特許第6693732号(P6693732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6693732容器向き検出装置、容器処理装置及び容器向き検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6693732
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】容器向き検出装置、容器処理装置及び容器向き検出方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/02 20060101AFI20200427BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   B65B57/02 C
   G01B11/26 H
【請求項の数】6
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-237692(P2015-237692)
(22)【出願日】2015年12月4日
(65)【公開番号】特開2017-100796(P2017-100796A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(73)【特許権者】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(73)【特許権者】
【識別番号】593205831
【氏名又は名称】東邦商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂野 和見
(72)【発明者】
【氏名】西田 孝
(72)【発明者】
【氏名】木部 裕行
(72)【発明者】
【氏名】豊島 邦光
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−024424(JP,A)
【文献】 特開2000−339458(JP,A)
【文献】 特開2008−105716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/02
G01B 11/26
B65B 61/26
B41F 17/14
B65G 47/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の向きを検出する容器向き検出装置であって、
容器の外周面の図柄を一方向から撮影する撮像部と、
前記撮像部によって撮影された容器の外周面の図柄のうち当該容器の外周面を周方向にN分割(但し、Nは3以上の自然数)した異なる角度範囲ごとに、入力装置により任意の位置及び任意のサイズを選択することで指定された領域の図柄部を登録図柄部として一つずつ登録するとともに、複数の前記登録図柄部を位置情報と対応付けて記憶部に記憶させる登録部と、
前記撮像部が容器を一方向から撮影した撮影図柄情報のうちから登録図柄部と類似する類似図柄部を探索するマッチング処理を行い、当該マッチング処理で探し当てた類似図柄部の位置情報と、当該類似図柄部と対応する登録図柄部の位置情報とに基づいて容器の向きを検出する検出部とを備えたことを特徴とする容器向き検出装置。
【請求項2】
前記N分割は6分割以上であり、前記1つの角度範囲は60度以下であることを特徴とする請求項に記載の容器向き検出装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記容器の向きの検出に加え、前記容器に対する図柄の高さ方向の位置ずれを検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の容器向き検出装置。
【請求項4】
前記容器の外周面の図柄のうち複数の前記登録図柄部の全てが含まれる容器高さ方向の一部の領域が登録領域として設定され、
前記検出部は、前記撮影図柄情報のうち容器高さ方向に前記登録領域に相当する一部の領域を、前記マッチング処理の対象として前記登録図柄部を探索することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の容器向き検出装置。
【請求項5】
容器を所定の間隔を開けて連続搬送させるコンベヤを備えた搬送部と、
前記コンベヤによって連続搬送される容器を検出対象とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の前記容器向き検出装置と、
前記容器向き検出装置を構成する前記検出部により検出された容器の向きに基づき、当該容器を目標の向きになるまで回転させる容器回転部と
前記容器回転部により目標の向きを向いた前記容器に処理を施す処理部と
を備えたことを特徴とする容器処理装置。
【請求項6】
容器の向きを検出する容器向き検出方法であって、
前記容器の外周面の図柄を一方向から撮影する撮像ステップと、
撮影された容器の外周面の図柄のうち当該容器の外周面を周方向にN分割(但し、Nは3以上の自然数)した異なる角度範囲ごとに、入力装置により任意の位置及び任意のサイズを選択することで指定された領域の図柄部を登録図柄部として一つずつ登録するとともに、複数の前記登録図柄部を位置情報と対応付けて記憶部に記憶させる登録ステップと
記容器の一方向から撮影された撮影図柄情報のうちから、前記登録図柄部と類似する類似図柄部を探索するマッチング処理を行い、当該マッチング処理で探し当てた類似図柄部の位置情報と、当該類似図柄部と対応する登録図柄部の位置情報とに基づいて容器の向きを検出する検出ステップと
を備えたことを特徴とする容器向き検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の向きを検出する容器向き検出装置、容器処理装置及び容器向き検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、搬送中の容器の向きを検出する容器向き検出装置(図柄認識装置)を備えた容器印刷装置が開示されている。この容器印刷装置は、コンベヤ上を連続搬送される容器の外周面の図柄を認識しデータ処理によって容器の向きを検出する図柄認識装置と、図柄認識装置によるデータに基づいて容器を所定の向きに位置させるために必要により容器を回転させる容器回転部と、容器回転部によって所定の向きに位置制御された容器に対して印刷を行う印刷部とを備える。図柄認識装置は、複数のカメラ(又は光電管)により容器の外周面の全周分の全周図柄情報を取得し、その全周図柄情報から例えば所定の印刷箇所の図柄部分を探索し、探し出した図柄部分の基準位置からの相対角度を容器の向きとして検出する。
【0003】
また、例えば特許文献2には、容器向き検出装置を備えた容器位置合わせ装置が開示されている。容器向き検出装置は、容器の全周囲の画像情報を登録画像として予め登録しておき、任意の向きで供給されてきた容器の撮影画像情報を取得する。そして、登録画像情報と撮影画像情報とを所定の相関手法を用いて照合し、相関値が最大となる登録画像上のエリアを入力画像と同一部分と判断することで、容器の向きを検出する。容器位置合わせ装置は、容器向き検出装置が検出した容器の向きに基づいて、容器を目的の所定方向へ回転して位置合わせを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−105716号公報
【特許文献2】特開平6−24424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された容器向き検出装置では、容器の全周図柄情報を取得する必要があるため、容器の外周面を異なる角度から撮影する3つ以上のカメラ(撮像部)が必要になる。また、容器の全周図柄情報という全体の中から所定の印刷箇所の図柄部分を探し出す必要があったので、処理で扱う情報量が多く、処理時間が相対的に長くなる。
【0006】
また、特許文献2に記載された容器向き検出装置では、カメラ(撮像部)は撮影画像情報を取得できるように例えば1つ設ければよいが、予め登録された容器の全周分の登録画像情報と撮影画像情報とを照合するため、処理時間が相対的に長くなる。このように特許文献1、2に記載の容器向き検出装置では、容器の全周分の画像情報と撮影画像情報とを照合する処理を行うため、処理で扱う情報量が多く、容器の向きを検出する処理に要する処理時間が相対的に長くなるという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、比較的少ない数の撮像部を用いて、比較的簡単な処理で容器の向きを検出することができる容器向き検出装置、容器処理装置及び容器向き検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する容器向き検出装置は、容器の向きを検出する容器向き検出装置であって、容器の外周面の図柄を一方向から撮影する撮像部と、容器の外周面の図柄のうち当該容器の周方向に異なる位置にある複数の図柄部を登録図柄部として位置情報と対応付けて記憶する記憶部と、前記撮像部が容器を一方向から撮影した撮影図柄情報のうちから登録図柄部と類似する類似図柄部を探索するマッチング処理を行い、当該マッチング処理で探し当てた類似図柄部の位置情報と、当該類似図柄部と対応する登録図柄部の位置情報とに基づいて容器の向きを検出する検出部とを備えている。
【0009】
この構成によれば、容器の外周面の図柄が撮像部により一方向から撮影される。検出部は、撮像部が容器を一方向から撮影して得た図柄(撮影図柄情報)のうち、複数の登録図柄部と類似する類似図柄部を探索するマッチング処理を行う。複数の登録図柄部は、容器の周方向に異なる位置の図柄部を登録したものであり、撮影図柄情報は複数の登録図柄部の少なくとも1つを含むものであるため、マッチング処理の結果、少なくとも1つの類似図柄部が探し当てられる。検出部は、探し当てた類似図柄部の位置情報と登録図柄部の位置情報とに基づいて容器の向きを検出する。よって、撮像部は容器の外周面の周方向の一部を撮影できる数だけ設ければよく、容器の全周分を撮影できる数を用意する必要はない。また、上記容器向き検出装置と異なり、容器の全周図柄情報を予め登録しておき、全周図柄情報のうちから容器を一方向から撮影して得た撮影図柄情報を探索する構成の場合、撮像部を容器の外周面の周方向の一部を撮影可能な数だけ用意すればよいが、マッチング処理の対象領域が容器の全周分の図柄情報と相対的に広く、しかも探索する図柄情報も撮影範囲の図柄情報と相対的に広いため、マッチング処理にかなりの時間を要する。これに対して、上記容器向き検出装置では、容器の一方向から撮影された撮影図柄情報のうちから、この撮影図柄情報よりも狭い登録図柄部を探索するマッチング処理を行うので、その処理時間が相対的に短く済む。
【0010】
上記容器向き検出装置では、複数の前記登録図柄部を位置情報と対応付けて前記記憶部に記憶させる登録部を更に備え、前記登録部は、容器の外周面を周方向にN分割(但し、Nは3以上の自然数)した1つの角度範囲ごとに、入力装置により領域を指定して選択された図柄部を登録図柄部として一つずつ登録することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、登録部は、容器の外周面を周方向にN分割(但し、Nは3以上の自然数)した1つの角度範囲ごとに、入力装置により領域を指定して選択された図柄部を登録図柄部として一つずつ登録する。よって、容器の外周面の図柄のうち入力装置により指定した所望の領域の図柄部を登録図柄部として登録できる。例えば商品の種類によって容器の図柄の一部が変化する可変の図柄部であっても、その可変の図柄部を避けて登録図柄部を登録できる。この場合、商品の種類が異なっても、共通の登録図柄部を用いて容器の向きを検出できる。また、任意の向きの容器を一方向から撮影したときに取得される撮影図柄情報の中に少なくとも1つの登録図柄部と類似する類似図柄部が存在することになるので、例えば容器の向きがどの向きであっても、容器の向きをより確実に検出できる。
【0012】
上記容器向き検出装置では、前記N分割は6分割以上であり、前記1つの角度範囲は60度以下であることが好ましい。
この構成によれば、容器の全周を周方向に6分割以上のN分割したときの1つの角度範囲は、60度以下であるので、撮像部により容器を一方向から撮影したときに得られた撮影図柄情報中に、複数の登録図柄部と類似する複数の類似図柄部が存在することになる。よって、複数の登録図柄部のうち1つと類似する1つの類似図柄部が何らかの理由により探し当てられなくても、他の1つの登録図柄部と類似する類似図柄部が探し当てられることで、より確実に容器の向きを検出できる。
【0013】
上記容器向き検出装置では、前記検出部は、前記容器の向きの検出に加え、前記容器に対する図柄の高さ方向の位置ずれを検出することが好ましい。
この構成によれば、検出部は、容器の向きの検出に加え、容器に対する図柄部の高さ方向の位置ずれを検出する。よって、容器に対して図柄の位置が高さ方向にずれている場合は、その図柄の高さ方向の位置ずれ不良を検出できる。例えば容器にシュリンクラベル等のラベルを施して図柄を設けた場合に、ラベルの高さ方向の位置ずれ不良を検出できる。
【0014】
上記容器向き検出装置においては、前記容器の外周面の図柄のうち複数の前記登録図柄部の全てが含まれる容器高さ方向の一部の領域が登録領域として設定され、前記検出部は、前記撮影図柄情報のうち容器高さ方向に前記登録領域に相当する一部の領域を、前記マッチング処理の対象として前記登録図柄部を探索することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、検出部は、撮影図柄情報のうち容器高さ方向に前記登録領域に相当する一部の領域を、マッチング処理の対象領域として登録図柄部を探索する。よって、マッチング処理の対象領域を撮影図柄領域よりも狭くできるので、撮影図柄情報の全体を対象領域とする場合に比べ、マッチング処理時間をより短縮できる。
【0016】
上記課題を解決する容器処理装置は、容器を所定の間隔を開けて連続搬送させるコンベヤを備えた搬送部と、前記コンベヤによって連続搬送される容器を検出対象とする上記容器向き検出装置と、前記容器向き検出装置を構成する前記検出部により検出された容器の向きに基づき、当該容器を目標の向きになるまで回転させる容器回転部と、前記容器回転部により目標の向きを向いた前記容器に処理を施す処理部とを備えている。
【0017】
この構成によれば、所定の間隔を開けてコンベヤによって連続搬送される容器について、検出部によりその撮影図柄情報のうちから登録図柄部と類似する類似図柄部を探索するマッチング処理の結果に基づいて容器の向きが検出される。容器回転部は、検出部により検出された容器の向きを目標の向きになるまで回転させる。よって、コンベヤにより容器を連続搬送しながら、容器の向きを目標の向きに調整することができる。また、容器回転部により目標の向きに向きが調整された容器に、処理部による処理が施される。よって、処理部により容器の図柄に合った適切な処理を施すことができる。
【0018】
上記課題を解決する容器向き検出方法は、容器の向きを検出する容器向き検出方法であって、容器の外周面の図柄のうち当該容器の周方向の異なる位置で選択された複数の登録図柄部を位置情報と対応付けて登録する登録ステップと、前記容器の外周面を一方向から撮影する撮像ステップと、前記容器の一方向から撮影された撮影図柄情報のうちから、前記登録図柄部と類似する類似図柄部を探索するマッチング処理を行い、当該マッチング処理で探し当てた類似図柄部の位置情報と、当該類似図柄部と対応する登録図柄部の位置情報とに基づいて容器の向きを検出する検出ステップとを備えている。この方法によれば、上記容器向き検出装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、比較的少ない数の撮像部を用いて、比較的簡単な処理で容器の向きを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態における容器印刷装置を示す模式平面図。
図2】容器印刷装置を示す模式側面図。
図3】(a)は容器の正面図、(b)は容器の平面図。
図4】容器回転装置を示す模式平面図。
図5】容器がカメラで撮影される様子を示す模式平面図。
図6】容器回転装置を示す模式正面図。
図7】(a)〜(d)は容器の回転制御を説明する模式図。
図8】高速ライン対応の容器印刷装置における撮影装置及び容器回転装置を示す模式平面図。
図9】容器印刷装置の電気的構成及び機能的構成を示すブロック図。
図10】モデル登録の方法を説明する模式図。
図11】モデル登録された容器の全周をパノラマ展開した図。
図12】設定画面を示す模式図。
図13】モデル登録用画面を示す模式図。
図14】容器の向きを検出する際に行われる補正演算処理を説明する模式図。
図15】モデル登録処理ルーチンを示すフローチャート。
図16】容器向き制御ルーチンを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、容器向き検出装置を備える容器処理装置に係る一実施形態として容器印刷装置を、図面を参照して説明する。
図1及び図2に示す容器印刷装置11は、搬送部の一例としての搬送装置12を構成するコンベヤ13上を連続搬送される図3に示す容器20の外周面21の所定箇所に印刷を行う装置である。図1及び図2に示すように、容器印刷装置11は、容器20を印刷するときの向きに合わせるために、容器の回転位置(向き)を検出する容器向き検出装置100を備えている。
【0022】
容器印刷装置11は、搬送系として、容器20をコンベヤ13に供給する供給部14と、コンベヤ13を有する前述の搬送装置12と、コンベヤ13によって搬送経路の途中の印刷位置で良好に印刷された容器20を、その搬送方向Xの下流側に配置された容器包装ライン(図示せず)等に送り出す排出部15とを備えている。
【0023】
また、容器印刷装置11は、搬送装置12のコンベヤ13上を連続搬送される容器20を順次撮影する撮影装置30と、撮影された容器20の画像を基に容器20の向き(角度)を検出し、その容器の向きの検出結果に基づいて、必要に応じて容器20を印刷するときの向きになるまで回転させる容器回転部の一例としての容器回転装置40とを備えている。さらに容器印刷装置11は、向きが所定の向きに調整された容器20に対して処理を行う処理部の一例として印刷(印刷処理)を施す印刷装置50を備えている。
【0024】
コンベヤ13は、搬送装置12の動力源である電動モータ13Mの動力により回転駆動され、複数の容器20を所定の搬送速度で連続的に搬送する。また、容器印刷装置11における供給部14よりも搬送方向Xに少し下流側は分離エリアとなっており、ここにはコンベヤ13の側方に位置しかつコンベヤ13に沿って延びる公知のタイミングスクリュー16が配設されている。タイミングスクリュー16は、電動モータ16Mの動力でコンベヤ13の搬送速度に応じた回転速度で駆動される。供給部14からコンベヤ13上へ供給された複数の容器20は、コンベヤ13の側方に配設されたタイミングスクリュー16によって割出され、進行方向(搬送方向X)に所定間隔を開けた状態で連続的に搬送される。
【0025】
撮影装置30は、タイミングスクリュー16により割出されてコンベヤ13上を所定間隔で搬送される容器20を、その搬送経路上の所定の撮影位置で一方向から1つずつ撮影する撮像部の一例としてのカメラ31と、カメラ31による撮影対象となる容器20を検出可能な容器センサ32とを備えている。容器センサ32は、コンベヤ13上の容器20が撮影位置に達する直前又は達したときに容器20を検知する。カメラ31は、容器センサ32が容器20を検知した信号に基づいて容器20が正面を通過するタイミングで撮影動作を行い、容器20を側方から1つずつ撮影してその画像データを逐次取得する。
【0026】
図3(a),(b)に示す容器20は、略円筒形状のプラスチック容器からなり、供給部14の上流側に設置された図示しないシュリンクラベラーによって外周面21にラベル22(シュリンクラベル)が施されたものである。ラベル22は、図示しない加熱トンネルを通過して加熱されることにより、図3(a)に示すように、容器20の高さ方向Zに容器20の高さHより僅かに小さい縦幅の範囲に収縮する。ラベル22には、その全周に亘り図柄23が描かれている。図柄23には、製造会社・商品名あるいはロゴマーク等の図柄部23Aや、商品原料・保存法・製造工場等の品質詳細等の文字列が枠で囲まれた図柄部23B、バーコードが枠で囲まれた図柄部23C、イラストやデザイン(図案)等の図柄部23D及び商品の種類に応じて図柄内容が変更される可変の図柄部23E等が含まれる。
【0027】
また、図3(b)に示すように、容器20の外周面21において商品名等の図柄部23A(図3(a)参照)が描かれた位置を正面とすると、この正面の裏側となる裏面に、容器20の中心角で所定角度θの範囲に亘って印刷領域27が設定されている。この印刷領域27には、容器20の搬送過程で印刷装置50により所定事項が印刷される。本例では、容器20の正面に正面角度0度が設定され、0度から時計回りに約180度の位置に印刷領域27が設定されている。なお、図3(a)に示すように、容器20はその上端から若干下側の位置に少し外周径が小さく括れたネック部26を有していてもよい。
【0028】
図1及び図2に示すカメラ31は、容器20の外周面21の図柄を撮影し、その撮影した図柄を含む容器20の画像データをコントローラ56に出力する。図4に示すように、カメラ31は単一の容器20の外周面21を所定の角度位置から撮影可能な位置に配置されており、1つのカメラ31によって外周面21の図柄を撮影し、撮影した図柄の画像データをコントローラ56に出力する。コントローラ56は、容器センサ32からの検知信号に基づいてカメラ31の撮影タイミングを制御し、カメラ31によってその正面に位置する容器20の図柄が撮影される。コントローラ56は、図柄の画像データに基づいて容器20の向き(回転角)を特定するデータ処理を行う。
【0029】
カメラ31は、2次元イメージセンサー等の撮像素子を内蔵し、光学系を介して撮像素子が容器20の外周面21の図柄23の像を受光することで、容器20の図柄23を撮影する。カメラ31は、図4に示すように、容器20の搬送方向Xに対して直角方向から容器20の外周面21を撮影可能に1つ配置されている。
【0030】
図4及び図6に示すように、容器回転装置40は、撮影装置30が撮影して取得した画像データに基づき検出された向きにある容器20が、コンベヤ13上の印刷位置に到達したときに、容器20の印刷領域27を印刷装置50と対向する向きに配置させるべく、必要に応じて容器20を回転させる装置である。容器回転装置40は、図1及び図4に示すように、コンベヤ13の両側に配置された一対の回転装置41,46を備える。一対の回転装置41,46は、それぞれモータ等により適宜の速度で回転駆動する駆動部42,47と、コンベヤ13を挟んで対峙する位置に回転自在に配置された一対ずつのローラ43,48と、駆動部42,47の駆動力でローラ43,48を介して回転し容器20の外周面21に当接可能な一対のベルト44,49とを備える。この容器回転装置40では、一対の回転装置41,46の各ベルト44,49によって容器20を把持した際に、各ベルト44,49の回転速度をそれぞれ異ならせることにより、コンベヤ13上を搬送しながら容器20を所定の印刷位置に回転させる。このようにして容器回転装置40は、カメラ31の撮影した容器20の図柄の画像データから検出された向きに関するデータに基づいて、容器20を印刷領域27が印刷装置50と対向する向きになるまで回転させる。なお、コントローラ56により各駆動部42,47の回転速度が制御される。
【0031】
図1及び図2に示すように、印刷装置50は、容器回転装置40によってコンベヤ13上で向きが制御された容器20に対して印刷を行う装置である。この印刷装置50は、容器回転装置40よりも搬送方向Xの下流側の位置におけるコンベヤ13の側方に配設されている。印刷装置50の印字ヘッド(図示せず)の高さ位置は、コンベヤ13上を搬送されるときの容器20の印刷領域27の高さに合わせられている。また、印刷装置50としては、文字や記号、バーコード(二次元バーコードを含む)等の図形等の所定事項の印刷が可能なインクジェット方式等の公知の印刷装置が用いられる。印刷装置50は、所定事項として、賞味期限及びロット番号等の品質管理に関する情報を判り易い位置に効率的かつ効果的に印刷する。
【0032】
また、容器印刷装置11では、コンベヤ13によって容器20を搬送するに際して、その転倒を防止するために、図1及び図2に示した、コンベヤ13に容器20の底面24(図3(a)参照)を負圧空気で吸引して容器20の転倒を防止する容器底面吸引装置17が設けられている。図4及び図6に示すように、コンベヤ13の上面には搬送方向に所定の間隔ごとに全周にわたって複数の貫通孔13aが形成されている。図6に示すように、コンベヤ13の下側には、貫通孔13aと連通する負圧室19aを内部に有するダクト19がコンベヤ13に沿って延びており、この負圧室19aは配管17aと連通している。図1及び図2に示すように、配管17aは、容器底面吸引装置17の真空ポンプ18に接続されている。真空ポンプ18が駆動されることで、配管17aを通じて負圧室19aの内部を負圧状態に吸引する。これにより、コンベヤ13上を搬送される容器20の底面24が貫通孔13aからの負圧空気で吸引され、特に容器20の回転時の転倒を防止して安定した搬送に寄与する。
【0033】
さらに、図1及び図2に示すように、容器回転装置40と印刷装置50との間の位置には、容器回転装置40から搬出された容器の向きを検査するべく容器20を撮影可能な検査用カメラ51を備えた検査装置52が設けられている。検査装置52は、検査用カメラ51が撮影して取り込んだ画像データに基づいてコントローラ56内で所定のデータ処理が行われることで、容器20の向きの良否を検査する。また、検査装置52は、検査の結果、向きが不適切な回転不良の容器20をコンベヤ13上から排出するエアージェット等の排出装置54を備えている。排出装置54により排出された回転不良の容器20は、コンベヤ13を挟んで対向する位置に配置された不良品回収用の受箱55に回収される。
【0034】
また、搬送方向Xに印刷装置50よりも下流側の位置には、容器20の印刷結果を検査するために容器20の印刷箇所を撮影可能な検査用カメラ53が設けられている。検査用カメラ53によって容器20の印刷領域27を撮影して取り込んだ画像データに基づいてコントローラ56が公知のデータ処理を行うことで、印刷領域27の印刷部分の位置ずれや濃淡、かすれ等の印刷状態が検査される。なお、印刷不良の容器20は、図示しない排出装置によりコンベヤ13上から受箱に回収される。なお、回転不良の容器20を印刷前にコンベヤ13上から排斥する構成に替え、回転不良の容器20を印刷装置50の前を通るときに印刷装置50に印刷を行わせない印刷制御をコントローラ56に行わせてもよい。なお、各カメラ31,51,53には、CCD撮像素子やCMOS撮像素子等の公知の撮像素子を用いたカメラが用いられる。
【0035】
また、図1及び図2に示すように、コントローラ56には、入力系として、カメラ31、容器センサ32、検査用カメラ51、検査用カメラ53が電気的に接続され、出力系として、搬送装置12(モータ13M,16M)、容器底面吸引装置17の真空ポンプ18、容器回転装置40、印刷装置50及び排出装置54が電気的に接続されている。
【0036】
また、コントローラ56には、図2に示すパーソナルコンピュータ60が通信ケーブル64を介して接続されている。パーソナルコンピュータ60(以下、「PC60」とも記す。)は、本体61と、マウス62m及びキーボード62kよりなる入力装置62と、表示部63(モニタ)とを備えている。本体61は、通信ケーブル64を通じてコントローラ56と接続されており、ユーザが表示部63に表示された設定画面又は登録画面を見ながら、入力装置62を操作することにより、容器印刷装置11への各種の設定及び検査用の画像の登録等が行われる。本実施形態では、コントローラ56が、カメラ31が容器20を撮影して得た画像データに基づき容器20の向きを検出する容器向き検出処理と、容器20の印刷領域27が印刷装置50と対向する目標の向きになるまで容器回転装置40に容器20を回転させる容器回転制御とを行う。さらにコントローラ56は、容器回転装置40から搬出された容器20の向きの良否を検査する回転検査と、印刷装置50による容器20の印刷領域27への印刷結果の良否を検査する印刷検査とを行う。
【0037】
次に、容器印刷装置11の作動について説明する。図示しないシュリンクラベラーによって予めラベル22が施された複数の容器20が、図1及び図2に示すように、供給部14からコンベヤ13上に連続供給され、タイミングスクリュー16によって所定間隔を開けて連続搬送される。その際、容器20は、容器底面吸引装置17の負圧室19a(図6参照)内が負圧状態とされることにより、底面24がコンベヤ13の貫通孔13aからの負圧空気で吸引されて、安定した状態で搬送される。
【0038】
続いて、図4に示すように、コンベヤ13により所定間隔を開けて搬送されてきた容器20が、コンベヤ13を挟む両側のうち一方側に配置された撮影装置30のカメラ31により、一方向から撮影される。このとき、容器センサ32が容器20を検知した信号に基づく撮影タイミングでカメラ31が撮影動作することで、容器20はカメラ31の撮影エリアのほぼ中央位置に配置された状態で撮影される。コントローラ56(図1及び図2参照)は、カメラ31から取得した画像データを用いて検出した容器20の向きから目標の向きになるまでの回転に必要な回転角度を指令値に含む指令信号を出力して容器回転装置40を駆動制御する。容器回転装置40は、コントローラ56からの指令信号に含まれる回転角度の指令値に応じた速度差でベルト44,49を駆動させるべく各駆動部42,47を駆動制御することで、一対のベルト44,49間に把持された容器20を指定の回転角度で回転させつつ搬送する。その結果、目標の向きに調整された容器20が、容器回転装置40から順次搬出される。
【0039】
ここで、図5に示すように、容器回転装置40で向きが調整される前の容器20は任意の向きで搬送されてくるので、容器20の印刷領域27は任意の方向を向いている。カメラ31が容器20の外周面21を一方向から撮影したときにラベル22の図柄23はカメラ31と対面する一部のみ撮影される。このとき、容器20の向きによって撮影される図柄23の部分が異なるので、その図柄の部分をマッチング処理で特定することで容器20の向きを検出する。容器20の向きを検出できれば、その向きから印刷領域27を印刷装置50の正面に向けるために必要な容器20の回転角度は特定される。
【0040】
次に、図7を参照して、容器回転装置40による容器回転制御について説明する。図7(a)に示すように、カメラ31が容器20の対向する正面を撮影して得た画像データ中の図柄部分が容器20の全周に描かれた図柄23のどの部分であるかをデータ処理で特定することで、容器20の向き(角度)を検出する。コントローラ56は、その検出した向きを基に、印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標の向きになるまでに必要な容器20の回転角度(回転量)を算出する。図7(a)の例では、コントローラ56は容器回転装置40に対して容器20を正転方向(時計回り)に約140度だけ回転させる指令信号を出力する。容器回転装置40はベルト44,49をそれぞれ異なる速度で回転させて、容器20を正転方向に約140度回転させる。その結果、容器20は印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標の向き(図7では下向き)に調整される。
【0041】
また、図7(b)に示す例では、カメラ31が容器20を撮影して得た画像データに基づき検出された容器20の向きから印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標の向きになるまで容器20を回転させるのに必要な回転角度が、正転方向に約90度と算出される。コントローラ56は容器回転装置40に対して容器20を正転方向に約90度だけ回転させる指令信号を出力する。容器回転装置40はベルト44,49をそれぞれ異なる速度で回転させて、容器20を正転方向に約90度回転させる。その結果、容器20は印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標の向きに調整される。
【0042】
さらに、図7(c)に示す例では、カメラ31が容器20を撮影して得た画像データに基づき検出された容器20の向きから容器20を印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標の向きになるまでに必要な回転角度が、逆転方向(反時計回り)に約90度と算出される。コントローラ56は容器回転装置40に対して容器20を逆転方向に約90度だけ回転させる指令信号を出力する。容器回転装置40はベルト44,49をそれぞれ異なる速度で回転させて、容器20を逆転方向に約90度回転させる。その結果、容器20は印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標の向きに調整される。
【0043】
なお、図7(d)に示すように、カメラ31が容器20を撮影して得た画像データに基づき検出された容器20の向きが、印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標の向きに一致した場合は、容器20を回転させるべき回転角度が「0度」になる。この場合、容器回転装置40はベルト44,49を同じ速度で回転させて、容器20を回転を伴わずに搬送する。
【0044】
そして、検査用カメラ51によって容器20を撮影して得た撮影画像に基づく検査により容器20の向きが目標の向きであることが確認されると、容器20の印刷領域27に印刷装置50によって例えば賞味期限及びロット番号等の所定事項が印刷される。一方、検査により回転不良の容器20は、印刷装置50による印刷位置に至る手前で排出装置54によりコンベヤ13上から排除される。印刷された容器20は、検査用カメラ53によって撮影され、コントローラ56はその撮影で得られた撮影画像に基づく印刷結果の検査を行う。この印刷検査によって良品であれば、容器20がそのままコンベヤ13から排出部15に搬送され、包装工程等の以後の適宜の工程へ送られる。一方、印刷結果の検査によって不良品であると、図示しないエアージェットからなる排出装置によってコンベヤ13上から排除される。
【0045】
図1及び図2に示した容器印刷装置11では、1つの容器回転装置40によって容器20を回転させたが、容器印刷装置11が高速ライン対応の場合は、図8に示すように、撮影装置30と容器回転装置40をコンベヤ13の長手方向に沿って複数組配置する構成が採用される。高速ライン対応の容器印刷装置11では、図8に示すように、2組の撮影装置30(30A,30B)及び容器回転装置40(40A,40B)がコンベヤ13の長手方向に沿って直列に配置されている。2組の容器回転装置40A,40Bは、容器20を目標の向きになるまでの回転に必要な回転角度を分担している。
【0046】
ここで、図4に示すように容器回転装置40が1つの場合、各回転装置41,46のベルト44,49間に把持した容器20を±180度(正転と逆転で180度ずつ)以上の所定角度だけ回転できる必要がある。しかし、高速ライン対応の場合、搬送中に一対のベルト44,49の速度差で容器20を回転させる構成によって容器20を±180度以上回転できるためには、容器20を一対のベルト44,49間に把持しつつ搬送する際の搬送距離を、搬送速度の高速化に応じて長くする必要がある。搬送距離を長くすると、容器20のピッチを広くする必要があり、容器20のピッチが広くなっては搬送速度の高速化の割に搬送効率(単位時間当たりの容器搬送本数)の向上を期待できなくなる。そこで、本実施形態の高速ライン対応の容器印刷装置11では、複数の容器回転装置40を設け、容器20を回転させる回転角度を複数の容器回転装置40で分担することで、容器20のピッチを狭くしている。例えばP度(例えば120°)回転させる場合は、2つの容器回転装置40A,40Bに、容器20をP/2度ずつ回転させ、一つの容器回転装置40が担う容器20の回転角度を例えば約1/2に小さくすることで、約半分のピッチを確保しつつ容器20の搬送速度の高速化を実現する。
【0047】
容器印刷装置11にあっては、容器20を一方向からカメラ31で撮影して得た画像データ(撮影図柄情報)の中から、予め容器20の周方向の異なる位置の領域を指定して登録された登録図柄部であるモデルMと類似する類似図柄部を探すオムニ・マッチング処理を行う。このオムニ・マッチング処理では、探し当てた類似図柄部の位置情報と、対応するモデルの位置情報とによって、容器20の向きを検出する。特に、容器印刷装置11は、加熱トンネルを通過してシュリンクラベルの熱収縮が完了した容器20に対して好適に用いられ、ラベル22の部分的な収縮率の差異による図柄の歪みが多少あっても、容器20の向きを比較的正確に検出することが可能である。なお、オムニ・マッチング処理の詳細は後述する。
【0048】
ここで、図8に示す高速ライン対応の場合、上流側の容器向き検出装置100における容器向き検出処理でマッチングできず容器20の向きを特定できなかったときに容器20を回転制御することなく下流に搬送すると、下流側の容器向き検出装置100において同様にマッチングできない結果となる確率が高い。そのため、本実施形態では、上流側の容器向き検出装置100でマッチングできなかったときには、モデルの中で一番マッチングしにくい角度であるとしその値に相当する設定角度にあるものとみなし、上流側の容器回転装置40Aに設定角度に応じた容器20の回転制御を行わせ、次の下流側の容器向き検出装置100へ受け継ぐ。下流側の容器回転装置40Bでは、下流側のカメラ31Bが上流側のカメラ31Aとは違う角度で容器20を撮影できるので、その取り込んだ画像データに基づきマッチングを行ったときにマッチングできる結果となる確率が高まる。
【0049】
次に、図9を参照して容器印刷装置11の電気的構成及び機能的構成を説明する。容器印刷装置11のコントローラ56は、回路基板に実装されたチップセット等により構成されるコンピュータ65を内蔵する。また、コントローラ56には、搬送装置12、撮影装置30を構成するカメラ31及び容器センサ32、容器回転装置40、印刷装置50、検査用カメラ51、検査用カメラ53及び排出装置54が電気的に接続されている。また、コントローラ56は、PC60の本体61内の図示しないコンピュータにより表示部63に表示された設定画面又は登録画面を見ながらユーザが入力装置62を操作して設定又は登録した条件等に従って容器印刷装置11を制御する。
【0050】
図9に示すように、コンピュータ65は、CPU68(中央処理装置)及び記憶部の一例としてのメモリ69を内蔵する。メモリ69には、カメラ31が容器20を撮影して取り込んだ画像データに基づくデータ処理で容器20の向きを検出する容器向き検出処理、及び検出した向きに応じて容器20を目標の向きまで回転させる容器回転制御をコンピュータ65に実行させるためのプログラムPRが記憶されている。また、メモリ69には、容器20の外周面21に描かれた図柄23の全周図柄情報の一部が、登録図柄部(後述するモデルM)として容器20の周方向の異なる位置ごとに登録された登録データの一例であるモデル登録データMD(以下、モデル登録データMDをモデルMと同様の意味で使用する)が記憶されている。モデル登録データMDでは、容器20の周方向の異なる位置にユーザが領域を指定して登録された複数(例えば8つ)のモデルMと、各モデルMの位置情報とが対応付けられている。なお、メモリ69は、ハードディスクやRAMの一部の記憶領域により構成される。
【0051】
図9に示すコンピュータ65は、CPU68がプログラムPRを実行することにより容器印刷制御装置70として機能する。図9において、CPU68内に模式的に示された各機能ブロックは、CPU68がプログラムPRを実行することで実現される各機能部である。すなわち、容器印刷制御装置70は、ソフトウェアよりなる機能部として、制御部71、登録部の一例としてのモデル登録部72、画像取得部73、検出部の一例としての容器向き検出部74、回転制御部75、回転検査部76及び印刷検査部77を備えている。容器印刷制御装置70は、カメラ31が撮影して取り込んだ画像データに基づく容器向き検出処理、容器を検出された向きに応じて回転させる容器回転制御、回転後の容器20の向きを検査する容器向き検査、及び容器20への印刷結果を検査する印刷検査などの各種処理を行う。なお、モデル登録部72、画像取得部73及び容器向き検出部74は、PC60の本体61内の図示しないコンピュータがプログラムを実行することにより、本体61内に設けられてもよい。
【0052】
本実施形態では、容器印刷制御装置70は、カメラ31が容器20を一方向から撮影して得た画像データ(撮影図柄情報)に基づいて、オムニ・マッチング処理を行って、容器20の向き(角度)を検出する。オムニ・マッチング処理では、カメラ31が容器20の外周面21の図柄23を一方向から撮影して得た撮影図柄情報の中から、モデルM(登録図柄部)と図柄の特徴(本例では形状)が類似する類似図柄部を探すマッチング処理を行う。このマッチング処理では、類似度のスコアが所定の閾値を超えれば、マッチングしたものとし、そのマッチング時の類似度のスコアと、その類似図柄部の位置情報とをメモリ69に一時記憶する。本例では、マッチングした類似図柄部が複数存在する場合は、類似度のスコアの一番高い1つの類似図柄部を選択する。そして、その選択した1つの類似図柄部の位置情報と、その類似図柄部と対応するモデルMの位置情報とに基づいて、容器20の向き(角度)を検出する。なお、類似図柄部の位置情報は、撮影画像における容器の幅中心位置に対する類似図柄部の幅方向への距離で示される。また、モデルMの位置情報には、モデル登録時にN分割した1つの角度範囲の中心位置を示す正面角度(例えば0度から315度まで45度刻み)と、正面角度(容器幅中心位置)からモデルMの幅中心までの幅方向への距離の情報とが含まれる。
【0053】
図9に示す制御部71は、容器印刷装置11の制御の全体を司り、各部72〜77に所定の処理又は制御を指示する。さらに制御部71は、設定画面90(図12参照)の表示、モデル登録時に用いられるモデル登録用画面91(図13参照)の表示などを表示部63に表示させる各種の表示制御などを行う。
【0054】
モデル登録部72は、容器20の図柄23を周方向にN分割(例えば8分割)した1つの角度範囲(例えば45度の範囲)のうちから、ユーザが入力装置62の操作で選択した領域内の図柄部をモデルM(登録図柄部)として登録する。図10に示すように、ユーザは、容器20の外周面21の全周に描かれた全体の図柄23の中から、全周をN分割(例えばN等分割)した1つの角度範囲ごとに所望のモデル領域23Mを1つずつ例えばマウス62mの操作で領域を指定して選択することでモデルMを登録する。モデル登録部72は、入力装置62から受け付けたモデル領域23M内の図柄部情報を取得し、その図柄部情報に対して特徴抽出処理(例えばエッジ抽出処理等)を施すことで、図柄の形状(輪郭等)を特徴とするモデルM1〜M8を作成する。モデル登録部72は、作成したモデルM1〜M8を、これらの図柄23上の相対位置を特定する位置情報(位置座標)と対応付けてメモリ69に記憶することで、N個(例えば8個)のモデルM1〜M8を登録する。
【0055】
図10に示す例では、モデルM3,M4は、バーコードを囲む枠の一部を含み、その枠の一部によってできる逆L字形状を特徴にもつ。また、例えばモデルM1,M2,M8は、商品名のロゴマーク等のデザイン(図案)や文字の輪郭線の形状を特徴にもつ。また、モデルM5,M7は、文字列を囲む枠の一部によってできる逆L字形状を主な特徴にもつ。さらにモデルM6は、文字列を囲む枠の一部が2つ左右に並んでできるT字形状を主な特徴にもつ。各モデルM1〜M8は、N分割された各角度範囲の中心位置を示す正面角度0度、360/N度、…、360・(N−1)/N度と対応付けられる。8分割(N=8)の例では、各モデルM1〜M8は、0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度の正面角度とそれぞれ対応付けられる。また、各モデルM1〜M8の位置が、正面角度を基準とする周方向の相対位置(相対角度)として登録される。このようにN個のモデルM1〜M8は、正面角度及び相対位置の情報と対応付けられたモデル登録データMDとしてメモリ69に記憶される。
【0056】
図13に示すモデル登録用画面91で、ユーザはカメラ31によって撮影された容器20の画像を見ながら入力装置62を操作して所望の領域を指定することでモデル登録を行う。図13に示すモデル登録用画面91には、N分割された角度範囲のうちそのとき登録の対象とされた角度範囲の幅中心に容器20の幅中心を一致させた状態で容器20の画像が表示される。このモデル登録用画面91には、正面角度(0,45,…,360度)の位置を指す中心線Lと、モデルM(例えばM1)を登録するべき幅範囲を明示する例えば四角枠状の枠Kとが重畳表示される。ユーザは、例えばマウス62mを操作して、枠Kの幅範囲内に同図に二点鎖線で示す四角枠の領域を指定してモデル領域23Mを選択し確定することで、モデルMを登録する。1つのモデルMを登録する度に、所定角度(=360/N度)ずつ容器20を回転させて、モデル登録用画面91中の容器の正面角度を所定角度ずつ切り換える。こうして容器の正面角度の異なる角度範囲ごとにモデル領域23Mを順番に選択する操作を繰り返すことで、N個(例えば8個)のモデルM1〜M8を登録する。なお、モデルM1〜M8の高さ方向の中心の最小高さが下辺、最大高さが上辺となるよう枠Kが、モデルの登録位置及びサイズに応じて変更される構成とすることもできる。
【0057】
図11は、モデルが登録された容器の全周をパノラマ展開で示したものである。図10及び図11に示すように、ユーザによるモデル登録により、商品名のロゴマーク等のデザイン(図案)の一部を含むモデルM1,M2,M8、バーコード等の一部を含むモデルM3,M4、文字列とその囲み枠とを含む領域の一部を含むモデルM5,M6,M7が登録される。本例では、ユーザは、全周の図柄23のうちモデルMとして登録する位置及び領域のサイズを任意に選択可能である。ラベル22の図柄23には、容器20に例えば飲料液を入れて提供される商品の種類によらず共通又は共通とみなしうる図柄部23A〜23Dと、比較的大きな文字サイズの文字列で商品の種類名が記載されたり、商品の種類に応じた異なるイラストが描かれたりして、商品の種類に応じて変化する可変の図柄部23Eとがある。可変の図柄部23EをモデルMに登録すると、その図柄部23Eを有する種類の容器20についてはモデル検出ができるが、他の種類の容器20についてはモデル検出ができない不都合がある。また、特許文献2のように、予め登録された全周図柄情報の中から、撮影画像を探すマッチング処理をする場合、撮影画像が商品の種類により変化すると、予め登録された全周図柄情報と同じ種類の商品の容器20であれば容器の向きを検出できる。しかし、予め登録された全周図柄情報と異なる種類の商品の容器20については容器の向きの検出が不可能となる。
【0058】
本例では、ユーザがマウス62mの操作で所望の位置に所望のサイズの領域を指定して、任意の位置及び任意のサイズでモデル領域23Mを選択することで、その選択したモデル領域23M内の図柄部をモデルMとして登録することができる。そのため、ユーザは可変の図柄部23Eを避けて、モデル領域23Mを選択すれば、商品の種類が複数の容器20に対しても、商品の異なる種類間で共通のモデルMの登録が可能である。
【0059】
また、図11に示すように、本例では、登録されたN個全てのモデルM1〜M8を含むラベル22(又は容器20)の高さ方向Zにほぼ最小の範囲が、登録領域RAとして設定される。図11の例では、N個のモデルM1〜M8が、ラベル22の高さ方向Zの上半分の領域に収まるように選択されているため、ラベル22(又は図柄23)のほぼ上半分の領域が登録領域RAとして設定される。よって、ユーザがN個のモデルM1〜M8を高さ方向Zに収める範囲を狭くすることを意識してモデル登録を行うことで、登録領域RAを高さ方向Zに狭くすることが可能である。登録領域RAは、高さ方向ZにおいてN個のモデルM1〜M8のうち最下端位置に所定のマージンを引いた位置を下辺とし、最上端位置に所定のマージンとを加えた位置を上辺とする範囲に設定される。この登録領域RAは、後述するモデル検出部81がモデルMをマッチング処理で探索する際の探索対象領域を決めるときに用いられる。また、図11に示すように、カメラ31により容器20の外周の図柄23が一方向から撮影された際は、全周の図柄23のうちそのときの容器20の向きに応じて180度未満(一例として165〜175度)の撮影範囲IRの図柄部分が撮影される。図11では、正面角度0度が正面となる向きの容器20をカメラ31が撮影したときの撮影範囲IRを一例として示しているが、撮影範囲IRはカメラ31に対する容器20の向きに応じて図11における横方向(周方向)にシフトする。本例では、撮影範囲IRかつ登録領域RAの範囲がマッチング処理時の探索対象領域とされる。よって、モデルM1〜M8を登録する位置及びサイズに応じて、マッチング処理時の探索対象領域が変化する。
【0060】
図9に戻って、画像取得部73は、モデル登録時の登録画面用の画像の取得処理及びマッチング処理に用いる画像の取得処理を行う。画像取得部73は、カメラ31が容器20を一方向から撮影して得た画像データ(撮影図柄情報)を取得し、画像の幅中心と容器の幅中心とを一致させるなどの所定の画像処理を行う。
【0061】
容器向き検出部74は、カメラ31が容器20を一方向から撮影して得た画像データ(撮影図柄情報)とモデルMとに基づいて、容器20の向きを検出する。容器向き検出部74は、画像データの図柄の中からモデルMを検出するモデル検出部81、及び検出されたモデルMの位置情報を用いて容器20の向きを演算する演算部82を備える。また、容器向き検出部74は、モデル検出部81の検出結果に基づいて、容器20に対する図柄23の高さ方向Zの位置ずれ量を取得し、その位置ずれ量からラベル22の高さ方向Zの位置ずれを検査するラベル高さ検査部83を備える。
【0062】
モデル検出部81は、カメラ31が容器20を一方向から撮影して取り込んだ撮影画像データ中の容器正面画像から、N個(例えば8個)の登録されたモデルMと特徴が類似する類似図柄部を探索することにより、モデルMの検出処理を行う。このモデル検出処理では、撮影画像データ(撮影図柄情報)の中からモデルMと同形状・同サイズの画素領域を対象図柄領域として選択し、オムニ・マッチング処理により、対象図柄領域とモデルMとの類似度のスコアを求める。そして、対象図柄領域をモデルMの中心位置を起点として、所定ピッチ(例えば1画素又は数画素)ずつずらして変更しながら、対象図柄領域のモデルMとの類似度のスコアを順次求める。このとき、モデル検出処理の開始に先立ち、撮影画像のうち高さ方向Zに全てのモデルM1〜M8が共通に登録された高さ方向Zに登録領域RAに相当する一部のマッチング対象領域MA(図11参照)を、対象としてオムニ・マッチング処理を行う。オムニ・マッチング処理で類似度のスコアが閾値以上となる対象図柄領域が見つかると、その対象図柄領域内の図柄部を類似図柄部とし、その類似度のスコアと共に類似図柄部の位置情報をメモリ69の所定記憶領域に記憶する。このオムニ・マッチング処理では、対象とするモデルMを1つずつ順番に切り換えて8つのモデルM1〜M8を検出するモデル検出処理を行ってもよいが、例えばマルチコアのCPU68を用いて複数のモデル検出処理を並列処理で行う。本例では、8つのコアを備えたCPU68を用い、8つのモデルM1〜M8の各々を検出対象とするモデル検出処理を並列処理で行う。そして、全てのモデルM1〜M8についてモデル検出処理を終えると、メモリ69に記憶された全ての類似図柄部に関する情報を読み出して比較し、類似度のスコアが一番高い類似図柄部を検出モデルDMとして取得する。なお、各モデルM1〜M8には、最低スコアが予め設定されており、最低スコアにならないモデルはマッチング処理を中断するようにしている。これは1方向からマッチングできるモデルMは、全周8モデルのうち3つ程度であるためである。
【0063】
図9に示す演算部82は、検出モデルDM(類似図柄部)の位置情報と、検出モデルDMと対応するモデルM(登録図柄部)の位置情報とを用いて、容器20の向き(角度)を算出する。さらに演算部82は、算出した容器20の向きから、容器20の向きが目標の向きになるまでの回転角度(回転量)を演算する。このとき、目標角度までの回転量を正転と逆転との両方で演算し、回転量が少なく済む近回りとなる一方を選択することで、回転方向と回転角度とを決定する。
【0064】
回転制御部75は、検出された容器20の向きから、容器20の印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標の向きになるまで、演算部82が取得した所定の回転方向に所定の回転角度だけ容器20を回転させるように容器回転装置40を駆動させる。回転制御部75は、容器回転装置40を構成する一対の回転装置41,46の各駆動部42,47を、一対のベルト44,49間に容器20の回転方向及び回転量に応じた必要な速度差が生じるように制御する。この回転制御部75による制御の結果、容器回転装置40の一対のベルト44,49間に把持された容器20は印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標の向きまで回転した後、容器回転装置40の下流側のコンベヤ13上へ搬送される。
【0065】
回転検査部76は、向きが目標の向きに調整された容器20が印刷装置50の正面を通る前に、容器20の向きを検査する。回転検査部76は、検査用カメラ51からの画像データに基づいて、印刷前の容器20の向きを検査する。詳しくは、回転検査部76は、検査用カメラ51からの画像データに基づいて、印刷前の容器20が印刷装置50の正面を通るときに印刷領域27が印刷装置50と対向する正しい向きであるか否かを検査する。印刷前の容器20の向きが正しくない回転不良の場合は、制御部71が排出装置54を駆動させて、回転不良の容器20はコンベヤ13の外側へ排出され、受箱55に回収される。コントローラ56は、向きが目標の向きに調整された容器20が印刷装置50の正面を通るときに、印刷装置50を駆動させて容器20の印刷領域27に所定事項の印刷を施す。
【0066】
印刷検査部77は、印刷装置50による容器20の印刷結果を検査する。印刷検査部77は、印刷後の容器20を検査用カメラ53で撮影して得た画像データに基づいて、容器20の印刷領域27に印刷された印刷結果(所定事項)が正しく印刷されているか否かを検査する。容器20の印刷結果が不良の場合は、制御部71が図示しない排出装置を駆動させて、印刷不良の容器20はコンベヤ13の外側へ排出され、図示しない受箱に回収される。
【0067】
なお、本実施形態では、カメラ31を備える撮影装置30、コンピュータ65を構成する制御部71、モデル登録部72、画像取得部73、容器向き検出部74及びモデル登録データMDを記憶するメモリ69等により、前述の容器向き検出装置100の一例が構成される。また、コンベヤ13を備えた搬送装置12、容器向き検出装置100、容器回転装置40、回転制御部75、印刷装置50及び回転検査部76等を備える容器印刷装置11により、前述の容器処理装置の一例が構成される。
【0068】
図12に示すように、ユーザは表示部63に表示させた設定画面90で、キーボード62kやマウス62m等の入力装置62を用いて、容器印刷装置11を制御するための設定パラメータの設定値を入力設定する。設定画面90には、入力するべき容器回転制御用の設定パラメータとして、目標角度G、角度許容範囲β、容器幅視野角度α及びラベル高さずれ検査などの設定項目が用意され、ユーザは設定パラメータの設定値を入力設定する。
【0069】
ここで、「目標角度G」とは、基準角度0度(正面角度0度に相当)を基準として容器20の目標の向きとなる印刷領域27の位置を角度で示した値である。図11に示す容器20の例では、印刷領域27は容器20の裏面に設定されている。このため、容器20を表面から撮影したときの撮影画像(図13)における容器の正面角度(中心位置)を基準角度0度とした場合、目標角度Gは一例として170度に設定される。
【0070】
また、「角度許容範囲β」は、容器20の向きを調整する場合に目標角度Gに対する角度ずれの許容範囲を指定する設定項目である。このため、容器20の向きは、目標角度Gに対して±β度の範囲内に調整される。図12の例では、一例として15度が設定されているので、容器20の向きは(G±15)度の範囲内に調整される。
【0071】
また、「容器幅視野角度α」とは、容器20をカメラ31で撮影したときに、カメラ31により撮影可能な容器20の幅を規定する角度を指す。この容器幅視野角度αは、カメラ31のレンズの種類(広角レンズ等)や焦点距離などの撮影条件及び容器20の外径(直径)に応じて変化する。容器幅視野角度αは、検出モデルDMの位置(角度)から容器20の向きを正確に計算するための補正に利用される。
【0072】
また、「ラベル高さずれ検査」は、容器20に対するラベル22の高さ方向Zの位置ずれを検査するか否かを選択する設定項目である。ラベル高さずれ検査の設定値が「0」である場合は検査を実施せず、「1」である場合は検査を実施する。この項目の設定値が「1」である場合、図9に示すラベル高さ検査部83によって容器20のラベル高さずれ検査が行われる。
【0073】
次に、容器印刷装置11の作用を説明する。コンピュータ65(容器印刷制御装置70)がプログラムPRを実行することで行われるモデル登録処理及び容器向き制御処理を、図15及び図16に示すフローチャートを参照して説明する。まず、図15を参照して、モデル登録処理について説明する。モデル登録は、容器20を基準角度0度から360/N度(例えば45度)ずつ例えば電動式回転テーブルを用いて回転させつつ、カメラ31が所定回転角度ごとの容器20を一方向から撮影して得た画像データを用いて、PC60が表示部63に表示させた図13に示すモデル登録用画面91を見ながらユーザが入力装置62を操作して行う。コンピュータ65のモデル登録部72は、ユーザがモデル登録時に操作する入力装置62からの入力信号に基づきモデル登録処理を行う。
【0074】
まずステップS11では、容器の画像データを取得する。すなわち、カメラ31が容器20を一方向から撮影して得た画像データを、コンピュータ65のモデル登録部72が取得する。このモデル登録時に最初に撮影された容器20の向きにおける幅中心が基準角度0度とされる。
【0075】
ステップS12では、容器の幅、幅中心位置を計算する。詳しくは、モデル登録部72が、カメラ31が容器20を撮影して取り込んだ画像から、画像上の容器の幅(ピクセル値)を取得し、取得した容器の幅に予め設定された換算係数(mm/ピクセル)を乗じて容器視野角幅Wを求める。この容器視野角幅Wと設定パラメータの容器幅視野角度α(図12参照)とを用いて、容器の幅寸法(直径)2r(但しrは容器の半径)を、式 2r=W/(sin(α/2)・π/180)により計算する。また、モデル登録部72は、画像上の容器の幅中心位置の座標を計算する。
【0076】
ステップS13では、モデル登録部72は、容器の幅中心を画像の幅中心に補正する。この補正により、表示部63には、容器20の画像がその幅中心がモデル登録用画面91(図13参照)の幅中心に一致する状態で表示される。モデル登録部72は、容器の全周をN分割した複数の角度範囲のうち、今回は正面角度0度の角度範囲が中央(正面)に位置する容器の画像をモデル登録用画面91に表示する。
【0077】
ステップS14では、登録するモデル領域を設定する。ユーザは、表示部63に表示されたモデル登録用画面91中の容器の画像を見ながら、容器20の図柄23の中からモデル登録を希望する一部の図柄部を、マウス62mの操作で四角枠で囲むことで、モデル領域23Mを選択する。モデル登録部72は、入力装置62から選択したモデル領域23Mの確定の旨を受け付けると、そのモデル領域23Mを登録する際の今回の正面角度(例えば0度)及び正面角度を基準位置とするモデル領域23Mの相対位置座標を計算する。
【0078】
ステップS15では、モデル領域内のモデルを作成する。モデル登録部72は、モデル領域23M内の図柄部を規定する図柄部情報を取得し、その図柄部情報に特徴抽出処理を施すことにより、その図柄部の特徴データを作成し、これをモデルMとする。こうして、そのときの正面角度における撮影画像中の容器20の図柄23のうちユーザが選択した一部の図柄部の特徴データがモデルMとして作成される。本例のモデルMは、全周の図柄23のうちカメラ31で一方向から撮影された部分のうちユーザが選択した一部の図柄部の特徴データからなる。本実施形態では、オムニ・マッチング処理が形状マッチングであるため、モデルMは、図柄部の形状(エッジ)を抽出した形状を特徴とするデータからなる。
【0079】
ステップS16では、モデル登録部72が、モデルの正面角度および位置を登録する。すなわち、モデル登録部72は、ステップS14,S15の処理で求めたモデルMを、今回の正面角度およびモデルMの位置の座標と対応付けてメモリ69に記憶することで登録する。
【0080】
ステップS17では、モデル登録部72が、モデルの登録を全周分終えたか否かを判断する。モデルの登録を全周分(N個分)終えていなければステップS18に進み、モデルの登録を全周分終えていれば当該ルーチンを終了する。
【0081】
ステップS18では、容器を所定角度(360/N度)だけ回転させる。例えばモデル登録時の容器20は、電動式回転テーブル(図示せず)に載置された状態でカメラ31により一方向から撮影される。制御部71は回転テーブルの動力源を駆動させ、回転テーブルを回転させることで、容器20を所定角度だけその軸線を中心に回転(軸回転)させる。この結果、モデル登録用画面91中の容器の画像が、次の正面角度360/N度の角度範囲の画像に切り換わる。そして、次の角度範囲の容器の画像が表示されたモデル登録用画面91を見ながら、ユーザは入力装置62を操作して次の角度範囲における容器の画像よりモデル領域23Mを選択することでモデル登録を行う。詳しくは、モデル登録部72は、次の正面角度における容器20をカメラ31が撮影して得た画像データを取得すると(S11)、ステップS12〜S17の各処理を同様に行う。そして、ステップS17でモデルの登録を容器の全周分(N個)終えたと判断されるまで(S17で肯定判定)、1つの角度範囲におけるモデルMの登録を終える度に、容器20を所定角度だけ回転させ(S18)、次の正面角度の角度範囲の容器に切り換えてその画像データを取得する度に(S11)、ステップS12〜S17の各処理を繰り返す。こうして図11に示すように、N個(例えば8個)のモデルM1〜M8が、正面角度および位置情報(座標)と対応付けられたモデル登録データMDとしてメモリ69に記憶される。モデル登録時に、ユーザはラベル22の高さ方向Zの一部の範囲に収まるようにN個のモデルM1〜M8を選択する。その結果、各モデルM1〜M8は、ラベル22の高さ方向Zの一部の範囲となる登録領域RA内の位置に登録される。また、モデル登録部72は、N個のモデルM1〜M8の全てを含む登録領域RAを特定可能な位置座標を取得してメモリ69に記憶する。なお、本実施形態では、モデル登録処理ルーチンが、登録ステップの一例に相当する。
【0082】
次に図16を参照して、容器向き制御処理について詳細に説明する。
ユーザは、容器印刷装置11の駆動開始前に、入力装置62を操作して表示部63に表示させた設定画面90で必要な設定情報を入力した後、容器印刷装置11の駆動を開始させる開始操作を行うことで、容器印刷装置11を駆動させる。この結果、容器印刷装置11は、駆動開始の旨を入力したコントローラ56によって駆動される。搬送装置12の駆動によって供給部14から供給された容器20はコンベヤ13により連続搬送され、タイミングスクリュー16により所定の間隔を開けて連続搬送される容器20は、容器センサ32により検知されたタイミングでカメラ31によって一方向から撮影される。カメラ31が撮影して取り込んだ画像データは、コンピュータ65内のメモリ69に一時格納される。そして、コンピュータ65がプログラムPRを実行することで容器回転制御処理を行う。なお、容器印刷装置11の駆動中は、カメラ31が撮影した容器の画像を含む検査用画面(図示せず)が表示部63に表示される。
【0083】
まず図16におけるステップS21では、容器の画像データを取得する。すなわち、コンピュータ65は、カメラ31が搬送中の容器20を一方向から撮影して得た画像データを取得する。なお、本実施形態では、ステップS21の処理が、撮像ステップの一例に相当する。
【0084】
ステップS22では、容器の幅、幅中心位置を計算する。画像取得部73は、ステップS12でモデル登録部72が行った計算内容と同様の計算処理を行って、容器の幅および幅中心位置を計算する。
【0085】
ステップS23では、容器の幅中心を画像の幅中心に補正する。画像取得部73は、ステップS13でモデル登録部72が行った補正処理と同様の補正処理を行う。この補正により、表示部63に表示された検査用画面(図示せず)には、容器20の画像がその幅中心が検査用画面の幅中心に一致する状態で表示される。
【0086】
ステップS24では、モデル検出部81が、オムニ・マッチング処理を実行し、最も高いスコアのモデルを検出する。モデル検出部81は、カメラ31が容器20を一方向から撮影して得た撮影図柄情報の中から、容器20の周方向に異なる位置に登録されたN個のモデルMと類似する類似図柄部を探索するオムニ・マッチング処理を行う。このとき、図11に示すラベル22の全域のうちカメラ31で撮影された撮影範囲IRの高さ方向Zの全体をマッチング処理の対象としてもよいが、本実施形態では、図11に示すカメラ31で撮影された撮影範囲IRのうち、N個全てのモデルM1〜M8を含む登録領域RAに相当する高さ方向Zに一部の領域をマッチング対象領域MAとする。このため、後者の相対的に狭いマッチング対象領域MAを処理対象としてマッチング処理を行うことで、前者の相対的に広い撮影領域の全体を処理対象とする場合に比べ処理時間を相対的に短くすることができる。
【0087】
モデル検出部81は、このオムニ・マッチング処理において、比較対象の図柄領域を処理対象領域(撮影画像中の登録領域RA)内で少しずつ移動させつつ形状マッチング処理を行って、各対象図柄領域のモデルMとの類似度のスコアを求め、スコアが閾値以上となる類似図柄部を検出することで、モデルを検出する。また、スコアが閾値未満の対象図柄領域しか存在しないときは、撮影画像中にそのモデルMと類似する類似図柄部が検出されないので、モデルは検出されない。そして、全てのモデルM1〜M8についてモデルMと類似する類似図柄部を探索するマッチング処理を行う。このオムニ・マッチング処理の結果、モデルM1〜M8に類似する類似図柄部が複数検出された場合は、そのうち一番スコアの高い1つの類似図柄部を検出モデルDMとする。そして、検出モデルDM(類似図柄部)を探し当てることによって、その検出モデルDMと対応するモデルMが撮影図柄情報から検出されたことになる。
【0088】
ステップS25では、モデル検出部81は、モデルを検出できたか否かを判断する。モデルを検出できた場合はステップS26に進み、モデルを検出できなかった場合はステップS29に進む。
【0089】
ステップS26では、容器向き検出部74が、検出したモデルMの登録時の正面角度および位置情報(座標)を取得する。すなわち、容器向き検出部74は、モデル登録データMDからその検出したモデルMに対応付けられた正面角度と位置情報(座標)とを取得する。
【0090】
ステップS27では、演算部82が、モデルMの検出位置から容器の向きを計算する。すなわち、演算部82は、モデルの検出位置と、モデルの登録時の正面角度と、容器幅視野角度αなどの値を用いて、そのときの容器20の向きを計算する。
【0091】
本実施形態の演算部82は、モデルの検出位置と、そのモデルが登録された位置とから、容器20の向きを特定する撮影画像における正面角度θcを算出する。つまり、演算部82は、カメラ31が容器20を撮影した時にカメラ31の正面を向く容器20の正面角度θmcを、基準角度「0度」を基準とする角度の値として算出する。この容器20の向きを特定する正面角度θcは、図14に示す容器20における各位置の幾何学的な関係から、以下の(1)式により与えられる。
θc=θmc+
(arcsin((C0−C1)/r)−arcsin((C0−Cm)/r))・180/π…(1)
ここで、θmcは、該当するモデルを登録したときの正面角度であり、0度から315度まで45度刻みの角度の値で示される。C0は、撮影画像における容器の中心位置(容器幅中心位置)である。Cmは、該当するモデルが登録されたときの位置を示すモデル登録位置である。C1は、モデル検出処理で該当するモデルが検出された検出位置である。rは、容器20の軸線に直交する断面における半径である。本例では、一例として容器20のネック部26(図13参照)の下側の所定高さにおける半径を採用している。半径rは、容器幅視野角度αと容器視野角幅W(図14参照)を用いて、次の(2)式により与えられる。
r=W/2÷sin(α/2)・180/π…(2)
こうして容器向き検出部74の演算部82は、上記(1)式及び(2)式を用いて、正面角度θcで与えられる容器20の向きを算出する。なお、本実施形態では、ステップS24〜S27の各処理が、検出ステップの一例に相当する。
【0092】
ステップS28では、ラベル高さ検査部83が、検出したモデルの位置(高さ)からラベル高さずれを検査する。ここで、モデル登録データMDには、容器20がコンベヤ13の載置面に載置されたときのモデルMのコンベヤ13の載置面からの高さの情報が含まれている。ラベル高さ検査部83は、モデルMの検出高さ(検出モデルDMの高さ)と登録されたモデルMの高さとを比較して、両者の差(ずれ量)に基づいて、ラベルの高さ方向Zのずれを検査する。ラベル高さ検査部83は、ラベル22の高さ方向Zのずれ量が、許容範囲以下であればラベルずれのない良品とし、ラベル22の高さ方向Zのずれ量が許容範囲を超えると、ラベルがずれた不良品とする。
【0093】
ステップS29では、容器の向きを設定角度に設定する。この設定角度の設定は、高速ライン対応の容器印刷装置11の場合に適用される。すなわち、容器の向きを検出できない場合は、容器20が一番マッチングしにくい角度にあるものと推定しその値に相当する設定角度を設定する。上流側の容器回転装置40Aに設定角度に応じた容器20の回転制御を行わせ、次の下流側の容器向き検出装置100へ受け継ぐ。このとき、下流側のカメラ31Bが上流側のカメラ31Aとは違う撮影角度で容器20を撮影できるので、その取り込んだ画像データに基づきマッチングを行ったときにマッチングできる確率が高まる。なお、設定角度は、容器20を上流側の容器回転装置40Aが回転させて、下流側のカメラ31Bが上流側のカメラ31Aと異なる撮影角度で容器20を撮影できるのであれば、目標角度以外の適宜な値であってもよい。
【0094】
ステップS30では、演算部82が、容器の目標角度までの回転角度を算出する。つまり、演算部82は、検出された容器20の向き(正面角度θc)から、容器20が印刷装置50の前を通るときに印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標角度Gの向きになるまでに必要な回転角度(回転量)を算出する。
【0095】
ステップS31では、回転制御部75が、演算部82が算出した回転角度を出力して容器回転装置40を回転制御する。すなわち、回転制御部75は、演算部82が算出した回転角度の指令値を出力して容器回転装置40を駆動制御することで、容器20を指令された回転角度だけ回転させる。この結果、容器20の向きが、印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標の向きに調整される。
【0096】
ここで、高速ライン対応の容器印刷装置11では、コンピュータ65は、上流側のカメラ31Aと同様、下流側のカメラ31Bが容器20を撮影して得た画像データを取得して(S21)、ステップS22〜S31の処理を同様に行う。容器20を回転させる回転角度を2つの容器回転装置40で分担することで、一つの容器回転装置40が担う容器20の回転角度を約1/2に小さくして、約半分のピッチを確保しつつ容器20の搬送速度の高速化を実現することができる。また、上流側のカメラ31Aが取り込んだ画像データに基づくマッチング処理でモデルMを検出できなかった場合、そのときの角度を設定角度として上流側の容器回転装置40Aにより容器20を回転させる。よって、下流側のカメラ31Bが上流側のカメラ31Aとは違う撮影角度で容器20を撮影できるので、下流側のカメラ31Bが取り込んだ画像データに基づきマッチングを行ったときにマッチングできる確率が高まる。そして、マッチングできて容器20の向きを検出できた場合、下流側の容器回転装置40Bにより、容器20の向きが、印刷領域27が印刷装置50の正面を向く目標の向きに調整される。
【0097】
そして、向きが不適切な回転不良の容器20及びラベル高さずれ不良の容器20は、排出装置54によってコンベヤ13の外側へ排出され、受箱55に回収される。この結果、印刷領域27が印刷装置50と対面可能な向きに調整された容器20のみが印刷装置50の前を通る経路で搬送される。
【0098】
こうして容器20が印刷装置50の前を通るときにその正面を向く印刷領域27に、印刷装置50によって賞味期限及びロット番号等の所定事項が印刷される。そして、印刷装置50を通過した容器20は、検査用カメラ53が撮影して得た画像データに基づいて印刷結果の良否が検査される。つまり、印刷検査部77が、検査用カメラ53が撮影して得た画像データに基づいて、例えば印刷結果の位置ずれ不良、インクのかすれや滲み等の印刷品質不良などの複数の要因別に印刷結果を検査する。そして、印刷不良の容器20は、排出装置によってコンベヤ13の外側へ排出され、受箱(いずれも図示せず)に回収される。なお、印刷前に回転不良及びラベル高さずれ不良などの印刷に不適切な不良の容器20をコンベヤ13から排除する構成に替え、不良の容器20もそのままコンベヤ13で下流側へ搬送し、制御部71が印刷装置50を制御し、印刷装置50による不良の容器20への印刷は行わない構成としてもよい。
【0099】
以上詳述したように、この実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)容器向き検出装置100は、容器20を一方向から撮影するカメラ31と、容器20の全周の図柄23のうち周方向に異なる位置にある複数の図柄部が位置情報と対応付けて登録されたモデル登録データMDを記憶するメモリ69とを備える。さらに、容器向き検出装置100は、カメラ31が容器20を一方向から撮影した撮影図柄情報のうち、登録されたモデルM1〜M8と類似する類似図柄部を探索し、探し当てた類似図柄部の検出位置(位置情報)と、そのモデルMの位置情報とに基づいて容器20の向きを検出する容器向き検出部74を備える。よって、カメラ31は容器20を一方向から撮影できる数(例えば1つ)用意すればよい。また、特許文献2に記載の容器向き検出装置のように、予め容器の全周図柄情報を登録しておき、全周図柄情報から、カメラで容器を一方向から撮影して得た撮影図柄情報を探索するマッチング処理を行う構成でも、カメラを1つとすることはできる。しかし、この場合、全周図柄情報のうちから、撮影図柄部情報を探索するマッチング処理がかなり負担となり、そのマッチング処理にかなりの時間を要する。これに対して、本実施形態の容器向き検出装置100は、容器20の一方向から撮影された撮影図柄情報から、モデルM(登録図柄部)を探索するマッチング処理で済むので、そのマッチング処理の負担が比較的軽く済み、マッチング処理時間の短縮に寄与できる。
【0100】
(2)複数のモデルM(登録図柄部)を位置情報と対応付けてメモリ69に記憶させるモデル登録部72を更に備え、容器20の外周面21を周方向にN分割(但し、Nは3以上の自然数)した角度範囲ごとに、入力装置62により指定された領域の図柄部をモデルMとして一つずつ登録する。よって、容器20の外周面21の図柄23のうち入力装置62により指定した所望の領域の図柄部をモデルMとして登録することができる。容器20の図柄23の中に、例えば商品の種類によって変化する可変の図柄部23Eが存在する場合、その可変の図柄部23Eを避けてモデルMを登録することができる。この場合、商品の種類が異なっても、共通のモデルMを用いて容器20の向きを検出することができる。また、容器20を一方向から撮影したときに撮影画像中に1つの検出モデルDM(類似図柄部)は存在することになるので、容器20がどの向きにあっても、容器20の向きを検出することができる。
【0101】
(3)N分割を6分割以上(一例として8分割)とし、1つの角度範囲を60度以下(一例として45度)にしている。よって、カメラ31が一方向から撮影して得た撮影画像中に、複数のモデルMを検出することができる。よって、複数のモデルMのうち一つのモデルMが何らかの理由により検出できなくても、他の1つのモデルMを検出できるので、このような事態の場合も、その検出できた一方のモデルMに基づき容器20の向きを検出することができる。よって、容器20の向きをより確実に検出することができる。例えば不良の容器20の発生率の低減に寄与できる。なお、上記の事態としては、可変の図柄部23Eの少なくとも一部を含む領域をモデルMとして登録した場合が挙げられる。
【0102】
(4)容器向き検出部74は、ラベル高さ検査部83を備え、容器20の向きの検出に加え、ラベル高さ検査部83により容器20の高さ方向ZにおけるモデルMの位置を検出する。よって、容器20の高さ方向Zにおける図柄23のずれを検出することができる。例えば図柄23が描かれたラベル22が施された容器20である場合に、容器20に対する図柄部の高さ方向Zのずれ量から、ラベル22が高さ方向Zにずれて施されたラベル不良の容器20を検出することができる。
【0103】
(5)容器印刷装置11は、容器20を連続搬送させるコンベヤ13を備えた搬送装置12と、容器向き検出装置100と、容器向き検出装置100により検出された容器20の向きに基づき、容器20を目標の向きになるまで回転させる容器回転装置40とを備える。よって、容器向き検出装置100により検出された容器20の向きを目標の向きになるまで回転させ、容器20を目標の向きに調整することができる。
【0104】
(6)容器向き検出部74は、カメラ31が容器20を一方向から撮影して得た撮影図柄領域のうち、N個のモデルM(登録図柄部)の全てが含まれる容器の高さ方向Zに一部の登録領域RAでもある一部の領域を、マッチング処理の対象としてモデルMを探索する。よって、マッチング処理の対象領域を撮影図柄領域よりも狭くできるので、対象領域を撮影図柄領域の全体とした場合に比べ、マッチング処理時間をより短縮することができる。
【0105】
(7)容器処理装置の一例としての容器印刷装置11は、容器回転装置40により目標の向きに調整された容器20に印刷処理を施す処理部の一例として印刷装置50を備えている。よって、容器20の所定の向きにある印刷領域27に正しく所定事項を印刷することができる。
【0106】
実施形態は、上記に限定されず、以下のように変更してもよい。
・複数のモデル(登録図柄部)の全てについてマッチング処理を行う必要はない。例えば登録図柄部と類似する類似度のスコアが目標値を超えれば、その類似図柄部を検出モデルに決定し、その時点でマッチング処理を中止してもよい。また、マルチコアのCPU68で並列処理を行う場合においても、類似度のスコアが目標値を超えたモデルが1つ見つかった時点で、並列処理を中止させてもよい。この構成によれば、容器の向きを早期に検出できる。
【0107】
・複数の検出モデル(類似図柄部)を取得した場合に、一番スコアの高い1つの検出モデルを選択したが、複数の検出モデルに基づいてそれぞれ容器の向きの値を算出し、その算出した複数の向きの値に基づいて容器の向きを決定してもよい。例えば複数の容器の向きの値を、平均したり、類似度の値に応じた重み付け演算したりしてもよい。
【0108】
・容器向き検出装置が向きの検出対象とする容器は、例えばラベルを容器に装着して外周面に図柄が設けられたラベル容器に限定されず、容器の外周面に図柄が直接印刷された印刷容器、2色成形等の複数色の成形手法を用いて図柄が一体的に成形された容器など、外周面に何らかの図柄を有する各種の容器に適用することができる。容器の形状についても、略円筒形状に限らず、断面形状が三角形、四角形、六角形、八角形、十二角形等の多角形状のものでもよく、その場合、容器回転装置は、回転が可能であればベルトの速度差を利用したベルト回転方式でもよいが、容器を回転テーブルに載せて回転させる回転テーブル方式、チャック部又は負圧吸着部などの把持部により持ち上げた容器を回転させる回転方式でもよい。
【0109】
・容器の外周面を周方向に分割する分割数Nは、3以上の自然数であればよい。例えば容器の外周面を周方向に3分割してもよいし、4分割、5分割、6分割、7分割でもよいし、9分割、10分割、さらには11分割以上のN分割としてもよい、そして、3以上の分割数Nで分割した1つの角度範囲ごとに、1つのモデル(登録図柄部)を登録することが好ましい。
【0110】
・前記実施形態では、容器の外周面を周方向に8分割したが、N分割は6分割以上であることが好ましい。6分割以上であれば、1つの角度範囲を60度以下とすることができ、カメラで一方向から撮影した撮影図柄情報の中に登録図柄部を複数検出できるので、複数のうち一つが何らかの理由で探し当てられなくなっても、他の1つが探し当てられれば、容器の向きを検出することができる。よって、容器の向きをより確実に検出することができる。
【0111】
・N分割した1つの角度範囲につき複数のモデルを登録してもよい。例えば3分割した1つの角度範囲に2つのモデルを登録したり、8分割した1つの角度範囲に2つのモデルを登録したりしてもよい。また、角度範囲によってモデルの登録数を異ならせてもよい。
【0112】
・マッチング処理は、形状マッチング処理に限定されず、公知の他のマッチング処理でもよい。例えば正規化相関マッチング等の相関マッチング処理でもよい。
・単一の容器20の外周面21を1つのカメラ31によって一方向(所定の撮影角度)から撮影する構成としたが、容器の全周の図柄のうち一部の図柄のみ撮影により取得する限りにおいて、例えば単一の容器を2つのカメラで撮影してもよい。例えば2つのカメラにより容器の全周のうち例えば180〜300度の範囲内の所定角度範囲を撮影し、2つのカメラで容器を撮影して得た各画像を合成した合成画像を対象として登録図柄部(モデル)を探すマッチング処理を行ってもよい。この場合、容器の外周面を周方向に分割する分割数Nを「2」とし、登録図柄部を2つにすることもできる。この構成によっても、容器の全周の図柄を撮影により取得する構成に比べ、相対的に少ない数のカメラで済むうえ、しかもマッチング処理時の処理時間を短縮し、容器の向きを早期に検出できる。しかも、前記実施形態の1つのカメラ31(31A,31B)で容器20の向きを検出する構成に比べ、少ない分割数としてモデルMの登録数が少なくても(例えば2つでも)、容器の向きがどんな向きでも向きを検出することができる。
【0113】
・N分割はN等分割に限定されない。登録図柄部が容器の周方向の特定の箇所(例えば150度以上の角度範囲)に存在しないことにならない限りにおいて、異なる角度範囲で分割してもよい。角度範囲が例えば30度以下の範囲の差で異なってもよい。
【0114】
・印刷装置は容器の蓋に印刷を施してもよい。例えば容器の外周面の図柄に合わせた向きに蓋に印刷する用途がある場合は、容器の外周面の図柄に合った向きに蓋に印刷を施すことができる。この場合、容器の外周面と蓋の両方に印刷する容器印刷装置としてもよい。
【0115】
・容器20に向き調整後に処理部が施す処理は、印刷装置50による印刷処理に限定されず、容器の向きの調整が必要な他の処理でもよい。例えば容器に蓋を装着する蓋装着装置を処理部の一例として設け、その処理が容器の図柄に対する蓋の図柄の向きを揃える蓋装着処理であってもよい。その他、容器の所定の向きにある図柄部や印刷箇所などを検査する検査装置を処理部の一例として設け、その処理が検査処理でもよい。この場合、検査の前に、検査装置の正面に容器の検査対象箇所が位置する目標の向きに容器の向きを調整する。
【0116】
・容器向き検出装置を備える容器処理装置を容器印刷装置11としたが、印刷装置50を切り離し、容器の向きを検出して容器の向きを目標の向きに調整する容器向き調整装置として構成したり、さらに容器向き検出装置のみを1つの装置として構成したりしてもよい。
【符号の説明】
【0117】
11…容器処理装置の一例としての容器印刷装置、12…搬送部の一例としての搬送装置、13…コンベヤ、20…容器、21…外周面、22…ラベル、23…図柄、30,30A,30B…撮影装置、31,31A,31B…撮像部の一例としてのカメラ、32,32A,32B…容器センサ、40,40A,40B…容器回転部の一例としての容器回転装置、50…処理部の一例としての印刷装置、51…検査用カメラ、53…検査用カメラ、56…コントローラ、60…パーソナルコンピュータ、61…本体、62…入力装置、63…表示部、69…記憶部の一例としてのメモリ、71…制御部、72…登録部の一例としてのモデル登録部、73…画像取得部、74…検出部の一例としての容器向き検出部、75…回転制御部、76…回転検査部、77…印刷検査部、100…容器向き検出装置、PR…プログラム、MD…登録データの一例としてのモデル登録データ、M1〜M8,M…登録図柄部の一例としてのモデル、RA…登録領域、Z…高さ方向。
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