特許第6694094号(P6694094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立産機システムの特許一覧

<>
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000002
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000003
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000004
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000005
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000006
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000007
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000008
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000009
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000010
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000011
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000012
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000013
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000014
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000015
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000016
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000017
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000018
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000019
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000020
  • 特許6694094-パッケージ形圧縮機 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6694094
(24)【登録日】2020年4月20日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】パッケージ形圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/06 20060101AFI20200427BHJP
【FI】
   F04B39/06 G
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-79812(P2019-79812)
(22)【出願日】2019年4月19日
(62)【分割の表示】特願2018-516222(P2018-516222)の分割
【原出願日】2016年5月9日
(65)【公開番号】特開2019-143639(P2019-143639A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2019年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】貞方 康輔
(72)【発明者】
【氏名】原島 寿和
(72)【発明者】
【氏名】西村 仁
(72)【発明者】
【氏名】山本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】高野 正彦
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−063505(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を圧縮する圧縮機本体と前記圧縮機本体を駆動するモータを有する本体ユニットと、
前記モータを制御する制御装置と、
前記本体ユニット及び前記制御装置を下部に収納する筐体と、
前記筐体の一側面に形成された第1の冷却風入口と、
前記筐体の他の側面に形成された第2の冷却風入口と、
前記筐体の上面に形成された冷却風出口と、
前記筐体の上部に設けられ、下面の吸入口及び上面の吐出口を有するファンダクトと、
前記ファンダクトに収納されて回転軸が鉛直方向に延在するように配置され、前記第1及び第2の冷却風入口から取り込んで前記冷却風出口から排出する冷却風の流れを誘起する冷却ファンと、
前記ファンダクトの吐出口の上側かつ前記冷却風出口の下側に配置された空冷式の熱交換器と、
前記ファンダクトの下側に設けられ、前記本体ユニットを収納するとともに、前記第1の冷却風入口から取り込まれた冷却風を前記本体ユニットに沿って流して前記ファンダクトの吸入口に向かわせる機械室と、
前記ファンダクトの下側に設けられ、前記第2の冷却風入口から取り込まれた冷却風を前記制御装置に沿って流して前記ファンダクトの吸入口に向かわせる冷却ダクトとを備え、
前記冷却ファンの鉛直方向投影面が、前記機械室と前記冷却ダクトに重なることを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項2】
請求項1記載のパッケージ形圧縮機において、
前記第2の冷却風入口は、前記第1の冷却風入口が形成された前記筐体の一側面とは反対側の側面に形成されたことを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項3】
請求項1に記載のパッケージ形圧縮機において、
前記第2の冷却風入口が開口する側面が、前記第1の冷却風入口が開口する側面と前記本体ユニットを挟んで反対側の側面であることを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項4】
請求項1記載のパッケージ形圧縮機において、
前記第1の冷却風入口から前記本体ユニットの下部に向けて冷却風を供給する流れと前記第1の冷却風入口から前記本体ユニットの上部に向けて冷却風を供給する流れに分流するガイドを設けたことを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項5】
請求項1記載のパッケージ形圧縮機において、
前記冷却ファンは、ターボファンであって、前記ファンダクトの一側面に対してその反対側の側面より近づくように、且つ、前記ファンダクトの前記一側面に前記ターボファンの回転方向に隣接する前記ファンダクトの他の側面に対してその反対側の側面より近づくように配置されており、
前記ファンダクトの前記一側面とは反対側の側面は、鉛直方向に対して傾斜した傾斜面を有することを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項6】
請求項1記載のパッケージ形圧縮機において、
前記圧縮機本体の吸入側に接続された吸込みダクトを備え、
前記第2の冷却風入口から前記吸込みダクトを介して前記圧縮機本体に気体が吸込まれるように構成されたことを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項7】
請求項1記載のパッケージ形圧縮機において、
前記圧縮機本体の吸入側に接続された一方側及び他方側の吸込みダクトを備え、
前記第2の冷却風入口から前記一方側の吸込みダクトを介して前記圧縮機本体に気体が吸込まれるとともに、前記第1の冷却風入口から前記他方側の吸込みダクトを介して前記圧縮機本体に気体が吸込まれるように構成されたことを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項8】
請求項1記載のパッケージ形圧縮機において、
前記本体ユニットで生成されて前記熱交換器で冷却された圧縮空気を除湿するドライヤと、
前記ドライヤを冷却する冷却風を生起するドライヤ用冷却ファンと、
前記機械室とは遮断されて、前記ドライヤ及び前記ドライヤ用冷却ファンを収納するドライヤ室とを備えたことを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項9】
請求項8に記載のパッケージ形圧縮機において、
前記第1の冷却風入口よりも上方で開口する第3の冷却風入口と、
前記ドライヤ室を構成し、前記第3の冷却風入口から取り込んだ冷却風を前記冷却ファンの排気側よりも上方の位置に案内する他のダクトとを備えたことを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項10】
請求項1記載のパッケージ形圧縮機において、
前記圧縮機本体から吐出された圧縮気体から油又は水を分離する気液分離器を更に有することを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項11】
圧縮機本体及び前記圧縮機本体を駆動するモータを有する本体ユニットと、前記本体ユニットを格納する筐体と、前記本体ユニットの上方に配置され、外気を取り入れて前記本体ユニット側から上方に向かって前記筐体内を流通する冷却風を生成する冷却ファンとを有するパッケージ形圧縮機であって、
前記筐体の側面下部側に開口し、前記本体ユニット側から前記冷却ファンの吸気側に向かって流通する冷却風を取り込む第1の吸気口と、
前記第1の吸気口が開口する側面とは異なる前記筐体の側面に開口する第2の吸気口と、
前記第2の吸気口と前記本体ユニットの間で前記冷却ファンの吸気側に向かって延伸し、前記第2の吸気口から取り込んだ冷却風を前記冷却ファンに向かって案内するダクトと、
前記ダクト内で前記第2の吸気口よりも上方に配置され、前記モータを制御する制御装置とを有し、
前記冷却ファンの鉛直方向投影面に、前記本体ユニットと前記ダクトの出口の夫々の少なくとも一部が含まれることを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項12】
請求項11に記載のパッケージ形圧縮機において、
前記第2の吸気口が開口する側面が、前記第1の吸気口が開口する側面と前記本体ユニットを挟んで反対側の側面であることを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項13】
請求項11に記載のパッケージ形圧縮機において、
前記第1の吸気口よりも上方で開口する第3の吸気口と、
前記第3の吸気口から取り込んだ冷却風を前記冷却ファンの排気側よりも上方の位置に案内する他のダクトと、
前記他のダクト内に配置され、前記本体ユニットが吐出する圧縮気体からドレンを除去する熱交換器と、
前記他のダクト内に流通する冷却風を生成する他の冷却ファンとを更に有することを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項14】
請求項11記載のパッケージ形圧縮機において、
前記圧縮機本体から吐出された圧縮気体から油又は水を分離する気液分離器を更に有することを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ形圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、筐体内に、本体ユニット、油分離器、制御装置、熱交換器及び冷却ファン装置等を収納したパッケージ形圧縮機を開示する。その詳細を説明する。
【0003】
本体ユニットは、空気を圧縮する圧縮機本体と、この圧縮機本体を駆動するモータとを有し、これら圧縮機本体及びモータを一体化している。具体的には、圧縮機本体の回転軸及びモータの駆動軸が鉛直方向に延在するように、圧縮機本体及びモータを縦置きとしつつ、圧縮機本体の上側にモータを連結している。
【0004】
筐体の右側面の下部には空気吸込口が形成され、この空気吸込口の一部分に隣接する第1のダクトと、空気吸込口の他の部分に隣接する第2のダクトとが設けられる。筐体の左側面側には、鉛直方向に延在する第3のダクトが設けられる。第3のダクトの下部には熱交換器が設けられ、第3のダクトの上部には冷却ファン装置が設けられる。筐体の上面には空気排出口が形成される。
【0005】
冷却ファン装置は、吸入口及び吐出口を有するケーシングと、このケーシング内に収納された冷却ファン(遠心ファン)と、この冷却ファンを駆動するファンモータとを備える。冷却ファン及びファンモータは、それらの回転軸が水平方向に延在するように配置されている。ケーシングの吸入口は第3のダクトに接続され、ケーシングの吐出口は空気排出口に接続される。冷却ファン装置は、筐体内の冷却空気の流れ(詳細には、空気吸込口から吸込んで空気排出口から排出する冷却空気の流れ)を誘起するようになっている。
【0006】
第1のダクトは、空気吸込口からの冷却空気を本体ユニットのモータに導き、モータを冷却させる。第2のダクトは、空気吸込口からの冷却空気を制御装置に沿って流し、制御装置を冷却させる。モータ及び制御装置を冷却した冷却風は、熱交換器を冷却し、その後、第3のダクトを介し冷却ファン装置へ向かうようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−346875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の従来技術では、本体ユニットは、圧縮機本体及びモータを縦置きとしつつ、圧縮機本体及びモータを鉛直方向に連結して一体化したものである。これにより、本体ユニットの設置面積の低減、ひいてはパッケージ形圧縮機の設置面積の低減を図ることが可能である。また、特許文献1には記載されていないものの、本体ユニットに沿って冷却空気を鉛直方向に流せば、本体ユニットを効率よく冷却することが可能である。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、空気吸込口が筐体の一側面だけに形成されており、空気吸込口の大きさは防音等の制約から限界がある。また、空気吸込口から第1又は第2のダクトを経由し、さらに第3のダクトを経由して空気排出口に至るまでの冷却空気の流路が比較的長く、冷却空気流路の圧力損失が比較的大きい。そのため、本体ユニットを冷却する冷却空気の流量と制御装置を冷却する冷却空気の流量を増加させることが困難であった。また、第1のダクトと第2のダクトにおける冷却空気の流量バランスをとることが難しく、第2のダクトの冷却空気の流量(すなわち、制御装置を冷却する冷却空気の流量)を増加させることが困難であった。したがって、本体ユニット及び制御装置を冷却する冷却性能の点で改善の余地があった。
【0010】
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、本体ユニット及び制御装置を冷却する冷却性能の向上を図ることを課題の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、特許請求の範囲に記載の構成を適用する。本発明は、上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、気体を圧縮する圧縮機本体と前記圧縮機本体を駆動するモータを有する本体ユニットと、前記モータを制御する制御装置と、前記本体ユニット及び前記制御装置を下部に収納する筐体と、前記筐体の一側面に形成された第1の冷却風入口と、前記筐体の他の側面に形成された第2の冷却風入口と、前記筐体の上面に形成された冷却風出口と、前記筐体の上部に設けられ、下面の吸入口及び上面の吐出口を有するファンダクトと、前記ファンダクトに収納されて回転軸が鉛直方向に延在するように配置され、前記第1及び第2の冷却風入口から取り込んで前記冷却風出口から排出する冷却風の流れを誘起する冷却ファンと、前記ファンダクトの吐出口の上側かつ前記冷却風出口の下側に配置された空冷式の熱交換器と、前記ファンダクトの下側に設けられ、前記本体ユニットを収納するとともに、前記第1の冷却風入口から取り込まれた冷却風を前記本体ユニットに沿って流して前記ファンダクトの吸入口に向かわせる機械室と、前記ファンダクトの下側に設けられ、前記第2の冷却風入口から取り込まれた冷却風を前記制御装置に沿って流して前記ファンダクトの吸入口に向かわせる冷却ダクトとを備え、前記冷却ファンの鉛直方向投影面が、前記機械室と前記冷却ダクトに重なる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本体ユニット及び制御装置を冷却する冷却性能の向上を図ることができる。
【0013】
なお、上記以外の課題、構成及び効果は、以下の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態におけるパッケージ形圧縮機の上面図である。
図2図1中断面II−IIによるパッケージ形圧縮機の鉛直断面図である。
図3図1中矢印III方向から見たパッケージ形圧縮機の左側面図である。
図4図3で示された左側面パネルを取り外した状態を表すパッケージ形圧縮機の左側面図である。
図5図1中矢印V方向から見たパッケージ形圧縮機の右側面図である。
図6図5で示された右側面パネルを取り外した状態を表すパッケージ形圧縮機の右側面図である。
図7】本発明の一実施形態における本体ユニットの上面図である。
図8図7中矢印VIII方向から見た本体ユニットの正面図である。
図9図7中断面IX−IXによる本体ユニットの鉛直断面図である。
図10図2中X部の部分拡大図である。
図11図6中断面XI−XIによる吸込みダクトの鉛直断面図である。
図12図2中断面XII−XIIによるパッケージ形圧縮機の水平断面図である。
図13】本発明の一実施形態におけるパッケージ形圧縮機内の冷却風の流れを表す鉛直断面図である。
図14】本発明の一実施形態におけるファンダクトの吸入口、モータ及び冷却風入口等の位置関係を模式的に表す平面図である。
図15】本発明の第1の変形例におけるパッケージ形圧縮機の鉛直断面図である。
図16】本発明の第1の変形例におけるパッケージ形圧縮機の左側面図であり、左側面パネルを取り外した状態を表す。
図17】本発明の第1の変形例におけるパッケージ形圧縮機内の冷却風の流れを表す鉛直断面図である。
図18】本発明の第2の変形例におけるパッケージ形圧縮機の鉛直断面図である。
図19】本発明の第3の変形例におけるパッケージ形圧縮機の鉛直断面図である。
図20】本発明の第4の変形例におけるファンダクトの吸入口、モータ及び冷却風入口等の位置関係を模式的に表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を、図1図14を用いて説明する。
【0016】
本実施形態のパッケージ形圧縮機は、後述する機器及び部品を収納する筐体1を備える。筐体1は、ベース2、正面パネル3、左側面パネル4、右側面パネル5、背面パネル6及び上面パネル7を備える。正面パネル3には、図示しない操作スイッチやモニタ等が設けられる。左側面パネル4は、下部側に、冷却風入口8A(第1の冷却風入口/吸気口)を有し、冷却風入口8Aの上側に冷却風入口8C(第3の冷却風入口/吸気口)を有する。右側面パネル5は、下部側に冷却風入口8B(第2の冷却風入口/吸気口)を有する。上面パネル7は、冷却風出口9を有する。各パネルは脱着可能とし、筐体1の内部に収納された機器のメンテナンスを可能としている。なお、本実施形態では、冷却風入口8Bの開口面積が冷却風入口8Aの開口面積より小さくなっている。
【0017】
筐体1は、下部に機械室10を有し、機械室10は、本体ユニット11及び吸込みフィルタ12を収納する。吸込みフィルタ12は、機械室10の正面側(図4中右側、図14中下側)に配置する。
【0018】
本体ユニット11は、給油式の圧縮機本体13と、圧縮機本体13を駆動するモータ14と、圧縮機本体13から吐出された圧縮空気(圧縮気体)から油を分離する油分離器15(気液分離器)とを有し、これら圧縮機本体13、モータ14、及び油分離器15を一体化したものである。具体的には、後述する圧縮機本体13の回転軸及びモータ14の駆動軸(回転軸)が鉛直方向に延在するように、圧縮機本体13及びモータ14を縦置きとしている。また、本体ユニット11は、圧縮機本体13の上側にモータ14を配置し、圧縮機本体13の下側に油分離器15を配置する。
【0019】
モータ14は、アキシャルギャップ型モータである。このモータ14は、鉛直方向に延在する駆動軸16と、駆動軸16に軸方向に離間するように取り付けられたモータロータ17A,17Bと、モータロータ17A,17Bの間に配置されたステータ18と、ステータ18が取り付けられたモータケーシング19とを有する。
【0020】
圧縮機本体13は、スクリュー圧縮機である。この圧縮機本体13は、互いに噛み合う雄ロータ20A及び雌ロータ20Bと、スクリューロータ20A及び20Bの歯部を収納してそれらの歯溝に圧縮室を形成する圧縮機本体ケーシング21と、圧縮機本体ケーシング21及びモータケーシング19の間に接続された吸入側ケーシング22とを備える。吸入側ケーシング22には吸入ポート23が形成され、圧縮機本体ケーシング21には吸入流路(図示せず)が形成される。圧縮機本体ケーシング21には吐出ポート及び吐出流路(図示せず)が形成される。なお、圧縮機本体ケーシング21の吸入経路には、配管(図示せず)を介して吸込みフィルタ12が接続される。
【0021】
雄ロータ20A及び雌ロータ20Bは、それらの回転軸が鉛直方向に延在しており、雄ロータ20Aがモータ14の駆動軸16と一体的に成形されるか若しくは連結されている。そして、モータ14の駆動軸16が回転すると、雄ロータ20A及び雌ロータ20Bが回転して、圧縮室が下方向に移動する。圧縮室は、吸入ポート23を介して吸入流路から空気を吸入し、空気を圧縮し、吐出ポートを介して吐出流路に圧縮空気を吐出する。
【0022】
油分離器15は、圧縮機本体ケーシング21と一体的に成形されるか若しくは連結された外筒24及び内筒25と、外筒24の下側に設けられた油貯留部26とを備える。外筒24の上側部分中央或いは中央寄りに対して内筒25が配置し、外筒24と内筒25の間に旋回流路が形成される。この旋回流路は、圧縮機本体13の吐出流路と接続する。圧縮機本体13から吐出された圧縮空気は旋回流路で旋回され、圧縮空気に含まれる油が遠心分離される。分離された油は、外筒24に沿って落下し、油貯留部26に溜められる。油貯留部26で溜められた油は、後述のオイルクーラを経由して、圧縮機本体13の吸入流路又は圧縮室内に供給されるようになっている。
【0023】
一方、分離された圧縮空気は、内筒25の内側に流れ込み、図示しない流路及び配管を介して後述のエアクーラに供給され、その後、後述のドライヤに供給されるようになっている。
【0024】
筐体1は、上部(言い換えれば、機械室10の上側)にファンダクト27を有する。ファンダクト27は、下面板、正面板、左側面板、右側面板、背面板及び上面板で構成される。ファンダクト27の下面板(言い換えれば、機械室10を区画する仕切板)は、吸入口28(図12,14参照)を有し、ファンダクト27の上面板(言い換えれば、後述する熱交換器を支持する支持板)は、吐出口29(図1参照)を有する。
【0025】
ファンダクト27は、ターボファン30(冷却ファン)と、ターボファン30を駆動するファンモータ31とを収納する。ターボファン30及びファンモータ31は、それらの回転軸が鉛直方向に延在するように配置する。ターボファン30は、遠心ファンの一種であって、上面シュラウド、下面シュラウド、及びそれらの間に設けられた複数の羽で構成されている。ターボファン30は、図13中矢印A,B,Cで示すように、冷却風入口8A,8Bから取り込んで冷却風出口9から排出する冷却風の流れを誘起するようになっている。言い換えれば、外気を取り入れて筐体1内を流通する冷却風を生成するようになっている。
【0026】
ファンダクト27の吐出口29の上側かつ冷却風出口9の下側に、空冷式の熱交換器32が配置する。熱交換器32は、上述したオイルクーラ及びエアクーラを有する。熱交換器32は、例えば、アルミで成形されるか、若しくは、銅管とアルミ板で構成されている。そして、ファンダクト27の吐出口29から吐出された冷却風は、熱交換器32を冷却し、その後、冷却風出口9から排出されるようになっている(図13中矢印C参照)。
【0027】
機械室10の左側(図2中左側)には、導入ダクト33が配置する。導入ダクト33は、図4で示すように冷却風入口8Aとほぼ同じ断面を有し、図2で示すように冷却風入口8Aと機械室10の間で水平方向に延在している。そして、冷却風入口8Aから取り込まれた冷却風は、導入ダクト33を介して機械室10の下部に流入し、機械室10内の本体ユニット11に沿って流れて、ファンダクトの吸入口28に向かうようになっている(図13及び図14中矢印A参照)。これにより、本体ユニット11を効率よく冷却する。なお、導入ダクト33は、後述するドライヤ及びドライヤ用冷却ファン等を支持する役割も果たしている。
【0028】
機械室10の右側(図2中右側)には、モータ14等を制御する制御盤34(制御装置)と、制御盤34に隣接する(別の言い方をすれば、制御盤34を覆う)冷却ダクト35が配置する。制御盤34は、モータ14の回転数を可変制御するインバータ36と、コンデンサ(蓄電器)37とを有する。インバータ36のヒートシンク38とコンデンサ37の一部は、冷却ダクト35内に突出するようになっている。なお、本実施形態では、インバータ36及びコンデンサ37を2組有するが、1組或いは3組以上であってもよい。
【0029】
冷却ダクト35は、図10で示すように、制御盤34の下側に隣接して冷却風入口8Bから水平方向に延在する部分と、制御盤34の左側に隣接してターボファン30の吸込み側に向かって鉛直方向に延在する部分とで構成される。冷却ダクト35の入口39は、図6で示すように、冷却風入口8Bの大部分に対応する大きさを有する。冷却ダクト35の出口は、図2で示すように、本体ユニット11のモータ14に対応する高さに位置し、モータ14の水平方向投影面に対応する大きさを有する。そして、冷却風入口8Bの大部分から取り込んだ冷却風は、冷却ダクト35内を流れ(案内され)て(言い換えれば、制御盤34に沿って流れて)、制御盤34を冷却する(図10図13、及び図14中矢印B参照)。
【0030】
冷却ダクト35を流れた冷却風は、機械室10の上部で導入ダクト33からの冷却風と合流して、ファンダクト27の吸入口28に向かう。ここで、本実施形態の特徴の一つとして、図14で示すように、ファンダクト27の吸入口28の中心位置Oが、モータ14の駆動軸16の中心位置O(言い換えれば、圧縮機本体13の雄ロータ20Aの回転軸の中心位置)に対し、冷却風入口8Aから遠ざかる側で且つ冷却風入口8Bに近づく側にオフセットする。オフセット幅は、例えばモータ14の半径程度である。
【0031】
ターボファン30の回転軸は、ファンダクト27の吸入口28と同心になるように配置する。そして、図14で示すように、ターボファン30を鉛直方向に投影した場合に、モータ14と部分的に重なるとともに、冷却ダクト35と部分的に重なるようになっている。また、ターボファン30は、図12で示すように、ファンダクト27の右側面板に対してその反対側の左側面板より近づくように、且つ、ファンダクト27の背面板(言い換えれば、ファンダクト27の右側面板にターボファン30の回転方向に隣接する側面板)に対してその反対側の正面板より近づくように配置する。ファンダクト27の左側面板は、鉛直方向に対して傾斜した傾斜面40を有する。これにより、ファンダクト27内の旋回流れを軽減し、熱交換器32へ向かう上方向の流れを生じさせるようになっている。
【0032】
冷却ダクト35の正面側には吸込みダクト41が隣接して配置し設けられ、この吸込みダクト41が吸込みフィルタ12を介して圧縮機本体13の吸入側に接続する。吸込みダクト41の入口42は、図6で示すように、冷却風入口8Bの小部分に対応する大きさを有する。そして、冷却風入口8Bの小部分から吸込みダクト41及び吸込みフィルタ12を介して、圧縮機本体13に空気が吸込まれるようになっている(図11及び図14中矢印D参照)。
【0033】
機械室10及びファンダクト27の左側かつ導入ダクト33の上側にはドライヤ室43が形成されており、このドライヤ室43は機械室10と遮断される。ドライヤ室43は、本体ユニット11で生成されてエアクーラで冷却された圧縮空気を冷却風との熱交換によって除湿するドライヤ44(別の言い方をすれば、圧縮空気からドレンを除去する熱交換器)を収納する。また、ドライヤ室43は、ドライヤ用冷却ファン45(プロペラファン)と、この冷却ファン45を駆動するドライヤ用ファンモータを収納する。ドライヤ用冷却ファン45は、冷却風入口8Cに対向するように配置されており、図13中矢印Eで示すように、ドライヤ室43内の冷却風の流れ(冷却風入口8Cから取り込んで冷却風出口9から排出する冷却風の流れ)を誘起する。これにより、ドライヤ44を冷却する。即ちドライヤ室43はドライヤ44用のダクトとしての機能を有する。
【0034】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
【0035】
本実施形態においては、筐体1の左側面パネル4及び右側面パネル5に冷却風入口8A,8Bをそれぞれ形成しているので、筐体1の一側面だけに冷却風入口を形成する場合と異なり、冷却風入口8A,8Bの総面積を大きくすることができる。また、冷却風入口8Aから導入ダクト33、機械室10及びファンダクト27を経由して冷却風出口9に至るまでの冷却風の流路や、冷却風入口8Bから冷却ダクト35、機械室10の上部及びファンダクト27を経由して冷却風出口9に至るまでの冷却風の流路が比較的短く、冷却空気流路の圧力損失が比較的小さい。そのため、本体ユニット11を冷却する冷却空気の流量と制御盤34を冷却する冷却空気の流量を増加させることができる。したがって、本体ユニット11及び制御盤34を冷却する冷却性能の向上を図ることができる。なお、熱交換器32を冷却する冷却性能の向上も図ることができる。
【0036】
また、ファンダクト27の吸入口28の中心位置Oが、モータ14の駆動軸16の中心位置Oに対しオフセットすることにより、冷却風入口8Aと冷却風入口8Bにおける冷却空気の流量バランスをとることができる。特に、冷却風入口8Aから遠ざかる側で且つ冷却風入口8Bに近づく側にオフセットすることにより、本体ユニット11を冷却する冷却性能を損なうことなく、制御盤34を冷却する冷却風の流量を増加させて、制御盤34を冷却する冷却性能を向上させることができる。一般に、制御盤は熱に弱い部品を多く含むことから、制御盤専用の冷却ファンを設置することも多いが、本実施形態によれば、制御盤34の冷却風量も十分に確保でき、かかる専用ファンの設置コストを削減するという効果も期待できる。すなわち、専用ファンを設ける必要がなくなるか、若しくは専用ファンの低出力化により、コスト低減を図ることができる。
【0037】
また、ファンダクト27の吸入口28の中心位置Oが、モータ14の駆動軸16の中心位置Oに対しオフセットすることにより、ファンダクト27の吸入口28とモータ14との高さ方向の間隔を小さくすることができる。これにより、パッケージ形圧縮機の小型化を図ることができる。
【0038】
また、本実施形態においては、圧縮機本体13と左側面パネル4の間にドライヤ室43を介在させるとともに、圧縮機本体13と右側面パネル5の間に制御盤34及び冷却ダクト35を介在させることにより、防音効果を高めることができる。
【0039】
なお、上記一実施形態においては、特に説明しなかったが、図15図17で示す第1の変形例のように、導入ダクト33と機械室10にわたってガイド46を設けてもよい。ガイド46は、図16で示すように、本体ユニット11の幅寸法とほぼ同じ幅寸法を有する。また、ガイド46は、図15で示すように、導入ダクト33から本体ユニット11の下部(詳細には、油分離器15)に向かって延在する水平板と、本体ユニット11の下部から中部(詳細には、圧縮機本体13)にかけて延在する傾斜板及び鉛直板を有する。
【0040】
そして、ガイド46は、図17で示すように、冷却風入口8Aから本体ユニット11の下部に向かって冷却風を供給する流れ(矢印A1参照)と、冷却風入口8Aから本体ユニット11の上部(詳細には、モータ14)に向かって冷却風を供給する流れ(矢印A2参照)に分流する。これにより、より低温の冷却風を本体ユニット11の上部に供給することができ、本体ユニット11の上部の冷却性を高めることができる。また、ガイド46は、圧縮機本体13の騒音を遮るので、冷却風入口8Aからの音漏れを抑えることができる。
【0041】
また、上記一実施形態においては、ファンダクト27内の冷却ファンとして、ターボファン30(遠心ファン)を設けた場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で変形が可能である。図18で示す第2の変形例のように、回転軸が鉛直方向に延在するプロペラファン47(軸流ファン)を設けてもよい。これにより、ファンダクト27の高さ寸法、ひいてはパッケージ形圧縮機の高さ寸法を小さくすることができる。
【0042】
また、上記一実施形態においては、圧縮機本体13の吸入側に接続された1つの吸入系統(詳細には、吸込みダクト41及び吸込みフィルタ12)を備えた場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で変形が可能である。図19で示す第3の変形例のように、圧縮機本体13の吸入側に分岐接続された一方側の吸入系統(詳細には、吸込みダクト41及び吸込みフィルタ12)と他方側の吸入系統(詳細には、吸込みダクト41A及び吸込みフィルタ12A)を備えてもよい。すなわち、導入ダクト33の正面側に吸込みダクト41Aが隣接して設けられ、この吸込みダクト41Aが吸込みフィルタ12Aを介して圧縮機本体13の吸入側に接続されてもよい。本変形例では、吸込みフィルタを分割して小型化することにより、機械室10内の機器レイアウトの自由度を高めることができ、パッケージ形圧縮機の小型化を図ることができる。
【0043】
また、上記一実施形態においては、筐体1の左側面に冷却風入口8Aが形成され、筐体1の左側面とは反対側である右側面に冷却風入口8Bが形成された場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で変形が可能である。図20で示す第4の変形例のように、筐体1の左側面に冷却風入口8Aが形成され、筐体1の左側面と隣接する背面に冷却風入口8Bが形成されてもよい。すなわち、機械室10の背面側に制御盤34及び冷却ダクト35が配置されてもよい。また、機械室10の背面側に吸込みフィルタ12及び吸込みダクト41が配置されてもよい。これらの変形例においても、ファンダクト27の吸入口28の中心位置Oが、モータ14の駆動軸16の中心位置Oに対し、冷却風入口8Aから遠ざかる側で且つ冷却風入口8Bに近づく側にオフセットすることにより、上記一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、上記一実施形態において、本体ユニット11は、吸入流路又は圧縮室内に油を供給する給油式の圧縮機本体13と、圧縮機本体13から吐出された圧縮空気から油を分離する油分離器15とを有し、これら圧縮機本体13及び油分離器15と共にモータ14を一体化した場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で変形が可能である。例えば、吸入流路又は圧縮室内に水を供給する給水式の圧縮機本体と、この圧縮機本体から吐出された圧縮空気から水を分離する水分離器(気液分離器)とを有し、これら圧縮機本体及び水分離器と共にモータを一体化してもよい。また、例えば、吸入流路又は圧縮室内に油又は水を供給しない圧縮機本体を有し、この圧縮機本体とモータを一体化してもよい(すなわち、気液分離器を有しなくともよい)。これらの場合も、上記一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
また、上記一実施形態において、圧縮機本体13は、2つのスクリューロータ20A及び20Bを有する場合を例としたが、これに限られない。すなわち、シングルスクリューロータやトリロータを有してもよい。また、ロータ形式としてはスクリューに限られるものではなく、例えば、スクロールやベーン等であってもよい。また、上記一実施形態において、圧縮機本体13は、空気を圧縮する場合を例にとって説明したが、これに限られず、空気以外の気体を圧縮してもよい。
【0046】
また、上記一実施形態において、モータ14は、アキシャルギャップ型モータ(詳細には、駆動軸16の軸方向に離間されたモータロータ17A,17B及びステータ18を備えたモータ)である場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えばラジアルギャップ型モータ(詳細には、駆動軸の径方向に離間されたモータロータ及びステータを備えたモータ)でもよい。
【0047】
また、上記一実施形態においては、ドライヤ44及びドライヤ用冷却ファン45を備えるとともに、冷却風入口8Cが左側面パネル4に形成された場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ドライヤ44及びドライヤ用冷却ファン45を備えず、冷却風入口8Cが左側面パネル4に形成されなくともよい。
【符号の説明】
【0048】
1…筐体、8A…冷却風入口(第1の冷却風入口)、8B…冷却風入口(第2の冷却風入口)、9…冷却風出口、10…機械室、11…本体ユニット、13…圧縮機本体、14…モータ、15…油分離器(気液分離器)、16…駆動軸、27…ファンダクト、28…吸入口、29…吐出口、30…ターボファン(冷却ファン)、32…熱交換器、34…制御盤、35…冷却ダクト、40…傾斜面、43…ドライヤ室、44…ドライヤ、45…ドライヤ用冷却ファン、46…ガイド、47…プロペラファン(冷却ファン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20