(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
抗TLT−1抗体の軽(L)鎖(配列番号40)のH50、Y56、H58、Y73、F79、S115、T116、V118及びY120、並びに抗TLT−1抗体の重(H)鎖(配列番号39)の残基V20、F45、R49、Y50、W51、E68、T75、N77、S116、G117、V118及びT120からなる群から選択される1つ又は複数の残基を含むパラトープを有する、請求項1に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
前記パラトープが、抗TLT−1抗体の軽(L)鎖(配列番号40)のH50、Y56、H58、Y73、F79、S115、T116、V118及びY120、並びに抗TLT−1抗体の重(H)鎖(配列番号39)のV20、F45、R49、Y50、W51、E68、T75、N77、S116、G117、V118及びT120を含む、請求項2に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
Fab、F(ab’)2、Fab’、Fd、Fv、ScFv、dAb及び単離相補性決定領域(CDR)からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗体断片。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、融合タンパク質:例えば組換え技術または化学結合を介して人工的に連結しており、元は別々のタンパク質をコードしていた2つ以上の遺伝子から発現されるタンパク質に関する。本発明の融合タンパク質は、活性化に伴う高次構造および機能変化を起こしている血小板上にのみ(偏在しないという意味で)存在する受容体と結合することができる。そのような受容体の例は、休止血小板のアルファまたは濃染顆粒に由来しうる。そのような受容体の1つの特定の例は、TREM様転写物1(TLT-1)である。
【0017】
骨髄細胞上で発現する誘発性受容体(triggering receptors expressed on myeloid cells)(TREM)は、様々な骨髄系列の生物学において十分確立された役割を有し、自然免疫および適応免疫の制御に重要な役割を担う。TLT-1は同じタンパク質ファミリーに属するが、TLT-1遺伝子は単一の系列、すなわち巨核球および栓球(血小板)中でのみ発現し、巨核球および血小板のアルファ顆粒中で専ら認められる。TLT-1は、アルファ顆粒放出後の活性化血小板の表面上に露出している膜貫通タンパク質である。今まで、TLT-1は休止血小板の表面または任意の他の細胞型の表面上では認められていない。
【0018】
TLT-1の細胞外部分は、ストークと呼ばれるリンカー領域により血小板の細胞膜に連結した単一の免疫グロブリン様(Ig様)ドメインからなることが知られている(Gattisら、Jour Biol Chem、2006年、281巻、19号、13396〜13403頁)。ヒトTLT-1(hTLT-1)のIg様ドメインは105残基からなり、37アミノ酸のストークにより膜に付着している。したがって、TLT-1のIg様ドメインはかなり自由に運動することが予想される。
【0019】
hTLT-1の推定上の膜貫通セグメントは、長さが20アミノ酸である。TLT-1は、細胞内シグナル伝達ドメインとして機能しうる細胞質免疫受容体抑制性チロシンモチーフ(Immune-receptor Tyrosine-based Inhibitory-Motif)も有する。
【0020】
血小板の生物学におけるTLT-1の役割は、まだ完全には解明されていない;TLT-1が損傷部位での凝固および炎症の制御に役割を担うことが考えられる。Ig様ドメインを含有する可溶型のTLT-1が報告されている(Gattisら、Jour Biol Chem、2006年、281巻、19号、13396〜13403頁)。血小板結合TLT-1に対する可溶性TLT-1の特定の機能はまだ明らかとなっていない。
【0021】
TLT-1などの受容体は、本発明の融合タンパク質/構築物にとって有用な標的であるエピトープを含む。融合タンパク質は、Ig様ドメインの表面到達可能な残基、またはストークの部分など、in vivoでの結合に利用可能であるTLT-1の任意の部分と結合することができる。したがって、融合タンパク質は、TLT-1(20〜125)、TLT-1(16〜162)、TLT-1(126〜162)および/またはTLT-1(129〜142)内の1つまたは複数の残基と結合することができる。
【0022】
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、TLT-1(126〜162)またはTLT-1(129〜142)の1つまたは複数の残基など、TLT-1のストークと結合する。TLT-1のストークと結合する融合タンパク質は、Ig様ドメインの機能に干渉する可能性が低く、Ig様ドメインが脱落した場合に血小板の表面からおそらくは分離しない。さらに、TLT-1のストークと結合する融合タンパク質は、FVIIおよびFVIIaと比べて、活性化血小板の細胞表面上の好ましい位置および方向にそのTF部分を配置する。別の好ましい実施形態では、TFを抗体またはその断片のC末端と融合させると、FVIIおよびFVIIaと比べて、TFが活性化血小板の細胞表面上のさらに好ましい位置となる。
【0023】
本発明に関して、TLT-1は、齧歯目(マウス、ラットまたはモルモットなど)、ウサギ目(ウサギなど)、偶蹄目(ブタ、ウシ、ヒツジまたはラクダなど)または霊長目(サルまたはヒトなど)などの任意の哺乳動物など、任意の脊椎動物由来のものでよい。TLT-1は、好ましくはヒトTLT-1である。TLT-1は、機能的なTLT-1タンパク質を生じさせる任意の天然に存在する遺伝子型または対立遺伝子から翻訳することができる。1つのヒトTLT-1の非限定的な例は、配列番号2のポリペプチド配列である。
【0024】
本発明の融合タンパク質は、組織因子様構成成分を含む。組織因子は、長さ263アミノ酸の内在性膜糖タンパク質受容体である。それは、単一のジスルフィド結合によりそれぞれ安定化される2つの緻密なフィブロネクチンIII型様ドメインに折り畳まれる細胞外部分(1〜209)、短いリンカー(210〜219)、膜貫通セグメント(220〜242)、および短い細胞質尾部(243〜263)からなる。それは、第VII因子/FVIIaと密着したCa
2+依存性複合体を形成する。
【0025】
本発明に関して、「組織因子、またはその任意の生物学的機能性変異体もしくは断片」は、血液凝固が刺激されるように第VII/VIIa因子と結合することができる任意の組織因子様ポリペプチドでよい。「組織因子」は、齧歯目(マウス、ラットまたはモルモットなど)、ウサギ目(ウサギなど)、偶蹄目(ブタ、ウシ、ヒツジまたはラクダなど)または霊長目(サルまたはヒトなど)などの任意の哺乳動物など、任意の脊椎動物に由来するものでよい。「組織因子、またはその任意の生物学的機能性変異体もしくは断片」は、ヒト組織因子の細胞外ドメインでよい。「組織因子、またはその任意の生物学的機能性変異体もしくは断片」は、組織因子のポリペプチド配列と少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%など、少なくとも90%同一である任意のポリペプチドでよい。「組織因子、またはその任意の生物学的機能性変異体もしくは断片」は、組織因子の細胞外ドメインまたはその変異体のポリペプチド配列と少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%など、少なくとも90%同一である任意のポリペプチドでよい。「組織因子、またはその任意の生物学的機能性変異体もしくは断片」は、FVIIおよびFVIIaの補助因子として機能することができる任意のポリペプチドでよい。したがって、「組織因子またはその任意の生物学的機能性変異体もしくは断片」は、FVIIaのアミド分解活性を刺激することができる任意のポリペプチドでよい。前記「組織因子、またはその任意の生物学的機能性変異体もしくは断片」は、TFの細胞外ドメイン(1〜219)でよい。「組織因子ポリペプチド」は、組織因子の可溶性細胞外ドメイン、すなわちアミノ酸1〜219 (以下でsTFまたはsTF(1〜219)と呼ばれる)、またはその機能性変異体もしくは切断型を含むポリペプチドでよい。好ましくは、組織因子ポリペプチドは、組織因子のアミノ酸配列6〜209に対応する断片を少なくとも含む。その例は、sTF(6〜209)、sTF(1〜209)、sTF(1〜210)、sTF (1〜211)、sTF(1〜212)、sTF(1〜213)、sTF(1〜214)、sTF(1〜215)、sTF(1〜216)、sTF(1〜217)、sTF(1〜218)、sTF(1〜219)、sTF(2〜219)、sTF(3〜219)、sTF(4〜219)、sTF(5〜219)である。
【0026】
本発明によれば、「組織因子、またはその任意の生物学的機能性変異体もしくは断片」は、上記に列挙した特徴のいずれか1つまたは複数を有しうる。
【0027】
本発明の融合タンパク質は「リガンド」も含む。「リガンド」という用語は、生物学的な目的を果たすために、生体分子と結合しそれと複合体を形成することができる任意の物質を指す。その用語の1つの意味において、それは、イオン結合、水素結合やファンデルワールス力などの分子間力を用いて標的タンパク質上の部位と結合するシグナル誘発性分子である。リガンドと前記生体分子の結合は通常可逆的である。天然に存在するリガンドとその対応物である受容体の結合は、受容体タンパク質の高次構造を変化させることもあり、または変化させないこともある。本発明に関して、前記リガンドの一目的は、活性化した、または活性化するプロセスにある血小板の表面にTF様構成成分を標的化することである。
【0028】
リガンドは、好ましくは活性化を起こしている血小板上にのみ存在する受容体と結合する任意の天然に存在するまたは合成リガンドでよい。本発明のリガンドは、TLT-1と結合する任意の天然に存在するもしくは合成リガンドでもよく、またはリガンドはTLT-1に対して産生された抗体もしくはその断片でもよい。本発明のリガンドによって、TLT-1の高次構造が変化することもあり、変化しないこともある。さらに、本発明のリガンドによって、TLT-1との結合の結果細胞内シグナル伝達が生じることもあり、または生じないこともある。好ましい実施形態では、本発明のリガンドは、TLT-1のストークと結合することができる。したがって、本発明のリガンドは、本発明に独特であり、それによって提供される効果を実現するために、天然に存在する受容体、またはその部分を利用する。
【0029】
上記で述べたように、本発明の融合タンパク質のリガンド構成成分は、抗体またはその断片でよい。本明細書において言及される「抗体」という用語は、抗体全体およびその任意の抗原結合断片(すなわち「抗原結合部分」)または単鎖を含む。抗体は、ジスルフィド結合によって相互連結した少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質、またはその抗原結合部分を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVHと略記する)および重鎖定常領域からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略記する)および軽鎖定常領域からなる。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在している、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性のある領域にさらに細分することができる。抗体の定常領域は、宿主の組織または免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の構成成分(C1q)を含めた因子と免疫グロブリンの結合を媒介することができる。
【0030】
本発明の抗体は、モノクローナル抗体でもよく、またはポリクローナル抗体でもよい。一実施形態では、本発明の抗体はモノクローナル抗体である。本発明の抗体は、キメラ抗体、CDR移植抗体、ヒトもしくはヒト化抗体または任意のそれらの抗原結合部分でよい。モノクローナル抗体とポリクローナル抗体のどちらの産生でも、実験動物は、ヤギ、ウサギ、ラットまたはマウスなどの適切な哺乳動物である。
【0031】
モノクローナル抗体は、構造的には、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を有する単一の分子種で表される。本発明のモノクローナル抗体(mAb)は、従来のモノクローナル抗体の方法、例えばKohlerおよびMilstein(1975年)Nature 256巻:495頁の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術、またはBリンパ球のウイルス性もしくは発癌性形質転換を含めた様々な周知の技術によって産生することができる。ハイブリドーマの調製に好ましい動物の系はマウスの系である。マウスにおけるハイブリドーマ産生は非常によく確立された手順である。免疫感作プロトコール、および融合のために免疫感作した脾臓細胞を単離する技術は当技術分野で知られている。融合の相手(例えば、マウスミエローマ細胞)および融合の手順も知られている。
【0032】
本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得るために、免疫感作したマウスから脾臓細胞および/またはリンパ節細胞を単離し、それをマウスミエローマ細胞系統などの適当な不死化細胞系統と融合させることができる。得られたハイブリドーマを、抗原特異的抗体の産生についてスクリーニングすることができる。抗体を分泌しているハイブリドーマを再度プレートに播き、再度スクリーニングし、適切なIgGについて依然として陽性である場合、モノクローナル抗体を限界希釈によって少なくとも2回サブクローニングすることができる。次いで安定したサブクローンをin vitroで培養して、組織培養培地中で特徴付けのための少量の抗体を得ることができる。
【0033】
本発明の抗体は、(a)対象とする免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニックもしくは染色体導入動物(例えば、マウス)またはそれから調製されたハイブリドーマから単離された抗体、(b)対象とする抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換えのコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体、および(d)他のDNA配列への免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製され、発現し、作製されまたは単離された抗体など、組換え手段によって調製し、発現させ、作製しまたは単離することができる。
【0034】
table 1(表1)に示されている適切なモノクローナル抗体は、本明細書において接頭語「mAb」を4桁の番号と一緒に用いて特定される。したがって、モノクローナル抗体は、mAb 0012またはその変異体でもよい(「2F105」と呼ばれるmAbの可変ドメインはmAb 0012のものと同一であることに留意されたい)。モノクローナル抗体は、mAb 0023またはその変異体でもよい。モノクローナル抗体は、mAb 0051またはその変異体でもよい。モノクローナル抗体は、mAb 0061またはその変異体でもよい。モノクローナル抗体は、mAb 0062またはその変異体でもよい。モノクローナル抗体は、mAb 0082またはその変異体でもよい。
【0036】
抗体の「抗原結合部分」という用語は、TLT-1または本明細書に記載の別の標的受容体などの抗原と特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能が完全長抗体の断片によって発揮できることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例には、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fab’断片、Fd断片、Fv断片、ScFv断片、dAb断片および単離相補性決定領域(CDR)が含まれる。scFvなどの単鎖抗体およびVHHやラクダ抗体などの重鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されるものとする。これらの抗体断片は、当業者に知られている従来の技術を使用して得ることができ、インタクトな抗体と同じように、有用性について断片をスクリーニングすることができる。
【0037】
table 2(表2)に示されている適切なFab断片は、本明細書において接頭語「Fab」を4桁の番号と一緒に用いて特定される。前記Fab断片は、Fab 0012またはその変異体でもよい。前記Fab断片は、Fab 0023またはその変異体でもよい。前記Fab断片は、Fab 0051またはその変異体でもよい。前記Fab断片は、0052またはその変異体でもよい。前記Fab断片は、Fab 0061またはその変異体でもよい。前記Fab断片は、Fab 0062またはその変異体でもよい。前記Fab断片は、Fab 0082またはその変異体でもよい。
【0039】
本発明の抗体は、ヒト抗体でもよく、またはヒト化抗体でもよい。本明細書において、「ヒト抗体」という用語は、フレームワーク領域もCDR領域もヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むものとする。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的な突然変異生成によって、またはin vivoでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含んでもよい。しかし、本明細書において、「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている抗体を含まないものとする。
【0040】
そのようなヒト抗体はヒトモノクローナル抗体でよい。不死化細胞と融合したヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウスから得られたB細胞を含むハイブリドーマによって、そのようなヒトモノクローナル抗体を産生することができる。
【0041】
ヒトリンパ球のin vitro免疫感作、その後のエプスタインバーウイルスを用いたリンパ球の形質転換によって、ヒト抗体を調製することができる。
【0042】
「ヒト抗体誘導体」という用語は、任意の改変型のヒト抗体、例えばその抗体と別の作用物質または抗体のコンジュゲートを指す。
【0043】
「ヒト化抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている抗体を指すものとする。ヒトフレームワーク配列内でさらなるフレームワーク領域の改変を行うことができる。
【0044】
例えば、標準的なELISAまたはウェスタンブロット法により、標的タンパク質との結合について本発明の抗体を試験することができる。ELISAアッセイを使用して、標的タンパク質と正の反応性を示すハイブリドーマをスクリーニングすることもできる。例えばフローサイトメトリーにより標的タンパク質を発現している細胞と抗体の結合をモニタリングすることによって、抗体の結合特異性を決定することもできる。
【0045】
抗体が他のタンパク質と結合するか否かを判定することによって、標的タンパク質に対する本発明の抗体の特異性をさらに試験することができる。例えば、TLT-1またはTLT-1の特定の部分、例えばエピトープと特異的に結合する抗体を産生することが所望される場合、抗体が他の分子または対象とする部分を欠く改変型のTLT-1とも結合するか否かを判定することによって、抗体の特異性を評価することができる。
【0046】
本発明によるポリペプチドまたは抗体「断片」は、切断によって、例えばポリペプチドのNおよび/またはC末端からの1つまたは複数のアミノ酸の除去によって作製することができる。このようにしてNおよび/またはC末端から最大で10個、最大で20個、最大で30個、最大で40個またはそれ以上のアミノ酸を除去することができる。1つまたは複数の内部欠失によって断片を得ることもできる。
【0047】
本発明の抗体は、抗TLT-1抗体の断片またはその変異体でもよく、またはそれを含んでもよい。上記でさらに論じているように、本発明の抗体は、この抗体の抗原結合部分またはその変異体でもよく、またはそれを含んでもよい。例えば、本発明の抗体は、この抗体のFab断片もしくはその変異体でもよく、またはこの抗体に由来する単鎖抗体もしくはその変異体でもよい。
【0048】
抗体、ならびに抗体を含む融合タンパク質、またはその断片は、そのエピトープおよび/またはパラトープの点から定義することができる。「エピトープ」という用語は、免疫グロブリン(またはT細胞受容体)との特異的結合が可能な任意のタンパク質決定基を含む。エピトープの決定基は通常、アミノ酸または糖の側鎖などの化学的に活性な表面の一群の分子からなり、通常、特定の三次元構造の特徴ならびに特定の電荷の特徴を有する。抗原活性を有するエピトープは、当技術分野で周知である任意の方法によって、例えばイムノアッセイによって決定される、抗体が免疫特異的に結合するポリペプチドの部分である。抗原性エピトープは必ずしも免疫原性である必要はない。
【0049】
本発明に関して、「エピトープ」とは、融合タンパク質の抗体(Ab)部分が特異的に結合することができる活性化血小板上の受容体である抗原(Ag)上の区域または領域、すなわちAbと物理的に接触する区域または領域を指す。抗原のエピトープは、Abとの結合に直接関与するAg中のアミノ酸残基(エピトープの免疫優性構成成分)およびAbによって有効に遮断されるAgのアミノ酸残基(言い換えると、アミノ酸残基が「溶媒排除表面」および/またはAbの「フットプリント」内にある)など結合に直接関与しない他のアミノ酸残基を含んでよい。本明細書でエピトープという用語は、別段述べられていない限り、抗TLT-1抗体、または本発明による別のTLT-1特異的作用物質と特異的に結合するTLT-1などの受容体の任意の特定の領域における両方の型の結合部位を含む(例えば、いくつかの場面では、本発明は特定のアミノ酸残基と直接結合する抗体に関する)。TLT-1などの受容体はいくつかの異なるエピトープを含んでよく、そのエピトープには、それだけに限らないが、(1)直鎖ペプチド抗原決定基、(2)成熟した受容体の高次構造において互いに近くに位置する1つまたは複数の不連続アミノ酸からなる高次構造抗原決定基、および(3)炭水化物基など、全体または一部においてTLT-1と共有結合している分子構造からなる翻訳後抗原決定基が含まれうる。
【0050】
所与の抗体(Ab)/抗原(Ag)の対のエピトープは、種々の実験的および計算的エピトープマッピング法を使用して、詳細の様々なレベルで定義し特徴付けることができる。実験的方法には、突然変異生成、X線結晶解析、核磁気共鳴(NMR)分析、水素重水素交換質量分析(HX-MS)および様々な競合的結合法が含まれる。各方法が独特の原理を利用するので、エピトープの記載は、それが決定された方法と密接につながっている。したがって、所与のAb/Agの対のエピトープは、使用されるエピトープマッピング法に応じて異なる形で定義される。
【0051】
その最も詳細なレベルでは、AgとAbとの相互作用のエピトープは、Ag-Ab相互作用中に存在する原子の接触を定義する空間座標、ならびに結合熱力学に対するその相対的な寄与についての情報によって定義することができる。より詳細でないレベルでは、エピトープは、AgとAbとの原子の接触を定義する空間座標によって特徴付けることができる。さらにより詳細でないレベルでは、エピトープは、特定の基準、例えばAbおよびAg中の原子間の距離によって定義される、それが含むアミノ酸残基によって特徴付けることができる。さらにより詳細でないレベルでは、エピトープは、機能を通じて、例えば他のAbとの競合的結合によって特徴付けることができる。エピトープは、別のアミノ酸による置換がAbとAgとの相互作用の特徴を変化させるアミノ酸残基を含むものとしてより一般的に定義することもできる。
【0052】
Ab、例えばFab断片とそのAgとの複合体の空間座標によって定義される、X線に由来する結晶構造の場面では、エピトープという用語は、本明細書で、別段指定されておらずまたは場面によって否定されない限り、Ab中の重原子(すなわち非水素原子)から4Åの距離内に重原子を有することによって特徴付けられる血小板受容体残基として具体的に定義される。
【0053】
エピトープの記載および定義が、使用されるエピトープマッピング法次第で、詳細の様々なレベルで得られることから、同じAg上の異なるAbに対するエピトープの比較も同様に詳細の様々なレベルで行うことができることになる。
【0054】
アミノ酸レベルで記載された、例えばX線構造から決定されたエピトープは、それらが同じアミノ酸残基のセットを含有する場合に同一であるといえる。エピトープは、少なくとも1つのアミノ酸がエピトープによって共有されている場合に重複しているといえる。エピトープは、アミノ酸残基がエピトープによって共有されていない場合に別々(独特)であるといえる。
【0055】
競合的結合によって特徴付けられるエピトープは、対応するAbの結合が相互排他的である場合、すなわち一方のAbの結合が他方のAbの同時結合を排除する場合に重複しているといえる。エピトープは、Agが対応するどちらのAbの結合も同時に受け入れることができる場合に別々(独特)であるといえる。したがって、本発明の融合タンパク質は、mAb 0012と同じエピトープとの結合を可能にすることができる。融合タンパク質は、mAb 0023と同じエピトープとの結合を可能にすることができる。融合タンパク質は、mAb 0051と同じエピトープとの結合を可能にすることができる。融合タンパク質は、mAb 0061と同じエピトープとの結合を可能にすることができる。融合タンパク質は、mAb 0062と同じエピトープとの結合を可能にすることができる。
【0056】
エピトープは、配列番号4のK133、I134、G135、S136、L137、A138、N140、A141、F142、S143、D144、P145およびA146からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含んでよい。
【0057】
エピトープは、配列番号5のV17、Q18、C19、H20、Y21、R22、L23、Q24、D25、V26、K27、A28、L63、G64、G65、G66、L67、L68、G89、A90、R91、G92、P93、Q94、I95およびL96からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含んでよい。
【0058】
エピトープは、配列番号5のL36、P37、E38、G39、C40、Q41、P42、L43、V44、S45、S46、A47、V73、T74、L75、Q76、E77、E78、D79、A80、G81、E82、Y83、G84、C85、M86、R91、G92、P93、Q94、I95、L96、H97、R98、V99、S110およびL111からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含んでよい。
【0059】
エピトープは、配列番号5のV17、Q18、C19、H20、Y21、R22、L23、Q24、D25、V26、K27、A28、R91、G92、P93、Q94、I95、L96、H97、R98、V99、S100およびL101からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含んでよい。
【0060】
エピトープは、配列番号7のE5、T6、H7、K8、I9、G10、S11、L12、A13、E14、N15、A16、F17、S18、D19、P20およびA21からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含んでよい。
【0061】
エピトープは、配列番号7のK133、I134、G135、S136、L137、A138、N140、A141、F142、S143、D144、P145およびA146からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含んでよい。
【0062】
「パラトープ」という用語の定義は、見方を逆にすることにより「エピトープ」の上記の定義から導き出される。したがって、「パラトープ」という用語は、Agが特異的に結合する、すなわちAgと物理的に接触するAb上の区域または領域を指す。
【0063】
パラトープは、抗TLT-1軽(L)鎖(配列番号40)のH50、N52、Y56、H58、Y73、F79、S115、T116、V118およびY120、ならびに抗TLT-1重(H)鎖(配列番号39)の残基V20、F45、R49、Y50、W51、E68、T75、N77、S116、G117、V118およびT120からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含んでよい。
【0064】
Ab、例えばFab断片とそのAgとの複合体の空間座標によって定義される、X線に由来する結晶構造の場面では、パラトープという用語は、本明細書で、別段指定されておらずまたは場面によって否定されない限り、血小板受容体中の重原子(すなわち非水素原子)から4Åの距離内に重原子を有することによって特徴付けられるAg残基として具体的に定義される。
【0065】
所与の抗体(Ab)/抗原(Ag)の対のエピトープおよびパラトープは、日常的な方法によって同定することができる。例えば、エピトープの一般的な位置は、抗体がTLT-1の様々な断片または変異体と結合する能力を評価することによって決定することができる。実施例に記載のものなどの日常的な方法を使用して、抗体と接触するTLT-1内の特定のアミノ酸(エピトープ)およびTLT-1と接触する抗体中の特定のアミノ酸(パラトープ)を決定することもできる。例えば、抗体および標的分子を組み合わせ、Ab/Ag複合体を結晶化することができる。複合体の結晶構造を決定し、それを使用して抗体とその標的との相互作用の特定部位を同定することができる。
【0066】
抗体またはその断片であるリガンドを含む融合タンパク質は、その相補性決定領域(CDR)の点から定義することもできる。「相補性決定領域」または「超可変領域」という用語は、本明細書で使用する際には、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。相補性決定領域または「CDR」は一般的に、軽鎖可変ドメイン中のアミノ酸残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)と重鎖可変ドメイン中の31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3);(Kabatら(1991年) Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No. 91-3242)ならびに/または「超可変ループ」由来の残基(軽鎖可変ドメイン中の残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)と重鎖可変ドメイン中の26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3);ChothiaおよびLesk、J. Mol. Biol 1987年;196巻:901〜917頁)からなる。典型的には、この領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabatら、上記に記載の方法によって行われる。本明細書で「Kabat位置」、「Kabat残基」や「Kabatによれば」などの語句は、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインについてのこの番号付けの体系を指す。Kabatの番号付けの体系を使用すると、ペプチドの現実の直鎖アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの短縮またはそれへの挿入に対応して含有するアミノ酸が少ないこともあり、またはさらなるアミノ酸を含有することもある。例えば、重鎖可変ドメインは、CDR H2の残基52の後にアミノ酸の挿入(Kabatによれば残基52a、52bおよび52c)を、重鎖FRの残基82の後に挿入された残基(Kabatによれば例えば残基82a、82b、および82cなど)を含みうる。Kabatの残基番号付けは、「標準の」Kabat番号付け配列との、抗体の配列の相同性のある領域でのアラインメントにより、所与の抗体について決定することができる。
【0067】
「フレームワーク領域」または「FR」残基という用語は、本明細書で定義されるCDR内にないVHまたはVLのアミノ酸残基を指す。
【0068】
一実施形態では、重鎖は、
・配列番号41のアミノ酸50〜54(DYFMY)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つを異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号41のアミノ酸69〜85(YISNGGDSSSYPDTVKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つを異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号41のアミノ酸118〜129(NKNWDDYYDMDY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つを異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む。
【0069】
別の実施形態では、軽鎖は、
・配列番号42のアミノ酸44〜60(KSSQSLLNSRTRKNYLA)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つを異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号42のアミノ酸76〜82(WASTRES)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つを異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号42のアミノ酸115〜122(KQSYNLLT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つを異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む。
【0070】
別の実施形態では、重鎖は、
・配列番号43のアミノ酸50〜54(DYSMH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号43のアミノ酸69〜85(VISTYYGDVRYNQKFKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号43のアミノ酸118〜129(APMITTGAWFAY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む。
【0071】
別の実施形態では、軽鎖は、
・配列番号44のアミノ酸44〜54(KASQSVSNDVA)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号44のアミノ酸70〜76(YASSRYT)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号44のアミノ酸109〜117(QQDYSSPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む。
【0072】
別の実施形態では、重鎖は、
・配列番号49のアミノ酸50〜54(SHWIE)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号49のアミノ酸69〜85(EILPGSGNTNYNEKFKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号49のアミノ酸118〜130(GYYGLNYDWYFDV)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む。
【0073】
別の実施形態では、軽鎖は、
・配列番号46のアミノ酸44〜54(RASQDISNYLN)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号46のアミノ酸70〜76(YTSRLHS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号46のアミノ酸109〜117(QQDTKLPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む。
【0074】
別の実施形態では、重鎖は、
・配列番号47のアミノ酸49〜53(RYWMT)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号47のアミノ酸68〜84(EINPDSSTINYNPSLKD)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号47のアミノ酸117〜121(GVFTS)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む。
【0075】
別の実施形態では、軽鎖は、
・配列番号48のアミノ酸43〜58(RSSQSLVHRNGNTYFH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号48のアミノ酸74〜80(KVSNRFS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号48のアミノ酸113〜121(SQSTHVPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む。
【0076】
別の実施形態では、重鎖は、
・配列番号39のアミノ酸49〜53(RYWMT)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号39のアミノ酸68〜84(EINPDSSTINYTPSLKD)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号39のアミノ酸117〜121(GVFTS)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む。
【0077】
別の実施形態では、軽鎖は、
・配列番号40のアミノ酸43〜58(RSSQSLVHRNGNTYFH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号40のアミノ酸74〜80(KVSNRFS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号40のアミノ酸113〜121(SQSTHVPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む。
【0078】
さらに別の実施形態では、(ii)の重鎖は、
・配列番号56のアミノ酸50〜54(NYWLG)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号56のアミノ酸69〜85(DIYPGGGYNKYNENFKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号56のアミノ酸118〜128(EYGNYDYAMDS)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む。
【0079】
さらなる実施形態では、(ii)の軽鎖は、
・配列番号57のアミノ酸44〜59(RSSRSLLHSNGNTYLC)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号57のアミノ酸75〜81(RMSNLAS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号57のアミノ酸114〜122(MQHLEYPFT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む。
【0080】
したがって、本発明の構築物は、(i)少なくとも1つのTFまたはその生物学的機能性変異体もしくは断片と、(ii)リガンドとを含み、(ii)が(iii)受容体および/またはその断片と結合することができ、該受容体が活性化血小板の表面上にのみ(偏在しないという意味で)存在する、任意の融合タンパク質またはキメラである。1つの好ましい実施形態では、(iii)はTLT-1である。本発明の融合タンパク質(構築物)は、好ましくは、その構成部分が互いに独立して機能できるように工学的に作製される。例えば、本発明の前記「組織因子...」構成成分はFVIIおよびFVIIaと結合することができるが、これは、本発明の前記「リガンド」構成成分の存在によりそうすることが立体的に妨害されることと対照的である。同様に、本発明の前記「リガンド」構成成分は、好ましくは、前記「組織因子...」構成成分の存在によって妨害されていないTLT-1などの受容体と結合することができる。「TFポリペプチド」構成成分のカルボキシ末端は、構築物のリガンド構成成分のアミノ末端と共有結合していてもよく、またはその逆も同様である。構築物の前記リガンド構成成分は、好ましくは、任意の他のTREMと結合しない。本発明の構築物は、前記TFと前記リガンド構成要素の間にリンカーを含んでもよく、または含まなくてもよい。前記任意選択リンカーは、Table 3(表3)に記載のリンカーのいずれか1つでもよく、または構築物のTFとリガンド構成部分のどちらも機能的となるようにどちらとも結合する任意の他のリンカーでもよい。
【0081】
本発明の融合タンパク質/構築物は、(i)組織因子と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)任意のリガンドとを含んでよい。前記融合タンパク質/構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカーL1〜L10のいずれか1つでよい。
【0082】
本発明の構築物は、(i)組織因子と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)抗体とを含んでよい。前記抗体はモノクローナル抗体でよい。構築物はリンカーをさらに含んでよい。前記リンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカーL1〜L10のいずれか1つでよい。
【0083】
本発明の構築物は、(i)組織因子と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fab断片とを含んでよい。
【0084】
構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0085】
本発明の構築物は、(i)組織因子と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)F(ab’)
2断片とを含んでよい。構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0086】
本発明の構築物は、(i)組織因子と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fab’断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0087】
本発明の構築物は、(i)組織因子と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fd断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
を含む。
【0088】
本発明の構築物は、(i)組織因子と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fv断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
を含む。
【0089】
本発明の構築物は、(i)組織因子と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)dAb断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
を含む。
【0090】
本発明の構築物は、(i)組織因子と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)単離相補性決定領域(CDR)とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0091】
本発明の構築物は、組織因子の任意の生物学的機能性変異体または(i)断片と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)任意のリガンドとを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0092】
本発明の構築物は、組織因子の任意の生物学的機能性変異体または(i)断片と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)抗体とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0093】
本発明の構築物は、組織因子の任意の生物学的機能性変異体または(i)断片と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fab断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0094】
本発明の構築物は、組織因子の任意の生物学的機能性変異体または(i)断片と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)F(ab’)
2断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0095】
本発明の構築物は、組織因子の任意の生物学的機能性変異体または(i)断片と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fab’断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0096】
本発明の構築物は、組織因子の任意の生物学的機能性変異体または(i)断片と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fd断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0097】
本発明の構築物は、組織因子の任意の生物学的機能性変異体または(i)断片と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fv断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0098】
本発明の構築物は、組織因子の任意の生物学的機能性変異体または(i)断片と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)dAb断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0099】
本発明の構築物は、組織因子の任意の生物学的機能性変異体または(i)断片と、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)単離相補性決定領域(CDR)とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよく、そのリンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0100】
本発明の構築物は、(i)組織因子の細胞外ドメインと、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)任意のリガンドとを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよい。前記リンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカーL1〜L10のいずれか1つでよい。
【0101】
本発明の構築物は、(i)組織因子の細胞外ドメインと、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)抗体とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよい。前記リンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカーL1〜L10のいずれか1つでよい。
【0102】
本発明の構築物は、(i)組織因子の細胞外ドメインと、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fab断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよい。前記リンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカーL1〜L10のいずれか1つでよい。
【0103】
本発明の構築物は、(i)組織因子の細胞外ドメインと、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)F(ab’)
2断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよい。前記リンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカーL1〜L10のいずれか1つでよい。
【0104】
本発明の構築物は、(i)組織因子の細胞外ドメインと、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fab’断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよい。前記リンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカーL1〜L10のいずれか1つでよい。
【0105】
本発明の構築物は、(i)組織因子の細胞外ドメインと、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fd断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよい。前記リンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0106】
本発明の構築物は、(i)組織因子の細胞外ドメインと、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)Fv断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよい。前記リンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0107】
本発明の構築物は、(i)組織因子の細胞外ドメインと、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)dAb断片とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよい。前記リンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0108】
本発明の構築物は、(i)組織因子の細胞外ドメインと、(iii)TLT-1と結合することができる、(ii)単離相補性決定領域(CDR)とを含んでよい。前記構築物はリンカーをさらに含んでよい。前記リンカーは、Table 3(表3)で提供されるリンカー(L1〜L10)のいずれか1つでよい。
【0109】
本発明の構築物は、mAb 0012(2F105)HCの可変ドメイン、ヒトIgG4 CH1定常領域、グリシン-セリンリンカーおよびヒト組織因子の細胞外ドメインを含む融合タンパク質でよい(2F105HC-V-CH1-リンカー-hTF ECD)。
【0110】
本発明の構築物は、mAb 0012(2F105)HCの可変ドメイン、ヒトIgG4 CH1定常領域、グリシン-セリンリンカーおよびヒト組織因子の細胞外ドメインからなる融合タンパク質でよい(2F105HC-V-CH1-リンカー-hTF ECD)。
【0111】
上記で述べたように、本発明の融合タンパク質はリンカーを含んでよい。リンカーのアミノ酸配列の非限定的な例はTable 3(表3)に示されている。したがって、前記リンカーはL1でもよい。リンカーはL2でもよい。リンカーはL3でもよい。リンカーはL4でもよい。リンカーはL5でもよい。リンカーはL6でもよい。リンカーはL7でもよい。リンカーはL8でもよい。リンカーはL9でもよい。リンカーはL10でもよい。
【0113】
上記で述べたように、TLT-1の細胞外部分は、免疫グロブリン様ドメインおよびストークからなる。本発明の融合タンパク質は、これらのどちらかと結合することができる。融合タンパク質の部分(ii)が免疫グロブリン様ドメインと結合できる際には、長いリンカーが、前記融合タンパク質の部分(i)を活性化血小板の表面上の機能的に適切な位置および方向に適合させることができ、それによってその機能が促進される。これは、部分(i)、すなわちTFポリペプチドが、FVII/FVIIaと特に近接し、それに対して適切に方向付けられなければならないからである:TFは、FVII/FVIIaに対する補助因子として作用し、活性化血小板の表面上でCa
2+およびリン脂質と結合する。
【0114】
TLT-1のストークと結合することができる融合タンパク質は、血小板の膜に隣接する。したがって、ストークと結合することができる融合タンパク質は、リンカーを含んでよい;しかし、リンカーを含むことは、融合タンパク質のTF部分の機能に必ずしも影響を及ぼさない。
【0115】
(ii)がモノクローナル抗体である適切な融合タンパク質の例は、table 4(表4)で提供される。各mAbは2つの同一の重鎖(HC)および2つの同一の軽鎖(LC)を有するので、部分(ii)がmAbである融合タンパク質は、2つのTFポリペプチド(部分(i))を含んでよい。TFはmAbのHCと融合させることができる;TFはmAbのLCと融合させることができる。TFはリガンドと融合させることができ、そのリガンドはmAbのHCまたはmAbのLCと融合している。以下は、table 4(表4)で提供される融合タンパク質の名称の解釈の仕方の例である:
融合タンパク質「mAb 0012-(HC-L0-hTF.1-219)
2;LC
2」では:
・「mAb 0012」:モノクローナル抗体0012。
・「(HC-L0-hTF.1-219)
2」:1つのhTF.1-219が各HCと融合している; hTF.1-219のN末端が重鎖のC末端と融合している。
・「L0」:リンカーは存在しない。
・LC
2: 2つの軽鎖があり、それらは何とも融合していない。
融合タンパク質「mAb 0023-(HC-L4a-hTF.1-219)
2;(LC-HPC4)
2」では:
・「mAb 0023」はモノクローナル抗体0023である。
・「(HC-L4a-hTF.1-219)
2」は、1つのhTF.1-219がリンカーを介して各HCと融合している;hTF.1-219のN末端がリンカーL4aのC末端と融合し、そのリンカーのN末端がmAbの重鎖のC末端と融合していることを示す。
・「(LC-HPC4)
2」は、HPC4タグが各LCのC末端と融合していることを示す。
融合タンパク質「mAb 0012-(LC-L5-hTF.1-219)
2;HC
2」では:
・(LC-L5-hTF.1-219)
2は、hTF.1-219のN末端がリンカーL5のC末端と融合し、そのリンカーのN末端が軽鎖のC末端と融合していることを示す。
・HC
2は、2つの重鎖があり、それらは何とも融合していないことを示す。
融合タンパク質「mAb 0012-(hTF.1-219-L4b-LC)
2;HC
2」では:
・(hTF.1-219-L4b-LC)
2は、hTF.1-219のC末端がリンカーL4bと融合し、そのリンカーが軽鎖のN末端と融合していることを示す。
【0117】
(ii)がFab断片である適切な融合タンパク質の例は、table 5(表5)で提供される。TFはmAbのHCと融合させることができる;TFはmAbのLCと融合させることができる。TFはリガンドと融合させることができ、そのリガンドはmAbのHCまたはmAbのLCと融合している。以下は、table 5(表5)で提供される融合タンパク質の名称の解釈の仕方の例である:
融合タンパク質「Fab 0012-V
H-CH1-L0-hTF.1-219;LC-HPC4」では:・「Fab 0012」:mAb 0012のFab断片。
・「V
H-CH1-L0-hTF.1-219」:hTF.1-219のN末端がFab断片のV
H-CH1ドメインと直接融合している。
・「HPC4」:精製タグが軽鎖のN末端にある。
融合タンパク質「Fab 0012-hTF.1-219-L4b-V
H-CH1;LC-HPC4」では:
・「hTF.1-219-L4b-V
H-CH1」:組織因子のC末端がリンカー4bのN末端と融合し、そのリンカーがFab断片のV
H-CH1ドメインと融合していることを示す。
【0119】
上記に記載のように、本発明の融合タンパク質は、TLT-1など、活性化を起こしている血小板上に存在する受容体と結合することができる。「結合親和性」という用語は、融合タンパク質、または融合タンパク質の抗体構成成分がその標的と結合する、または結合しない特性を指すものとする。結合親和性は、抗体構成成分およびその標的の結合定数(K
D)を決定することによって定量することができる。同様に、抗体構成成分とその標的の結合の特異性は、抗体および別の非標的分子についての結合定数と比較した、その標的に対する抗体の比較結合定数(KD)の点から定義することができる。
【0120】
典型的には、標的についての抗体のK
Dは、関連のない物質または環境中の付随物質など他の非標的分子についてのK
Dの2分の1、好ましくは5分の1、より好ましくは10分の1未満となる。より好ましくは、K
Dは50分の1未満、さらにより好ましくは100分の1未満、なおより好ましくは200分の1未満となる。
【0121】
この結合定数の値は、周知の方法によって直接決定することができ、例えば、Caceciら(Byte 9巻:340〜362頁、1984年)に記載のものなどの方法によって複雑な混合物についても計算することができる。例えば、WongおよびLohman(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90巻、5428〜5432頁、1993年)で開示されているような二重フィルターニトロセルロースフィルター結合アッセイを使用してK
Dを確定することができる。標的に対する抗体などのリガンドの結合能を評価する他の標準的なアッセイは、例えば、ELISA、ウェスタンブロット、RIA、およびフローサイトメトリー分析を含めて当技術分野で知られている。抗体の結合動態(例えば、結合親和性)は、表面プラスモン共鳴(SPR)分析など、当技術分野で知られている標準的なアッセイによって評価することもできる。
【0122】
抗体と標的の結合を、別の抗体など、その標的の別の既知のリガンドによる標的の結合と比較する競合的結合アッセイを行うことができる。
【0123】
本発明の抗体またはその断片などのリガンドのK
D値は、少なくとも1×10
-15M、例えば少なくとも1×10
-14Mなど、例えば少なくとも1×10
-13Mなど、例えば少なくとも1×10
-12Mなど、例えば少なくとも1×10
-11Mなど、例えば少なくとも1×10
-10Mなど、例えばおよそ3×10
-9Mなど、例えば少なくとも1×10
-9Mなど、または少なくとも1×10
-8Mでもよい。本発明の抗体は、その標的について1×10
-7M以下、1×10
-8M以下または1×10
-9M以下のKd(またはKi)を有しうる。
【0124】
抗体またはその断片などの本発明のリガンドに好ましいK
D値は、1×10
-15M〜1×10
-14M、例えば1×10
-14M〜1×10
-13M、1×10
-13M〜1×10
-12Mなど、例えば1×10
-12M〜1×10
-11Mなど、例えば1×10
-11M〜1×10
-10Mなど、例えば1×10
-10M〜1×10
-9Mなど、例えばおよそ3×10
-9Mなど、例えば1×10
-9M〜2×10
-8Mなどでよい。
【0125】
その標的と特異的に結合する抗体は、上記で論じたK
Dなど高い親和性でその標的と結合し、低い親和性で他の非標的分子と結合することがある。例えば、抗体は1×10
-6M以上、より好ましくは1×10
-5M以上、より好ましくは1×10
-4M以上、より好ましくは1×10
-3M以上、さらにより好ましくは1×10
-2M以上のK
Dで非標的分子と結合することがある。本発明の抗体は、好ましくは、TLT-1以外のTREMなど別の非標的分子との結合についてのその親和性の少なくとも2倍、10倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1,000倍もしくは10,000倍またはそれ以上の親和性でその標的と結合することができる。
【0126】
上記で述べたように、融合タンパク質は、組織因子の細胞外ドメインまたはその変異体と少なくとも90%同一である組織因子様構成成分を含んでよい。当技術分野で知られている「同一性」という用語は、配列を比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチドの配列間の関係を指す。当技術分野において、「同一性」とは、一続きの2つ以上のアミノ酸残基間にある整合の数によって決定される、ポリペプチド間にある配列の関連性の程度も意味する。「同一性」は、(もしあれば)特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)によって位置指定されるギャップアラインメントを有する2つ以上の配列のうち小さいものの間にある同一の整合のパーセントを測定するものである。関連するポリペプチドの同一性は、既知の方法によって容易に算出することができる。そのような方法には、それだけに限らないが、Computational Molecular Biology、Lesk, A. M.編、Oxford University Press、New York、1988年;Biocomputing: Informatics and Genome Projects、Smith, D. W.編、Academic Press、New York、1993年;Computer Analysis of Sequence Data、第1部、Griffin, A. M.およびGriffin, H. G.編、Humana Press、New Jersey、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje, G.、Academic Press、1987年;Sequence Analysis Primer、Gribskov, M.およびDevereux, J.編、M. Stockton Press、New York、1991年;ならびにCarilloら、SIAM J. Applied Math. 48巻、1073頁(1988年)に記載のものが含まれる。
【0127】
試験する配列間にある最も大きい整合が得られるように、同一性の決定に好ましい方法が設計される。同一性を決定する方法は、公的に利用可能なコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性の決定に好ましいコンピュータプログラムの方法には、GAP(Devereuxら、Nucl. Acid. Res. 12巻、387頁(1984年); Genetics Computer Group、University of Wisconsin、Madison、Wis.)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA (Altschulら、J. Mol. Biol. 215巻、403〜410頁(1990年))を含めたGCGプログラムパッケージが含まれる。BLASTXプログラムは、the National Center for Biotechnology Information(NCBI)および他の供給源(BLAST Manual、Altschulら、NCB/NLM/NIH Bethesda、Md. 20894; Altschulら、上記)から公的に利用可能である。周知であるSmith Watermanアルゴリズムを使用して、同一性を決定することもできる。
【0128】
例えば、コンピュータアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group、University of Wisconsin、Madison、Wis.)を使用して、パーセント配列同一性を決定する2つのポリペプチドを整列させてそれらのそれぞれのアミノ酸を最適に整合する(アルゴリズムによって決定される「整合スパン」)。ギャップ開始ペナルティー(平均項の3倍として算出される;「平均項」は、使用されている比較行列の項の平均である;「項」は、特定の比較行列により完璧な各アミノ酸整合に割り当てられるスコアまたは数である)およびギャップ伸長ペナルティー(通常はギャップ開始ペナルティーの{分数(1/10)}倍である)、ならびにPAM 250またはBLOSUM 62などの比較行列が、アルゴリズムと併せて使用される。標準的な比較行列(PAM 250比較行列についてはDayhoffら、Atlas of Protein Sequence and Structure、5巻、補遺3(1978年);BLOSUM 62比較行列についてはHenikoffら、Proc. Natl. Acad. Sci USA 89巻、10915〜10919頁(1992年)を参照)もアルゴリズムによって使用される。
【0129】
ペプチドの配列比較に好ましいパラメーターには、以下のものがある:アルゴリズム:Needlemanら、J. Mol. Biol. 48巻、443〜453頁(1970年);比較行列:Henikoffら、PNAS USA 89巻、10915〜10919頁(1992年)のBLOSUM 62;ギャップペナルティー:12、ギャップ長ペナルティー:4、類似の閾値:0。
【0130】
上記のパラメーターを用いたGAPプログラムが有用である。上述のパラメーターは、GAPアルゴリズムを使用した(末端のギャップにペナルティーが付かない)ペプチド比較の初期設定パラメーターである。
【0131】
本発明の融合タンパク質の機能的効果は、様々なin vitroおよびin vivo実験を用いて評価することができる。融合タンパク質全体として、ならびにその構成成分(i)TFおよび(ii)リガンド部分の機能を評価するin vitro実験を設計することができる。そのような実験は実施例で詳細に記載されている。これらには、
・融合タンパク質がFVII/FVIIaと結合する能力;
・融合タンパク質のTF構成成分が活性化血小板上でFVIIa媒介FX活性化を選択的に亢進する能力;
・融合タンパク質のTF構成成分がTLT-1濃縮リン脂質小胞上でFVIIa媒介FX活性化を亢進する能力;
・融合タンパク質が血友病様多血小板血漿中でフィブリンクロット形成を促進する能力・融合タンパク質が血友病様全血中でフィブリンクロット形成を促進する能力
を試験する方法が含まれる。in vivoでは、融合タンパク質は、ヒト血小板を輸血した血友病マウスにおける尾出血モデルで試験することができる。さらにin vivoでは、融合タンパク質は、ヒトTLT-1遺伝子を挿入した(TLT-1について「ヒト化した」)血友病マウスにおける尾出血モデルで試験することができる。
【0132】
本発明は、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドにも関する。したがって、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に記載の任意の抗体をコードしうる。「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」という用語は本明細書で互換的に使用され、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドの任意の長さのポリマー形態のヌクレオチド、またはその類似体を指す。ポリヌクレオチドの非限定的な例には、遺伝子、遺伝子断片、メッセンジャーRNA(mRNA)、cDNA、組換えポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマーが含まれる。本発明のポリヌクレオチドは、単離または精製された形態で提供することができる。
【0133】
選択されたポリペプチドを「コードする」核酸配列は、適当な制御配列の調節下に置かれた際にin vivoで(DNAの場合)転写され(mRNAの場合)翻訳されてポリペプチドとなる核酸分子である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端にある開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端にある翻訳終止コドンによって決定される。本発明の目的では、そのような核酸配列には、それだけに限らないが、ウイルス、原核生物または真核生物mRNA由来のcDNA、ウイルスまたは原核生物DNAまたはRNA由来のゲノム配列、および合成DNA配列も含まれうる。転写終結配列は、コード配列の3’に位置しうる。
【0134】
例としてSambrookら(1989年、Molecular Cloning - a laboratory manual;Cold Spring Harbor Press)に記載されている、当技術分野で周知である方法に従って、本発明のポリヌクレオチドを合成することができる。
【0135】
本発明の核酸分子は、挿入配列と作動的に連結した調節配列を含み、それによってin vivoで本発明の抗体の発現を可能にする発現カセットの形態で提供することができる。そしてこれらの発現カセットは、典型的には、ベクター(例えば、プラスミドまたは組換えウイルスベクター)内に提供される。そのような発現カセットは、宿主対象に直接投与することができる。あるいは、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを宿主対象に投与することができる。好ましくは、ポリヌクレオチドは遺伝子ベクターを使用して調製および/または投与される。適切なベクターは、十分な量の遺伝情報を運搬することができ、本発明のポリペプチドの発現を可能にする任意のベクターでありうる。
【0136】
したがって、本発明は、そのようなポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターを含む。そのような発現ベクターは、分子生物学の分野で日常的に構築され、例えばプラスミドDNAならびに本発明のペプチドの発現を可能にするために必要となることがあり、正しい方向に位置付けられる適当なイニシエーター、プロモーター、エンハンサーおよび他のエレメント、例えばポリアデニル化シグナルなどの使用を伴いうる。他の適切なベクターは、当業者には明らかであろう。この関連でさらなる例としてはSambrookらを参照されたい。
【0137】
本発明は、本発明による構築物を発現するように改変されている単離細胞も含む。そのような細胞には、哺乳動物細胞もしくは昆虫細胞などの一過性もしくは好ましくは安定高等真核細胞系統;酵母などの下等真核細胞;または細菌細胞などの原核細胞が含まれる。本発明の構築物をコードするベクターまたは発現カセットの挿入によって改変することができる細胞の特定の例には、哺乳動物HEK293T、CHO、HeLaおよびCOS細胞が含まれる。好ましくは、選択される細胞系統は、安定であるだけでなく、ポリペプチドの成熟グリコシル化および細胞表面発現も可能にするものとなる。
【0138】
日常的な方法を使用して本発明のそのような細胞系統を培養して、本発明による融合タンパク質、抗体または構築物を産生することができる。あるいは、本発明のポリヌクレオチド、発現カセットまたはベクターをex vivoで対象の細胞に投与し、次いでその細胞を対象の身体に戻すことができる。
【0139】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の融合タンパク質、ポリヌクレオチド、ベクターや細胞などの本発明の分子を含む組成物および製剤を提供する。例えば、本発明は、薬学的に許容される担体と一緒に製剤される、本発明の1つまたは複数の融合タンパク質を含む医薬組成物を提供する。
【0140】
したがって、本発明の一目的は、0.25mg/ml〜250mg/mlの濃度で存在するそのような抗体を含む医薬製剤を提供することであり、前記製剤は2.0〜10.0のpHを有する。製剤は、緩衝系、保存剤、等張化剤、キレート化剤、安定化剤および表面活性物質をさらに含んでよい。医薬組成物中での保存剤、等張剤、キレート化剤、安定化剤および表面活性物質の使用は当業者に周知である。Remington : The Science and Practice of Pharmacy、第19版、1995年を参照することができる。
【0141】
一実施形態では、医薬製剤は水性製剤である。そのような製剤は、典型的には溶液または懸濁液である。「水性製剤」という用語は、少なくとも50重量%の水を含む製剤と定義される。同様に、「水性溶液」という用語は、少なくとも50重量%の水を含む溶液と定義され、「水性懸濁液」という用語は、少なくとも50重量%の水を含む懸濁液と定義される。
【0142】
別の実施形態では、医薬製剤は凍結乾燥製剤であり、医者または患者が使用前にそれに溶媒および/または希釈液を添加する。
【0143】
さらなる態様では、医薬製剤は、そのような抗体の水性溶液、および緩衝液を含み、抗体は1mg/ml以上の濃度で存在し、前記製剤は約2.0〜約10.0のpHを有する。
【0144】
本明細書において、「治療」という用語は、それを必要とする任意のヒトまたは他の動物対象の医学的療法を指す。前記対象は、前記特定の治療の使用が前記ヒトまたは他の動物対象の健康に有益であることを示す暫定または確定診断を行った[獣]医師により診察を受けていることが予想される。前記治療のタイミングおよび目的は、対象の健康の現状に従って、個体により様々となりうる。したがって、前記治療は、予防的、待機的、対症的および/または治癒的でありうる。
【0145】
本発明に関して、予防的、待機的、対症的および/または治癒的治療は、本発明の別々の態様を表しうる。
【0146】
出血傾向が増大する凝固障害は、正常な凝固カスケードの任意の凝固促進性構成成分の任意の質的もしくは量的欠乏、またはフィブリン溶解の任意の上方制御によって引き起こされる可能性がある。そのような凝固障害は、先天性および/または後天性および/または医原性である可能性があり、当業者によって特定される。
【0147】
先天性凝固低下障害の非限定的な例は、血友病A、血友病B、第VII因子欠乏、第X因子欠乏、第XI因子欠乏、フォンウィルブランド病、およびグランツマン血小板無力症やベルナールスーリエ症候群などの血小板減少症である。
【0148】
後天性凝固障害の非限定的な例は、ビタミンK欠乏によって引き起こされるセリンプロテアーゼ欠乏である;そのようなビタミンK欠乏は、ワルファリンなどのビタミンKアンタゴニストの投与によって引き起こされることがある。後天性凝固障害は、広範な外傷の後に起こることもある。他に「観血性悪循環(bloody vicious cycle)」として知られているこの場合、それは、血液希釈(希釈性血小板減少および凝固因子の希釈)、低体温、凝固因子の消費および代謝の乱れ(アシドーシス)によって特徴付けられる。輸液療法およびフィブリン溶解の増大がこの状況を悪化させることがある。前記出血は、身体のどの部分からでもよい。
【0149】
「インヒビター」(すなわち第VIII因子に対する同種抗体)保有血友病Aおよび「インヒビター」(すなわち第IX因子に対する同種抗体)保有血友病Bは、部分的に先天性であり、部分的に後天性である凝固障害の非限定的な例である。
【0150】
医原性凝固障害の非限定的な例は、血栓塞栓性疾患を治療するために処方されることがあるヘパリン、アスピリン、ワルファリンおよび他の血小板凝集インヒビターなどの抗凝固物質の過量の投薬である。医原性凝固障害の第2の非限定的な例は、輸血によって誘導されうるものなど、過剰かつ/または不適当な輸液療法によって誘導されるものである。
【0151】
本発明の一実施形態では、出血は血友病AまたはBと関連する。別の実施形態では、出血は後天性インヒビター保有血友病AまたはBと関連する。別の実施形態では、出血はフォンウィルブランド病と関連する。別の実施形態では、出血は重度の組織損傷と関連する。別の実施形態では、出血は重度の外傷と関連する。別の実施形態では、出血は手術と関連する。別の実施形態では、出血は出血性胃炎および/または腸炎と関連する。別の実施形態では、出血は胎盤剥離などにおける大量の子宮出血と関連する。別の実施形態では、出血は、頭蓋内、耳内または眼内など、機械的止血の可能性が限定される臓器中で起こる。別の実施形態では、出血は抗凝固療法と関連する。
【0152】
さらなる実施形態では、出血は血小板減少と関連しうる。血小板減少を有する個体では、本発明の構築物を血小板と同時に投与することができる。
【0153】
実施形態
以下は、本発明の実施形態の非限定的なリストである。
【0154】
実施形態1:(i)少なくとも1つの組織因子ポリペプチドまたはその生物学的機能性変異体もしくは断片と、(ii)リガンドとを含む融合タンパク質であって、(ii)が(iii)受容体および/またはその断片もしくは変異体と結合することができ、該受容体が活性化血小板の表面上にのみ存在する、融合タンパク質。
【0155】
実施形態2:(iii)がTLT-1またはその断片もしくは変異体である、実施形態1に記載の融合タンパク質。
【0156】
実施形態3:(iii)がTLT-1(16-162)である、実施形態2に記載の融合タンパク質。
【0157】
実施形態4:(iii)がTLT-1(20-125)である、実施形態2に記載の融合タンパク質。
【0158】
実施形態5:(iii)がTLT-1(126-162)である、実施形態2に記載の融合タンパク質。
【0159】
実施形態6:(i)が単一の組織因子ポリペプチドまたはその生物学的機能性変異体もしくは断片である、実施形態1から5のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0160】
実施形態7:(i)が2つの組織因子ポリペプチドまたはその生物学的機能性変異体もしくは断片である、実施形態1から5のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0161】
実施形態8:(i)がTF(1-219)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0162】
実施形態9:(i)がsTF(6-209)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0163】
実施形態10:(i)がsTF(1-209)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0164】
実施形態11:(i)がsTF(1-210)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0165】
実施形態12:(i)がsTF(1-211)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0166】
実施形態13:(i)がsTF(1-212)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0167】
実施形態14:(i)がsTF(1-213)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0168】
実施形態15:(i)がsTF(1-214)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0169】
実施形態16:(i)がsTF(1-215)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0170】
実施形態17:(i)がsTF(1-216)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0171】
実施形態18:(i)がsTF(1-217)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0172】
実施形態19:(i)がsTF(1-218)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0173】
実施形態20:(i)がsTF(1-219)である、実施形態6から7のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0174】
実施形態21:(ii)がモノクローナル抗体またはその断片である、実施形態1から20のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0175】
実施形態22:(ii)がFab断片、F(ab’)
2断片、Fab’断片、Fd断片、Fv断片、ScFv断片、dAb断片または単離相補性決定領域(CDR)である、実施形態21に記載の融合タンパク質。
【0176】
実施形態23:(ii)がFab断片である、実施形態22に記載の融合タンパク質。
【0177】
実施形態24:(ii)のエピトープが、配列番号5のV17、Q18、C19、H20、Y21、R22、L23、Q24、D25、V26、K27、A28、L63、G64、G65、G66、L67、L68、G89、A90、R91、G92、P93、Q94、I95およびL96からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、実施形態21から23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0178】
実施形態25:(ii)が、mAb 0023と同じエピトープと結合することができる抗体またはその断片である、実施形態21から23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0179】
実施形態26:(ii)の重鎖が、
・配列番号41のアミノ酸50〜54(DYFMY)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号41のアミノ酸69〜85(YISNGGDSSSYPDTVKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号41のアミノ酸118〜129(NKNWDDYYDMDY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む、実施形態24および25のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0180】
実施形態27:(ii)の軽鎖が、
・配列番号42のアミノ酸44〜60(KSSQSLLNSRTRKNYLA)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号42のアミノ酸76〜82(WASTRES)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号42のアミノ酸115〜122(KQSYNLLT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む、実施形態24から26のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0181】
実施形態28:(ii)の重鎖が、
・配列番号41のアミノ酸50〜54(DYFMY)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つを異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号41のアミノ酸69〜85(YISNGGDSSSYPDTVKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つを異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号41のアミノ酸118〜129(NKNWDDYYDMDY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つを異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含み、(ii)の軽鎖が、
・配列番号42のアミノ酸44〜60(KSSQSLLNSRTRKNYLA)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つを異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号42のアミノ酸76〜82(WASTRES)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つを異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号42のアミノ酸115〜122(KQSYNLLT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つを異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む、実施形態24から25のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0182】
実施形態29:(ii)の重鎖が、
・配列番号41のアミノ酸50〜54(DYFMY)のCDR1配列;
・配列番号41のアミノ酸69〜85(YISNGGDSSSYPDTVKG)のCDR2配列;および
・配列番号41のアミノ酸118〜129(NKNWDDYYDMDY)のCDR3配列
を含み、(ii)の軽鎖が、・配列番号42のアミノ酸44〜60(KSSQSLLNSRTRKNYLA)のCDR1配列;および
・配列番号42のアミノ酸76〜82(WASTRES)のCDR2配列;および
・配列番号42のアミノ酸115〜122(KQSYNLLT)のCDR3配列
を含む、実施形態28に記載の融合タンパク質。
【0183】
実施形態30:(ii)のエピトープが、配列番号5のL36、P37、E38、G39、C40、Q41、P42、L43、V44、S45、S46、A47、V73、T74、L75、Q76、E77、E78、D79、A80、G81、E82、Y83、G84、C85、M86、R91、G92、P93、Q94、I95、L96、H97、R98、V99、S110およびL111からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、実施形態21から23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0184】
実施形態31:(ii)が、mAb 0051と同じエピトープと結合することができる抗体またはその断片である、実施形態21から23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0185】
実施形態32:(ii)の重鎖が、
・配列番号43のアミノ酸50〜54(DYSMH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号43のアミノ酸69〜85(VISTYYGDVRYNQKFKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号43のアミノ酸118〜129(APMITTGAWFAY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む、実施形態30から31のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0186】
実施形態33:(ii)の軽鎖が、
・配列番号44のアミノ酸44〜54(KASQSVSNDVA)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号44のアミノ酸70〜76(YASSRYT)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号44のアミノ酸109〜117(QQDYSSPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む、実施形態30から32のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0187】
実施形態34:(ii)の重鎖が、
・配列番号43のアミノ酸50〜54(DYSMH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号43のアミノ酸69〜85(VISTYYGDVRYNQKFKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号43のアミノ酸118〜129(APMITTGAWFAY)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含み、(ii)の軽鎖が、
・配列番号44のアミノ酸44〜54(KASQSVSNDVA)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号44のアミノ酸70〜76(YASSRYT)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号44のアミノ酸109〜117(QQDYSSPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む、実施形態30から31のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0188】
実施形態35:(ii)の重鎖が、
・配列番号43のアミノ酸50〜54(DYSMH)のCDR1配列;および
・配列番号43のアミノ酸69〜85(VISTYYGDVRYNQKFKG)のCDR2配列;および
・配列番号43のアミノ酸118〜129(APMITTGAWFAY)のCDR3配列
を含み、(ii)の軽鎖が、
・配列番号44のアミノ酸44〜54(KASQSVSNDVA)のCDR1配列;および
・配列番号44のアミノ酸70〜76(YASSRYT)のCDR2配列;および
・配列番号44のアミノ酸109〜117(QQDYSSPYT)のCDR3配列
を含む、実施形態34に記載の融合タンパク質。
【0189】
実施形態36:(ii)のエピトープが、配列番号5のV17、Q18、C19、H20、Y21、R22、L23、Q24、D25、V26、K27、A28、R91、G92、P93、Q94、I95、L96、H97、R98、V99、S100およびL101からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、実施形態21から23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0190】
実施形態37:(ii)が、mAb 0062と同じエピトープと結合することができる抗体またはその断片である、実施形態21から23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0191】
実施形態38:(ii)の重鎖が、
・配列番号49のアミノ酸50〜54(SHWIE)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号49のアミノ酸69〜85(EILPGSGNTNYNEKFKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号49のアミノ酸118〜130(GYYGLNYDWYFDV)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む、実施形態36から37のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0192】
実施形態39:(ii)の軽鎖が、
・配列番号46のアミノ酸44〜54(RASQDISNYLN)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号46のアミノ酸70〜76(YTSRLHS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号46のアミノ酸109〜117(QQDTKLPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む、実施形態36から38のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0193】
実施形態40:(ii)の重鎖が、
・配列番号49のアミノ酸50〜54(SHWIE)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号49のアミノ酸69〜85(EILPGSGNTNYNEKFKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号49のアミノ酸118〜130(GYYGLNYDWYFDV)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含み、(ii)の軽鎖が、
・配列番号46のアミノ酸44〜54(RASQDISNYLN)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号46のアミノ酸70〜76(YTSRLHS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または・配列番号46のアミノ酸109〜117(QQDTKLPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む、実施形態36から39のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0194】
実施形態41:(ii)の重鎖が、
・配列番号49のアミノ酸50〜54(SHWIE)のCDR1配列;および
・配列番号49のアミノ酸69〜85(EILPGSGNTNYNEKFKG)のCDR2配列;および
・配列番号49のアミノ酸118〜130(GYYGLNYDWYFDV)のCDR3配列
を含み、(ii)の軽鎖が、
・配列番号46のアミノ酸44〜54(RASQDISNYLN)のCDR1配列;および
・配列番号46のアミノ酸70〜76(YTSRLHS)のCDR2配列;および
・配列番号46のアミノ酸109〜117(QQDTKLPYT)のCDR3配列
を含む、実施形態40に記載の融合タンパク質。
【0195】
実施形態42:(ii)のエピトープが、配列番号7のE5、T6、H7、K8、I9、G10、S11、L12、A13、E14、N15、A16、F17、S18、D19、P20およびA21からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、実施形態21から23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0196】
実施形態43:前記残基がK8、I9、G10、S11、L12、A13、N15、A16、F17、S18、D19、P20およびA21である、実施形態42に記載の融合タンパク質。
【0197】
実施形態44:(ii)のエピトープが、配列番号6のK118、I119、G120、S121、L122、A123、E124、N125、A126、F127からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、実施形態21から23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0198】
実施形態45:(ii)が、mAb 0061またはmAb 0082と同じエピトープと結合することができる抗体またはその断片である、実施形態21から23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0199】
実施形態46:(ii)の重鎖が、
・配列番号47のアミノ酸49〜53(RYWMT)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号47のアミノ酸68〜84(EINPDSSTINYNPSLKD)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号47のアミノ酸117〜121(GVFTS)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む、実施形態42から45のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0200】
実施形態47:(ii)の軽鎖が、
・配列番号48のアミノ酸43〜58(RSSQSLVHRNGNTYFH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号48のアミノ酸74〜80(KVSNRFS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号48のアミノ酸113〜121(SQSTHVPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む、実施形態42から46のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0201】
実施形態48:(ii)の重鎖が、・配列番号47のアミノ酸49〜53(RYWMT)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号47のアミノ酸68〜84(EINPDSSTINYNPSLKD)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号47のアミノ酸117〜121(GVFTS)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含み、(ii)の軽鎖が、
・配列番号48のアミノ酸43〜58(RSSQSLVHRNGNTYFH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号48のアミノ酸74〜80(KVSNRFS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号48のアミノ酸113〜121(SQSTHVPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む、実施形態42から47のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0202】
実施形態49:(ii)の重鎖が、
・配列番号47のアミノ酸49〜53(RYWMT)のCDR1配列;および
・配列番号47のアミノ酸68〜84(EINPDSSTINYNPSLKD)のCDR2配列;および
・配列番号47のアミノ酸117〜121(GVFTS)のCDR3配列
を含み、(ii)の軽鎖が、
・配列番号48のアミノ酸43〜58(RSSQSLVHRNGNTYFH)のCDR1配列;および
・配列番号48のアミノ酸74〜80(KVSNRFS)のCDR2配列;および
・配列番号48のアミノ酸113〜121(SQSTHVPYT)のCDR3配列
を含む、実施形態48に記載の融合タンパク質。
【0203】
実施形態50:(ii)の重鎖が、
・配列番号50のアミノ酸49〜53(RYWMT)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号50のアミノ酸68〜84(EINPDSSTINYAPSLKD)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号50のアミノ酸117〜121(GVFTS)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含み、(ii)の軽鎖が、
・配列番号48のアミノ酸43〜58(RSSQSLVHRNGNTYFH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号48のアミノ酸74〜80(KVSNRFS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号48のアミノ酸113〜121(SQSTHVPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む、実施形態42から45のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0204】
実施形態51:(ii)の重鎖が、
・配列番号50のアミノ酸49〜53(RYWMT)のCDR1配列;および
・配列番号50のアミノ酸68〜84(EINPDSSTINYAPSLKD)のCDR2配列;および
・配列番号50のアミノ酸117〜121(GVFTS)のCDR3配列
を含み、(ii)の軽鎖が、・配列番号48のアミノ酸43〜58(RSSQSLVHRNGNTYFH)のCDR1配列;および
・配列番号48のアミノ酸74〜80(KVSNRFS)のCDR2配列;および
・配列番号48のアミノ酸113〜121(SQSTHVPYT)のCDR3配列
を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0205】
実施形態52:(ii)のパラトープが、抗TLT-1軽(L)鎖(配列番号40)のH50、N52、Y56、H58、Y73、F79、S115、T116、V118およびY120、ならびに抗TLT-1重(H)鎖(配列番号39)の残基V20、F45、R49、Y50、W51、E68、T75、N77、S116、G117、V118およびT120からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、実施形態21から23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0206】
実施形態53:(ii)のエピトープが、配列番号4のK133、I134、G135、S136、L137、A138、N140、A141、F142、S143、D144、P145およびA146からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、実施形態21から23および52のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0207】
実施形態54:(ii)が、mAb 0012と同じエピトープと結合することができる抗体またはその断片である、実施形態21から23のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0208】
実施形態55:(ii)の重鎖が、
・配列番号39のアミノ酸49〜53(RYWMT)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号39のアミノ酸68〜84(EINPDSSTINYTPSLKD)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号39のアミノ酸117〜121(GVFTS)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む、実施形態52から54のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0209】
実施形態56:(ii)の軽鎖が、
・配列番号40のアミノ酸43〜58(RSSQSLVHRNGNTYFH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号40のアミノ酸74〜80(KVSNRFS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号40のアミノ酸113〜121(SQSTHVPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む、実施形態52から55のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0210】
実施形態57:(ii)の重鎖が、
・配列番号39のアミノ酸49〜53(RYWMT)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号39のアミノ酸68〜84(EINPDSSTINYTPSLKD)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号39のアミノ酸117〜121(GVFTS)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含み、(ii)の軽鎖が、
・配列番号40のアミノ酸43〜58(RSSQSLVHRNGNTYFH)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または・配列番号40のアミノ酸74〜80(KVSNRFS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号40のアミノ酸113〜121(SQSTHVPYT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸で置換されていてもよい配列
を含む、実施形態52から56のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0211】
実施形態58:(ii)の重鎖が、
・配列番号39のアミノ酸49〜53(RYWMT)のCDR1配列;および
・配列番号39のアミノ酸68〜84(EINPDSSTINYTPSLKD)のCDR2配列;および
・配列番号39のアミノ酸117〜121(GVFTS)のCDR3配列
を含み、(ii)の軽鎖が、
・配列番号40のアミノ酸43〜58(RSSQSLVHRNGNTYFH)のCDR1配列;および
・配列番号40のアミノ酸74〜80(KVSNRFS)のCDR2配列;および
・配列番号40のアミノ酸113〜121(SQSTHVPYT)のCDR3配列
を含む、実施形態57に記載の融合タンパク質。
【0212】
実施形態59:(ii)の重鎖が、
・配列番号56のアミノ酸50〜54(NYWLG)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号56のアミノ酸69〜85(DIYPGGGYNKYNENFKG)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号56のアミノ酸118〜128(EYGNYDYAMDS)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つもしくは3つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む、実施形態21から23のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0213】
実施形態60:(ii)の軽鎖が、
・配列番号57のアミノ酸44〜59(RSSRSLLHSNGNTYLC)のCDR1配列であって、これらのアミノ酸の1つ、2つ、3つもしくは4つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号57のアミノ酸75〜81(RMSNLAS)のCDR2配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列;および/または
・配列番号57のアミノ酸114〜122(MQHLEYPFT)のCDR3配列であって、これらのアミノ酸の1つもしくは2つが異なるアミノ酸により置換されていてもよい配列
を含む、実施形態21から23のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0214】
実施形態61:(ii)がヒトモノクローナル抗体またはその断片である、実施形態21から25、30から31、36から37、42から45および52から54のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0215】
実施形態62:(ii)がキメラ抗体またはその断片である、実施形態1から60のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0216】
実施形態63:(ii)がヒト化抗体またはその断片である、実施形態1から60のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0217】
実施形態64:(ii)のアイソタイプがIgGである、実施形態1から63のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0218】
実施形態65:アイソタイプがIgG1、IgG2またはIgG4である、実施形態64に記載の融合タンパク質。
【0219】
実施形態66:アイソタイプがIgG4である、実施形態65に記載の融合タンパク質。
【0220】
実施形態67:(i)と(ii)の間にリンカーをさらに含む、実施形態1から66のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0221】
実施形態68:(ii)が10nM未満など100nM未満のK
Dを有する、実施形態1から67のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0222】
実施形態69:FVIIa媒介FX活性化を少なくとも10%刺激する、実施形態1から68のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0223】
実施形態70:活性化血小板の表面に組織因子またはその機能性断片を標的化する方法であって、実施形態1から69のいずれか1つに記載の融合タンパク質と活性化血小板を接触させるステップを含む方法。
【0224】
実施形態71:医薬として使用するための、実施形態1から67のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0225】
実施形態72:凝固促進物質として使用するための、実施形態71に記載の融合タンパク質。
【0226】
実施形態73:実施形態1から69のいずれか1つに記載の融合タンパク質を含む医薬製剤。
【0227】
実施形態74:凝固障害の治療で使用するための、実施形態1から69のいずれか1つに記載の融合タンパク質または実施形態73に記載の医薬製剤。
【0228】
実施形態75:前記凝固障害が、インヒビター保有または非保有血友病A、およびインヒビター保有または非保有血友病Bである、実施形態72に記載の融合タンパク質。
【0229】
実施形態76:実施形態1から67のいずれか1つに記載の有効量の融合タンパク質を、それを必要する個体に投与するステップを含む、凝固障害を治療する方法。
【0230】
実施形態77:前記凝固障害が、インヒビター保有または非保有血友病A、およびインヒビター保有または非保有血友病Bである、実施形態76に記載の方法。
【0231】
実施形態78:実施形態1から69のいずれか1つに記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【0232】
実施形態79:実施形態1から67のいずれか1つに記載の融合タンパク質および/または実施形態76に記載のポリヌクレオチドを含む単離細胞。
【0233】
実施形態80:TLT-1またはその断片と結合することができるモノクローナル抗体またはその断片であって、(ii)のパラトープが、抗TLT-1軽(L)鎖(配列番号40)のH50、N52、Y56、H58、Y73、F79、S115、T116、V118およびY120、ならびに抗TLT-1重(H)鎖(配列番号39)の残基V20、F45、R49、Y50、W51、E68、T75、N77、S116、G117、V118およびT120からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、モノクローナル抗体またはその断片。
【0234】
実施形態81:TLT-1またはその断片と結合することができるモノクローナル抗体またはその断片であって、(ii)のエピトープが、配列番号4のK133、I134、G135、S136、L137、A138、N140、A141、F142、S143、D144、P145、およびA146からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、モノクローナル抗体またはその断片。
【0235】
実施形態82:TLT-1またはその断片もしくは変異体と結合することができるモノクローナル抗体またはその断片であって、前記モノクローナル抗体のエピトープが、配列番号5のV17、Q18、C19、H20、Y21、R22、L23、Q24、D25、V26、K27、A28、L63、G64、G65、G66、L67、L68、G89、A90、R91、G92、P93、Q94、I95およびL96からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、モノクローナル抗体またはその断片。
【0236】
実施形態83: TLT-1またはその断片もしくは変異体と結合することができるモノクローナル抗体またはその断片であって、エピトープが、配列番号5のL36、P37、E38、G39、C40、Q41、P42、L43、V44、S45、S46、A47、V73、T74、L75、Q76、E77、E78、D79、A80、G81、E82、Y83、G84、C85、M86、R91、G92、P93、Q94、I95、L96、H97、R98、V99、S110およびL111からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、モノクローナル抗体またはその断片。
【0237】
実施形態84: TLT-1またはその断片もしくは変異体と結合することができるモノクローナル抗体またはその断片であって、エピトープが、配列番号5のV17、Q18、C19、H20、Y21、R22、L23、Q24、D25、V26、K27、A28、R91、G92、P93、Q94、I95、L96、H97、R98、V99、S100およびL101からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、モノクローナル抗体またはその断片を含む融合タンパク質。
【0238】
実施形態85: TLT-1またはその断片と結合することができるモノクローナル抗体またはその断片もしくは変異体であって、エピトープが、配列番号7のE5、T6、H7、K8、I9、G10、S11、L12、A13、E14、N15、A16、F17、S18、D19、P20およびA21からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、モノクローナル抗体またはその断片もしくは変異体。
【0239】
実施形態86: TLT-1またはその断片と結合することができるモノクローナル抗体またはその断片もしくは変異体であって、前記残基が配列番号7のK133、I134、G135、S136、L137、A138、N140、A141、F142、S143、D144、P145およびA146である、モノクローナル抗体またはその断片もしくは変異体。
【0240】
実施形態87: TLT-1またはその断片と結合することができるモノクローナル抗体またはその断片もしくは変異体であって、パラトープが、抗TLT-1軽(L)鎖(配列番号40)のH50、N52、Y56、H58、Y73、F79、S115、T116、V118およびY120、ならびに抗TLT-1重(H)鎖(配列番号39)の残基V20、F45、R49、Y50、W51、E68、T75、N77、S116、G117、V118およびT120からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、モノクローナル抗体またはその断片もしくは変異体。
【0241】
実施形態88: TLT-1またはその断片と結合することができるモノクローナル抗体またはその断片もしくは変異体であって、エピトープが、配列番号4のK133、I134、G135、S136、L137、A138、N140、A141、F142、S143、D144、P145およびA146からなる群から選択される1つまたは複数の残基を含む、モノクローナル抗体またはその断片もしくは変異体。
【0242】
さらに限定するものと解釈すべきでない下記の実施例によって本発明をさらに説明する。本出願を通じて引用した全図面および全参照文献の内容は、参照により本明細書にはっきりと組み込まれる。
【0243】
(実施例)(実施例1)
hTLT-1 ECD-His抗原のクローニングおよび発現。C末端His-6タグと一緒になった、ヒトTLT-1(hTLT-1)(
図1)の細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列を、コザック配列と一緒にHindIII認識部位を含有する順向プライマーならびに終止コドンおよびEcoRI認識部位を含有する逆向プライマーを用いてPCRで増幅した(
図2)。HindIIIおよびEcoRIで消化したPCR断片を、pTTを基礎とする発現ベクターのHindIIIおよびEcoRI部位に挿入した。pTTベクターは、本質的に、Durocher, Y.ら、(2002年) Nucleic Acid Res、30巻:E9頁に記載されている。得られた発現プラスミドをpTT-hTLT-1 ECD-Hisと称した。hTLT-1 ECD-Hisを一過性に発現させるために、pTT-hTLT-1 ECD-HisをHEK293-6E浮遊細胞にトランスフェクトした。1% P/S(GIBCOカタログ番号15140-122)、0.1%プルロニック(GIBCO、カタログ番号24040-032)および25ug/mL Geneticin(GIBCO、カタログ番号10131-019)を補充したFreestyle HEK293培地(GIBCO、カタログ番号12338-018)中でHEK293-6E細胞を増殖させ、293fectin(Invitrogen、カタログ番号12347-019)を使用して1mill/mLの細胞密度で細胞をトランスフェクトした。1mgのpTT-hTLT-1 ECD-His DNAを30mLのOptimem中に希釈し(希釈液A)、1mlの293fectinを30mLのOptimem中に希釈する(GIBCO、カタログ番号51985-026、希釈液B)ことによって、各リットルのHEK293-6E細胞についてトランスフェクションを行った。希釈液AおよびBを混合し、室温で30分間インキュベートした。この後、そのトランスフェクションミックスをHEK293-6E細胞に添加し、軌道回転(125rpm)する加湿インキュベーター中で細胞を37℃でインキュベートした。トランスフェクション後7日目に、遠心分離によって細胞を除去し、得られたhTLT-1 ECD-Hisを含有する上清を精製前に滅菌濾過した。
【0244】
(実施例2)
hTLT1 ECD-Hisタンパク質の精製および特徴付け。1)コバルトを添加した樹脂TALON(Clontech、カタログ番号635506)を使用するHis-アフィニティークロマトグラフィー、および2)微粒子樹脂Source 15Q(GE Healthcare、カタログ番号17-0947)を使用する陰イオン交換クロマトグラフィーから構成される2ステップのプロセスとしてhTLT1 ECD-Hisタンパク質の精製を行った。AktaExplorerクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare、カタログ番号18-1112-41)を使用して精製を行った。第1の精製ステップに使用した緩衝系は、20mM Hepes、pH7.0、150 mM NaClから構成される平衡化緩衝液、20mM Hepes、pH 7.0、0.5 M NaClから構成される洗浄緩衝液、および20mM Hepes、pH 7.0、150mMイミダゾールから構成される溶出緩衝液であった。細胞上清を、何も調製せずに、予め平衡化したTALONカラムに直接かけた。20カラム容の平衡化緩衝液で、20カラム容の洗浄緩衝液で、最後に20カラム容の平衡化緩衝液でカラムを洗浄した。およそ5カラム容の溶出緩衝液中にタンパク質を均一濃度で溶出させた。SDS-PAGE/Coomassie NuPage 4〜12 % Bis-Trisゲル(Invitrogen、カタログ番号NP0321BOX) およびMicro-flexシステム(Bruker Daltonics)のマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MS)の設定を使用して、溶出したタンパク質の分子量を分析した。ここで、ほとんど等しい量のおよそ16.7および33.4kDaの2つの異なるタンパク質の質量が観察された。観察された質量は、hTLT1 ECD-Hisのモノマーおよびダイマー形態に対応していた。タンパク質を還元すると、SDS-PAGE/Coomassie分析から判断されるように33.4kDaのタンパク質が完全に消失し、一方16.7kDaのタンパク質が増強された。したがって、hTLT-1 ECD-Hisタンパク質は、連結したC-Cダイマーを含有していた。ダイマーからモノマーを分離するために、第2の精製ステップを使用した。この精製ステップに使用した緩衝系は、50mM Hepes、pH 8.0から構成される平衡化緩衝液および50mM Hepes、pH 8.0、1M NaClから構成される溶出緩衝液であった。1M NaOHを使用して試料をpH8.0に調整し、次いでおよそ10mS/cmの伝導率に希釈した。タンパク質を、予め平衡化したSource 15Qカラムにかけ、5カラム容の平衡化緩衝液で洗浄し、20カラム容を超える0〜100%溶出緩衝液を使用して溶出した。UV280のモニタリングに基づいて、2つのピークがほとんどベースラインの分離で明らかとなった。SDS-PAGE/Coomassie、MALDI-TOF MSおよびDynapro機器(Wyatt Technology)を使用した動的光散乱(DLS)分析を使用してその2つのピークにわたる分画を分析すると、最初に溶出するピーク中にモノマーhTLT-1 ECD-Hisタンパク質の存在が、2番目に溶出するピーク中にCys-Cysダイマーの存在が示された。モノマーhTLT-1 ECD-Hisタンパク質のみを含有するプールを調製した。Agilent LC 1100/1200システムのサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)法の設定に基づき、BIOSep-SEC-S3000 300×7.8mmカラム(Phenomenex、カタログ番号00H-2146-K0)ならびに200mMリン酸Na pH 6.9、300mM NaClおよび10%イソプロパノールから構成されるランニング緩衝液を使用して、最終的なタンパク質の完全性を分析した。保持時間およそ9.9分、流速1ml/分で、単一の対称的なピークとしてタンパク質が溶出した。
【0245】
モノクローナル抗TLT1抗体の産生についての免疫感作試験用に一団のhTLT-1 ECD-Hisを調製した。したがって、Slide-A-Lyzer Dialysis Cassette 10kDa MWCO(Pierce、カタログ番号66453)を使用して、等張PBS緩衝液にタンパク質を透析した。最終的なタンパク質濃度を測定するために、NanoDrop分光光度計(Thermo Scientific)を、吸光係数0.55と一緒に使用した。
【0246】
(実施例3)
モノクローナルTLT-1抗体の調製。50μgのhTLT-1 ECD-Hisを注射することによって、RBFマウスを免疫感作した。経皮でのFCAに続いてFIA中のhTLT-1 ECD-His20μgを2回注射した。25μgのhTLT-1 ECD-Hisを用いて高応答マウスを静脈内で追加免疫し、3日後に脾臓を採取した。脾臓細胞をミエローマFox細胞系統と融合させた。特異的ELISA ならびにhTLT-1をトランスフェクトしたまたは偽トランスフェクトしたCHO細胞をそれぞれ陽性および陰性標的細胞として利用するFACSアッセイにおいて、hTLT-1特異的抗体産生について上清をスクリーニングした。ヒト、カニクイザル、イヌ、ウサギまたはマウス由来の休止対二重アゴニスト活性化血小板に対して二次スクリーニングを行った。
【0247】
(実施例4)
ハイブリドーマからの抗TLT-1 mAb LCおよびHC cDNAのクローニングおよび配列決定。0012Hyb(別名2F105/2F105A3)、0023Hyb、0051Hybおよび0052Hybと称する4つの異なる抗TLT-1 mAbを発現しているハイブリドーマから全RNAを抽出した。RNeasy miniキット(Qiagen、カタログ番号74106)を使用してハイブリドーマ細胞からRNAを抽出し、得られたRNAのアリコートを、5’RACEについて製造業者の使用説明書に従ってSMART RACE cDNA増幅キット(Clontech、カタログ番号634914)を使用し、5’RACE CDSプライマーAをSMART II A RNAオリゴヌクレオチドと一緒に使用する第1鎖cDNA合成の鋳型として使用した。この後、4つの抗TLT-1ハイブリドーマそれぞれの軽鎖(LC)および重鎖(HC)コード領域cDNAを、UPM順向プライマーミックスをマウスLC、カッパ特異的逆向プライマー(逆向プライマー番号339、348、または610)と一緒にまたはマウスIgG1、IgG2a、IgG2bもしくはIgG3配列を認識する逆向プライマー(逆向プライマー番号341、347、613、614、615、または616、プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)と一緒に使用して、PCRで増幅した。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号:F-531L)を使用してPCR反応を行った。配列決定用Zero blunt Topo PCRクローニングキット(Invitrogen、カタログ番号K287540)を使用して、得られたPCR断片をクローニングし、配列を決定した。0012LCおよびHCの可変ドメインの配列は
図3に示されている。
【0248】
(実施例5)
pTT-0012HC、pTT-0023HC、pTT-0051HCおよびpTT-0052HC発現構築物の開発。4つの異なる抗TLT-1ハイブリドーマそれぞれから単離されたHC可変ドメイン(V
H)をコードするDNA配列を、クローニングする目的でHinDIII制限酵素部位を含有する順向プライマーおよびNheI制限酵素部位を含有する逆向プライマーを用いてPCRで増幅した。以下のプライマー番号の対:490(順向)+491(逆向)、546(順向)+547(逆向)、627(順向)+628(逆向)、および617(順向)+618(逆向、プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)それぞれを用いて、phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用して0012V
H、0023V
H、0051V
Hおよび0052V
H DNA配列をPCRで増幅し、ヒトIgG4 HCの定常領域をコードする配列(すなわちCH1-ヒンジ-CH2-CH3)を含有する、pTT-hIgG4と称するpTTを基礎とするベクター(
図22+23)のHinDIIIおよびNheI制限酵素部位にそれを挿入した。pTTベクターは、本質的に、Durocher, Y.ら、(2002年) Nucleic Acid Res、30巻:E9頁に記載されている(
図22)。得られたベクターを、pTT-0012HC(
図5)、pTT-0023HC、pTT-0051HC、およびpTT-0052HCと称した。発現ベクターによってコードされる抗TLT-1 HCアミノ酸配列が示されている(配列番号:0012HC:39、0023HC:41、0051HC:43、0052HC:45)。
【0249】
(実施例6)
pTT-0012LC、pTT-0023LC、pTT-0051LCおよびpTT-0052LC発現構築物の開発。4つの異なる抗TLT-1ハイブリドーマそれぞれから単離されたLC可変ドメイン(V
L)をコードするDNA配列を、クローニングする目的でHinDIII制限酵素部位を含有する順向プライマーおよびBsiWI制限酵素部位を含有する逆向プライマーを用いてPCRで増幅した。以下のプライマー番号の対:493(順向)+495(逆向)、548(順向)+549(逆向)、492(順向)+494(逆向)、および619(順向)+620(逆向プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)それぞれを用いて、0012V
L、0023V
L、0051V
Lおよび0052V
L DNA配列をPCRで増幅し、ヒトLC、カッパの定常領域をコードする配列を含有する、pTT-hLC、カッパと称するpTTを基礎とするベクター(
図24)のHinDIIIおよびBsiWI制限酵素部位にそれを挿入した。得られたベクターを、pTT-0012LC、pTT-0023LC、pTT-0051LC、およびpTT-0052LCと称した。発現ベクターによってコードされる抗TLT-1 LC アミノ酸配列が(配列番号:0012LC:40、0023LC:42、0051LC:44、0052LC:46)に示されている。
【0250】
(実施例7)
pTT-0012HC.T60N、pTT-0012HC.T60A、pTT-0012LC.C36AおよびpTT-0052HC.C91Yの開発。0012V
Hアミノ酸配列は、潜在的なN結合グリコシル化部位(T60、kabatの番号付け)を含有し、0012V
Lおよび0052V
Hアミノ酸配列は不対のCys(それぞれC36およびC91、kabatの番号付け)をそれぞれ含有する。製造業者の使用説明書に従って部位特異的突然変異生成(Quickchange II、Stratagene、カタログ番号20523-5)を使用して、0012HC.T60Nまたは0012HC.T60Aまたは0012LC.C36Aまたは0052HC.C91Yをコードする発現ベクターを開発した。a)pTT-0012HC.T60Nについては鋳型であるpTT-0012HC DNAおよびプライマー番号682(順向)+683(逆向)、b)pTT-0012HC.T60Aについては鋳型であるpTT-0012HC DNAおよびプライマー番号688(順向)+689(逆向)、c)pTT-0012LC.C36Aについては鋳型であるpTT-0012LC DNAおよびプライマー番号598(順向)+599(逆向)、d)pTT-0052HC.C91Yについては鋳型であるpTT-0052HC DNAおよび以下のプライマー番号684(順向)+685(逆向、プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して、部位特異的突然変異生成反応を行った。DNA配列を検証するために、得られた発現ベクターの配列を決定した。pTT-0012HC.T60N、pTT-0012HC.T60AおよびpTT-0012LC.C36A発現ベクターによってコードされる抗TLT-1 HCおよびLCアミノ酸配列は、(配列番号:0012HC.T60N:47、0012HC.T60A:50、0012LC.C36A:48)に示されている。
【0251】
(実施例8)
pTT-0012LC-HPC4、pTT-0012LC.C36A-HPC4、pTT-0023LC-HPC4、pTT-0051LC-HPC4およびpTT-0052LC-HPC4発現構築物の開発。4つの異なる抗TLT-1ハイブリドーマそれぞれから単離されたV
LをコードするDNA配列を、クローニングする目的でHinDIII制限酵素部位を含有する順向プライマーおよびBsiWI制限酵素部位を含有する逆向プライマーを用いてPCRで増幅した。以下のプライマー番号:493(順向)+495(逆向)、548(順向)+549(逆向)、492(順向)+494(逆向)、および619(順向)+620(逆向、プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)それぞれを用いて、phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用して0012V
L、0012V
L.C36A、0023V
L、0051V
Lおよび0052V
L DNA配列をPCRで増幅した。順向プライマー番号486および逆向プライマー番号485を用いて、ヒトC
L、カッパをコードする配列をPCRで増幅した。クローニングする目的で順向プライマー番号486はBsiWI 制限酵素部位を含有し、逆向プライマー485はHPC4タグ(配列番号69)、その後に終止コドンをコードし、3’に隣接するEcoRI部位を含有する。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用してPCR反応を行った。HindIII+BsiWIで消化した0012V
L PCR断片を、BsiWI+EcoRIで消化したヒトC
L、カッパ-HPC4 PCR断片と混合し、pTTを基礎とする発現ベクターのHinDIII+EcoRI部位にそれを挿入してpTT-0012LC-HPC4が得られた(
図4)。残っている3つの抗TLT-1 LC配列のLC-HPC4バージョンをコードする、対応する発現ベクターを開発するために、pTT-0012LC-HPC4中の0012V
L配列をHinDIII+BsiWIで切り出し、HinDIII+BsiWIで消化した0023V
L、0051V
L、0052V
Lおよび0012V
L.C36A PCR断片と置き換えた。得られた4つの発現ベクターを、pTT-0023LC-HPC4、pTT-0051LC-HPC4、pTT-0052LC-HPC4およびpTT-0012LC.C36A.HPC4と称した。
【0252】
(実施例9)
pTT-0012V
H-CH1、pTT-0012V
H-CH1-HPC4、pTT-0023V
H-CH1、pTT-0023V
H-CH1-HPC4、pTT-0051V
H-CH1、pTT-0051V
H-CH1-HPC4、pTT-0052V
H-CH1およびpTT-0052V
H-CH1-HPC4発現構築物の開発。0012Hyb、0023Hyb、0051Hyb、0052Hybから単離された0012V
H、0023V
H、0051V
H、および0052V
H配列を、プライマー番号:490(順向)+491(逆向)、546(順向)+547(逆向)、627(順向)+628(逆向)、617(順向)+618(逆向、プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)それぞれを用いて、phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用してPCRで増幅した。クローニングする目的で全ての順向プライマー(490、546、627、および617)がHinDIII部位を含有し、全ての逆向プライマー(491、547、628、および618)がNheI部位を含有していた。プライマー番号489(順向)+488(逆向)、またはプライマー番号489(順向)+487(逆向)を用いて、ヒトIgG
4 CH1領域をPCRで増幅した。クローニングする目的で順向プライマー番号489はNheI部位を含有し、488逆向プライマー番号は終止コドンおよびEcoRI部位を含有し、487逆向プライマー番号はHPC4タグをコードする配列、終止コドン、その後にEcoRI部位を含有していた。HinDIII+NheIで消化した0012V
H PCR断片を、NheI+EcoRIで消化したヒトIgG
4 CH1 PCR断片またはNheI+EcoRIで消化したヒトIgG
4 CH1-HPC4 PCR断片と組み合わせ、pTTを基礎とするベクターのHindIII+EcoRI部位にクローニングした。得られたベクターを、それぞれpTT-0012V
H-CH1およびpTT-0012V
H-CH1-HPC4と称した。その後、HindIII+NheI消化によってpTT-0012V
H-CH1およびpTT-0012V
H-CH1-HPC4のV
Hドメインを切り出し、HinDIII+NheIで消化した0197-0000-0023V
H、0197-0000-0051V
Hおよび0197-0000-0052V
H PCR断片を挿入した。得られた発現ベクターを、pTT-0023V
H-CH1、pTT-0023V
H-CH1-HPC4、pTT-0051V
H-CH1、pTT-0051V
H-CH1-HPC4、pTT-0052V
H-CH1、およびpTT-0052V
H-CH1-HPC4と称した。
【0253】
(実施例10)
pTT-0012V
H.T60N-CH1およびpTT-0012V
H.T60N-CH1-HPC4発現構築物の開発。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、クローニングする目的でHinDIII制限酵素部位を含有する順向プライマー番号572およびEcoRI部位を含有する逆向プライマー番号488またはクローニングする目的でEcoRI部位と一緒にHPC4タグをコードする配列を含有する逆向プライマー487(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して、pTT-0012HC.T60Nから0012V
H.T60N-CH1配列(シグナルペプチドをコードする配列を含む)をPCRで増幅した。得られたPCR断片をHinDIII+EcoRIで消化し、pTTを基礎とするベクターのHinDIII+EcoRI部位にそれを挿入した。得られた発現ベクターを、pTT-0012V
H.T60N-CH1およびpTT-0012V
H.T60N-CH1-HPC4と称した。
【0254】
(実施例11)
pTT-L4a-hTF.1-219およびpTT-hTF. 1-219-L4b発現構築物の開発。N末端の17アミノ酸Gly-Serリンカー(L4a:GSGGGGSGGGGS GGGGS、配列番号61)、およびシグナルペプチドをコードする配列を除くヒト組織因子の細胞外ドメイン(hTF.1-219、配列番号14)をコードする発現構築物を作製した。最初に、phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、L4aをコードするDNA配列を含有するプライマー番号466(順向)および逆向プライマー449(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して、hTF.1-219 cDNA配列をPCRで増幅してL4a-hTF.1-219 PCR断片が得られた。プライマー番号483(順向)および449(逆向)を用いて、第1のPCR断片を鋳型として使用して第2のPCR増幅ステップを行った。第2のPCRステップは、クローニングする目的でPCR断片にHinDIIIとEcoRIの両方の部位を取り込むために行った。得られたPCR断片はL4a-hTF.1-219をコードし、将来クローニングする目的でGly-Serリンカーの一部として(L4a中の下線の配列)BamHI部位を含有していた。pTTを基礎とするベクターのHinDIIIおよびEcoRI部位にDNA断片を挿入し、得られたベクターをpTT-L4a-hTF. 1-219と称した(
図25)。
【0255】
シグナルペプチドをコードする配列を含むヒト組織因子の細胞外ドメイン、およびC末端の17アミノ酸Gly-Serリンカー(L4b:GGGGSGGGGSGGGGS GS、配列番号62)をコードする発現構築物を作製した。最初に、phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、プライマー番号448(順向)および467(逆向、プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して、hTF.1-219をPCRで増幅してhTF.1-219-L4b(配列番号16(AA1〜251)+62)をコードするDNA断片が得られた。プライマー番号448(順向)および484(逆向)を用いて、第1のPCR断片を鋳型として使用して第2のPCR増幅ステップを行った。第2のPCRステップは、クローニングする目的でPCR断片にHinDIIIとEcoRIの両方の部位を取り込むために行った。得られたhTF.1-219-L4bをコードするPCR断片は、将来クローニングする目的でGly-Serリンカーの一部として(L4b中の下線の配列)BamHI部位を含有していた。pTTを基礎とするベクターのHinDIIIおよびEcoRI部位にDNA断片を挿入し、得られたベクターをpTT-hTF.1-219-L4bと称した(
図26)。
【0256】
(実施例12)
pTT-0012LC-L4a-hTF.1-219、pTT-hTF.1-219-L4b-0012LCおよびpTT-0012LC.C36A-L4a-hTF.1-219発現構築物の開発。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、順向プライマー番号493および逆向プライマー番号552を使用して、pTT-0012LCから0012LC cDNA(シグナルペプチドをコードする配列を含む)をPCRで増幅した。クローニングする目的で順向プライマー493は5’末端HinDIII制限酵素部位を挿入し、逆向プライマー552は3’末端BamHI制限酵素部位を挿入していた(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)。得られた0012LC PCR断片をpTT-L4a-hTF.1-219のHinDIII+BamHI部位に挿入して、pTT-0012LC-L4a-hTF.1-219と称する、0012LC-L4a-hTF.1-219をコードする発現ベクターが得られた。
【0257】
phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、順向プライマー番号551および逆向プライマー番号98を使用して、pTT-0012LCから0012LC cDNA(シグナルペプチドをコードする配列を除く)をPCRで増幅した。クローニングする目的で順向プライマー551は5’末端BamHI制限酵素部位を挿入し、逆向プライマー98は3’末端EcoRI制限酵素部位を挿入していた(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)。得られた0012LC PCR断片をpTT-hTF.1-219-L4bのBamHI+EcoRI部位に挿入して、pTT-hTF.1-219-L4b-0012LCと称する、hTF.1-219-L4b-0012LCをコードする発現ベクターが得られた。
【0258】
HinDIIIおよびBsiWI制限酵素を使用してpTT-0012LC.C36Aから0012VL.C36A cDNA配列を切り出し、得られたDNA断片をpTT-0012LC-L4a-hTF.1-219プラスミドのHinDIII+BsiWI制限酵素部位に挿入し、すなわち0012V
L配列を置き換えた。得られた発現プラスミドをpTT-0012LC.C36A-L4a-hTF.1-219と称した(0061LC-L4a-hTF.1-219とも称した)。
【0259】
(実施例13)
pTT-0012HC-L4a-hTF.1-219およびpTT-hTF.1-219-L4b-0012HC発現構築物の開発。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、順向プライマー番号490および逆向プライマー番号513を使用して、pTT-0012HCから0012HC配列(シグナルペプチドをコードする配列を含む)をPCRで増幅した。クローニングする目的で順向プライマー490は5’末端HinDIII制限酵素部位を挿入し、逆向プライマー513は3’末端BamHI制限酵素部位を挿入していた。0012HC PCR断片をpTT-L4a-hTF.1-219のHinDIII+BamHI部位に挿入して、pTT-0012HC-L4a-hTF.1-219と称する、0012HC-L4a-hTF.1-219発現構築物が得られた。
【0260】
phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、順向プライマー番号512および逆向プライマー番号100を使用して、pTT-0012HCから0012HC配列(シグナルペプチドをコードする配列を除く)をPCRで増幅した。クローニングする目的で順向プライマー512は5’末端BamHI制限酵素部位を挿入し、逆向プライマー100は3’末端EcoRI制限酵素部位を挿入していた(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)。0012HC PCR断片をpTT-hTF.1-219-L4bのBamHI+EcoRI部位に挿入して、pTT-hTF.1-219-L4b-0012HCと称する、hTF.1-219-L4b-0012HC発現構築物が得られた。
【0261】
(実施例14)
pTT-0012V
H-CH1-L4a-hTF.1-219およびpTT-hTF.1-219-L4b-0012V
H-CH1構築物の開発。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、順向プライマー番号490および逆向プライマー番号514を使用して(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)、pTT-0012HCから0012V
H-CH1コードするDNA配列(シグナルペプチドをコードする配列を含む)をPCRで増幅した。クローニングする目的で順向プライマー490は5’末端HinDIII制限酵素部位を挿入し、逆向プライマー514は3’末端BamHI制限酵素部位を挿入していた。0012V
H-CH1 PCR断片をpTT-L4a-hTF.1-219のHinDIII+BamHI部位に挿入して、pTT-0012V
H-CH1-L4a-hTF.1-219と称する、0012V
H-CH1-L4a-hTF.1-219発現構築物が得られた(
図6)。
【0262】
順向プライマー番号512および逆向プライマー番号488を使用して、pTT-0012HCから0012V
H-CH1コードするDNA配列(シグナルペプチドをコードする配列を除く)をPCRで増幅した。クローニングする目的で順向プライマー512は5’末端BamHI制限酵素部位を挿入し、逆向プライマー488は終止コドンおよび3’末端EcoRI制限酵素部位を挿入していた(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)。0012V
H-CH1PCR断片をpTT-hTF.1-219-L4bのBamHI+EcoRI部位に挿入して、pTT-hTF.1-219-L4b-0012V
H-CH1発現構築物が得られた。
【0263】
(実施例15)
リンカーの長さが異なるpTT-0012LC-TF:L0(無リンカー)、L1(2GS)、L2(7GS)、L3(12GS)、L5(22GS)、L6 (27GS)、L7(32GS)、L8(37GS)、L9(42GS)の開発。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、5’末端HinDIII部位を含有する順向プライマー番号574 および長さが5 GSのGSリンカー+BamHI部位(逆向プライマー番号590)、10GS+BamHI部位(逆向プライマー番号585)、15GS(逆向プライマー番号583)+BamHI部位、20GS+BamHI部位(逆向プライマー番号584)、25GS+BamHI部位(逆向プライマー番号591、プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)のどちらかをコードする3’末端配列を含有する逆向プライマーを使用して、0012LC cDNA配列(シグナルペプチドをコードする配列を含む)をPCRで増幅した。得られた0012LC PCR断片をHinDIII+BamHIで消化し、それをpTT-L4a-hTF.1-219に挿入して、pTT-0012LC-L5-hTF.1-219(22GSリンカー)、pTT-0012LC-L6-hTF.1-219(27GSリンカー)、pTT-0012LC-L7-hTF.1-219(32GSリンカー)、pTT-0012LC-L8-hTF.1-219(37GSリンカー)およびpTT-0012LC-L9-hTF.1-219(42GSリンカー)と称する発現ベクターが得られた。
【0264】
phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、クローニングする目的でEcoRI制限酵素部位を含有する逆向プライマー番号449と一緒に、BamHI部位(2GSリンカー)、その後に10GSリンカーをコードする配列を含有する順向プライマー番号586、またはBamHI部位(2GSリンカー)、その後に5GSリンカーをコードする配列を含有する順向プライマー番号699、またはBamHI部位(2GSリンカー)を含有する順向プライマー番号700 (プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して、hTF.1-219 cDNA配列(シグナルペプチドをコードする配列を除く)をPCRで増幅した。得られたPCR断片をBamHI+EcoRIで消化し、それをpTT-0012LC-L4a-hTF.1-219のBamHI+EcoRI部位に挿入し、すなわちL4a-hTF.1-219配列を置き換えた。得られた発現ベクターを、pTT-0012LC-L3-hTF.1-219(12GSリンカー)、pTT-0012LC-L2-hTF.1-219(7GSリンカー)またはpTT-0012LC-L1-hTF.1-219(2GSリンカー)と称した。
【0265】
phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、5’末端HinDIII部位を含有する順向プライマー番号574およびhTF.1-219の5’末端の配列を含有する逆向プライマー番号704を使用して、0012LC cDNA配列(シグナルペプチドをコードする配列を含む)をPCRで増幅した。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、0012LCの3’末端の配列を含有する順向プライマー番号703および3’末端EcoRI部位を含有する逆向プライマー番号449を使用して、hTF.1-219 cDNA配列(シグナルペプチドをコードする配列を除く)をPCRで増幅した。0012LCおよびhTF.1-219 PCR断片を組み合わせ、順向プライマー番号574および逆向プライマー番号449(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して第2のPCRステップ(重複PCR)を行った。得られたPCR断片を、pTTを基礎とする発現ベクターのHinDIII+EcoRI部位に挿入して、リンカー配列を有さない0012LC-hTF.1-219融合タンパク質をコードするpTT-0012LC-L0-hTF.1-219が得られた。
【0266】
(実施例16)
リンカーの長さが異なるpTT-0023LC-TF:L3(12GS)、L4a(17GS)、L5(22GS)、L6 (27GS)、L7(32GS)、L8(37GS)、L9(42GS)の開発。HinDIII+BsiWI制限酵素を使用してpTT-0023LCから0023V
L cDNA配列(シグナルペプチドをコードする配列を含む)を切り出し、それをpTT-0012LC-L3-hTF.1-219(12GSリンカー)、pTT-0012LC-L4a-hTF.1-219(17GSリンカー)、pTT-0012LC-L5-hTF.1-219(22GSリンカー)、pTT-0012LC-L6-hTF.1-219(27GSリンカー)、pTT-0012LC-L7-hTF.1-219(32GSリンカー)、pTT-0012LC-L8-hTF.1-219(37GSリンカー)およびpTT-0012LC-L9-hTF.1-219(42GSリンカー)のHinDIII+BsiWI制限酵素部位に挿入し、すなわち0012V
L cDNA配列を0023V
Lと置き換えた。得られた発現ベクターを、pTT-0023LC-L3-hTF.1-219(12GSリンカー)、pTT-0023LC-L4a-hTF.1-219(17GSリンカー)、pTT-0023LC-L5-hTF.1-219(22GSリンカー)、pTT-0023LC-L6-hTF.1-219(27GSリンカー)、pTT-0023LC-L7-hTF.1-219(32GSリンカー)、pTT-0023LC-L8-hTF.1-219(37GSリンカー)およびpTT-0023LC-L9-hTF.1-219(42GSリンカー)と称した。
【0267】
(実施例17)
リンカーの長さが異なるpTT-0023HC-TF:L1(2GS)、L2(7GS)、L3(12GS)、L4a(17GS)、L5(22GS)、L6 (27GS)、L7(32GS)、L8(37GS)、L9(42GS)の開発。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、5’末端HindIII制限酵素部位を含有する順向プライマー番号546、および1)BamHI部位と一緒に5GSをコードする配列を含有する逆向プライマー番号592、または2)BamHI部位と一緒に10GSをコードする配列を含有する逆向プライマー番号589、または3)BamHI部位と一緒に15GSをコードする配列を含有する逆向プライマー番号587、または4)BamHI部位と一緒に20GSをコードする配列を含有する逆向プライマー番号588、または5)BamHI部位と一緒に25GSをコードする配列を含有する逆向プライマー番号593(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して、0023HC cDNA配列(シグナルペプチドをコードする配列を含む)をPCRで増幅した。得られたPCR断片をHinDIII+BamHIで消化し、それをpTT-0012LC-L4a-hTF.1-219のHinDIII+BamHI制限酵素部位に挿入し、すなわち0012LCをコードする配列を置き換えた。得られた発現ベクターを、pTT-0023HC-L5-hTF.1-219(22GSリンカー)、pTT-0023HC-L6-hTF.1-219(27GSリンカー)、pTT-0023HC-L7-hTF.1-219(32GSリンカー)、pTT-0023HC-L8-hTF.1-219(37GSリンカー)、pTT-0023HC-L9-hTF.1-219(42GSリンカー)と称した。
【0268】
phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、クローニングする目的でEcoRI制限酵素部位を含有する逆向プライマー番号449と一緒にa)BamHI制限酵素部位および10GSをコードする配列を含有する順向プライマー番号586、またはb)BamHI制限酵素部位および5GSをコードする配列を含有する順向プライマー番号699、またはBamHI制限酵素部位を含有する順向プライマー番号700(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して、hTF.1-219 cDNA配列(hTFシグナルペプチド配列を除く)をPCRで増幅した。得られたPCR断片をBamHI+EcoRIで消化し、それをpTT-0023HC-L4a-hTF.1-219のBamHI+EcoRI部位に挿入し、すなわちL4a-hTF.1-219配列をL3-hTF.1-219またはL2-hTF.1-219またはL1-hTF.1-219 cDNA配列と置き換えた。得られた発現ベクターを、それぞれpTT-0023HC-L3-hTF.1-219(12GSリンカー)、pTT-0023HC-L2-hTF.1-219(7GSリンカー) およびpTT-0023HC-L1-hTF.1-219(2GSリンカー)と称した。
【0269】
HinDIII+NheIを使用してpTT-0023HCから0023V
H DNA配列を切り出し、それをpTT-0012HC-L4a-hTF.1-219のHinDIII+NheI部位に挿入し、すなわち0012V
H DNA配列を置き換えた。得られた発現ベクターをpTT-0023HC-L4a-hTF.1-219と称した。
【0270】
(実施例18)
リンカーの長さが異なるpTT-0012HC-TF:L0(無リンカー)、L1(2GS)、L2(7GS)、L3(12GS)、L5(22GS)、L6 (27GS)、L7(32GS)、L8(37GS)、L9(42GS)の開発。HinDIII+NheIを使用してpTT-0012HCから0012V
HをコードするcDNA配列を切り出し、得られたcDNA断片をpTT-0023HC-L1-hTF.1-219、pTT-0023HC-L2-hTF.1-219、pTT-0023HC-L3-hTF.1-219、pTT-0023HC-L5-hTF.1-219、pTT-0023HC-L6-hTF.1-219、pTT-0023HC-L7-hTF.1-219、pTT-0023HC-L8-hTF.1-219またはpTT-0023HC-L9-hTF.1-219に挿入し、すなわち0023V
Hを置き換えた。得られた発現ベクターを、1)pTT-0012HC-L1-hTF.1-219、pTT-0012HC-L2-hTF.1-219、pTT-0012HC-L3-hTF.1-219、pTT-0012HC-L5-hTF.1-219、pTT-0012HC-L6-hTF.1-219、pTT-0012HC-L7-hTF.1-219、pTT-0012HC-L8-hTF.1-219またはpTT-0012HC-L9-hTF.1-219と称した。
【0271】
phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、5’末端HinDIII制限酵素部位を含有する順向プライマー番号490、およびhTF.1-219をコードする5’末端cDNA配列の一部を含有する逆向プライマー番号801を使用して、0012HCをコードするcDNA(シグナルペプチド配列を含む)をPCRで増幅した。クローニングする目的で0012HC cDNAの3’末端部分をコードする5’末端配列を含有する順向プライマー番号800およびEcoRI部位を含有する逆向プライマー番号449(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して、hTF.1-219 cDNA配列(シグナルペプチドをコードする配列を除く)をPCRで増幅した。得られた2つのPCR断片を組み合わせ、順向プライマー番号490および逆向プライマー番号449を使用する第2のPCRステップ(重複PCR)での鋳型としてそれを使用した。得られたPCR断片をHinDIII+EcoRIで消化し、pTTを基礎とする発現ベクターにそれを挿入した。得られた発現ベクターをpTT-0012-L0-hTF.1-219と称し、それはリンカー配列を有さない0012HC-TF融合タンパク質をコードしていた。
【0272】
(実施例19)
pTT-0012V
H-CH1-L10-hTF.1-219、pTT-0012V
H.T60N-CH1-L10-hTF.1-219およびpTT-0012V
H.T60A-CH1-L10-hTF.1-219の開発。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、5’末端HindIII制限酵素部位を含有する順向プライマー番号572およびhTF.1-219の5’末端配列の一部を含有する逆向プライマー番号686を使用して、pTT-0012HCプラスミドから0012V
H-CH1-ヒンジcDNA配列(シグナルペプチドをコードする配列を含む) をPCRで増幅した。逆向プライマー686は、pTT-0012HCプラスミドのhIgG4ヒンジ領域とアニールし、2つの遊離システインを除去するために2つの点突然変異C239SおよびC242S(Kabatの番号付け)を取り込んでいた。クローニングする目的で0012V
H-CH1-ヒンジcDNAの3’末端の配列を含有する順向プライマー番号687およびEcoRI制限酵素部位を含有する逆向プライマー番号449(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して、ヒトTF.1-219 cDNA配列をPCRで増幅した。得られた0012V
H-CH1-ヒンジcDNAおよびhTF.1-219 PCR断片を組み合わせ、順向プライマー番号572および逆向プライマー番号449を使用する第2のPCR反応(重複PCR)での鋳型としてそれを使用した。得られた0012V
H-CH1-ヒンジ-hTF.1-219をコードするPCR断片をHindIII+EcoRIで消化し、pTTを基礎とする発現ベクターにそれを挿入して、pTT-0012V
H-CH1-L10-hTF.1-219と称する発現ベクターが得られた。
【0273】
HinDIIIおよびNheI制限酵素を使用して、pTT-0012HC.T60NまたはpTT-0012HC.T60Aからそれぞれ0012V
H.T60Nおよび0012V
H.T60A cDNA(シグナルペプチドをコードする配列を含む)を切り出した。得られた可変ドメインをpTT-0012V
H-CH1-L10-hTF.1-219のHinDIII+NheI部位に挿入し、すなわち0012V
H配列を置き換えた。得られた発現ベクターを、それぞれpTT-0012V
H.T60N-CH1-L10-hTF.1-219(別名pTT-0061V
H-CH1-L10-hTF.1-219)およびpTT-0012V
H.T60A-CH1-L10-hTF.1-219(別名pTT-0082V
H-CH1-L10-hTF.1-219)と称した。
【0274】
(実施例20)
pTT-0012V
H-CH1-L0-hTF.1-219の開発。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、HinDIIIを含有する順向プライマー番号572、およびhTF.1-219 cDNA配列の5’末端と重複しているDNA配列を含有する逆向プライマー番号702を使用して、pTT-0012HCプラスミドから0012V
H-CH1をコードするDNA配列をPCRで増幅した。クローニングする目的で0012V
H-CH1の3’末端cDNA配列と重複しているcDNA配列を含有する順向プライマー番号701およびEcoRI制限酵素部位を含有する逆向プライマー番号449を使用して、hTF.1-219 cDNA配列をPCRで増幅した。得られたPCR断片を組み合わせ、順向プライマー番号572および逆向プライマー番号449を使用する第2のPCR反応(重複PCR)でそれを使用した。得られたPCR断片をHinDIII+EcoRIで消化し、pTTを基礎とする発現ベクターのHinDIII+EcoRI制限部位にそれを挿入して、pTT-0012V
H-CH1-無リンカー-hTF.1-219と称する発現ベクターが得られた。
【0275】
(実施例21)
pTT-0023V
H-CH1-L4a-hTF.1-219、pTT-0051HC-L4a-hTF.1-219、pTT-0051V
H-CH1-L4a-hTF.1-219、pTT-0052HC-L4a-hTF.1-219およびpTT-0052V
H-CH1-L4a-hTF.1-219の開発。HinDIII+NheI制限酵素を使用して、pTT-0023HC、pTT-0051HCまたはpTT-0052HCから0023V
H、0051VHおよび0052V
H cDNA配列を切り出した。得られたDNA断片をpTT-0012HC-L4a-hTF.1-219またはpTT-0012V
H-CH1-L4a-hTF.1-219のHinDIII+NheI制限酵素部位に挿入し、すなわち0012V
H DNA配列を置き換えた。得られた発現ベクターを、pTT-0023V
H-CH1-L4a-hTF.1-219、pTT-0051HC-L4a-hTF.1-219、pTT-0051V
H-CH1-L4a-hTF.1-219、pTT-0052HC-L4a-hTF.1-219およびpTT-0052V
H-CH1-L4a-hTF.1-219と称した。
【0276】
(実施例22)
pTT-0051LC-L4a-hTF.1-219およびpTT-0052LC-L4a-hTF.1-219の開発。HinDIII+BsiWI制限酵素を使用して、pTT-0051LCまたはpTT-0052LCから0051V
Lおよび0052V
L cDNA配列を切り出した。得られたDNA断片をpTT-0012LC-L4a-hTF.1-219のHinDIII+BsiWI制限酵素部位に挿入し、すなわち0012V
L DNA配列を置き換えた。得られた発現ベクターを、pTT-0051LC-L4a-hTF.1-219またはpTT-0052LC-L4a-hTF.1-219と称した。
【0277】
(実施例23)
pTT-アイソタイプ対照LC-L4a-hTF.1-219、pTT-アイソタイプ対照LC-HPC4、pTT-アイソタイプ対照HC-L4a-hTF.1-219、pTT-アイソタイプ対照HC、pTT-アイソタイプ対照V
H-CH1-HPC4、およびpTT-アイソタイプ対照V
H-CH1-L4a-TFの開発。アイソタイプ対照FabまたはmAb配列に基づいてhTF.1-219融合タンパク質を発現させるために、抗トリニトロフェニル(ATNP)CDR配列に基づいてV
HおよびV
L cDNA配列を回収した。ATNP V
L配列を以下のプラスミド:pTT-0012LC、pTT-0012LC-HPC4およびpTT-0012LC-L4a-hTF.1-219のHinDIII+BsiWI制限酵素部位に挿入し、すなわち0012V
L配列を置き換えて、以下の発現プラスミド:pTT-アイソタイプ対照-LC、pTT-アイソタイプ対照-LC-HPC4およびpTT-アイソタイプ対照-LC-L4a-hTF.1-219が得られた。
【0278】
ATNP V
H配列を以下のプラスミド:pTT-0012HC、pTT-0012V
H-CH1-HPC4、pTT-0012V
H-CH1-L4a-hTF.1-219およびpTT-0012HC-L4a-hTF.1-219のHinDIII+NheI制限酵素部位に挿入し、すなわち0012V
H配列を置き換えて、以下の発現プラスミド:pTT-アイソタイプ対照-HC、pTT-アイソタイプ対照-V
H-CH1-HPC4、pTT-アイソタイプ対照-V
H-CH1-L4a-hTF.1-219およびpTT-アイソタイプ対照-HC-L4a-hTF.1-219が得られた。
【0279】
(実施例24)
pTT-AP-3LC-17GS-TF.1-219、pTT-AP-3LC.C34S-17GS-TF.1-219およびpTT-AP-3V
H-CH1-HPC4の開発。抗GPIIbIIIa mAbを発現しているAP-3ハイブリドーマをATCCから購入し(ATCC番号:HB-242)、AP3 LCおよびHCの可変ドメインをコードする配列を決定した。RNeasy miniキット(Qiagen、カタログ番号74106)を使用してAP-3ハイブリドーマ細胞から全RNAを単離し、SMART RACE(clontech、カタログ番号PT3269-1)、Primescript逆転写酵素(Takara Bio Inc、コード番号2680A)を使用し、5-CDSプライマーおよびSMART IIAオリゴヌクレオチド(どちらもSMART RACEキットに含まれている)を用いて第1鎖cDNAを作製した。LCについてはプライマー番号69と一緒にUPMプライマーミックス(SMART RACEキットに含まれている)を、HCについてはプライマー番号312と一緒にUPMプライマーミックスを使用して(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)、LCおよびHC可変ドメイン配列をPCRで増幅した。製造業者の使用説明書に従って配列決定用Zeroblunt Topo PCRクローニングキット(Invitrogen、カタログ番号K287520)を使用して、PCR断片を配列決定ベクターにクローニングした。
【0280】
V
L cDNA配列中で(Kabatの番号付けの体系によれば)34位にある潜在的な遊離Cysを同定した。QuikChange部位特異的突然変異生成キット(カタログ番号200518、Stratagene)ならびにプライマー番号50および51(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用した部位特異的突然変異生成を用いることによって、Cys残基をSerへと突然変異させた。突然変異したcDNA配列を検証するために、得られたV
L cDNAの配列を決定した。
【0281】
AP-3V
H-CH1-HPC4、AP-3LC-L4a-hTF.1-219およびAP-3LC.C34S-L4a-hTF.1-219をコードする発現ベクターを得るために、配列を決定したAP-3V
H、AP-3V
LおよびAP-3V
L.C34S cDNAをPCRで増幅した。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、クローニングする目的でHinDIII制限酵素部位を含有する順向プライマー番号842およびNheI制限酵素部位を含有する逆向プライマー番号843を使用して、AP-3V
HをPCRで増幅した。phusion PCRミックス(FinnZymes、カタログ番号F-531L)を使用し、クローニングする目的でHinDIII制限酵素部位を含有する順向プライマー番号844およびBsiWI制限酵素部位を含有する逆向プライマー番号845 (プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して、配列を決定したAP-3V
LおよびAP-3V
L.C34S cDNAをPCRで増幅した。HinDIII+NheIで消化したAP-3V
H PCR断片をpTT-0012V
H-CH1-HPC4のHinDIIIおよびNheI制限酵素部位に挿入し、すなわち0012V
H DNA配列を置き換えて、pTT-AP3V
H-CH1-HPC4と称する発現ベクターが得られた。HinDIII+BsiWIで消化したAP-3V
LおよびAP-3V
L.C34S PCR断片をpTT-0012LC-L4a-hTF.1-219のHinDIIIおよびBsiWI制限酵素部位に挿入し、すなわち0012V
L DNA配列を置き換えて、pTT-AP-3LC-L4a-hTF.1-219およびpTT-AP-3LC.C34S-L4a-hTF.1-219と称する発現ベクターが得られた。
【0282】
(実施例25) pTT-0012HC.T60N-His6、pTT-hIgG4-ヒンジ-CH2-CH3-His6およびpTT-hIgG4-ヒンジ-CH2-CH3-L4a-hTF.1-219の開発。C末端His-6タグを有する0012HC.T60Nをコードする発現ベクターを開発するために、Quickchange lightningキット(GenStar Biosolutions、カタログ番号T113-01)を使用して部位特異的突然変異生成を行った。簡潔に述べると、鋳型であるpTT-0012HC.T60N、順向および逆向プライマー番号1000および1001(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して、部位特異的突然変異生成反応を行った。プライマー番号1000+1001は0012HC.T60N cDNA配列の3’末端とアニールし、His-6タグをコードする配列、その後に終止コドンを含有していた。得られたプラスミドをpTT-0012HC.T60N-His6と称した。
【0283】
hIgG4-ヒンジ-CH2-CH3-L4a-hTF.1-219をコードする発現ベクターを開発するために、Quickchange lightningキット(GenStar Biosolutions、カタログ番号T113-01)を使用し、鋳型であるpTT-0012HC-L4a-hTF.1-219、ならびに順向および逆向プライマー番号1002および1003(プライマー配列は配列番号70〜155に示されている)を使用して部位特異的突然変異生成を行った。プライマー番号1002+1003は0012HCシグナルペプチドの一部およびhIgG4ヒンジ領域の一部とアニールし、pTT-0012HC-L4a-hTF.1-219プラスミド由来の0012V
H-CH1 DNA配列を欠失していた。得られた発現ベクターをpTT-hIgG4-ヒンジ-CH2-CH3-L4a-hTF.1-219と称した。hIgG4-ヒンジ-CH2-CH3-His6をコードする発現ベクターを開発するために、Quichange Lightningキット(Stratagene、カタログ番号200518)を使用し、鋳型であるpTT-hIgG4-ヒンジ-CH2-CH3-L4a-hTF.1-219、ならびに順向および逆向プライマー番号1000および1001を使用して部位特異的突然変異生成を行った。プライマー番号1000+1001はHis-6をコードするDNA配列、その後に終止コドンを含有し、それらはhIgG4 CH3 DNA配列の3’末端とアニールした。得られた発現ベクターをpTT-hIgG4-ヒンジ-CH2-CH3-His6と称した。
【0284】
(実施例26)
HEK293-6E細胞の一過性トランスフェクション。発現プラスミドを細胞に一過性にトランスフェクトすることによって、全てのmAb、Fab、およびhTF.1-219融合タンパク質をHEK293-6E浮遊細胞中で発現させた。得られた特定のタンパク質化合物の根底にある個々のプラスミドの組合せはTable 6(表6)に示されている。1% P/S(GIBCOカタログ番号15140-122)、0.1%プルロニック(GIBCO、カタログ番号24040-032)および25ug/mL Geneticin(GIBCO、カタログ番号10131-019)を補充したFreestyle HEK293培地(GIBCO、カタログ番号12338-018)中でHEK293-6E細胞を増殖させ、製造業者の使用説明書に従って293fectin(Invitrogen、カタログ番号12347-019)を使用しておよそ1mill/mLの細胞密度で細胞をトランスフェクトした。簡潔に述べると、合計1mgのDNAを30mLのOptimem中に希釈し(希釈液A)、1mlの293fectinを30mLのOptimem中に希釈する(GIBCO、カタログ番号51985-026、希釈液B)ことによって、各リットルのHEK293-6E細胞についてトランスフェクションを行った。希釈液AおよびBを混合し、室温で30分間インキュベートした。この後、そのトランスフェクションミックスをHEK293-6E細胞に添加し、軌道回転(125rpm)する加湿インキュベーター中で細胞を37℃でインキュベートした。トランスフェクション後5〜7日目に、遠心分離によって細胞を除去し、得られた細胞培養上清を精製前に滅菌濾過した。2つの発現プラスミドの同時トランスフェクションを使用する全ての一過性トランスフェクション実験で、トランスフェクトする各リットルのHEK293-6E細胞について総DNA量1mgを使用して1:1(ug:ug)のプラスミド比でプラスミドを同時にトランスフェクトした。タンパク質0120および0121(Table 6(表6))の発現では、1:1:1(ug:ug:ug)のプラスミド比でHEK293-6E細胞に3つの発現プラスミドを同時にトランスフェクトした。
【0289】
(実施例27)
pcDNA3.1(+)-hTLT-1 ECD-HPC4 ala突然変異プラスミド。table 7(表7)に従って40種のhTLT-1 ECD-HPC4 Ala突然変異発現構築物を設計した。外部請負業者GENEART AG(Im Gewerbepark B35、93059 Regensburg、Germany)によって発現構築物が開発され、40種の発現構築物は全て、pcDNA3.1(+)と称する発現ベクターを基礎として作製された。各hTLT-1 ECD-HPC4 Ala突然変異タンパク質(Table 7(表7))を一過性に発現させるために、40種のhTLT-1 ECD-HPC4 pcDNA3.1(+)発現構築物それぞれのDNAのアリコートをHEK293-6E浮遊細胞にトランスフェクトした。HEK293-6E細胞の一過性トランスフェクションおよび培養は、実施例Zに記載のように行った。
【0291】
(実施例28)
モノクローナル抗TLT-1抗体の精製および特徴付け。Protein A MabSelect SuRe樹脂(GE Healthcare、カタログ番号17-5438-01)を使用するアフィニティークロマトグラフィー、および26/60 Superdex 200 PrepGradeカラム(GE Healthcare、カタログ番号17-1071-01)を使用するゲル濾過クロマトグラフィーから構成される2ステップのプロセスによって、table 1(表1)に記載の組換えにより発現させた7つのモノクローナル抗TLT-1抗体の精製を行った。AktaExplorerクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare、カタログ番号18-1112-41)を使用して精製を行った。アフィニティー精製ステップに使用した緩衝系は、20mMリン酸Na pH7.2、150mM NaClから構成される平衡化緩衝液、10mMギ酸、pH3.5から構成される溶出緩衝液、および0.5Mリン酸Na pH9.0から構成されるpH調整緩衝液であった。細胞上清を、何も調製せずに、予め平衡化したMabSelect SuReカラムに直接かけた。15カラム容の平衡化緩衝液でカラムを洗浄し、およそ2〜5カラム容の溶出緩衝液中にモノクローナル抗体を均一濃度で溶出させた。溶出後直ちに、記載したpH調整緩衝液を使用して、プールした分画を中性pHに調整した。前記ゲル濾過カラムを使用してタンパク質をさらに精製し緩衝液を交換した。サイズ排除クロマトグラフィーに使用したランニング緩衝液は、25mM His pH6.5、135mM NaClであった。使用した流速は2.5ml/分であり、モノクローナル抗TLT1抗体がおよそ0.4カラム容で単一のピークとして溶出した。前述のSEC-HPLC法(実施例2に記載されている)を使用したピーク全体にわたる分画の分析に基づいて、およそ8.5分で対称的なピークとして溶出する純粋な抗体タンパク質を含有し、初期に溶出する高分子量タンパク質の含量が最小限であるプールを調製した。
【0292】
精製した抗体は前述のSDS-PAGE/Coomassie(実施例2に記載されている)およびSEC-HPLC法を使用して特徴付け、産生した全ての抗体タンパク質調製物が高度に均質であったことが示された。全ての抗体が、SDS-PAGE/Coomassie分析を実行する前に還元条件を使用した際に、予想されたおよそ50kDaの重鎖構成成分およびおよそ25kDaの軽鎖構成成分を示した。Agilent 6210機器の液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量分析法の設定および脱塩カラムMassPREP(Waters、カタログ番号USRM10008656)を使用して、インタクトな分子量の決定を行った。使用した緩衝系は、LC-MSグレードH
2O中0.1%ギ酸から構成される平衡化緩衝液、およびLC-MSグレードACN中0.1%ギ酸から構成される溶出緩衝液であった。全ての抗体が147.2〜148.6kDaのインタクトな分子量を示したが、これは、各抗体のアミノ酸配列の理論的な質量をおよそ2.7〜3.1 kDa上回る。したがって、組換えにより発現させた全ての抗TLT-1抗体は、予想されたHCのN-グリコシル化に対応する翻訳後修飾を示した。6つの抗体について最終的な純度95〜99%が得られた。クローニングし精製した抗TLT-1抗体のN末端配列を検証するために、自動化配列決定システム(Applied Biosystems 494 Protein Sequencer)を使用してEDMAN分解を行った。各抗体について10〜20の分解サイクルを行った。ここで、6つのクローニングした抗TLT-1抗体について予想された軽鎖および重鎖配列が確認された。最終的なタンパク質濃度を測定するために、Nano-Drop分光光度計(Thermo Scientific)を、6つの各抗体に特異的な吸光係数1.34〜1.51と一緒に使用した。
【0293】
(実施例29)
組換えにより発現させたFab-hTF.1-219タンパク質の精製および特徴付け。抗HPC4樹脂(Roche、カタログ番号11815024001)を使用するアフィニティークロマトグラフィーおよび最終的な緩衝液シフトから構成される2ステップのプロセスを使用して、table 6(表6)で概略を示したFab-hTF.1-219融合タンパク質の精製を行った。AktaExplorerクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare、カタログ番号18-1112-41)を使用して精製を行った。精製ステップに使用した緩衝系は、20mM Hepes、pH7.5、1.0mM CaCl2、100 mM NaClおよび0.005(体積)%Tween-80から構成される平衡化緩衝液、20mM Hepes、pH7.5、1.0mM CaCl2、1.0M NaClおよび0.005(体積)%Tween-80から構成される洗浄緩衝液、ならびに20mM Hepes、pH7.5、5.0mM EDTAおよび100mM NaClから構成される溶出緩衝液であった。終濃度1mM CaCl2で細胞上清をpH7.5に調整し、予め平衡化した抗HPC4カラムにかけた。5カラム容の平衡化緩衝液で、5カラム容の洗浄緩衝液で、最後に5カラム容の平衡化緩衝液でカラムを洗浄した。およそ4カラム容の溶出緩衝液中にFab-hTF1-219タンパク質を均一濃度で溶出させた。上述のように(実施例1および28に記載のように)SDS-PAGE/Coomassie、SEC-HPLCおよびMALDI-TOF MS分析を使用してFab-hTF1-219タンパク質を分析し、分子量78〜86kDaの純粋かつ均質なタンパク質が得られたことが示された。Fab-hTF1-219構築物のアミノ酸配列の理論的な質量が73〜77kDaであるため、発現させた全てのタンパク質は翻訳後修飾を含有していた。Slide-A-Lyzer Dialysis Cassette 10kDa MWCO(Pierce、カタログ番号66453)を使用してPBS緩衝液に、もしくは25mM His、135mM NaCl、pH6.5から構成される緩衝液に透析することによって、または適当なカラムに詰めた脱塩樹脂Sephadex G-25(GE、カタログ番号17-0033)を使用することによって、アッセイ分析用にタンパク質を調製した。最終的なタンパク質濃度を測定するために、NanoDrop分光光度計(Thermo Scientific)を、吸光係数1.31〜1.47と一緒に使用した。
【0294】
(実施例30)
組換えにより発現させたmAb-hTF.1-219タンパク質の精製および特徴付け。Protein A MabSelect SuRe樹脂(GE Healthcare、カタログ番号17-5438-01)または抗HPC4樹脂(Roche、カタログ番号11815024001)に基づくアフィニティークロマトグラフィーから構成される2ステップのプロセスによって、table 6(表6)に記載のmAb-hTF.1-219融合タンパク質の精製を行った。hTF.1-219が重鎖とC末端で融合したmAb-hTF.1-219構築物の精製には抗HPC4樹脂を使用した。これらは、化合物0197-0000-0013、0197-0000-0018、0197-0000-0086、0197-0000-0087、0197-0000-0088、0197-0000-0089、0197-0000-0090、0197-0000-0091、0197-0000-0092、0197-0000-0093、0197-0000-0034、0197-0000-0056、0197-0000-0060、0197-0000-0096、および0197-0000-0116を含んでいた。残っているtable 6(表6)に記載のmAb-hTF.1-219融合タンパク質は、Protein A MabSelect SuRe樹脂を使用して精製した。最終仕上げの精製としてゲル濾過クロマトグラフィー法を使用した。ここで、26/60 Superdex 200 PrepGradeカラム(GE Healthcare、カタログ番号17-1071-01)を使用した。全ての精製は、AktaExplorerクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare、カタログ番号18-1112-41)を使用して行い、本質的に前述のクロマトグラフィーの手順に基づいていた。mAb-hTF.1-219タンパク質がおよそ0.4カラム容で単一のピークとして溶出した。前述のSEC-HPLC分析法を使用したピーク全体にわたる分画の分析に基づいて、およそ9分で対称的なピークとして溶出する純粋なタンパク質を含有し、初期に溶出する高分子量タンパク質の含量が最小限であるプールを調製した。
【0295】
精製したmAb-hTF.1-219タンパク質は前述のSDS-PAGE/CoomassieおよびSEC-HPLC法(実施例2に記載されている)を使用して特徴付け、全てのmAb-hTF.1-219タンパク質が高度に均質であり、すなわち非産物関連不純物が90%を上回ったことが示された。前述のMALDI-TOF MS法(実施例28に記載されている)を使用して、インタクトな分子量の決定を行った。全てのmAb-hTF.1-219タンパク質が200〜206kDaのインタクトな分子量を示したが、これは、各抗体のアミノ酸配列の理論的な質量をおよそ8〜12kDa上回る。したがって、全てのmAb-hTF.1-219タンパク質は翻訳後修飾を示した。最終的なタンパク質濃度を測定するために、Nano-Drop分光光度計(Thermo Scientific)を、6つの各抗体に特異的な吸光係数1.34〜1.51と一緒に使用した。
【0296】
(実施例31)
0120と称するヘテロダイマータンパク質の精製および特徴付け。1)Ni-NTA樹脂(QIAGEN、カタログ番号30430)を使用するHis-アフィニティークロマトグラフィー、2)HiPrep 26/10脱塩カラム(GE Healthcare、カタログ番号17-5087-01)を使用する緩衝液交換、3)Q Sepharose_HP(GE Healthcare、カタログ番号17-1014-03)を使用する陰イオン交換クロマトグラフィー、および4)HiLoad 16/60 Superdex 200(GE Healthcare、カタログ番号17-1069-01)を使用するサイズ排除クロマトグラフィーから構成される4ステップのプロセスとして、table 6(表6)中で番号0120と称するヘテロダイマータンパク質の精製を行った。AktaExplorerクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare、カタログ番号18-1112-41)を使用して精製を行った。第1の精製ステップに使用した緩衝系は、50mM Tris、pH7.5、300mM NaCl、10mMイミダゾールから構成される平衡化緩衝液、および50mM Tris、pH7.5、300mM NaCl、500mMイミダゾールから構成される溶出緩衝液であった。終濃度10mMイミダゾールで細胞上清をpH7.5に調整し、予め平衡化したNi-NTAカラムにかけた。4カラム容の2%溶出緩衝液でカラムを洗浄した。およそ4カラム容の60%溶出緩衝液中にタンパク質を均一濃度で溶出させた。UV280モニタリングに基づく主要なピークを収集しプールした。第2のステップでは、脱塩カラムを使用して50mM Tris、pH7.5緩衝液にシフトすることにより、陰イオン交換クロマトグラフ用にタンパク質を調製した。第3の精製ステップに使用した緩衝系は、50mM Tris、pH7.5から構成される平衡化緩衝液、および50mM Tris、pH7.5、1M NaClから構成される溶出緩衝液であった。第2のステップのプールを、予め平衡化したQ Sepharose HPカラムに直接かけ、2カラム容の平衡化緩衝液で洗浄し、10カラム容にわたる0〜100%溶出緩衝液の勾配、その後3カラム容の100%溶出緩衝液中に溶出させた。主要なピークを収集しプールした。第4のステップで使用した緩衝液はPBSであった。ステップ3のタンパク質のプールをHiLoad 16/60 Superdex 200カラムに直接かけた。主要なピークを収集し-80℃で貯蔵した。SDS-PAGE/Coomassie 8〜15%分析、SEC-HPLCおよびLC-MSから、純粋なタンパク質が得られたことが示された。1つの濃いタンパク質バンドがSDS-PAGE/Coomassie分析から観察され、これは前記ヘテロダイマータンパク質複合体に対応していた。タンパク質を還元すると、タンパク質複合体のバンドが完全に消失し、一方タンパク質複合体の3つのサブユニットを示す3つのバンドが出現した。Waters LC 2795/2996システムのSEC-HPLC法の設定に基づき、BIOSep-SEC-S3000 300×7.8mmカラム(Phenomenex、カタログ番号00H-2146-K0)およびPBSから構成されるランニング緩衝液を使用して、最終的なタンパク質の完全性を分析した。保持時間およそ8.2分、流速1ml/分で、単一の対称的なピークとしてタンパク質が溶出した。最終的なタンパク質濃度を測定するために、NanoDrop分光光度計(Thermo Scientific)を、吸光係数1.34と一緒に使用した。各サブユニットの分子量はLC-MSによって決定した。LCサブユニットの質量デコンボリューション(mass deconvolution)は、予想された値と等しい質量を示した。HC-Hisサブユニットの質量デコンボリューションは、G0F、G1FおよびG2F N-グリカンで予想された値と等しい質量を示した。組織因子の重いグリコシル化により、Fc-sTFの質量スペクトルシグナルは低すぎてデコンボリューションできなかった。
【0297】
(実施例32)
0121と称するヘテロダイマータンパク質の精製および特徴付け。番号121と称するヘテロダイマータンパク質の精製は、本質的に、ヘテロダイマー番号120について記載されたものと同じであった。ここで、3カラム容の平衡化緩衝液中でタンパク質を洗浄し、8カラム容にわたる0〜40%溶出緩衝液の勾配、その後3カラム容の100%溶出緩衝液中に溶出させた。この勾配溶出により、確実にFc-Hisホモダイマーとヘテロダイマーが完全に分離されるようにした。SDS-PAGE/Coomassie 8〜15%、SEC-HPLCおよびLC-MSから、純粋なタンパク質が得られたことが示された。1つの濃いタンパク質バンドがSDS-PAGE/Coomassieで観察され、これは前記ヘテロダイマータンパク質複合体に対応していた。タンパク質を還元すると、タンパク質複合体のバンドが完全に消失し、一方タンパク質複合体の3つのサブユニットを示す3つのバンドが出現した。Waters LC 2795/2996システムのSEC-HPLC法の設定に基づき、BIOSep-SEC-S3000 300×7.8mmカラム(Phenomenex、カタログ番号00H-2146-K0)およびPBSから構成されるランニング緩衝液を使用して、最終的なタンパク質の完全性を分析した。保持時間およそ8.2分、流速1ml/分で、単一の対称的なピークとしてタンパク質が溶出した。最終的なタンパク質濃度を測定するために、NanoDrop分光光度計(Thermo Scientific)を、吸光係数1.34と一緒に使用した。各サブユニットの分子量はLC-MSによって決定した。FC-Hisサブユニットの質量デコンボリューションは、G0F、G1FおよびG2F N-グリカンで予想された値と等しい質量を示した。HCサブユニットの質量デコンボリューションは、観察された質量がG0F、G1FおよびG2F N-グリカンに対応していたが、C末端のLys切断にも対応していたことを示した。組織因子の重いグリコシル化により、LC-sTFの質量スペクトルシグナルは低すぎてデコンボリューションできなかった。
【0298】
(実施例33)
TF融合タンパク質とFVIIaの結合。アミド分解アッセイを使用して、FVIIaの活性を刺激する能力によりTF融合タンパク質とFVIIaの結合を試験した。その効果を、hTF.1-219と同一である可溶性TF(sTF)によって誘導される刺激と比較した。TFとFVIIaが結合すると、FVIIaの触媒活性が著明に増大する;好都合なことに、発色基質S2288(Ile-Pro-Arg-pNA)を用いたFVIIaのアミド分解活性を使用してsTFおよびTF構築物の結合を測定した。hTF.1-219とFVIIaの結合は、FVIIaの触媒活性を増大させる。FVII/FVIIaが活性化血小板の表面に位置するようにTF融合タンパク質を設計した。したがって、タンパク質とTFの融合は、FVIIaとその結合に著しい影響を及ぼさないはずであり、非融合TF(hTF.1-219)で得られたものと同一の、最適な条件下でTF融合タンパク質によって誘導されるFVIIa活性の濃度依存的な刺激が予想される。
図7では、50nM FVIIa、50mM Hepes、0.1M NaCl、5mM CaCl
2、1mg/ml BSA pH 7.4および様々な濃度(0〜100nM)のsTF(白抜きの四角)またはFab-TF融合タンパク質(白抜きの記号)またはmAb-TF融合タンパク質(黒の記号)を用いたアッセイでTF融合タンパク質を試験した。1mMの発色基質S2288を用いてFVIIaアミド分解活性を測定した。室温における405nmでの吸光度の増大によりFVIIaの活性を測定し、1mM S2288の添加により反応を開始した。Fab-hTF.1-219融合タンパク質は、hTF.1-219によって誘導されるものと区別できない濃度依存的な形でFVIIaアミド分解活性を刺激し、このことは、これらの構築物が、1:1の化学量論で、hTF.1-219と類似する親和性でFVIIaと結合することを示している。同様に、mAb-hTF.1-219融合タンパク質は、hTF.1-219と同一の濃度依存的な形でFVIIaの活性を刺激する。しかし、この場合化学量論は、これらの構築物が、mAb-TF融合タンパク質上の両方のTF部分に自由に到達することで予想されるように、1つのmAb当たり2つのFVIIaと結合することを示す。
【0299】
(実施例34)
mAb結合およびTLT-1との結合についての様々なmABの競合。
材料:
【0301】
方法:
対象とするmAbを、CM5チップに直接、またはCM5チップに固定化されたヒトFc捕捉mAbを介した捕捉により固定化した。使用した試薬はtable 8(表8)に示されている。
【0302】
直接捕捉:供給業者によって推奨される標準的な手順を使用して、TLT-1 mAbをおよそ500〜1000RUのレベルまでCM5チップ上に固定化した(酢酸Na、pH 4.0で希釈した50μg/ml)。mABとの結合について200nM〜0.2nMのTLT1の2倍希釈物を試験した。ランニングおよび希釈緩衝液:10mM HEPES、150mM、0.005% p20、pH 7.4。10mMグリシン、pH 1.7によって再生を行った。
【0303】
ヒトFc mAbを介した捕捉:およそ10.000RUまでヒトFc mAbを固定化した。対象とするmAbを添加した(およそ100 nM)。200nM〜0.2nMのTLT1の2倍希釈物を試験した。ランニングおよび希釈緩衝液:10mM HEPES、150mM、0.005% p20、pH 7.4。3M MgCl
2によって再生を行った。
【0304】
Biacore T100評価ソフトウェアを使用して、TLT1およびフィブリノーゲンの1:1の相互作用を想定して動態および結合定数(k
on、k
off、K
D)の決定を行った。
【0305】
競合:固定化されたmAb0012(または代替のmAb)と結合した際の様々なTLT1 mAbとTLT1の結合を分析する、Biacore T-100における表面プラスモン共鳴によって競合的結合相互作用分析を行った。5000〜10000RUのレベルまでのmAbのCM5チップへの直接固定化が、10mM酢酸ナトリウム、pH4.5〜5.0中で実現された。この後に50nM TLT1の結合が続き、解離の2分後に競合について試験する他の3つのmAbの結合が続いた。ランニングおよび希釈緩衝液:10mM HEPES、150mM、0.005% p20、pH 7.4。10mMグリシン、pH 1.7によって再生を行った。
【0309】
結論:
mAb 0061、0023、0051および0062の結合定数をBiacore分析によって概算した(table 9(表9)を参照)。
mAb 0061およびmAB 0051は、結合について他のmAbのいずれとも競合しない(table 10(表10)を参照)。mAb 0023およびmAb 0062は互いに競合する(table 10(表10)を参照)。
【0310】
(実施例35)
FACS分析による活性化血小板との結合。以下に記載するように、FACS分析による活性化血小板との結合は、TLT-1をトランスフェクトした細胞と特異的に活性化した血小板の両方と結合することを示した。
【0311】
滴定で5μl/ml〜0,001μl/mlの終濃度が得られる50μlの希釈した2F105FabHC-TF (0011 Fab hTF.1-219)融合タンパク質またはアイソタイプ対照2F105Fab(0010 Fab)と一緒に96ウェルプレート中に血小板調製物(休止対活性化血小板)を添加することにより、フローサイトメトリーを使用して血小板上における2F105FabHC-TF融合タンパク質での染色を行った。次いで細胞調製物を摂氏4度で1時間インキュベートした。インキュベーションおよび洗浄(5%ウシ胎児血清を入れたPBS緩衝液、200gで5分間遠心分離)後、二次RPE標識抗ヒトL+H鎖特異的抗体(PBS緩衝液で1:100に希釈)またはHPC4特異的抗体(2F105Fab HC-TF上のタグに特異的)を添加し、摂氏4度でさらに1時間インキュベートした。最後に、細胞を洗浄し、1% w/vパラホルムアルデヒドにより固定し、36時間以内にフローサイトメーターで分析した。
【0312】
標準的な多血小板血漿(PRP)を作製することによって血小板調製物を産生した。手短に述べると、抗凝固処理した全血を、ブレーキをかけずに遠心分離した(200gで15分間)。血小板を含有する上方の層(多血小板血漿)を採取し、プロスタグランジン(終濃度5μl/ml)を添加して血小板の活性化を阻止した。血小板を洗浄し、上記に記載の染色に使用した。活性化血小板の産生では、(62.5μg/ml Par 1およびコンブルキシン100ng/ml)を使用して二重アゴニスト活性化を10分間行った。1ウェル当たり50〜100.000の細胞を使用した。
【0313】
図8は、2つの染色手順を用いて、アイソタイプFabと2F105FabHC-TF(0011 Fab hTF.1-219)融合タンパク質の両方が、特異的にかつ高い親和性で休止血小板ではなく活性化血小板と結合することを示す。
【0314】
(実施例36)
TF融合タンパク質とTLT-1受容体の結合による活性化前の血小板の表面へのFVIIa/TF複合体の局在化によるFVIIa媒介FX活性化の亢進。TF融合タンパク質が活性化血小板上でFVIIa媒介活性化を特異的に刺激する能力は、
図9Aにおいて2ステップのアッセイで試験した。TF融合タンパク質がFVIIからFVIIaへの活性化も媒介する能力は、
図9Bにおいて試験した。この目的で、Biopal(REF 50710、ロットR088001)の凍結乾燥(活性化)血小板を使用した。終濃度が血小板数67.000/μlの血小板の不在下または存在下で、2ステップのアッセイでFX活性化を測定した。50mM Hepes、0.1M NaCl、5mM CaCl
2、1mg/ml BSA pH 7.4中で100pM rFVIIa(LASa 15860-008)を175nM FX(Enzyme Research、ヒト第X因子、HFX 3170 PAL)と室温で混合した。アリコートを各ウェルから除去して10分後にFX活性化を停止し、等体積の氷冷停止緩衝液(50mM Hepes、0.1M NaCl、20mM EDTA、1mg/ml BSA pH 7.5)を添加した。次いで、50μlの混合物をマイクロタイタープレートのウェルに移し、25μlのChromozyme X(最終0.42mg/ml)をウェルに添加することにより、発色アッセイにおいて試料中で生じたFXaの量を決定した。マイクロプレートリーダー(Molecular Devices)で、405nmでの吸光度を連続的に測定した。
図9Aは、血小板の不在下または存在下でのFVIIa媒介FX活性化に対するi)0.03nM Innovin(登録商標)、ii)10nM hTF.1-219、iii)10nM 0011 Fab-hTF.1-219、iv)10nM 0010 Fab抗体またはv)10nM 0012 mAb抗体の効果を示す。
図9Bは、アッセイ中のrFVIIaを酵素前駆体のrFVIIと置き換えた効果を示す。
【0315】
対照実験で、FVIIaを添加する前にヤギポリクローナル抗ヒトTF抗体(0.5mg/ml)とともに15分間予めインキュベートすることによりFX活性化の遮断(>95%)が得られた。
【0316】
図9Aのデータは、TFとTLT-1に対する抗体のFab断片との融合が、活性化血小板の存在下でのみ、FVIIaにより触媒されるFXの活性化を刺激する構築物をもたらすことを示す。血小板の存在下での0011TF融合タンパク質によるFX活性化の刺激は、hTF.1-219による刺激より著明に強かった。活性化血小板に対する特異性は、活性化血小板の不在下でもFVIIa媒介FX活性化を刺激する脂質付加TF(Innovin(登録商標))では得られないTF融合タンパク質の好ましい特性である。
【0317】
図9Bは、アッセイ中のrFVIIaを酵素前駆体のrFVIIと置き換えた効果を示す。Innovin(登録商標)はFVIIa媒介FX活性化を刺激し(
図9A)、また
図9Bのデータによって示されるように、Innovin (登録商標)はFVIIの効率のよいフィードバック活性化を刺激できることがよく知られている。この反応は、血小板の存在と本質的に無関係である。TF構築物の0011 Fab-hTF.1-219も同様にFXのFVIIa媒介活性化を刺激し、FVIIの血小板依存的なフィードバック活性化を媒介することができる(
図9B)が、hTF.1-219より顕著に血小板依存的な形でかつ著明に強い。0010 Fab抗体または0012 mAb抗体それ自体でのFX活性化の著しい刺激は観察されなかった。
【0318】
(実施例37)
TLT-1受容体との結合による活性化血小板の表面へのFVIIa/TF複合体の局在化によるFVIIa媒介FX活性化の亢進。
図10Aにおいて、様々な濃度の休止または活性化血小板の存在下で、0011 hTF.1-219融合タンパク質およびhTF.1-219を2ステップのアッセイで(実施例36を参照)試験した。(休止血小板ではなく)活性化血小板は、その表面上にTLT-1受容体を露出した。TLT-1受容体に対するTF融合タンパク質の標的化の結果、活性化血小板のリン脂質表面上でのFX活性化の刺激に好ましい位置にTF/FVIIa複合体が集合すると考えられる。
図10Bは、0011 hTF.1-219融合タンパク質を、TLT-1抗体をアネキシンV(AV)に置き換えた、0.1nMのAV-hTF.1-219融合タンパク質に置き換えた際の結果を示す。
【0319】
200×gで10分間遠心分離した、クエン酸塩で安定化した全血から、新鮮に精製し洗浄した休止血小板を調製した。多血小板血漿を15ml管に移し、1/10体積の2.5%クエン酸三ナトリウム、1.5%クエン酸、2% D-グルコースを補充した。500×g/15分、ブレーキ5での遠心分離。上清を捨て、血小板ペレットを10mlのHepes/タイロード緩衝液(100mM Hepes、137mM NaCl、2.7mM KCl、1.7mM MgCl
2、5.0mM D-グルコース、0.4mM NaH
2PO
4 pH=6,5)プラス5μlの10mg/mlプロスタグランジンE1中に溶解した。血小板をプラスチックピペットで注意深く懸濁し、500×gで15分間、ブレーキ5で遠心分離した。上清を捨て、ペレットを10mlのHepes/タイロード緩衝液プラス5μlの10mg/mlプロスタグランジンE1中に再溶解した。血小板数はMedonicによって決定された。使用前に室温で30分以上血小板を休止させた。5nMトロンビンおよび100ng/mlコンブルキシンでの処理によって血小板の活性化が得られた。
【0320】
様々な濃度(血小板数0〜100,000/μl)の休止または活性化血小板の存在下で、50mM Hepes、0.1M NaCl、5mM CaCl
2、1mg/ml BSA pH 7.4中で100pM rFVIIaを10nM hTF.1-219または10nM 0011 Fab-hTF.1-219融合タンパク質または0.1nMのAV-hTF.1-219融合タンパク質および175nM FX(Enzyme Research、ヒト第X因子、HFX 3170 PAL)と室温で混合した。アリコートを各ウェルから除去して10分後にFX活性化を停止し、等体積の氷冷停止緩衝液(50mM Hepes、0.1M NaCl、20mM EDTA、1mg/ml BSA pH 7.5)に添加した。次いで、50μlの混合物をマイクロタイタープレートのウェルに移し、25μlのChromozyme X(最終0.42mg/ml)をウェルに添加することにより、発色アッセイにおいて試料中で生じたFXaの量を決定した。マイクロプレートリーダー(Molecular Devices)で、405nmでの吸光度を連続的に測定した。
【0321】
図10Aのデータは、0011 Fab-hTF.1-219融合タンパク質とTLT-1受容体の結合が休止血小板ではなく活性化血小板上でFVIIa媒介FX活性化を特異的に刺激することを説明するものである。刺激は血小板数とともに増大し、活性化血小板数約12,000 /μlのEC
50で飽和可能である。例えば、hTF.1-219とTLT-1結合Fab断片との融合によって得られる、血小板表面に対する標的化の結果、FX活性化は著明に刺激されるが、非融合hTF.1-219では少しの刺激しか得られない。
【0322】
図10Bは、10nM 0011 Fab-hTF.1-219融合タンパク質を0.1nMのAV-hTF.1-219融合タンパク質に置き換えた際に得られた結果を示す。AV-hTF.1-219融合タンパク質は、血小板上でのFXのFVIIa媒介活性化の、0011 Fab-hTF.1-219より効率のよい刺激物質である。しかし、AV-hTF.1-219融合タンパク質は、0011 Fab-hTF.1-219より活性化血小板に対する特異性が低いことが示され、休止血小板でAV-hTF.1-219融合タンパク質によってかなりの刺激が誘導される。多い血小板数では、休止血小板での刺激は、同等の数の活性化血小板で得られるものも上回る。
【0323】
(実施例38)
活性化血小板上でのFX活性化の刺激に対するFVII/FVIIaおよびTF標的化構築物の濃度の効果。血友病患者において仮定される凝固促進効果を有するTLT-1標的化TF融合タンパク質は、生理的な条件で優勢な条件下で機能し、血中でFVII/FVIIa組成物を利用することができるはずである。実施例36に記載のアッセイを用いて、様々な濃度のFVII/FVIIa(
図11)および様々な濃度のTF融合タンパク質(
図12)で、活性化血小板上でのFXのFVIIa媒介活性化に対するTF融合タンパク質の刺激効果を調べることが可能であった。図に示されているように、添加したrFVIIaまたはrFVIIの存在下で刺激が得られた。
【0324】
図11の結果は、固定した濃度のTF融合タンパク質でのFX活性化がFVII/FVIIaに依存し、生理的に適切な範囲で最大の刺激となる濃度依存的な形で刺激されることを示す(FVII約10nM)。その結果から、TF融合タンパク質で得られた著明な刺激が血小板の活性化を必要とし、FVIIならびにFVIIaが刺激を誘導することも確認される。さらに、その結果は、TFが同等の非標的化Fab断片と融合した際ではなくhTF.1-219と抗TLT-1 Fab断片の融合で著明な刺激が得られたことを示すことにより、標的化の必要性を実証する。
【0325】
固定した濃度のFVII/FVIIa(10nM)で、
図12は、その濃度に応じた、0070 Fab-hTF,1-219融合タンパク質で得られた刺激を調べている。さらに、
図12は、この効果を、様々な濃度のhTF.1-219または対照0094アイソタイプFab-hTF.1-219融合タンパク質によって誘導された刺激と比較している。そのデータは、0070 Fab hTF.1-219融合タンパク質の広い濃度範囲にわたって著明な刺激が得られたことを実証し、非標的化hTF.1-219および対照0094アイソタイプFab-hTF.1-219融合タンパク質に対する標的化TF融合タンパク質の優位性をさらに実証する。0070 Fab hTF.1-219融合タンパク質は、大きな濃度間隔にわたって凝固促進刺激を誘導し、高濃度で抗凝固性でなかった。これは、高濃度で抗凝固性であることが観察されたAV-TF融合タンパク質と対称的であった(Huang Xら、2006年、Blood 107巻、980〜986頁)。
【0326】
(実施例39)
20:80のPS:PC小胞の調製ならびにTLT-1のクローニング、発現、リフォールディングおよび再脂質付加。TFの代わりにTLT-1を使用した以外はSmithおよびMorrissey(2005年)、J. Thromb. Haemost.、2巻、1155〜1162頁に記載のように、界面活性剤としてTriton X-100を使用して20:80のPS:PC小胞中の再脂質付加TLT-1を調製した。
【0327】
材料
Sub. Lab. BaのLB培地。カナマイシン(50mg/ml)。カナマイシンSigma K-0254
1000mM IPTG(IPTG Sigma 1-6758)
溶解緩衝液:50mM Tris-HCl、100mM NaCl、2mM EDTA、pH8.0中のBugbuster(Novagen)。0.5mg/mlリゾチーム+DNAseIを添加。1×完全インヒビターカクテル(Roche)を添加
IB洗浄緩衝液1:IB緩衝液中の1:10 bugbuster。50μg/mlリゾチーム+0.5×完全インヒビターカクテル(Roche)を添加IB洗浄緩衝液2:IB緩衝液中の1:10 Bugbuster
IB緩衝液:50mM Tris-HCl、100mM NaCl、2mM EDTA、pH8.0
GndHCl緩衝液:6MグアニジウムHCl、50mM Tris-HCl、50mM NaCl、0.1%Triton X-100 red.、pH8.0
リフォールディング緩衝液:50mM Tris-HCl、800mMアルギニン、0.1%Triton X-100 red.、5mM還元型グルタチオン、0.5mM酸化型グルタチオン、pH8.5
透析緩衝液:20mM Tris-HCl、0.1%Triton X-100 Red.、pH8.0
DTT:還元型グルタチオン(Sigma G4251)、酸化型グルタチオンSigma G4376
PC:クロロホルム中の10mg/ml L-α-ホスファチジルコリン(卵、ニワトリ)(Avanti Polar Lipids Inc.)カタログ番号840051C。Mw 760.09
PS:クロロホルム中の10mg/ml L-α-ホスファチジルセリンナトリウム塩(脳、ブタ)(Avanti Polar Lipids Inc.)カタログ番号840032C。Mw 812.05
Triton X-100:10%Triton X-100、水素化、タンパク質グレード界面活性剤、滅菌濾過。Calbiochemカタログ番号648464、濃度159mM(Mw 628)
HBS緩衝液:50mM HEPES、100mM NaCl、pH7.4
Bio-Beads:Bio-Beads SM2 Adsorbent、20〜50メッシュ、BioRad Laboratoriesカタログ番号152-3920。
【0328】
方法
発現:プライマー1004(配列番号183)および1005(配列番号184)ならびに鋳型であるpTT-hTLT-1を使用して、細胞外ドメイン、リンカーおよび膜貫通ドメインを含むTLT-1(TLT-1 18-188;配列番号182)をpET24aにクローニングした。DNA調製の標準的な技術を使用した。
【0329】
BL21(DE3)への形質転換を行った。終夜培養:250mlフラスコ(プラスチック)中の1×50ml LB培地および50μlの50mg/mlカナマイシン+BL21プレートの1つのコロニー(形質転換)を混合した。37℃、220rpmで、培養物をONでインキュベートした。
【0330】
開始培養:300μlの50mg/ml Kanを入れた2Lフラスコ(プラスチック)中に2×500 ml LB培地を添加した。BL21(DE3)中TLT-1 lip/pET24aの10ml ON培養物を添加しOD
600を追跡した。37℃、220rpmでインキュベートした。
【0331】
誘導:LB中のTLT-1 lip/pET24a〜BL21(DE3)が2×500 mlある。25℃〜で、OD
600が0.6〜0.8に達した際に、細胞培養物に0.2mM IPTGを添加した(1Mを100μl)。25℃、220rpmでこれを3時間インキュベートした。3時間後に培養物を採取し、4600rpmで30分間遠心分離した。上清を捨てた。ペレットを-20℃で貯蔵した。
【0332】
封入体の溶解:ペレット1g当たり5mlの溶解緩衝液でE.coliペレットを再懸濁した。MgSO4を5mMになるまで添加してDNAseI活性を支援した。振盪プラットホーム上で細胞懸濁液を室温で20分間インキュベートした。4℃で20分間20000g(8500rpm)で遠心分離することにより溶解液を清澄にした。100mlのIB洗浄緩衝液でペレットを再懸濁した。穏やかにボルテックスをかけることにより懸濁液を混合し、RTで5分間インキュベートした。懸濁液を4℃で20分間20000gで遠心分離して、封入体を収集した。100mlのIB洗浄緩衝液2で封入体を再懸濁した。試料を4℃で20分間20000gで遠心分離して、封入体を収集した。100mlの水でペレットを再懸濁し、4℃で20分間20000gで遠心分離して、封入体を収集した。
【0333】
リフォールディング:xmlのGdnHCl緩衝液(20ml)でペレットを再可溶化した。TLT-1の終濃度(A280を測定した)は1〜2mg/mlであった。DTT(400μl)を終濃度20mMになるまで添加した。RTで約1〜2.5時間(1.5時間)磁気撹拌することによって完全な可溶化を確実なものとした。20000gで20分間遠心分離することにより不溶性物質を除去した。蠕動ポンプをゆっくりと(終夜)使用して、GdnHCl/タンパク質溶液(20ml)を4℃の>20×リフォールディング緩衝液(400ml)に移した。リフォールディング緩衝液を速く撹拌して迅速な希釈を確実なものとした。流速1×、速度2.5、4℃でポンプ運転を行い、4℃で終夜放置した。50ml管中で30分間20000g(8500rpm)で遠心分離することにより、沈殿したタンパク質を除去した。4.5バールでAmico-フィルター直径76mm、10.000 MWCO中にTLT1 lipを400mlから120mlに濃縮した。試料中のGdnHClのため、EtOH沈殿によりSDS-Pageでタンパク質を確認した。10.000 MWCOを用いて0.5ml管中に2×500μlおよび2×25μlを濃縮した。50μlの試料+9容の氷冷99%EtOH(450μl)を混合し、-20℃で10分間置いた。試料を全速力の13.000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨てた。450μlの氷冷96%EtOH+50μlのMQでペレットを洗浄した。再度遠心分離した。乾燥させた(SDS-PAGEの前にEtOHが完全に除去されなければならない)。100μlは再懸濁1×試料緩衝液であった。
【0334】
PS:PCの調製および再脂質付加:TLT-1の再脂質付加について、Smith SAおよびMorrissey JH(2004年)「Rapid and efficient incorporation of tissue factor into liposomes」、J. Thromb. Haemost. 2巻:1155〜1162頁に記載の正確なプロトコールに従った。
【0335】
(実施例40)
TLT-1濃縮リン脂質小胞に基づくFX活性化スクリーニングアッセイの確立。実施例37に記載の新鮮に精製した血小板の使用は、原理の証明をするのによく合っている。しかし、個々のドナー由来の活性化血小板を用いて、大量の一連のTLT-1標的化TF融合タンパク質をスクリーニングし順位付けることは最適でない。各血小板調製物は、限られた数の試験しか行えず、ドナー間の変動にもさらされる。活性化精製血小板の代わりにTLT-1濃縮リン脂質小胞を使用して代替のFX活性化スクリーニングアッセイを確立する。小胞の表面は、活性化血小板のリン脂質の組成を模倣するように構成される。
【0336】
TLT-1標的化TF融合タンパク質による刺激を測定するFX活性アッセイの実現可能性を
図13に示すように試験し、それは構築物のスクリーニングに使用する条件の基礎をもたらした。1:2,000希釈のTLT-1濃縮リン脂質小胞調製物の存在下で、50mM Hepes、0.1M NaCl、5mM CaCl
2、1mg/ml BSA pH 7.4中で100pM rFVIIa/rFVIIを様々な濃度(0〜200nM)のhTF.1-219または0070 Fab-hTF,1-219融合タンパク質または対照0094アイソタイプFab-hTF.1-219融合タンパク質および175nM FX(Enzyme Research、ヒト第X因子、HFX 3170 PAL)と室温で混合した。アリコートを各ウェルから除去して10分後にFX活性化を停止し、等体積の氷冷停止緩衝液(50mM Hepes、0.1M NaCl、20mM EDTA、1mg/ml BSA pH 7.5)を添加した。次いで、50μlの混合物をマイクロタイタープレートのウェルに移し、25μlのChromozyme X(最終0.42mg/ml)をウェルに添加することにより、発色アッセイにおいて試料中で生じたFXaの量を決定した。マイクロプレートリーダー(Molecular Devices)で、405nmでの吸光度を連続的に測定した。
【0337】
図13のデータは、活性化血小板で得られたパターンの本質的な模倣を示し、高濃度のFVII/FVIIaにおけるmAb hTF.1-219融合タンパク質でのTLT-1非特異的FX活性化を観察しただけであった(データは示さず)。したがって、0.1nMのFVII/FVIIaと10nM Fab TF.1-219融合タンパク質および0.1nM FVII/FVIIaと1.0nM mAb TF.1-219融合タンパク質をスクリーニングアッセイで適用した。
【0338】
(実施例41)
抗TLT-1-mAbまたはその分画との融合に最適な条件を決定するためのTF融合タンパク質のスクリーニングは、薬物候補の選択に有用である。TLT-1濃縮リン脂質小胞を用いたアッセイは、大量の一連のTF融合タンパク質の包括的なスクリーニングを可能にした。実施例41で適用したFX活性化法で得られたデータとの比較により、このスクリーニングによって得られたデータの傾向も試験した。活性化血小板の各調製物を用いて得られた刺激を、100%に設定した、0020 Fab-hTF.1-219融合タンパク質を用いて得られた刺激と比較した。同じ相対スケールを、TLT-1濃縮リン脂質小胞を用いたアッセイに使用した。そのようなスクリーニングの結果を
図27A(mAB融合タンパク質)および27B(Fab融合タンパク質)で比較する。
【0339】
そのデータは、活性化血小板上に露出したタンパク質を標的とするFVII/FVIIa媒介活性化の刺激が、様々なhTF.1-219融合タンパク質を用いて得られたことを示す。
【0340】
TF標的化を媒介する、TLT-1上の4つの異なるエピトープの相対的効力を、異なるmAbまたはFab断片が同一のリンカー-hTF.1-219部分と融合したTF融合タンパク質を用いて試験した。mAb/Fab 0012、0023、0051および0052融合タンパク質の比較は、凝固促進能の以下の順位付け:0012>0051> 0052=0023を示す。
【0341】
さらに、
図27A/Bは、TLT-1エピトープについての親和性をインタクトのまま保持しつつ完全なmAbまたはこのmAbの様々な部分もしくは組成物と融合したTFの凝固促進能の順位付けを可能にする。mAbまたはFab断片と融合した同一のリンカー-hTF,1-219構築物の比較は、Fab-リンカー-hTF.1-219融合タンパク質がmAb-リンカー-hTF.1-219融合タンパク質より優れていることを示す。同様に、Fab-hTF.1-219融合タンパク質はまた、hTF.1-219とmAbの2つのHCのうち1つまたは2つのLCのうち1つのC末端との融合によってhTF.1-219融合タンパク質が得られるヘテロダイマーより優れている。
【0342】
hTF.1-219と抗体重鎖または軽鎖のN末端またはC末端との融合も、その他の点では同等のTF融合タンパク質の比較によって試験した。そのデータは、C末端融合がN末端融合より優れていることを示唆する。
【0343】
TFとmAb/Fab断片の間のリンカーだけが変化した同等のTF融合タンパク質の比較も、薬物候補選択に有用なリンカーの順位付けをもたらす。
【0344】
TF融合タンパク質を用いてTLT-1以外の血小板受容体を標的として、活性化血小板上でのFXのFVII/FVIIa媒介活性化を得ることもできる。これは、TFとAP3 Fab断片の融合によって産生されたTF融合タンパク質0128および0129を用いて示された。AP3-Fabは、活性化血小板と休止血小板のどちらの表面上にも存在するGPIIbIIIa受容体に対するものであった(Phillips, D. R.およびAgin, P. P.(1977年) J. Biol. Chem. 252巻、2121〜226頁)。0128 Fab-hTF.1-219および0129 Fab-hTF.1-219 TF融合タンパク質は活性化血小板上での応答を強く刺激した。しかし、比較において、休止血小板での、TLT-1標的化TF融合タンパク質0020 Fab-hTF.1-219によって誘導される応答が活性化血小板での応答の8%である条件下で、休止血小板での応答は、活性化血小板での応答の約20%であった。TF融合タンパク質を用いて得られた刺激パターンは、3つの主要なファクター:i)休止および活性化血小板上での血小板受容体の密度および相対的な表面露出、ii)酸性リン脂質の表面露出、ならびにiii)洗浄した休止血小板の調製の間における最小限の自発的血小板活性化の結果であることが考えられる。休止血小板の表面上でのGPIIbIIIa受容体の存在から、休止血小板上でのAP3 TF融合タンパク質の比較的高い活性を説明することができる。GPIIbIIIaのような止血に非常に重要な血小板受容体に対する抗体に基づく融合タンパク質は、高濃度でアンタゴニスト特性を有し抗凝固物質として働く可能性も高い。
【0345】
(実施例42)
T F融合タンパク質は、血友病様全血中でフィブリンクロット形成を促進する。クエン酸塩で安定化した正常なヒト全血(HWB)を、10μg/ml抗FVIII抗体(ヒツジ抗ヒト第VIII因子;Hematologic Technologies Inc)とともに室温で30分間インキュベートすることによって、血友病様の状態が得られた。クエン酸塩添加HWBの再石灰化後の自発的な凝固が、抗FVIII抗体の存在によって強く阻害された。TF融合タンパク質をHWBに添加して、これらのタンパク質が、抗FVIII抗体をHWBに添加することによって誘導される血友病様の状態を反転させる能力を実証した。
【0346】
トロンボエラストログラフィー(5000シリーズTEG分析器、Haemoscope Corporation、Niles、IL、USA)によってクロット形成を測定した。様々な濃度(0;0.02;0.1;0.2;1.0;10nM)の0070 TF融合タンパク質、0094 TF融合タンパク質、またはhTF.1-219を血友病様クエン酸塩添加HWBに添加した。340μlの正常なまたは予め混合したHWBを、20μlの0.2M CaCl
2を含有するトロンボエラストログラフカップに移した際に凝固が開始された。TEG痕跡を最大で120分間連続的に追跡した。以下のTEG変数を記録した:R時間(凝固時間、すなわち凝固の開始から2mmの振幅が得られたまでの時間)、α角度(R値とTEG痕跡の変曲点との間の角度として測定されるクロットの発生)、K(特定のレベルのクロット強度に達するまでのクロット動態の速度、振幅=20mm)、およびMA(クロットの最大の機械的強度を反映するTEG痕跡の最大振幅)。正常なHWB(NWB)、「血友病」血液、および(0;0.02;0.1;0.2;1.0;10nM)の0070 Fab-hTF.1-219融合タンパク質を補充した「血友病」血液を用いて得られたTEG痕跡が
図14Aに示されている。描かれたTEG痕跡について得られたR時間の値が
図14Bに示されている。
図14Bは、0070 Fab-hTF.1-219融合タンパク質のR時間の値に加えて、同等の濃度のhTF.1-219および非標的化0094 FabアイソタイプhTF.1-219融合対照タンパク質のR時間の値も含む。全てのデータは、1名の代表的なドナーから得られた。
【0347】
0070 Fab-hTF.1-219融合タンパク質が、血友病様HWBの凝固を効率よく正常化することが観察された。TLT-1に対するTFの標的化の、血友病様HWB中での凝固促進効果が、0070 Fab-hTF.1-219融合タンパク質を用いて、TFが非結合対照Fabと融合している0094 FabアイソタイプhTF.1-219融合タンパク質を用いて得られた効果との比較により実証される。
【0348】
(実施例43)
TLT1-Fab0043-TFは、ヒト血小板を輸血したFVIII-KOマウスにおいて尾出血を低減した。ヒト血小板を輸血した血友病マウス(FVIII-KOマウス)における尾出血モデルでTLT-1-Fab0043-TF構築物の効果を試験した。
【0349】
ヒト静脈血をクエン酸デキストロース(ACD;1.7ml/10ml)中に採取した。血液を50ng/ml PGE
1とともに室温(RT)で10分間インキュベートし、その後遠心分離(200g;10分)した。多血小板血漿(PRP)を収集し、50ng/ml PGE
1とともにRTで10分間インキュベートし、その後RTで10分間450gで遠心分離した。血漿を除去し、血小板ペレットを血漿で血小板数1.1〜2.8 10
9/mlの濃度に再懸濁した。
【0350】
ペントバルビタールでマウスに麻酔をかけ、カテーテルを挿入した。カテーテルを通じてマウスを1nmol/kg TLT1-Fab0043-TF(5ml/kg;n=7)またはATNP-FAb-TF(対照;無関係なFAb-TF0095構築物;n=8)で前処置した。3分後、(PRPとして)ヒト血小板をマウスに輸血し(血小板数1.1〜2.8×10
8/マウス;5 ml/kg)、さらに2分後尾出血を誘導し、その後は30分間の観察時間であった。喪失したヘモグロビンの量として失血を測定した。血小板輸血の1分後、全血小板集団の6.5および7.5%が、それぞれ対照およびTLT1-FAb-TF処置群においてヒトであった。
【0351】
TLT1-FAb-TFは、3956±447から1180±489nmolヘモグロビンへと失血を有意に低減した(p<0.01)。
【0352】
(実施例44)
TLT1とフィブリノーゲンの結合およびTLT1 mAbとフィブリノーゲンの間の結合の競合の分析。TLT-1はフィブリノーゲンと結合し、これはSPR分析によって試験される。さらに、Biacore T100機器でのSPR分析によって、フィブリノーゲンならびに4つのmAb:mAb 0012、mAb 0023、mAb 0051およびmAb 0062のそれぞれの同時結合を試験した。
【0353】
使用した材料がtable 11(表11)に示されている。
【0355】
方法:
供給業者によって推奨される標準的な手順を使用して、ヒトTLT1をおよそ1000RUのレベルまでCM5チップ上に固定化した(酢酸Na、pH 4.0で希釈した50μg/ml)。固定化されたTLT1との結合について200nM〜0.2nMのヒトフィブリノーゲンの4倍希釈物を試験した。ランニングおよび希釈緩衝液:10mM HEPES、150mM、0.005% p20、pH 7.4。10mMグリシン、pH 1.7によって再生を行った。Biacore T100評価ソフトウェアを使用して、TLT1およびフィブリノーゲンの1:1の相互作用を想定して動態および結合定数(k
on、k
off、K
D)の決定を行った。
【0356】
CM5チップでのおよそ10000〜15000RUまでの各mAbの固定化、その後、解離の2〜3分後に続く、競合について試験する様々な濃度のmAbによる50nM TLT1の結合によって、TLT1およびフィブリノーゲンとの結合についての様々なmAbの競合を同時に試験した。10mMグリシン、pH 1.7によってチップの再生を行った。
【0360】
結論:
フィブリノーゲン(HCI-0150R)はフィブリノーゲンと結合する。mAb 0023およびmAb 0062はこの結合部位と競合する。mAb 0012およびmAb 0051は競合しない。
【0361】
(実施例45)
水素交換質量分析(HX-MS)によるエピトープマッピング。HX-MS技術を使用して、4つのモノクローナル抗体mAb 0023、mAb 0051、mAb 0062およびmAb 0061によってカバーされるTLT-1結合エピトープを同定した。
【0362】
マッピング実験では、配列番号5、6および7にそれぞれ対応するhTLT-1.20-125、hTLT-1.16-162およびhTLT-1.126-162を使用した。実験前に全てのタンパク質についてPBS pH7.4に緩衝液を交換した。
【0363】
方法:HX-MS実験。
機器類およびデータ記録
HX実験は、重水素交換反応の開始、反応時間の調節、失活反応、UPLCシステムへの注射、および消化時間の調節を行う、LeapShellソフトウェア(Leap Technologies Inc.)によって作動するLeapロボット(H/D-x PAL;Leap Technologies Inc.)によって自動化された。Leapロボットは、2つの温度調節スタックを備え、これらはそれぞれ緩衝液貯蔵およびHX反応用に20℃に維持され、タンパク質および失活溶液の貯蔵用に2℃に維持されていた。Leapロボットは、1℃でペプシン、プレおよび分析カラム、ならびにLCチューブおよび切替弁を保持する冷却Trio VSユニット(Leap Technologies Inc.)をさらに含有していた。切替弁は、HPLCからMicrobore UHPLC切替弁(Cheminert, VICI AG)にアップグレードした。インラインのペプシン消化では、200pmolのTLT-1を含有する100μLの失活試料を添加し、均一濃度の流速200μL/分(0.1%ギ酸:CH
3CN 95:5)を使用してPoroszyme(登録商標)固定化ペプシンカートリッジ(2.1×30mm(Applied Biosystems))を通過させた。得られたペプチドを捕らえ、VanGuardプレカラムBEH C18 1.7μm(2.1×5mm(Waters Inc.))で脱塩した。その後、弁を切り替えて、分析カラムUPLC-BEH C18 1.7μm (2.1×100mm(Waters Inc.))とインラインのプレカラムを配置し、AQUITY UPLCシステム(Waters Inc.)から150μL/分で送達される15〜40%Bの9分の勾配を使用してペプチドを分離した。移動相は、A:0.1%ギ酸およびB:CH
3CN中の0.1%ギ酸からなっていた。ESI MSデータ、および個別データ依存的MS/MS取得(CID)および高エネルギー(MS
E)実験を、Q-Tof Premier MS(Waters Inc.)を使用して陽イオンモードで取得した。ロイシン-エンケファリンをロック質量として使用し(m/z 556.2771で[M+H]
+イオン)、データを連続モードで収集した。
【0364】
データ分析
標準的なCID MS/MSまたはMS
E法(Waters Inc.)を使用して別々の実験で消化ペプチドを同定した。BiopharmaLynx 1.2(017版)を使用してMS
Eデータを処理した。Mass-Lynxソフトウェアおよび社内MASCOTデータベースを使用してCIDデータ依存的MS/MS取得を分析した。
【0365】
HX-MS生データファイルを連続的なロック質量補正にかけた。HX-Express((ベータ版);Weisら、J. Am. Soc. Mass Spectrom. 17巻、1700頁(2006年))を使用して、データ分析、すなわち重水素化ペプチドの重心決定および交換曲線のプロットを行った。
【0366】
mAb 0023のエピトープマッピング:
対応する重水素化緩衝液(すなわちD
2Oで調製したPBS、最終96%D
2O、pH7.4(非補正値))中へのmAb 0023の存在下または不在下でhTLT-1.20-125の30倍希釈物によってアミド水素/重水素交換(HX)を開始した。HX反応は全て20℃で実施され、2.4μM mAb 0023の不在下または存在下で4μM hTLT-1.20-125を含有し、それによってmAb結合部位が1.2倍モル過剰となった。10秒〜8時間の適当な時間間隔で、最終pHが2.6(非補正値)となる等体積の氷冷失活緩衝液(1.35M TCEP)によってHX反応のアリコートを失活させた。
【0367】
mAb 0051および0062のエピトープマッピング:
hTLT-1.20-125を使用して別々の実験でmAb 0051およびmAb 0062のエピトープマッピングを行い、上記に記載のmAb 0023のマッピングと同様に実施した。
【0368】
mAb 0061のエピトープマッピング:
hTLT-1.16-162タンパク質またはhTLT-1.126-162ペプチドを使用して、2つの別々の実験でmAb 0061のエピトープマッピングを行った。
【0369】
mAb 0023について上記に記載のものと同様に実験を行った。しかし、hTLT-1.126-162を使用した実験ではペプシンカラムを室温で配置した。この結果、ペプシン消化効力が増大し、さらなる交換損失が最小限となった。
【0370】
結果
mAb 0023のエピトープマッピング
TLT-1の一次配列を100%カバーする20個のペプチドのHX時間経過を10秒〜8時間にかけてmAb 0023の存在下または不在下でモニタリングした。
【0371】
mAb 0023の存在下または不在下で観察される交換パターンは、2つの異なる群:mAb 0023の結合によって影響を受けない交換パターンを示すTLT-1ペプチドの1つの群、およびmAb 0023結合後に交換からの防御を示すTLT-1ペプチドのもう1つの群に分割することができる。mAb 0023結合後に防御を示す領域は、TLT-1残基36〜51、79〜91および105〜120をカバーするペプチドを包含する。各ペプチド内での交換防御の相対量を比較することによって、mAb 0023のエピトープを残基36〜47、VQCHYRLQDVKA(50%)、82〜87、LGGGLL(30%)、108〜115、GARGPQIL(20%)に絞ることができ、各セグメントの相対的交換防御を括弧内に示す。0023エピトープのペプチドマップの外観は、
図16に示されている。
【0372】
mAb 0051のエピトープマッピング
TLT-1の一次配列を100%カバーする22個のペプチドのHX時間経過を10秒〜1000秒にかけてmAb 0051の存在下または不在下でモニタリングした。
【0373】
mAb 0051の存在下または不在下で観察される交換パターンは、2つの異なる群:mAb 0051の結合によって影響を受けない交換パターンを示すTLT-1ペプチドの1つの群、および影響を受ける群に分割することができる。mAb 00 51結合後に防御を示す領域は、残基52〜66、92〜120をカバーするペプチドを包含する。各ペプチド内での交換防御の相対量を比較することによって、mAb 0051のエピトープを残基55〜66、LPEGCQPLVSSA(75%)および110〜120、RGPQILHRVSL(25%)ならびに92〜105のストレッチ中の弱い相互作用に絞ることができる。0051エピトープのペプチドマップの外観は、
図17に示されている。
【0374】
mAb 0062のエピトープマッピング
TLT-1の一次配列を100%カバーする22個のペプチドのHX時間経過を10秒〜1000秒にかけてmAb 0062の存在下または不在下でモニタリングした。
【0375】
mAb 0062の存在下または不在下で観察される交換パターンは、2つの異なる群:mAb 0062の結合によって影響を受けない交換パターンを示すTLT-1ペプチドの1つの群、および防御を示すTLT-1ペプチドのもう1つの群に分割することができる。mAb 0062結合後に防御を示す領域は、残基36〜51および105〜120をカバーするペプチドを包含する。各ペプチド内での交換防御の相対量を比較することによって、mAb 0062のエピトープを36〜47、VQCHYRLQDVKA(60%)および110〜120、RGPQILHRVSL(40%)に絞ることができる。0062エピトープのペプチドマップの外観は、
図18に示されている。
【0376】
mAb 0061のエピトープマッピング
hTLT-1.16-162タンパク質またはhTLT-1.126-162を使用して、2つの別々の実験でmAb 0061のエピトープをマッピングした。
【0377】
hTLT-1.16-162では、TLT-1の一次配列を85%カバーする19個のペプチドのHX時間経過を10秒〜8時間にかけてmAb 0061の存在下または不在下でモニタリングした。残基S148でのO-グリコシル化のため、残基141を越えての情報を記録することができなかった。
【0378】
mAb 0061の存在下または不在下で観察された交換パターンは、2つの異なる群:mAb 0061の結合によって影響を受けない交換パターンを示すTLT-1ペプチドの1つの群、およびmAb 0061結合後に交換からの防御を示すTLT-1ペプチドのもう1つの群に分割することができる。mAb 0061結合後に防御を示す領域は、残基121〜141をカバーするペプチドを包含する。しかし、この実験では残基142およびそれを越えての情報が得られないことに留意することが重要である。各ペプチド内での交換防御の相対量を比較することによって、mAb 0061のエピトープを残基130での開始に絞ることができる。
【0379】
mAb 0061エピトープについて完全な情報を得るために、ペプチドhTLT-1.126-162を使用してマッピング実験を反復した。このペプチドは高い親和性でmAb 0061と結合し、グリコシル化によって修飾されていない。したがって、領域全体のHX-MS情報を得ることができるはずである。
【0380】
126〜162のTLT-1領域全体をカバーする12個のペプチドのHX時間経過を10秒〜3000秒にかけてmAb 0061の存在下または不在下でモニタリングした。
【0381】
この126〜162の領域中の全てのペプチドが、mAb 0061結合後に交換からの防御を示す。各ペプチド内での交換防御の相対量を比較することによって、mAb 0061のエピトープを残基130〜145、ETHKIGSLAENAに絞ることができる。0061エピトープのペプチドマップの外観は、
図19に示されている。
【0382】
(実施例46)
hTLT1 ECD-HPC4 Ala突然変異体の産生、特徴付けおよび結合分析。table 7(表7)に従ってhTLT-1 ECD-HPC4アラニン突然変異構築物を設計した。外部請負業者GENEART AG(Im Gewerbepark B35、93059 Regensburg、Germany)によって発現構築物が開発され、発現構築物は全て、pcDNA3.1(+)と称する発現ベクターを基礎として作製された。各hTLT-1 ECD-HPC4 Ala突然変異タンパク質(Table 7(表7))を一過性に発現させるために、40種のhTLT-1 ECD-HPC4 pcDNA3.1(+)発現構築物それぞれのDNAのアリコートをHEK293-6E浮遊細胞にトランスフェクトした。HEK293-6e細胞の一過性トランスフェクションおよび培養は、実施例Aに記載のように行った。
【0383】
トランスフェクション後7日目に、遠心分離によって細胞を除去し、得られたhTLT-1 ECD-HPC4 Ala突然変異タンパク質を含有する上清を分析前に滅菌濾過した。RP-HPLCおよびSDS-PAGE/Coomassie分析の組合せを使用して、清澄にした細胞上清中の発現したhTLT-1 ECD-HPC4 Ala突然変異タンパク質の濃度を決定した。これらは4〜40μg/mLであり、程度の変動するダイマー形成を含有していた。免疫感作実験に使用したhTLTタンパク質の産生について前述したように、全てのhTLT ECD-HPC4 Ala突然変異構築物について、発現したタンパク質のモノマー/ダイマー形態が観察された。モノマー/ダイマーhTLTl ECD-HPC4タンパク質の相対的濃度をSDS-PAGE/Coomassieによって概算し、各突然変異調製物の平均Mwを算出した。
【0384】
全ての結合試験を25℃で実行し、表面プラスモン共鳴を通じてリアルタイムで分子の相互作用を測定するProteOn分析器(BioRad)の試料区画中に試料を15℃で貯蔵した。ProteOnによって報告されるシグナル(RU、応答単位)は、個々のセンサーチップの表面スポット上の質量に直接相関する。
【0385】
0.4M EDAC[1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩]および0.1Mスルホ-NHS[N-ヒドロキシスルホスクシンイミド]の1:1混合物を使用して、GLMセンサーチップの別々のフローセル上に抗hFcポリクローナル抗体を固定化した。各抗体を10mM酢酸ナトリウムpH5.0で50μg/mlの濃度に希釈し、30μl/分で240秒間、個々のフローセルに固定化した。抗体はフローセルA1〜A6(水平方向)に固定化した。固定化後、1Mエタノールアミンを用いてフローセル上の活性部位を遮断した。捕捉抗体の最終固定化レベルは、典型的には1回の実験でおよそ9,000〜10,000RUであった。HBS-EP緩衝液(10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05%表面活性物質P20、pH 7.4)中に0.5μg/mlに希釈し、垂直方向に30μl/分で60秒間注射することによって抗TLT1抗体0197-0000-0023、0197-0000-0051、0197-0000-0061および0197-0000-0062の捕捉を行い、抗ヒトFc抗体だけを有するスポット間参照点を作製した。試験抗体の最終捕捉レベルは、典型的には1回の実験でおよそ200〜300RUであった。並行するフローセルにわたって水平方向に注射することによりwtまたはAla突然変異hTLT-1 ECD-HPC4タンパク質の結合を行って、スポット間参照物との結合に対する、異なる捕捉抗TLT1抗体との結合の比較分析を可能にした。算出された平均Mwに基づいて、HBS-EP緩衝液中に各hTLT-1 ECD-HPC4タンパク質を100nMに希釈し、30μl/分で240秒間注射した。分析物の各注射サイクル後に、100μl/分で1回の1Mギ酸の18秒の注射、その後50mM NaOHの18秒の注射によりGLMチップを再生した。この再生ステップで、固定化捕捉抗体表面から抗TLT1抗体および結合したTLT1が除去され、次の試験試料の対のその後の結合が可能となった。その再生手順では、直接固定化された抗ヒトFc捕捉抗体はチップ表面から除去されなかった。
【0386】
ProteOn Manager(商標)ソフトウェアを使用してデータ分析を行った。スポット間対照表面との著しい非特異的結合は観察されなかった。二重参照(捕捉抗TLT1抗体に対するスポット間対照表面シグナルならびにブランク緩衝液注射の減算)によって結合曲線を処理した。これは、試料注射中の機器ノイズ、バルクシフトおよびドリフトの補正を可能にした。分析物注射の停止後10秒での結合シグナルを捕捉抗TLT1抗体のレベルに対して標準化し、wt hTLT-1 ECD-HPC4タンパク質と相対的な結合として示した。
【0387】
以下のAla突然変異は、wt hTLT-1 ECD-HPC4タンパク質と比較したそれぞれの抗TLT1との結合の著しい低下を示した。0197-0000-0051:F54A<0.4wt;M91A<0.2wt;R117A<0.2wt;S119A<0.6wt。0197-0000-0062:R41A<0.2wt;L42A<0.6wt;Q43A<0.4wt;F54A<0.6wt;M91A<0.4wt;R110A<0.2wt;H116A<0.6wt。0197-0000-0023:L42A<0.2wt;Q43A<0.2wt;K46A<0.2wt;M91A<0.4wt;R110A<0.2wt。4つ全ての抗TLT1抗体でhTLT1 ECD-HPC4突然変異体M91Aについて結合の低下を観察することができたため、おそらくその残基は現実のエピトープの一部ではなくタンパク質の安定性に対して重要な影響を有する。0197-0000-0061は、試験した突然変異TLT-1変異体のいずれとも結合の低下を示さなかったが、これは、結合試験で導入された突然変異体によってエピトープがカバーされていないことを示している。
【0388】
(実施例47)
抗TLT-1 FabとTLT-1ストークペプチドとの結晶構造複合体。
結晶化用0100抗TLT-1 Fabの発現:一般化された手順に従って、配列番号162に対応する重鎖および配列番号163に対応する軽鎖を含む抗TLT-1 Fab断片Fab0100をHEK293細胞中で一過性に発現させた。
【0389】
結晶化用0100抗TLT-1 Fabの精製:kappaSelect樹脂(GE Healthcare、カタログ番号17-5458-01)を使用するアフィニティークロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーから構成される2ステップのプロセスによって、前記Fabの精製を行った。AktaExplorerクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare、カタログ番号18-1112-41)を使用して精製を行った。精製ステップに使用した緩衝系は、10mMリン酸Na、pH7.5および150mM NaClから構成される平衡化緩衝液、ならびに20mMギ酸、pH3.0から構成される溶出緩衝液であった。1M NaOHで上清をpH7.5に調整し、予め平衡化したkappaSelectカラムにかけた。5カラム容の平衡化緩衝液でカラムを洗浄し、およそ5カラム容の溶出緩衝液を使用してFabタンパク質を均一濃度で溶出させた。SDS-PAGE/CoomassieおよびLC-MS分析を使用してFabタンパク質を分析し、予想される分子量が46.9kDaである純粋かつ均質なタンパク質が得られたことが示された。タンパク質濃度を測定するために、Nano-Drop分光光度計(Thermo Scientific)を、吸光係数1.31と一緒に使用した。サイズ排除カラム(Superdex200)を使用してFabタンパク質の最終仕上げを行った。
【0390】
結晶化用ペプチドの調製:固相ペプチド合成によってTLT-1ストークペプチドhTLT-1.126-162(配列番号7)を調製した。同様に、配列番号8に対応するストークペプチドの短いバージョンhTLT-1.129-142を調製した。
【0391】
Fab0100:TLT-1複合体の調製、結晶化および構造決定。Fab0100:hTLT-1.126-162の調製:2倍モル過剰のhTLT-1.126-162を抗TLT-1 Fabの溶液に添加し、その後調製用サイズ排除クロマトグラフィーを使用して過剰なhTLT-1.126-162を分離することにより複合体を単離することによって、Fab0100とhTLT-1.126-162との複合体を調製した。したがって、どちらもPBS緩衝液(pH7.4)中のFab(1100μl、98μM)およびhTLT-1.126-162(155μl、1391μM)を混合することによってFab0100:hTLT-1.126-162複合体を調製した。Superdex 200 HighLoad 26/60(GE Healthcare)カラムを使用して複合体をゲル濾過にかけ、流速1ml/分でPBS緩衝液(pH7.4)を用いて溶出させた。体積3mlに対応する分画を収集した。所望のFab0100:hTLT-1.126-162複合体を含有する分画をプールし、次いで遠心分離フィルターデバイス(Amicon、10kDaカットオフ)を使用してタンパク質濃度8.6mg/mlに濃縮した。この調製物をFab0100:hTLT-1.126-162複合体の結晶化に使用した。
【0392】
Fab0100:hTLT-1.129-142の調製:hTLT-1.129-142とFabのモル比が1.5:1であり、長いストークペプチド(hTLT-1.126-162)と比較してhTLT-1.129-142の結合が弱いためにゲル濾過の停止を省略したことを除いて、抗TLT-1 Fabと短いストークペプチド(hTLT-1.129-142)との複合体を同様に調製した。
【0393】
Fab0100:hTLT-1.129-142およびFab0100:hTLT-1.126-162複合体の結晶化およびデータ収集:シッティングドロップ(sitting drop)法によってFab0100:hTLT-1.129-142およびFab0100:hTLT-1.126-162複合体を室温で結晶化した。タンパク質溶液に1:2の体積比(沈殿剤:タンパク質)で0.04Mリン酸二水素カリウム、16重量/体積%PEG 8,000および20%グリセロールを含有する沈殿溶液を添加することによってFab0100:hTLT-1.129-142を結晶化し、一方タンパク質溶液に1:1の体積比(沈殿剤:タンパク質)で20重量/体積%PEG 10,000および0.10M Hepes pH7.5を含有する沈殿溶液を添加することによってFab0100:hTLT-1.126-162複合体を結晶化した。Fab0100:hTLT-1.129-142複合体の結晶を液体N
2中で急速冷凍し、極低温N
2ガス流によりデータ収集の間100Kで維持した。その後、Rigaku MicroMax-007 HF回転陽極およびmarCCD 165 X線検出器を使用して2.14Å分解能までの結晶学的データを収集した。XDSソフトウェアパッケージ(Kabsch,W.(1993年) J. Appl. Crystallogr. 26巻、795〜800頁)によって空間群の決定、データの積分およびスケーリングを行った。結晶の格子パラメーターは、a、b、c、α、βおよびγについてそれぞれ82.10、64.99、107.73Å、90°、95.12°および90°と決定され、空間群はC2と決定された。データセットの強度のR
symは6.5%と算出された。PDBに寄託されている(Berman,H.M.ら(2000年)Nucleic Acids Res. 28巻、235〜242頁)1NGZ構造(Yin,J.ら、PNAS us 100巻、856〜861頁)のFabモデルの座標を抗TLT-1 Fab分子の構造決定に使用した。1NGZ Fabモデルを可変および定常ドメインの2つのドメインに分割し、次いでそれをCCP4スイート(Bailey,S.(1994年)Acta Crystallogr. Sect. D-Biol. Crystal-logr. 50巻、760〜763頁)のPHASERソフトウェアプログラム(Mccoy,AJ.ら、Acta Crystallographica Section D Biological Crystallography 61巻、458〜464頁;Mccoy,AJら、J. Appl. Crystallogr. 40巻、658〜674頁)による分子置換の実行において独立した検索モデルとして使用した。その後、ARP-wARPソフトウェアパッケージ(Evrard,G.X.ら、Acta Crystallographica Section D 63巻、108〜117頁)を自動化モデル構築および位相調整に使用した。REFMAC5ソフトウェアプログラム(Murshudov,G.N.ら、Acta Crystallogr. Sect. D-Biol. Crystallogr. 53巻、240〜255頁)を使用したさらなる結晶学的精密化、その後にCOOTソフトウェアプログラム(Emsley,P.ら、Acta Crystallogr. Sect. D-Biol. Crystallogr. 60巻、2126〜2132頁)を使用した電子密度マップのコンピュータグラフィックス検査、モデル補正および構築を適用した。モデルにさらなる著しい改善を施すことができなくなるまでこの手順を繰り返した。3サイクルの手作業での介入後の最終の算出R-およびR-フリーはそれぞれ0.185および0.245であり、このモデルは0.022Åの理想的な結合の長さからの二乗平均平方根偏差(RMSD)を示した。
【0394】
Fab0100:hTLT-1.126-162複合体の結晶を、75%の沈殿剤溶液および25%のグリセロールを含有する凍結溶液に移した。結晶を約15秒間浸し、次いで液体N
2中で急速冷凍し、極低温N
2ガス流によりデータ収集の間100Kで維持した。その後、MAX-lab、Lund、SwedenのビームラインBL911-3(Ursby,T.ら(2004年) AIP Conference Proceedings 705巻、1241〜1246頁)で1.85Å分解能までの結晶学的データを収集した。XDSソフトウェアパッケージにおいて空間群の決定、データの積分およびスケーリングを行った。そのシンクロトロンデータについての格子パラメーターは、a、b、c、α、βおよびγについてそれぞれ82.54、65.32、108.05Å、90°、95.15°および90°と決定され、空間群はC2と決定された。データセットの強度のR
symは6.7%と算出された。その結晶はFab0100:hTLT-1.129-142結晶と同形であり、したがってFab0100:hTLT-1.126-162の元の位相調整、その後のARP-wARPソフトウェアパッケージを使用した自動化モデル構築および位相調整にFab0100:hTLT-1.129-142複合体の剛体精密化を使用した。REFMAC5ソフトウェアプログラムを使用したさらなる結晶学的精密化、その後にCOOTソフトウェアプログラムを使用した電子密度マップのコンピュータグラフィックス検査、モデル補正および構築を適用した。モデルにさらなる著しい改善を施すことができなくなるまでこの手順を繰り返した。13サイクルの手作業での介入後および精密化後の最終の算出R-およびR-フリーはそれぞれ0.171および0.223であり、このモデルは0.027Åの理想的な結合の長さからのRMSDを示した(Table 14(表14))。
【0395】
結果
Table 15および16(表15および16)に示されるように、抗TLT-1はTLT-1のストークと有効に結合する。CCP4プログラムスイートのソフトウェアプログラムAREAIMOLを使用して、抗TLT-1とTLT-1とのペアワイズ相互作用において排除された平均面積が764Å
2と算出された。Fab0100:hTLT-1.126-162複合体のペアワイズ相互作用において排除された平均面積は、抗TLT-1およびTLT-1についてそれぞれ656および871Å
2を示した。
【0396】
Fab0100:hTLT-1.126-162複合体において抗TLT-1 Fabと直接接触しているTLT-1ペプチド(hTLT-1.126-162)中の残基がエピトープと定義され、Fab0100:hTLT-1.126-162複合体においてhTLT-1.126-162と直接接触している抗TLT-1 Fab中の残基がパラトープと定義される。抗TLT-1 FabとTLT-1分子とのカットオフ距離4.0Åを使用してCCP4プログラムスイートのCONTACTSソフトウェアを実行することによってエピトープおよびパラトープ残基を同定した。Fab0100:hTLT-1.126-162複合体についての結晶構造の接触算出の結果はTable 15および16(表15および16)に示されている。抗TLT-1について得られたTLT-1エピトープは、配列番号7の以下の残基:Lys8(133)、Ile9(134)、Gly10(135)、Ser11(136)、Leu12(137)、Ala13(138)、Asn15(140)、Ala16(141)、Phe17(142)、Ser18(143)、Asp19(144)、Pro20(145)、Ala21(142)を含むことが分かり、ここで括弧内の数字は配列番号2において対応する残基を指す(Tab. 15および16(表15および16))。
【0397】
得られたパラトープは、配列番号163に対応するFab0100軽鎖の残基His31、Asn33、Tyr37、His39、Tyr54、Phe60、Ser96、Thr97、Val99およびTyr101(Table 15(表15))、ならびに配列番号162に対応するFab0100重鎖の残基Val2、Phe27、Arg31、Tyr32、Trp33、Glu50、Thr57、Asn59、Ser98、Gly99、Val100およびThr102(Table 16(表16))を含んでいた。水素結合に関与するTLT-1エピトープ残基もTable 15および16(表15および16)で示される。
【0405】
(実施例48)
ペプチドウォークによるエピトープマッピング。ペプチドウォーキングELISAでペプチドの最小限の結合領域が定義された。これは、ストレプトアビジンプレート中で、TLT-1のストーク領域中に1残基のフレームシフトを有するビオチン化ペプチドを被覆し、その後対象とする抗体(mAb 0061)を結合させることによって確立された。検出用二次抗体を添加し、450nmで結合を測定した。陽性対照:ビオチン化TLT-1との結合。
【0406】
材料
10×PBS:10×GPBS 14200 Gibco
Tween20:Aldrichカタログ番号27,434-8、ロット番号S30950-315
プレート:96ウェルストレプトアビジン被覆プレート、Nunc番号466014
BSA:A7030-100g、ロット番号057K0737
ブロッキング/希釈緩衝液:1×PBS pH=7.4、2%BSA、0.5%Tween20
洗浄緩衝液:1×PBS+0.5%Tween20
標準物質:ビオチン化TLT-1 04/09-08 1mg/ml
mAb:0197-0000-0061-4A-0.55mg/ml
検出Ab:ヤギ抗ヒトIgG HRP標識 1mg/ml、製品番号NEF802001EA
TMB基質:使用準備済、カタログ番号4390L、ロット番号70904
停止溶液:2M H
3PO
4
【0407】
ビオチン化TLT-1の希釈:
1mg/ml->6.3ng/ml(158500×希釈)
ウェル中の濃度:0.63ng
【0408】
ビオチン化ペプチドの希釈:
概算濃度2〜5mg/ml(2.5mg/ml)
2.5mg/ml->10000×希釈(25ng/ウェル):各ウェル中に各ペプチドを100μl。
【0409】
mAb 0061の希釈
0.55mg/ml->100ng/ml(5500×希釈)
ウェル中の濃度:10ng
【0410】
mAbヤギ抗ヒトIgG HRPの希釈:
1mg/ml->0.2μg/ml(5000×希釈)
【0411】
96ウェルフォーマットでのビオチン化ペプチドの合成。
標準的な固相ペプチド合成を使用してビオチン化ペプチドを合成した。N-メチルピロリジノン(NMP)中0.3Mの1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)中0.3MのFmoc保護アミノ酸の溶液を、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)を使用して1〜4時間結合させた。96マイクロタイターフィルタープレート(Nunc)中で固体支持体としてRinkアミドLL樹脂(Merck)を使用し、1ウェル当たり約20mgの樹脂を使用した。Intavis、Germanyの Multipep RSペプチド合成機を使用して合成を行い、製造業者のプロトコールを使用した。NMP中25%のピペリジンを使用してFmocの除去を行った。全てのペプチドをN末端でビオチンと結合させ、ビオチンとペプチドの間のスペーサーとして8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸を使用した。合成プロトコール(IRIS biotech、Germany)に従って、Fmoc保護構成単位としてもこのスペーサーを結合させた。
【0412】
最終的な脱保護およびワークアップ
90%トリフルオロ酢酸(TFA)、5%トリイソプロピルシランおよび5%H2Oを使用して最終的な脱保護を3時間行った。1ウェル当たりに合計1mlのTFAを使用した。TFAを96深型ウェル(Nunc)に濾過し、蒸発によってTFAの体積を1ウェル当たり約100〜200ulに減らし、ペプチドを沈殿させるためにジエチルエーテルを全てのウェルに添加した。ジエチルエーテル中のペプチドの懸濁液をsolvinert 96ウェルフィルタープレート(0.47um、Millipore)に移し、ペプチドをジエチルエーテルで2回洗浄し乾燥させた。ペプチドを80%DMSOおよび20%水中で再溶解して、約1〜3mg/mlのストック溶液が得られた。
【0413】
TLT-1のストーク領域(SEQ ID NO 6)のビオチン化20merペプチド
75%DMSO/H2O中2〜5mg/ml(N末端でビオチン化):
ペプチドの番号は左に示されている:
【0415】
hTLT-1のストーク領域(SEQ ID NO 6)のビオチン化16merペプチド
75%DMSO/H2O中2〜5mg/ml:
【0417】
方法
エピトープマッピングは、TLT-1のストーク領域の2つの系列のビオチン化ペプチドとmAb 0061の結合からなっていた。ビオチン化ペプチドをストレプトアビジンプレートと結合させた。
【0418】
ストークペプチド:
LNILPPEEEEETHKIGSLAENAFSDPAGSANPLEPSQDEKSIPL
1)1残基のフレームシフトを有する20merペプチドのマッピング(20,1)(材料を参照)
2)1残基のフレームシフトを有する16merペプチドのマッピング(16,1)(材料を参照)
【0419】
1. プレートを250μlの洗浄緩衝液で3回予め洗浄した
2. 100μlのビオチン化ペプチド溶液を添加した(マスタープレートから、10000×希釈、1ウェル当たり1つのペプチド)
3. RTで1時間または+5℃で終夜インキュベートした
4. 洗浄緩衝液で3回洗浄した
5. 100μlの一次抗体を添加した(希釈は上記を参照)
6. RTで1時間インキュベートした7. 洗浄緩衝液で3回洗浄した
8. 100μlの二次抗体を添加した(希釈は上記を参照)
9. RTで1時間インキュベートした
10. 洗浄緩衝液で3回洗浄した
11. 100μlの基質/発色緩衝液を添加した(反応時間3分)
12. 100μlの2M H3PO4を添加した
13. 450nmで終点を読み取った
【0420】
ウェル中のビオチン化ペプチドとの結合は、450nmでの吸収が3を上回った際に「結合」と記録した。シグナルが1を下回った際に「結合なし」と記録した。中間のシグナルを「弱い結合」と記録した。
【0421】
結果
ビオチン化ペプチドを以下のようにウェルに入れた:
行A:ペプチド2〜12 (20mer)
行B:ペプチド13〜24 (20mer)
行C:ペプチド25〜27 (20mer)
行C:ペプチド29〜36 (16mer)
行D:ペプチド37〜48 (16mer)
行E:ペプチド49〜58 (16mer)
【0423】
まとめると、20merペプチド(5〜16)は、アミノ酸:IGSLAENAFに対応する強い陽性シグナル(<3)を引き起こす。16merペプチド36〜42は、KIGSLAENAFに対応する強い陽性シグナル(<3)を引き起こす。
【0424】
結論
ペプチドウォーキングELISAで、アミノ酸残基の以下のストレッチ:KIGSLAENAFとして、mAb 0061との結合についてのエピトープの最小限の結合区域が定義された。このストレッチは、実際に、結晶構造により上記で定義されたエピトープ:ETHKIGSLAENAFSDPの一部である。