特許第6693989号(P6693989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6693989
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】車載用バッテリー
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20200427BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20200427BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20200427BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20200427BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20200427BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20200427BHJP
   H01M 10/652 20140101ALI20200427BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20200427BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   H01M10/6556
   B60K1/04 Z
   B60K11/06
   H01M10/613
   H01M10/6563
   H01M10/625
   H01M10/652
   H01M10/647
   H01M2/10 S
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-57695(P2018-57695)
(22)【出願日】2018年3月26日
(65)【公開番号】特開2019-169411(P2019-169411A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2018年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】板井 啓祐
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−310256(JP,A)
【文献】 特開2005−19231(JP,A)
【文献】 特開2006−318820(JP,A)
【文献】 特開2009−274666(JP,A)
【文献】 特開2010−15931(JP,A)
【文献】 特開2010−225344(JP,A)
【文献】 特開2011−20637(JP,A)
【文献】 特開2012−54054(JP,A)
【文献】 特開2012−164473(JP,A)
【文献】 特開2012−199205(JP,A)
【文献】 特開2013−48083(JP,A)
【文献】 特開2013−71729(JP,A)
【文献】 特開2013−193635(JP,A)
【文献】 特開2014−35969(JP,A)
【文献】 特開2014−93207(JP,A)
【文献】 特開2014−203600(JP,A)
【文献】 特開2016−132314(JP,A)
【文献】 特開2016−134243(JP,A)
【文献】 特開2016−137880(JP,A)
【文献】 実開平7−15160(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0308559(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60K 11/06
H01M 2/10
H01M 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電池セルがそれぞれ配置された複数の電池モジュールと、
前記複数の電池モジュールを収納する収納ケースと、
前記複数の電池モジュールの内部に冷却風を送る吸気用ダクトと
前記吸気用ダクトから前記各電池モジュールに向かってそれぞれ配設された複数の流入部とを備え、
前記複数の電池モジュールは少なくとも二つが上下に隔離して配置されると共に少なくとも二つが前後に離隔して配置され、
冷却風が前記吸気用ダクトを介して前記電池モジュールの内部に後方から取り入れられ、
前記電池モジュールの内部に取り入れられた冷却風が前記収納ケースの内部に排出され、
前記収納ケースの後部には前記電池モジュールから前記収納ケースの内部に排出された冷却風を排気する排気孔が形成され、
前記複数の電池モジュールから前記収納ケースの内部にそれぞれ排出される冷却風の排出量は、最も前側に配置された少なくとも一つの前記電池モジュールに向かって配設された前記流入部の内周がその他の前記流入部より大きくされることにより、前記最も前側に配置された少なくとも一つの前記電池モジュールからの排出量が最大にされ、
前記最も前側に配置された少なくとも一つの前記電池モジュールに向かって配設された前記流入部は、その全長がその他の前記流入部と比較して最長とされた
車載用バッテリー。
【請求項2】
最も前側に一つの前記電池モジュールが配置され、
最も前側に配置された前記電池モジュールの後側に二つの前記電池モジュールが上段と下段に配置され、
最も前側に配置された前記電池モジュールが上下方向において中段に配置された
請求項1に記載の車載用バッテリー。
【請求項3】
前記電池モジュールが五つ配置され、
上段と下段に配置された前記二つの電池モジュールの後側に二つの前記電池モジュールが上段と下段に配置された
請求項2に記載の車載用バッテリー。
【請求項4】
前記排気孔が複数形成され、
少なくとも二つの前記排気孔が上下に離隔して位置された
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車載用バッテリー。
【請求項5】
前記電池モジュールの前面部に前記冷却風を前記収納ケースの内部に排出する放出孔が形成され、
前記吸気用ダクトの一端部が前記電池モジュールの後端部に結合される結合部として設けられ、
前記結合部の後面は上下方向における中間部が後方に凸になる曲面として形成された
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の車載用バッテリー。
【請求項6】
前記収納ケースの前端部には最も前側に配置された電池モジュールの上下の位置に、後方へ行くに従って上下方向において互いに離隔する傾斜部が設けられた
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の車載用バッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載される車載用バッテリーについての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の各種の車両にはモーターや各種の電装部品に電力を供給するための車載用バッテリーが搭載されている。
【0003】
近年、特に、EV(Electric Vehicle:電気自動車)やHEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド電気自動車)等の車両が普及されつつあり、これらの電気を動力とした車両においては高い蓄電機能を有する車載用バッテリーが搭載される。
【0004】
車載用バッテリーには収納ケースと収納ケースに収納された電池モジュールとが設けられ、電池モジュールは、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の複数の電池セル(2次電池)が配列されて構成されている。また、電気自動車等に搭載される車載用バッテリーにあっては、高い蓄電機能を保持するために、複数の電池モジュールが収納ケースに配置され、これらの複数の電池モジュールの各電池セルが直列又は並列に接続されている。
【0005】
このような車載用バッテリーには、高い蓄電機能を保持する構成として、収納ケースに上下2段に電池モジュールが配置されたタイプがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載された車載用バッテリーは、後方側の荷室に配置され、下段の電池モジュールがフロアーパネルに上方に開口して形成された凹部に挿入されることにより、荷室の広いスペースが確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許5206110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、車載用バッテリーにおいては、駆動時に電池セルが発熱するため、電池セルを冷却して発熱による温度上昇を抑制し電池セルや収納ケースの内部に配置される各種の制御機器等の良好な性能を確保する必要があるが、収納ケースの内部における排気経路が複雑であると、円滑な排気状態が確保されず十分な冷却性能を確保することができなくなるおそれがある。
【0009】
特に、上記のような複数の電池モジュールが配置された車載用バッテリーにあっては、発熱量が大きくなるため、円滑な排気状態を確保して複数の電池モジュールに対する冷却効率の向上を図ることが望まれる。
【0010】
そこで、本発明は、上記した問題点を克服し、冷却風の円滑な排気状態を確保して電池セルに対する冷却効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1に、本発明に係る車載用バッテリーは、内部に電池セルがそれぞれ配置された複数の電池モジュールと、前記複数の電池モジュールを収納する収納ケースと、前記複数の電池モジュールの内部に冷却風を送る吸気用ダクトと、前記吸気用ダクトから前記各電池モジュールに向かってそれぞれ配設された複数の流入部とを備え、前記複数の電池モジュールは少なくとも二つが上下に離隔して配置されると共に少なくとも二つが前後に離隔して配置され、冷却風が前記吸気用ダクトを介して前記電池モジュールの内部に後方から取り入れられ、前記電池モジュールの内部に取り入れられた冷却風が前記収納ケースの内部に排出され、前記収納ケースの後部には前記電池モジュールから前記収納ケースの内部に排出された冷却風を排気する排気孔が形成され、前記複数の電池モジュールから前記収納ケースの内部にそれぞれ排出される冷却風の排出量は、最も前側に配置された少なくとも一つの前記電池モジュールに向かって配設された前記流入部の内周がその他の前記流入部より大きくされることにより、前記最も前側に配置された少なくとも一つの前記電池モジュールからの排出量が最大にされ、前記最も前側に配置された少なくとも一つの前記電池モジュールに向かって配設された前記流入部は、その全長がその他の前記流入部と比較して最長とされたものである。
【0012】
これにより、吸気用ダクトを介して後方から取り入れられた冷却風が最も前側に配置された少なくとも一つの電池モジュールから最大の排出量で排出され、収納ケースの内部において冷却風が最大の排出量で排出された電池モジュールから排気孔へ向かう主要な排気経路が形成される。
【0013】
第2に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、最も前側に一つの前記電池モジュールが配置され、最も前側に配置された前記電池モジュールの後側に二つの前記電池モジュールが上段と下段に配置され、最も前側に配置された前記電池モジュールが上下方向において中段に配置されることが望ましい。
【0014】
これにより、中段に配置された電池モジュールからの冷却風の排出量が最大とされるため、中段に配置された電池モジュールから排出された冷却風が上方側と下方側に分かれて流動され易くなる。
【0015】
第3に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、前記電池モジュールが五つ配置され、上段と下段に配置された前記二つの電池モジュールの後側に二つの前記電池モジュールが上段と下段に配置されることが望ましい。
【0016】
これにより、前後方向における中間部と最も後側にそれぞれ上下2段に電池モジュールが配置され最も前側の中段に一つの電池モジュールが配置された構成にされる。
【0017】
第4に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、前記排気孔が複数形成され、少なくとも二つの前記排気孔が上下に離隔して位置されることが望ましい。
【0018】
これにより、収納ケースの内部において上側を流動される冷却風と収納ケースの内部において下側を流動される冷却風とがそれぞれ上側の排気孔と下側の排気孔から排気され易くなる。
【0019】
第5に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、前記電池モジュールの前面部に前記冷却風を前記収納ケースの内部に排出する放出孔が形成され、前記吸気用ダクトの一端部が前記電池モジュールの後端部に結合される結合部として設けられ、前記結合部の後面は上下方向における中間部が後方に凸になる曲面として形成されることが望ましい。
【0020】
これにより、曲面の後側に位置された電池モジュールの放出孔から排出された冷却風の少なくとも一部が曲面に案内されて上方又は下方から後方へ流動され易くなる。
【0021】
第6に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、前記収納ケースの前端部には最も前側に配置された電池モジュールの上下の位置に、後方へ行くに従って上下方向において互いに離隔する傾斜部が設けられることが望ましい。
【0022】
これにより、最も前側に配置された電池モジュールから排出される冷却風が傾斜部に沿って後方へ向けて流動される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、吸気用ダクトを介して後方から取り入れられた冷却風が最も前側に配置された少なくとも一つの電池モジュールから最大の排出量で排出され、収納ケースの内部において冷却風が最大の排出量で排出された電池モジュールから排気孔へ向かう主要な排気経路が形成されるため、他の電池モジュールから排出された冷却風が最も前側に配置された電池モジュールから排気孔へ向かう排気経路で流動され易くなり、冷却風の円滑な排気状態を確保して電池セルに対する冷却効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図2乃至図12と共に本発明車載用バッテリーの実施の形態を示すものであり、本図は、車載用バッテリーの斜視図である。
図2】車載用バッテリーの一部を省略した状態で示す斜視図である。
図3】車載用バッテリーにおける電池モジュールの配置状態等を示す概略図である。
図4】電池モジュールとジョイントダクトを示す概略分解斜視図である。
図5】第1の冷却ユニットの斜視図である。
図6】第2の冷却ユニットの斜視図である。
図7図8乃至図11と共に電池モジュールとジョイントダクトを示すものであり、本図は、第1の電池モジュールと第1のジョイントダクトを示す斜視図である。
図8】第2の電池モジュールと第2のジョイントダクトを示す斜視図である。
図9】第3の電池モジュールと第3のジョイントダクトを示す斜視図である。
図10】第4の電池モジュールと第4のジョイントダクトを示す斜視図である。
図11】第5の電池モジュールと第5のジョイントダクトを示す斜視図である。
図12】最も前側に二つの電池モジュールが配置された例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明車載用バッテリーを実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0026】
車載用バッテリー1は収納ケース2と電池モジュール3、3、・・・を有している(図1乃至図3参照)。車載用バッテリー1は、例えば、車両の荷室に配置されている。
【0027】
収納ケース2は上方に開口された収納部4と収納部4の開口を上方から閉塞する平板状の蓋部5とを有している。
【0028】
収納部4は車両の後部座席の後側に位置された前部6と前部6の後側に位置された後部7と左右に離隔して位置された側部8、8と上下方向を向く底部9とを有している。
【0029】
前部6は、図3に示すように、上下方向における中間部分が前後方向を向く平面部6aとして設けられ、平面部6aの上側の部分が上方へ行くに従って後方に変位するように傾斜された上側傾斜部6bとして設けられ、平面部6aの下側の部分が下方へ行くに従って後方に変位するように傾斜された下側傾斜部6cとして設けられている。
【0030】
上側傾斜部6bは下端が平面部6aの上端に連続され、下側傾斜部6cは上端が平面部6aの下端に連続されている。上側傾斜部6bは、例えば、前斜め上方に凸になるように湾曲された曲面状に形成され、下側傾斜部6cは、例えば、後斜め上方に凸になるように湾曲された曲面状に形成されている。
【0031】
後部7には排気孔7a、7aと排気孔7b、7b、7bが形成されている(図1乃至図3参照)。排気孔7a、7aは後部7の上端側において左右に離隔して形成され、排気孔7b、7b、7bは後部7の下端側において左右に離隔して形成されている。
【0032】
電池モジュール3、3、・・・は、例えば、五つが前後上下に並んで収納ケース2に収納されている。電池モジュール3、3、・・・としては、最も前側に位置された第1の電池モジュール3Aと第1の電池モジュール3Aの後側に位置された第2の電池モジュール3Bと第2の電池モジュール3Bの後側に位置された第3の電池モジュール3Cと第1の電池モジュール3Aの後側に位置され第2の電池モジュール3Bの真上に位置された第4の電池モジュール3Dと第4の電池モジュール3Dの後側に位置され第3の電池モジュール3Cの真上に位置された第5の電池モジュール3Eとが設けられている。
【0033】
第1の電池モジュール3Aと第2の電池モジュール3Bと第3の電池モジュール3Cと第4の電池モジュール3Dと第5の電池モジュール3Eは電線によって直列に接続されている。
【0034】
電池モジュール3はケース体10とケース体10の内部に収容された複数の電池セル11、11、・・・とを有している(図4参照)。
【0035】
ケース体10は、上方及び後方に開口された横長の箱状に形成され、前後方向を向く横長の前面部12と左右方向を向き左右に離隔して位置された側面部13、13と上下方向を向く横長の底面部14とを有している。ケース体10の内部空間は収容空間10aとして形成されている。
【0036】
前面部12には右端部、左端部又は左右方向における中央部の何れかの位置に前後に貫通された放出孔12aが形成されている。具体的には、第1の電池モジュール3Aには、例えば、前面部12の右端部に放出孔12aが形成され、第2の電池モジュール3Bには、例えば、前面部12の左端部に放出孔12aが形成され、第3の電池モジュール3Cには、例えば、前面部12の左右方向における中央部に放出孔12aが形成され、第4の電池モジュール3Dには、例えば、前面部12の右端部に放出孔12aが形成され、第5の電池モジュール3Eには、例えば、前面部12の左右方向における中央部に放出孔12aが形成されている。尚、図4には、前面部12の右端部に放出孔12aが形成された例を示している。
【0037】
電池セル11、11、・・・は、例えば、厚み方向が左右方向とされる向きで左右に等間隔に並んだ状態で収容空間10aに収容されてケース体10に保持されている。電池セル11、11、・・・がケース体10に保持された状態においては、電池セル11、11、・・・間にそれぞれ一定の隙間が形成される。電池セル11、11、・・・は直列に接続されている。
【0038】
ケース体10には横長の形状のカバー15が取り付けられている。カバー15は上下方向を向くベース板部15aとベース板部15aの上面に位置された筒状部15bとを有している。筒状部15bはベース板部15aの前後方向における中央部に位置されている。カバー15はベース板部15aがケース体10の上側の開口を閉塞する状態でケース体10に取り付けられている。
【0039】
カバー15の前後方向における中央部には上下に貫通された図示しないガス流動孔が左右に等間隔に並んで形成されている。カバー15はガス流動孔がそれぞれ電池セル11、11、・・・の真上に位置される。
【0040】
カバー15における筒状部15bを挟んだ前後両側にはそれぞれ横長の形状に形成された基板16、16が取り付けられている。基板16、16にはそれぞれ電線が接続され、電線及び基板16、16を介して電池セル11、11、・・・に対する電気的な制御等が行われる。
【0041】
電池セル11、11、・・・にはそれぞれ内部に連通可能な図示しない弁が設けられ、各弁がそれぞれカバー15のガス流動孔に連通されている。電池セル11において、万が一、異常が発生したときには内部でガスが発生する場合があるが、ガスが発生すると電池セル11の内圧が上昇して弁が開放され、発生したガスが弁からガス流動孔を介して筒状部15bの内部に流動される。
【0042】
電池モジュール3、3、・・・はそれぞれ収納ケース2に図示しない取付板によって取り付けられそれぞれ所定の位置に配置されている(図3参照)。第2の電池モジュール3Bと第3の電池モジュール3Cは下段に配置され、第4の電池モジュール3Dと第5の電池モジュール3Eは上段に配置され、第1の電池モジュール3Aは第2の電池モジュール3B、第3の電池モジュール3C、第4の電池モジュール3D、第5の電池モジュール3Eに対して中段に配置されている。尚、第1の電池モジュール3Aは、第2の電池モジュール3B及び第3の電池モジュール3Cと同じ位置において下段に配置されていてもよく、第4の電池モジュール3D及び第5の電池モジュール3Eと同じ位置において上段に配置されていてもよい。
【0043】
電池モジュール3、3、・・・の駆動時には、電池モジュール3、3、・・・の内部に第1の吸気ユニット17と第2の吸気ユニット18によってそれぞれ冷却風が取り込まれる(図1図3図5及び図6参照)。
【0044】
第1の吸気ユニット17は第1の吸気用ダクト19と第1の吸気用ファン20と第1の吸気管21とジョイントダクト22、22、22を有している(図1及び図5参照)。
【0045】
第1の吸気用ダクト19は第1の電池モジュール3Aと第2の電池モジュール3Bと第3の電池モジュール3Cの内部に冷却風を取り込む機能を有している。第1の吸気用ダクト19は取入部23と中間部24と第1の流入部25と第2の流入部26と第3の流入部27を有している。
【0046】
取入部23と中間部24は連続されている。取入部23は中間部24の上側に位置されている。中間部24は略水平な状態で収納ケース2の下半部における後側に位置されている。
【0047】
第1の流入部25は前端部を除く部分が前後に延び前端部が他の部分に対して上方に屈曲され、後端部が中間部24の左端部に連続されている。第2の流入部26は前端部を除く部分が前後に延び前端部が他の部分に対して上方に屈曲され、後端部が中間部24の右端部に連続されている。第3の流入部27は前後に延び、後端部が中間部24の左右方向における略中央部に連続されている。第1の流入部25と第2の流入部26と第3の流入部27は前後方向における長さが順に短くなるように形成されている。
【0048】
第1の吸気用ファン20は取入部23の上端部に連結されている。
【0049】
第1の吸気管21は下端部が第1の吸気用ファン20に連結されている。従って、第1の吸気用ファン20が回転されると、第1の吸気管21から冷却風が取り込まれ、取り込まれた冷却風が第1の吸気用ダクト19へ向けて流動される。
【0050】
ジョイントダクト22、22、22としては第1のジョイントダクト22Aと第2のジョイントダクト22Bと第3のジョイントダクト22Cが設けられている。第1のジョイントダクト22Aは第1の電池モジュール3Aの内部に冷却風を取り込む機能を有し、第2のジョイントダクト22Bは第2の電池モジュール3Bの内部に冷却風を取り込む機能を有し、第3のジョイントダクト22Cは第3の電池モジュール3Cの内部に冷却風を取り込む機能を有している。第1のジョイントダクト22Aと第2のジョイントダクト22Bと第3のジョイントダクト22Cは前側から順に位置されている。
【0051】
ジョイントダクト22は横長の略矩形状に形成された結合部28と結合部28から突出された連結部29とを有している。ジョイントダクト22は内部に空間を有している。結合部28には前方に突出された吐出用突部28a、28a、・・・が左右に等間隔に離隔して設けられている。吐出用突部28aは先端が開口されている。
【0052】
結合部28の後面は上下方向における中間部が後方に凸になる曲面28bとして形成されている。
【0053】
第1のジョイントダクト22Aの連結部29は結合部28の左端部から下方に突出して設けられ、第1の流入部25の前端部に連結されている。第2のジョイントダクト22Bの連結部29は結合部28の右端部から下方に突出して設けられ、第2の流入部26の前端部に連結されている。第3のジョイントダクト22Cの連結部29は結合部28の左右方向における中央部から後方に突出して設けられ、第3の流入部27の前端部に連結されている。
【0054】
第2の吸気ユニット18は第2の吸気用ダクト30と第2の吸気用ファン31と第2の吸気管32とジョイントダクト22、22を有している(図1及び図6参照)。
【0055】
第2の吸気用ダクト30は第4の電池モジュール3Dと第5の電池モジュール3Eの内部に冷却風を取り込む機能を有している。第2の吸気用ダクト30は取入部33と中間部34と第4の流入部35と第5の流入部36を有している。
【0056】
取入部33は中間部34に連続されている。取入部33は中間部34の上側に位置されている。中間部34は略水平な状態で収納ケース2の上半部における後側に位置されている。
【0057】
第2の吸気ユニット18は中間部34が第1の吸気ユニット17の中間部24の上側に位置されている。従って、中間部24と中間部34が前後で重ならず、車載用バッテリー1の前後方向における小型化を図ることができる。
【0058】
第4の流入部35は前端部を除く部分が前後に延び前端部が他の部分に対して右方に屈曲され、後端部が中間部34の左端部に連続されている。第5の流入部36は前後に延び、後端部が中間部34の右端部に連続されている。第4の流入部35は第5の流入部36より前後方向における長さが長く形成されている。
【0059】
第2の吸気用ファン31は取入部33の上端部に連結されている。
【0060】
第2の吸気管32は下端部が第2の吸気用ファン31に連結されている。従って、第2の吸気用ファン31が回転されると、第2の吸気管32から冷却風が取り込まれ、取り込まれた冷却風が第2の吸気用ダクト30へ向けて流動される。
【0061】
ジョイントダクト22、22としては第4のジョイントダクト22Dと第5のジョイントダクト22Eが設けられている。第4のジョイントダクト22Dは第4の電池モジュール3Dの内部に冷却風を取り込む機能を有し、第5のジョイントダクト22Eは第5の電池モジュール3Eの内部に冷却風を取り込む機能を有している。第4のジョイントダクト22Dは第5のジョイントダクト22Eより前側に位置されている。
【0062】
第4のジョイントダクト22Dの連結部29は結合部28の左端部から左方に突出して設けられ、第4の流入部35の前端部に連結されている。第5のジョイントダクト22Eの連結部29は結合部28の左右方向における中央部から後方に突出して設けられ、第5の流入部36の前端部に連結されている。
【0063】
車載用バッテリー1においては、例えば、第1の流入部25と第2の流入部26と第3の流入部27と第4の流入部35と第5の流入部36の内周の大きさのうち、第1の流入部25の内周の大きさが最大にされている。従って、第1の流入部25と第2の流入部26と第3の流入部27と第4の流入部35と第5の流入部36の内部を流動される冷却風の流量は、第1の流入部25の内部を流動される冷却風が最大にされている。
【0064】
第1の吸気ユニット17は、第1の流入部25と第2の流入部26と第3の流入部27がそれぞれ収納ケース2に形成された排気孔7b、7b、7bに後方から挿通されている。第1の流入部25と第2の流入部26と第3の流入部27が排気孔7b、7b、7bに挿通された状態において、第1の流入部25、第2の流入部26及び第3の流入部27の外周面と排気孔7b、7b、7bの開口縁との間にはそれぞれ一定の隙間が形成されており、この隙間から収納ケース2の内部の空気が収納ケース2の外側へ流動可能にされている。
【0065】
第1のジョイントダクト22Aは結合部28が第1の電池モジュール3Aにおけるケース体10の後端部に結合され(図7参照)、電池セル11、11、・・・の後面に対向して位置される。第1の流入部25は収納ケース2の内部において第2の電池モジュール3B及び第3の電池モジュール3Cの下側に位置される。
【0066】
第2のジョイントダクト22Bは結合部28が第2の電池モジュール3Bにおけるケース体10の後端部に結合され(図8参照)、電池セル11、11、・・・の後面に対向して位置される。第2の流入部26は収納ケース2の内部において第3の電池モジュール3Cの下側に位置される。
【0067】
第3のジョイントダクト22Cは結合部28が第3の電池モジュール3Cにおけるケース体10の後端部に結合され(図9参照)、電池セル11、11、・・・の後面に対向して位置される。
【0068】
第4のジョイントダクト22Dは結合部28が第4の電池モジュール3Dにおけるケース体10の後端部に結合され(図10参照)、電池セル11、11、・・・の後面に対向して位置される。第4の流入部35は収納ケース2の内部において第5の電池モジュール3Eの左側に位置される。
【0069】
第5のジョイントダクト22Eは結合部28が第5の電池モジュール3Eにおけるケース体10の後端部に結合され(図11参照)、電池セル11、11、・・・の後面に対向して位置される。
【0070】
上記したように、ジョイントダクト22、22、・・・はそれぞれ結合部28、28、・・・が電池セル11、11、・・・の後面に対向して位置される。このとき結合部28の吐出用突部28a、28a、・・・がそれぞれ電池セル11、11、・・・間に位置される。従って、吐出用突部28a、28a、・・・からそれぞれ吐出される冷却風はそれぞれ電池セル11、11、・・・間に形成された隙間を通って前方へ向かう。
【0071】
以下に、冷却風の流動経路について説明する。
【0072】
第1の吸気用ファン20と第2の吸気用ファン31が回転されると、それぞれ第1の吸気管21と第2の吸気管32から収納ケース2の外部に存在する空気が冷却風として第1の吸気用ダクト19と第2の吸気用ダクト30に取り込まれる。
【0073】
第1の吸気用ダクト19に取り込まれた冷却風は取入部23から中間部24に流動され第1の流入部25と第2の流入部26と第3の流入部27に分流される。分流された冷却風は、それぞれ第1のジョイントダクト22Aと第2のジョイントダクト22Bと第3のジョイントダクト22Cへ向けて流動され、それぞれ第1の電池モジュール3Aと第2の電池モジュール3Bと第3の電池モジュール3Cの内部に吐出される。
【0074】
第1の電池モジュール3Aと第2の電池モジュール3Bと第3の電池モジュール3Cの内部に吐出された冷却風は電池セル11、11、・・・間に形成された隙間を通って前方へ向かい、冷却風によって電池セル11、11、・・・の冷却が行われる。電池セル11、11、・・・間に形成された隙間を通って前方へ向かった冷却風は前面部12、12、12の放出孔12a、12a、12aからそれぞれ収納ケース2の内部空間に排出される。
【0075】
このとき第1の電池モジュール3Aに結合された第1のジョイントダクト22Aにおける結合部28の後面は上下方向における中間部が後方に凸になる曲面28bとして形成されているため、第2の電池モジュール3Bの放出孔12aから排出された冷却風の一部(図3に示すB1)が曲面28bに案内されて上方から後方へ流動され易くなる。
【0076】
また、第2の電池モジュール3Bに結合された第2のジョイントダクト22Bにおける結合部28の後面は上下方向における中間部が後方に凸になる曲面28bとして形成されているため、第3の電池モジュール3Cの放出孔12aから排出された冷却風(図3に示すC1とC2)が曲面28bに案内されて上方又は下方から後方へ流動され易くなる。
【0077】
一方、第2の吸気用ダクト30に取り込まれた冷却風は取入部33から中間部34に流動され第4の流入部35と第5の流入部36に分流される。分流された冷却風は、それぞれ第4のジョイントダクト22Dと第5のジョイントダクト22Eへ向けて流動され、それぞれ第4の電池モジュール3Dと第5の電池モジュール3Eの内部に吐出される。
【0078】
第4の電池モジュール3Dと第5の電池モジュール3Eの内部に吐出された冷却風は電池セル11、11、・・・間に形成された隙間を通って前方へ向かい、冷却風によって電池セル11、11、・・・の冷却が行われる。電池セル11、11、・・・間に形成された隙間を通って前方へ向かった冷却風は前面部12、12の放出孔12a、12aからそれぞれ収納ケース2の内部空間に排出される。
【0079】
このとき第1の電池モジュール3Aに結合された第1のジョイントダクト22Aにおける結合部28の後面は上下方向における中間部が後方に凸になる曲面28bとして形成されているため、第4の電池モジュール3Dの放出孔12aから排出された冷却風の一部(図3に示すD2)が曲面28bに案内されて下方から後方へ流動され易くなる。
【0080】
また、第4の電池モジュール3Dに結合された第4のジョイントダクト22Dにおける結合部28の後面は上下方向における中間部が後方に凸になる曲面28bとして形成されているため、第5の電池モジュール3Eの放出孔12aから排出された冷却風(図3に示すE1とE2)が曲面28bに案内されて上方又は下方から後方へ流動され易くなる。
【0081】
車載用バッテリー1においては、第1の電池モジュール3Aと第2の電池モジュール3Bと第3の電池モジュール3Cと第4の電池モジュール3Dと第5の電池モジュール3Eからそれぞれ収納ケース2の内部空間に排出される冷却風の排出量のうち、最も前側に位置された第1の電池モジュール3Aから収納ケース2の内部空間に排出される冷却風の排出量が最大にされている。
【0082】
従って、第1の電池モジュール3Aから収納ケース2の内部空間に排出された冷却風によって、収納ケース2の内部において主要な排気経路が形成される(図3参照)。主要な排気経路としては、収納ケース2の内部において上下両端部を除く部分に所要の各部が多く配置されているため、第1の電池モジュール3Aの前方側から第4の電池モジュール3Dと第5の電池モジュール3Eの上側を通って後部7に形成された排気孔7a、7aに至る上側排気経路F1と、第1の電池モジュール3Aの前方側から第2の電池モジュール3Bと第3の電池モジュール3Cの下側を通って後部7に形成された排気孔7b、7b、7bに至る下側排気経路F2である。
【0083】
上側排気経路F1を流動された冷却風A1は、主に、排気孔7a、7aから収納ケース2の外部に排気され、下側排気経路F2を流動された冷却風A2は、主に、排気孔7b、7b、7bから収納ケース2の外部に排気される。
【0084】
このように車載用バッテリー1においては、排出量が最大の第1の電池モジュール3Aから排出された冷却風によって主要な排気経路である上側排気経路F1と下側排気経路F2が形成されるため、第2の電池モジュール3Bと第3の電池モジュール3Cと第4の電池モジュール3Dと第5の電池モジュール3Eから排出された各冷却風が、主として、上側排気経路F1又は下側排気経路F2に合流して収納ケース2の外部に排気される。
【0085】
即ち、第4の電池モジュール3Dから排出されて上方へ向かう冷却風D1が上側排気経路F1に合流して収納ケース2の外部に排気され、第5の電池モジュール3Eから排出されて上方へ向かう冷却風E1が上側排気経路F1に合流して収納ケース2の外部に排気される。また、第2の電池モジュール3Bから排出されて下方へ向かう冷却風B2が下側排気経路F2に合流して収納ケース2の外部に排気され、第3の電池モジュール3Cから排出されて下方へ向かう冷却風C2が下側排気経路F2に合流して収納ケース2の外部に排気される。
【0086】
一方、第4の電池モジュール3Dから排出されて下方へ向かう冷却風D2と第5の電池モジュール3Eから排出されて下方へ向かう冷却風E2と第2の電池モジュール3Bから排出されて上方へ向かう冷却風B1と第3の電池モジュール3Cから排出されて上方へ向かう冷却風C1は、主として、収納ケース2の内部空間のうち上下方向における中間部を通って排気孔7a、7a、7b、7b、7bから収納ケース2の外部に排気される。
【0087】
尚、第1の電池モジュール3Aと第2の電池モジュール3Bと第3の電池モジュール3Cと第4の電池モジュール3Dと第5の電池モジュール3Eからそれぞれ収納ケース2の内部空間に排出された冷却風のうち、一部は収納ケース2の内部空間における右端部や左端部を流動されて収納ケース2の外部に排気される。但し、収納ケース2の内部空間における右端部や左端部を流動されて収納ケース2の外部に排気される冷却風の排気量は、上側排気経路F1や下側排気経路F2や収納ケース2の内部空間のうち上下方向における中間部を通って収納ケース2の外部に排気される冷却風の排気量に比して少ない。
【0088】
電池モジュール3、3、・・・の左方には排煙ダクト37が配置されている(図2参照)。排煙ダクト37は分岐された各部を有し、分岐された各部がそれぞれ電池モジュール3、3、・・・のケース体10、10、・・・を覆うカバー15、15、・・・の筒状部15b、15b、・・・に連結されている。排煙ダクト37は先端部が排気部38として設けられ、先端の開口が排気口38aとして形成されている。
【0089】
電池セル11、11、・・・において異常が発生したときのガスは、カバー15、15、・・・の筒状部15b、15b、・・・から排煙ダクト37の排気部38に流動され、排気口38aから収納ケース2の外部に排出される。
【0090】
収納ケース2の内部空間にはそれぞれ電池モジュール3、3、・・・を制御する制御機器として機能するジャンクションボックス39、40が第1の電池モジュール3Aの上側で第4の電池モジュール3Dの前側に左右に並んで位置されている。
【0091】
収納ケース2の内部空間におけるジャンクションボックス39、40が配置された領域には、ジョイントダクト22、22、・・・から吐出され電池モジュール3、3、・・・の電池セル11、11、・・・を冷却した冷却風の一部が流入され、この冷却風によってジャンクションボックス39、40が冷却される。
【0092】
収納ケース2の内部空間における右端部には補助機器41と図示しないコントロールユニットが上下に並んで配置されている。補助機器41は夜間等の車両の非走行時における充電を行うための機器であり、コントロールユニットは車載用バッテリー1の全体を制御するユニットである。
【0093】
電池セル11、11、・・・を冷却した冷却風の一部は収納ケース2の内部空間における補助機器41が配置された領域にも流入され、この冷却風によって補助機器41及びコントロールユニットが冷却される。
【0094】
以上に記載した通り、車載用バッテリー1にあっては、電池モジュール3、3、・・・の少なくとも二つが上下に離隔して配置されると共に少なくとも二つが前後に離隔して配置され、収納ケース2の後部5に排気孔7a、7a、7b、7b、7bが形成され、電池モジュール3、3、・・・から収納ケース2の内部にそれぞれ排出される冷却風の排出量は、最も前側に配置された第1の電池モジュール3Aからの排出量が最大にされている。
【0095】
従って、後方から取り入れられた冷却風が第1の電池モジュール3Aから最大の排出量で排出され、収納ケース2の内部において第1の電池モジュール3Aから排気孔7a、7a、7b、7b、7bへ向かう主要な排気経路が形成される。これにより、第2の電池モジュール3Bと第3の電池モジュール3Cと第4の電池モジュール3Dと第5の電池モジュール3Eから排出された冷却風が第1の電池モジュール3Aから排気孔7a、7a、7b、7b、7bへ向かう排気経路で流動され易くなり、冷却風の円滑な排気状態を確保して電池セル11、11、・・・に対する冷却効率の向上を図ることができる。
【0096】
また、最も前側に一つの第1の電池モジュール3Aが配置され、第1の電池モジュール3Aの後側に第4の電池モジュール3Dと第2の電池モジュール3Bが上段と下段に配置され、第1の電池モジュール3Aが上下方向において中段に配置されている。
【0097】
従って、中段に配置された第1の電池モジュール3Aからの冷却風の排出量が最大とされるため、第1の電池モジュール3Aから排出された冷却風が上方側と下方側に分かれて流動され易くなり、冷却風が収納ケース2の内部を円滑に流動され、排気孔7a、7a、7b、7b、7bから冷却風を一層円滑に排気することができる。
【0098】
さらに、五つの電池モジュール3、3、・・・が配置され、上段と下段に配置された第4の電池モジュール3Dと第2の電池モジュール3Bの後側にそれぞれ第5の電池モジュール3Eと第3の電池モジュール3Cが上段と下段に配置されている。
【0099】
従って、前後方向における中間部と最も後側にそれぞれ上下2段に電池モジュール3、3、・・・が配置され最も前側の中段に一つの電池モジュール3が配置された構成にされるため、十分な電力の生成が可能とされた上で冷却風を収納ケース2の内部で円滑に流動させて排気孔7a、7a、7b、7b、7bからの冷却風の排気を円滑に行うことができる。
【0100】
さらにまた、複数の排気孔7a、7a、7b、7b、7bが形成され、少なくとも二つの排気孔7a、7a、7b、7b、7bが上下に離隔して位置されている。
【0101】
従って、収納ケース2の内部において上側排気経路F1を流動される冷却風と収納ケース2の内部において下側排気経路F2を流動される冷却風とがそれぞれ、主に、上側の排気孔7a、7aと下側の排気孔7b、7b、7bから排気されるため、冷却風の収納ケース2からの排気を円滑に行うことができる。
【0102】
また、電池モジュール3、3、・・・の前面部12、12、・・・に冷却風を収納ケース2の内部に排出する放出孔12a、12a、・・・が形成され、第1の吸気用ダクト19と第2の吸気用ダクト30の各一端部が電池モジュール3、3、・・・の後端部にそれぞれ結合される結合部28、28、・・・として設けられ、結合部28、28、・・・の後面は上下方向における中間部が後方に凸になる曲面28b、28b、・・・として形成されている。
【0103】
従って、第2の電池モジュール3Bと第3の電池モジュール3Cと第4の電池モジュール3Dと第5の電池モジュール3Eの放出孔12a、12a、・・・から排出された冷却風の少なくとも一部が曲面28b、28b、・・・に案内されて上方又は下方から後方へ流動され易くなり、排気孔7a、7a、7b、7b、7bから冷却風を一層円滑に排気することができる。
【0104】
尚、第3の電池モジュール3Cと第5の電池モジュール3Eにおいても曲面28b、28bは上下方向における中間部が後方に凸になる形状に形成されている。従って、上側排気経路F1や下側排気経路F2や収納ケース2の内部空間のうち上下方向における中間部を通る冷却風が、第3の電池モジュール3Cと第5の電池モジュール3Eの曲面28b、28bに案内されて上方又は下方へ流動され易くなり、排気孔7a、7a、7b、7b、7bから冷却風を円滑に排気することが可能になる。
【0105】
加えて、収納ケース2の前端部には第1の電池モジュール3Aの上下の位置に、後方へ行くに従って上下方向において互いに離隔する上側傾斜部6bと下側傾斜部6cが設けられている。
【0106】
従って、第1の電池モジュール3Aから排出される冷却風が上側傾斜部6bと下側傾斜部6cに沿って後方へ向けて流動されるため、上方側と下方側に分かれて流動される冷却風を収納ケース2の内部で後方へ向けて円滑に流動させることができる。
【0107】
尚、車載用バッテリー1にあっては、冷却風が第1の吸気用ダクト19と第2の吸気用ダクト30を介して電池モジュール3、3、・・・の内部に後方から取り入れられ、第2の電池モジュール3Bと第4の電池モジュール3Dが上下2段の状態で配置され、第3の電池モジュール3Cと第5の電池モジュール3Eが上下2段の状態で配置され、最も前側に一つの第1の電池モジュール3Aが配置されている。
【0108】
従って、高温になり易い最も前側に一つのみの第1の電池モジュール3Aが配置されており、第1の電池モジュール3Aに対して他の電池モジュール3、3、・・・において発生する熱の影響が低減されるため、電池モジュール3、3、・・・に対する冷却効率の向上が図られ、電池セル11、11、・・・の発熱による温度上昇を抑制することができる。
【0109】
また、最も前側に配置された第1の電池モジュール3Aが上下2段に配置された電池モジュール3、3に対して中段に配置されているため、第1の電池モジュール3Aより後方に位置された電池モジュール3、3、・・・において発生する熱の第1の電池モジュール3Aに対する影響が一層小さくなり、電池セル11、11、・・・の発熱による温度上昇を一層抑制することができる。
【0110】
尚、上記には、五つの電池モジュール3、3、・・・が配置された例を示したが、収納ケース2の内部に配置される電池モジュール3の数は少なくとも三つであればよく、少なくとも二つの電池モジュール3、3が上下2段の状態で配置され、最も前側に少なくとも一つの電池モジュール3が配置されていればよい。
【0111】
例えば、最も前側に二つの電池モジュール3、3が上下2段の状態で配置されていてもよい(図12参照)。この場合に、電池モジュール3、3、・・・から収納ケース2の内部にそれぞれ排出される冷却風の排出量は、最も前側に配置された一方の電池モジュール3又は最も前側に配置された二つの電池モジュール3、3からの排出量が最大にされる。
【0112】
また、上記には、五つの排気孔7a、7a、7b、7b、7bが形成された例を示したが、後部5に形成される排気孔の数は五つに限られることはなく、少なくとも一つが形成されていればよい。但し、上側排気経路F1と下側排気経路F2を流動される冷却風の収納ケース2の外部への排気効率を向上させるために、排気孔は少なくとも一つずつが上下に離隔して形成されることが望ましい。
【符号の説明】
【0113】
1…車載用バッテリー、2…収納ケース、3…電池モジュール、6b…上側傾斜部、6c…下側傾斜部、7…後部、7a…排気孔、7b…排気孔、11…電池セル、19…第1の吸気用ダクト、28…結合部、28a…曲面、30…第2の吸気用ダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12