【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一側面によれば、本発明による液体ディスペンサーは、以下に説明されるように構成される。液体ディスペンサーは、放出ヘッドを有し、その上に放出開口が与えられている。液体ディスペンサーは、キャップ及びキャップ本体を有し、このキャップ本体は、放出ヘッドの上に嵌合可能であり、かつ放出ヘッドから除去可能であり、キャップ本体は、嵌合された状態では、放出開口を被覆する。キャップ本体は、換気開口を有し、この換気開口は、いったん液体ディスペンサーが最初に操作されてキャップ本体が嵌合されたら、キャップ本体によって被覆されている放出開口が、周囲雰囲気への接続の結果として乾燥されることができるように、周囲雰囲気をキャップ本体の内部に接続する。
【0006】
それに加えて、キャップは、射出成形された取りはずし部分を有し、この取りはずし部分は、出荷状態では(in the delivery state)、換気開口を被覆し、物質対物質結合によってキャップ本体に接続されている。キャップは、不正操作明示部分を有し、この不正操作明示部分が、出荷状態のディスペンサーでは、不正操作明示部分がキャップ本体から取りはずされるまでキャップ本体が除去されることを防止する。本発明によれば、キャップは、キャップ本体から一つのユニットとして取りはずし可能な区域を有し、この区域が、不正操作明示部分及び取りはずし部分を含む。
【0007】
従って、前記第一側面の場合に与えられるキャップは、キャップ本体を有し、この本体は、意図された態様で再使用できるように放出ヘッドに嵌合可能であり、嵌合状態では、ポジティブロック態様又は非ポジティブロック態様でその上に保持されている。キャップはまた、前記キャップ本体から取りはずし可能な区域を有し、この区域は、少なくとも不正操作明示部分及び取りはずし部分を含む。不正操作明示部分は、好ましくは円周方向の不正操作明示バンドの形で設計されており、このバンドは、出荷状態では、キャップ本体上に射出成形されており、ディスペンサーがまだ使用されていないことを示す。なぜなら、不正操作明示部分が取りはずされるまでキャップは取りはずされることができないからである。
【0008】
換気開口は、キャップ本体中の貫通口(breakthrough)であり、本発明の第一側面の場合、キャップ本体の横方向表面に配置されていることが好ましい。取りはずし部分は、出荷状態では、前記換気開口を閉鎖しており、好ましくは換気開口の縁に円周方向で一体的に接続されており、その材料は、好ましくは軟質プラスチック材料であり、特に分離を容易にするためにキャップ本体と取りはずし部分の間の接続領域において薄い。
【0009】
出荷状態において換気開口を被覆する取りはずし部分と不正操作明示部分を接合された態様で設計することは、液体ディスペンサーが意図された態様で最初に使用されるときに、取りはずし部分がキャップ本体から分離され、これに関連して換気開口を解放することを確実にする。使用者が不正操作明示部分の領域でのみ、キャップ本体から取りはずし可能な区域を分離して、それを換気開口の領域に接触されないまま残す危険性は少ない。
【0010】
取りはずし可能な区域は、取りはずし部分と不正操作明示部分の間に、キャップ本体に一体的に成形されていない自由接続部分を有することができる。
【0011】
自由接続部分は、取りはずし部分と不正操作明示部分を接続するものであり、換気開口が不正操作明示部分から比較的大きな間隔で配置されることを可能にする。それに加えて、ディスペンサーが最初に使用される適切な態様が、その結果として極めて容易に把握される。自由接続部分は、取りはずし部分と不正操作明示部分が結合され、従って、使用者が、本発明のディスペンサーを意図された態様で最初に使用するときであってさえも、不正操作明示部分と取りはずし部分の取りはずしの結果として、どのように最初の操作がなされるべきかに気付くことを直ちに明らかにする。
【0012】
取りはずし可能な区域は、握り部分を有することができる。この握り部分は、キャップ本体から離れる方向に握り部分に力が付与されると、まず取りはずし部分がキャップ本体から分離され、その後でのみ、不正操作明示部分がキャップ本体から分離されるように、取りはずし可能な区域に取り付けられている。
【0013】
握り部分は、キャップ本体から取りはずし可能な区域の一部分であって、特に親指と人差し指で握られるのに好適な部分である。特に、握り部分は、その形状及びその表面(好ましくは少なくとも8mm×8mm)によって握り部分であるとして認識されることができる。それに加えて、溝などが操作方法を図示するために与えられることができる。取りはずし可能な区域は、前記握り部分において使用者によって意図された態様で握られ、次にキャップ本体に力を付与することの結果として、取りはずし可能な区域を分離するために使用される。握り部分を不正操作明示部分よりも取りはずし部分の近くに配置することによって、換気開口は、まず開放され、その後でのみ、不正操作明示部分が取りはずされる。その結果として、使用者は、不正操作明示部分のみを誤って分離してしまい、キャップ本体から十分に取りはずし可能である区域をキャップ本体の取りはずし部分の領域に残してしまい、その結果として換気開口を開放することができないというミスをおかすことを効果的に防止される。
【0014】
握り部分は、平らに延びる部分として形成されることができる。好ましくは、握り部分は、スペーサー部分によって取りはずし部分に接続されており、このスペーサー部分は、少なくとも1mmの長さであり、かつ握り部分に対して直角に配置されている。
【0015】
前記設計の場合、平らな握り部分は、取りはずし部分に対して外側にあるシェルを形成する。このシェルは、スペーサー部分によって前記取りはずし部分に接続される。スペーサー部分は、握り部分を傾ける動きが、取りはずし部分においてほぼ同一の傾ける動きを生じるような剛性を有することが好ましい。その結果として、換気開口の開放が簡単になる。握り部分における傾ける動きの結果として、キャップ本体と取りはずし部分との間の接続領域は、所望の態様で引き裂かれ始め、従って、取りはずし部分の完全な分離が容易に可能である。
【0016】
取りはずし部分は、分離線に沿って円周方向で物質対物質結合によって換気開口の内側縁に接続されていることが好ましい。分離線は、一方の側の点へと延びる形状を含む。
【0017】
とがった形状は、取りはずし部分とキャップ本体の包囲壁との間の分離線が、取りはずし部分とキャップ本体との間の分離が正確な態様で行なわれるべき点で鋭角を形成することを意味するとして理解されるべきである。この点で、分離線は、引き裂きが一点で開始されるように極めて小さい曲率半径を含む。これは、分離を容易にする。
【0018】
本発明の第二側面によれば、本発明による液体ディスペンサーは、以下に説明されるように構成される。液体ディスペンサーは、放出ヘッドを有し、その上に放出開口が与えられている。液体ディスペンサーは、キャップ及びキャップ本体を有し、このキャップ本体は、放出ヘッドの上に嵌合可能であり、かつ放出ヘッドから除去可能であり、キャップ本体は、嵌合された状態では、放出開口を被覆する。キャップ本体は、換気開口を有し、この換気開口は、いったん液体ディスペンサーが最初に操作されてキャップ本体が嵌合されたら、キャップ本体によって被覆されている放出開口が、周囲雰囲気への接続の結果として乾燥されることができるように、周囲雰囲気をキャップ本体の内部に接続する。
【0019】
換気開口は、フィルター膜を与えられており、このフィルター膜は、それを通って流れる空気を濾過するためのものである。キャップ本体は、二つの部分体を含み、これらの二つの部分体は、一緒にフィルター膜のための受け入れ空間を形成する。
【0020】
本発明の前記第二側面の場合、その独特の特徴は、キャップ本体が二つの部分体から組み立てられ、それらの間にフィルター膜が配置されているということである。原則として、換気開口は、その中にフィルター膜が与えられており、換気開口は、例えば上述の種類の取りはずし部分によって、最初の操作の前に追加的に閉鎖されることができる。しかし、フィルター膜が存在する場合、かかる閉鎖なしで済ますことも可能である。なぜなら、汚染物質の侵入は、フィルター膜によって効果的に防止されるからである。好ましくは、前記フィルター膜は、この目的のために0.1μm〜0.3μmの平均孔径を含む。製造の観点からは、二つの部分体は、自動化された製造工程において比較的大きな表面の膜をキャップ本体に与えるための有利な選択肢を作り出す。
【0021】
第一部分体は、横方向表面及び端面を有するキャップ本体であり、端面は、第一貫通口を有することが特に有利である。第二部分体は、円周方向で第一部分体に取り付け可能な環状体であることができ、かつ第一貫通口と整合する第二貫通口を含む。
【0022】
この関連において、設計の第一の選択肢では、二つの部分体は、別個に製造され、ポジティブロック態様又は非ポジティブロック態様で一緒に接続されている。膜は、これらの間に配置されており、好ましくはその位置で締結される。
【0023】
代替的な設計では、二つの部分体は、物質対物質結合によって一緒に接続されている。この関連において、一つの変形例では、製造工程の枠組内で、キャップ本体を形成する第一部分体が、まず射出成形によって製造され、次に、膜が型中に配置され、次に、第二部分体が第一部分体中に射出成形されることが特に有利である。前記射出成形工程中に、膜の表面の一部は、プラスチック材料を含有しないように維持されることが必要である。射出成形工程中に意図されたように膜がプラスチック材料によって被覆される場合、第二部分体と膜の間の内側接合が形成され、その結果として、膜を包囲する通路であって、ここを通って細菌又は他の汚染物質が侵入することができる通路は、開放されたまま残ることを効果的に防止される。
【0024】
第一貫通口は、貫通口を複数の部分貫通口に分割する内部構造を有することができ、これらの複数の部分貫通口の上にフィルター膜が載っている。
【0025】
内部構造は、例えば格子形状又はスポーク状であることができる。特に、いったん第一部分体が射出成形されたら、膜が挿入される上述の設計の場合、フィルター膜が射出成形中にその位置を保持するように、特にフィルター膜が型側の変位体(displacement body)によって完全に被覆されることを防止することができるように内部構造が存在することが有利である。この型側の変位体は、この目的のために膜に対して押され、膜は、次に、前記内部構造上に支持される。それに加えて、前記内部構造は、製品の使用中にも有利である。なぜなら、それは、フィルター膜が力の付与の結果としてキャップ中に不都合に押されることを防止するからである。
【0026】
受け入れ空間を形成するために、二つの部分体は、互いに対向する複数の表面を含み、これらの表面の間にフィルター膜が配置されており、この場合には、フィルター膜が、その両側をこれらの表面によって支持されている。
【0027】
二つの部分体の上の互いに対向するこれらの表面は、特に円周方向の室を形成することが好ましい。この室は、一方の側で開放されており、その中に膜の縁領域が挿入される。上述のように、第二部分体の射出成形中、その側上に与えられている表面は、膜への内側接続を形成することができ、これは、特に良好な封止をもたらす。
【0028】
弾性的に撓むことができる部分が、部分体の一方の上に与えられることができる。この弾性的に撓むことができる部分は、フィルター膜又は他方の部分体と共に組み立てられることの結果として弾性的に撓まされ、フィルター膜の方向に保持力をもたらす。
【0029】
弾性的に撓むことができる部分は、撓まされることができ、その結果として、キャップの製造中に挿入されたフィルター膜によって緊張されることができる。従って、いったん第二部分体が追加されると、弾性的に撓むことができる部分は、膜を前記第二部分体に対して押し、その結果として、フィルター膜の位置を追加的に保持する。
【0030】
好ましくは、本発明の二つの側面によるキャップは、プラスチック材料、例えばポリプロピレン又はポリエチレンから製造される。
【0031】
ディスペンサーの設計は、基本的に柔軟である。それは、ポンプ又は切り換え可能な出口弁を有するディスペンサーであることができ、これらのポンプや出口弁によって、予め加圧された液体が、標的化された態様で放出されることができる。しかし、特に有利なのは、液体貯蔵器として圧搾ボトルを有する設計である。かかる設計の場合、圧力に応じて開放する出口弁が放出ヘッドに追加的に与えられることが好ましい。前記出口弁は、特に圧搾ボトル中の液体の加圧が十分であり、その結果として液体が放出されることを許される場合にのみ開放する。
【0032】
本発明によるキャップは、様々な放出特性を有するディスペンサーと共に追加的に使用されることができる。従って、例えば、スプレーディスペンサーと共に使用されることができる。しかし、液滴ディスペンサーの場合の使用も与えられる。かかる液滴ディスペンサーは、放出開口部を包囲する液滴形成表面を有し、この上に、放出された液体が、液滴が解放される前に意図された態様で収集される。正確には、かかるディスペンサーの場合、キャップに換気開口を与えることによって、使用後の乾燥を可能にすることが有利である。
【0033】
本発明によるディスペンサーは、特に目薬を送出するための液滴ディスペンサーとして形成されることができる。
【0034】
本発明の意味の範囲内の用語「液体ディスペンサー」は、水のような低粘度の液体用のディスペンサーと、高粘度のペースト状液体用のディスペンサーの両方を含む。