(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のプラグ側部材の前記ベース部材と、前記第2のプラグ側部材の前記ベース部材とは、共通の構造とされている、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の誤挿入防止部材。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の誤挿入防止部材について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、実施形態の誤挿入防止部材およびプラグ側光コネクタの斜視図である。
図2は、誤挿入防止部材においてプラグ側部材が受け側部材から外れた状態の斜視図である。
図3は、誤挿入防止部材のプラグ側部材およびプラグ側コネクタの後方側から見た斜視図である。
図4は、誤挿入防止部材のプラグ側部材およびプラグ側コネクタの前方側から見た斜視図である。
図5は、誤挿入防止部材のプラグ側部材およびプラグ側コネクタの後方側から見た分解斜視図である。
図6は、誤挿入防止部材のプラグ側部材およびプラグ側コネクタの前方側から見た分解斜視図である。
図7は、プラグ側コネクタの分解斜視図である。
図8は、プラグ側コネクタの一部の分解斜視図である。
【0016】
以下の説明では、コネクタ着脱方向に沿って「前後方向」(X方向)を定義し、フェルールの端面の側(相手側のコネクタの側)を「前」(X1方向)とし、逆側を「後」(X2方向)とする。また、フェルールの長方形状の端面の長辺方向に沿って「左右方向」(Y方向)を定義し、後側から前側に向かって見たときの右側を「右」、逆側を「左」とする。また、前後方向および左右方向に垂直な方向を「上下方向」(Z方向)とする。
【0017】
[光コネクタシステム]
実施形態の誤挿入防止部材の説明に先だって、誤挿入防止部材が適用される光コネクタシステムについて説明する。
図1および
図2に示すように、光コネクタシステム200は、複数のプラグ側光コネクタ10(プラグ側コネクタ)と、複数のレセプタクル側光コネクタ110(受け側コネクタ)(
図2参照)とを備える。
【0018】
図7に示すように、プラグ側光コネクタ10は、結合金具20(カップリング)と、フェルール30と、ハウジング40とを有する。プラグ側光コネクタ10は、光ファイバケーブル100の先端部に組み立てられている。
図9に示すように、レセプタクル側光コネクタ110は、結合金具120(カップリング)と、フェルール130と、ハウジング140とを有する。
【0019】
結合金具20,120は、光コネクタ10,110を結合するための金属製の結合部(結合機構、締結機構、カップリング機構ともいう)であり、ここでは電気的な同軸コネクタで採用されているBNC形の結合金具が採用されている。結合金具20,120は、BNC形の結合金具に限られず、ネジ接続式の結合金具を用いることも可能である。
【0020】
図2に示すように、レセプタクル側の結合金具120は、円筒形状の本体121と、突起部122と、台部123とを有する。台部123は矩形板状に形成されている。本体121は、台部123の一方の面123aに、台部123に対して垂直に突出して形成されている。本体121には、プラグ側の結合金具20の挿入部25(
図6参照)が挿入される。突起部122は、本体121の外周面から外側に突出した外側突起部122Aと、本体121の内周面から内側に突出した内側突起部122Bと、を有する。
【0021】
図7に示すように、プラグ側の結合金具20は、回転部21と外部ハウジング23とを有する。回転部21は、外部ハウジング23(挿入部25)の外側で回転可能な筒状の部位である。回転部21には、進入部21Aと係止部(図示略)が形成されている。外部ハウジング23は、ハウジング40を収容する金属製のハウジング(金属ハウジング)であり、前側に挿入部25が形成されている。挿入部25は、レセプタクル側の本体121(
図9参照)に挿入する部位である。挿入部25の外周には、前後方向に沿って溝25Aが形成されている。
【0022】
プラグ側の結合金具20をレセプタクル側の結合金具120(
図9参照)に接続するとき、回転部21を回転させつつレセプタクル側の外側突起部122Aを回転部21の進入部21Aに通し、外側突起部122Aを係止部に係止させる。レセプタクル側の内側突起部122Bとプラグ側の溝25Aとを合わせながら、プラグ側の挿入部25をレセプタクル側の本体121に挿入させることによって、レセプタクル側光コネクタ110に対するプラグ側光コネクタ10の位置合わせが行われる。
【0023】
図7〜
図9に示すように、フェルール30,130は、複数の光ファイバを保持する部材であり、ここではMT形光コネクタ(JIS C5981に制定されるF12形光コネクタ。MT:Mechanically Transferable)である。レセプタクル側のフェルール130の端面からはガイドピン131が突出している(
図9参照)。
【0024】
ハウジング140は、フェルール130を後退可能に収容しつつ、結合金具120に収容された部材である。ハウジング140の内部空間には突出部が形成されており、この突出部とフェルール130の鍔部とが係合した状態で、フローティング機構のコイルスプリングの反発力によってフェルール130が前側に押されている。
【0025】
レセプタクル側の結合金具120とプラグ側の結合金具20とを結合することによって、レセプタクル側光コネクタ110と、プラグ側光コネクタ10とは接続される。レセプタクル側の結合金具120にプラグ側の結合金具20を結合するとき、一方のフェルール(ここではレセプタクル側のフェルール130)の端面から突出したガイドピン131(
図9参照)が、他方のフェルール(ここではプラグ側のフェルール30)のガイド穴31(
図8参照)に挿入されて、フェルール30,130同士が位置決めされる。このとき、フェルール30,130の端面同士が突き当たることによって、光ファイバの端面同士が突き当たり、これらの光ファイバ同士が光接続する。所定の力で光ファイバの端面同士を突き当てるために、フェルール30,130がハウジング40,140内でフローティング機構50によって後退可能に収容されている。
【0026】
図7に示すように、プラグ側光コネクタ10は、結合金具20と、フェルール30と、ハウジング40の他に、フローティング機構50と、締付金具60と、ブーツ部70とを有する。
フローティング機構50は、コイルスプリング52と、留め具54と、係合部材56と、後部ハウジング58とを有する。コイルスプリング52は、係合部材56に反力をとってフェルール30を前方に付勢する。
締付金具60は、外側締付金具62と内側締付金具64とを有する。外側締付金具62と結合金具20とがネジ留めされることによって、プラグ側光コネクタ10は光ファイバケーブル100の先端部に固定される。
【0027】
[誤挿入防止部材]
次に、実施形態の誤挿入防止部材について詳しく説明する。
図1および
図2に示すように、誤挿入防止部材1は、複数のプラグ側部材2(2A〜2C)と、受け側部材3とを備えている。
複数のプラグ側部材2は、第1プラグ側部材2Aと、第2プラグ側部材2Bと、第3プラグ側部材2Cとを有する。プラグ側部材2A〜2Cは、それぞれプラグ側光コネクタ10に装着される。
【0028】
(第1プラグ側部材2A)
図3に示すように、第1プラグ側部材2A(第1のプラグ側部材)は、ベース部材4と、第1嵌合部5A(第1の嵌合部)とを備える。ベース部材4は、本体筒部6と、後筒部7とを有する。本体筒部6は、基筒部11と、先端環部12と、一対の連結部13,13とを備える。
【0029】
図5および
図6に示すように、基筒部11は、円筒状に形成されている。先端環部12は、円環状の板状体である。先端環部12の厚さ方向は前後方向に一致する。先端環部12の中心軸は基筒部11の中心軸に一致する。先端環部12の外径は、基筒部11の外径と同じまたは基筒部11の外径よりやや大きい。先端環部12は、基筒部11に対して前方に離間している。
図6に示すように、先端環部12の前面12aには、固定具挿入孔12bが形成されている。
【0030】
図5および
図6に示すように、連結部13,13は、それぞれ前後方向に沿う柱状に形成されている。連結部13の後端は基筒部11の前端部に達し、連結部13の前端は先端環部12の後面に達している。連結部13は、基筒部11と先端環部12とを連結している。
2つの連結部13,13の間は、プラグ側光コネクタ10の結合金具20を露出させる窓部14となっている。そのため、作業者は、窓部14を通して結合金具20を操作できる。
【0031】
本体筒部6は、プラグ側光コネクタ10に前方から外挿する(すなわち、プラグ側光コネクタ10を後方から本体筒部6に挿入する)ことによってプラグ側光コネクタ10に装着することができる。
【0032】
後筒部7は、プラグ側光コネクタ10の後部が挿通する挿通孔16を有する筒状体である。後筒部7は、プラグ側光コネクタ10の後部に外挿される。後筒部7は、本体部17と、接続筒部18とを有する。本体部17は、後方に向けて徐々に外径が小さくなる円筒状とされている。接続筒部18は、本体部17の前端から延出する。接続筒部18は円筒状とされている。接続筒部18の外径は本体部17の前端の外径より小さい。接続筒部18は、基筒部11に後端側から挿入され、図示しない固定具により基筒部11に固定される。
【0033】
後筒部7は、2つに分割可能に形成されている。後筒部7は、2つの半筒状の分割筒体7A,7Bからなる。後筒部7は、プラグ側光コネクタ10の後部(例えばブーツ部70の一部)を囲んで配置される。後筒部7は、分割筒体7A,7Bでプラグ側光コネクタ10の後部を挟み込み、次いで接続筒部18を本体筒部6(基筒部11)に後方から挿入することによって、本体筒部6に組み付けることができる。
【0034】
図4および
図6に示すように、第1嵌合部5Aは、厚さ方向(前後方向)から見て台形の板状に形成されている。第1嵌合部5Aの前面5Aaは、底辺縁71aと、側辺縁71b,71bと、上辺縁71cとを有する台形状である。上辺縁71cは底辺縁71aと平行である。上辺縁71cは、底辺縁71aより短い。側辺縁71b,71bは、傾斜角θ1(0°<θ1<90°)で底辺縁71aに対して傾斜している。底辺縁71aに対する2つの側辺縁71b,71bの角度は互いに等しいことが好ましい。第1嵌合部5Aの外周形状は、前述の台形状である。
【0035】
前面5Aaの形状は、中心軸C1の周りの非回転対称形である。中心軸C1は前面5Aa(接続面)に直交する。中心軸C1は、例えば、前面5Aaの重心を通る軸線であり、前後方向に平行である。
【0036】
第1嵌合部5Aの前面5Aaには、レセプタクル側光コネクタ110の台部123(
図2参照)を収容可能な収容凹部22が形成されている。収容凹部22は、前方から見て矩形状である。収容凹部22内には、プラグ側光コネクタ10の挿入部25が挿通可能な挿通孔23(
図6参照)が形成されている。挿通孔23は、円形状とされ、第1嵌合部5Aを厚さ方向に貫通して形成されている。
【0037】
収容凹部22の底部には、固定具挿通孔22a(
図6参照)が第1嵌合部5Aを厚さ方向に貫通して形成されている。固定具挿通孔22aには固定具26(ボルト等。
図4参照)が挿通する。固定具26は先端環部12の固定具挿入孔12b(
図6参照)に挿入され、先端環部12に固定される。これにより、第1嵌合部5Aは先端環部12に固定される。
【0038】
図3および
図5に示すように、第1嵌合部5Aの後面5Abは、前面5Aaと同形である。後面5Abには、ベース部材4の先端環部12を収容可能な収容凹部24が形成されている。収容凹部24は、後方から見て円形状である。収容凹部24内には、挿通孔23が開口している。
第1嵌合部5Aはベース部材4とは別体である。第1嵌合部5Aはベース部材4に対して着脱自在であることが好ましい。
【0039】
(第2プラグ側部材2B)
図2に示すように、第2プラグ側部材2B(第2のプラグ側部材)は、ベース部材4と、第2嵌合部5B(第2の嵌合部)とを備える。第1プラグ側部材2Aと共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
図10は、第2プラグ側部材2Bおよびプラグ側コネクタ10の斜視図である。
図10に示すように、第2嵌合部5Bは、厚さ方向(前後方向)から見て五角形の板状に形成されている。第2嵌合部5Bの前面5Baは、底辺縁81aと、側辺縁81b,81cと、傾斜辺縁81dと、上辺縁81eとを有する五角形状である。側辺縁81b,81cは底辺縁81aに対して垂直である。傾斜辺縁81dは側辺縁81bに連なって形成され、側辺縁81bに対して傾斜角θ2(90°<θ2<180°)で傾斜している。上辺縁81eは底辺縁81aと平行である。前面5Baの形状は、矩形の一部(第2嵌合部5Bの厚さ方向から見て直角三角形部分)を切り欠いた形状である。第2嵌合部5Bの外周形状は、前述の五角形状である。
【0041】
前面5Baの形状は、中心軸C2の周りの非回転対称形である。中心軸C2は、前面5Ba(接続面)に直交する。中心軸C2は、例えば、前面5Baの重心を通る軸線であり、前後方向に平行である。
第2嵌合部5Bはベース部材4とは別体である。第2嵌合部5Bはベース部材4に対して着脱自在であることが好ましい。
【0042】
(第3プラグ側部材2C)
図2に示すように、第3プラグ側部材2C(第3のプラグ側部材)は、ベース部材4と、第3嵌合部5C(第3の嵌合部)とを備える。第1プラグ側部材2Aと共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0043】
図11は、第3プラグ側部材2Cおよびプラグ側コネクタ10の斜視図である。
図11に示すように、第3嵌合部5Cの前面5Caは、円の一部(弓形部分)を切り欠いた形状である。すなわち、前面5Caは、円弧状の周縁91aと、周縁91aの両端を結ぶ直線状の縁91bを有する形状である。第3嵌合部5Cの外周形状は、前述の円の一部(弓形部分)を切り欠いた形状である。
【0044】
前面5Caの形状は、前面5Ca(接続面)に直交する中心軸C3の周りの非回転対称形である。中心軸C3は、前面5Ca(接続面)に直交する。中心軸C3は、例えば、前面5Caの重心を通る軸線であり、前後方向に平行である。
第3嵌合部5Cはベース部材4とは別体である。第3嵌合部5Cはベース部材4に対して着脱自在であることが好ましい。
【0045】
プラグ側部材2(第1プラグ側部材2A、第2プラグ側部材2Bおよび第3プラグ側部材2C)は、既存のプラグ側光コネクタ10に対して後付けで装着可能である。プラグ側部材2は、プラグ側光コネクタ10に対して着脱可能であることが好ましい。
【0046】
(受け側部材3)
図1および
図2に示すように、受け側部材3は、板状に形成されている。
図2に示すように、受け側部材3には、複数の凹部105A〜105C(第1凹部105A、第2凹部105Bおよび第3凹部105C)が形成されている。凹部105A〜105C内にレセプタクル側光コネクタ110が配置されるため、受け側部材3は、レセプタクル側光コネクタ110に装着されている。
【0047】
第1凹部105Aの内部には、第1プラグ側部材2Aが装着されたプラグ側光コネクタ10(10A)が挿入されるべきレセプタクル側光コネクタ110(110A)が配置される。第1凹部105Aは、第1プラグ側部材2Aの第1嵌合部5Aに対応した形状とされている。すなわち、第1凹部105Aは、第1嵌合部5Aの底辺縁71a(
図4参照)に対応した底辺縁171aと、側辺縁71b,71b(
図4参照)に対応した一対の側辺縁171b,171bと、上辺縁71c(
図4参照)に対応した上辺縁171cとを有する台形状とされている。
【0048】
第1凹部105Aには、第1嵌合部5Aが嵌合可能である。第1凹部105Aの周縁には、枠状の壁部である第1枠状壁部106Aが形成されている。第1枠状壁部106Aは、受け側部材3の一方の面3aに対して垂直に、面3aから突出して形成されている。第1凹部105Aおよび第1枠状壁部106Aは、第1嵌合部5Aが嵌合可能な凹所である第1受け部107A(第1の受け部)を形成する。第1受け部107Aは、第1嵌合部5Aの外周形状(台形状)に対応する内周形状(台形状)を有する。第1受け部107Aの内周面は、第1嵌合部5Aの外周面に当接または近接する。第1受け部107Aの内周形状は、第2受け部107Bおよび第3受け部107Cの内周形状とは異なる。
【0049】
第1嵌合部5Aは非回転対称形であるため、第1嵌合部5Aの軸周り方向の姿勢が正しい姿勢からずれると、第1嵌合部5Aは、その一部が第1枠状壁部106Aに当たって第1受け部107Aに挿入できない。そのため、第1嵌合部5Aは、正しい姿勢で第1受け部107Aに挿入される。よって、レセプタクル側光コネクタ110に対してプラグ側光コネクタ10の軸周り方向の姿勢は正しい姿勢となる。
【0050】
第1プラグ側部材2Aが装着されたプラグ側光コネクタ10(10A)は、レセプタクル側光コネクタ110(110A)と接続される。フェルール30,130(
図7〜
図9参照)の端面同士が突き当たることによって、光ファイバの端面同士が突き当たり、光ファイバ同士が光接続する。
【0051】
第1受け部107Aの内周形状は、第2嵌合部5Bおよび第3嵌合部5Cの外周形状に即した形状ではない。そのため、第1受け部107Aには、第2嵌合部5Bおよび第3嵌合部5Cは挿入できない。すなわち、第1受け部107Aには、第1嵌合部5A以外の嵌合部は挿入できない。よって、第1受け部107Aのレセプタクル側光コネクタ110(110A)には、正しいプラグ側部材2(第1プラグ側部材2A)が装着されたプラグ側光コネクタ10(10A)が挿入される。
【0052】
第2凹部105Bの内部には、第2プラグ側部材2Bが装着されたプラグ側光コネクタ10(10B)が挿入されるべきレセプタクル側光コネクタ110(110B)が配置される。第2凹部105Bは、第2プラグ側部材2Bの第2嵌合部5Bに対応した形状とされている。すなわち、第2凹部105Bは、第2嵌合部5Bの底辺縁81a(
図10参照)に対応した底辺縁181aと、側辺縁81b,81c(
図10参照)に対応した側辺縁181b,181cと、傾斜辺縁81d(
図10参照)に対応した傾斜辺縁181dと、上辺縁81e(
図10参照)に対応した上辺縁181eとを有する五角形状とされている。
【0053】
第2凹部105Bには、第2嵌合部5Bが嵌合可能である。第2凹部105Bの周縁には、枠状の壁部である第2枠状壁部106Bが形成されている。第2枠状壁部106Bは、受け側部材3の一方の面3aに対して垂直に、面3aから突出して形成されている。第2凹部105Bおよび第2枠状壁部106Bは、第2嵌合部5Bが嵌合可能な凹所である第2受け部107B(第2の受け部)を形成する。第2受け部107Bは、第2嵌合部5Bの外周形状(五角形状)に対応する内周形状(五角形状)を有する。第2受け部107Bの内周面は、第2嵌合部5Bの外周面に当接または近接する。第2受け部107Bの内周形状は、第1受け部107Aおよび第3受け部107Cの内周形状とは異なる。
【0054】
第2嵌合部5Bは非回転対称形であるため、第2嵌合部5Bの軸周り方向の姿勢が正しい姿勢からずれると、第2嵌合部5Bは、その一部が第2枠状壁部106Bに当たって第2受け部107Bに挿入できない。そのため、第2嵌合部5Bは、正しい姿勢で第2受け部107Bに挿入される。よって、レセプタクル側光コネクタ110に対してプラグ側光コネクタ10の軸周り方向の姿勢は正しい姿勢となる。
【0055】
第2プラグ側部材2Bが装着されたプラグ側光コネクタ10(10B)は、レセプタクル側光コネクタ110(110B)と接続される。フェルール30,130(
図7〜
図9参照)の端面同士が突き当たることによって、光ファイバの端面同士が突き当たり、光ファイバ同士が光接続する。
【0056】
第2受け部107Bの内周形状は、第1嵌合部5Aおよび第3嵌合部5Cの外周形状に即した形状ではない。そのため、第2受け部107Bには、第1嵌合部5Aおよび第3嵌合部5Cは挿入できない。すなわち、第2受け部107Bには、第2嵌合部5B以外の嵌合部は挿入できない。よって、第2受け部107Bのレセプタクル側光コネクタ110(110B)には、正しいプラグ側部材2(第2プラグ側部材2B)が装着されたプラグ側光コネクタ10(10B)が挿入される。
【0057】
第3凹部105Cの内部には、第3プラグ側部材2Cが装着されたプラグ側光コネクタ10(10C)が挿入されるべきレセプタクル側光コネクタ110(110C)が配置される。第3凹部105Cは、第3プラグ側部材2Cの第3嵌合部5Cに対応した形状とされている。すなわち、第3凹部105Cは、第3嵌合部5Cに即した形状(円の一部である弓形部分を切り欠いた形状)とされている。詳しくは、第3凹部105Cは、第3嵌合部5Cの周縁91a(
図11参照)に対応した周縁191aと、直線状の縁91b(
図11参照)に対応した直線状の縁191bとを有する形状とされている。
【0058】
第3凹部105Cには、第3嵌合部5Cが嵌合可能である。第3凹部105Cの周縁には、枠状の壁部である第3枠状壁部106Cが形成されている。第3枠状壁部106Cは、受け側部材3の一方の面3aに対して垂直に、面3aから突出して形成されている。第3凹部105Cおよび第3枠状壁部106Cは、第3嵌合部5Cが嵌合可能な凹所である第3受け部107C(第3の受け部)を形成する。第3受け部107Cは、第3嵌合部5Cの外周形状に対応する内周形状(円の一部である弓形部分を切り欠いた形状)を有する。第3受け部107Cの内周面は、第3嵌合部5Cの外周面に当接または近接する。第3受け部107Cの内周形状は、第1受け部107Aおよび第2受け部107Bの内周形状とは異なる。
【0059】
第3嵌合部5Cは非回転対称形であるため、第3嵌合部5Cの軸周り方向の姿勢が正しい姿勢からずれると、第3嵌合部5Cは、その一部が第3枠状壁部106Cに当たって第3受け部107Cに挿入できない。そのため、第3嵌合部5Cは、正しい姿勢で第3受け部107Cに挿入される。よって、レセプタクル側光コネクタ110に対してプラグ側光コネクタ10の軸周り方向の姿勢は正しい姿勢となる。
【0060】
第3プラグ側部材2Cが装着されたプラグ側光コネクタ10(10C)は、レセプタクル側光コネクタ110(110C)と接続される。フェルール30,130(
図7〜
図9参照)の端面同士が突き当たることによって、光ファイバの端面同士が突き当たり、光ファイバ同士が光接続する。
【0061】
第3受け部107Cの内周形状は、第1嵌合部5Aおよび
第2嵌合部5Bの外周形状に即した形状ではない。そのため、第3受け部107Cには、第1嵌合部5Aおよび第2嵌合部5Bは挿入できない。すなわち、第3受け部107Cには、第3嵌合部5C以外の嵌合部は挿入できない。よって、第3受け部107Cのレセプタクル側光コネクタ110(110C)には、正しいプラグ側部材2(第3プラグ側部材2C)が装着されたプラグ側光コネクタ10(10C)が挿入される。従って、レセプタクル側光コネクタ110に対するプラグ側光コネクタ10の誤挿入を防ぐことができる。
【0062】
受け部107A〜107Cの内周面と、これに対面する嵌合部5A〜5Cの外周面とは離間していてもよい。これにより、受け部107A〜107C内で、嵌合部5A〜5Cが前面5Aa〜5Caに沿う方向に移動可能となり、プラグ側光コネクタ10とレセプタクル側光コネクタ110との位置合わせを容易にできる。
【0063】
受け側部材3は、レセプタクル側光コネクタ110を有する機器に対して後付けで装着できる。受け側部材3は、レセプタクル側光コネクタ110を有する機器に対して着脱可能であってもよい。
【0064】
誤挿入防止部材1を構成するプラグ側部材2は、既存のプラグ側光コネクタ10に対して後付けで装着できる。受け側部材3は、レセプタクル側光コネクタ110を有する機器に対して後付けで装着できる。そのため、コネクタを新たに設計、製造する必要がなく、コスト抑制が可能である。
【0065】
プラグ側部材2は、プラグ側部材2A〜2Cごとに異なる嵌合部5A〜5Cと、プラグ側部材2A〜2Cに共通のベース部材4とを備える。プラグ側部材2は、部品(ベース部材4)を共通化することで製造コストを削減できる。
【0066】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、前記実施形態では、複数の受け部が1つの受け側部材に形成されているが、1つの受け部が形成された受け側部材が複数使用されてもよい。
前記実施形態では、3種類の嵌合部を有するプラグ側部材と、それに対応した3種類の受け部を有する受け側部材とが用いられているが、嵌合部および受け部の種類は3種類に限らず、2種類であってもよいし、4以上の任意の数の種類であってもよい。
【0067】
前記実施形態では、第1〜第3受け部は、それぞれ第1〜第3嵌合部の外周形状に対応する内周形状を有するが、逆に、第1〜第3受け部が、第1〜第3嵌合部の内周形状に対応する外周形状を有していてもよい。その場合、第1〜第3受け部の少なくとも一部が第1〜第3嵌合部の凹所に挿入される。すなわち、前記実施形態では、次の(i)〜(iii)を採用できる。(i)第1の嵌合部と第1の受け部のうち一方の外周形状が、他方の内周形状と対応する形状である。(ii)第2の嵌合部と第2の受け部のうち一方の外周形状が、他方の内周形状と対応する形状である。(iii)第3の嵌合部と第3の受け部のうち一方の外周形状が、他方の内周形状と対応する形状である。
【0068】
前記実施形態では、プラグ側光コネクタ10はレセプタクル側光コネクタ110に挿入されるが、プラグ側光コネクタが挿入される受け側コネクタは、光コネクタアダプタであってもよい。
前記実施形態では、誤挿入防止部材1が適用されるコネクタは、光コネクタ10,110であるが、誤挿入防止部材は光コネクタに限らず、他の種類のコネクタ(例えば、電気コネクタ)に適用してもよい。
前記実施形態では、プラグ側部材2の後筒部7は2つに分割可能に形成されているが、3以上の任意の数に分割可能であってもよい。
前記実施形態では、プラグ側部材2は、ベース部材4と嵌合部5A〜5Cとを備えるが、プラグ側部材は嵌合部を有する一体形成品であってもよい。
【0069】
前記実施形態では、BNC形の結合金具が採用されたプラグ側光コネクタに誤挿入防止部材が適用されているが、誤挿入防止部材が適用可能なコネクタは、BNC形のコネクタに限定されない。
図12は、実施形態の誤挿入防止部材が適用可能なコネクタの他の例を示す模式図である。ここに示すコネクタは、MPO形光コネクタ(MPO:Multi-fiber Push On)である。MPO形光コネクタは、JIS C5982に制定されるF13形光コネクタ、あるいはIEC61754−7に準拠する光コネクタである。MPO形光コネクタは、フェルール212と、フェルール212を収容するハウジング211と、カップリング213と、スプリング215と、ハウジング211の後端側に設けられたブーツ217とを有する。
【0070】
誤挿入防止部材は、SC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)などの単心コネクタに適用してもよい。SC形光コネクタは、JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ、あるいは、IEC(国際電気標準化会議)60874−14:1993、またはIEC 60874−19:1995に準拠する光コネクタである。