(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6694024
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】シール・ロール
(51)【国際特許分類】
G09F 3/02 20060101AFI20200427BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20200427BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20200427BHJP
B65H 75/10 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
G09F3/02 P
G09F3/10 H
G09F3/00 Z
B65H75/10
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-154247(P2018-154247)
(22)【出願日】2018年8月20日
(65)【公開番号】特開2020-30244(P2020-30244A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2018年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】510208446
【氏名又は名称】株式会社プレミアム
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(73)【特許権者】
【識別番号】597108383
【氏名又は名称】株式会社マインドウェイブ
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】武村 真光
【審査官】
堀川 あゆ美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−162352(JP,A)
【文献】
実開昭52−043898(JP,U)
【文献】
特開平11−171154(JP,A)
【文献】
特開2009−199042(JP,A)
【文献】
特開2014−164031(JP,A)
【文献】
特開2012−208533(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/107921(WO,A1)
【文献】
特開2015−074541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/02
B65H 75/10
G09F 3/00
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一シート状基材の一方の面側に第一粘着剤層を有してなる複数のシール片と、第二シート状基材の一方の面側に第二剥離剤層を有してなるセパレータとが、前記第一粘着剤層と前記第二剥離剤層とが剥離可能に貼着されることにより一体化してなるシール・シートが巻芯に巻回されてなるシール・ロールにおいて、
前記セパレータは一連の帯状であり、
前記複数のシール片は、前記セパレータの長さ方向に沿って一列に並んでおり、隣り合う前記シール片が互いに輪郭を接しているとともに、
前記複数のシール片の各々が、前記セパレータの両長辺から突出するよう配されることを特徴とするシール・ロール。
【請求項2】
請求項1に記載のシール・ロールであって、
前記第一シート状基材の他方の面側に第一剥離剤層を有することを特徴とするシール・ロール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシール・ロールであって、
前記第二シート状基材は、前記第二剥離剤層が設けられている側の面に、前記シール片の色彩や模様とは対照的な色彩や模様の印刷が施されていることを特徴とするシール・ロール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一に記載のシール・ロールであって、
前記セパレータは、前記第二シート状基材の他方の面側に、再剥離糊からなる第二粘着剤層を有することを特徴とするシール・ロール。
【請求項5】
請求項4に記載のシール・ロールであって、
前記シール片の厚み方向において前記第一粘着剤層と反対側に位置する層と前記第二粘着剤層との境界は、前記第一粘着剤層と前記第二剥離剤層との境界と比較して剥離しやすいことを特徴とするシール・ロール。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のシール・ロールであって、
前記セパレータは、容易に分割されるよう脆弱部を有することを特徴とするシール・ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシール片を有する帯状のシート状物が巻回されてなるシール・ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シール片がロール状で提供されるのは、連続的に搬送されてくる量産製品に、一律の意匠のシール片を連続自動的に貼付していくためのシール片貼付装置にシール片を供給するための工業的用途が主であった。
【0003】
ところが、近年、手帳や手紙等の装飾用に、文房具として提供されるシール片にも、持ち運びの際の利便性や見た目のかわいらしさから、ロール状のものが求められるようになってきている。
【0004】
ここで、工業用途のシール・ロールとしては、特許文献1に従来例として記載されている、複数のシール片が剥離可能に貼着された帯状のセパレータがロール状に巻回されたものが一般的であるが、巻き重ねられたセパレータ同士に貼着関係がないためロールが解けやすく、頻繁に持ち運ぶことが想定されている文房具には不向きな構成であった。
【0005】
これに対し、シール片の非粘着面に剥離剤層を設けることにより、シール片自体にセパレータの役割を兼ねさせ、セパレータを用いずにシール片を巻回させることで、容易に解けないシール・ロールが発明されている。
【0006】
例えば、特許文献2には、ミシン目等の破断容易部を設けることによって単位シール片毎に分割可能とした帯状の粘着シートを巻回させたシール・ロールが開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、シール片の一部分を順次重ね合わせることにより帯状としたシール片連結帯をロール状に巻回したシール・ロールが開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献2及び特許文献3に開示されたシール・ロールは、巻回状態が安定してはいるものの、一つのロールに複数種類の意匠からなるシール片を混在させた場合であっても、最端部に位置するシール片から使用する他なく、種類の豊富さが求められる装飾用シールに適用するには十分な構成とはいえなかった。
【0009】
さらに、特許文献2に開示されたシール・ロールは、単位シール片毎に切り取る際に破断の手間がかかる上に、破断による輪郭線がギザギザになってしまい、多少なりとも美観を損なうことになるという問題があった。また、特許文献3に開示されたシール・ロールは、シール片同士が重なり合っているため、一見しただけでは最端部に位置するシール片を見分け難く、誤って複数枚のシール片をまとめて剥がしてしまう事態を容易に引き起こし得るものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平6−87976号公報
【特許文献2】特開2014−164031号公報
【特許文献3】特開平11−249571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来の以上のような問題点に鑑み、シール片使用時の利便性と、巻回状態の安定性とを兼ね備えたシール・ロールを提供することにある。
【0012】
本発明の第1の側面に係るシール・ロールによれば、第一シート状基材の一方の面側に第一粘着剤層を有してなる複数のシール片と、第二シート状基材の一方の面側に第二剥離剤層を有してなるセパレータとが、前記第一粘着剤層と前記第二剥離剤層とが剥離可能に貼着されることにより一体化してなるシール・シートが巻芯に巻回されてなるシール・ロールにおいて、前記セパレータは一連の帯状であり、前記シール片は前記セパレータの長さ方向に沿って一列に並んでおり、隣り合う前記シール片が互いに輪郭を接しているとともに、各前記シール片の前記第一粘着剤層は、前記シール・シートにおける幅方向の少なくとも一部において、前記セパレータに覆われていないよう構成することができる。
【0013】
前記構成によれば、シール片がセパレータ上に貼着されているため、最端部以外に位置するシール片を使用しても、当該シール片の位置でシール・シートが分断されることがなく、一つのロールに複数種類の意匠のシール片が混在している場合であっても、最端部に位置するシール片に限らず、所望の位置にあるシール片を使用することができる。
【0014】
また、各シール片の粘着剤層が、帯状のシール・シートの幅方向の少なくとも一部においてセパレータに覆われていないため、シール片を使用する際にシール片の端部を摘まみ易く、セパレータから容易に剥がし取ることが可能であるとともに、巻回状態において各シール片のセパレータに覆われていない粘着剤層部分が一周分内側に巻回されているシール片に貼着することが可能であり、巻回状態の安定性を保つことができる。
【0015】
さらにまた、各シール片が隣り合うシール片と互いに輪郭を接していることにより、シール片を任意の形状に型抜きする場合でも、シール片及びセパレータの抜きカスをシール・シートの裏側からまとめて引っ張りながら取り除くことができ、製造装置の複雑化を防止することができる。
【0016】
また、本発明の第2の側面に係るシール・ロールによれば、前記第一シート状基材の他方の面側に第一剥離剤層を有するよう構成することができる。
【0017】
さらにまた、本発明の第3の側面に係るシール・ロールによれば、前記第二シート状基材は、前記第二剥離剤層が設けられている側の面に、前記シール片の色彩や模様とは対照的な色彩や模様の印刷が施されているよう構成することができる。
【0018】
前記構成によれば、使用時にシール・シートの最端部を見分けやすいシール・ロールを提供することができる。
【0019】
さらにまた、本発明の第4の側面に係るシール・ロールによれば、前記セパレータは、前記第二シート状基材の他方の面側に、再剥離糊からなる第二粘着剤層を有するよう構成することができる。
【0020】
前記構成によれば、シール・ロールの巻回状態がより安定するとともに、シール片剥離後のセパレータを付箋として使用することが可能となり、資源を有効活用することができる。
【0021】
さらにまた、本発明の第5の側面に係るシール・ロールによれば、前記シール片の厚み方向において前記第一粘着剤層と反対側に位置する層と前記第二粘着剤層との境界は、前記第一粘着剤層と前記第二剥離剤層との境界と比較して剥離しやすくなるよう構成することができる。
【0022】
前記構成によれば、巻回しているシール・シートを伸ばす際に、一周分内側に巻回されているシール片まで剥がしてしまう不都合を抑止することができる。
【0023】
さらにまた、本発明の第6の側面に係るシール・ロールによれば、前記セパレータは、容易に分割されるよう脆弱部を有するよう構成することができる。
【0024】
前記構成によれば、セパレータを付箋として使用する際に、セパレータの一部を切り離す作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第一実施例に係るシール・ロールの概略斜視図であって、シール・シートの一部を伸ばした状態を表している。
【
図2】本発明の第一実施例に係るシール・ロールに用いられるシール・シートの構成の説明図である。
【
図3】本発明の第二実施例に係るシール・ロールに用いられるシール・シートの構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(第一実施例)
(シール・ロール1の構成)
【0027】
本発明の第一実施例に係るシール・ロール1の概略斜視図を
図1に示す。
図1に示すように、シール・ロール1は、複数のシール片12がセパレータ13に貼着されてなる帯状のシール・シート11が、巻芯14に巻回されてなるシール・ロールである。
(シール・シート11)
【0028】
シール・シート11は、
図1に示すように、複数のシール片12がセパレータ13に剥離可能に貼着されてなる帯状のシート状物である。
【0029】
シール・シート11を長さ方向に垂直な面で切断した断面を模式的に表したものが
図2である。
(シール片12)
【0030】
シール片12は、セパレータ13に対面する面を粘着面とする任意形状のシート状物であり、
図1に示すように、セパレータ13の長さ方向に沿って一列に配置され、隣り合うシール片12が互いに輪郭を接していることを特徴としている。
【0031】
シール片12を構成するシート状物は、
図2に示すように、第一シート状基材121、第一粘着剤層122及び第一剥離剤層123によって構成されている。
【0032】
第一シート状基材121は、シール片12の基礎となるシート状の部材である。第一シート状基材121の素材には、例えば、紙や布、フィルム等を用いることができる。特に、第一シート状基材121に薄手の和紙を用いると、シール片12を適度に透け感のある美観に優れたものにすることができる。
【0033】
また、第一シート状基材121には、少なくともいずれか一方の面に、必要に応じて所望の色彩や模様の印刷が施されていてもよく、これにより、より多様な意匠のシール片12を形成することができる。
【0034】
第一粘着剤層122は、シール片12の粘着面をなす層であり、第一シート状基材121のセパレータ13に面する側に設けられている。第一粘着剤層122には、例えば、アクリル系やゴム系、シリコーン系等の粘着剤を用いることができる。また、粘着剤の粘着力は、一度貼着した後に再度剥がすことが可能な程度であることが望ましく、一般に再剥離糊と呼ばれる粘着剤が好適である。
【0035】
第一剥離剤層123は、シール片12の非粘着面(以下、「表面」と記載する。)を平滑にするために設けられる層である。第一剥離剤層123には、例えば、合成樹脂等を主成分とするニス剤を用いるとよい。なお、第一シート状基材121の種類や、シール片12に求める質感に応じて、第一剥離剤層123を省略することも可能である。
【0036】
シール片12の各層の素材の組合せとしては、例えば、マスキングテープと同様に、第一シート状基材121を和紙とし、第一粘着剤層122に再剥離糊、第一剥離剤層123にニス剤を用いたものが考えられる。
(セパレータ13)
【0037】
セパレータ13は、シール片12の粘着面に対面する面を剥離面とする帯状のシート状物であり、
図1に示すように、シール片12の最大幅より小さい幅の帯状であることを特徴とする。なお、セパレータ13の幅は一定である必要はなく、長さ方向の各部分において、当該部分に貼着されている各シール片12の最大幅より小さい幅となるよう形成されていればよい。
【0038】
この構成により、シール片12の粘着面の少なくとも一部がセパレータ13に覆われない構成となるため、各シール片12の当該部分が一周分内側に巻回されているシール片12の表面に貼着することが可能であり、巻回状態の安定性を保つことができる。
【0039】
セパレータ13を構成するシート状物は、
図2に示すように、第二シート状基材131及び第二剥離剤層133によって構成されている。
【0040】
第二シート状基材131は、セパレータ13の基礎となるシート状の部材である。第二シート状基材131には、例えば、紙や布、フィルム等を用いることができる。
【0041】
また、第二シート状基材131にも、第一シート状基材121と同様に、少なくともいずれか一方の面に、必要に応じて印刷が施されていてもよい。例えば、第二剥離剤層133が設けられる面側に、シール片12表面の色彩や模様とは対照的な色彩や模様の印刷を施すことにより、シール・シート11の最端部が見つかりやすいシール・ロールを提供することができる。なお、対照的な色彩や模様とは、例えば、有彩色に対して無彩色、濃色に対して淡色、無地に対して模様付き等の、各色彩又は模様の領域を互いに隣接させた場合に、その境界が明瞭であるような関係の色彩や模様のことを指す。また、第二シート状基材131自体がシール片12表面の色彩や模様と対照的な色彩や模様を有している場合には、印刷を施さなくとも上記効果を奏するよう構成することができる。
【0042】
第二剥離剤層133は、セパレータ13の剥離面をなす層である。第二剥離剤層133には、例えば、シリコーン系剥離剤を用いるとよい。なお、シール片12の粘着力に応じて、ニス剤等を用いることも可能である。
(巻芯14)
【0043】
巻芯14は、シール・シート11が巻き付けられる芯である。巻芯14の素材には、紙や樹脂を用いることができる。巻芯14の形状は円筒状又は円柱状であり、その長さはシール・シート11の最大幅より長いことが望ましい。なお、巻芯14の径については、任意の大きさとすることができる。また、巻芯14の断面形状を丸角の多角形等としてもよい。
(シール・ロール1の製造方法)
【0044】
シール・ロール1の製造方法の一例として、一般的なシール片製品に用いられるタック紙から製造する方法を以下に示す。なお、タック紙は、一般的に、
図2に示すシール・シート11の構成のうち、第一シート状基材121、第一粘着剤層122、第二剥離剤層133及び第二シート状基材131を備えたシート状物である。
【0045】
まず、タック紙の第一シート状基材121側の面に必要に応じて印刷を施した後、剥離剤の塗工を行い第一剥離剤層123を形成する。また、タック紙の第二シート状基材131側の面にも必要に応じて印刷を施す。なお、第二シート状基材131の第二剥離剤層133が設けられている面側に印刷を施したい場合には、タック紙を形成する段階で、第二シート状基材131に第二剥離剤層133をなす剥離剤が塗布される前に印刷を施す必要がある。
【0046】
続いて、前工程において形成された第一剥離剤層123、第一シート状基材121及び第一粘着剤層122に、シール片12の形状に合わせた型抜き加工を行う。また、第二シート状基材131及び第二剥離剤層133に、セパレータ13の幅に合わせたスリット加工を行う。
【0047】
続いて、型抜きされた第一剥離剤層123、第一シート状基材121及び第一粘着剤層122の不要部分(以下、「シール片抜きカス」と記載する。)と、スリット加工された第二シート状基材131及び第二剥離剤層133の不要部分(以下、「セパレータ抜きカス」と記載する。)とを取り除くことによって、シール・シート11が形成される。
【0048】
このとき、セパレータ抜きカスの一部がシール片12と重なっているため、セパレータ抜きカスをシール片12側に引張ると、シール片12がセパレータ13から剥離してしまう虞がある。一方、シール片抜きカスは、各シール片12が隣り合うシール片12と互いに輪郭を接しているため、シール・シート11の幅方向に二分されており、セパレータ13側に引張って取り除くことが可能である。したがって、シール・シート11の搬送位置に対してセパレータ13側に、取り除いたシール片抜きカス及びセパレータ抜きカスを巻き取る仕組みを設けるとよい。
【0049】
最後に、シール・シート11を巻芯14に巻回することによりシール・ロール1が完成する。
(シール・ロール1の提供方法)
【0050】
シール・ロール1は、例えば、チャック付袋や開閉可能な蓋付のプラスチックケース等の専用袋や専用容器とともに提供されるとよい。これにより、購入者は、シール・ロール1を専用袋等に入れて持ち運ぶことができ、シール・ロール1と外部とのこすれ等が防止されるので、外側に位置するシール片12が剥がれたり、シール・シート11の巻回が解けたりする不都合が生じず便利である。
(シール・ロール1の使用方法)
【0051】
シール・ロール1中のシール片12を使用する際には、まず、セパレータ13の最端部を摘まんで
図1のようにシール・シート11の一部の巻回状態を解いて伸ばし、所望のシール片12のセパレータ13に覆われていない部分を摘まむことで、容易に所望のシール片12を剥がし取ることができる。所望のシール片12を剥がし取った後は、再びシール・シート11を巻回し直して保管するとよい。
(第二実施例)
(シール・ロール2の構成)
【0052】
シール・ロール2は、セパレータ23の構成を除いて、シール・ロール1と同様の構成からなるシール・ロールである。したがって、シール・ロール1と異なる構成であるセパレータ23について以下に詳述し、その他の構成については説明を省略する。
(セパレータ23)
【0053】
図3は、シール・ロール2を構成するシール・シート21を長さ方向に垂直な面で切断した断面を模式的に表した図である。
【0054】
セパレータ23を構成するシート状物は、
図3に示すように、第二シート状基材231、第二剥離剤層233及び第二粘着剤層232によって構成されている。
【0055】
ここで、第二シート状基材231及び第二剥離剤層233については、それぞれ、第二シート状基材131及び第二剥離剤層133と同様であるため、説明を省略する。
【0056】
第二粘着剤層232は、セパレータ23の非剥離面(以下、「セパレータ23の粘着面」と記載する。)をなす層であり、再剥離糊により形成される。なお、再剥離糊であれば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等、いずれの粘着剤を用いてもよい。
【0057】
この構成により、セパレータ23の粘着面に粘着力が付与され、セパレータ23の粘着面と、その一周分内側に巻回されているシール片22の表面との間に適度な貼着関係がもたらされ、シール・ロール1よりさらに強固に巻回状態の安定性を保つことができる。
【0058】
また、シール片22剥離後に残るセパレータ23は、付箋として使用することが可能であり、資源を有効活用することができる。例えば、セパレータ23に、単位長さ毎に、切り取りを容易にするためのミシン目加工等を施すことにより脆弱部を設けることで、付箋としての使用のさらなる促進につながる。
【0059】
セパレータ23の各層の素材の組合せとしては、第二シート状基材231を紙とし第二剥離剤層233にシリコーン系の剥離剤を用いる一般的なセパレータに、再剥離糊からなる第二粘着剤層232を設けたもの以外にも、例えば、マスキングテープと同様に、第二シート状基材231を和紙とし、第二粘着剤層232に再剥離糊、第二剥離剤層233にニス剤を用いることも可能である。
(粘着剤及び剥離剤の組合せ)
【0060】
シール・ロール2の場合、シール片22とセパレータ23との間に二種類の貼着関係が存在する。すなわち、シール・シート21を形成するための、シール片22の粘着面とセパレータ23の剥離面との間の貼着関係と、シール・シート21の巻回状態を維持するための、シール片22の表面とセパレータ23の粘着面との間の貼着関係である。
【0061】
前者については、第一粘着剤層222に用いられる粘着剤と第二剥離剤層233に用いられる剥離剤の種類によって、後者については、第一剥離剤層223に用いられる剥離剤と第二粘着剤層232に用いられる粘着剤の種類によって、貼着の強さや剥離のしやすさが変わってくる。なお、後者の貼着関係の強度については、シール片22に第一剥離剤層223が設けられていない場合には、第一シート状基材221と第二粘着剤層232に用いられる粘着剤の種類に依存することとなる。
【0062】
貼着関係を形成する粘着剤と剥離剤との組合せとしては、例えば、粘着力の強い粘着剤と剥離性の低い剥離剤とを組み合わせることによって、容易に剥離しない貼着関係とすることができ、反対に、粘着力の弱い粘着剤と剥離性の高い剥離剤とを組み合わせることによって、容易に剥離する貼着関係とすることができる。
【0063】
ここで、シール片22の粘着面とセパレータ23の剥離面との間の貼着関係は、シール片22の表面とセパレータ23の粘着面との貼着関係より強固であることが望ましい。例えば、第一粘着剤層222に強粘着の再剥離糊、第二粘着剤層232に弱粘着の再剥離糊を用い、第一剥離剤層223及び第二剥離剤層233にはともにニス剤を用いると、上記構成を実現することができる。また、この例とは逆に、第一粘着剤層222と第二粘着剤層232に用いられる粘着剤の強度を同程度とし、第一剥離剤層223に比較的剥離性の高いシリコーン系の剥離剤を、第二剥離剤層233にニス剤等の比較的剥離性の低い剥離剤を用いることによって、上記構成を実現させることもできる。
【0064】
上記構成により、シール・シート21を解いて伸ばす際に、シール・シート21の一周分内側に位置するシール片22まで剥離させてしまうような不都合を抑止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るシール・ロールは、特に、文房具として提供される装飾用途のシール・ロールに好適に使用できる。
【符号の説明】
【0066】
1,2…シール・ロール
11,21…シール・シート
12,22…シール片
121,221…第一シート状基材
122,222…第一粘着剤層
123,223…第一剥離剤層
13,23…セパレータ
131,231…第二シート状基材
232…第二粘着剤層
133,233…第二剥離剤層
14…巻芯