(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6693784
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20200427BHJP
【FI】
A61B8/00
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-61551(P2016-61551)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-169978(P2017-169978A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】510140847
【氏名又は名称】エフアンドエフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 信次
(72)【発明者】
【氏名】田上 憲二
【審査官】
冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−000318(JP,A)
【文献】
特開2011−167305(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0308610(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、装置本体に対して移動可能に設けられた周辺装置とを有する超音波診断装置であって、
鉛直面内で回動可能に装置本体に対して装着され、少なくとも1つの周辺装置を支持する支持アームと、
装置本体に設けられた案内面と、
案内面に対して直交するように装置本体に設けられた基台と、
案内面に沿う方向において位置調整可能に装置本体に固定される基部ブロックと、
基部ブロックと、基部ブロックから離れた位置において支持アームとに結合され、周辺装置の重量の少なくとも一部に抗する力を支持アームに付与するスプリングと、
基台と共に積層される少なくとも1枚のスペーサと、
を有し、
基部ブロックは、位置調整方向に延びる締結ボルトによりスペーサと共に基台に固定され、
基台とスペーサの積層順序を変更することで、基部ブロックの位置調整をすることができ、基部ブロックの位置に応じてスプリングによる周辺装置の重量に抗する力が変化する、
超音波診断装置。
【請求項2】
周辺装置の1つが操作パネルである、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
周辺装置の他の1つが表示装置である、請求項2に記載の超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に支持アームに支持され高さ調節可能な操作パネルを有する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体に対して超音波を送受波して超音波画像を得る超音波診断装置が知られている。超音波診断装置には、操作を行うための操作パネルが備えられる。操作者の体格、姿勢、または装置の使用状況に応じて操作パネルの高さを変更することができる超音波診断装置が知られている。下記特許文献1には、装置筐体(2)と、装置筐体(2)上方の取付部(15)から延びるアーム(13)に支持された操作パネル(22)およびディスプレイ(27)とを備えた超音波診断装置(1)が開示されている。アーム(13)が鉛直面内で回動することにより。操作パネル(22)およびディスプレイ(27)の高さが変更される。アーム(13)には、ガススプリング(21)の弾性力が作用し、操作パネル(22)およびディスプレイ(27)の重量の少なくとも一部をガススプリング(21)によって支えている。なお、( )内の符号は、下記特許文献1で用いられている符号であり、本発明の実施形態で用いられる符号とは関連しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−167305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仕様によって操作パネルやディスプレイ(表示装置)の有無や、それらの重量が異なると、これらの重量を支持する力も変更する必要がある。
【0005】
本発明は、操作パネルやディスプレイの重量が異なっても、これらを支持する力を容易に変更可能な支持機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る超音波診断装置は、装置本体と、装置本体に対して移動可能に設けられた周辺装置とを有する。周辺装置は、例えばこの超音波診断装置を操作するための操作パネル、また超音波画像等を表示するための表示装置であってよい。少なくとも1つの周辺装置が、装置本体に装着された支持アームに支持され、支持アームは、鉛直面内で回動可能に装置本体に対して装着されている。装置本体には基台が設けられ、また位置調整可能に基部ブロックが固定される。支持アームと基部ブロックとにスプリングが結合され、スプリングは、その弾性力により、支持アームに支持された周辺装置の重量の少なくとも一部に抗する力を支持アームに付与する。さらに、基台と共に少なくとも1枚のスペーサが積層されている。基部ブロックは、位置調整方向に延びる締結ボルトによりスペーサと共に基台に固定され、基台とスペーサの積層順序を変更することで、基部ブロックの位置調整をすることができる。基部ブロックの位置に応じて、スプリングによる周辺装置の重量に抗する力が変化する。
【発明の効果】
【0007】
基台とスペーサの積層順序を変更することで、周辺装置を支持する力を変えることができ、異なる重量の周辺装置に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の超音波診断装置の前方斜視図である。
【
図2】本実施形態の超音波診断装置の後方斜視図である。
【
図3】本実施形態の超音波診断装置の側面図である。
【
図4】支持アームおよびその周囲の構成を示す斜視図である。
【
図6】支持アームの側面図であって、基部ブロックが最も下に位置する状態を示す図である。
【
図7】支持アームの側面図であって、基部ブロックが
図6の状態よりも上に位置する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1および
図2は、本実施形態の超音波診断装置10の外観を示す斜視図である。また、
図3は、超音波診断装置10の側面図である。
【0010】
超音波診断装置10は、超音波を送受波するための電子回路、電源回路、画像処理回路等を収容した装置本体12と、装置本体12の上方に設置された操作パネル14および表示装置16を有する。装置本体12の操作パネル14が設けられた側(
図1において左下側)に操作者が座り、超音波診断装置10の操作を行う。超音波診断装置10から操作者に向かう向きを前方、その反対の向きを後方と記して、以下説明する。
【0011】
操作パネル14は、装置本体12の支持柱18に基端が支持される支持アーム20の先端に配置され、支持アーム20に鉛直軸回りに回転可能に支持されている。
図4には、支持アーム20およびその周囲の構成が拡大して示され、操作パネル14については、フレームのみ示されている。支持アーム20は、鉛直面内で回動可能であり、これにより操作パネル14の高さが変更される。操作パネル14の後部には支持ブラケット22が固定され、支持ブラケット22は、多関節アーム24を介して表示装置16を支持している。表示装置16は、多関節アーム24によって操作パネル14に対して相対移動可能となっている。
【0012】
操作パネル14は、操作のための機械的な押しボタン、レバー、つまみ等のスイッチ類を含み、さらにタッチパネルディスプレイとしての副表示装置26を含んでもよい。操作パネル14には、1つまたは複数の超音波プローブを保持するプローブホルダ28が設けられてもよい。表示装置16は、超音波画像その他の画像を表示することができる。表示装置16は、多関節アーム24により、その高さおよび向きを変えることができる。
【0013】
操作パネル14や表示装置16のように、超音波診断装置10の機能の一部を担い装置本体12と共に用いられる装置を周辺装置と記す。この超音波診断装置10においては、周辺装置は、支持アーム20や多関節アーム24により支持されて装置本体12に対して移動が可能となっている。
【0014】
支持アーム20が支持する重量の少なくとも一部に抗するための力を支持アーム20に作用させるために、スプリングが設けられている。この超音波診断装置10においては、スプリングとしてガススプリング(
図6−8参照)が用いられている。スプリングの力により操作パネル14等の重量の少なくとも一部を打ち消すことにより、操作パネル14の位置を小さな操作力で変えることができる。操作パネル14および表示装置16は、超音波診断装置10の仕様によって、これらの有無、大きさが変わる場合があり、支持アーム20が支える重量も変化する。この重量を支えるスプリングによる力も重量の変化に応じて変更することが望まれる。
【0015】
図5〜
図8は、支持アーム20が詳細な構造を示す図である。
図5は斜視図、
図6,7は側面図、
図8は分解斜視図である。支持アーム20は、第1リンク30、第2リンク32、および支持台34を含む。第1リンク30と第2リンク32は、それらの一端が装置本体12と一体の基部フレーム36に回動可能に結合されている。基部フレーム36には、上下方向に離れて位置する第1基端軸38および第2基端軸40が設けられ、これらの軸にそれぞれ第1リンク30と第2リンク32が結合している。この超音波診断装置10において、第1基端軸38および第2基端軸40は、基部フレーム36に設けられたボルト孔を貫通するボルトである。これらのボルトの先端には、ナットがねじ結合して、ボルトが基部フレーム36に固定される。第1リンク30と第2リンク32の他端は、それぞれ支持台34に設けられた第1先端軸42と第2先端軸44に回動可能に結合されている。第1リンク30と第2リンク32の長さは等しく、平行リンクを構成し、支持アーム20が鉛直面内で回動しても、支持台34およびこれが支持する操作パネル14の姿勢は保たれる。
【0016】
支持アーム20には、ガススプリング46が装着されている。ガススプリング46の一端は第1先端軸42に、軸回りの回動を許容するように結合され、他端は基部ブロック48の基部軸50に軸回りの回動を許容するように結合されている。基部ブロック48は、基部フレーム36の案内面52上に配置され、固定ボルト54により固定される。基部ブロック48の固定位置は、変更することができ、これにより、ガススプリング46が支持アーム20に付与するモーメントを変更することができる。案内面52の一端、この超音波診断装置10においては下端に、基部ブロック48の位置決めを行うための基台56が基部フレーム36と一体に設けられている。基台56は、板形状の部材であり、案内面52に対して直交するように位置している。少なくとも1枚の板形状のスペーサ58が基台56と共に積層されている。基台56とスペーサ58を締結ボルト60が貫通しており、更に締結ボルト60は、基部ブロック48にねじ結合している。
【0017】
基台56とスペーサ58の積層順序を変えることにより、基部ブロック48の位置を変更することができる。
図6,7は、基台56とスペーサ58の積層順序を並べ替えた状態を示す図である。
図6は、基部ブロック48が基台56に直接接触しており、スペーサ58は、基台56の、基部ブロック48とは反対側に積層されている。
図6に示す基部ブロック48の位置は、基部ブロック48の移動範囲で最も下端の位置であり、ガススプリング46の基端側の軸である基部軸50が、第1リンク30の回動中心である第1基端軸38から最も離れた位置となる。したがって、ガススプリング46の弾性力により第1リンク30に作用するモーメントは、このとき最大となる。このため、支持アーム20が支持する重量が大きい場合には、基台56とスペーサ58の積層順序を
図6のようにして、基部ブロック48を最も下の位置とする。
【0018】
図7は、一部のスペーサ58が基部ブロック48と基台56の間に位置するように基台56とスペーサ58を積層した状態を示す図である。
図6の状態から一部のスペーサを基台56の反対側に移して締結ボルト60を締める。基部ブロック48と基台56の間に挟まれるスペーサ58の厚さの分、基部ブロック48は案内面52に沿う方向に基台56から離れた位置となる。これにより、
図6に示す状態よりも基部軸50が第1基端軸38に近くなり、第1リンク30に作用するモーメントは小さくなる。このような基台56とスペーサの積層順序は、支持アーム20が支持する重量が小さい場合に採用することができる。
【0019】
上記のように基台56とスペーサ58の積層順序を入れ替えても、全体の厚さは変わらないので、締結ボルト60も同じものを使用することができる。基台56と基部ブロック48の間のスペーサ58の数を調節することにより、支持アーム20に作用するモーメントを細かく調整することができる。また、複数種類の厚さのスペーサ58を用いることにより、さらに細かい調整が可能となる。
【0020】
また、ガススプリング46は任意の長さでロックすることができることが好ましい。ロックを解除して操作パネル14の高さを調節し、高さを合わせた後、再びロックして高さを固定する。
【符号の説明】
【0021】
10 超音波診断装置、12 装置本体、14 操作パネル、16 表示装置、18 支持柱、20 支持アーム、22 支持ブラケット、24 多関節アーム、26 副表示装置、28 プローブホルダ、30 第1リンク、32 第2リンク、34 支持台、36 基部フレーム、38 第1基端軸、40 第2基端軸、42 第1先端軸、44 第2先端軸、46 ガススプリング、48 基部ブロック、50 基部軸、52 案内面、54 固定ボルト、56 基台、58 スペーサ、60 締結ボルト。