径を小さくすれば容易に対応が可能であり、従来の一般的なせん断補強筋のように、壁厚が小さいことで設置が不可能になるおそれもない。
【0016】
さらには、配力筋が配置された高さ位置にしか取り付けることができなかった従来の一般的なせん断補強筋とは異なり、螺旋ピッチを適宜変更することで、高さ方向に沿ったせん断補強筋の配置間隔を自在に調整することが可能となる。
【0017】
加えて、鉄筋工事にあたっては、立設が完了した第1の主筋及び第2の主筋の上方から螺旋状のせん断補強筋を落とし込むようにして、あるいは第1の主筋及び第2の主筋の立設位置に螺旋状のせん断補強筋を予め畳んだ状態で仮置きし、主筋立設後、仮置きされていたせん断補強筋を上方に引き上げるようにして、それぞれ設置することが可能であり、一本一本取り付ける必要があった従来の一般的なせん断補強筋に比べ、施工能率が格段に向上する。
【0018】
螺旋状のせん断補強筋は、互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋のうち、それらが立設された列方向に沿って順次配置するようにしてもかまわないが、螺旋ピッチを小さくして高さ方向に沿ったせん断補強筋の配置間隔を密にすることによりそれぞれの鉄筋量を増やすようにすれば、互いに対向する第1の主筋及び前記第2の主筋のうち、それらが立設された列方向に沿って一つおきとなるようにせん断補強筋を配置した構成を採用することが可能である。
【0019】
かかる構成によれば、せん断補強筋の配筋作業を大幅に省力化することができる。
【0020】
本発明に係る鉄筋コンクリート構造を構築するには、まず、互いに背中合わせとなる2つの壁面位置のうち、一方の壁面位置から所定距離だけ後退した位置に第1の主筋を該壁面位置に沿って列状に立設するとともに、他方の壁面位置から所定距離だけ後退した位置に第2の主筋を該壁面位置に沿って列状に立設する。
【0021】
次に、第1の主筋及び前記第2の主筋のうち、互いに対向する第1の主筋及び第2の主筋が一体に取り囲まれるように2つの壁面位置の間に螺旋状のせん断補強筋を配置する。
【0022】
次に、第1の配力筋を第1の主筋に交差するように該主筋に連結するとともに、第2の配力筋を第2の主筋に交差するように該主筋に連結する。
【0023】
最後に、2つの壁面位置に型枠を適宜立て込んだ後、それらの間にコンクリートを打設する。
【0024】
このようにすれば、螺旋状のせん断補強筋と配力筋とを互いに干渉させることなく配筋することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造1を示した図であり、(a)は配置状況を示した全体斜視図、(b)は一部を切除して示した詳細斜視図。
図2】鉄筋コンクリート構造1の水平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る鉄筋コンクリート構造及びその構築方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0027】
本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造1は、本発明に係る鉄筋コンクリート構造を、図1(a)に示すようにボックスカルバート2の側壁3に適用したものであって、図1(b)に示すように、互いに背中合わせとなる2つの壁面4a,4bのうち、一方の壁面としての壁面4aから所定距離だけ後退した位置に第1の主筋としての主筋5aを該壁面に沿って列状に立設される形でコンクリート7に埋設してあるとともに、他方の壁面としての壁面4bから所定距離だけ後退した位置に第2の主筋としての主筋5bを該壁面に沿って列状に立設される形でコンクリート7に埋設してある。
【0028】
また、本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造1は、主筋5aに交差する形で第1の配力筋としての配力筋6aをコンクリート7に埋設してあるとともに、主筋5bに交差する形で第2の配力筋としての配力筋6bをコンクリート7に埋設してある。
【0029】
ここで、本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造1は、主筋5a及び主筋5bのうち、互いに対向する主筋5a及び主筋5bが一体に取り囲まれるように、螺旋状のせん断補強筋8をコンクリート7に埋設してある。
【0030】
せん断補強筋8は、2つの壁面4a,4bの離間距離、すなわち壁厚に応じて、あるいは主筋5a,5bの間隔に応じて、その螺旋径を適宜設定すればよい。
【0031】
また、せん断補強筋8は同図(b)でよくわかるように、互いに対向する主筋5a及び主筋5bのうち、それらが立設された列方向に沿って一つおきとなるように配置してある。
【0032】
この場合、各せん断補強筋8は、壁全体として所要の鉄筋量が確保できるよう、螺旋ピッチ、すなわち高さ方向に沿った配置間隔を適宜調整する。
【0033】
本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造1を構築するには、図2に示すようにまず、互いに背中合わせとなる2つの壁面位置14a,14bのうち、壁面位置14aから所定距離だけ後退した位置に主筋5aを該壁面位置に沿って列状に立設するとともに、壁面位置14bから所定距離だけ後退した位置に主筋5bを該壁面位置に沿って列状に立設する。
【0034】
次に、主筋5a及び主筋5bのうち、互いに対向する主筋5a及び主筋5bが一体に取り囲まれるように2つの壁面位置14a,14bの間にせん断補強筋8を配置する。
【0035】
ここで、せん断補強筋8は、互いに対向する主筋5a及び主筋5bのうち、それらが立設された列方向に沿って一つおきとなるように配置する。
【0036】
せん断補強筋8を配置するにあたっては、立設が完了した主筋5a及び主筋5bの上方から落とし込むようにしてもよいし、主筋5a及び主筋5bの立設位置に予め畳んだ状態で仮置きしておき、主筋立設後、仮置きされていたせん断補強筋8を上方に引き上げるようにして設置してもよい。
【0037】
次に、配力筋6aを主筋5aに交差するように該主筋に連結するとともに、配力筋6bを主筋5bに交差するように該主筋に連結する。
【0038】
最後に、2つの壁面位置14a,14bの間にコンクリート7を打設する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造1によれば、上述したように主筋5a及び主筋5bのうち、互いに対向する主筋5a及び主筋5b、換言すれば概ね同一の横断面上に位置する主筋5a及び主筋5bが一体に取り囲まれるように、螺旋状のせん断補強筋8をコンクリート7に埋設するようにしたので、せん断補強筋8のうち、主筋5aから主筋5bに向かう湾曲部分と主筋5bから主筋5aに向かう湾曲部分とがそれぞれ壁面直交方向に沿って概ね配置され、従来のせん断補強筋と同様の配置状況が実現されるとともに、上述の湾曲部分は、該湾曲部分を除く他の螺旋状部分がコンクリート7に埋設されるので、せん断補強筋として必要な定着が十分に確保される。
【0040】
そのため、せん断補強筋8は、末端部にフックが設けられた従来のせん断補強筋と少なくとも同等のせん断補強作用を発揮する。
【0041】
また、本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造1によれば、2つの壁面4a,4bの離間距離、すなわち壁厚が小さい場合でも、それに応じて螺旋径を小さくすることで容易に対応が可能であり、従来の一般的なせん断補強筋のように、壁厚が小さいことで設置が不可能になるおそれもない。
【0042】
また、本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造1によれば、配力筋が配置された高さ位置にしか取り付けることができなかった従来の一般的なせん断補強筋とは異なり、螺旋ピッチを適宜変更することにより、配力筋6aや配力筋6bの設置高さとは関係なく、高さ方向に沿ったせん断補強筋8の配置間隔を自在に調整することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造1によれば、せん断補強筋8を、互いに対向する主筋5a及び主筋5bのうち、それらが立設された列方向に沿って一つおきとなるように配置したので、せん断補強筋8の配筋作業を大幅に省力化することが可能となる。
【0044】
また、本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造の構築方法によれば、互いに対向する主筋5a及び主筋5bが一体に取り囲まれるように2つの壁面位置14a,14bの間にせん断補強筋8を配置した後、配力筋6aを主筋5aに交差するように該主筋に連結するとともに、配力筋6bを主筋5bに交差するように該主筋に連結するようにしたので、配力筋6aや配力筋6bと螺旋状のせん断補強筋8とを互いに干渉させることなく配筋することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造の構築方法によれば、配筋作業において、立設が完了した主筋5a及び主筋5bの上方からせん断補強筋8を落とし込むようにして、あるいは主筋5a及び主筋5bの立設位置にせん断補強筋8を予め畳んだ状態で仮置きし、主筋立設後、仮置きされていたせん断補強筋8を上方に引き上げるようにして、それぞれ設置することができるので、一本一本取り付ける必要があった従来の一般的なせん断補強筋に比べ、施工能率が格段に向上する。
【0046】
本実施形態では、本発明に係る鉄筋コンクリート構造を、ボックスカルバート2の側壁3に適用した例として説明したが、かかる構造物に適用が限定されるものでないことは言うまでもない。
【0047】
特に、本発明の螺旋状をなすせん断補強筋は、全方位でせん断補強が可能であるため、壁の面外方向のみならず、壁の面内方向に沿ったせん断補強も可能であり、耐震壁のせん断補強筋としてもきわめて有用である。
【0048】
また、本実施形態では、せん断補強筋8を、互いに対向する主筋5a及び主筋5bのうち、それらが立設された列方向に沿って一つおきとなるように配置したが、鉄筋量を満たすのであれば、2つ飛ばしでもかまわないし、逆に鉄筋量の確保が厳しいのであれば、互いに対向する主筋5a及び主筋5bのうち、それらが立設された列方向に沿って順次配置するようにすればよい。
【符号の説明】
【0049】
1 鉄筋コンクリート構造
4a 壁面(一方の壁面)
4b 壁面(他方の壁面)
5a 主筋(第1の主筋)
5b 主筋(第2の主筋)
6a 主筋(第1の配力筋)
6b 主筋(第2の配力筋)
7 コンクリート
8 せん断補強筋
14a 壁面位置(一方の壁面位置)
14b 壁面位置(他方の壁面位置)
図1
図2