(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記ローラーブラシが、硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上の吸液材が円筒外径方向に積み重なるように混在していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の被膜形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
本発明の被膜形成方法は、基材に対し第1被覆材を塗付し下地層を形成した後、第2被覆材を特定の方法で塗付し模様層を形成するものである。本発明によれば、ランダムで微妙な色調変化を有する自然な模様が得られる。
<基材>
基材は、建築物、土木構造物等の表面を構成するものである。このような基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜が形成されたもの等であってもよい。本発明は特に、コンクリート壁面等のコンクリート面に対して適用することが好ましい。このようなコンクリート面は、通常、セメント、水、骨材、さらに混和材料を適当な割合に調合して練り混ぜて得られるコンクリートを、型枠内または所定の場所に流し込み、硬化、脱型することにより得られるものである。本発明は、新設されたコンクリート面、あるいは経年劣化したコンクリート面のいずれにも適用することができる。
【0014】
本発明では、下地層の形成に先立ち、必要に応じ、基材に対し予め何らかの表面処理を行っておくこともできる。表面処理としては、例えば、基材の不陸、目違い、巣穴に対するポリマーセメントモルタルでの補修、ひび割れ部等に対するエポキシ樹脂の注入あるいはポリマーセメントモルタルやコーキング材の充填、浮き部の補修・補強、珪酸アルカリ等のアルカリ付与剤による表面処理、洗浄液による汚れ除去、クロス類やシーラーによるシーリング材目地部の処理、フィラー、サーフェーサー、シーラー、プライマー等の塗付による下地調整等があげられる。これらの表面処理は、下地基材の状況等に応じて適宜施される。
【0015】
<第1被覆材>
下地層を形成する第1被覆材は、合成樹脂及び顔料を必須成分とするものである。このうち、合成樹脂は、特に限定されず、例えば、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。このような合成樹脂としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂、NAD型樹脂、溶剤可溶型樹脂、無溶剤樹脂型等が挙げられ、1液タイプ、2液タイプ等特に限定せず用いることができる。本発明では特に、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂の1液タイプが好ましい。
【0016】
顔料としては、例えば、屈折率2以上、平均粒子径0.1〜2μm、白色度95以上の顔料(a)(以下「(a)成分」ともいう。)、屈折率2未満、平均粒子径0.5〜50μm、白色度50以上95未満の顔料(b)(以下「(b)成分」ともいう。)、上記(a)(b)以外の顔料(c)(以下「(c)成分」ともいう。)が挙げられる。
上記(a)成分としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、中空樹脂粒子等が挙げられる。
上記(b)成分としては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、陶土、チャイナクレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪石粉、珪藻土等の体質顔料等が挙げられる。
【0017】
上記(c)成分としては、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の着色顔料が挙げられ、これらの粒子径は、好ましくは50μm未満(より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは0.01〜20μm)である。本発明では、上記(a)成分、(b)成分、(c)成分から選ばれる1種または2種以上を使用することができる。
【0018】
ここで言う、「屈折率」とは、アッベ屈折計を用いて測定される値である。また、「白色度」とは、酸化マグネシウムの白色度を100、暗闇の状態を0とした場合の白色計(ケット式光電管白色度計)による比較値である。
【0019】
第1被覆材は、形成被膜の隠蔽率が90%以上(好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上)であることを特徴とする。隠蔽率が90%以上であることにより、容易かつ安定して目的とする仕上りを得ることが可能である。また、基材表面の不具合、汚染等を緩和し、美観性を高めることが可能である。この場合の色は、例えばコンクリート近似の灰色等に設定することが好ましい。
【0020】
なお、形成塗膜の隠蔽率は、第1被覆材を隠蔽率試験紙にフィルムアプリケータ(隙間150μm)で塗付し、温度23℃・湿度50%環境下(以下「標準状態」という)で24時間乾燥させて得た試験片について、視感反射率を測定した後、下記式によって算出される値である。
<式>
隠蔽率(%)=(黒地上の塗膜の視感反射率)/(白地上の塗膜の視感反射率)×100
【0021】
また、本発明の第1被覆材としては、艶消し被膜を形成するものが好ましい。この場合、美観性に優れたコンクリート打ち放し調模様を容易に形成することが可能である。
なお、ここで言う「艶消し」とは、一般に艶消しと呼ばれるものの他に、3分艶、5分艶等と呼ばれるものも包含する。具体的に、本発明では、鏡面光沢度によって艶を規定することができる。第1被覆材における鏡面光沢度は、好ましくは40以下(より好ましくは20以下、さらに好ましくは0.1以上10以下)である。
【0022】
また、「鏡面光沢度」とは、JIS K5600−4−7「鏡面光沢度」に準じて測定される値である。具体的には、第1被覆材をガラス板の片面にフィルムアプリケータ(隙間150μm)で塗付し、塗面を水平に置いて標準状態で48時間乾燥したときの鏡面光沢度(測定角度60度)を測定することによって得られる値である。
【0023】
第1被覆材における隠蔽率及び艶は、被覆材に配合する顔料の種類、粒子径、混合比率等によって適宜調整することができる。第1被覆材では、上記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含むものが好ましい。第1被覆材における顔料比率の好ましい態様としては、合成樹脂の固形分100重量部に対し、上記(a)成分を10〜500重量部(より好ましくは30〜300重量部、さらに好ましくは50〜250重量部)、上記(b)成分を10〜500重量部(より好ましくは30〜300重量部、さらに好ましくは50〜250重量部)、及び上記(c)成分を0.1〜50重量部(より好ましくは0.5〜20重量部)である。このような場合、コンクリートの質感が得られやすい。
【0024】
第1被覆材は、上記成分以外に、必要に応じて、可塑剤、造膜助剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、消泡剤、顔料分散剤、増粘剤、レベリング剤、湿潤剤、pH調整剤、繊維類、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、吸着剤、触媒、架橋剤、等の各種添加剤を含むものであってもよい。
【0025】
<第2被覆材>
模様層を形成する第2被覆材は、合成樹脂及び顔料を必須成分とし、必要に応じ各種添加剤を含むものである。各成分は、上記第1被覆材と同様のものを使用することができる。
【0026】
第2被覆材は、形成被膜の隠蔽率が90%以上(好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上)であり、第1被覆材とは異なる色調であることを特徴とする。このような場合、第1被覆材と第2被覆材の色調の組み合わせにより、種々の模様を形成することができ、美観性に優れた模様層を形成することができる。また、本発明では、第2被覆材の色は、第1被覆材よりも濃い色調であることが好ましい。このような場合、よりいっそう自然な模様を付与することができる。例えば、コンクリート打ち放し調模様を形成する場合には、第2被覆材の色は、第1被覆材よりも濃い色調であることが好ましく、さらには第1被覆材よりも濃い色調の灰色等に設定することが好ましい。なお、ここで言う、「濃い」とは、第1被覆材よりも明度値L
*(CIE L
*a
*b
*色空間)が低いことを示す。
【0027】
また、本発明の第2被覆材としては、艶消し被膜を形成するものが好ましい。この場合、よりいっそう自然な模様を付与することができる。特に、美観性に優れたコンクリート打ち放し調模様を容易に形成することが可能である。第2被覆材における鏡面光沢度は、好ましくは40以下(より好ましくは20以下、さらに好ましくは0.1以上10以下)である。
【0028】
第2被覆材における隠蔽率及び艶は、被覆材に配合する顔料の種類、粒子径、混合比率等によって適宜調整することができる。第2被覆材では、上記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含むものが好ましい。第2被覆材における顔料比率の好ましい態様としては、合成樹脂の固形分100重量部に対し、上記(a)成分を10〜500重量部(より好ましくは30〜300重量部、さらに好ましくは50〜250重量部)、上記(b)成分を10〜500重量部(より好ましくは30〜300重量部、さらに好ましくは50〜250重量部)、及び上記(c)成分を0.1〜50重量部(より好ましくは0.5〜20重量部)である。このような場合、コンクリートの質感が得られやすい。
【0029】
<被膜形成方法>
本発明の被膜形成方法は、以下の工程を含むものである。
(1)第1被覆材を塗付し、下地層を形成する第1工程
(2)第1被覆材とは異なる色調の第2被覆材を、硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上の吸液材が円筒外周面に混在するローラーブラシよって塗付し、模様層を形成する第2工程
【0030】
上記(1)において、第1被覆材は、基材に対し全面に塗付することが好ましい。塗付方法としては、刷毛塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等種々の方法を採用することができる。塗付け量は、好ましくは0.01〜0.5kg/m
2(より好ましくは0.05〜0.4kg/m
2)である。このような塗付け量の範囲内で、複数回に分けて塗装することも可能である。
【0031】
上記(2)において、第2被覆材は、第1被覆材上に模様を付与するものであり、
図1に示すような硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上の吸液材(
図1:1a〜1e)が円筒外周面(
図1:2)に混在するローラーブラシよって形成される。このような特定のローラーブラシを使用することにより、コンクリート面特有の、連続的かつ微妙に変化する模様を付与することができる。特に、円筒外周面に凹凸形状を有する場合、よりいっそう自然な模様を付与することができる。本発明において、ローラーブラシの外径(
図1:R)は、所望の模様に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは20〜60mm(より好ましくは30〜50mm)である。
【0032】
上記ローラーブラシにおいて、円筒外周面に混在する吸液材としては、例えば、フェルト、不織布、スポンジ材等が挙げられ、これらの硬度、密度のいずれかまたは両方が異なる少なくとも2種以上(好ましくは3種以上)のものを混合して使用する。本発明では、2種以上(好ましくは3種以上)のスポンジ材を組み合わせて使用することが好ましい。各吸液材の硬度は、好ましくは10〜3000N(より好ましくは20〜2000N、さらに好ましくは30〜1500N)、密度は、好ましくは1〜300kg/m
3(より好ましくは3〜200kg/m
3、さらに好ましくは5〜150kg/m
3)である。このような吸液材を組み合わせたローラーブラシを使用することにより、各吸液材の変形具合や被覆材の転写性等に対応した模様を形成することができる。ここで言う、「硬度」とは、JIS K6400−2に準じ、試験片の厚さ40%まで圧縮したときの力から測定される硬さ(C法)の値である。また、「密度」とは、JIS K7222に準じ、試験片の重量及び寸法から算出される見掛け密度の値である。
【0033】
また、上記吸液材は、円筒外周面を覆うように固定された形態が好ましく、硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上(好ましくは3種以上)の吸液材が円筒外径方向(
図1:3)に積み重なるように固定されている形態がより好ましい。さらには、複数の吸液材が外周方向及び外径方向にランダムに混在するように圧縮成形された形態であることがいっそう好ましい。このような吸液材を有するローラーブラシを使用することにより、本発明の効果を高めることができる。
【0034】
上記吸液材は、外形が不定形の立体形のものであり、その個々の大きさは、好ましくは1〜30mm(より好ましくは2〜20mm)である。このような吸液材が集合して、吸液体を形成する。本発明では、大きさの異なる複数の吸液材が混在することが好ましい。このような場合、硬度及び/または密度に加え大きさも異なる吸液材が円筒外周面にランダムに混在するため、本発明の効果を一層高めることができる。また、吸液材どうしの間で不定形の凹凸形状が形成されやすいため、本発明の効果をより一層高めることができる。なお、ここで言う「大きさ」は、外形の最長軸であり、例えば、一辺が所定寸法の升目を有する篩いにより篩い分けされて測定されるものである。また、円筒外周面に固定された吸液体の厚みは、個々の吸液材の大きさにもよるが、好ましくは50mm以下(より好ましくは1〜30mm、さらに好ましくは2〜15mm)である。さらに、本発明では、吸液体の外周面に所望の模様に応じて凹凸形状を設けることが好ましい。凹凸形状を設ける方法としては、吸液材の圧縮成形時にエンボス加工等をする方法や、圧縮成形された吸液材を部分的に除去する方法等が挙げられる。これにより、本発明の効果をより一層高めることができる。圧縮成形された吸液材を部分的に除去する場合、摘み取り、毟り等の公知の方法によれば、ランダムな凹凸形状が得られやすい。
【0035】
上記(2)において、第2被覆材は、第1被覆材の乾燥後に塗付することが好ましい。これにより、美観性の高い仕上りを安定的に得ることができる。また、この場合、下地層の全面に上記ローラーブラシを転動させ、塗付することが好ましい。その塗付け量は、上記第1被覆材の塗付け量よりも少ないことが好ましく、好ましくは0.005〜0.3kg/m
2(より好ましくは0.01〜0.2kg/m
2)である。このような所要量の範囲内で、複数回に分けて塗装することも可能である。このような場合、下地層の色調を活かしつつ、ランダムで微妙な色調変化を有する自然な模様が形成でき、美観性向上の点で有利である。
【0036】
上記(1)(2)において、各被覆材の塗付及びその後の乾燥は、好ましくは常温(0〜40℃)で行えばよい。
【0037】
本発明の被膜形成方法では、上記(1)第1工程または上記(2)第2工程後に、コーン跡による窪み(以下「窪み」という。)を補修することもできる。窪みの補修は、第1被覆材の色調よりも濃い被覆材(好ましくは第1被覆材及び第2被覆材の色調よりも濃い被覆材)を刷毛等により塗付することで行うことが望ましい。これにより、窪みに陰影感が付与される。
【0038】
本発明の被膜形成方法では、模様層の上に、必要に応じクリヤー層を設けることもできる。クリヤー層を設けることで、耐候性等が高まるだけでなく、下地層及び模様層による色調がよりいっそう調和し、連続的かつ微妙に変化した色調(さらには濃淡)を有するコンクリート面特有の質感を高めることができる。このようなクリヤー層は、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等を結合材とするクリヤー被覆材によって形成することができる。クリヤー被覆材は、水系または溶剤系、艶消しタイプまたは艶有りタイプのいずれであっても良い。また、クリヤー被覆材は低汚染タイプの方が好ましい。さらに、本発明の効果を阻害しない限り、着色することも可能である。クリヤー被覆材は、全面に塗付することが好ましい。塗付方法としては、刷毛塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等種々の方法を採用することができる。塗付け量は、好ましくは0.01〜0.5kg/m
2(より好ましくは0.05〜0.4kg/m
2)である。このような塗付け量の範囲内で、複数回に分けて塗装することも可能である。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0040】
(第1被覆材の製造)
(被覆材1−1)
合成樹脂エマルション200重量部に対し、白色顔料A140重量部、体質顔料A40を重量部、体質顔料B60重量部、着色顔料1.5重量部、添加剤(分散剤、消泡剤、増粘剤、等)8重量部を常法により混合・攪拌することによって被覆材1−1(灰色、L
*=76、光沢度1.8)を製造した。
【0041】
(被覆材1−2〜1−7)
表1に示す配合に基づき、被覆材1−1と同様の方法により、被覆材1−2〜1−7を製造した。
【0042】
(第2被覆材の製造)
(被覆材2−1)
合成樹脂エマルション200重量部に対し、白色顔料A140重量部、体質顔料A40を重量部、体質顔料B60重量部、着色顔料3重量部、添加剤(分散剤、消泡剤、増粘剤、等)8重量部を常法により混合・攪拌することによって第2被覆材(灰色、L
*=71、光沢度1.8)を製造した。
【0043】
(被覆材2−2〜2−7)
表2に示す配合に基づき、被覆材2−1と同様の方法により、被覆材2−2〜2−7を製造した。
【0044】
(窪み用被覆材の製造)
合成樹脂エマルションを200重量部に対し、白色顔料A50重量部、体質顔料A30重量部、体質顔料B50重量部、着色顔料2重量部、添加剤(分散剤、消泡剤、増粘剤、等)8重量部を常法により混合・攪拌することによって窪み用被覆材(灰色、L
*=63、光沢度2.0)を製造した。
【0045】
なお、原料としては下記のものを使用した。
・合成樹脂エマルション:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)
・白色顔料A:酸化チタン(白色度97、屈折率2.71、平均粒子径0.3μm)
・体質顔料A:タルク(白色度60、屈折率1.57、平均粒子径4μm)
・体質顔料B:カオリン(白色度80、屈折率1.56、平均粒子径6μm)
・体質顔料C:重質炭酸カルシウム(白色度89、屈折率1.56、平均粒子径36μm)
・体質顔料D:クレー(白色度92、屈折率1.55、平均粒子径4μm)
・体質顔料E:珪石粉(白色度90、屈折率1.54、平均粒子径18μm)
・体質顔料F:珪藻土(白色度88、屈折率1.46、平均粒子径30μm)
・着色顔料:カーボンブラック
【0046】
(隠ぺい率測定)
第1被覆材及び第2被覆材をそれぞれ、隠蔽率試験紙にフィルムアプリケータ(隙間150μm)で塗付し、温度23℃・湿度50%環境下(以下「標準状態」という)で24時間乾燥させて得た試験片について、色彩色差計「CR−300」(ミノルタ株式会社製)を用いて黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を測定し、これらより隠蔽率を算出した。結果は、表1、表2に示した。
【0047】
(実施例1)
部分的に劣化が生じたコンクリート面に対し、洗浄及び劣化部補修を行った後、被覆材1−1を塗付け量0.12kg/m
2となるようにウールローラー塗付し、標準状態で3時間乾燥させ下地層を形成した。次いで、窪み用被覆材を刷毛を用いて窪み跡に塗付し、乾燥させた。さらに、被覆材2−1を塗付け量0.07kg/m
2で
図1に示すような硬度及び/または密度が異なる5種のスポンジ材1〜5(各スポンジ材は、大きさ2〜18mmを満たす不定形立体)が混在し、円筒外周面にランダムな凹凸形状を有するローラーブラシ(外径45mm、吸液体の厚み2〜10mm)によって塗付し、模様層を形成した。
・スポンジ材1:硬度45〜60N、密度50〜100kg/m
3
・スポンジ材2:硬度75〜110N、密度15〜30kg/m
3
・スポンジ材3:硬度110〜140N、密度15〜50kg/m
3
・スポンジ材4:硬度110〜300N、密度30〜85kg/m
3
・スポンジ材5:硬度10〜12kN、密度5〜15kg/m
3
【0048】
(実施例2)
実施例1の被覆材2−1を硬度及び/または密度が異なる3種の上記スポンジ材2〜4(各スポンジ材は、大きさ2〜18mmを満たす不定形立体)が混在し、円筒外周面にランダムな凹凸形状を有するローラーブラシ(外径45mm、吸液体の厚み2〜10mm)によって塗付し、模様層を形成した以外は、実施例1と同様にして被膜を形成した。
【0049】
(実施例3)
実施例1の被覆材1−1に代えて被覆材1−2、被覆材2−1に代えて被覆材2−2を使用した以外は、実施例1と同様にして被膜を形成した。
【0050】
(実施例4)
実施例1の被覆材1−1に代えて被覆材1−3、被覆材2−1に代えて被覆材2−3を使用した以外は、実施例1と同様にして被膜を形成した。
【0051】
(実施例5)
実施例1の被覆材1−1に代えて被覆材1−4、被覆材2−1に代えて被覆材2−4を使用した以外は、実施例1と同様にして被膜を形成した。
【0052】
(実施例6)
実施例1の被覆材1−1に代えて被覆材1−5、被覆材2−1に代えて被覆材2−5を使用した以外は、実施例1と同様にして被膜を形成した。
【0053】
(実施例7)
実施例1の被覆材1−1に代えて被覆材1−6、被覆材2−1に代えて被覆材2−6を使用した以外は、実施例1と同様にして被膜を形成した。
【0054】
(比較例1)
実施例1の被覆材1−1に代えて被覆材1−7、被覆材2−1に代えて被覆材2−7を使用した以外は、実施例1と同様にして被膜を形成した。
【0055】
実施例1〜実施例7によって形成された被膜の外観は、比較例1に比べ、コンクリート面の質感に近似した良好な仕上りとなった。中でも、実施例1〜5は優れた仕上りとなった。
【0056】
(実施例8)
実施例1によって形成された被膜の上に、さらにクリヤー被覆材(水性アクリルシリコン樹脂クリヤー、艶消しタイプ)を塗付け量0.1kg/m
2となるようにウールローラー塗付し、被膜を形成した。形成された被膜の外観は、実施例1よりもさらに優れた仕上りとなった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】