特許第6693969号(P6693969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロジャーズ、アルピの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6693969
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】治療用ホモ二量体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/08 20190101AFI20200427BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20200427BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   A61K38/08ZNA
   A61K45/00
   A61P3/10
【請求項の数】34
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-544990(P2017-544990)
(86)(22)【出願日】2015年11月16日
(65)【公表番号】特表2018-500386(P2018-500386A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】EP2015076712
(87)【国際公開番号】WO2016079066
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2018年11月13日
(31)【優先権主張番号】1420445.7
(32)【優先日】2014年11月18日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517172687
【氏名又は名称】ロジャーズ、アルピ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ、アルピ
【審査官】 池上 京子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−505640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−19/00
A61K 38/00−38/58
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、哺乳動物対象における高インスリン血症、高グルカゴン血症、耐糖能異常及び/又はインスリン抵抗性の治療又は予防に経口投与により使用される医薬組成物:
(i)共有結合された単量体ペプチドからなるホモ二量体であって、各単量体は、アミノ酸配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなり、ここで、単量体ペプチドは、単量体のN末端システイン残基の間のジスルフィド結合によって結合されている、ホモ二量体、または
前記ホモ二量体の薬学的に許容可能な塩、および
(ii)1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤。
【請求項2】
経口投与は、経口(peroral)投与である、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
経口投与は、口腔内投与である、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
口腔内投与は、舌下投与である、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
口腔内投与は、口腔投与である、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
哺乳動物対象が、ヒト対象である、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
ホモ二量体は、唯一の活性成分としてホモ二量体を含む製剤で投与される、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
ホモ二量体は、1つ以上の他の活性成分と組み合わせて投与される、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
ホモ二量体は、ホモ二量体および1つ以上の他の活性成分を含む製剤で投与されるか、またはホモ二量体を含む製剤は、1つ以上の他の活性成分を含む1つ以上の別々の製剤を哺乳動物対象に同時投与される、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
ホモ二量体は、1つ以上の他の抗糖尿病薬と組み合わせて投与される、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
ホモ二量体は、1つ以上の非機能的添加剤を含む薬学的に許容可能な組成物で投与される、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
ホモ二量体は、非機能的添加剤のみを含む医薬組成物で投与される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ホモ二量体は、別々の機能的添加剤の同時投与なしで、哺乳動物対象に投与される、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
ホモ二量体は、1つ以上の機能的添加剤を含む医薬組成物で投与されるか、またはホモ二量体は、別々の機能的添加剤を哺乳動物対象に同時投与される、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
ホモ二量体ペプチドは、1用量当たり0.1〜10mgで哺乳動物対象に投与される、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
ホモ二量体ペプチドは、0.001〜2mg/kgの用量で哺乳動物対象に投与される、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
糖尿病の治療または予防における使用のための、請求項に記載の組成物。
【請求項18】
共有結合された単量体ペプチドからなるホモ二量体、ここで各単量体はアミノ酸配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなり、該単量体ペプチドは、単量体のN末端システイン残基の間のジスルフィド結合によって結合されており、または該ホモ二量体の薬学的に許容可能なの、経投与による哺乳動物対象における高インスリン血症、高グルカゴン血症、耐糖能異常及び/又はインスリン抵抗性の治療または予防のための医薬の製造のための使用。
【請求項19】
経口投与は、経口(peroral)投与である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
経口投与は、口腔内投与である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
口腔内投与は、舌下投与である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
口腔内投与は、口腔投与である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
対象は、ヒト対象である、請求項1822のいずれかに記載の使用。
【請求項24】
ホモ二量体は、唯一の活性成分としてホモ二量体を含む製剤で投与される、請求項1823のいずれかに記載の使用。
【請求項25】
ホモ二量体は、1つ以上の他の活性成分と組み合わせて投与される、請求項183のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
ホモ二量体は、ホモ二量体および1つ以上の他の活性成分を含む製剤で投与されるか、またはホモ二量体を含む製剤が、1つ以上の他の活性成分を含む1つ以上の別々の製剤を哺乳動物対象に同時投与される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
ホモ二量体は、1つ以上の他の抗糖尿病薬と組み合わせて投与される、請求項1826のいずれかに記載の使用。
【請求項28】
ホモ二量体は、1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤を含む医薬組成物で投与される、請求項1827のいずれかに記載の使用。
【請求項29】
ホモ二量体は、1つ以上の非機能的添加剤を含む医薬組成物で投与されるか、またはホモ二量体は、非機能的添加剤のみを含む医薬組成物で投与される、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
ホモ二量体は、別々の機能的添加剤の同時投与なしで、哺乳動物対象に投与される、請求項1829のいずれかに記載の使用。
【請求項31】
ホモ二量体は、1つ以上の機能的添加剤を含む医薬組成物で投与されるか、またはホモ二量体は、別々の機能的添加剤を哺乳動物対象に同時投与される、請求項1830のいずれかに記載の使用。
【請求項32】
ホモ二量体ペプチドは、1用量当たり0.1〜10mgで哺乳動物対象に投与される、請求項1831のいずれかに記載の使用。
【請求項33】
ホモ二量体ペプチドは、0.001〜2mg/kgの用量で哺乳動物対象に投与される、請求項1831のいずれかに記載の使用。
【請求項34】
医薬が糖尿病の治療または予防における使用のための医薬である、請求項1833に記載のいずれかに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療用ペプチドおよびその使用に関する。特に、本発明は、ホモ二量体の経粘膜投与を介して、哺乳動物対象(糖尿病および関連疾患および状態など)における疾患および状態の治療または予防において、ジスルフィド結合単量体のホモ二量体またはその薬学的に許容可能な誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオアベイラビリティおよび安定性は、薬物送達における重要な要素であり、薬物および薬物送達経路の選択に影響を及ぼす。経口投与は、通常、例えば、患者の便宜性およびコンプライアンスのために、最も好ましい経路であるが、この経路は、治療用ペプチドにとって特に困難である。ペプチド薬物は、一般的に、粘膜、特に経口および腸粘膜を通る不十分な透過性を有する。さらに、ペプチドは、通常、生理学的条件下で不十分な安定性に苦しむ。特に、ペプチドは、通常、消化管および血漿のペプチダーゼおよびプロテアーゼによる分解に供される。治療用ペプチドの成功した経口(経口(peroral)または口腔内)送達は、一般的に、特殊ペプチドおよび/または特注の送達処方が必要であり、ペプチド自体が、そのバイオアベイラビリティまたは安定性を改善するために化学的に修飾されるか、または添加剤が、生理学的条件下で、ペプチドのバイオアベイラビリティまたは安定性を改善するために、設計、適用または選択される。
【0003】
例えば、治療用ペプチドを経口的に送達する努力は、酵素阻害剤(例えば、バシトラシン、メシル酸ナファモスタット、メシル酸カモスタット、グリコラートナトリウム、アプロチニン、ベスタチン、ペプスタチン、PMSF、ロイペプチンなどのプロテアーゼまたはペプチダーゼ阻害剤)、吸収促進剤、生体接着性ポリマー、特に粘膜接着性ポリマー(例えば、キトサン)、および輸送体分子などの様々な機能的添加剤の使用が挙げられる。治療用ペプチドの経口送達への関心にもかかわらず、ペプチドの経口バイオアベイラビリティおよび安定性を改善する方法を同定する努力を続けているにもかかわらず、治療用ペプチドの大部分は、依然として非経口的に、例えば注射によって、投与される。ペプチド治療の潜在的な問題は、いくつかの教科書(例えば、「Therapeutic Peptides and Protein Formulation: Processing and Delivery Systems(治療用ペプチドおよびたんぱく質処方:プロセシングおよび送達系」、A. K. Banga, 2005年:Delivery Technologies for Biopharmaceuticals: Peptides, Proteins, Nucleic Acids and Vaccines(バイオ医薬品のための送達技術:ペプチド、たんぱく質、核酸およびワクチン), Jorgensen & Nielsen, 2009年; Mucosal Delivery of Biopharmaceuticals: Biology, Challenges and Strategies(バイオ医薬品のための粘膜送達:生物学、挑戦と戦略), das Neves & Sarmento, 2014年)で強調されている。 治療用ペプチドの経粘膜送達、特に経口送達は、大きな課題のままである。
【0004】
糖尿病は、糖代謝、脂質代謝、およびアミノ酸代謝の障害をもたらす、インスリンの作用における急性または慢性の低下により高血糖状態が持続する疾患である。糖尿病は、眼、腎臓、神経系、心臓血管系、皮膚および他の領域における合併症と関連する。特定の治療は、糖尿病および関連疾患および状態に対して存在するが、これらの疾患および状態は、依然として問題があり、罹患率および死亡率の重要な原因である。
【0005】
糖尿病のための多くのペプチド治療は、すでにヒト臨床使用の規制承認を受けており(例えば、リラグルチドおよびリキシセチドは、2型糖尿病の治療のために承認されたGLP−1Rアゴニストである)、さらなるペプチド薬物が開発中である(例えば、Vliegheら、Drug Discovery Today 2010年1月、第15巻、40〜56頁およびKaspar & Reichert, Drug Discovery Today、2013年7月, 第18巻, 807〜817頁でレビューされるように;また共通所有の特許出願WO2007/017686参照)。しかしながら、糖尿病および関連する疾患および状態のための新規な治療法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ペプチド薬物の治療的使用に関する。特に、本発明は、共有結合された単量体ペプチドからなるホモ二量体の治療的使用に関し、各単量体は、アミノ酸配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなり、ここで、該単量体ペプチドは、単量体のN末端システイン残基の間のジスルフィド結合によってホモ二量体を形成するために結合される。本発明は、経粘膜投与によって、哺乳動物対象、好ましくはヒト対象における疾患または状態の治療または予防のためのこのホモ二量体、またはその薬学的に許容可能な誘導体の使用に関する。発明で使用されるホモ二量体は、驚くべきことに、経粘膜投与に適した機能的ペプチドから利益を得、特に経粘膜投与後の生理学的条件下で、予測できない経粘膜バイオアベイラビリティおよび/または予測できない安定性から利益を得ることを本発明者らによって、理論に縛られることなく、要求される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の側面において、本発明は、共有結合された単量体ペプチドからなるホモ二量体を提供し、各単量体は、アミノ酸配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなり、ここで、経粘膜投与による哺乳動物対象における疾患または状態の治療または予防における使用のために、単量体ペプチドは、単量体のN末端システイン残基の間のジスルフィド結合またはその薬学的に許容可能な誘導体によって結合される。
【0008】
第2の側面において、本発明は、(i)共有結合された単量体ペプチドからなるホモ二量体であって、各単量体は、アミノ酸配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなり、ここで、単量体ペプチドは、単量体のN末端システイン残基の間のジスルフィド結合、またはその薬学的に許容可能な誘導体によって結合され;および(ii)経粘膜投与によって哺乳動物対象における疾患または状態の治療または予防における使用のための、1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤を含む、医薬組成物を提供する。本発明で使用される薬学的に許容可能な添加剤は、標的疾患または状態の治療または予防において薬理学的活性または他の直接効果を提供しないが、ホモ二量体が添加剤と共に哺乳動物対象に投与される場合、ホモ二量体の薬理学的活性を改善するように作用し得る。本発明は、本明細書中の他の箇所で説明されるように、機能的および/または非機能的添加剤の使用を予想する。
【0009】
第3の側面において、本発明は、共有結合された単量体ペプチドからなるホモ二量体の使用を提供し、各単量体は、アミノ酸配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなり、ここで、単量体ペプチドは、経粘膜投与によって哺乳動物対象における疾患または状態の治療または予防のための医薬の製造において、単量体のN末端システイン残基の間のジスルフィオド結合、またはその薬学的に許容可能な誘導体によって結合される。
【0010】
第4の側面において、本発明は、哺乳動物対象における疾患または状態の治療または予防のための方法を提供し、共有結合された単量体ペプチドからなるホモ二量体の治療的または予防的有効量を対象に投与することを含み、各単量体は、アミノ酸配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなり、ここで、単量体ペプチドは、単量体のN末端システイン残基の間のジスルフィド、またはその薬学的に許容可能な誘導体によって結合され、該方法は、哺乳動物対象にホモ二量体の経粘膜投与を含む。
【0011】
第5の側面において、本発明は、医薬組成物を生成する方法を提供し、適切な量のホモ二量体またはその薬学的に許容可能な誘導体を1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤の適切な量と会合させることを含み、該ホモ二量体は、共有結合された単量体ペプチドからなり、各単量体は、アミノ酸配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなり、単量体ペプチドは、単量体のN末端システイン残基の間のジスルフィド結合によって結合される。
【0012】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の特定の特徴および態様を示唆するが、単なる例示として与えられることを理解すべきである。本開示の精神および範囲内の様々な変更および修正は、この詳細な説明から当業者に明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ペプチド薬物の治療的使用に関する。特に、本発明は、共有結合された単量体ペプチドからなるホモ二量体の治療的使用に関する。
【0014】
ホモ二量体
本発明は、共有結合された単量体からなるホモ二量体に関し、各単量体は、アミノ酸配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなり、ここで、単量体ペプチドは、単量体のN末端システイン残基の間のジスルフィド結合によってホモ二量体を形成するために結合される。
【0015】
本発明で使用されるホモ二量体は、共有の特許出願WO2007/017686で最初に記載された。ホモ二量体は、自然発生的な分子ではないが、それは、自然発生的なアミノ酸および結合のみを含む。例えば、ホモ二量体のアミノ酸の全ては、L型の標準アミノ酸である。さらに、単量体ペプチドのアミノ酸残基は、ペプチド結合によってもっぱら結合され、ホモ二量体は、任意のC末端修飾を含まない。本明細書中で使用される場合、「ホモ二量体」への言及は、非修飾ホモ二量体への言及であり、すなわち、ホモ二量体は、共有結合された単量体ペプチドからなり、各単量体はアミノ酸配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなり、ここで、(i)ホモ二量体のアミノ酸の全ては、L型の標準アミノ酸であり、(ii)単量体ペプチドのアミノ酸残基は、ペプチド結合によってもっぱら結合され、(iii)単量体ペプチドは、単量体のN末端システイン残基の間のジスルフィド結合によってホモ二量体を形成するために結合され、および(iv)ホモ二量体は、いかなるC末端修飾を含まない。
【0016】
本発明のいくつかの態様において、ホモ二量体は、哺乳動物対象に投与される。
【0017】
しかしながら、本明細書の他の箇所で説明されるように、本発明の他の態様において、ホモ二量体の薬学的に許容可能な誘導体は、哺乳動物対象に投与される。ホモ二量体は、化学的に修飾されて、ホモ二量体の薬学的に許容可能な誘導体を形成する。「化学的に修飾された」は、(a)異なる原子、結合または化学基でホモ二量体の一次構造中の1つ以上の原子、結合または化学基の置換、(b)ホモ二量体の一次構造への1つ以上のさらなる原子、結合または化学基の付加、および(c)ホモ二量体の一次構造から1つ以上の原子、結合または化学基の除去のいずれかを意味する。例えば、ホモ二量体におけるアミノ酸および/またはペプチド結合の限られた数は、ホモ二量体の有利な薬理学的特徴を無効にすることなく置換することができると予想される。また、特定のさらなる部分は、ホモ二量体の有利な薬理学的特徴を無効にすることなくホモ二量体に結合されることができると予想される。本発明は、経粘膜投与によって哺乳動物対象における疾患または状態の治療または予防のためのホモ二量体またはホモ二量体の薬学的に許容可能な誘導体の使用に関する。理論に縛られることなく、発明者らによって、本発明で使用されるホモ二量体は、驚くべきことに、経粘膜投与に適した機能的特性から利益を得、特に、経粘膜投与後の生理学的条件下で、予測できない経粘膜バイオアベイラビリティおよび/または予測できない安定性から利益を得ることが要求される。
【0018】
単量体ペプチドの調製
ホモ二量体の生成で使用される単量体ペプチド(またはその薬学的に許容可能な誘導体)は、任意の適切な方法を使用して生成され得る。そのような方法は、化学合成および組換え発現、並びに単量体配列の1つ以上のコピーを含むポリペプチドの酵素的または化学的切断を含む。
【0019】
化学合成
本発明で使用される単量体ペプチドは、任意の適切な化学合成法を使用して、化学合成によって生成され得る。ペプチドの合成生成のための方法は、当該分野において周知である。合成ペプチドを生成するための詳細な説明並びに実施の助言は、様々な教科書(例えば、Synthetic Peptides: A User’s Guide (Advances in Molecular Biology(合成ペプチド:ユーザーズガイド分(子生物学の進歩)), Grant G. A., Oxford University Press, 2002年、またはPharmaceutical Formulation: Development of Peptides and Proteins(医薬処方:ペプチドおよびたんぱく質の開発), FrokjaerおよびHovgaard, TaylorおよびFrancis, 1999年)に見出され得る。
【0020】
単量体ペプチドは、当業者に公知の様々な固体相合成技術を使用して生成され得る。例えば、t−BocまたはFMOCに基づく化学は、固体相ペプチド合成方法(例えば、「Solid Phase Peptide Synthesis(固体相ペプチド合成)」、eds. Stewart & Young, Pierce Chem. Coから入手可能を参照)で使用され得る。あるいは、溶液相合成が適用され得る(例えば、「Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins(ペプチドおよびたんぱく質の合成への化学的アプローチ)」、Lloyd−Williams, P., Albericio, F.およびGiralt, E., CRC Press, 1997年を参照)。
【0021】
組換えまたは無細胞発現
本発明で使用される単量体ペプチドは、通常、核酸からの発現によってではなく、化学合成によって生成されるだろうが、細胞または無細胞組換え発現系を介して単量体ペプチドを生成することもできる。当業者は、ペプチドおよびたんぱく質をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発現系を認識している。適切な組換え核酸(例えば、コード配列および制御配列を含む発現ベクター)は、当業者に公知の任意の数の方法論(例えば、Sambrook−Molecular Cloning: A Laboratory Manual(Sambrook−分子クローニング:実験室マニュアル)の最新版に記載されているように)を使用して得られることができる。単量体ペプチドの生成で使用される宿主細胞は、適切な発現ベクターで形質転換、トランスフェクトまたは形質導入され得、宿主細胞は、原核細胞または真核細胞であり得る。単量体ペプチドの生成に有用な細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞)は、例えば、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(www.atcc.org)、または他の公知または商業的なソースから既知および/または利用可能である。宿主細胞を培養するために使用される培地は、任意の従来の培地であり得る。適切な培地はまた、商業的供給者から利用可能であるか、または公開されたレシピに従って調製され得る。
【0022】
精製および分析
単量体ペプチドは、それらが精製されたあと、分取HPLCなどの任意の適切な方法によって、精製の所望の程度に精製され得る。例えば、細胞で組換え生成されるペプチドは、遠心分離またはろ過により培地から宿主細胞を分離すること、塩、例えば硫酸アンモニウムによって上清またはろ液のペプチド成分を沈殿させること、種々のクロマトグラフィー手順、例えば、HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等による精製を含む従来の手順によって培地から回収され得る。
精製された単量体ペプチドは、精製後、任意の適切な方法を使用して分析され得る。例えば、単量体ペプチドは、HPLCまたは質量分析によって分析され得る。
【0023】
ホモ二量体の調製
生成され、純度の所望の程度に精製されると、単量体ペプチドは、単量体ペプチドのN末端システイン残基の間のジスルフィド結合を形成することによって、ホモ二量体(またはその薬学的に利用可能な誘導体)を生成するために使用され得る。ジスルフィド結合は、N末端システイン残基のスルフヒドリル(−SH)基の酸化によって、例えば、システイン残基を形成する酸性水溶液中で二量体化してシステイン残基の自然な傾向の利益をとることによって、形成され得る。単量体ペプチドのジスルフィド結合のための適切な方法は、当該分野で公知である(例えば、Methods in Molecular Biology(分子生物学における方法)、第35巻、Peptide Synthesis Protocols(ペプチド合成プロトコル)、第7章: Formation of Disulfide Bonds in Synthetic Peptides and Proteins(合成ペプチドおよびたんぱく質におけるジスルフィド結合の形成), Andreuら、1994年)。
【0024】
精製および分析
ホモ二量体(またはその薬学的に許容可能な誘導体)は、任意の適切な方法(例えば、分取HPL)によって、精製の所望の程度に精製され得、精製されたホモ二量体またはその薬学的に許容可能な誘導体は、任意な適切な方法を使用して分析され得る。例えば、精製されたホモ二量体は、HPLCまたは質量分析によって分析され得る。
【0025】
医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)
単量体ペプチドおよびホモ二量体(または薬学的に許容可能な誘導体)は、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(CMP)規則に従って、すなわち、米国食品医薬品局(FDA)のGMP規則に完全に準拠して、生成され得る。
【0026】
薬学的に許容可能な誘導体
本明細書中の他の箇所に記載されるように、本発明のいくつかの態様において、ホモ二量体は、哺乳動物態様に投与される。しかしながら、他の態様において、ホモ二量体の薬学的に許容可能な誘導体は、哺乳動物対象に投与される。これらの態様において、ホモ二量体は、化学的に修飾されてホモ二量体の薬学的に許容可能な誘導体を形成する。用語「薬学的に許容可能な誘導体」は、ホモ二量体の任意の薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグを含む。
【0027】
いくつかの態様において、ホモ二量体が使用される。いくつかの態様において、ホモ二量体またはその薬学的に許容可能な誘導体が使用される。いくつかの態様において、ホモ二量体の薬学的に許容可能な誘導体が使用される。
いくつかの態様において、ホモ二量体の薬学的に許容可能な塩が使用される。いくつかの態様において、ホモ二量体またはその薬学的に許容可能な塩が使用される。いくつかの態様において、ホモ二量体の薬学的に許容可能なプロドラッグが使用される。いくつかの態様において、ホモ二量体またはその薬学的に許容可能なプロドラッグが使用される。いくつかの態様において、ホモ二量体またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグが使用される。
【0028】
薬学的に許容可能な塩
薬学的に許容可能な塩は、酸付加塩(ペプチド化合物の遊離アミノ基と形成される)を含み、例えば、塩酸またはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸などで形成される。遊離カルボキシル基で形成される塩はまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化(第二)鉄などの無機塩、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基に由来し得る。
【0029】
薬学的に許容可能な塩は、周知の方法によって調製され得る。塩は、塩が不溶性である溶媒または媒体中の適切な酸の1等量以上との遊離塩基型を反応させることによって、または減圧下または凍結乾燥によってまたは存在する塩をイオン交換樹脂上の別のアニオンで交換することによってなど除去される水などの溶媒中で、従来の方法によって形成され得る。薬学的に許容可能な塩のレビューについて、StahlおよびWermuth, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use (薬学的に許容可能な塩のハンドブック:特性、選択および使用)(Wiley−VCH, Weinheim, ドイツ, 2002年)を参照されたい。
【0030】
プロドラッグ
プロドラッグは、ホモ二量体の誘導体であり(それら自体の薬理学的活性をほとんどまたは全く有さない場合もある)、これは、インビボで投与される場合、ホモ二量体に変換される。プロドラッグは、例えば、インビボで代謝されてホモ二量体を形成する適切な部分でホモ二量体に存在する官能性を置換することによって、生成されることができる。プロドラッグの設計は、当該分野で周知である。一般的なプロドラッグの例は、薬物のエステルおよびアミドである。例えば、薬物がカルボン酸基(−COOH)を含む場合、カルボン酸基の水素原子は、エステルを形成するために置換され得る(例えば、水素原子は、C1−6アルキルによって置換され得る)。薬物がアルコール基(−OH)を含む場合、アルコール基の水素原子は、エステルを形成するために置換され得る(例えば、水素原子は、−C(O)C1−6アルキルによって置換され得る)。薬物が第1級または第2級アミノ基を含む場合、アミノ基の1つ以上の水素原子は、アミドを形成するために置換され得る(例えば、1つ以上の水素原子は、C(O)C1−6アルキルによって置換され得る)。したがって、いくつかの態様において、ホモ二量体の薬学的に許容可能なプロドラッグは、ホモ二量体のエステルまたはアミドプロドラッグである。
【0031】
何も特定されない場合、本発明で使用されるホモ二量体の単量体のC末端アミノ酸は両方、遊離カルボン酸型(−OH)として存在することが理解されるべきである。しかしながら、ホモ二量体における単量体の1つまたは両方のC末端アミノ酸は、いくつかの態様において、独立して、アミド化誘導体(−NH2)であり得る。単量体の1つまたは両方のC末端のアミド化は、ホモ二量体のプロテアーゼ分解を低下させ得る。
【0032】
他の薬学的に許容可能な誘導体
本明細書中の他の箇所に記載されるように、プロテアーゼまたはペプチダーゼなどの酵素による切断に対する感受性は、通常は、ペプチド薬物、特に経口投与のための主な問題である。プロテアーゼまたはペプチダーゼによる切断に対するペプチド薬物の感受性が問題である場合、非切断的代替物との感受性ペプチド結合との置換、またはD−アミノ酸残基とのL−アミノ酸残基の置換、または修飾されたN末端またはC末端基の使用は、治療的使用のためのペプチドを安定させるために時々使用される。これらの戦略は、当該分野で公知である。
【0033】
本明細書中の他の箇所に記載されるように、本発明のいくつかの態様において、ホモ二量体は、哺乳動物対象に投与される。驚くべきことに、本発明で使用されるホモ二量体は、ペプチダーゼまたはプロテアーゼなどの酵素による分解からホモ二量体を保護することが意図される化学修飾なしに、哺乳動物対象において治療的に有効であることが見出された。ホモ二量体は、自然発生的な分子ではないが、それは、自然発生的なアミノ酸のみを含む(ホモ二量体のアミノ酸の全ては、L型の標準アミノ酸である)。さらに、単量体ペプチドのアミノ酸残基は、もっぱらペプチド結合によってのみ結合され、ホモ二量体は、任意のC末端修飾を含まない。
【0034】
しかしながら、限られた数の化学修飾は、ホモ二量体の有利な薬理学的特性を無効にすることなく、ホモ二量体の薬学的に許容可能な誘導体を形成するホモ二量体の一次構造にされ得ることが予想される。
【0035】
例えば、いくつかの態様において、(i)ホモ二量体中の原子の限られた数(6つまで、5つまで、4つまで、3つまで、2つまでまたは1つのみなど)は、異なる原子で置換され得ること;(ii)ホモ二量体中の化学基の限られた数(6つまで、5つまで、4つまで、3つまで、2つまでまたは1つのみなど)は、異なる化学基で置換され得ること;(iii)ホモ二量体中のアミノ酸の限られた数(3つまで、2つまでまたは1つのみなど)は、異なるアミノ酸で置換され得ること;および/または(iv)ホモ二量体中のペプチド結合の限られた数(6つまで、5つまで、4つまで、3つまで、2つまでまたは1つのみなど)は、異なる結合で置換され得ることが予想される。より具体的な例として、いくつかの態様において、ホモ二量体中のアミノ酸の限られた数(アミノ酸の3つまで、2つまでまたは1つのみなど)は、ホモ二量体の有利な薬理学的特性を無効にすることなく、D型のアミノ酸で置換されることができる。
【0036】
いくつかの態様において、本発明で使用される薬理学的に許容可能な誘導体は、ホモ二量体の単量体に対して3つ以下、2つ以下、または1つのみのアミノ酸置換(複数可)をそれぞれ有する単量体を含む。
【0037】
いくつかの態様において、(i)さらなる原子の限られた数(6つまで、5つまで、4つまで、3つまで、2つまでまたは1つのみなど)が、ホモ二量体の一次構造に付加され得ること;(ii)さらなる化学基の限られた数(6つまで、5つまで、4つまで、3つまで、2つまでまたは1つのみなど)が、ホモ二量体の一次構造に付加され得ること;および/または(iii)さらなるアミノ酸の限られた数(3つまで、2つまで、または1つのみなど)が、ホモ二量体の一次構造に付加され得ることも予想される。
【0038】
いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、ホモ二量体の単量体に対して3つ以下、2つ以下、または1つのみのさらなるアミノ酸(複数可)をそれぞれ有する単量体を含む。
【0039】
いくつかの態様において、(i)ホモ二量体中の原子の限られた数(6つまで、5つまで、4つまで、3つまで、2つまで、または1つのみなど)が除去され得ること;(ii)ホモ二量体中の化学基の限られた数(6つまで、5つまで、4つまで、3つまで、2つまでまたは、1つのみなど)が除去され得ること;および/または(iii)ホモ二量体中のアミノ酸の限られた数(3つまで、2つまで、または1つのみなど)が除去され得ることも予想される。
【0040】
いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、ホモ二量体の単量体に対して3つ以下、2つ以下、または1つのみのアミノ酸欠失(複数可)をそれぞれ有する単量体を含む。
【0041】
いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して3つ以下のアミノ酸置換;および(2)ホモ二量体の単量体に対して3つ以下のさらなるアミノ酸をそれぞれ有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体に対して3つ以下のアミノ酸置換;(2)ホモ二量体の単量体に対して3つ以下のアミノ酸欠失をそれぞれ有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して3つ以下のアミノ酸置換;(2)ホモ二量体の単量体に対して3つ以下のさらなるアミノ酸;および(3)ホモ二量体の単量体に対して3つ以下のアミノ酸欠失をそれぞれ有する単量体を含む。
【0042】
いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して2つ以下のアミノ酸;および(2)ホモ二量体の単量体に対して2つ以下のさらなるアミノ酸をそれぞれ有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して2つ以下のアミノ酸置換;および(2)ホモ二量体の単量体に対して2つ以下のアミノ酸欠失をそれぞれ有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して2つ以下のアミノ酸置換;(2)ホモ二量体の単量体に対して2つ以下のさらなるアミノ酸;および(3)ホモ二量体の単量体に対して2つ以下のアミノ酸欠失をそれぞれ有する単量体を含む。
【0043】
いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して1つ以下のアミノ酸置換;および(2)ホモ二量体の単量体に対して1つ以下のさらなるアミノ酸をそれぞれ有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して1つ以下のアミノ酸置換;および(2)ホモ二量体の単量体に対して1つ以下のアミノ酸欠失をそれぞれ有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して1つ以下のアミノ酸置換;(2)ホモ二量体の単量体に対して1つ以下のさらなるアミノ酸;および(3)ホモ二量体の単量体に対して1つ以下のアミノ酸欠失をそれぞれ有する単量体を含む。
【0044】
いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して3つ以下のアミノ酸置換;および(2)ホモ二量体の単量体に対してさらなるアミノ酸がないことをそれぞれ有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して3つ以下のアミノ酸置換;および(2)ホモ二量体の単量体に対してさらなるアミノ酸がないそれぞれを有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して3つ以下のアミノ酸置換;(2)ホモ二量体の単量体に対してさらなるアミノ酸がない;および(3)ホモ二量体の単量体に対してアミノ酸欠失がないことをそれぞれ有する単量体を含む。
【0045】
いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して2つ以下のアミノ酸置換;および(2)ホモ二量体の単量体に対してさらなるアミノ酸がないことをそれぞれ有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して2つ以下のアミノ酸置換;および(2)ホモ二量体の単量体に対してアミノ酸欠失がないことをそれぞれを有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して2つ以下のアミノ酸置換;(2)ホモ二量体の単量体に対してさらなるアミノ酸がないこと;および(3)ホモ二量体の単量体に対してアミノ酸欠失がないことをそれぞれ有する単量体を含む。
【0046】
いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して1つ以下のアミノ酸置換;および(2)ホモ二量体の単量体に対してさらなるアミノ酸がないことをそれぞれ有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して1つ以下のアミノ酸置換;および(2)ホモ二量体の単量体に対してアミノ酸欠失がないことをそれぞれ有する単量体を含む。いくつかの態様において、本発明で使用される薬学的に許容可能な誘導体は、(1)ホモ二量体の単量体に対して1つ以下のアミノ酸置換;(2)ホモ二量体の単量体に対してさらなるアミノ酸がないこと;(3)およびホモ二量体の単量体に対してアミノ酸欠失がないことをそれぞれ有する単量体を含む。
【0047】
アミノ酸修飾の限られた数(すなわち、アミノ酸置換、付加および/または欠失の限られた数)は、本明細書中で記載されるホモ二量体の有利な薬理学的特性を無効にすることなく、ホモ二量体の一次構造に対してホモ二量体の薬学的に許容可能な誘導体を形成され得ることが予想される。
【0048】
いくつかの態様において、ホモ二量体は、ホモ二量体の有利な薬理学的特性を無効にすることなくホモ二量体の一次構造に追加の部分の共有結合によって化学的に修飾され得ることも予想される。
【0049】
脂質(例えば、脂肪酸)の結合は、ペプチド薬物の薬理学的特性を改善するために当該分野で使用される化学的修飾である。いくつかの態様において、ホモ二量体中の単量体はいずれも、脂質部分に結合されない、すなわち、いくつかの態様において、ホモ二量体は、脂質化されない。ホモ二量体は、この化学修飾なしで驚くほど有効であることが本明細書中で示される。しかしながら、ホモ二量体の治療効果は、ホモ二量体中の単量体の一方または両方の脂質化によって改善され得、したがって、いくつかの態様において、単量体の一方または両方は、脂質化されることが予想される。
【0050】
ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーの結合は、ペプチド薬物の薬理学的特性を改善するために当該分野で使用される別の化学修飾である。いくつかの態様において、ホモ二量体中の単量体のいずれもPEG部分に結合されない、すなわち、いくつかの態様において、ホモ二量体は、PEG化されない。ホモ二量体は、この化学修飾なしで驚くほど有効であることが本明細書中に示される。しかしながら、ホモ二量体の治療効果は、ホモ二量体中の単量体の一方または両方のPEG化によって改善され得、したがって、いくつかの態様において、単量体の一方または両方が、PEG化されることが予想される。
【0051】
グリコシル化は、ペプチド薬物の薬理学的特性を改善するために当該分野で使用される別の化学修飾である。いくつかの態様において、単量体のいずれも、単糖類または多糖類に結合されない、すなわち、いくつかの態様において、ホモ二量体は、グリコシル化されない。ホモ二量体は、この化学修飾なしで驚くほど有効であることが、本明細書中に示される。しかしながら、ホモ二量体の治療効果は、ホモ二量体中の単量体の一方または両方のグルコシル化によって改善され得、したがって、いくつかの態様において、単量体の一方または両方が、グルコシル化されることが予想される。
【0052】
医薬組成物
純度の所望の程度のために適切に生成および精製されると、ホモ二量体は、通常、それを1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤と結合することによって、医薬組成物中に処方されるだろう。しかしながら、ホモ二量体は、いくつかの態様において、薬学的に許容可能な添加剤なしで単独で投与され得、すなわち、任意の薬学的に許容可能な添加剤の非存在下で製剤として包装され得る。いくつかの態様において、ホモ二量体は、対象に投与される唯一の成分であり、すなわち、ホモ二量体は、任意の他の成分の非存在以下で、製剤として包装され得る。添加剤が使用される場合、本発明は、本明細書中の別の箇所で説明されるように、機能的添加剤および/または非機能的添加剤を含む医薬組成物の使用を予想する。
【0053】
本発明は、活性成分としてホモ二量体の使用を含む。用語「活性成分」は、本明細書中で使用される場合、標的とされる疾患または状態の治療または予防において、薬理学的活性または他の直接的な効果を提供する薬剤の任意の成分を指す。いくつかの態様において、ホモ二量体は、哺乳動物対象に投与される製剤の唯一の成分として使用される。いくつかの態様において、ホモ二量体は、哺乳動物対象に投与される製剤の唯一の活性成分として使用される。他の態様において、哺乳動物対象に投与される製剤は、1つ以上の他の活性成分と組み合わせたホモ二量体を含む。他の態様において、哺乳動物対象に投与される製剤は、1つ以上の他の活性成分と組み合わせホモ二量体を含む。いくつかの態様において、ホモ二量体を含む製剤は、本明細書の他の箇所で説明されるように、併用療法のための1つ以上の他の活性成分を含む別々の製剤と哺乳動物対象に同時投与される。
【0054】
本明細書中で使用される用語「医薬組成物」は、1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤と共に、および任意に1つ以上の他の活性成分と共に、活性成分としてホモ二量体を含む製剤を指し、患者に投与されるような最終の剤形(製剤)に限定されない。
【0055】
本明細書中で使用される場合、用語「製剤」は、患者に投与されるように、任意に1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤および/または任意に1つ以上の他の活性成分と共に活性成分としてホモ二量体を含む最終剤形を指す。
【0056】
添加剤
本明細書中で使用さる場合、用語「添加剤」は、活性成分(複数可)以外の製剤の任意の成分を指す。したがって、用語「添加剤」は、標的とされる疾患または状態に対して薬理学的活性または他の直接的な効果を提供しない製剤の任意の成分を指す。
【0057】
「薬学的に許容可能な」添加剤は、組成物の他の成分と適合性であり、哺乳動物対象に対して有害ではない(例えば、それは非毒性である)添加剤である。用語「薬学的に許容可能な添加剤」は、獣医学的使用に適した添加剤並びにヒト使用に適した添加剤を含む。
【0058】
ヒトでの使用に適した添加剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy and Aulton’s Pharmaceutics(薬学とAultonの薬学の化学と実践): The Design and Manufacture of Medicines(医薬品の設計製造)の最新版に記載され、これらは、両方標準的な参考テキストである。添加剤の種類の例には、充填剤、増量剤、希釈剤、湿潤剤、溶媒、乳化剤、防腐剤、香味料、吸収促進剤、粘膜接着剤などの生体接着剤、酵素阻害剤、除放性マトリックス、着色剤およびその他が挙げられる。
【0059】
「機能的」および「非機能的」添加剤
本発明は、機能的添加剤および/または非機能的添加剤を含む医薬組成物の使用を予想する。
【0060】
本明細書中に記載される場合、用語「機能的添加剤」は、ホモ二量体が添加剤と共に哺乳動物対象に投与される場合、ホモ二量体の薬理学的活性を改善するために作用する添加剤を指す。「機能的添加剤」は、製剤の製造、輸送、貯蔵および/または投与をさらに改善し得る。用語「機能的添加剤」は、ホモ二量体の薬理学的活性を改善するために、または治療用ペプチドの薬理学的活性を改善することとして当該技術で認識される任意の添加剤にみを改善するためだけに特別に設計、適用または選択された任意の添加剤だけではなく、ホモ二量体が、添加剤と共に哺乳動物対象に投与される場合、ホモ二量体の薬理学的活性を本質的に改善する任意の添加剤も指す。
【0061】
「非機能的添加剤」は、本明細書中で定義されるような機能的添加剤ではない任意の添加剤である。したがって、本明細書中で使用される場合、「非機能的添加剤」は、ホモ二量体が添加剤と共に哺乳動物対象に投与される場合、ホモ二量体の薬理学的活性を改善するように作用しない任意の添加剤であるが、「非機能的添加剤」は、ホモ二量体の製造、輸送、貯蔵および/または投与を改善し得る。
【0062】
本発明のいくつかの態様において、ホモ二量体は、任意の「機能的」添加剤の非存在下で、医薬組成物中に処方されるか、または投与される。これらの態様において、ホモ二量体は、1つ以上の「非機能的」添加剤を含む組成物中で任意に処方されるか、または投与される。ホモ二量体は、活性成分(複数可)に加えて「非機能的」添加剤のみを含む医薬組成物中に処方されるか、または投与され得る。これらの態様において、ホモ二量体の薬理学的活性を改善するのに十分な量で存在しなければ、少量の機能的添加剤は、哺乳動物対象に投与される組成物に存在し得る。
【0063】
本発明の他の態様において、ホモ二量体は、ホモ二量体の薬理学的活性を改善する十分な量で、1つ以上の「機能的」添加剤の存在下で処方されるか、または投与される。
他の態様において、本発明で使用される組成物は、1つ以上の機能的添加剤および1つ以上の非機能的添加剤を含む。
【0064】
驚くべきことに、ホモ二量体が添加剤と共に哺乳動物対象に投与される場合にホモ二量体の経粘膜バイオアベイラビリティを改善する任意の機能的添加剤なしに処方される場合、ホモ二量体が哺乳動物(特にヒト)対象への経粘膜投与において治療的に有効であることが発明者によって見出された。したがって、本発明のいくつかの態様において、ホモ二量体が、添加剤と共に哺乳動物態様に投与される場合、ホモ二量体は、ホモ二量体の経粘膜バイオアベイラビリティを改善する任意の機能的添加剤の非存在下で処方されるか、または投与される。これらの態様において、ホモ二量体は、ホモ二量体の経口バイオアベイラビリティを改善する任意の添加剤の非存在下で処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体は、ホモ二量体の経口的(peroral)バイオアベイラビリティを改善する任意の添加剤の非存在下で処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体は、ホモ二量体の口腔内バイオアベイラビリティを改善する任意の添加剤の非存在下で処方されるか、または投与され得る。
【0065】
ホモ二量体は、ホモ二量体の鼻バイオアベイラビリティを改善する任意の添加剤の非存在下で処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体は、ホモ二量体の肺バイオアベイラビリティを改善する任意の添加剤の非存在下で処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体は、ホモ二量体の膣バイオアベイラビリティを改善する任意の添加剤の非存在下で処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体は、ホモ二量体の直腸バイオアベイラビリティを改善する任意の添加剤の非存在下で処方されるか、または投与され得る。これらの態様において、組成物に存在しない添加剤は、同様に、ホモ二量体の経粘膜バイオアベイラビリティを特別に設計、適用または選択される任意の添加剤だけでなく、ホモ二量体の経粘膜バイオアエイラビリティを改善するような当該分野で認識される任意の添加剤だけでなく、ホモ二量体が添加剤と共に哺乳動物対象に投与される場合、ホモ二量体の経粘膜バイオアベイラビリティを本質的に改善する任意の添加剤である。同様に、少量のそのような機能的添加剤は、ホモ二量体の経粘膜バイオアベイラビリティを改善するのに十分な量で存在しなければ、哺乳動物対象に投与される組成物中に存在し得る。
【0066】
ペプチド薬物の経粘膜バイオアベイラビリティを改善する当該分野で通常使用される機能的添加剤のタイプは、吸収促進剤(また透過促進剤または浸透促進剤としても知られている;例えば、胆汁塩および胆汁酸、脂肪酸、界面活性剤、アシルカルニチン、リン脂質、シクロデキストリン、カチオンまたはアニオンポリマー、チオール化ポリマー、合成ペプチドなど)、粘膜接着剤などの生体接着剤(例えば、トリメチルキトサンおよびチオール化キトサン、ペクチンなどのキトサンおよびその誘導体、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸およびその誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース(MC)およびカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)などのセルロース誘導体、ヒアルロン酸、ポリカルボフィル、カルボポール/カーボマー、キサンタンガム、ガーガム、ヒドロキシプロピルガアーガムおよびカラギーナンなどのガム類、および様々なコポリマー(例えば、ポリ(ヒドロキシセチルメタクリレート)など)、微粒子担体(例えば、ポリマーまたは脂質微粒子、ポリマーまたは脂質ナノ粒子、脂質マイクロエマルジョン、リポソームなど)および共有または非共有結合輸送体分子(例えば、L−ペネトリンなどの細胞透過性ペプチド)を含むが、それらに限定されない。
【0067】
本発明のいくつかの態様において、機能的添加剤のこれらの記載されたタイプの1つ以上は、医薬組成物における使用から特に排除される。例えば、いくつかの態様において、ホモ二量体は、任意の吸収促進剤、特に任意の粘膜吸収促進剤の非存在下で処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体はまた、任意の粘膜接着剤の非存在下など、任意の生体接着剤の非存在下で、処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体はまた、任意の共有または非共有結合輸送体分子の非存在下で処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体はまた、任意の吸収促進剤、生体接着剤、および共有または非共有結合輸送体分子の非存在下で処方されるか、または投与され得る。いくつかの態様において、ホモ二量体は、吸収促進剤(また透過促進剤または浸透促進剤としても知られている;例えば、胆汁塩および胆汁酸、脂肪酸、界面活性剤、アシルカルニチン、リン脂質、シクロデキストリン、カチオンまたはアニオンポリマー、チオール化ポリマー、合成ペプチドなど)、粘膜接着剤などの生体接着剤(例えば、トリメチルキトサンおよびチオール化キトサン、ペクチンなどのキトサンおよびその誘導体、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸およびその誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース(MC)およびカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)などのセルロース誘導体、ヒアルロン酸、ポリカルボフィル、カルボポール/カーボマー、キサンタンガム、ガーガム、ヒドロキシプロピルガアーガムおよびカラギーナンなどのガム類、および様々なコポリマー(例えば、ポリ(ヒドロキシセチルメタクリレート)など)、微粒子担体(例えば、ポリマーまたは脂質微粒子、ポリマーまたは脂質ナノ粒子、脂質マイクロエマルジョン、リポソームなど)および共有または非共有結合輸送体分子(例えば、L−ペネトリンなどの細胞透過性ペプチド)から選択される任意の添加剤の非存在下で処方されるか、または投与される。
【0068】
しかしながら、ホモ二量体の治療有効量は、ホモ二量体が添加剤と共に哺乳動物対象に投与される場合、ホモ二量体の経粘膜バイオアベイラビリティを改善する機能的添加剤の使用によって改善され得ることが予想される。したがって、他の態様において、ホモ二量体は、ホモ二量体は、添加剤と共に哺乳動物対象に投与される場合、ホモ二量体の経粘膜バイオアベイラビリティを改善する1つ以上の機能的添加剤の存在下で処方されるか、または投与される。これらの態様において、ホモ二量体は、ホモ二量体の経口バイオアベイラビリティを改善する1つ以上の添加剤の存在下で処方されるか、または投与される。ホモ二量体は、ホモ二量体の経口的(peroral)バイオアベイラビリティを改善する1つ以上の添加剤の存在下で処方されるか、または投与される。ホモ二量体は、ホモ二量体の口腔内バイオアベイラビリティを改善する1つ以上の添加剤の存在下で処方されるか、または投与され得る。ペプチド薬物の経粘膜(例えば、経口(oral)、経口的(peroral)または口腔内)バイオアベイラビリティを改善するために通常使用される機能的添加剤のタイプとしては、上記のものが挙げられる。
【0069】
いくつかの態様において、ホモ二量体は、ホモ二量体が添加剤と共に投与される場合、ホモ二量体は、ホモ二量体の生物学的安定性を改善する任意の機能的添加剤の非存在下で(例えば、ペプチダーゼまたはプロテアーゼによって、酵素分解からホモ二量体を保護する任意の機能的添加剤の非存在下で)処方されるか、または投与される。いくつかの態様において、ホモ二量体は、ペプチダーゼまたはプロテアーゼ阻害剤などの酵素阻害剤の非存在下で(例えば、バシトラシン、メシル酸ナファモスタット、メシル酸カモスタットおよび/またはグリコラートナトリウム、アプロチニン、ベスタチン、ペプスタチン、PMSF、ロイペプシンなどの非存在下で)、ホモ二量体は、処方されるか、または投与される。
【0070】
しかしながら、ホモ二量体の治療有効量は、ホモ二量体が添加剤と共に投与される場合(例えば、ペプチダーゼまたはプロテアーゼによる酵素分解からホモ二量体を保護する任意の機能的添加剤の存在下で)、ホモ二量体の生物学的安定性を改善する機能的添加剤の使用によって改善され得ることが予想される。したがって、他の態様において、ホモ二量体は、ペプチダーゼまたはプロテアーゼ阻害剤などの1つ以上の酵素阻害剤を含む組成で(例えば、バシトラシン、メシル酸ナファモスタット、メシル酸カモスタットおよび/またはグリコラートナトリウム、アプロチニン、ベスタチン、ペプスタチン、PMSF、ロイペプシンなどの存在下で)、処方されるか、または投与され得る。
【0071】
ホモ二量体は、アジュバント特性を有する任意の機能的添加剤の非存在下で処方されるか、または投与され得る。例えば、ホモ二量体は、任意の無機塩(例えばアルミニウム塩)、油性エマルション、サポニン、細菌およびウイルス様粒子、細菌および微生物誘導体(例えば、細菌トキソイド)、ポリマー微粒子、リポソーム、ムラミルペプチド、またはイミダゾキノロン化合物の非存在下で、処方されるか、または投与され得る。
【0072】
しかしながら、ホモ二量体の治療効果は、アジュバントの使用によって改善され得ることが予想される。したがって、他の態様において、ホモ二量体は、1つ以上のアジュバント、例えば、上記のアジュバントのタイプの1つ以上を含む組成で処方されるか、または投与され得る。
【0073】
いくつかの態様において、ホモ二量体は、ホモ二量体の生物学的安定性を改善する任意の機能的添加剤の非存在下で、およびホモ二量体の経粘膜(経口(oral)、口腔内または経口的(peroral))バイオアベイラビリティを改善する任意の添加剤の非存在下で(および任意にさらにアジュバント特性を有する任意の機能的添加剤の非存在下で)、処方されるか、または投与される。
【0074】
他の態様において、ホモ二量体は、ホモ二量体の生物学的安定性を改善する機能的添加剤の存在下で、ホモ二量体の経粘膜(経口(oral)、口腔内または経口的(peroral))バイオアベイラビリティを改善する添加剤の存在下で(および任意にさらにアジュバント特性を有する1つ以上の機能的添加剤の存在下で)、処方されるか、または投与され得る。
【0075】
本発明で使用の医薬組成物は、例えば混合によって、適切な量のホモ二量体を適切な量の1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤との会合をもたらすことによって発生される。よって、本発明は、医薬組成物を生成する方法を提供し、(例えば混合により)適切な量のホモ二量体を適切な量の1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤と会合させることを含み、ホモ二量体は、共有結合単量体ペプチドからなり、各単量体は、アミノ酸配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなり、ここで、単量体ペプチドは、単量体のN末端システイン残基の間のジスルフィド結合によって結合される。これらの他の態様において、本発明の方法は、任意に、関連する医薬組成物を生成するのに適切なように、ホモ二量体を添加剤のタイプのいずれかまたは上記の特異的添加剤と会合させることを含むか、または含まない。
【0076】
本明細書中の他の箇所に記載されるように、ホモ二量体は、いくつかの態様において、薬学的に許容可能な添加剤なしで単独で投与され得る、すなわち、任意の添加剤の存在下で製剤として包装される。よって、本発明は、製剤を生成する方法を提供し、任意の薬学的に許容可能な添加剤の存在下で、製剤としてホモ二量体の適切な量を包装することを含む。いくつかの態様において、ホモ二量体は、対象に投与される唯一の成分であり、すなわち、ホモ二量体は、任意の他の成分の非存在で製剤として包装される。よって、本発明はまた、製剤を生成する方法を提供し、任意の他の成分の非存在下で製剤としてホモ二量体の適切な量を包装することを含む。
【0077】
無菌
本発明で使用される製剤は、無菌であり得るが、無菌製剤の使用は、投与の経路に依存して必ずしも必須ではなく、非無菌製剤の使用は、製造、輸送、貯蔵および投与の間の低減された負荷により、有益であり得る。厳格な無菌検査は、常に必要ではなく、当業者は、厳格な無菌検査が適切であるか、または必要とされる状況を認識するだろう。当業者はまた、適切な滅菌方法を知っているだろう。いくつかの態様において、本発明で使用される製剤は、非無菌である。他の態様において、本発明で使用される製剤は、無菌である。本明細書中で「無菌」は、日常的な分析方法を使用して決定されるように、生存微生物の非存在を意味する。「非無菌」は、無菌でない任意の製剤を意味する。
【0078】
投与経路
製剤の生成後、ホモ二量体は、哺乳動物対象に投与される。本発明は、ホモ二量体の経粘膜投与に関し、好ましい態様において、経口または胃腸粘膜による吸収によるホモ二量体の投与に関する。
【0079】
本明細書中で使用される場合、用語「経粘膜投与」は、1つ以上の粘膜表面を横切る投与を指し、経口(例えば、頬および舌下)、胃腸、鼻、肺、膣および直腸を介するホモ二量体の吸収を包含する。
【0080】
好ましくは、ホモ二量体は、口腔粘膜または胃腸粘膜を通じて吸収のために、経口投与される。いくつかの態様において、ペプチドの投与は、経口(peroral)投与による。別の態様において、ペプチドの投与は、口腔内投与による。頬および舌下送達は、両方とも口腔内投与のための好ましい経路である。
【0081】
本明細書中で使用される場合、用語「経口投与(oral administration)」(または「経口投与(administered orally)」)は、口へのまたは口による投与を指し、「経口(peroral)」投与よび「口腔内」投与の両方を包含する。用語「経口(peroral)」は、本明細書中で、ホモ二量体を飲み込み、口を通って胃腸管を通過し、胃腸(GI)管の粘膜を主に通って吸収される投与を指して使用される。用語「口腔内」は、経口粘膜(例えば、頬、舌側、舌下および唇の下の経路を介して)を通す口自体からホモ二量体の吸収を指して使用される。本明細書中で使用される場合、用語「頬」は、口中から頬にある粘膜を通って(すなわち、頬粘膜を通って)頬に向けられた投与を指す。本明細書中で使用される場合、用語「舌下」は、舌の下で(すなわち、舌下粘膜を通して)口の床にある粘膜を通る、舌の下の投与を指す。
【0082】
他の態様において、ホモ二量体は、鼻、肺、膣または直腸の粘膜に投与され得、すなわち、本発明は、本明細書中に記載されるホモ二量体および組成物の鼻、肺、膣または直腸投与も予想する。いくつかの態様において、ホモ二量体は、鼻投与、すなわち鼻粘膜を介する投与によって、哺乳動物対象における疾患または状態を治療または予防で使用され得る。いくつかの態様において、ホモ二量体は、肺投与、すなわち肺粘膜を介する投与によって、哺乳動物対象における疾患または状態を治療または予防で使用され得る。いくつかの態様において、ホモ二量体は、膣投与、すなわち膣粘膜を介する投与によって、哺乳動物対象における疾患または状態を治療または予防で使用され得る。いくつかの態様において、ホモ二量体は、直腸投与、すなわち直腸粘膜を介する投与によって、哺乳動物対象における疾患または状態を治療または予防で使用され得る。ホモ二量体の経口投与について本明細書中で提示される驚くべき結果は、鼻、肺、膣および直腸を介する、例えば、異なる粘膜の構造および特性の類似(例えば、異なる粘膜の上皮細胞層における類似)によるホモ二量体の投与に関連すると考えられる。実際、いくつかの点において、ペプチド治療薬の経口送達は、鼻、肺、膣または直腸粘膜を介する送達より困難であると考えられる(例えば、異なる粘膜の表面積およびバリア特性の差による;例えば、Delivery Technologies for Biopharmaceuticals: Peptides, Proteins, Nucleic Acids and Vaccines(バイオ医薬品のための送達技術:ペプチド、たんぱく質、核酸およびワクチン), Jorgensen & Nielsen, 2009年の表3.4参照)。
【0083】
用量、剤形および投薬計画
用量
本発明は、哺乳動物対象にホモ二量体の治療有効量または予防有効量の投与を必要とする。本明細書中で使用される用語「治療有効量」は、標的とされる疾患または状態を治療するのに十分なホモ二量体の量を指す。本明細書中で使用される用語「予防有効量」は、標的とされる疾患または状態を予防するのに十分なホモ二量体の量を指す。用語「哺乳動物対象」は、その通常の意味をとり、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ヒトおよびサルおよびチンパンジーなどの非ヒト霊長類を含む。本明細書に記載されるホモ二量体の獣医学的臨床使用およびヒト臨床使用の両方が予想される。好ましい態様において、哺乳動物対象は、ヒト対象である。用語「ヒト対象」は、ホモ二量体の投与から利益を得うる治療を必要とする任意のヒトを指す。鳥類における疾患または状態の治療または予防におけるホモ二量体の使用も、予想される。
【0084】
ヒト対象の正確な有効量は、疾患状態の重篤度、対象の総体的な健康、対象の年齢、体重、および性別、食事、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ(複数可)、反応感受性、および治療に対する耐性/応答に依存し得る。ヒトでの使用のための有用な用量を決定するための方法は、当該分野で公知であり、好ましい量は、日常的な実験を介して臨床医によって決定されることができる。治療有効量は、細胞培養アッセイまたは小動物モデルおいずれかで、最初に推定され得る。
【0085】
一般的に、ヒト対象の有効量は、0.0001mg/kg〜50mg/kg、例えば、0.001mg/kg〜10mg/kg、0.005mg/kg〜5mg/kg、または0.0075mg/kg〜2.5mg/kg、例えば、0.001mg/kgまたは0.005mg/kg〜2mg/kg、〜1.5mg/kg、〜1.0mg/kg、〜0.5mg/kgまたは〜0.25mg/kgであるだろう。いくつかの態様において、ホモ二量体は、0.001mg/kg〜2mg/kgの用量で、0.005mg/kg〜2mg/kgの用量で、または0.005mg/kg〜1mg/kgの用量で投与され得る。約0.03mg/kgの用量でホモ二量体を含む組成物は、有意な望ましくない副作用なしに、ヒト患者で有用な治療効果を提供することが示されている(本明細書中の実施例参照)。本発明者らによって、ホモ二量体のより少ない用量、等用量、またはより大きい用量が、本発明で使用されることができることが予想される。よって、好ましい用量は、ホモ二量体の少なくとも0.001mg/kg、少なくとも0.002mg/kg、少なくとも0.003mg/kg、少なくとも0.004mg/kg、少なくとも0.005mg/kg、少なくとも0.006mg/kg、少なくとも0.007mg/kg、少なくとも0.008mg/kg、少なくとも0.009mg/kg、少なくとも0.01mg/kg、少なくとも0.015mg/kg、少なくとも0.02mg/kg、少なくとも0.03mg/kg、少なくとも0.04mg/kg、または少なくとも0.05mg/kgを含み得る。好ましい用量はまた、ホモ二量体の1mg/kg未満、0.9mg/kg未満、0.08mg/kg未満、0.07mg/kg未満、0.06mg/kg未満、0.05mg/kg未満、を含み得る。
【0086】
ヒト対象のための有効量は、0.007mg〜3500mg、例えば0.07mg〜700mg、0.35mg〜350mg、または0.525mg〜175mg、例えば0.1mgまたは0.35mg〜140mg、105mg、70g、35mg、17.5mg、15mg、12.5g、10mg、7.5mgまたは5mgであり得る。いくつかの態様において、ホモ二量体は、1用量当たり0.1mg〜10mgで、1用量当たり0.35mg〜10mgで、または1用量当たり0.35mg〜5mgで使用される。約2mgの用量のホモ二量体を含む組成物は、有意な望ましくない副作用なしで、ヒト患者において、有用な治療効果を提供することが示されている(本明細書中の実施例参照)。
【0087】
剤形
「剤形」は、薬物が生成され、錠剤、カプセルまたは注射剤のように製剤として生成され、投薬される物理的形態である。様々な剤形が、本発明で使用のために予想される。
【0088】
ホモ二量体を含む製剤は、好ましくは経口使用に適した剤形、例えば、錠剤、トローチ剤、薬用キャンディー(lozenge)、水性または油性懸濁剤、散剤または顆粒剤、エマルション、硬質または軟質カプセル、またはシロップ剤またはエリキシル剤である。任意の適切な食用物質は、本発明の製剤で使用され得る。経口使用を意図される製剤は、製剤の製造のための当該技術で知られている任意の方法に従って調製され得、そのような生成物は、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤などの1種以上の薬剤を含み得、例えば、貯蔵安定性および口当たりの良い調製物を提供する。錠剤は、錠剤の製造に適した薬学的に許容可能な添加剤との混合物中でホモ二量体を含む。これらの添加剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;顆粒剤および崩壊剤、例えば、コーンスターチ、またはアルギン酸;結合剤、例えばスターチ、ゼラチンまたはアカシア、および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクであり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、またはそれらは、胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期間にわたって持続作用を提供する公知技術によってコーティングされ得る。例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなどの時間遅延材料を使用し得る。それらはまた、制御された放出のために浸透性の治療用錠剤を形成するためにコーティングされ得る。
【0089】
経口使用のための処方は、ホモ二量体が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合される硬質ゼラチンカプセル、またはホモ二量体が水または油性媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン、またはオリーブオイルと混合される軟質ゼラチンカプセルとして提示され得る。
いくつかの態様において、ホモ二量体は、経口(peroral)投与のための腸溶コーティングされたカプセルで処方される(例えば、本明細書中の実施例で記載されるように)。
【0090】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した添加剤と混合物中でホモ二量体を含む。そのような添加剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントガムおよびアカシアゴムであり;分散剤または湿潤剤は、自然発生的なリン脂質、例えば、レシチン、または脂肪酸とのアルキレンオキシドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、または長鎖脂肪族アルコールとのエチレンオキシドの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、または脂肪酸およびポリオキシエチレンソルビトールモノレエートなどのヘキシトールに由来する部分エステルとのエチレンオキシドの縮合生成物、または脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとのエチレンオキシドの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤、例えば、エチル、またはn−プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸、1つ以上の着色剤、1以上の香味剤、およびスクロースまたはサッカリンなどの1つ以上の甘味剤を含み得る。
【0091】
油性懸濁液は、植物油、例えばラッカセイ油、オリーブオイル、ゴマ油またはヤシ油、中の、または流動パラフィンなどの鉱油中のホモ二量体を懸濁させることによって処方され得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールを含有し得る。
上記のような甘味剤、および香味剤が添加されて口当たりの良い経口剤を提供し得る。組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存され得る。
【0092】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1つ以上の防腐剤との混合物中のホモ二量体を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、すでに上記のものによって例示される。更なる添加剤、例えば、甘味剤、香味剤および着色剤も存在し得る。
【0093】
いくつかの態様において、ホモ二量体は、口腔内投与のための粉末として処方される(例えば、本明細書中で記載されるように)。口腔内使用に適した粉末処方は、舌下で空にできるサッシェを含む。
経口投与に適した処方は、即時放出方式でまたは速度持続方式でホモ二量体を送達するように設計され得、ここで、放出プロファイルは、遅延、パルス、制御、持続、または遅延および持続されるか、またはあるいはホモ二量体の治療効果を最適化すそのような方法で修飾されることができる。
【0094】
速度持続様式でホモ二量体の送達に適した処方は、当該分野で公知であり、それらの放出を制御するホモ二量体で処方されることができる除放性ポリマーを含む。速度維持ポリマーの例は、拡散または拡散とポリマー浸食の組み合わせによるホモ二量体を放出するために使用されることができる分解可能なおよび非分解性ポリマーを含む。速度維持ポリマーの例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。
【0095】
即時放出に適した処方は、薄膜、即溶性錠剤(FDT)、および口に設置することができる他の公知の剤形、例えば舌下などの即溶性薬物送達システムを含む。したがって、いくつかの態様において、ホモ二量体は、即溶性口腔内薬物送達システムを使用する口腔内投与のために処方される。
【0096】
ホモ二量体は、微粒子またはナノ粒子、例えば生物分解性ポリマー粒子の形態で、処方され得、ここで、ホモ二量体は、粒子の表面上に吸着されるか、または粒子のポリマーマトリックス内に閉じ込められる。これらの微粒子およびナノ粒子の特性およびホモ二量体が会合する方法は、組成物のホモ二量体放出特性を調整するために当業者に公知の方法を使用して調節され得る。
【0097】
本発明で使用される医薬組成物はまた、水中油型エマルションの形態であり得る。油性相は、植物油、例えばオリーブオイル、ラッカセイ油、または鉱油、例えば流動パラフィンまたはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、自然発生的なゴム、例えば、アカシアゴムまたはトラがントガム、自然発生的なリン脂質、例えば、大豆、レシチン、および脂肪酸とヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、およびエチレンオキシドとの前記部分エステルの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレートであり得る。エマルションはまた、甘味剤および香味剤を含み得る。
【0098】
シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースを用いて処方され得る。そのような処方は、粘滑剤、防腐剤および着色剤も含み得る。
【0099】
いくつか態様において、ホモ二量体は、充填剤、例えば、添加剤として炭化水素充填剤(マンニトール、マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、デキストラン、ソルビトール、セルロースなど)と一緒に処方されるか、または投与される。いくつかの態様において、ホモ二量体は、充填剤、例えば、唯一の添加剤として炭化水素充填剤(マンニトール、マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、デキストラン、ソルビトール、セルロースなど)と一緒に処方されるか、または投与される。いくつかの態様において、ホモ二量体は、添加剤としてマンニトールと一緒に、または唯一の添加剤としてマンニトールと一緒に処方されるか、または投与される。
【0100】
投薬計画
ホモ二量体による哺乳動物対象の治療は、単回用量または複数回用量スケジュールからなり得、各個々の用量は、単一の剤形または複数の剤形からなり得る。本発明で使用される剤形は、単位用量または複数用量の容器で提供され得る。
【0101】
ホモ二量体は、投与の任意の適切な頻度で投与され得る。例えば、ホモ二量体は、毎日1回、または毎日1回よりも多く(例えば、1日2又は3回)投与され得る。ホモ二量体は、毎週1回、または毎週1回よりも多く(例えば毎週2または3回)投与され得る。ホモ二量体は、毎月1回、または毎月1回よりも多く(例えば毎月2または3回)投与され得る。
【0102】
ホモ二量体は、最初に負荷用量または頻度で、その後に維持用量で投与され得、ここで、負荷用量または頻度は、維持用量または頻度と異なる。
【0103】
当業者は、日常的な臨床試験を通じて適切な投薬計画を特定することができる。いずれかの特定のヒト対象のための特定の投薬計画は様々であり、とりわけ、年齢、体重、総体的な健康、性別、食餌、投与のモードおよび時間、特定の状態の重篤度、および治療を受けている宿主を含む様々な因子に依存するだろう。
【0104】
ホモ二量体の治療的および予防的使用
本発明は、ホモ二量体を哺乳動物対象に投与することによって哺乳動物対象における疾患または状態を治療または予防することを含む。本明細書中で使用される場合、用語「治療する」および「予防する」は、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得るために哺乳動物対象に影響を及ぼすことを指す。用語「治療する」は、診断されたか否かにかかわらず、確立された疾患または状態の効果を改善することを指す。用語「予防する」は、疾患、または疾患にかかりやすいかもしれないがまだ疾患を発症していない対象における状態を遅延または阻止することを指す。用語「投与する」および「投与」は、任意の適切な方法を介して、ホモ二量体を哺乳動物対象に提供することを意味すると理解されるべきである。
【0105】
ホモ二量体による治療または予防に適した疾患は、WO2007/017686に記載または例示されているものを含む。ホモ二量体は、高インスリン血症、高グルカゴン血症、耐糖能異常(例えば、経口的ブドウ糖負荷試験;OGTTにおける異常応答に関連する)および/またはインスリン抵抗性を特徴とする疾患または状態の治療または予防で、または高インスリン血症、高グルカゴン血症、耐糖能異常および/またはインスリン抵抗性によって引き起こされるか、または悪化する任意の疾患または状態の治療または予防で使用され得る。ホモ二量体は、高インスリン血症および/または高グルカゴン血症の治療または予防で使用され得る。ホモ二量体は、糖尿病の治療または予防で使用され得る。ホモ二量体は、1型糖病の治療または予防で使用され得る。ホモ二量体は、2型糖病の治療または予防で使用され得る。ホモ二量体は、糖尿病に関連する合併症、例えば、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、または糖尿病性腎症の治療または予防で使用され得る。これらの疾患および状態は、例として挙げられており、包括的ではない。ホモ二量体による治療または予防に適した他の疾患は、W2007/017686に記載されているものを含む。
【0106】
いくつかの態様において、ホモ二量体は、経粘膜投与を介してヒトにおいて糖尿病(1型および2型糖尿病を含む)の治療または予防で使用される。
いくつかの態様において、ホモ二量体は、経口投与を介してヒトにおいて糖尿病(1型および2型糖尿病を含む)の治療または予防で使用される。
いくつかの態様において、ホモ二量体は、経口(peroral)投与を介してヒトにおいて糖尿病(1型および2型糖尿病を含む)の治療または予防で使用される。
いくつかの態様において、ホモ二量体は、頬または舌下送達など、口腔内投与を介してヒトにおいて糖尿病(1型および2型糖尿病を含む)の治療または予防で使用される。
【0107】
単剤療法および併用療法
本明細書中の他の箇所に記載されるように、ホモ二量体は、哺乳動物対象に投与される製剤の唯一の活性成分として使用され得る。したがって、ホモ二量体は、哺乳動物対象に投与される医薬組成物の唯一の活性成分として処方されるか、または投与され得る。言い換えれば、ホモ二量体は、ホモ二量体に加えて、任意の他の活性成分を含まない製剤で処方され得る。
【0108】
ホモ二量体は、任意の他のペプチド活性成分の非存在下で処方されるか、または投与され得、例えば、任意の他のペプチド活性成分を含まない医薬組成物で処方されるか、または投与され得る。例えば、ホモ二量体は、配列番号2(NIYPSDSYTNYNQKFKD)または配列番号3(CNIYPSDSYTNYNQKFKD)で記載されるアミノ酸配列、またはそれらの任意のマルチマーを含むか、またはからなる任意のペプチドの非存在下で、処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体は、配列番号4(LRGLLPDY)または配列番号5(CLRGLLPDY)で記載されるアミノ酸配列、またはそれらの任意のマルチマーを含むか、またはからなる任意のペプチドの非存在下で、処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体は、配列番号2〜5、またはそれらの任意のマルチマーで記載されるアミノ酸配列を含むかまたはからなる任意のペプチドの非存在下で、処方または投与され得る。ホモ二量体は、配列番号2〜5のいずれかで記載されるアミノ酸配列、またはそれらの任意のマルチマーを含むか、またはからなる任意のペプチドを含む別々の製剤の同時投与なしで、哺乳動物対象に投与され得る。
【0109】
しかしながら、他の態様において、ホモ二量体は、1つ以上の他の活性成分と組み合わせて処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体が別の活性成分と組み合わせて投与される場合、ホモ二量体および他の活性成分は、好ましくは、両方とも、適切なように、治療有効量または予防有効量で投与される。ホモ二量体は、活性成分と同時に、または前若しくは後のいずれかで投与され得るが、併用治療効果を提供するために十分に時間的に近接して投与され得る。ホモ二量体は、別々に、同じまたは異なる投与経路によって、または他の活性成分(複数可)として同じ製剤で一緒に投与され得る。
【0110】
したがって、ホモ二量体を含む製剤は、1つ以上の他の活性成分をさらに含み得るか、またはホモ二量体を含む製剤は、1つ以上の他の活性成分を含む1つ以上のさらに別々の製剤と共に投与され得る。いくつかの態様において、ホモ二量体は、1つ以上の活性成分と組み合わせて処方されるか、または投与されるが、配列番号2または配列番号3、またはそれらの任意のマルチマーを含むかまたはからなる任意のペプチドを含む製剤で処方または投与されない。いくつかの態様において、ホモ二量体は、1つ以上の他の活性成分と組み合わせて処方されるか、または投与されるが、配列番号4または配列番号5、またはそれらの任意のマルチマーを含むかまたはからなる任意のペプチドと組み合わせて処方または投与されない。いくつかの態様において、ホモ二量体は、1つ以上の他の活性成分と組み合わせて処方されるか、または投与されるが、配列番号2〜5に記載されたアミノ酸配列、またはそれらの任意のマルチマーを含むかまたはからなる任意のペプチドと組み合わせて処方または投与されない。
【0111】
ホモ二量体は、1つ以上の他の抗糖尿病薬と組み合わせて処方されるか、または投与され得る。ホモ二量体との組み合わせの使用に適しうる抗糖尿病薬の例は、ビグアニド(例えば、メトホルミンまたはフェンホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボースまたはミグリトール)、インスリン(インスリン分泌促進剤またはインスリン増感剤を含む)、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブリド、グリクラジド、クロルプロパミドおよびグリピジド)、ビグアニド/グリプリドの組み合わせ(例えばGlucovance(登録商標))、チアゾリジンジオン(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリダゾン)、PPAR−αアゴニスト、PPAR−γアゴニスト、PPARα/γ二重アゴニスト、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、脂肪酸結合タンパク質(aP2)の阻害剤、DPP−IV阻害剤、SGLT2阻害剤およびGLP−1受容体調節剤を含む。したがって、いくつかの態様において、ホモ二量体は、ビグアニド(例えば、メトホルミンまたはフェンホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボースまたはミグリトール)、インスリン(インスリン分泌促進剤またはインスリン増感剤を含む)、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブリド、グリクラジド、クロルプロパミドおよびグリピジド)、ビグアニド/グリプリドの組み合わせ(例えばGlucovance(登録商標))、チアゾリジンジオン(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリダゾン)、PPAR−αアゴニスト、PPAR−γアゴニスト、PPARα/γ二重アゴニスト、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、脂肪酸結合タンパク質(aP2)の阻害剤、DPP−IV阻害剤、SGLT2阻害剤およびGLP−1受容体調節剤から選択される第2の活性成分と組み合わせて処方されるか、または投与される。
【0112】
本明細書中に記載される疾患および状態の治療または予防のためのホモ二量体との組み合わせで使用する可能性のある他の活性成分は、当業者に公知であり、併用療法で使用のための適切な薬剤の選択は、従来の薬学的原理に従ってされ得る。他の活性成分がホモ二量体と組み合わせて使用される場合、それらは、例えば、Physician Desk Reference (PDR)で記載される量で、またはあるいは当業者により決定される量で使用され得る。
【0113】
一般
用語「含む(comprising)」は「含む(including)」並びに「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、もっぱらXからなってもよく、または何か追加のもの、例えばX+Y、を含んでもよい。
本出願において、アミノ酸残基をコードする標準的な1文字が使用される。LまたはD型が特定されていない場合、問題になっているアミノ酸は、天然のL型を有することが理解されるべきである。
本発明の様々な態様が、本明細書中に記載される。各態様のために特定される特徴は、さらなる態様を提供するために、他の特定された特徴と組み合わせられうることが認識されるだろう。
【0114】
疑義を避けるために、上記の本発明の態様の特徴は、通常、本発明の異なる側面に等しく適用されるだろう。例えば、(医薬組成物、投与経路、用量、剤形および投薬計画、ホモ二量体の治療的使用および予防的使用、および単剤療法および併用療法のセクションにおいて)「ホモ二量体」について本明細書中に開示される組成物、使用および方法はまた、ホモ二量体の「薬学的に許容可能な誘導体」に関連し、そのような解釈が不適切である技術的理由がない限り、ホモ二量体の薬学的に許容可能な誘導体はまた、本発明の組成物、使用および方法で使用され得るからである。さらなる例として、単に「組成物」に関連して上記の任意の特徴はまた、そのような解釈が不適切な技術的理由がない限り、本発明の使用および方法に適用される。特定の例として、「ホモ二量体が、任意の機能的添加剤の非存在下で処方されるか、または投与され得る」ことが記載される場合、これは、本明細書中に開示される方法が、「任意の機能的添加剤の非存在下でホモ二量体を処方するか、または投与する」ことを含み得る陳述、および「ホモ二量体の薬学的に許容可能な誘導体は、任意の添加剤の非存在下で処方されるか、または投与され得る」ことの陳述とみなされる。
【0115】
本発明の様々な側面および態様は、特定のペプチドを特に参照して、実施例によりより詳細に記載する。細部の修正は、本発明の範囲から逸脱することなくされ得ることが理解されるだろう。
【実施例】
【0116】
本発明で使用されるジスルフィド結合ホモ二量体の驚くべき有利な特性は、ヒト頬膜に由来する器官型組織モデルを使用してインビトロで実施される組織透過性試験によって最初に示唆され、続いてヒト糖尿病患者における予備臨床試験によって裏付けられた。
【0117】
実施例1:ヒト頬組織透過性スクリーニング
ヒト頬組織モデルは、多くのジスルフィド結合ホモ二量体の透過性のインビトロ試験に使用された。
【0118】
ヒト頬組織モデルの調製
ヒト口腔粘膜組織モデルは、市販試薬供給業者の標準プロトコルに従って調製された((EpiOral(登録商標)、MatTek Corporation;詳細については、http://www.mattek.com/epioral/applications/drug-deliveryを参照されたい;また、例えば、Thakurら, Drug Development and Industrial Pharmacy(医薬品開発と産業薬局), 2007年, 33(5), 513−52頁を参照されたい)。つまり、組織モデルは、ヒト粘膜細胞が播種された細胞外マトリックス調製物で被覆された微孔性膜基材を有する内部ウェル(インサート)を含む24ウェルプレートの組織培養ウェル中で調製された。内部ウェルを、微生物膜を透過してインサートで細胞を播種する試薬供給者が推奨する無血清培地中に浸した。試薬供給者の推奨に従って、内部ウェルを組織培養ウェルに挿入し、培地を内部ウェルに浸透させた後、細胞を、数日間、培地に沈めた。次に、発育中の組織を含むインサートを、層化および分化を誘導する空気/液体界面に上昇させた。得られたヒト頬細胞培養物を層状にし、25〜30細胞層を含む3次元組織、頂端表面まで延びる有核細胞および天然頬組織のものと類似する組織学で非角化した。
【0119】
細胞透過実験
頬細胞培養インサートを、無菌条件下で、(5%COを含む密閉袋中4℃を維持された)元の組織培養24ウェルプレートから37℃に予熱された1.0mlの試薬供給者推奨の無血清培地を含む新鮮な24ウェルプレートのウェルに移した。次にプレートを投与前の予備平衡手順として、37℃、5%CO雰囲気下で1時間、加湿インキュベーター中でインキュベートした。
【0120】
インキュベーターから予備平衡プレートの除去後、組織の表面上の任意の培地を注意深く除去し、試薬供給者推奨の無血清培地(ストックホモ二量体含有培地)中の適切に希釈したホモ二量体溶液の100μlと置換した。次に、プレートを、5%CO雰囲気下、37℃でさらに30分間インキュベートした。プレートをインキュベーターから取り出し、上清サンプルを、インサート内側の上記細胞から採取し、HPLCで分析した。上清中の各試験されたペプチドに対する主なピーク面積を、ストックホモ二量体含有培地の関連プレインキュベーションサンプル中の試験されたペプチドについて相当するピーク面積と比較した。
【0121】
表1は、3つのジスルフィド結合のペプチドホモ二量体(ホモ二量体A〜C)の予備的な透過性分析をまとめる:
【表1】
【0122】
ホモ二量体Aは、配列CNIYPSDSYTNYNQKFKD(配列番号3)からなる単量体ペプチドのジスルフィド結合ホモ二量体である。ホモ二量体Bは、配列CLRGLLPDY(配列番号5)からなる単量体ペプチドのジスルフィド結合ホモ二量体である。ホモ二量体Cは、配列CQQYNSYPLT(配列番号1)からなる単量体ペプチドのジスルフィド結合ホモ二量体である。
【0123】
これらの実験の結果は、ホモ二量体Aがヒト頬組織表面にわたって乏しい伝達性(吸収)しか示さないが、ホモ二量体Bは、実験条件下でヒト頬組織表面にわたっていかなる伝達性も示さなかったことを示唆する。ホモ二量体Bポストのオーバーレイのピーク面積の明らかなわずかな増加は、ホモ二量体Bに由来する分解生成物の指標であると考えられる。対照的に、結果は、ホモ二量体Cは、ヒト頬組織表面にわたって効率的に伝達されたことを示唆する。
【0124】
同じタイプのさらなる実験はが、ホモ二量体Cを用いて実施され、その結果を表2に提供する。
これらのさらなる実験の結果は、表1で観察されたホモ二量体Cについての驚くべき結果を確認した。予備実験と一致して、これらのさらなる実験において、ホモ二量体Cは、三重培養において、ヒト頬組織細胞による効果的な取り込みを示した。
【表2】
【0125】
表1および表2の結果は、口腔投与または他の経粘膜伝達経路を介してヒト患者にホモ二量体Cを首尾よく投与することが可能であり得ることを示唆する。
【0126】
実施例2:ヒト患者における治療有効性試験
ホモ二量体Cをヒト臨床試験で試験して経粘膜伝達の治療効果を決定した。口腔内(舌下)伝達および経口(peroral)伝達の両方を試験した。患者の2つの更なるグループは、ホモ二量体Cの注射可能な調製物を投与して、注射送達の効果に対する経粘膜伝達の効果の比較を可能にした。驚くべきことに、有意な治療効果が、試験された粘膜投与経路(口腔内および経口(peroral))の両方について観察された。さらに、試験された粘膜投与経路の両方は、注射伝達と比較して優れた治療効果を示した。
【0127】
(上部腸を介した送達のための)腸溶コーティングされたカプセルの調製
マンニトール混合物中のペプチドの調製:処方は、ホモ二量体Cおよび充填材としてマンニトールのみを含有した。マンニトール(w/w)組成物に対する2%ペプチドは、バッフルを備えた水平回転する管状ブレンダー中で120rpmで1時間混合して、内容物を回転の周りのすべりから防止した。ブレンドの均一性は、ブレンドの様々な部分からサンプルを除去することによって試験され、適切なHPLC手順によってペプチド含量を試験した。カプセルを、較正された充填機を使用して充填し、閉じた。
【0128】
腸溶コーティングの調製:Colorcon製のポリビニルアルコール系製剤であるOPADRY 20M29149を使用した。専用の腸溶性コーティング粉末を、マグネチックスターラーを使用して、容器内で20mg粉末を100gm水にゆっくりと添加することによって、35℃に加熱された滅菌水中で混合した。粉末を、30分かけてゆっくりと水に添加し、1時間撹拌を続けた。
【0129】
充填されたカプセルの腸溶コーティング:充填されたカプセルを、カプセルの小径端部をつかむプラテンホルダーに挿入した。カプセルを小径端部からそれらの長さの60%までコーティング溶液に浸した。それらを、23〜28℃で約1時間、1秒当たり60cmの空気流で乾燥させた。空気流を、インペラ風速計で測定した。次に、カプセルを、コーティングされた端部によって、より大きな直径のプラテンの第2のセット中に挿入し、コーティング溶液に浸して、カプセル接合部でのコーティングオーバーラップを確保した。コーティングされたカプセルを、前述のように1時間乾燥させた。次に、カプセルを包装し、保存した。コーティングされたカプセルは、pH5または6まで耐えることができ、中性またはアルカリ性pHで迅速に崩壊した。
【0130】
(舌下送達用)コーティングされていないカプセルの調製
マンニトールとのホモ二量体Cの混合物を、上記のように調製し、コーティングされていないカプセルを充填するために使用した。舌下送達のために、コーティングされていないカプセルの先端を切断し、カプセルの内容物を舌の下に挟んだ。粉末は、数秒で吸収された。
【0131】
臨床試験の結果
経口抗糖尿病薬(例えば、スルホニルン尿素系薬物)またはインスリンで治療された糖尿病患者を募集し、4つの患者グループにランダム化した:2つの注射可能なペプチドグループ(グループ1および2)および舌下投与(グループ3)または腸溶性コーティングカプセル(グループ4)のいずれかによるホモ二量体Cの送達のための2つの経口ペプチド投与グループ。4つの治療グループを表3に要約する。
【0132】
各グループは、ホモ二量体Cの5用量を投与された。ホモ二量体Cは、全ての4つのグループについて、2mgの用量で(これは概念上の70kgの対象について約0.03mg/kgに等しい)、毎週1回(試験の0、7、14、21および28日目に)、投与した。ホモ二量体注射は筋肉内であり、一般的に対象の上腕中であった。患者の現在の治療は、試験中、やめなかった。HbA1cレベルを、最初の用量に先立って、試験の35日目で決定した。
【表3】
【0133】
以下の表4の結果は、ヒト糖尿病対象において治療的に有効であることを示す。なぜなら35日目のグループ1〜4のそれぞれについて、平均HbA1cレベルは、各グループの平均ベースラインHbA1cレベルに対して有意に低下したからである。
表4の結果はまた、ホモ二量体Cは、口腔内(舌下)または経口(peroral)経路を介して投与される場合、治療的に有効であることを示す。なぜなら、35日目で、平均HbA1cレベルは、各グループについて平均ベースラインHbA1cレベルに対して有意に低下したからである。
表4の結果はさらに、ホモ二量体Cは、非経口的に(注射によって)投与される場合よりも口腔内(舌下)または経口(peroral)経路を介して投与される場合のほうが有意により効果的であることを示す。
【表4】
【0134】
HbA1c(糖化ヘモグロビン)レベルは、長期間の血清グルコース調節の指標を提供するので、糖尿病治療の有効性を監視するのに好ましい尺度である。HbA1cレベルは、過去4週間から3ヶ月に渡る平均血中グルコース濃度に比例する。したがって、これらの結果は直接的な臨床関連性のものであり、ホモ二量体Cは、経粘膜送達によって、および特に経口(peroral)または口腔内送達を介して、糖尿病および関連状態の治療または予防のための候補治療薬であることを示す。これらの結果は、ホモ二量体Cが、化学的に修飾されておらず、任意の機能的添加剤と共に投与されなかった事実に照らして、ペプチド治療薬の経口送達のために通常遭遇する困難性により、特に驚くべきものである。さらに、ホモ二量体Cの経口送達は、ホモ二量体の非経口送達よりも優れているため、これらの結果は特に驚くべきものである。
【0135】
本明細書中の他の箇所で記載されるように、ホモ二量体の経口送達について本明細書中に提示される驚くべき結果は、例えば、異なる粘膜の構造および特性における類似性(例えば、異なる粘膜の上皮細胞層における類似性)により、鼻、肺、膣および直腸粘膜を介するホモ二量体の投与に関連すると考えられる。実際、いくつかの側面において、ペプチド治療薬の経口送達は、鼻、肺、膣または直腸粘膜を介する送達よりも困難であると考えられる(例えば、異なる粘膜の表面積およびバリア特性の差による;例えば、Delivery Technologies for Biopharmaceuticals: Peptides, Proteins, Nucleic Acids and Vaccines(バイオ医薬品のための送達技術:ペプチド、たんぱく質、核酸およびワクチン), Jorgensen & Nielsen, 2009年の表3.4を参照されたい)。
【0136】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、多くの変化および/または修正が、本明細書中に記載および例示される本発明の特徴にされ得ることが理解されるだろう。したがって、本明細書中で記載され、例示される本発明の特徴は、全ての点で例示的であって制限的でないとみなされるべきである。
本明細書中で引用される全ての刊行物は、参照により完全に組み込まれる。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]