(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6693952
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】軽オレフィンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 5/333 20060101AFI20200427BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20200427BHJP
C07C 11/09 20060101ALI20200427BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20200427BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20200427BHJP
【FI】
C07C5/333
C07C11/06
C07C11/09
C07C11/04
!C07B61/00 300
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-521190(P2017-521190)
(86)(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公表番号】特表2017-532349(P2017-532349A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】CN2015000704
(87)【国際公開番号】WO2016061905
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2018年7月24日
(31)【優先権主張番号】201410557715.7
(32)【優先日】2014年10月20日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201410557916.7
(32)【優先日】2014年10月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】王新
(72)【発明者】
【氏名】于敬川
(72)【発明者】
【氏名】李明▲こう▼
(72)【発明者】
【氏名】▲きょう▼剣洪
(72)【発明者】
【氏名】宗保寧
(72)【発明者】
【氏名】許友好
【審査官】
石井 徹
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第103420767(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102850169(CN,A)
【文献】
特表2004−500972(JP,A)
【文献】
特開平07−309788(JP,A)
【文献】
特開昭63−096140(JP,A)
【文献】
特開昭47−003412(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第103232312(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C11/00
C07C5/32−333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽オレフィンの製造方法であって、
脱水素反応を行うために、アルカン供給原料および触媒を連続的に接触させることによる、上記軽オレフィンの製造方法であり、
上記脱水素反応の反応圧力Pが、0.4〜6MPaであり、
上記脱水素反応の体積空間速度Hが、100〜5000h−1であり、
上記アルカン供給原料は、C2〜5の直鎖または分枝状アルカンの少なくとも1つから選択され、
当該製造方法は、
軽オレフィンリッチ炭化水素および使用済み触媒を得る上記脱水素反応を行うために、上記アルカン供給原料および上記触媒を連続的に接触させる工程、
再生された触媒を得るために、上記使用済み触媒の少なくとも一部を再生反応に搬送する工程、および、
上記脱水素反応に、上記再生された触媒の少なくとも一部を循環させる工程を含み、
上記脱水素反応の上記反応圧力Pが、上記再生反応の上記再生圧力よりも高い、少なくとも0.3MPaである製造方法。
【請求項2】
上記脱水素反応の間、HおよびPは、狭義増加関数である数学関数
H=f(P)
を満たし、
P(単位:MPa)は、[0.4,6.0]の間隔であり、
H(単位:h−1)は、[100,5000]の間隔である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
上記脱水素反応の上記反応圧力Pは、0.4〜3MPaであり、
上記脱水素反応の上記体積空間速度Hは、200〜2000h−1であり、
上記脱水素反応の間、HおよびPは、狭義増加関数である数学関数
H=f(P)
を満たし、
P(単位:MPa)は、[0.4,3.0]の間隔であり、
H(単位:h−1)は、[200,2000]の間隔である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
上記脱水素反応の上記反応圧力Pは、0.6〜2MPaであり、
上記脱水素反応の上記体積空間速度Hは、500〜1000h−1であり、
上記脱水素反応の間、HおよびPは、狭義増加関数である数学関数
H=f(P)
を満たし、
P(単位:MPa)は、[0.6,2.0]の間隔であり、
H(単位:h−1)は、[500,1000]の間隔である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
上記脱水素反応の上記反応圧力Pが、上記再生反応の上記再生圧力よりも高い、少なくとも0.5MPaである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
上記脱水素反応の上記反応圧力Pが、上記再生反応の上記再生圧力よりも高い、少なくとも0.7MPaである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
上記脱水素反応の上記反応圧力Pが、上記再生反応の上記再生圧力よりも高い、少なくとも0.9MPaである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
上記脱水素反応の上記反応圧力Pが、上記再生反応の上記再生圧力よりも高い、少なくとも1.2MPaである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
上記脱水素反応の上記反応圧力Pが、上記再生反応の上記再生圧力よりも高い、少なくとも2.0MPaである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
流動床反応器、密集床反応器、ライザー反応器、沸騰床反応器およびそれらの組み合わせからそれぞれ独立して選択される、一つまたはそれ以上の反応器が、上記脱水素反応に使われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
バブル流動床反応器または乱流流動床反応器から選択される、一つまたはそれ以上の反応器が、上記脱水素反応に使われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
上記アルカン供給原料は、プロパンおよびイソブタンのうち少なくとも一つから選択される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
上記触媒は、脱水素触媒、熱分解触媒、および、脱水素触媒/熱分解触媒複合触媒のうち少なくとも一つから選択される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
上記再生反応の反応条件は、
反応温度が550〜750℃であり、
反応圧力が0.1〜0.5MPaであり、
使用済み触媒の滞留時間が5〜60分間であり、
酸素含有雰囲気下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
上記再生反応の反応条件は、
反応温度が600〜700℃であり、
反応圧力が0.1〜0.3MPaであり、
使用済み触媒の滞留時間が6〜20分間であり、
空気雰囲気下または酸素雰囲気下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
上記使用した触媒および/または上記再生された触媒は、フィルターに通す分離によって回収される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
上記搬送および上記循環は、一つまたはそれ以上のロックホッパー(4)を経由して行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項18】
転換していないアルカン供給原料を上記脱水素反応に循環する工程をさらに含んでいる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項19】
上記軽オレフィンリッチ炭化水素およびコークス化した使用済み触媒を製造する反応器において、脱水素条件下で上記脱水素反応を行うために、予熱されたアルカン供給原料および触媒を連続的に接触させる工程、
上記炭化水素と上記使用済み触媒とを分離し、分離された炭化水素を生産物分離回収システムに導入し、上記反応器から上記使用済み触媒を連続的に回収する工程、
上記反応器から回収された上記使用済み触媒を、使用済み触媒の受け器に搬送し、その後、ロックホッパーを経由して使用済み触媒の供給槽に搬送し、その後、上記使用済み触媒の供給槽から再生器に搬送し、再生された触媒を製造するために、上記再生器で、酸素含有雰囲気下で上記使用済み触媒を再生する工程、
連続的に上記再生された触媒を上記再生器から回収し、再生された触媒の受け器に搬送し、その後、ロックホッパーを経由して再生された触媒供給槽に搬送し、連続的に上記再生された触媒供給槽から上記反応器に戻って搬送する工程を含んでいる、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、アルカン供給原料から軽オレフィンを製造する方法に関する。即ち、本発明は、アルカン供給原料から軽オレフィンを製造する方法において、軽オレフィンの生産量を増大するための製法に関する。
【0002】
[発明の背景]
軽オレフィン(C2〜C4オレフィン)は、有機化学産業の基本的な開始材料であり、現代の液化石油ガスおよび化学産業において、重要な役割を担う。上記製造方法のように、アルカン供給原料を使用して軽オレフィンを製造する技術は、ますます一般的になる。
【0003】
現在、アルカン供給原料を用いて軽オレフィンを製造する技術に使われる反応器は、主に、固定床反応器および流動床反応器を含んでいる。上記固定床反応器は、熱伝導効果に乏しく、触媒交換および再生が複合的および複雑であり、連続反応は接触させるのが困難である等、不利な点を有し、アルカン供給原料の処理量の増大を達成できる、有利な点を有する。さらに、上記流動床反応器は、前述した上記固定床反応器の不利な点を解決することができるが、上記流動床反応器と同じ大きさの上記固定床反応器に対し、上記固定床反応器よりも処理量がずっと少ない。例えば、EP0894781A1およびUS7235706B2には、アルカン供給原料の脱水素化によって軽オレフィンを製造する方法が記載されている。その中で、流動床反応器および再生器が使われ、反応温度が450〜800℃、反応圧力が0.01〜0.3MPa、並びに、体積空間速度が100〜1000h
−1であることが記載されている。
【0004】
アルカン供給原料を用いて軽オレフィンを製造する反応は、分子の量が増大する反応であることが知られている。それゆえ、軽オレフィンの製造に進む方向の化学平衡のために、より低い反応圧力が好ましい。この観点において、先行技術による軽オレフィンの製造では、軽オレフィンの所望される収率を得るために、通常、より低い反応圧力が使われる。このより低い反応圧力(一般的に0.1〜0.3MPa)は、アルカン供給原料の処理量の増大を望む場合(例えば、先行技術において、固定床の供給原料の処理量と同量の供給原料の処理量を達成することを望む場合)、軽オレフィンの生産量が増大するために、先行技術は、それゆえ、軽オレフィンの収率を維持するために、受け入れられる水準で、反応器の大きさまたは量を増大させなければならない、という結果に直結する。当然ながら、これは、それ相応に、投資および工場の維持コストを増大させる。
【0005】
先行技術による軽オレフィンの製造方法において、連続的な製造方法を確実にするために、触媒は、反応器と再生器の間を循環される。循環し易くするために、反応器および再生器は、一般的に、実質的に同じ圧力で操作される。この状況下で、反応器は、水素雰囲気(還元雰囲気)の中にあり、再生器は、酸素含有雰囲気の中にある。反応器および再生器が十分に分離されない場合、安全面の危険の可能性が高まる。
【0006】
さらに、先行技術において、触媒熱分解ユニットに使われるものと同様なサイクロンは、軽オレフィンの製造工場において、広く使われる。それゆえ、製造の間、触媒が自然に無くなることは避けられず、特に、触媒が20μm未満の大きさの粒子を有する細かい粉である場合、当該触媒においてますます顕著となる。これは、その後の生成物の分離に不利な影響を与え、再利用される触媒に不利である。
【0007】
[発明の概要]
本発明の目的は、軽オレフィンの製造方法を提供することである。上記方法は、前述した先行技術における不利な点を克服し、現存する反応器を直接利用でき、軽オレフィンの生産量を増大させる目的を容易に達成し得る。
【0008】
本発明の発明者は、驚いたことに、反応圧力を増大させ、同時におよび対応して、アルカン供給原料の体積空間速度を増大させる場合、軽オレフィンの収率の増大は、先行技術と同等に、または、先行技術よりもより高い水準で維持することができ、それどころか、先行技術で以前に予期されたように減少し、結果として、現存する反応器のための、本発明による反応器の反応圧力を増大させ、かつ、体積空間速度を増大させる技術的解決は、反応器のアルカン供給原料の処理量を著しく増大させ、かつ、それに相当する軽オレフィンの生産量を増大させる(即ち、軽オレフィンの生産量を増大させる)ことを、産業発明を通して見出した。本発明によって見出されたこの知見は、当業者の型にはまった知識を打破するため、本知見に基づき本発明を達成する。
【0009】
具体的には、本発明は以下に示す項目に関する。
【0010】
(1)軽オレフィンの製造方法(または、軽オレフィンの生産量の増加)であり、脱水素反応を行うために、アルカン供給原料および触媒を連続的に接触させることによる、上記軽オレフィンの製造方法において、脱水素反応の反応圧力Pが0.4〜6MPa、好ましくは0.4〜3MPa、より好ましくは0.5〜2MPa、最も好ましくは0.6〜2MPaであり、上記脱水素反応の体積空間速度Hが、100〜5000h
−1、好ましくは200〜2000h
−1、最も好ましくは500〜1000h
−1である、上記軽オレフィンの製造方法。
【0011】
(2)上記脱水素反応の間、HおよびPは、狭義増加関数である数学関数「H=f(P)」を満たし、P(単位:MPa)は、[0.4,6.0]の間隔、好ましくは[0.4,3.0]の間隔、より好ましくは、[0.5,2.0]の間隔、最も好ましくは[0.6,2.0]の間隔であり、H(単位:h
−1)は、[100,5000]の間隔、好ましくは[200,2000]の間隔、最も好ましくは[500,1000]の間隔である、先の項のいずれかに記載の製造方法。
【0012】
(3)軽オレフィンリッチ炭化水素および使用済み触媒を得る上記脱水素反応を行うために、上記アルカン供給原料および上記触媒を連続的に接触させる工程、
再生された触媒を得るために、上記使用済み触媒の少なくとも一部を再生反応に搬送する工程、および、
上記脱水素反応に、上記再生された触媒の少なくとも一部を循環させる工程を含み、
上記脱水素反応の上記反応圧力Pが、上記再生反応の上記再生圧力よりも高い、少なくとも0.3MPa、好ましくは0.5MPa、0.7MPa、0.9MPa、1.2MPaまたは2.0MPaである先の項のいずれかに記載の製造方法。
【0013】
(4)流動床反応器、密集床反応器、ライザー反応器、沸騰床反応器およびそれらの組み合わせからそれぞれ独立して選択される、好ましくは流動床反応器から選択される、より好ましくはバブル流動床反応器または乱流流動床反応器から選択される、一つまたはそれ以上の反応器が、上記脱水素反応に使われる、先の項のいずれかに記載の製造方法。
【0014】
(5)上記アルカン供給原料は、C2〜C12の直鎖または分枝状アルカン(好ましくはC2〜C5の直鎖または分枝状アルカン(より好ましくはプロパンおよびイソブタンのうち少なくとも一つ)もしくはC3〜C12の炭化水素の混合物のうち少なくとも一つ)のうち少なくとも一つから選択される、または、
天然ガス凝縮物、天然ガス液体、触媒熱分解液化ガス、油田ガス凝縮物、シェールガス凝縮物、直留ナフサ、シェール油軽組成物、水素化ナフサ、コークス(coker) ガソリンおよび熱分解ガソリンのうち少なくとも一つから選択される、先の項のいずれかに記載の製造方法。
【0015】
(6)上記触媒は、脱水素触媒、熱分解触媒、および、脱水素触媒/熱分解触媒複合触媒のうち少なくとも一つから選択される、先の項のいずれかに記載の製造方法。
【0016】
(7)上記再生反応の反応条件は、反応温度が550〜750℃、好ましくは600〜700℃であり、反応圧力が0.1〜0.5MPa、好ましくは0.1〜0.3MPaであり、使用済み触媒の滞留時間が5〜60分間、好ましくは6〜20分間であり、酸素含有雰囲気下、好ましくは空気雰囲気下または酸素雰囲気下である、先の項のいずれかに記載の製造方法。
【0017】
(8)上記使用した触媒および/または上記再生された触媒は、フィルターに通す分離によって回収される、先の項のいずれかに記載の製造方法。
【0018】
(9)上記搬送および上記循環は、一つまたはそれ以上(好ましくは一つまたは二つ)のロックホッパー(4)を経由して行われる、先の項のいずれかに記載の製造方法。
【0019】
(10)上記脱水素反応のための反応器の、大きさおよび量の上記条件は同一のままであり、軽オレフィンの生産量を、50%、好ましくは100%、より好ましくは150%、200%、500%または800%、最も好ましくは1000%またはそれ以上、増大することが可能である、先の項のいずれかに記載の製造方法。
【0020】
(11)転換していないアルカン供給原料を上記脱水素反応に循環する工程をさらに含んでいる、先の項のいずれかに記載の製造方法。
【0021】
(12)上記軽オレフィンリッチ炭化水素およびコークス化した使用済み触媒を製造する上記反応器において、脱水素条件下で上記脱水素反応を行うために、予熱されたアルカン供給原料および触媒を連続的に接触させる工程、
上記炭化水素と上記使用済み触媒とを分離し、分離された炭化水素を生産物分離回収システムに導入し、上記反応器から上記使用済み触媒を連続的に回収する工程、
上記反応器から回収された上記使用済み触媒を、使用済み触媒の受け器に搬送し、その後、ロックホッパーを経由して使用済み触媒の供給槽に搬送し、その後、上記使用済み触媒の供給槽から再生器に搬送し、再生された触媒を製造するために、上記再生器で、酸素含有雰囲気下で上記使用済み触媒を再生する工程、
連続的に上記再生された触媒を上記再生器から回収し、再生された触媒の受け器に搬送し、その後、ロックホッパーを経由して再生された触媒供給槽に搬送し、連続的に上記再生された触媒供給槽から上記反応器に戻って搬送する工程を含んでいる、先の項のいずれかに記載の製造方法。
【0022】
<技術的効果>
先行技術と比較すると、本発明による軽オレフィンの製造方法は、以下に示す利点を有する。
【0023】
本発明による軽オレフィンの製造方法は、反応圧力を増大させ、同時におよび対応して、アルカン供給原料の体積空間速度を増大させることによって、現存する反応器または反応工場の、大きさおよび量等の条件下で、同じものが維持され、先行技術と同等に、または、先行技術よりもより高い水準で、軽オレフィンの収率を維持することができ、軽オレフィンの生産量を著しく増大させる(例えば、1000%まで)。それゆえに、本発明の軽オレフィンの製造方法は、軽オレフィンの生産量を増大する方法であり、現存する軽オレフィンの製造工場を改築または改良して適用することができる。
【0024】
本発明による軽オレフィンの製造方法は、予め決められた、軽オレフィンの生産量を達成するために確実な条件で、先行技術と比較すると、反応器または反応工場の、大きさおよび量を著しく減少させることができ、それ相応に、軽オレフィン製造工場全体の規模および投資コストを減少させる。それゆえに、本発明による軽オレフィンの製造方法は、高い製造能を有する、軽オレフィンを製造するための、新しい世代の方法であり、小規模で、より低い投資コストで、および、現存する軽オレフィン製造工場よりもより高い軽オレフィンの生産量で、新しい世代の軽オレフィン製造工場の建設に応用できる。
【0025】
本発明による軽オレフィンの製造方法は、より低い圧力下で再生器の操作を維持し、より高い圧力下で反応器の操作を維持するため、軽オレフィンの製造方法および製造工場の、全体の複雑さを低減する。
【0026】
本発明による軽オレフィンの製造方法は、再生器の反応圧力よりも著しくより高い、反応器の反応圧力を有するため、圧力変更装置(例えば、ロックホッパーまたは触媒ホッパー)を使用することにより、反応器の炭化水素雰囲気と再生器の酸素含有雰囲気の完全な分離を行うことができ、それ相応に、製造方法および製造工場の、全体の安全性を確実にする。
【0027】
本発明の、他の特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明でさらに説明する。
【0028】
[図面の簡単な説明]
明細書の一部を構成する図面は、本発明のさらなる理解を与えるために使われ、以下の発明の詳細な説明と共に本発明を説明するのに役立つが、本発明を限定しようとするものではない。図面において、
図1は、本発明の特定の実施形態に係る、軽オレフィンの製造方法のフローチャートを示す。
【0029】
図2は、本発明のさらに特定の実施形態に係る、軽オレフィンの製造方法のフローチャートを示す。
【0030】
図3は、
図2における内蔵のバッフル(即ち、プレート型格子)の実施形態の、上面から見た図(A)および前方から見た図(B)を示す。
【0031】
<図の付記番号>
1:反応器、2:再生器、3:使用済み触媒の受け器、4:ロックホッパー、5:使用済み触媒の供給槽、6:再生された触媒の受け器、7:パイプライン、8:パイプライン、9:パイプライン、10:パイプライン、11:パイプライン、12:パイプライン、13:パイプライン、14:パイプライン、15:制御弁、16:制御弁、17:制御弁、18:制御弁、19:制御弁、20:制御弁、21:パイプライン、22:パイプライン、23:パイプライン、24:パイプライン、25:パイプライン、26:パイプライン、27:パイプライン、28:パイプライン、29:パイプライン、30:パイプライン、31:パイプライン、40:再生された触媒の供給槽、41:パイプライン、42:パイプライン、50:プレート型格子。
【0032】
[発明の詳細な説明]
以下に、本発明の特定の実施形態について、図面を参照して、詳細に説明する。ここで説明される特定の実施形態は、本発明を説明するためだけのつもりであることを理解されるべきであり、本発明は、何らかの方法で、それに限定されない。
【0033】
本明細書の文脈において、「軽オレフィンの収率」は、軽オレフィンの貫流する(once through)収率であり、「軽オレフィンの生産量」は、単位時間における、反応器あたりの軽オレフィンの貫流する生産量である。
【0034】
本発明によれば、軽オレフィンの製造方法は、軽オレフィンを製造する脱水素反応を行うために、アルカン供給原料および触媒を連続的に接触させる方法である。
【0035】
本発明による方法は、軽オレフィンリッチ炭化水素および使用済み触媒を得る脱水素反応を行うために、アルカン供給原料および触媒を連続的に接触させる工程、再生された触媒を得るために、使用済み触媒の少なくとも一部を再生反応に搬送する工程、および、脱水素反応に、上記再生された触媒の少なくとも一部を循環させる工程を含み得る。
【0036】
本発明による方法は、また、上記軽オレフィンリッチ炭化水素およびコークス化した使用済み触媒を製造する上記反応器において、脱水素条件下で上記脱水素反応を行うために、予熱されたアルカン供給原料および触媒を、連続的に接触させる工程、上記炭化水素と上記使用済み触媒とを分離し、分離された炭化水素を生産物分離回収システムに導入し、上記反応器から上記使用済み触媒を、連続的に回収する工程、上記反応器から回収された上記使用済み触媒を、使用済み触媒の受け器に搬送し、その後、ロックホッパーを経由して使用済み触媒の供給槽に搬送し、その後、上記使用済み触媒の供給槽から再生器(例えば、ストリッピングによって)に搬送し、再生された触媒を製造するために、上記再生器で、酸素含有雰囲気下で上記使用済み触媒を再生する工程、連続的に上記再生された触媒を上記再生器から回収し、再生された触媒の受け器に搬送し、その後、ロックホッパーを経由して再生された触媒供給槽に搬送し、連続的に上記再生された触媒供給槽から上記反応器に戻って搬送する工程を含み得る。
【0037】
本発明による再生器は、当業者に知られた、その分野において一般的に使われる、いずれの種類の再生器であり得る。例えば、流動床再生器または沸騰床再生器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
触媒の中の活性成分は、再生器の中でコークスが燃焼することによって使用済み触媒が再生された後、部分的に酸化され得ることは可能であるけれども、しかしながら、アルカンの脱水素反応は水素ガスを製造するという事実のため、再生された触媒を反応器に送り戻す前に、還元処理の影響を受けない場合でさえ、還元されることに加えて脱水素反応に加わり得ることは、当業者によって理解されることである。しかしながら、触媒の活性を高めるために、本発明の方法は、また、再生器から回収された、再生された触媒を、ロックホッパーを経由して再生された触媒供給槽へ搬送する工程、還元された触媒を製造するために、還元雰囲気において、それを減らす工程、そして連続的に、還元された触媒を反応器に送り戻す工程を含んでいる。
【0039】
本発明によるアルカン供給原料は、C2〜C12の直鎖または分枝状アルカン(好ましくはC2〜C5の直鎖または分枝状アルカン)またはそれらの混合物であり、例えば、エタン、プロパン、イソブタン、n−ブタンおよびイソペンタンから一つ以上選択される、または、天然ガス凝縮物、天然ガス液体、触媒熱分解液化ガス、油田ガス凝縮物、シェールガス凝縮物のうち少なくとも一つから選択され得る、または、他の産業的または天然に入手できる単量体アルカン供給原料またはそれらの混合物であり得る。
【0040】
本発明によると、アルカン供給原料は、また、低分子炭化水素の混合物であり得る。低分子炭化水素の混合物は、C3〜C12の炭化水素の混合物であり、例えば、直留ナフサ、油田ガス凝縮物、シェール油軽組成物、水素化ナフサ、コークスガソリンおよび熱分解ガソリンのうち少なくとも一つから選択されることができ、または、他の産業的または天然に入手できる低分子炭化水素の混合物であり得る。
【0041】
本発明によると、当業者によく知られている、一つ以上の反応器が使われ得る。反応器は、流動床反応器、密集床反応器、ライザー反応器、沸騰反応器またはそれらの組み合わせであり、好ましくは流動床反応器である。流動床反応器は、バブル流動床反応器または乱流流動床反応器を使用するのが好ましく、バブル流動床反応器がより好ましい。
【0042】
本発明の特定の実施形態によると、流動床反応器は、内蔵のバッフルを備えることができ、層の形成において、流動床反応器の中に位置づけられる。バッフルは、アルカン供給原料の転換率および所望される軽オレフィンの選択性を高めるために、炭化水素および/または触媒が不規則に混合して流動するのを避けることができ、反応のためのプラグ(plug)流動状態において、炭化水素および/または触媒を反応器に通過させる。内蔵されたバッフルは、プレート型格子であり得る。プレート型格子は、層の中に備えることができ、二つの隣接する層の間の距離は、20〜150cmであり、好ましくは50〜100cmである。プレート型格子の一番下の層の底面からプレート型格子の一番上の層の上面の距離は、反応器の内部空間の全高さの5%〜80%であり、好ましくは20%〜70%、より好ましくは30%〜50%である。プレート型格子の材料は、触媒熱分解再生ガス分配器または大孔分配プレートに使われる材料から選択され得る。格子の形状は、波形等であり得る。格子は、触媒およびガスが規則的に通過するための小または大孔分配プレートを平らに備え得る。
【0043】
反応器の中で反応後に作製された、炭化水素と使用済み触媒を分離するために、または、再生器の中で再生後に作製された、再生された触媒と排気ガスを分離するために、従来型のサイクロン分離器が使われ得る。当該サイクロン分離器は、当業者によってよく知られているため、ここでは詳細に説明しない。
【0044】
本発明の好ましい特定の実施形態によると、軽オレフィンリッチ炭化水素および使用済み触媒は、フィルターを用いて分離され得る。さらに、再生された触媒および排気ガスもまた、フィルターを用いて分離され得る。触媒を分離するためのフィルターの使用は、触媒粉末、および、炭化水素または排気ガスを含む粉塵を、効果的に除去し得る。先行技術で使われている従来型のサイクロン分離器と比較すると、フィルターの使用は、製造中の触媒の自然な損失を、最大限低減し得る。これは、本発明の注目すべき優位な点の一つである。
【0045】
本発明によると、フィルターは、金属焼結フィルターであり得る。金属焼結フィルターとしては、固体粉末または固体粒子をガス成分から効果的に分離し得る、並びに、強健で耐久性のある、多孔質の材料が知られている。本発明は、炭化水素と使用済み触媒を効果的に分離し得る限り、特定の種類および構造の金属焼結フィルターに限定されない。それゆえに、金属焼結フィルターについてここでは詳細に説明しない。
【0046】
本発明によると、触媒は、脱水素触媒熱分解、脱水素触媒/熱分解触媒複合触媒、または、それらの混合物であり、各触媒はそれぞれ当業者によく知られた従来型に使われ得る。本発明は、それらに特に限定されない。反応器および再生器の操作要件を満たすために、触媒は、一般的に、微小な球形である。
【0047】
本発明によると、脱水素触媒は、一般的に、活性成分および支持体を含んでいる。本発明の特定の実施形態によると、例えば、活性成分は、金属白金または酸化クロムであり、支持体は、アルミナであり得る。アルミナは、好ましくはγ−Al
2O
3、θ−Al
2O
3または両方の混合物である。触媒の全重量を基準にして、金属白金の含有量は、0.01w%〜1.0wt%、好ましくは0.05wt%〜0.2wt%であり得る。または、活性成分が酸化クロムの場合、酸化クロムの含有量は、1.0wt%〜30wt%、好ましくは8.0wt%〜20wt%であり得る。支持体の含有量は、釣り合う重量であり得る(即ち、全重量が100%)。本発明の特定の実施形態によると、脱水素触媒は、酸化鉄および/または酸化錫を任意に含むことができ、および、アルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物を任意に含み得る。触媒の全重量を基準にして、酸化鉄および/または酸化錫の含有量は、0wt%〜5.0wt%、好ましくは0.2wt%〜2wt%であり得る。アルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物の含有量は、0wt%〜5.0wt%、好ましくは0.5wt%〜2wt%であり得る。アルカリ金属酸化物は、例えば、酸化カリウムであり、アルカリ土類金属酸化物は、例えば、酸化マグネシウムであり得る。
【0048】
本発明によると、脱水素触媒/熱分解触媒混合触媒は、当業者によく知られており、活性成分、促進成分および支持体を含み得る。混合触媒は、脱水素反応および熱分解反応の機能を有するため、活性成分は脱水素機能の金属成分および熱分解機能の分子ふるい(モレキュラーシーブ)を含み得る。本発明の好ましい実施形態によると、脱水素機能の金属成分は、Cr、Fe、Pt、Sn、Zn、VおよびCu、または、それらの酸化物、好ましくはCrまたはPtおよびそれらの酸化物の一つ以上であり得る。脱水素機能の金属成分は、触媒の全重量の0.1〜30wt%の含有量を有し得る。熱分解機能の分子ふるいは、ZSM型ゼオライト、Y型ゼオライトおよびβ型ゼオライトの少なくとも一つであり、好ましくはZRP型ゼオライトであり、触媒の全重量の5〜50wt%、好ましくは20〜30wt%の含有量を有し得る。促進成分は、アルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物、好ましくは酸化カリウムおよび/または酸化マグネシウムであり、触媒の全重量の0.1〜5wt%の含有量を有し得る。支持体は、無機酸化物であり、例えば、アルミナ、シリカおよびアルミノシリケートの少なくとも一つであり、好ましくは結晶型アルミノシリケートであり、触媒の全重量の15〜94.8wt%の含有量を有し得る。流動床反応器および再生器の操作要件を満たすために、混合触媒は、一般的に、微小な球形であり、噴霧乾燥および球状に丸める等の産業上一般的な方法によって作製される。
【0049】
本発明によると、一般的に、脱水素反応の反応温度は、500〜700℃、好ましくは530〜600℃である。特に、軽オレフィンの生産量を増大するという本発明の目的を達成するために、脱水素反応の反応圧力Pは、0.4〜6MPa、好ましくは0.4〜3MPa、より好ましくは0.5〜2MPa、最も好ましくは0.6〜2MPaであり、脱水素反応の体積空間速度Hは、100〜5000h
−1、好ましくは200〜2000h
−1、最も好ましくは500〜1000h
−1である。
【0050】
本発明の特に好ましい実施形態は、脱水素反応において(言い換えると、現存する反応器または反応工場を基にして改良をするときに軽オレフィンの生産量を顕著に増加させたい場合)、HおよびPは、狭義増加関数である数学関数「H=f(P)」を満たす。特に、P(単位:MPa)は、[0.4,6.0]の間隔、好ましくは[0.4,3.0]の間隔、より好ましくは、[0.5,2.0]の間隔、最も好ましくは[0.6,2.0]の間隔であり、H(単位:h
−1)は、[100,5000]の間隔、好ましくは[200,2000]の間隔、最も好ましくは[500,1000]の間隔である。
【0051】
この狭義増加関数において、脱水素反応の反応圧力Pは、本発明によると、定義される特定数値間隔において高められ、脱水素反応の体積空間速度は、本発明によると、定義される特定数値間隔に対応して高められるべきである。本発明は、当業者が通常の判断に基づいている限り、反応圧力Pおよび体積空間速度Hの増大方法および増大幅(amplitude) に限定はなく、数値はそれぞれ実際に増大し、数値が同じまたは減少した数値のままにできない。本発明の特定の実施形態によると、反応圧力Pおよび体積空間速度Hは、同じまたは異なる幅における割合の中で、ときには同じ規模または同時に、軽オレフィンの生産を増大させる、期待される幅が達成されるまで、増大するのが好ましい。いくつかの場合、反応圧力Pが、本発明によると、先に定義されたある数値間隔の上限(例えば、2MPa)に達したとき、体積空間速度Hが、本発明によると、先に定義されたある数値間隔の上限(例えば、1000h
−1)に達することも、一般的に好ましいが、それらに限定されない。
【0052】
特に注意されるべきであるのは、実施例に示すように、反応圧力Pおよび体積空間速度Hのうちのいずれか一つまたは両方が、ここで先に定義された数値範囲または数値間隔の中に無いとき、増大する反応圧力P、および、同時におよび対応して増大する体積空間速度Hは、本発明の軽オレフィンの製造を顕著に増大する効果が得られない。これは、当業者によって、全く予測されない。
【0053】
本発明によると、当業者によく知られた再生反応条件が使われ、本発明は、それらの限定を有さない。例えば、再生反応の反応条件は、温度が550〜750℃、好ましくは600〜700℃、圧力が0.1〜0.5MPa、好ましくは0.1〜0.3MPa、使用済み触媒の滞留時間が5〜60分間、好ましくは6〜20分間であり、酸素含有雰囲気であり得る。酸素含有雰囲気は、流動溶媒として、空気、窒素希釈空気、酸素リッチガスであり得る。好ましい再生器の流動媒体は、空気または窒素希釈空気である。必要な場合、精錬乾燥ガスのような燃料ガスは、再生器の触媒床の温度を高めるために、補われ得る。
【0054】
還元条件は、使用される触媒に基づいて決められる。当該還元条件は、当業者によってよく知られているまたは容易に理解されるものである。本発明は、この点を詳細に説明する必要がある。例えば、反応条件は、温度が500〜600℃、圧力が0.4〜2.0MPa、触媒滞留時間が1〜10分間であることを含み得る。還元雰囲気は、流動溶媒としての水素ガス含有還元蒸気であり得る。還元蒸気は、かなりの酸素フリーガスであり、50〜100vol%の水素ガスを含み、0〜50vol%の精錬乾燥ガスを含み得る。さらに、触媒の活性成分として白金を使う場合、長期にわたって使用される触媒は、塩素化回復によって白金活性中心を再分配される必要がある。この場合、再生される触媒の供給槽は、塩素化処理器として使われる。
【0055】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明に係る、アルカン供給原料から軽オレフィンを製造する方法において、反応器の中の反応圧力は、再生器の中の再生圧力よりも高い、少なくとも0.3MPaに制御される。具体的には、脱水素反応の反応圧力Pは、再生反応の再生圧力よりも高い、少なくとも0.3MPa、好ましくは0.5MPa、0.7MPa、0.9MPa、1.2MPaまたは2.0MPaである。また、本発明によると、脱水素反応の反応圧力Pは、再生反応の再生圧力よりも高い、多くとも5MPa、3.5MPa、3MPa、2.5MPa、2MPa、1.5MPaまたは1MPaである。
【0056】
本発明によると、一つ以上の(好ましくは一つまたは二つの)触媒ホッパーによって、使用済み触媒の少なくとも一部は、再生反応に搬送され、および/または、再生された触媒の少なくとも一部は、脱水素反応に循環される。本発明によると、ロックホッパーは、触媒を、より高圧の炭化水素または水素環境の反応器から、より低圧の酸素環境の再生器へ、および、より低圧の酸素環境の再生器から、より高圧の炭化水素または水素環境の反応器へ、安全におよび効果的に搬送し得る。つまり、一方では、ロックホッパーの使用は、再生された触媒を還元するために、コークスの燃焼によって、再生するための再生器の中の酸素含有雰囲気から、反応器の中の還元雰囲気(炭化水素雰囲気)と、再生された触媒の触媒供給槽とを分離して、本発明の方法の安全性を保証し、もう一方では、反応器および再生器の操作圧力を、柔軟に調整および制御することができ、特に、再生器の操作圧力を増大させない場合、反応器の操作圧力が増大し得るため、工場の処理量を増大させる。
【0057】
本発明によるロックホッパーは、異なる雰囲気(例えば、酸素雰囲気および還元雰囲気)において、および/または、異なる圧力環境(例えば、高圧から低圧へ、または、低圧から高圧へ)において、同じ流れに切り替え得る、よく知られた装置である。反応器(より高圧の炭化水素環境)から、再生器(より低圧の酸素環境)へ、ロックホッパーを経由して触媒を搬送する工程は、(1)残留酸素を再生器に搬送するために、高温の窒素で、退避させたロックホッパーをパージする、(2)窒素を追い出すために、水素で、ロックホッパーをパージする、(3)水素で、退避させた触媒ホッパーを加圧する、(4)使用済み触媒の受け器から搬送された使用済み触媒で、退避させたロックホッパーを充填する、(5)加圧されたロックホッパーにおいて、水素を発散することによって、充填されたロックホッパーを減圧する、(6)水素を追い出すために、高温の窒素で、充填されたロックホッパーをパージする、(7)充填されたロックホッパーから、使用済み触媒の供給槽へ、使用済み触媒を放出する、を含み得る。再生器(より低圧の酸素環境)から、反応器(より高圧の炭化水素環境)へ、ロックホッパーを通って触媒を循環する工程は、(1)酸素を再生器に搬送するために、高温の窒素で、再生された触媒が充填されたロックホッパーをパージする、(2)窒素を追い出すために、水素で、ロックホッパーをパージする、(3)水素で、充填されたロックホッパーを加圧する、(4)充填されたロックホッパーから再生された触媒供給槽へ再生された触媒を放出する、(5)加圧されたロックホッパーにおいて、水素を発散することによって、退避させたロックホッパーを減圧する、(6)水素を追い出すために、高温の窒素で、退避させたロックホッパーをパージする、(7)再生された触媒の受け器から搬送された再生された触媒で、退避させたロックホッパーを充填する、を含み得る。
【0058】
本発明の特定の実施形態について、一つのロックホッパーのみ使われる、即ち、使用済み触媒および再生された触媒は、搬送のために、同じロックホッパーを使う、または、必要な場合、使用済み触媒および再生された触媒のそれぞれを搬送するために、異なるロックホッパーが使われ得る。上記変形は、本発明の保護範囲に属する。
【0059】
本発明の実施形態によると、使用済み触媒の受け器、再生触媒の受け器、使用済み触媒の供給槽、および再生された触媒の供給槽を備えることによって、反応器からの使用済み触媒は、ロックホッパーを通って、使用済み触媒の受け器へ、それから、再生された触媒の受け器へ連続的に搬送され、それから、使用済み触媒の供給槽から再生器へ触媒搬送され、再生器で再生された触媒は、ロックホッパーを通って、再生された触媒の受け器へ、それから、再生された触媒の供給槽へ、連続的に搬送され、それから、再生された触媒供給槽から反応器へ搬送されるために、反応器および再生器は連続的に接触され、再生された触媒の供給槽は、供給槽としておよび再生された触媒の還元剤をして使われ得る。使用済み触媒の受け器において、使用済み触媒の流れの中に含まれる炭化水素は、物質の損失を避けるために、水素と共に反応器に分離される。再生された触媒の受け器において、一方では、受け器の中の触媒は、窒素または他の酸素フリーガスで、流動状態に維持され、もう一方では、再生された触媒供給の流れの中に含まれる酸素は、再生器に分離され、同様に、使用済み触媒の供給槽において、空気または窒素は、流動状態において、供給槽の中の触媒を維持するために、触媒を持ち上げるための、持ち上げガスとして使われ得る。
【0060】
本発明によると、脱水素反応により必要とされる熱は、主に、高温再生触媒によって与えられる。必要な場合、供給原料および/または反応器に搬送される触媒のための熱装置は、追加で設置され得る。
【0061】
本発明の実施形態によると、使用済み触媒の受け器の中の使用済み触媒の流れに含まれる炭化水素は、水素と共に反応器に分離される。
【0062】
本発明に係る方法は、また、生産物分離回収システムから反応器への分離によって得られる、未反応のアルカン供給原料を搬送することを含み得る。
【0063】
本発明によると、脱水素反応のための反応器の、大きさおよび量等の上記条件は同一のままであり、言い換えると、現存する反応器または反応工場を基にして改良する場合、本発明により定義された測定の範囲における、反応器の増大する反応圧力および体積空間速度は、反応器のアルカン供給原料の処理量を著しく増大させることができ、それ相応に、軽オレフィンの生産量が増大し得る。この場合、軽オレフィンの生産量は、50%、好ましくは100%、より好ましくは150%、200%、500%または800%、最も好ましくは1000%またはそれ以上まで、増大され得る。
【0064】
本発明によると、軽オレフィンの収率は、先行技術と実質的に同一の水準で、または、先行技術よりも少し高い水準で維持されることに基づいて、軽オレフィンの生産量を増大させる目的は、反応器または反応工場の、アルカン供給原料の処理量を増大させることによって成し遂げられるということは、強調されるべきである。それゆえに、本発明による軽オレフィンの生産量の増大幅は、反応器または反応工場の、軽オレフィンの収率を損なう犠牲を伴う、アルカン供給原料の処理量を単に増大させることによって軽オレフィンの生産量の増大を達成することと比較して、著しくより高くなる(例えば、減少幅>20%)。本発明によると、軽オレフィンの収率は、先行技術と同等に、または、先行技術よりもより高い水準で維持され、例えば、一般的に38〜55%、好ましくは43〜50%である。
【0065】
他の観点からすると、軽オレフィンの予定された生産量を達成するという条件で、先行技術と比較すると、上記定義された本発明の方法による軽オレフィンの製造は、反応器または反応工場の大きさおよび量を、著しく減少させるため、軽オレフィンの製造工場の規模および投資コストを減少させる。
【0066】
本発明の特定の実施形態について、図面を参照してさらに説明するが、本発明はそれらに限定されない。本発明の説明に便利なため、流動床反応器は、例えば反応器として理解されるが、本発明はそれに限定されない。
【0067】
アルカン供給原料から軽オレフィンを製造する方法のフローチャートは、
図1に与えられるように、以下の通りである。
【0068】
図1に示すように、予め熱された供給原料は、パイプライン7を搬送され、および、供給原料の分配器を通って流動床反応器1へ搬送され、パイプライン28からの復活された再生された触媒に接触され、蒸発かつ反応し、それから反応器1の上部に搬送される。反応器1の頂部で、炭化水素生成物および少量の触媒粒子は、ガス固体分離器によって分離され、触媒粒子は、反応器の床層に返送され、分離された脱水素生成物は、さらなる分離のために、パイプライン8を通って、次の分離システムへ搬送される。反応器の上部から使用済み触媒は、パイプライン21を通って、使用済み触媒の受け器3へ搬送される。使用済み触媒の受け器3の中の触媒は、炭化水素を除去するために、パイプライン11から水素と共に分離され、それからパイプライン22および制御弁15を通って、ロックホッパー4へ連続的に搬送される。除去された炭化水素は、パイプライン31を通って反応器1へ搬送される。
【0069】
使用済み触媒は、ロックホッパー4の中で、パージする、加圧する、充填する、減圧する等の一連の処理が行われ、それからパイプライン23および制御弁18を通って、使用済み触媒の供給槽5へ連続的に搬送され、それからパイプライン24および制御弁19を通って連続的に搬送され、パイプライン12からの空気と混合され、パイプライン25によって、再生器2(例えば、流動床の再生器)の中央の頂部へ持ち上げられる。再生器2において、使用済み触媒は、コークスの燃焼反応によって触媒活性を取り戻すために、パイプライン9からの酸素含有ガスに接触される。再生排気ガスは、パイプライン10を通って、再生器2の頂部から放出され、熱交換および触媒粉末回収システムを通って搬送され、それから放出される。再生された触媒は、制御弁20を通って、パイプライン13からの窒素と混合され、パイプライン26によって、再生された触媒の受け器6へ持ち上げられる。再生された触媒の受け器6の中の触媒は、パイプライン14からの窒素と共に流体化され、触媒によって飛末同伴される酸素を除去するために分離され、パイプライン27および制御弁17を通って、ロックホッパー4へ連続的に搬送される。
【0070】
再生された触媒は、ロックホッパー4の中で、パージする、加圧する、充填する、減圧する等の一連の処理が行われ、それから制御弁16およびパイプライン28を通って、再生された触媒の供給槽40へ連続的に搬送され、それからパイプライン42を通って、反応器1へ搬送され、それからパイプライン7からの供給原料と接触して反応する。
【0071】
図2は、本発明によるさらに特定の実施形態である。このフローチャートは、
図1に基づいており、再生された触媒がロックホッパーから放出され、制御弁16およびパイプライン28を通って、再生された触媒供給槽40へ連続的に搬送されることを含んでいる。触媒供給槽40では、パイプライン41からの水素含有ガスによって、再生された触媒が還元され、それからパイプライン42を通って反応器1へ搬送される。反応器1では、再生された触媒が供給原料と接触される。供給原料および触媒は、中にプレート型格子50が取り付けられている反応器1の中で接触して反応する。
【0072】
[実施例]
以下に、本発明の特定の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0073】
実施例で使用した装置は、加圧された流動床装置であり、図面に示されるそれらと同様であるため、同様な、反応効果および再生効果を成し遂げる。
【0074】
実施例1〜12および比較例1〜10で使用した触媒は、調製した触媒である、Cr−Fe−K/Al
2O
3触媒である。Cr−Fe−K/Al
2O
3触媒(以下、クロム型触媒という)は、以下のように調製した。はじめに、780gの硝酸クロム(分析的に純粋)、100gの硝酸鉄(分析的に純粋)、および、80gの硝酸カリウム(分析的に純粋)を、固体として、3000gの蒸留水を含む垂直攪拌槽へ投入し、結果として得られた混合物を、1時間攪拌した。それから、予め乾燥させた2000gのγ−Al
2O
3を上記垂直攪拌槽へ投入し、結果として得られた混合物を、2時間、十分に攪拌して含浸させた。攪拌槽の中のスラリーを、過剰な水を濾過して除去するために、濾過槽へ搬送し、それから触媒を乾燥炉の中に入れ、少なくとも2時間、200℃で乾燥させた。乾燥させた触媒は、活性化されたCr−Fe−K/Al
2O
3脱水素触媒を製造するために、マッフル炉に入れ、520℃で6時間か焼して、使用するために乾燥器の中に入れた。
【0075】
<実施例1〜6>
実施例1〜6は、
図1に示すような方法によって行い、使用した供給原料はプロパン(純度99.5%以上)であり、上記Cr−Fe−K/Al
2O
3脱水素触媒を使用した。実施条件、供給原料の量、および、軽オレフィンの収率および生産量を、表1に列挙した。
【0076】
<比較例1〜4>
比較例1〜4は、
図1に示すような方法によって行い、使用した供給原料はプロパンであり、使用した触媒は実施例1〜6の触媒と同一であった。実施条件、供給原料の量、および、軽オレフィンの収率および生産量を、表1に列挙した。
【0077】
<実施例7〜12>
実施例7〜12は、
図1に示すような方法によって行い、使用した供給原料はイソブタン(純度99.5%以上)であり、上記Cr−Fe−K/Al
2O
3脱水素触媒を使用した。実施条件、供給原料の量、および、軽オレフィンの収率および生産量を、表2に列挙した。
【0078】
<比較例5〜10>
比較例5〜10は、
図1に示すような方法によって行い、使用した供給原料はイソブタンであり、使用した触媒は実施例7〜12の触媒と同一であった。実施条件、供給原料の量、および、軽オレフィンの収率および生産量を、表2に列挙した。
【0081】
実施例13〜18および比較例11〜15で使用した触媒は、以下のように予め調製した、脱水素/熱分解混合触媒である。或る量の産業グレードの触媒である熱分解触媒CIP−2(Sinopec Catalyst Co., Ltd. Qilu Division)を秤量した。上記熱分解触媒の活性成分は25wt%のZRP分子ふるいであり、バランス(残り)はアルミノシリケートであった。それから脱水素活性成分を、含浸法によって熱分解触媒に含浸させ、60〜70℃の水槽の中で加熱した。熱分解触媒に、H
2PtCl
6(分析的に純粋)、SnCl
2(分析的に純粋)、および、MgCl
2(分析的に純粋)の混合溶液を含浸させた。上記触媒を、Pt−Sn−Mg/ZRP触媒を製造するために、120℃で12時間乾燥させ、550℃で4時間か焼して、水蒸気で2時間、脱塩素化させた。Pt−Sn−Mg/ZRP触媒の中の、Pt成分は0.2%であり、Sn成分は1%であり、Mg成分は0.5%であり、バランスはZRP触媒であった。
【0082】
<実施例13〜18>
実施例13〜18は、
図2に示すような方法によって行い、使用した供給原料は、直留ナフサ(表3を参照)であり、上記Pt−Sn−Mg/ZRP触媒を使用した。実施条件、供給原料の量、および、軽オレフィンの収率および生産量を、表4に列挙した。
【0083】
<比較例11〜15>
比較例11〜15は、
図2に示すような方法によって行い、使用した供給原料は、直留ナフサであり、使用した触媒は実施例13〜18の触媒と同一であった。実施条件、供給原料の量、および、軽オレフィンの収率および生産量を、表4に列挙した。
【0086】
<実施例I>
実施例Iで使用した供給原料は、市販で入手できるガス製品であり、それぞれ、プロパン(純度≧99.5%)、イソブタン(純度≧99.5%)、および、プロパンとイソブタンの混合物(1:1の重量割合)であった。
【0087】
実施例Iで使用した触媒は、それぞれ、Cr−Fe−K/Al
2O
3触媒、および、Pt−Sn−K/Al
2O
3触媒であった。
【0088】
Cr−Fe−K/Al
2O
3触媒(以下、クロム型触媒という)は、以下のように調製した。はじめに、780gの硝酸クロム(分析的に純粋)、100gの硝酸鉄(分析的に純粋)、および、80gの硝酸カリウム(分析的に純粋)を、固体として、3000gの蒸留水を含む垂直攪拌槽へ投入し、結果として得られた混合物を、1時間攪拌した。それから、予め乾燥させた2000gのγ−Al
2O
3を上記垂直攪拌槽へ投入し、結果として得られた混合物を、2時間、十分に攪拌して含浸させた。攪拌槽の中のスラリーを、過剰な水を濾過して除去するために、濾過槽へ搬送し、それから触媒を乾燥炉の中に入れ、少なくとも2時間、200℃で乾燥させた。乾燥させた触媒は、活性化されたCr−Fe−K/Al
2O
3脱水素触媒を製造するために、マッフル炉に入れ、520℃で6時間か焼して、使用するために乾燥器の中に入れた。
【0089】
Pt−Sn−K/Al
2O
3触媒(以下、白金型触媒という)は、以下のように調製した。はじめに、20gの塩化白金酸(分析的に純粋)、120gの硝酸錫(分析的に純粋)、および、90gの硝酸カリウム(分析的に純粋)を、固体として、2400gの蒸留水を含む垂直攪拌槽へ投入し、結果として得られた混合物を、1時間攪拌した。それから、予め乾燥させた2000gのγ−Al
2O
3を垂直攪拌槽へ投入し、結果として得られた混合物を、2時間、十分に攪拌して含浸させた。攪拌槽の中のスラリーを、過剰な水を濾過して除去するために、濾過槽へ搬送し、それから触媒を乾燥炉の中に入れ、少なくとも2時間、180℃で乾燥させた。乾燥させた触媒は、活性化されたPt−Sn−K/Al
2O
3脱水素触媒を製造するために、マッフル炉に入れ、500℃で4時間か焼して、使用するために乾燥器の中に入れた。
【0090】
<実施例I−1>
実施例I−1は、
図1に示すような方法によって行い、使用した供給原料はプロパンであり、調製したクロム型触媒および白金型触媒をそれぞれ使用した。実施条件、供給原料の転換率および生成物選択性のデータを、表I−1に列挙した。
【0091】
<実施例I−2>
実施例I−2は、
図2に示すような方法によって行い、使用した供給原料はイソブタンであり、調製されたクロム型触媒および白金型触媒をそれぞれ使用した。実施条件、供給原料の転換率および生成物選択性のデータを、表I−2に列挙した。
【0092】
<実施例I−3>
実施例I−3は、
図2に示すような方法によって行い、使用した供給原料はプロパンとイソブタンの混合物であり、調製したクロム型触媒および白金型触媒をそれぞれ使用した。実施条件、供給原料の転換率および生成物選択性のデータを、表I−3に列挙した。
【0093】
表I−1、表I−2および表I−3から、本発明の流動床反応再生システムで、および、より低い反応温度およびより低い再生温度下で、供給原料の転換率および目的のオレフィンの収率は、現存する産業の脱水素化方法の水準に近づくことができ、反応システムの圧力が現存する産業工場の圧力よりもより高いため、本発明の反応システムの供給原料の処理量は、同じ他の操作条件下で、現存する産業工場の処理量よりもより高くなることを確認することができた。
【0097】
<実施例II>
実施例II−1、II−2およびII−3で使用した供給原料は、それぞれ、水素化ナフサ、熱分解ガソリンおよび直留ナフサであった(表II−1を参照)。
【0098】
脱水素触媒/熱分解触媒複合触媒は、以下のように、実験室で調製した。
【0099】
或る量の産業グレードの触媒である熱分解触媒CIP−2(Sinopec Catalyst Co., Ltd. Qilu Division)を秤量した。上記熱分解触媒の活性成分は25wt%のZRP分子ふるいであり、バランスはアルミノシリケートであった。それから脱水素活性成分を、含浸法によって熱分解触媒に含浸させ、60〜70℃の水槽の中で加熱した。熱分解触媒に、H
2PtCl
6(分析的に純粋)、SnCl
2(分析的に純粋)、および、MgCl
2(分析的に純粋)の混合溶液を含浸させた。上記触媒を、Pt−Sn−Mg/ZRP触媒を製造するために、120℃で12時間乾燥させ、550℃で4時間か焼して、水蒸気で2時間、脱塩素化させた。Pt−Sn−Mg/ZRP触媒の中の、Pt成分は0.2%であり、Sn成分は1%であり、Mg成分は0.5%であり、バランスはZRP触媒であった。
【0100】
<実施例II−1>
実施例II−1は、
図1に示すような方法によって行い、使用した供給原料は、水素化ナフサであった。実施条件、供給原料の転換率および生成物選択性のデータを、表II−2に列挙した。
【0101】
<実施例II−2>
実施例II−2は、
図2に示すような方法によって行い、使用した供給原料は、熱分解ガソリンであった。実施条件、供給原料の転換率および生成物選択性のデータを、表II−2に列挙した。
【0102】
<実施例II−3>
実施例II−3は、
図2に示すような方法によって行い、使用した供給原料は、直留ナフサであった。実施条件、供給原料の転換率および生成物選択性のデータを、表II−2に列挙した。
【0103】
表II−2から、本発明の流動床反応再生システムで、および、より低い反応温度およびより低い再生温度下で、熱分解ガスの収率および(C
2=+C
3=)の収率は、現存する産業の脱水素化の水準に近づくことができ、反応システムの圧力が現存する産業工場の圧力よりもより高いため、本発明の反応システムの供給原料の処理量は、同じ他の操作条件下で、現存する産業工場の処理量よりもより高くなることを確認することができた。